あれから一ヶ月後―――。
ライチュウは、気持ちの整理が完全についた訳ではないが、少しずつ元気を取り戻していた。
「ライチュウ。一緒に買い物行こう」
「うん!」
ライチュウは笑顔で答える。
「じゃあ行こうか」
鍵をかけ、コウキとライチュウは手を繋いで町へ向かった。
「もう……一ヶ月だな」
「うん。そうだね……」
かつて、ザングースが怪我をして倒れていた場所。
通りかかったその場所をコウキとライチュウはじっと見つめ、足を止める。
「何か、あそこにザングースが倒れてたなんて……嘘みたいだよな」
「…………」
ライチュウは言葉が出ない。
(明日……会いに行ってみようかな。ザングースに)
コウキはそんな事を考え再び歩き出した。
町へ到着し、買い物を済ませる。
ショップを出たところで、ライチュウがコウキに声をかけた。
「コウキ。オイラ海を見に行きたい」
「奇遇だなライチュウ。俺も同じ事を思ってたところだ」
町を出たコウキたちは丘へと向かった。
「…………なあライチュウ。あれ……」
丘についたコウキが、崖の方を指差しライチュウを呼んだ。
崖には……この辺りでは見かけない一体のポケモンが海を眺めている。
白と赤が混じった体毛に包まれ、尻尾が大きい。
「まさか……」
コウキとライチュウは顔を見合わせた。
「……ザングース?」
ライチュウが呟いた。
ザングースがふとこちらを振り返り、コウキとライチュウに気付いた。
満面の笑みを浮かべてこっちに走ってくる。
「コウキ!ライチュウ!オレだよ!」
「ザングース!」
コウキとライチュウは走り出した。
「ザングース?ホントにザングースなのか!?」
「ど、どうして?」
コウキとライチュウは、突然の事で頭が回る。
「えへへ。来ちゃった」
ザングースは頭をぽりぽり掻く。
「ザングース……。会いたかったよぉ……」
ライチュウは目に涙を浮かべてザングースに飛び付いた。
ザングースがライチュウを受け止める。
「久しぶりだなライチュウ」
ザングースがライチュウを抱いたままその場で回る。
「コウキ。久しぶり!」
ザングースがライチュウを下ろしてコウキに挨拶する。
「よく来てくれたなザングース。すまなかったな。遊びに行きたかったんだけど……中々時間がとれなくて」
「いいんだよコウキ。オレも二人に会いたかったし」
コウキたち三人は、久々の再会を喜び合った。
「ザングース。一緒に昼ご飯食べようか」
「うん!」
「じゃ、帰ろう!」
コウキたちは丘を後にした。
家までの帰り道、ライチュウはザングースと走り回っている。
「おーい二人とも!暴れすぎてこけるなよー!」
「分かってるよー!」
遠くからライチュウがコウキに叫ぶ。
(やれやれライチュウったら。はしゃぎ過ぎだよ)
呆れながらも、そんなライチュウを見て微笑むコウキ。
家に着き、ザングースは嬉しそうに笑った。
「コウキとライチュウの家だぁ!久しぶりだなあ」
「ザングースもここに住んでたんだよね。何か変な感じ」
「さ、食べよ食べよ。二人ともソファーに座って」
コウキがライチュウとザングースの餌を用意する。
「あ……」
ザングースが、棚に置かれたある物を見て声を上げた。
「ん?ああ、あれか」
ザングースが見ている物に気付いたコウキは、それを取る。
「おまえが好きだっていうチイラの実だよ。ザングースがいつか戻ってくる時の為に、ライチュウと採りに行ったんだよ」
「え?オレの為に……わざわざ採りに行ってくれたのか?」
「そう。食べていいよ」
「うん。ありがとう!」
三人で一緒に食べる一ヶ月ぶりの食事は、いつも以上に賑わった。
「ごちそうさま。ザングース。今日は泊まっていくか?」
「え、いいのか?」
「大歓迎さ。な、ライチュウ?」
ライチュウはもちろん大喜び。
「うん!今日一緒に寝ようよザングース!」
「じゃあ……お言葉に甘えよっかな」
「決まりだな。……あ!いけない!」
コウキがしまった!という顔をして大声をあげた。
「コウキどうしたの?」
「買い忘れがあったよ。ちょっと買ってくる。ごめん、二人とも留守番してて」
「うん。分かった」
ライチュウとザングースは頷き、コウキは靴を履いて玄関のドアを開けようとした。
「あ。ライチュウ、ザングース。やるんだったら……あっちでな」
コウキが二人を見てにやにや笑う。
ライチュウの顔が途端に赤くなる。
「コウキな、何言ってるの?」
「今更隠す必要もないだろ。ザングース。ライチュウとまぁ……仲良くやるんだぞ。じゃあ行ってくるな」
コウキは家を出て行った。
「…………」
「なあライチュウ」
「え!?……あ、何?」
後ろからザングースに呼ばれ、ライチュウは飛び上がりそうになった。
「オレ……また交尾したい」
「え……?今何て?」
一瞬ライチュウは耳を疑った。
まさかザングースから言い出すなんて思わなかったので、空耳かと疑う。
「オレ、ライチュウと交尾したい」
さらりとザングースが再び言う。
やはり聞き間違いではなかったらしい。
「ホ、ホントに?」
「ホントに。ライチュウ嫌か?」
ライチュウは慌てて首を振る。
「まさか!嫌だなんてとんでもない!ちょっとびっくりしちゃってさ」
「よかった。じゃあやろうぜ」
「うん!」
以前、ザングースとやった後にザングースは「楽しかった」と言っていたが、もしかして気を使って言っていたのではないかとライチュウは不安だった。
ライチュウは、ザングースから交尾しようと言い出してくれた事に、少し喜びを感じていた。
「ザングース。あれから一人でやったりしてたの?」
ライチュウが、仰向けになったザングースに話しかける。
「やり方よく分からなかったから……してない」
「そうなんだ。じゃあ久しぶりの……射精だね」
「うん」
ザングースは真っ赤な目でライチュウを見つめる。
「じゃあ……舐めるよ」
「うん」
ザングースは以前のようにガサガサと股間の体毛をかぎ分け、ライチュウに陰茎を突き出した。
以前と違い、興奮の為か既に大きくなり始めている。
ライチュウはそれを眺め、大胆にかぶりついた。
「ザングースのオチンチン……久しぶりだね」
口内でザングースの味を楽しみながらすぼみを撫でる。
「ひゃあ!」
ザングースが顔を反らせる。
「こ、この感触……久しぶり」
敏感に反応したザングースの陰茎が、堪らず先走りの液を出す。
「ザングース。どう?」
「き、気持ちいい……。もう出ちゃいそう……」
ザングースは久々の快感にうっとりしている。
「うぅん……やっ……出……る」
すぼみをすりすりされながら尿道を集中的に舐められたザングースは、堪らず射精した。
「!!んっ……ごくり」
受け止めたザングースの精液を、ライチュウは飲み込む。
「ザングース……相変わらずよく出るね」
「はぁ、はぁ、ごめん。我慢出来なかった……」
陰茎を強く扱き、残っている精液を搾り取るライチュウ。
「んあぁ!」
敏感なザングースはまた顔を反らす。
「ザングース。オチンチン……入れていい?」
「うん。来いよライチュウ」
「じゃあ、入れるよ。足持ち上げて」
ザングースは言われた通りに足を持ち上げた。
今日はライチュウもザングースも大胆な行動に出る。
ライチュウがザングースのすぼみに、ギンギンに勃起した自分の陰茎をぴとっと付けた。
「ザ、ザングース大丈夫?」
「痛い……けど……大丈夫」
ゆっくりゆっくりとザングースに挿入していく……。
「もう少し……だよ」
「い……痛い痛い!ライチュウちょっと待って!」
ザングースが痛みに耐え切れず、足をじたばたさせて悲鳴を上げる。
「ごめんザングース。きつかった?」
「ちょっとだけ……。ふぅ……大丈夫だ。ごめんライチュウ。続けてくれ」
痛みが治まったようだ。
「もうすぐだからね…………入った」
ライチュウとザングースは一つになる。
「くうぅ……!」
中で締め付けられたライチュウの陰茎が反応し、ライチュウは喘いだ。
快感に酔いしれながら、ライチュウはピストン運動を始めた。
「つっ、ぐぅぅ……!」
ズコバコと揺れるライチュウとザングース。
(ザングースの中……何でこんなにあったかいんだろ)
ザングースの中に入れている事に興奮を感じているライチュウ。
たちまち射精感が込み上げてくる。
「ザングース……中で出してもいい……よね?」
「オレが受け止める……から……出せよライチュウ」
「あ、ありがとザングース……くぅぅ!」
ぶるっと震えライチュウが射精を迎える。
バシッバシッ!
ザングースの中で果てるライチュウ。
「くっ…!あ、熱い……」
ザングースがライチュウの精液を受け止める。
ライチュウがすぼみから陰茎を抜く。
「ザングース。もう少し……いけそう?」
「オレはまだ大丈夫だよ」
「じゃあ……次はザングースが入れる番だね」
「え、オレ?」
ライチュウがザングースの上に乗っかった。
「よいしょ。オイラのここに、ザングースのオチンチン入れて?」
「オレのチンチンを……ライチュウに?」
ライチュウは自らすぼみを拡げる。
「ザングース……入れて」
「……分かった。ライチュウ」
ザングースはライチュウを支えながら、再び膨らんだ自分の陰茎にライチュウを近づけた。
「イタタ……結構痛いんだねこれ」
ザングースがさっき痛がっていたのが身に染みて分かる。
「ライチュウ。いけそうか?」
「うん大丈夫だよ。構わないから続けて」
少しずつザングースとライチュウが近づいていく。
「……入ったよライチュウ」
「ザングース……。オイラたちまた一つになったね」
ザングースの陰茎がライチュウに挿入された。
ライチュウがザングースのお腹に手をつけながら上下に動いた。
「うぁぁ……!」
「あん……!ふぁ!」
顔を反らせ、襲ってくる快感に声を上げずにいられないザングース。
自らが動きながら喘ぐライチュウ。
二人の声が、静かな寝室に響く。
「ザングースのオチンチン……熱いね」
「ラ、ライチュウの中の締まりが良すぎて……堪らない」
快感に逆らえる筈もなく、ザングースは二度目の射精感を迎える。
「ライチュウ……。ライチュウの中で……出していい?」
「うん。出して……ザングース」
「うぁぁ……!もう無理!」
「はぁん!」
ビュッビュッ!!
ライチュウの中に、ザングースの熱い精液が送り込まれた。
「き、気持ちいぃ……」
射精をしながらうっとりしているザングース。
「はぁん……」
ザングースの精液を受け止めたライチュウは、そのままザングースの上に倒れ込んだ。
コン、コン、
「!?」
突然ドアをノックされ、ライチュウとザングースは目茶苦茶驚いた。
ガチャ……ドアが開く。
コウキだった。
交尾に夢中でコウキが帰ってきたのに気付かなかったらしい。
「おーおー。派手にやったなぁ……」
コウキが部屋を見るなり呆れ返る。
むせ返る精液の臭い。
精液でベトベトになった布団のシーツ。
そして……二人の精液で体中が真っ白なライチュウとザングース。
ライチュウとザングースはお互いを見て、軽く笑う。
「やれやれ……風呂入ろ」
コウキは疲れた表情を見せて、ライチュウとザングースを風呂場へ連れ出した。
風呂上がりでさっぱりしたライチュウとザングースをソファーに座らせる。
「ザングース。ライチュウのリードはどうだった?」
「うん。オレ、とっても気持ち良かった」
ザングースが満面の笑みを浮かべながら嬉しそうに話す。
ちらっ。コウキがライチュウを見る。
「ライチュウもやりたいんだったら素直に言えばいいのに。隠す必要ないんだから」
あれだけ精液まみれになってたら言いたくもなる。
「うん。そうだよね」
ライチュウは軽く笑った。
「あ、あのさコウキ」
ザングースがコウキを呼んだ。
「ん?何だザングース?」
ザングースは言い出しにくいのか、しばらくコウキを見つめて黙っていたが……思い切ってコウキに言った。
「オレ……コウキとライチュウと……一緒に……住みたい」
ザングースの赤い目が濡れていく。
「…………」
「!?」
コウキはザングースを見て黙っているが、ライチュウはひどく驚きの表情を見せた。
「オレやっぱり……一人じゃ嫌だ……寂しいよ……」
ザングースは涙を見せたくないのか、目を閉じてうつむく。
しばらく三人は動かないまま黙っていた。
やがてコウキが、ザングースの肩を叩く。
「ザングース。顔上げろよ」
涙を浮かべながらザングースはコウキを見る。
怒られるんじゃないのか……断られるんじゃないのか……そんな不安にかられているのだろう。
しかしコウキは、ザングースに微笑んだ。
「ザングースはもう一人なんかじゃないよ。俺たちがいつでもいるんだから」
「!」
「おかえり。ザングース」
ニッコリ笑ってザングースに言う。
ザングースは目を大きく開けて驚いた。
「コウキ。いいのか……?」
「当たり前さ。いつでも一緒に住む用意は出来てるよ。ザングースが戻ってきた時の為にね」
「コウキ……ライチュウ……」
ザングースは涙で前が見えない。
ザングースは、昼間のコウキの言葉を思い出した。
―――ザングースがいつか戻ってくる時の為に―――。
あれは、「いつか再会した時の為に」という意味だと思っていたが……「ザングースがここで住む時の為に」……そういう意味だったのだ。
コウキとライチュウはザングースを見て満面の笑みを浮かべた。
「ザングース!おかえり!」
ライチュウが嬉し涙を流しザングースに抱き着いた。
「ただいま!」
ザングースもまた嬉し涙を流し、ライチュウを受け止めた。
翌日―――。
コウキたちは海に来ている。
「ライチュウ!ザングース!あんまり遠くに行くなよー!」
コウキが、砂浜を走り回っているライチュウとザングースに向かって叫ぶ。
ライチュウとザングースが両手でコウキに手を振ってくる。
(本当によかった。ザングースが戻ってきてくれて)
コウキは改めてつくづくそう思った。
これからもずっと、コウキたちと一緒に暮らす事を決めたザングース。
そんなザングースを、暖かく迎え入れたコウキとライチュウ。
「おーい!待ってくれよー!」
コウキは、新たに始まる三人の生活を考えながら、楽しそうに走るライチュウとザングースを追いかけて行った。
[ザングースとの出会い]終わり☆