※注意点  
・ケモホモです。つまり同性愛です。  
 しかも私自身がガッツリガチホモなので、結構ハードな描写が多くなってしまったように感じます。  
 なるべく自重はしたつもりですが、あまりゲイものに耐性が無い方は閲覧をお控えなさったほうがよろしいかと。  
 
 
 奴の体は、小奇麗に整えられた芝生に叩きつけられた。  
その情けない姿に、口角が自然に吊り上がる。  
「もう終わりか?」  
「……馬鹿言うなよ」  
粋がるその紅い瞳には、疲労がくっきりと映し出されていた。  
炎と格闘に弱いルカリオにとっちゃ、ゴウカザルの俺は天敵みたいなものだ。  
だが、それでも彼は俺と善戦している。ここまでの勝負はほぼ互角だ。悔しいが。  
正直、俺だって体力も精神力も限界。  
後一回でも技を喰らえばヤバい。  
ここはとっととけりをつけておきたい。  
俺は体に炎を纏うやいなや、10メートルほど先の標的にラッシュをかける。  
彼は怯んでいるのだろう、動く気配は無かった。  
(これで……これで勝てる!!)  
俺は確信し、残された力を搾り出すように、渾身の一撃を加えた……はずだった。  
しかし、筋肉と筋肉がぶつかった時の、あの鈍い衝撃が来ない。  
何故だ!?  
不意を突かれた、その一瞬に答えはやって来た。いや、突進してきた。  
「うぐうっ!?」  
次に地に叩きつけられたのは、俺だった。  
立ち上がる暇も与えられず、俺は、そのまま地面に伏せつけられた。  
「さるお、戦闘不能!よってこの勝負はルカの勝ち!!」  
マスターの声で、ああ俺は負けたんだと、心の中の自分が冷静に認識した。  
それにしても、奴の「ふくつのこころ」をすっかり忘れていたのは痛かった。  
ひるむとすばやさが上がるとかいう、あのMっぽい特性だ。  
「大丈夫、さるお?」  
マスターは俺に心配そうな顔を向け、駆け寄って優しく手を差し伸べるが、俺はその手を払いのけた。  
だって同情されれば、それだけ俺が惨めになるじゃないか。  
彼は困った微笑を浮かべると、今度は奴のほうに歩み寄った。  
「ルカはすごいね。このメンバーの中で一番若いのに、一番先輩のさるおに勝っちゃうなんて」  
アイツはマスターに頭や顎の下を撫でられ、まるでガーディみたく甘えた声を出しやがる。  
しかし、見下した笑みを一瞬此方に向けたのを、俺は見逃さなかった。  
全く、何て要領のいい奴なんだ。  
クソッ、俺のほうが先輩だというのに、ちょっと一回勝ったからって調子に乗りやがって。  
「マスター、俺もう腹が減っちゃいましたよぉ。そろそろ昼食にしましょうよ」  
「そうだね。でもその前に君とさるおをポケモンセンターで診てもらわなくちゃ」  
おまけに奴はメンバーで唯一人の言葉を操る事ができる。  
これではマスターの注意が彼に向かうのは当然だ。  
勿論、思い遣りのあるマスターのことだ。きっと皆平等に扱っているつもりなんだろうが。  
しかし、俺は何となくマスターの奴との違いに勘付いていた。  
そりゃあ、話し掛けられても「キキーッ!!」としか答えられない俺より、ちゃんとまともな会話ができる奴の方が話し掛けやすいだろう。  
しかも、奴は最近とんでもない速度で強くなっている。  
その勢いたるや、ジェット機よりも速いといわれるガブリアスもビックリだ。  
普通は、このチームメイトの成長を祝うべきなのだろうが、俺は残念ながらそうできない。  
マスターは「一人ひとりを大切にしたい」という理由で、俺を含めて6匹しかポケモンを持っていないほど優しい人だ。  
そんな人だから、決して俺を置き去りにしたりはしないだろう。  
しかし、俺がマスターと出会ってからずっと守り続けてきたエースの座を、つい最近メンバー入りしたばかりのあんなちびっこい犬っころに易々と奪われてしまうのはどうも腹の虫が治まらない。  
ちなみにちびっこいというのは年齢の差であって、俺と奴の身長差はあまりない。残念ながら。  
まあ、齢も実はあまり離れていないのだが。  
ふと顔を上げ、マスターと目が合うと、彼はにっこり笑い、俺に向かって手招きをする。  
俺は、二人から3メートルほど離れ、敢えて前方ではなく、美しい並木を眺めながら後を追った。  
彼と目を合わさないようにするために。  
 
 別に本気のバトルではなかったし、怪我も掠り傷しか見られなかった。  
しかし念のため、疲労が溜まっているということで、俺達二人は一日ポケモンセンターの病室で一日休む事になった。  
これは、無理をさせて万が一のことがあったらというマスターきっての願いだった。  
正直、この程度の傷ならどうてことは無いし、疲れだって昼メシでも食べりゃあすぐに取れるのに、俺たちを精神的にも追いつめたくないというマスターの思いやりらしい。  
リーグの大会も近いし、無理は禁物なのだ。  
俺にとっては、ルカに追い抜かされる事が一番堪えることなんだけどな。  
だが幸運な事に、今回は彼だって同じ境遇なのだ。  
彼は最後までマスターに文句を言っていたのだが、何とか説得されて大人しく寝ている事にしたようだ。  
「ちぇっ、マスターも心配しすぎなんだよ。俺ももうガキじゃあるまいし」  
マスターが出て行った後、彼は口を尖らせて不平を言った。  
「マスターも俺たちの事を大事にしてるつもりなんだよ。だから心配してるんだろうが。そんな事も分からないのか?」  
「お前さあ、もっと優しく喋った方がいいと思うぜ?」  
彼なりにアドバイスをしているつもりらしい。  
俺が愚痴に答えてやると、奴はニヤニヤと気味の悪い笑みを浮かべながらそう言った。  
「それはできねぇな。特にお前には」  
「何で俺には出来ないんだよ」  
全く、五月蝿い奴だ。人の神経を逆撫でしやがって。  
「お前の事が嫌いだからだよ、この犬野郎」  
「はははは」  
さすがドM。忍耐力の強い奴だ。  
ブチ切れて言い返してくるのかと思いきや、奴はケラケラと笑いながら、とんでもない事を言いのけた。  
「俺もお前の事は嫌いだ。犯してしまいたいくらい、な」  
!!!!!!!!  
俺の単純な思考回路は対処できない予想外の言葉に、体中が熱くなるのが分かった。ベッドを燃やしてしまいそうなくらい。  
今の俺は、きっと突然好きな人にキスをされたような顔をしているだろう。  
俺は言葉を失い、ただシーツをずり上げて顔を隠す事しか出来なかった。  
「ハハハ、面白いなあ、お前って」  
「うるせえ、黙れ!!」  
無邪気に笑う彼の顔面に、俺は枕をインファイトの如く投げつけた。  
それは、案外彼の事が嫌いではないかも、と思ってしまった己の心を押さえつけるためでもあったのかも知れない。  
 
 楽しい枕投げ大会も、騒ぎを聞きつけたジョーイさんに見つかってしまい、俺達はこっぴどく叱られた挙句に早めの就寝を余儀なくされた。  
元々、ゆっくりと身を癒さねばならないのだから、当然といえば当然だ。  
しかし、早く寝かされたのは良いが、俺は一向に寝付く事が出来なかった。  
頭が、身体が、モヤモヤしたのだ。  
勿論蒸し暑いから、疲れているからということもあるのだろうが、とりわけ下半身、つまり股間のあたりがじんじんとするのだ。  
こういう時にどうすれば良いのかくらい、俺にも分かる。  
隣ではルカがこちらに背を向けたまま動かない。  
きっと俺が部屋を出ても誰にも気づかれる事は無いだろう。  
俺は机上に置かれた一冊の雑誌を手に取り、窓から軽やかに飛び降りた。  
 
 背の低い木立に囲まれており、誰にもこれからの行為が見られる事は無いだろう。  
俺は窓に背を向けて、茂みに身が隠れるようにしゃがみ、手に掴んでいた雑誌を草むらに置いた。  
別に厭らしい本ではない。至極普通なトレーナー向けの雑誌だ。  
ただし、それは『正常な』性癖を持つものにとっての話だ。  
興奮と期待で早鐘を打つ心の臓を押さえながら、俺はお目当てのページを慎重に開いた。  
そのページは電気ポケモン大特集と銘打たれ、雄のレントラーのグラビアが一杯に記載されている。  
飛び掛るレントラーを下からのアングルで捉えた、中々迫力のあるものだ。  
別に写真のどこかに霊が映っているとか、そんなものでもない。  
どこからどう見ても何の変哲の無い、普通の写真。  
しかし、俺の全神経は一点に引き込まれる。  
がっしりとした腰のラインを辿ると、その先にあるのは、尻尾の付け根からぶら下がる袋と、その中に入った2つの小さな双球。  
そして、体内に収納されている本体部分がうっすらと浮かび上がっている。  
月光と建物から漏れる弱い灯りのせいで、あまり微細な部分までは見ることが出来ないが、それが逆に雄としての本能を刺激する。  
半勃ちだったペニスにどくどくと血液が送られるのを感じた。  
……ここまで来ればもう勘の良い皆様はお気づきだろう、俺の異常な性癖に。  
自分でも、男にしか下半身が反応しないという性癖には思春期を迎えた時からずっと悩んでいたのだが、こればかりは生まれつきだから仕方が無い。  
俺は、改めてしげしげと自分の股間を眺める。  
やや青みがかった黒い色をした己の性器は、我ながら少々グロテスクだと思う。  
この男性器が、実は俺にとっての大きなコンプレックスになっている。  
睾丸の大きさは、他のポケモンに比べると若干大きめだが、同種族の中では平均レベル。  
しかし、問題は『本体』の方だ。  
俺達ゴウカザルのペニスは、他の多くのポケモンと違って形状は人間にかなり近い。  
雁首があれば、勿論亀頭もある。  
余談であるが、俺くらいの歳になると、興奮すれば(勿論性的な意味で)亀頭が露出するのがゴウカザルの間では普通らしいのだが、俺は未だに自分の手で皮を下ろさないと剥くことができないのだ。  
このことは、同じ研究所で育った仲間達に会うたびに馬鹿にされて非常に悔しい。  
しかも、いつも包皮に包まれているせいか、ペニスが全然育たなくて二度悔しい。  
自分でも機会がある度に剥き癖をつけようとしているのだが、俺の努力も空しく、皮オナニーのしすぎで伸びきった皮は剥いた途端にくるりと反転して元に戻ってしまう。  
それなら皮オナをやめればいいじゃないか、と外野から野次が飛んできそうだが、露出する機会の無い俺の亀頭はとても刺激に弱く、少し擦るだけでヒリヒリと痛みを感じてしまう。  
そういうわけで、俺の包茎コンプレックスは一向に改善されず、ただ俺のストレスだけが日々溜まってゆくだけなのだ。  
 
 俺は覚悟を決めて、はちきれんばかりに怒張した性器を右手でしっかりと掴んだ。  
親指と人差し指で、皮の上から雁首をコリコリと刺激しながら、中指から小指を使って裏筋を上下に擦る。  
こうするのが俺にとって、一番気持ちいいのだ。  
心身がさらなる刺激を求めるのを見計らい、右手はそのまま『作業』を続け、左手を入念に唾液で濡らすと、人差し指を尻の中にそっと挿し入れる。  
このような芸当は、他のポケモン達には決して真似する事の出来ない、人間に似た指を持つ俺だからこそできる技だ。  
前立腺を慣れた手つきで探り当てると、俺はその固い部分を、爪で傷つけないよう、慎重にいじくる。  
慣れたもので、ほんの一瞬違和感が訪れたかと思うと、直ちに快感に変わる。  
俺は大きく息を吐くと、思い切りもう2本の指も突っ込んだ。  
体の芯を揺さぶられる快感に、俺は大きく深呼吸をした。  
男として感じられる、この銀河系で最大の快感(だと思う)。  
光沢紙に写ったレントラーの股間を強く意識すると、ますます股間が疼く。  
俺の頭の中には、人には言えない、恥かしい妄想が次から次へと駆け巡ってゆく。  
青色の指でペニスを擦る度、真っ赤な色をした亀頭がちょっぴり顔を覗かせ、若干縮こまった袋が不規則に揺れている。  
パックリと割れた尿道口からは先走りが染み出て、包皮と亀頭の隙間から発せられる音が厭らしい。  
呼吸が、鼓動がどんどん荒くなる。  
前と後ろからの刺激に思わず声を上げそうになるが、歯を食いしばって必死に耐える。  
まだだ、まだ出したくない。  
まだこの快感を感じていたい。  
「はあっ……あふっ……」  
肉体の中で燻り続ける快感が、口を伝って滲み出る。  
指の腹で裏筋を強く刺激すると、余りの快感に、睾丸がぎゅっと縮み上がった。  
俺の思いとは裏腹に身体はもう限界を訴えていた。  
早く精を出してしまおうと、ペニスが、体が疼く。  
それならばいっそと、尿道の先端を雑誌に向け、体全体を大きく震わせた。  
「くうっ……!!」  
股間が爆ぜ、尿道口から断続的に飛び出る白濁液は、小さな弧を描いて、紙の繊維にベットリと絡みつく。  
雑誌が、レントラーが、白く染まる。  
俺はうっとりと目を閉じ、男として感じられる最高の快感に大きく息を吐いた。  
吐精の終了と共に至福の時も終わり、もう少し余韻に浸っていたかったのだが、俺は重大な事に気付いてしまった。  
(やべぇ、つい調子に乗ってぶっかけちまったが、コレ、どうしよ……)  
雑誌の角を持ち、そっと持ち上げると、早くもゲル状に固まり始めた乳白色の精液が、ベチャリと地面に落下した。  
目の前の雑誌は、精液に塗れてふやけてしまい、その上強烈な青臭い臭気までこびりついてしまっている。  
ここで補足。  
俺たちの精液というのは、どうやら他のポケモン達に比べると、かなり粘度が高いそうだ。  
射精してしばらくすると、外気に触れてゴムのように固まってしまう。これを交尾栓と言うらしい。  
何でも他の雄の精子の侵入を防ぐためにあるらしいのだが、俺にはあまり関係なさそうだ。というより、関係のない事を祈る。  
仲間の中には、『育て屋』とかいう、いかにもな名前の怪しい施設に監禁されて、雌とエッチを強要された奴がいるらしい。  
ごく一般的な男ならこの上無い幸せとトレーナーと神に感謝の念を示すだろうが、残念ながら俺はそっちの気はないのだ。  
とりあえず俺は、ふやけてしまったページを破り取り、萎えてしまった性器に付着した我慢汁と精液を入念に拭き取る。  
僅かな期待を込めて包皮を捲ったが、案の定、またドンファンの鼻のように縮み上がってしまった。  
しかも、包皮が体毛を巻き込んでしまって痛い。俺は慌てて毛を引っ張った。  
バレないうちに、早くポケモンセンターに帰ろう、そう思った時だった。  
「ふーん。サルは死ぬまでオナニーを止めないって聞いたけど、どうやら嘘みたいだな」  
!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!  
「その声は……!!」  
自慰の疲労と快感で動きたがらない体に鞭打ち振り返ると、そこには予想通りのポケモンがいた。  
「貴様!!」  
彼の紅い目は、月明かりを鋭く反射していた。  
 
 もっと見えづらいところでしとけば……。  
俺はほぞを噛んだが、もう遅い。  
「……どこから見ていた」  
「うるせぇよ、粗チンの癖に。このホーケイ野郎」  
「何だとぉっ!?」  
俺は赤い顔をもっと紅くしてルカに掴みかかろうとしたが、逆に蹴り飛ばされ、俺は尻餅をついてしまった。  
「……!!」  
木立に隠れていた彼の下半身が、露になった。  
 
 「ホラ」  
「いっ、いきなり何すんだよ!?」  
目の前に怒張した肉棒があったのだから、驚かない訳が無い。  
「こっちだってさ、あんなの見せ付けられちゃ堪らないよ」  
彼の性器は、普段は体内に収納されているので、これまで見た事も触った事も無かった。  
ましてや、こんなに近くでなんて……。  
彼のペニスには、俺のもとの違って先端に行くほど細く尖っており、おまけに根本に瘤まである。  
色も、全体が燃えるような真紅で、触らなくてもその熱が伝わってきそうだ。  
正直、俺のよりも大きい。悔しいが。  
しかも、先走りによってペニス全体がぐっしょりと濡れて、妖しく光っていた。  
こんなのを目と鼻の先で見せ付けられて、平常心を保つ事が出来ようか?  
恥垢と汗と尿が混じった、普通の男なら顔を背けたくなるような臭気は、逆に俺の興奮を増幅させるものでしかなかった。  
こんな状況なのに、目の前でいきり立った性器を堪能できているという事実によって、俺の理性は少しずつ、しかし確実に削られていた。  
例え、今しがた処理をし終えたばかりでも。  
「何だ、さっき出したばかりなのにもう勃ってきてるじゃん。淫乱な雌猿だなぁ」  
「……っくそぅ……!!」  
こいつ、ドMじゃなかったのかよ!?  
こんな奴に興奮させられてしまうなんて……!!  
(静まれぇっ!!俺の本能っ!!)  
自己暗示を必死でかけても、俺の股間は鼓動にあわせて体積を増してきていた。  
色、形、大きさ、臭い。  
その全てが、俺の理性を全力でこじ開けようとしている。  
俺がうろたえている間に、彼は素早く両腕を掴み、俺は押し倒された。  
昼間の冗談が、俺の頭を過る。  
しまった。  
この状況下では、こうなる事はある程度予測できたはずなのに。  
俺はこの状況をどうやって抜け出そうか考える暇もなく、彼は強引に俺の口をこじ開け、ぬめぬめとした熱い舌をそこに割り込ませた。  
くすぐったいような快感が、俺の口を支配する。  
いっそのこと舌に噛み付いてやりたかったが、ガッチリと両顎を掴まれてしまい、そうする事は不可能だった。  
熱い。頭も、口も。  
彼がゆっくりと口を離すと、二人の間に銀色の橋が架かり、そしてすぐに崩壊した。  
 
顔がますます真っ赤になってると囁くと、彼は股間にそそり立つ熱いモノを、俺のペニスに押し付け、そのままゆるゆると腰を振りつづけた。  
「ああ……」  
彼の熱が直に伝わり、先走りが潤滑剤となるが、それは消して強くない、微弱な快感だった。  
俺はもどかしくて、口から情け無い音が漏れてしまった。  
俺のその声を聞くと、彼は征服感に満ちた目でこちらを見て、快感で動けなくなってしまった俺をうつぶせにひっくり返した。  
俺は恐怖と好奇心に、ぶるりと震えた。  
これからが『本番』だと分かったからだ。  
案の定、奴は俺の肛門に、尖った先端を押し付けてきやがった。  
「別に解さなくてもいいだろ?」  
「やっ、やめろぉ……!!」  
挿れさせないように必死でもがくが、腰をしっかりと押さえつけられ、俺の処女はあっさりと破られた。  
「何だ、こんなにユルユルにして、お前って本当に淫乱なんだな」  
彼はさほど苦も無くペニスを奥まで挿し入れると、楽しそうな声で嘲った。  
「……っるせぇ……!!」  
今更ながら恥ずかしくて、顔面からブラストバーンができそうだ。  
彼は突然腰を振り出す。  
根本の瘤が肛門を刺激し、鈍痛が走る。  
しかし、その痛みも直ぐに快感に変換されるのだった。  
「くうっ、やっぱり炎タイプだけあって尻の中も温かいな……!!」  
「あうっ、……!!」  
どうしても声が出てしまう。  
彼が腰を振る度、だらりと垂れ下がった袋が震え、金玉が俺の門渡りをピタン、ピタンと優しく叩く。  
俺は、前立腺が突かれる度、理性が剥がれ、獣としての本能が現れるのが分かった。  
二回目ということもあり、俺は既に限界を感じていた。  
芝生を掴み、歯を食いしばって、此方からも腰を振りたくなる衝動を必死で押さえる。  
ピストン運動が、いきなり速くなる。  
「ううっ、もうイきそう……!!」  
奴は、情けない声で鳴いた。  
早漏だとからかってやりたかったが、こちらにもそんな余裕は無かった。  
イかないよう、ペニスにぎっと力を込めたが、彼の荒々しい突きには何の意味も成さなかった。  
 
「ああっ……!!!!」  
俺は、空しく果ててしまった。  
ペニスが震え、金玉から精を搾り出しているのが分かる。  
それと同時に、俺の肛門も縮こまる。  
「……っくぅ!!」  
どうやらそれが止めを刺したらしく、彼は小さく喘ぐと、瘤まで突っ込むと、そこで吐精をした。  
腹の底から湧きあがる生暖かい快感を感じながらも、俺は必死にペニスを抜こうとする。  
「ぬ、抜けないっ……!?」  
俺の直腸の中で大きく怒張した瘤が栓の役割を果たしており、どんなに踏ん張っても、この状況を打開する出来ない。  
「そんな事したって無駄だって。出してる時は抜けないように出来てるんだから」  
「何だとっ、クッソォ……!!」  
彼は、耳元で静かにしろと呟くと、俺の耳をそっと甘噛みした。  
俺の口からは情けの無い声が出て、まるで従順なポチエナのように抵抗する気がなくなってしまった。  
「おい、まだ終わらないのかよ!!」  
「ちょっと待てよ、もうすぐ終わる」  
正直、腹が痛い。  
俺の腹は、奴の精液で、まるで食べ過ぎたように膨らんでいた。  
瘤の小さくなった性器が、ぬぽんと厭らしい音を立てて抜かれると、強烈に青臭い白濁液が、尻からどろりと滴り落ちるのを感じた。  
「はあ……はぁ……」  
俺は半時間で二回も達してしまい、(性的なものではなく)一戦交えたくらい疲れていた。  
奴も荒い息をしているのが分かる。  
「さぁてと、このままじゃあ汚いし、ちょっと綺麗にしてもらわないとね」  
そう暢気に言うと、彼は疲労困憊で地面に突っ伏したままの俺の鬣を掴んでしゃがませ、彼自身はその場に仁王立ちをした。  
畜生、なんて元気なんだ。  
さっき達したばかりなのに、奴のペニスは前と変わらず、その大きさを保っていた。  
俺は彼の体力と性欲に唖然として、そしてちょっぴり嫉妬と興奮を覚えた。  
精液により、その臭気は以前よりもずっと強くなっているが、その臭いこそが、俺の獣をちくちくと刺激する。  
俺だって若いんだ。  
二回も出したというのに、俺の包茎ペニスは鼓動に合わせ、ゆっくりと膨張し始めていた。  
その時点で俺は、彼の汚らしいモノに、抵抗なく顔を近づけている自分に気付いた。  
それならば。  
そこまで堕ちてしまったのなら。  
もっと、この状況を、楽しんでしまえ。  
俺は精一杯不敵に微笑むと、余った力を振り絞り、彼を力強く押し倒した。  
 
 「お、おい!!やめろよ!!」  
「五月蝿ぇ、お望み通りきれいにしてやるんだから静かにしてろ」  
ルカの驚いた顔が眼の頭に入る。  
俺だって、いつまでもやられっぱなしという訳にはいかない。  
昼のバトルも、夜のバトルも。  
俺は、いきり立った肉棒にそっと舌を伸ばすと、根本から先端にかけてぺろりと舐め上げた。  
奴の体が一瞬ビクリと痙攣するのが分かった。  
強烈な臭みと苦味が口の中に広がるが、俺にとっては媚薬そのものだ。  
このまま一気に口の中へ入れてしまいたいところだが、彼だけが気持ちの良い思いをするというのは割に合わない。  
俺は徐に立ち上がり、うつ伏せになりながら足を開き(元々ガニ股だが)、ペニスを奴のマズルに押し付けた。  
いわゆる『シックスナイン』の体勢だ。  
「それに、人にモノを頼むときは自分もするのが礼儀だろ。とりわけ、俺は先輩だぞ?」  
俺は、自分が出来る最大限の厭らしい顔を見せた。  
彼は反抗的な眼で俺を睨んでいたが、俺の頭と両腕に燃え盛る業火を見ると、観念したように、俺の股間へと手を這わせた。  
そして、そのまま余った包皮をずり下げると、真っ赤に燃える亀頭を指でコリコリと弄りやがる。  
濡れているとは言え、あまりにも敏感すぎるソコにはヒリヒリとした痛みが股間に走り、慌てて包皮をずり上げて怒鳴りつけた。  
「そこは痛ぇんだよ!!もっと根本とか裏筋とか、そういう所を弄りやがれ!!」  
「……ったく、こーゆーときだけ先輩面しやがって。大体、ホーケイだからこうい……っっっ!!!???」  
ブツブツと愚痴る口に性器を思いっきり押し込んでやると、奴は目尻にうっすらと涙を浮かべながら、そっと裏筋に舌を這わせてきた。  
「ふーん。中々可愛い表情じゃん」  
先ほどまで自分を陵辱していた憎い後輩を、今度はこちらが犯しているという至福の征服感に、俺は歪な笑みを浮かべ、目の前で誘うように揺れるペニスを口でふわりと包み込んだ。  
その瞬間、奴の身体がビクンと振動したのが伝わった。  
まずは、べっとりと纏わりついた精液と先走りを念入りに舐め取る。  
口の中が、苦味で充満している。  
俺は、思いっきり息を吸い込み、その味を堪能した。  
奴の方も、俺の指示通り、必死で裏筋や傘の部分を舐めながら、ぷにぷにとした肉球を使って陰嚢まで念入りにマッサージしてくれる。  
何処で習ったのかは知らないが、彼のテクはかなり上手かった。  
口の中は温かくて、トロトロしてて、かなり気持ち良い。  
既に二回も射精して敏感になっていることもあり、気を抜くのは禁物だ。  
正直、あんまり美味そうな顔ではないが、ここは我慢してもらうとしよう。  
しかし、そんな彼も、俺が先端の部分を舌で突付いてやる度、面白いくらいに性器だけでなく全身ををピクピクと痙攣させる。  
男として(と言ってしまっても良いのだろうか)、中々そそられる光景だ。  
月夜には、互いが互いの性器を舐めあう、クチュ、クチュという水音だけが響き、今、この空間には俺たちだけしかいないのだ、という事を改めて認識させられた。  
 
 69を始めてから二分ほど経っただろうか、奴の痙攣が激しくなり、睾丸がせり上がるのが確認できた。  
「んんん!!!!」  
最後にくぐもった声で呻くと、瘤を膨らませ、大量の白濁液を、尿道から俺の口へと流し込んだ。  
俺は最初は一滴も漏らさず飲み込もうと、喉を鳴らし、まるで赤ん坊が母乳を求めるように吸い付いてみたが、さすがに量が多かったため、最後は口から離し、全てを顔で受け止める事にした。  
別にこんなことをするのは、俺が淫らな雌猿だからじゃない。ただ精液の臭いと味が堪らなく好きなだけだ。  
……え、それが雌猿だって?いいじゃないか、人の性癖に構うなよ。  
「オラオラ、自分がイッちゃったからって休むんじゃねーよ」  
俺は腰を振り、彼の喉にエラが張った亀頭を押し付けた。  
腰の下で何やらモゴモゴともがいているが、構わず奴の喉にペニスを出し入れする。  
俺の顔には生暖かくて青臭い精液がベットリとかかり、気持ち良いのか悪いのか、よく分からない。  
俺はその臭いを嗅ぐうちに、股間の奥に込み上げるものを感じ、ラストとばかりに一気にペニスを喉の奥に突っ込んだ。  
「……っ!!」  
搾り出すように出る精液は、彼の胃袋へ無理矢理押し込まれてゆく。  
吐きそうな顔をしながらも、必死で飲み込もうとする奴の顔を見ると、何だか胸の奥にじーんと込み上げてくるものを感じた。  
射精が終わり、ペニスを口からそっと引き抜いてやると、待ってましたとばかりに、彼は豪快に咳き込んだ。  
「ゴホッ!!ゴホッ!!……グヘェッ!!」  
眼からは銀色の粒が零れ落ち、口からは白濁液がベットリと伝い、芝生へと落ちていった。  
「どうだ、俺の精液の味は。美味かったろ?」  
その場にしゃがみ、笑いながら訊くと、彼は体を起こしてまくし立てた。  
「苦しかっただけに決まってるだろ!!大体、三回目の射精っていうのに何であんなに濃いいんだよ!!うえー、口の中がベットベトですっげー苦い」  
「俺はお前と違って体力も精力もがあるからな」  
本当は体力というより、精液の粘性が高いという俺たちゴウカザルの性質なのだが、説明するのももどかしく、適当に誤魔化しておいた。  
「じゃあ、早速本番とイきますか」  
俺は元気に立ち上がろうとすると、目の前がくらくらと回り、考える間もなく月明かりさえも見えなくなってしまった。  
 
「そんなに怒るなよ。ちゃんと元通りにしてやっただろ」  
「うるせぇよ」   
再び目を開けると、そこには月が浮かんだ空ではなく、真っ白な天井があった。  
腰が痛い。身体も凄くかったるい。  
体を見ると、体中(主に顔と股間の辺り)に纏わりついていた精液が綺麗に拭き取られている。  
どうやらルカの話によると、俺が気を失った後、彼が身体を拭いて、ポケモンセンターの寝室まで運んでくれたらしい。  
俺がオカズに使った雑誌も、一緒に川に流してきたという配慮の徹底振りだ。  
そりゃ、俺たちの昨晩の行為が仲間に知れ渡ったらお互い大変な事になるからな。  
異性ならともかく、雄同士でなんて……。  
俺はむしろそちらの方が良いが。  
「でもさ、お前だって最後はイマ○チオしてきたんだしさ、お互い様だろ、結局」  
「……そりゃ、そうだけど……」  
フィールドに吹き渡る風が、俺の赤い体毛を撫でてゆく。俺は、石ころを掴んで遠くに投げた。  
昨晩の出来事は不覚だった。  
だが、何となく、彼との距離が縮まった気がする。  
そう思って、俺は彼の言った通り、淫乱な雌猿のようだと、自嘲的に笑みを漏らした。  
「おっ、何だ、さすがいきなりにやけるとはキモいなホモ野郎」  
「何ぃ!?」  
憎たらしいほどの笑顔で駆け出すルカ。俺も反射的にその揺れる青い尻尾目指して駆け出した。  
しかし、青ざめた顔でバッグを引っ掻きまわしているマスターの姿を認めて、俺たちは何かただならぬものを感じ、一時休戦となった。  
「どうしたんですか、マスター」  
ルカが慎重に尋ねると、マスターは困った顔をして言った。  
「それがさ、今月の月刊ポケモンリーグがなくなってるんだよ。今月はシンオウリーグの募集要項とか大切な記事が記載されてたのに……。困ったなぁ」  
「ああ、それならさるお先輩が捨てちゃいましたよ」  
涼しい顔でさらりと言い放つルカ。その横で真っ赤になって否定する俺。  
ポケモン語の弁解はマスターに通じるはずは無く、俺はこっぴどく叱られてしまった。  
全く、つくづくムカつく奴だ。  
……でもたまには、自分以外の奴と処理するのも、悪くないかな。  
 
 終わり  
 

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