仰いでみれば、空──
分厚い雲の上に乗り、青い空の中を突き進み更に上を目指した。
天をも超え、宇宙にまで突き抜けてしまいそうなまでの勢いで。
青から水色へ、水色から白へと周りの景色が変わり移り
それと同じくして酸素の濃度も減ってゆき、鈍りそうになる意識を保つために
マニューラは足を止め、大きく深く息を吐いた。
「さすがに……ここまで来ると身体に疲れも出てくるか…」
膝に右手を付けるように身体を支え、左手で顎から垂れる汗を拭きとりながらそう呟くと
彼女の後を追いかけていた部下たちが、先ほどの彼女と同じように息を吐いていた。
「ちょ…ボ、ボス……す、少し待って下さいよ……はぁ…はぁ…」
「は……早いです……ぜぇ…ぜぇ…」
「何だい、だらしないねぇ」
背筋を伸ばし、腰に鉤爪の手を置いてマニューラは呆れ気味に部下たちを見る。
「そ、それに…空を登り過ぎて寒くなってきたんですけど…」
と、ドラピオンが身体をブルッと震わし
「ね…眠い……」
と、アーボックがガクン、と鎌首を大きく揺らした。
「そうかい?ワタシは逆に動きやすくなってきたけどね。空気が薄いのが唯一の難点だけど」
「そりゃー、ボスは氷タイプですから……ふぁぁ…」
大きく口を開き、牙を見せ付けるかのように欠伸をして、アーボックが言う。
「アーボック、寝るんじゃないよ」
「大丈夫です。ダンジョンじゃぁ眠りませんって」
もたれていた鎌首を上げ、アーボックは背を伸ばした。
「あぁ、不眠不休で動けるんだっけ、お前たちは。
いいねぇ。眠りガスの罠をうっかり踏んじまうと、ワタシだけ寝ちまうからねぇ」
「しぃっかし、マニューラ様……ここに居るってのは、マジなんですかね?」
腕ごと頭を回し、白くぼやけている空を見つめてドラピオンが言うと
あぁ、とマニューラが返した。
「天空の覇者、レックウザ。そしてソイツが持つという、幻の楽器・飛行のピアノ!
それを目指してここまで来ているんだ。今更戻るにしても、戻らないよ」
「わぁってますって。でも、マニューラ様が楽器を欲しがるなんて珍しいじゃないですか」
「はぁ?違うよ、ドラピオン」
マニューラはフン、と鼻で笑って部下の言葉を否定した。
「楽器そのものには興味ないよ。ただ、それが幻の楽器ならば手に入れておかないとね。
なんせ、世界中のお宝は我らのモノになるべく存在しているんだからねぇ」
「さっすがボス!」
「言う事がムチャクチャです」
「ふははっ。うるっさいねぇ。無駄口を叩く体力があるなら、さっさと次に進もうじゃないか」
「それはそうですな……でも……一つ、やる事があるようですぜ」
アーボックが目を細め、マニューラの背後を睨みつけ
それにつられて彼女も首を動かして、背後を赤い瞳で眺めてみると
雲の壁の中から、暗黒と紫の影が彼女らへと笑いかけていた。
「…寒くなってきているのはアンタの仕業かい……?」
にぃ…と、歯をかみ合わせたまま口を下弦の月のように笑いに歪め、マニューラは影へと問いかける。
のそりと身体を壁の中より現し影…ゲンガーは肩を揺らしながらゲッゲッと笑い
マニューラの問いに答える様子を見せずに居た。
「ボス、やっちまいますか?」
「当たり前だ。…ワタシが片付ける」
マニューラは左脚を軸に、身体を回してゲンガーへと向き返り
右の鉤爪を己の胸の前へかざし、悪意の念を爪へと込め始めた。
燻し銀の鉤爪は、徐々に黒の光を帯び始め
マニューラが胸から腰へと鉤爪を振るうと、黒い筋が軌道を示した。
…ゲンガーはマニューラを見ながら、なおも笑い続けており
それが彼女へと挑発となり、マニューラは雲の地を蹴り上げてその身をゲンガーへと跳ね飛ばせた。
ヒュン、と風を切る音が響き、マニューラはゲンガーの懐へと入り込む。
そしてその鉤爪を振り上げ、ゲンガーへと叩き込もうと腕を大きく振り下げた。
だが、ゲンガーはその身を後ろへと引き下げて壁の中へと入り込んで
寸での所でマニューラの鉤爪から逃れた。
「! …ちっ」
舞い散る悪意の光が宙へと溶け込んでいくのを目の当たりにし、
空振りに終った先手の苛立ちを、舌打ちする事で表わしながらマニューラは身を立て直した。
「逃げるのかい!出てきな!!」
鉤爪に悪意を纏わせたまま、マニューラは壁の中に居るゲンガーへと呼びかける。
「ボス!!上!!」
アーボックの声に反応し、マニューラが上を向くと壁と天井の間から
ゲンガーが両手に闇の球体を抱えていたのが見えた。
マニューラがその球体の正体を理解する前に、ゲンガーは闇の球体を彼女へと投げつけた。
──だが、マニューラはかわそうとせず、
「……馬鹿め!」
球体が彼女の胸に直撃する寸前、その球体を悪意を纏ったままの鉤爪で─切り裂いた。
切り裂かれた球体は闇を弾かせて雲の地へと落ちる。
マニューラは再び身を跳ね飛ばせ、ゲンガーへとその鉤爪を振るい落とした。
ゲンガーは鉤爪を避けようとしたが、技を放った直後で動きが鈍り、脇腹がその餌食となった。
「ギ…!」
ゲンガーは顔をしかめ脇腹を裂かれた激痛に呻き、マニューラは鉤爪に付着した影にニヤリと笑った。
……が、ゲンガーは即座に反撃を試みて、短い両手を前へと伸ばしマニューラの顔へとかざした。
目前をゲンガーの両手で塞がれ、彼女は視界を奪われたが
ゲンガーの指の間から、彼が闇の口を大きく開かせて笑っているのが、一瞬だけ確認できた。
バチィッ!と、電気が弾ける様な音と共に、ゲンガーの掌から闇に染まった虹色の光が放出され
マニューラはそれをまともに喰らってしまい、闇の虹色を浴びたまま崩れた。
一瞬、身体が重くなった気がした。─が、彼女は雲の地へ叩きつけられる前に
鉤爪の脚を頭上に持ち上げるように身体を丸め、落ちながら身体を回転させて
その身を雲の地へ脚で着地させた。
そしてその反動を利用し、脚をバネのように跳ね飛ばし─
「……今の技は不発だったようじゃないか」
三度、ゲンガーの懐へ入り込み
「…消えなッ!!」
鉤爪をゲンガーの顔へ叩き込み、重力により落ちる腕で彼の身体を──引き裂いた。
ゲンガーは断末魔を上げる間もなく、影の身体を宙に溶かし、…消えた。
マニューラは地へ着地すると、ふぅ、と息を吐いて
わずかに漂っている影の残骸を眺めて嘲笑った。
「ふん、雑魚め。お前たち、次に進むよ」
腰を手で支え、半身を回してマニューラは部下達へと呼びかけた──が、彼らはそれに答えなかった。
身をかすかに屈め、自分達の頭(かしら)を……その目でジロリと睨みつけていた。
「……?お前たち………?」
どうしたんだ、と言葉を続ける前にアーボックがそれを遮った。
「ボス。……オレさまたちって、どういう関係でしょうかね」
「…は?」
思わず間が抜けた声を出すマニューラだったが、ドラピオンとアーボックは気に留めずに
ジリジリと彼女へと近づいていき、ただならぬ雰囲気に
マニューラもまた、足を後ろへと流した。
「か、関係…って。盗賊団のボスとその部下だろう……」
「そうですね。…ですがねぇ、マニューラ様」
流していた足の感覚が不意に重くなり、下目で足元を見ると
雲が途切れてそこには下界への空が広がっていた。
「オレたちは、そう思うのに疑問を抱き始めていましてね」
──……おかしい。雲の壁で囲まれていた部屋だったはずなのに……?──
マニューラが足元に気を取られている隙を利用し、部下の2匹は彼女を囲い込んだ。
太陽の光が遮られ、マニューラの身体には影が落ち
その事で部下に囲まれた事を理解し、彼女は顔を上げた。
彼女よりも遥かに高い身長のアーボックと、
彼女よりも遥かに体格が大きいドラピオンに威圧感を覚え、マニューラは一瞬、身を震わせた。
「お……お前たち?こ、混乱しているんじゃないよ……」
もしかしたら、自分がゲンガーに気を取られているうちに
他の敵の攻撃を受けたのではないか、とマニューラは己の予想に希望を抱きつつ
鉤爪の甲でアーボックの腹を押して退かせようとした。
「いいえ。正気ですぜ、オレさまたちは」
だが、マニューラの希望はアーボックの言葉により打ち砕かれ
彼の腹を押していた左腕が、彼の尾の先で絡めとられた。
「なんだい!冗談はよしな!」
「冗談は…こっちのセリフですぜ、ボス」
「は?冗談って……うっ!」
アーボックが捕らえたマニューラの左手首を絡めている尾を振るい、
それに引きずられる形で彼女は地へ胸から崩れ落ちた。
そしてマニューラの細い腰を挟むように、ドラピオンが右腕の爪で彼女を押さえつけた。
「……! お前たち!何を考えているんだい!」
上半身を動かし、頭上の部下たちへ叱咤を飛ばしたが
アーボックとドラピオンは互いにニヤニヤと笑っているだけだった。
「オレたちは、盗賊団のボスとその部下…確かにそうですけど
それ以前に、メスとオスでもあるんじゃぁないですかね?」
ドラピオンがマニューラの顔を覗きこむように腕を曲げて首を伸ばした。
「そ…それが……」
「どうしたんだ、と言いたいんですか、ボス。
先ほど冗談じゃないとおっしゃっていましたが、それこそこっちの言葉ですよ」
ドラピオンがマニューラを押さえつけたからなのか、
アーボックは彼女の左手首から尾を解き、その先を揺らしながら彼女へ言葉を続けた。
「ただのボスと部下…そんな見方をされていたとは、オレさまたちも見下されたモンですぜ」
「は……ぁ…?」
「マニューラ様。オレたちはそう思ってないんですよ」
爪に力を入れ、彼女を押さえる力を増せさせる。
「他のチームはどーだか知りませんけど、オスメスが共に行動していて
何も無いってのは、どう見ても異様だと思うんですよ」
「だよな。かなり長い間チームを組んでいるけど、ずいぶんと健全な付き合いしてるよなぁ」
「オレたち、女遊びすらしてねーんですよ。そろそろ限界なんですけどねぇ」
爪で押さえつけられて腰が痛み、マニューラは軽く呻いた。
「ぐ…ぅ……な、何が言いたいんだい!はっきり言いな!!」
牙を剥き出して吼える。だが、この威嚇はもはや彼らには効く事はない。
ドラピオンが爪に力を入れるために、重心を爪に向けてマニューラへ圧し掛かった。
そして、彼女の耳元に顔を近づけて言った。
「…オレたちはですね。マニューラ様の夜伽の相手をしたいのですぜ」
「よ……夜伽…って……ワ、ワタシには必要無…」
「知らないとでも思っているんですか、ボス?
時々、一匹でヤッているじゃぁないですか」
アーボックの言葉に、冷水を浴びせられたような衝撃がマニューラに走った。
チームを束ねる頭として、彼女は部下と関係を持つ事は決してしない、と心に誓っていた。
…だが、マニューラも一匹のメス。身体が疼く事などあって当たり前であり
それ故に、処理を済ますこともあったのだが…。
「一匹でするなら、オレたちが相手してやりますのに」
「そうそう。オレさまたちも自分で抜く時、ボスで抜いているんですぜぇ」
「こ……この馬鹿共が!頭を冷やしなッ!!」
ドラピオンとアーボックに向かい合うように身を捻り、
額の宝石に両鉤爪をかざしてマニューラは爪へと冷気の念を送り込もうとした。
──だが、鉤爪は一向に冷気を纏う事をせず、マニューラは瞳を瞬いて驚愕の表情を見せた。
「な……吹雪が出ない……?」
技が使えなくなるほど、身体を酷使したわけではない。
まだ技が使えるほどの余裕が残っているのは分かっていたが、何故突如使えなくなったのか
マニューラは己の鉤爪を眺め、再び瞳を瞬いた。
──おかしい。……何かが狂っている──
マニューラがそう思うと同時に、アーボックの尾が彼女の首に絡んだ。
それを見たドラピオンが彼女の腰に押し付けていた爪を床から抜き、
アーボックはマニューラの首に尾を絡ませたまま彼女を
自分と同じ目線の高さまで持ち上げた。
「く……」
落すまいとアーボックが首に巻く尾の締め付けを強めると、
マニューラは首に絡まる尾を引き剥がそうと、両鉤爪で彼の尾を引っ掻くが
首だけで支えられているために、息が苦しく力が入らなかった。
そうして次に、アーボックは腹に近い尾でマニューラの左脚を持ち上げるように支え
両脚を開かせる格好を彼女にとらせた。
「…! お、お前たち!一体どうしたって言うんだい!」
「どうもしてませんぜ」
「よ、夜伽とか…馬鹿な事を!それに今は…昼だろうが!」
別に駄洒落を言ったわけではなかったが
ドラピオンとアーボックは軽く笑い「確かに」と呟いた。
「いきなりワタシを襲ったり……別にここでなくても!!」
「嫌ですね。今しかないんですよ、"今"、しか」
"今"、を強調し、ドラピオンはマニューラの垂れている右脚を自分の右腕で持ち上げ
その中心部へと顔を近づけた。
「毛深いですからねぇ…このままじゃ見えませんね」
兜の口を開き、その中から肉厚な舌を出して、マニューラの秘所を探り当てるように舐め始めた。
「うっ……」
ゾクリと背筋を這う嫌悪感に、マニューラは顔をしかめて呻いた。
ベチャリ、ベチャリ、と音を立てながらマニューラの体毛を舌で割り進み
やがて舌先に柔らかな感触を見つけ、ドラピオンはニヤリと笑い
その筋に沿うように、下から上へと舌を流した。
「……」
一瞬身を震わせてマニューラは身体を硬くする。
そんな彼女を眺めていたアーボックが、あぁ、と呟いた。
「そうだ。ボス」
「ん…な、何だい…」
首に巻かれた尾に尚も鉤爪を引っ掛けながら、マニューラはその尾の主へ視線を向けると
互いの鼻が触れそうなまでに、アーボックの顔が目前にあった。
「ボスって……コレに弱いんですよねぇ」
コレとは何か?と、マニューラが口を開いてその言葉を言う直前
アーボックは口を大きく開き、彼女の頬を咥えるようにマニューラの唇を奪った。
「………!!」
驚愕で目を見開いたと同時に、アーボックの細い舌がマニューラの口内に進入した。
細い、と言ってもそれは比喩であり、実際は彼女の舌の太さとほとんど違いは無かった。
二股に分かれた舌先でマニューラの舌に擦り付けるように弄り、
舌だけでなく上顎、頬も舐め上げてさらに長い舌で彼女の舌に巻き付き、再度舌先で沿うように舐める。
その間、ドラピオンがマニューラの秘所を舌で愛撫し続けていた。
「おぉ…濡れてきましたぜマニューラ様」
閉じているマニューラの花弁の奥から、トロリとした液が溢れ始め
ドラピオンはそれを零さぬように舌で舐め、吸い込んでいく。
「んっふ……ふぅッ!」
口内を弄られて、それから逃れるように右の鉤爪でアーボックの額を押し、
左の鉤爪でドラピオンの頭部を押し退けようとしたが
傍から見れば、それはまるで2匹に縋っているかのようにしか見えなかった。
唾液と舌が絡み合い、マニューラとアーボックが重ねる唇からは
グチャグチャと、粘着性のある水音と唾液が漏れ
それと同じく、彼女の秘所とドラピオンの舌からも似た音が響いていた。
大陰唇と小陰唇の間の筋に、形取るように舌先を滑らせて
上部の小さな膨らみを舌で突き、被る皮を剥いてさらにそこを舌で舐めた。
「はっ…ぁ…」
認めたくなかったが、マニューラは2匹によってメスとしての本能が疼いている事を知った。
悪寒に似た快感が身体を巡り、2匹を押し退けようとしていた鉤爪は
もうただそこに置いているだけになっていた。
釣り上がっていた眉は八の字に落ち、瞳も火照りの潤いを見せ、小さく全身を震わせていた。
そうして、マニューラの口内を味わうことに満足したのか、
絡めた舌を未だに巻きつけながらアーボックは口を離し、その動きに合わせて舌をズルリと引き抜いた。
「ふはあ…はぁ……」
霞む思考を戻そうと、マニューラは大きく息を繰り返しながらも
この2匹の……言動に疑問を持っていた。
──"今"しかないと言うのはどう言う意味なんだい…それに、どうしてワタシがコレに弱いと知って…──
思い返してみれば、マニューラが口内を弄られる事で身体が疼く事を見破られたのは
ゼロの島でチームかまいたちに陵辱された時だけ。
あの時、アーボックとドラピオンは気絶しており、知る事など出来る筈も無い。
何故、知らぬ筈の事を知っているのか。
……サァッと血の気が引き、快感とは違う悪寒がまた彼女の全身を駆け巡った。
それは恐怖。……知らぬ事を知っている彼らと
──何かが狂っている、この場所にマニューラは恐怖を胸に抱いた。
離れたい。今すぐにでも、ここから逃げ出してしまいたい思いがマニューラの恐怖心を掻き立てた。
「はっ………離せ!離しなアーボック!!」
左肘を尖らせ、アーボックの広がった胸に叩きつけるがさしての効果は得られず
彼は喉から蒸気が抜けるような音を鳴らした。
「あぁ、首を巻かれちゃぁ苦しいですかねぇ。ドラピオン、ちょっと後ろ下がってくれよ」
ドラピオンが後ろへ数歩移動すると、アーボックは仰向けに横たわるように腹を落とし
その上にマニューラを仰向けに寝かせて首から尾を解き、今度は彼女の腰に尾を巻き付かせて固定させた。
アーボックの上に横たわるその姿は、まるで巨大な椅子に君臨している女帝のようだった。
そして、その女帝は配下による反乱を受けていた…。
「んぁッ!や…止め!止め…なぁあっ!!」
アーボックの尾の先端がマニューラの秘所を撫で回し、女核を押し潰す勢いで性器全体に擦り付けていた。
彼女の性器は赤く火照り、その奥よりトロトロと蜜が流れ出ており
その蜜の作用により、鱗で覆われたアーボックの尾であっても痛みを感じることは無かった。
マニューラは身を捩りながら逃れようとするが、きつく締め付けられて腰を抜く事など絶望的であった。
「メチャクチャ感じまくってんじゃねぇですか…止めろと言っても説得力ないですぜボス」
「っの……!」
身を捻ったまま、アーボックの腹の上に両鉤爪を押し付け
落ちた影を悪意の念へと変化させようとした──だが、やはり技が発動する事が出来ず
マニューラは愕然と顔を凍らせた。
「へへへ…不思議そうな顔をしてますなぁ」
ドラピオンが近づき、マニューラの左の首筋を舌で舐め上げる。
「う…んっ……」
ゾワゾワとした感覚が、舐められた首筋から背を駆ける。
そして再び、アーボックの尾で秘所を弄られてマニューラは嬌声を漏らした。
「ひっはぁッ!も……お前…たちぃ!」
右鉤爪でドラピオンの額を押し退けようとするが、引き剥がそうとするまでの力など
もはや彼女に残っている事はなかった。
「んんー?も…何です?あぁもっと欲しいってコトですか」
「ちが…違うよっ!」
「おいドラピオン。そろそろもういいんじゃねぇか?」
マニューラの秘所を弄っていた尾を彼女の右脚に巻き付けて、大きく開かせると
ヒヤリと冷えた空気が彼女の火照った秘所を撫でた。
「あぁ、そうだな。マニューラ様、今差し上げますぜ」
マニューラの頬を舐め上げて、ドラピオンは上半身を起こし上げ
アーボックは腹から下半身へとマニューラを乗せる位置を移動させる。
そしてドラピオンがマニューラを押しつぶさぬように、胴体の爪で身体を張って彼女に乗り上げた。
「ひ……ぃ…」
己の下腹部を見てみると、そこに押し付けられるようにドラピオンのペニスが乗っていた。
先が尖った円錐のペニスは、赤紫色に変色しており
身体を覆う兜と違って若干柔らかさを持っているようで
太い血管が何本も浮かび上がって、ドクン、ドクンと脈打っており
マニューラの痴態で興奮したのか、既に先走りがテラテラとペニスを濡らしていた。
太さはマニューラの腕ほどはあるだろうか。長さも彼女の足の長さとほぼ同じであり
体格の違いがあるとは言え、あまりにも巨大に思えた。
彼女は巨大なそのペニス対して恐怖の声を小さく上げた。
「これ…入りますかねぇ、マニューラ様?まぁ無理矢理にでも入れますけど」
ニヤリと笑い、彼女の下腹部に置いたペニスを下へとずらし
熱く濡った秘所にあてがうと、マニューラは再度抵抗を試みた。
「だ…駄目だ!止めるんだよドラピオン!」
恐怖が──彼女の心を塗り潰していく。
気丈で誇り高いマニューラが、これほどまでに犯される事に恐怖を抱くなど、誰が想像しただろうか。
……いや、違った。マニューラは犯される事に恐怖を抱いているわけでは無かった。
「い……入れるんじゃ、入れるんじゃない…」
首を横に振り、腕を伸ばしてドラピオンを制止させようとするが、もはや無意味同然だった。
ドラピオンは前へ軽く腰を動かすと、マニューラの秘所に先端が軽く押し付けられた。
「わ……ワタシ、たちは……MAD、は!こ、こんっな…
そこらの不埒なヤツらとは違……う…」
怖かったのだ。
関係を持つことで、チームの秩序が乱れる要因を作りたくなかった。
マニューラは間違いなく、アーボックもドラピオンも愛してはいる。
もちろん、異性としてでなく信頼の置ける大切な部下としてであり
関係を持てば、どちらかが互いに嫉妬しあい、亀裂が生まれ、やがてはチームは崩壊する。
だからこそ、マニューラはメスである事を捨てて2匹を束ねてきた。
…だからこそ───
「い……や………嫌、嫌!嫌嫌嫌嫌嫌嫌あああぁぁああぁぁーーーー!!!!」
頭を振るい、牙を剥き出し……マニューラは、泣き叫んだ。
それと同時に、自分の下腹部の中に、熱い異物が入り込んだ感触を覚えた。