「ニャルマー見て! 綺麗でしょう……」
ロズレイドが足元の花畑を指し示しながら、笑いかける。
ポケモンコンテストで優勝を射止めた優雅な笑顔。
ニンゲンのための作り物の笑顔。
あたしが何よりも嫌いな物だ。
「花には興味無いよ。そんなことより、どうしてあたしを呼び出した? しかも、こんな夜更けに……」
陽はとうの昔に落ちて、空には満月が煌煌と光輝いている。
夜にも関わらず、青白い月光に照らされて明るい。
暗闇に強いニャルマーの目でなくても、周りを見ることが出来るだろう。
「そんなこと言わないで……。わたくし達には会話が必要よ」
こちらの嫌悪をものともしないで、話を続けるロズレイド。
お嬢様かと思っていたが、意外と図太い神経の持ち主のようだ。
「ねえニャルマー。あなた何か悩みがあるんじゃなくて?」
ロズレイドが丁寧な口調で尋ねる。
「どうしてそう思う?」
「あなたはいつもピリピリなさっていて……その……なんというか」
「マスターの命令に従わない」
彼女の言いたいことを代弁してやる。
「……率直に言えばそのとおりですわ」
マスターはあたしを勝手に捕まえた。捕まったあたしも勝手にさせてもらうだけだ。
放っておけば良いのに、おせっかいなヤツだと思う。
「マスターの言葉に喜んで踊らされるあんたとは違うんだよ、あたしはね」
「……どういう意味でしょうか?」
「そのまんまの意味さ。どうしても言うことを聞かせたいなら力づくでやるしかないよ。
お上品なロズレイド様には出来ないだろうがね」
あたしはロズレイドに尻尾を向け立ち去る。
「……ええ、そうですわね。あなたのような分からず屋の困ったさんは……」
草を踏みしめるザッという音。
「こうするしかありませんわね!」
背中に感じるずしりとした重圧。
「な……! いきなり何をする!? 離せ!」
ロズレイドが後ろから覆いかぶさってきたのだ。
彼女は逃がさぬように、あたしの体を地面にべたっと押し付けた。
何本かの花が、腹の下敷きになる。
突然の状況の変化に追いつけず、行動できないあたしに首筋から鈍い感覚が走る。
「ひゃあ! 首を噛むな!」
「ニャルマーは交尾する時、首を噛んで逃がさないようにするのでしょう?」
……交尾?
ロズレイドは何を言ってるのだ?
「はあ? あたし達はメス同士だろうが! そんなことできるわけ……」
「できますわよ。あなたは古風な方ですね。フフフ……」
背中から伝わるロズレイドの上品な笑い声。
あたしたちの体勢は、ペルシアンやエネコロロといったポケモンの交尾姿勢と同じだった。
つまり、ロズレイドは本当にあたしと……その……レズを……
「うわああああああ! 離せ! 離すんだよ! このレズレイド!」
ようやく事態を理解し激しく動揺する。
ロズレイドを押しのけようと力いっぱいもがいた。
「フフフ……こんなに必死になって……初心なニャルマー……」
のんびりしたセリフとは裏腹に、あたしを押さえつける力はとても強い。
長い尻尾も使ってぴしぴしと彼女の頬を叩いたがびくともしない。
二回の進化を経験したロズレイドと未進化のあたしでは力の差は歴然だった。
「さあ、乱暴なことはもうやめて仲良くしましょう……あむ」
先程とは違い、弱く柔らかい力で首筋を噛まれる。
ロズレイドは痛みを感じさせないように気を使ってるのだろう。
ゆっくりと何度も歯を使って揉みしだく。
そこは、暴れるメスを大人しくさせるための快感を生む場所だった。
「ふぁああああ!……やめろ……あっく……気持ち悪いだろ!」
ゾクゾクした感覚に全身の毛が逆立つ。
これは嫌悪感だ。そうに決まってる。
レズっ気は無いが、いじられるとどうしても反応してしまうのだ。
こちらの制止を無視し、ロズレイドは両手の花びらで背中をさわさわと撫でてくる。
「ひゃん!……ちょっと……やめろってばぁ」
背中を這い回るこそばゆい感覚があたしを襲う。
ひらひらとした花びらの感触に慣れていないあたしの肌は、ひたすら敏感だった。
背中を撫で回す花が尻尾の付け根に触れる。
「……やあん!」
体をビクンと震わせてしまった。
「やっぱり、ここが良い所なのですね?」
「お願いだ! そこだけは…………ひゃああああ!」
体を突き抜ける甘い痺れに喘ぎ声をもらしてしまう。
これでは相手に弱点を教えているようなものだ。
花びらの攻撃がそこ一点に集中する。
「やっ!……ちょっと……ひん!……そこ……触るな!……ああ!」
「嗚呼、可愛いわ……あなた今、とても可愛いのよニャルマー、わかる?」
敏感な所を重点的に攻められて乱れる。
腰が、がくがくと震えるのを抑えることができない。
こちらの意思に関係なく性的感覚が呼び起こされ、オスを誘うが如く体をしならせるしかなかった。
目に涙が溜まる。
相手はメスなのに……嫌いなヤツなのに……そんな相手に弄ばれる自分が情けなかった。
「背中だけでは物足りないでしょう? さあ、こちらを向いて」
「い……嫌だ!」
「フフッ……意地っ張りなあなたも素敵よ」
体をゴロンと転がされ仰向けにされた。
強制的に服従のポーズをとらされているようだ。
ロズレイドが馬乗りになって、逃がさないようにしてくる。
瞳に飛び込んでくるロズレイドの姿。
そういえば、今まで後ろから攻められていたから彼女の姿は見えなかった。
一体、どんな顔をしながらあたしを辱めたのだろう?
夜風に揺れる銀色の髪。仮面の奥の静かな湖を思わせる澄んだ瞳。
右手は赤、左手は青い薔薇によって華やかに飾られている。
コンテストで見せるのとは違う野性味を帯びた笑み。
あたしを組み敷くしなやかな肢体は月明かりに照らされて青白く光っている。
……それを見たとき、胸が高鳴るのを感じた。
彼女の瞳に引き込まれそうになっている自分に気付き、怖くなる。
「いや……!、どいて! どいてったら!」
ロズレイドに向かって、前足をシュッシュと突き出す。
体と言葉だけでも激しく抵抗しなければ、自分を保てないと思ったのだ。
「まあ! これが噂に聞くネコパンチですのね! わたくし初めて見ましたわ!」
前足の攻撃に怯む様子が無い。
あっけなく、前足を捕まれた。
彼女の唇がゆっくりと落ちていく。
「さあ、もっと気持ちよくなりましょうね」
「ちょっ……待って……ああ!」
胸にキスの雨を降らされ、なにも抵抗できなくなる。
力を失ったあたしの前足を解放し、ロズレイドの両手も愛撫に参加する。
八つの乳腺全てが、彼女の舌と花びらから愛される。
同時に攻め立てられる快感に甘えた叫び声を出してしまう。
「うっ……はぁあああ!」
先ほどとは違い、自分がいかに恥ずかしいことをされているかわかる。
目に映る陵辱は、あたしの体はより一層熱くした。
これは羞恥なのだろうか? それとも……
メスに可愛がられて感じるなんて……あたしは一体どうなっちゃたんだろう?
「くちゅう……ぬちゃ……ぴちゃ……フフフ、硬くなってる。気持ち良くなってくれて、うれしいわ」
「あん! あっ! あああ!」
瞳を閉じ、あたしのピンク色の部分を真摯に舐めるロズレイド。
くちゃあ、くちゃあと音をたてながらあたしの体を貪る。
月明かりに照らされたその姿は、ぞっとする程美しい。
「はあ……ん……くぅう!」
一つ一つの乳首を丹念に……そして、ねっとりと可愛がってくれる。
与えられる刺激だけでなく、彼女の妖艶な姿にときめく。
全世界の愛を受けるロズレイドが、今はあたしだけを見てくれている……触ってくれる。
こんなに綺麗なポケモンが、あたしのためにこんなに頑張ってくれている。
酷いことをされているのに、ロズレイドが美しいと思えてしまう。
必死に否定しようとしても、彼女を好ましく思う気持ちが抑えられない。
快楽にとろけた心にロズレイドはいとも容易く侵入してくる。
心身共に犯されたあたしは、甲高い悲鳴をあげて乱れることしか出来なかった。
どれほどの時間、肉の喜びに翻弄されたのだろう。
不意に彼女が動きを休め、あたしに話しかけてきた。
「あなたの事をもっと知りたいわ。もっと深く……深くね」
彼女の右手がするすると下へ降りていく。
あたしの首筋を、胸を、腹を弱い力で撫でながら下へ、下へ……
そしてついに、あたしのヴァギナに花びらが触れた。
「ふにゃああああ!」
ようやく訪れた刺激に喜びの声をあげる。
「まだまだよ、もっと深く……」
体内に感じる異物感。
しゅるしゅると細長い何かがあたしの中に入ってくる。
「ロズレイドォ……あぅあぁ……なに……挿れたの!?……これぇ……何?」
予想外の刺激に混乱しながらも質問する。
「あなたの中に、根を張っているの」
「根っこぉ?」
彼女の右手の薔薇の隙間から、緑色の細い繊維が覗いてるのが見えた。
「そうよ。細くて長い根があなたの中にゆっくりと……」
びくびくとひくつくヴァギナに根が抵抗も無く入り込んでくる。
繊細な根はあたしに優しかった。
デリケートな内側を傷つけないように、さわさわと根が動く。
細かく枝分かれした根が与えるゆるやかな刺激に焦れるあたし。
ロズレイドは入り口のビラビラも、花びらでいじってくれる。
トゲの付いたグロテスクなペニスに陵辱されるのに慣れているはずのあたしのソコ……。
でも……でも! こんな優しくされるのは慣れていない!
「なに……これえ!? ふあ……やぁあああああん!」
柔らかな性感が緩やかにエスカレートしていく。
緩やかではあるが限界を知らず、上昇を続ていった。
「ロズレイド!……おかしい……あたし……おかしいよぉ!」
ソコが熱く燃え上がり、あたしを震わせる。
胸が高鳴り、視界がぼやけ、頭は何も考えられない。
「いいえ、あなたはおかしくないわ。よだれを垂らし、お股からダラダラとぬめる液体を流しながら感じまくっていて……」
ロズレイドがあたしの目を覗き込んでくる。
息のかかるほど近い距離で、彼女が言葉を投げかけてくる。
「フフフ……可愛いわ」
背筋が寒くなるほど冷たく、そして美しい笑顔を浮かべるロズレイド。
それを見たとき、彼女になら抱かれても良いと思ってしまった。
あたしの心が砕ける。
「ロズレイドォ……もっとしてぇ!……もっと……触ってよお!」
「やっと素直になってくれて嬉しいわ。さあ、高みに上りましょう……」
左手の青い薔薇があたしの豆のようなソコにそえられる。
そして、一番敏感な部位に根が絡まった。
「は……にゃ……にゃああああああああ!」
それは衝撃だった。
あたしの意識を一瞬にして吹き飛ばす爆風が、ソコから何度も訪れる。
その度に、体をびくびくと痙攣させてしまう。
だが、彼女は一回の絶頂では満足してくれなかった。
「にゃあああああん! なぁあああああん!」
「嗚呼、良いわその姿……。もっと、もっと可愛いあなたを見せて……」
絡みついた根がうねうねと蠢き続ける。
ヌチャヌチャとした音が体内で響いてるのがわかった。
全身を震わせる感覚が止まらない。
ソコから背筋を伝って強烈な痺れが何度も走る。
ズウウウウンという巨大な性感が、幾度も頭の中を白く染めた。
駄目だ……もう、意識が……ロズレイド……
「気が付きました?」
彼女の声に目を覚ます。
「え? ロズレイド、あたしあれから……」
「穢れを知らない乙女のように、たくさん感じて気絶してしまいましたの。
あなたが可愛いから手加減できませんでしたわ。ごめんなさい」
本当は怒らなきゃいけない。
だけど、さっきの絶頂の残り香のせいで気だるいのだ。
こんな気分では怒る気にもならない。
情事の後の甘い沈黙。
それを破ったのはロズレイドだった。
「ねえ、ニャルマー。わたくし心配してたのよ……。食事のときもあなただけ離れていて……」
「あたしを……心配?」
「ええ、ずっとこうやって抱きしめてあげたかった」
ロズレイドが色んな液体にまみれてベタベタしているあたしの体を包み込む。
「あああ……」
「わたくし達は仲間でしょう? 喧嘩するのはやめにしましょうよ。マスターともきっと仲良くなれますわ」
彼女の優しい言葉、気品あふれる微笑。
そして、甘い薔薇の香り。
……きっと、あたしはそれから逃れることが出来ない。
「ああ、わかったよ。仲良くしようロズレイド……。これからも、ずっと……ずっと」
終