モココはメリープの頃、この探検団に初めて入ったポケモンだ。
大事な物を捕られて困っているた時に助けられたのに感動した。
「もう一回進化する?」
それは良く晴れた風の心地の良い日。先日モココになったばかりなのに言われた言葉だった。
言ったのはゼニガメ。この探検団のリーダーだ。
今この世界には多くの探検団がいる。
探検団は困っているポケモンを助けたり、秘境や珍しいアイテムを探している。
モココが所属しているのは「ショコラズ」味方のポケモンが50匹を超えるという大所帯な探検団。
中心にいるのがゼニガメとアチャモだ。この2匹は時の歯車を直し、世界を救った。
結成初期から居た自分はどれ程この二人が深い絆を持っているか、おそらく誰よりも分かっているだろう。
「実力不足ですか?」
「んー、デンリュウなら炎のパンチ使えるみたいだから」
「アチャモがいるでしょう」
「雪崩山に行きたいのよ、あそこ水タイプもいるし」
「水タイプは少ないのでは?貴女達はそんなに弱くないですよ」
「うふ、ありがと、でも事実覚えてくれると助かるなぁなんて」
「確かに、最近新人が頑張っているせいで暇で仕方がありませんでしたが」
「そうねぇ、エーフィは強いわね」
エーフィはここ2ヶ月前に入った新人だ。
「それに可愛いわよ?」
「あの坊ちゃんを落とすなんて」
「あんたらはどうなのよ」
「痺れさせますよ」
「やーん、怖い怖い」
「別に進化しなくてもやっていける自信はあるんですけど」
「単に私の見た目の好みが、モココよりデンリュウってだけだったりして?」
「アチャモに言いつけておきます」
「それは勘弁」
「…本当にいいんですか?」
「何度も言わせないでよね」
「わかりました」
風が吹いてざわめいた。ゼニガメは空を仰ぐ、手に真珠を一つ。
その隣でモココは不安げにその宝石を見つめていた。
「で、エーフィ可愛いんだよー」
「お前いい加減にしろよ?」
パッチールの店はでただの種のジュースを飲みながら話している2匹のポケモンが居る。
「知ってるか?」
にやにやと笑いながら口を動かすのは新緑ポケモンのリーフィアだ。
「なんだよ」
やや呆れ顔で退屈そうに話を聞いているのがキノガッサ。
他の探検家がクジで大当たりを引いたのか、壁からキレイハナの大群が出てきて軽やかな踊りを披露している。
探検家の仲間だったのか一匹のカイロスが大群に吹っ飛ばされた。虫なのに草に弱いとはこれいかに。
そんな賑わう店の中でリーフィアは辺りをキョロキョロと見回し、キノガッサに顔を近づけた。
そして周りのポケモンに聞こえないようにこっそりと言った。
「精子って蜜みたいで甘いらしいよ」
キノガッサはジュースを吹き出した。
「はぁぁあああ!?」
後輩の突然の告白にキノガッサは口をへの字にしてリーフィアを見た。当の本人はきょとんとしている。
「でもエーフィがそう言って…」
「ばっかじゃねぇの?」
言わざるを得なかった。
きのこポケモンキノガッサ、雄。
探検団ショコラズが結成してから、草タイプとしては初めて仲間に加わったポケモンだ。
結構な古株で面倒見がいいため、その後続々と仲間になるポケモン達のいい相談役になっていた。
特にこのリーフィアは感動して仲間になったはいいが、どうも温室育ちなのか無邪気で人懐っこい。
一ヶ月前、男になったのはもう聞いていた。
ゼニガメがイーブイの卵よー!なんて歓喜していたのを思い出す。
それがこんな…。
「お前そのこと言いふらしてんのか?」
「まさか、キノ兄が初めてだよ」
ちょっと安心した。
「いいか?そんなもん他人にいうもんじゃねぇぞ?」
「なんで?」
こいつの嫁、エーフィ、憐れだ。なんでこんな馬鹿好きになったんだ?と思う。
「そういうのは秘密にしておくもんなの」
「ふーん」
「まぁ信頼できる同姓の奴数匹だけになら、そういう相談をするもの悪い事じゃないけど」
それを言われてリーフィアは眉間に皺を寄せた。軽く唸って考えてキノガッサを見た。
「この探検団のポケモンたちみんな信頼できるから選ぶのは無理」
「はっ」
キノガッサは笑う。
「なんだよ」
「お前やっぱ最高」
まぁ自慢の後輩だ。
そんなことがあって、キノガッサは帰路に着く。
キノガッサはこの探検団に入ってから、トレジャータウンの近くの端にある、木の幹の中に入っていった。
探検団の仲間になったポケモンはトレジャータウンの傍に住んでいる。探検の呼び出しにすぐに行けるようにするためだ。
この木はアチャモが見つけた。木には幹に沢山の穴が開いていて、他にも探検家の仲間が住んで居る。
大体が二人一部屋になっていて、自分はメリープという電気タイプのポケモンと一緒に暮らしている。
こいつがまた「ショコラズ」で初めて仲間になったかなんかは知らないが、どうも気に食わない。
見た目は可愛いくせにピリピリするし、最近は進化もして更に上から目線な気がする。
確かに水と炎タイプのあの二人に電気タイプはぴったりだし、飛行が苦手な自分は何度も助けられた。
あんなに気難しいのに新しく入るポケモンに頼りにされてるし、進化できるようになってもすぐ進化しなかったのは、
進化することの出来ないゼニガメとアチャモに気を使ってだというのも自分は分かっている。
どうも悔しいことばかりなのだ。
部屋に入ると誰も居なかった。そういえばモココは今日ゼニガメに呼ばれていた。
思い出して溜め息をついた。
「帰り、遅くなるかな」
先ほどとは打って変わり静かなそこ。テーブルが一つに椅子が二つ。部屋の置くに寝床が二つ。
棚も二つあって、一つは食料の木の実と食器が、もう一つに書き物や探検に必用な物が入っている。
その隣には大きな桶があって、飲み水が溜まっていた。
一人分の夕飯を用意し、椅子に座るとリンゴをかじる。
しゃり、という音と同時に果汁が口に広がり、口の中がリンゴの香りで満たされる。
完熟のはずなのに酸っぱく感じて不愉快になった。
あいつが居ないのがむかつく。
嫌いだ。
こんなに自分を苛々させるのはあいつだけだ。だから嫌いなのだ。
「そう、あんな綿電気、気にするだけ無駄だ!!」
一人叫んでどかりと今度は床に座った。
一人なら一人にしか出来ないことをすればいい。
そう思ってキノガッサは普段敵を殴ることにしか使わない手を伸ばし、股の間から普段は仕舞われて見えない雄しべに触れた。
植物のポケモンの性行の仕方は様々だ。花粉を浴びせる奴もいるし、このように雄しべがしっかりとしている者もいる。
キノココ時代はこんなものなかったが、進化して自分がピカチュウやらピッピなどと卵を作れると知ってこの形になったのを理解した。
まだ小さなそれを両手で持ち、足を広げる。そして上下に動かすと痺れるような感覚に襲われた。
すると小さくその在処がわからなかった雄しべが主張を始める。上下運動を続けると見るまもなく膨れ上がった。
そういえば最近はこの行為をしていなかった。モココと常に行動しているからだ。
あいつのせいで溜まってしまった。それだけで苛ついた。
自分をこんなに苛つかせる、嫌いだ。
キノガッサは左手で雄しべの根元を支え、右手で先っぽをこねる。
キノガッサの雄は十センチ程の長さをしていて先は赤く、丸いものがついている。
その中心が小さく割れていて、蜜が出るようになっていた。
「っく」
メリープ、進化してモココになってその見た目の愛らしさは更に増しただろう。
でも、尻尾の先から漏れる電気に安心することに変わりない。
なんであんな奴に安心させられなければならない。
苛々する。
笑顔が優しいのは知っている。気難しいくせに。誰にでも微笑みやがって。
あんなに可愛い見た目で、声も高いのに。
「…モココ」
なんで自分は、自分は。
「大嫌いだ」
雄しべから蜜が出てくる。限界も近い。
夢中で手を動かしていたら部屋の近くにポケモンの気配がして、慌ててキノガッサは手を止め入り口から反対の方に向き直る。
「だだいま戻りました」
案の定、ポケモンが部屋に入ってくる。
キノガッサは悟られぬよう足を閉じて雄しべを隠し、首だけ捻ってそのポケモンを見た。
「は?」
「は?って、ちょっと」
ポケモンは苦笑いをする。
「最終段階まで、進化してきましたよ」
「お前、綿電気?」
「はい、もう綿ないですけど」
そこには綿が消え、スレンダーになったポケモンがいた。
「デンリュウです。改めてよろしく、キノガッサ」
「はーでかくなったな」
「光栄です」
挨拶をしてデンリュウは微笑んで、テーブルについた。
「このリンゴ食べてもいいですか?」
「好きにしろよ」
そう言ってデンリュウから視線を逸らし俯いた。
「どうも」
それは先ほどキノガッサが一口だけかぶりついたものだ。
「美味しいですね」
デンリュウはのほほんとしている。それがキノガッサには気に食わなかった。
今、キノガッサの足の間に挟んであるそれは途中で止められた所為もあり、痛いほど膨れている。
会話をして落ち着くかと思ったがそれは落ち着くどころか酷くなる一方だ。
さっさと寝てくれ。キノガッサは切に願う。
しばらくしゃりしゃりとリンゴを食べていたデンリュウがふと口をついた。
「甘い香りがしますね」
キノガッサはびくりと身体を揺する。
「私は悪いタイミングで帰ってきてしまったのですか?」
「そう思うなら…」
そう言ってキノガッサが振り向くと目の前ににっこりと笑うデンリュウの顔があった。
「おま」
キノガッサが固まっている間にデンリュウはてきぱきとキノガッサの前に回り、閉じていた足を開かせる。
すると、それまで押さえつけられていた雄が勢いよく上を向いた。
「お前…っ」
「リーフィア」
「あん?」
「卵ができたそうですね」
「知ってる」
「私はこの探検団に入ってから貴方とずっと傍に居たのに、何もしていません」
「はぁ?なに言ってっ!?」
デンリュウはぺろりと、キノガッサの雄しべを舐める。デンリュウの舌の上に甘い香りが広がった。
「止めろ」
「ゼニガメにも言われましたよ」
舐める。甘い。
「止めろ!」
甘い。
「あのポケモンはよく周りを見ている」
「止めろ!!」
怖かった。
デンリュウは一気にキノガッサの雄しべを口に含むと激しく吸い上げ、上下に動かす。
「あっ、くっ!!」
キノガッサの身体が跳ねて熱を吐き出した。デンリュウはごくりと喉を鳴らしてそれを飲み干す。
「貴方の体液は甘いですね」
デンリュウの体重がキノガッサにかかり、キノガッサは組しきられる。
「おい、お前…」
「キノガッサ」
「止め…」
「いいえ、止めません」
「デンリュウ!」
「慣れないものですね、進化先の名で呼ばれるのは」
デンリュウはキノガッサの首に顔を埋めると、味わうように舐めていく。
キノガッサは目を閉じ、呼吸を整える。そして意を決する。
「デンリュウ、二度は言わない、聞け」
強い意志が含む声音だ。
「何ですか?」
答える。その声とは反する震えで歪んだ響き。デンリュウは顔を上げてそれを振り払うかのように余裕の笑みでキノガッサを見た。
キノガッサは落ち着いた瞳で真っ直ぐデンリュウを見る。
「俺はお前が好きだ。安心していいから怯えるな」
意表を付かれて、デンリュウの目が見開かれる。
「………」
好き?聞き間違いではなかろうか。デンリュウは思う。
出会った時から避けられているのはわかっていた。なぜこんなことを言うのだろうか。
しかし、嘘を言えるようなポケモンでないのはずっと傍に居たから知っている。
この破天荒でさっぱりとした気性と誰にでも笑う気さくな笑顔を尊敬して、愛らしいと思って、愛しくて。
でも言えなかった。同性だ。種族も違う。そんな自分の想いが伝わる訳がない。拒絶が怖かった。
キノガッサの言う通り、後輩の話に焦っていたのだ。今のままこの関係を続けて行くのが、とにかく怖かったのだ。
進化という形で見た目が変わる自分、強くなる自分。変わらない関係。
なんとも言えない焦燥感。
「私は最低ですね」
その恐怖に負けて、愛する人にこのような辱めをしてしまった。
「ばーか、気にしてねぇよ」
キノガッサは顔を赤くしてそっぽを向く。こんな反応を見せるまで、言われるまで気付かないとは。
「いつから?」
「ずっとだ」
「私は嫌われているとばっかり…」
「嫌いだ」
デンリュウの心が軋んだ。やはりこの想いは報われないのだろうか。
「ずっと気付いてくれなかったから嫌いだ」
「……」
自分は愚かだと。
「すみません」
探検でキノガッサに多くの場面で今まで助けられてきた。
今回、心まで救われてしまった。
「なんだよ?」
「まだ言ってませんでした」
また疑ってしまっていた。
「何を」
「貴方を愛してます」
でも。
「はんっ、俺は大嫌いだ」
もう、大丈夫。
ふかふかの藁の上に寝かせられ、デンリュウは口付けを小粒の雨のように落としてくる。
キノガッサは赤く優しく光る暖かなデンリュウの尻尾の先を見つめていた。
口の先でキスをする。口が開かされたところでキノガッサはそれを振りはらった。
「嫌ですか?」
「違う、俺の歯、お前と違って尖ってるから」
デンリュウはふふと笑うとキノガッサの頬にキスをした。
「わかりました。貴方に夢中にならないように気をつけてやりましょう」
「なっ」
そんな恥ずかしいこと真顔で言うなと、抗議する前に口を覆われて舌が侵入する。
鋭い歯を丹念に舐め取られ舌が絡んでくる。息苦しさを覚えて吐息が漏れた。
「ふぁ…」
口を離すと糸が垂れ、デンリュウの尻尾の光に照らされて赤く光った。
それは半目で潤み、息苦しそうに肩を上下させるキノガッサの口に滴る。
「綺麗です」
デンリュウは微笑んでそっと、もう一度膨らみ始めた雄しべに触れた。
そのまま手で擦ると先ほど出た蜜が綺麗に拭われていなかったのか、くちゅりと鳴る。
卑猥にもそれは擦れば擦るほど泡立ち、白濁色へと姿を変える。
デンリュウが手を離すとそこはもうしっかり主張していて、キノガッサは羞恥から顔を背け、目を瞑る。
そのまま、デンリュウはゆっくりと顔を下げていき、排泄口にたどり着いた。
触られてぬるりとした感覚。蜜が垂れている。分かっているけど少しだけ認めたくない。
「キノコなのに穴があるのですね」
「キノココの頃にはなかった」
「では貴方が繋がることの出来るようになったキノガッサであることに感謝しましょう」
キノココでも、例え自分の苦手な地面タイプのポケモンでもキノガッサなら愛したろうけれど。
デンリュウがそれを伝えるとキノガッサは馬鹿な奴と言って笑った。
デンリュウはキノガッサの穴に舌を這わせる。
キノガッサがそれに合わせて体を引きつらせるのがわかった。
「怖いですか?」
「そりゃぁな」
「では少しずつ、優しくしますね」
「…お前遠慮ねぇな」
「申し訳ありませんが必死ですので」
それだけ言ってデンリュウはキノガッサの穴に舌を積める。
「う、あっ」
なるべく痛みに支配されないよう、デンリュウはキノガッサの雄しべを上下に擦り、快楽を与える。
にゅるにゅると舌先だけがキノガッサの穴に入っては、入り口を舐め侵食していく。
上から垂れてくる蜜とデンリュウの唾液が混じり、そこはぴちゃりぴちゃりと喜び鳴いて、キノガッサを追い立てる。
「どうでしょう、私の前足とあれ、どちらもまだこの穴では狭いと思うのですが…」
舌だけでは中を犯しきれないと判断したデンリュウが言う。
「はっあ、なん、でもい、イキた…」
恍惚の表情でキノガッサはデンリュウを見る、デンリュウが与える感覚に、キノガッサの身体は震えていた。
「穴を攻められて良くなるなんて、貴方元々同性愛者だったんですか?」
「ち…が……」
雄しべがひくりひくりと動いている。口はだらしなく開いて、手は定位置で握り締められていた。
目には快楽から涙を浮かべ浅く呼吸を吐いている。
デンリュウはその様子に疼き、たまらずキノガッサの尻を持ち上げ、自らの雄を穴にあてがう。
「挿れます」
デンリュウはそれだけ言って、無理やりキノガッサの穴に雄を押し込んだ。
「あ、あ、あ、あ」
「く…」
キノガッサは入る所ではないそこにくる痛みに快楽ではない声を上げ、苦悶の表情を浮かべる。
自分は締め付けられる強さに痛みを覚え身体に力が入ってしまう。
「やめろ…とは、言わないん…ですね」
「いう、か…あほう」
痛みからくる質の悪い汗を全身にべっとりと浴びながらキノガッサは答えた。
「力、抜けますか?」
「は、くっ」
キノガッサは首を横に振る。雄しべは異物の進入により得た不快感により縮んでいる。
デンリュウの雄が穴に半分も入っていないのは分かったがそんな余裕は皆無だ。
そんな様子を見て、デンリュウは手にたっぷりと唾液を垂らす。
そしてキノガッサの雄しべに刺激を与えた。
「んっ、くっ」
「気持ちよく、なってください」
「でん、りゅう…」
「やっと、貴方と繋がれたのです」
心も身体も。
ずん、とデンリュウの体重がキノガッサにかかる。雄が突き刺さる。
「ひっ」
キノガッサは痛みと、雄しべに与え続けられた感覚に混乱し、目が回る。
ひくり、ひくりと動きながら、穴は雄で満たされた。
しばしばデンリュウは動くことをせずに、キノガッサの頭の傘や首、胸などを貪るように舐め、
前足で貪欲に雄しべを攻め立て続ける。
するとそれまで小さくなっていた雄しべが上を向きはじめた。
「立ってきましたよ?」
「いう、な」
更に攻めていけば、雄しべは挿れる前と同じように腫れ上がり上向きになる。
それを確認してデンリュウは自らのものをゆっくりと引き、入れるという行為を始めた。
雄は締め付けの痛みから解放されつつあり、やがて擦れることへの快楽と疼きになる。
「くっはっ」
キノガッサが甘い吐息を吐いた。中の、熱い感覚。
異物で悲鳴をあげていたそこが徐々に雄を受け入れ始めているようだ。雄しべは悦び、先からだらしなく蜜を垂らし出した。
デンリュウの手の先が蜜の出る赤い部分を執拗にこね繰り回す。その度に今度は穴が焦がれ、刺激を求めるようになる。
ゆっくりだったデンリュウの腰の動きが激しくなってきて、いよいよキノガッサは雌のごとく鳴き始めた。
デンリュウの手を自ら舐め、咥え味わうように舌を動かす。自ら腰を振るようにまでなり、デンリュウの雄を締め上げた。
こんな痴態を見せる羞恥など、とっくにデンリュウに飲み干され、激しさに喘ぐ。
デンリュウがキノガッサの足を掴むと、口と雄しべの刺激が止み、今度は穴の刺激が勢いを増した。
その目まぐるしい快楽にキノガッサは揺すぶられ、雄しべは頂点へと向かう。
「あっ、でん、りゅう…いく、あ」
「うん。私も」
「あっあ」
デンリュウの雄がさらに奥を強く突く。
「―――っ!!」
声にもならない声だった。
熱がキノガッサに注がれる。
二匹はきつく抱き合い、お互いの唇を貪り合う。
デンリュウは雄を抜き、キノガッサを抱き寄せた。
「眠い」
「いいですよ、寝てください」
この後のことをキノガッサは覚えていない。
だだ、デンリュウの温もりに安堵だけしていた。
翌朝キノガッサが目を覚ますとそこにデンリュウは居なく、テーブルの上にリンゴと紙が乗っていた。
おそらく探検に呼ばれたのであろう。ゼニガメが以前雪崩山と言っていたのを思い出す。
キノガッサは一息ついて体を持ち上げる。
…だるいし、腹が痛い。
「甘いって言ってたな…」
自分の愛液。
キノガッサは昨夜のことを思い出して首をぶんぶんと振る。
「デンリュウのも甘いのか…?」
首をかしげてうーんと唸る。
それが面倒になってキノガッサはもう一度その場に倒れた。
腹が痛くて飯を食べる気にもならない。
「やっぱり嫌いだ」
そう言ったキノガッサの口元は微笑みをたたえていたが、それを知るものは自分でさえも居ない。
そうだ、リンゴは、あいつが帰って来てから食べよう。そうしよう。
「おはようデンリュウ、探検の準備はできた?」
まだ客数少ないパッチールの店で元気よく言ったのはアチャモだ。
「はい、バッチリです。よろしく、アチャモ、エーフィ」
「今日はお前がリーダーか、よろしくな」
エーフィは軽く頭を下げる。
「あら、私には挨拶なし?」
ゼニガメがプンプン言うとデンリュウは苦笑いをする。
「失礼、頼りにしてますよ」
その、何か吹っ切れたような目線の上げ方にゼニガメは微笑んだ。
「……デンリュウ」
「はい?」
「よかったわね」
「お見通しですね」
ゼニガメはくるりと回り、店の入り口を見た。
太陽の光が自分たちを歓迎しているようだ。
「匂いで分かるわ。エーフィと同じで甘いもの」
「なら」
その歓迎を快く浴びてデンリュウは微笑んだ。
「貴女たちも、ですよ」
「お見通し?」
「どうでしょう?」
デンリュウは薄く笑う。
「ねー!ちょっとー二人で何はなしてるの?」
そこにアチャモが割り込んできて、エーフィは静かに澄まし顔で後をついてくる。
今、キノガッサが隣にいないのが残念だけど、待っていてくれるのも嬉しい。
隣にいても待っていてくれても、どっちも嬉しいなんてお得だ。
「メリープより様になってますよね」
その、少し変わった問いに一同は笑う。
その反応に心が躍り、デンリュウも笑った。
終わり