そのロコンには、兄弟がたくさんいた。  
 彼の姉は2匹、すぐ上に兄が1匹、そして妹が1匹。ケンカもするけど、仲良しだった。  
 彼らの母はキュウコン。それは美しく、野生とは思えない。遺跡に住み初めてからも、それは変わらなかった。  
 ロコンは今日も母に甘えようと、体に潜り込んだ。いつもフカフカで暖かい。他の兄弟たちと争うように母に寄り添う。  
 
 そのまま寝てしまうこともしばしばで、母に抱かれて夢を見ていた。心地よかったが、いきなり投げ出される。キュウコンがいきなり立ち上がったのだ。複数の獣の足音。遺跡に何者かが入って来た。子どもたちは母の影に隠れ、侵入者を見た。  
「あ〜兄貴腹減っちまったよ…」  
「言うな、俺だって何も食ってねぇよ。」  
「木の実たらふく食いてぇなぁ」  
「近くの小川に魚がいると思う…っと!!!」  
シャワーズは驚いたようにキュウコンとロコンたちを見る。どうした、と後から来るサンダース、リーフィア、エーフィ、グレイシア、ブラッキー、ブースター。  
 
「先客だ。」  
リーフィアは残念そうに言った。誰もいないと思って来たのだろう。  
「いや、ちょうど良いんじゃない?」  
ブラッキーが前に出て来る。  
「ねぇ、僕たちイーブイ進化系兄弟。お腹空いてるんだけど、何か食べ物分けてもらえませんか?」  
「……そういうことなら、木の実がありますので、食べたらお引き取り願えますか?」  
キュウコンは力強くにらみ付けた。何故なら、彼等は全員雄だ。キュウコンを騙し、ロコンたちを捕食することだって考えられる。  
「ありがとう!」  
飛び切りの笑顔でブラッキーは答えた。キュウコンから木の実を受け取ると、エーフィが取り分けた。そして、ものすごい勢いで食べ始め、一家の一週間分の木の実がなくなる。中には、妹が食べるのを楽しみにしていたモモンの実もあった。  
「ふー!食った食った。」  
グレイシアがゴロリと横になる。他のやつらも満足そうだ。  
「なぁ、兄貴ぃ、腹いっぱいになったらよ、やっぱ、なぁ。」  
サンダースがエーフィに持ち掛ける。客たちは一斉に集中した。  
「ん?当たり前だろ?帰ろうってんだから、帰ろうぜ。」  
嬉しそうにブースターがしっぽを振る。  
 
「では優しいキュウコンの奥さんにご挨拶。」  
リーフィアが葉っぱを飛ばした。キュウコンへ。突然だがキュウコンの目には勝てない。  
 尾から上がる青い火。それは葉っぱを焦がし、地面にたたき付けた。  
「恩も知らない恥さらし。消えるがいい!」  
炎は9つから生まれて、ヘビのようにうねる。そしてリーフィアに食らい付いた。  
「ぶぅすたぁばりあー!」  
ブースターが体当たりでリーフィアを守る。炎を身につけブースターの勢いが強い。  
「つうかまどろっこしくやらんで、いっぺんにやるぞ」  
エーフィが合図をした。シャワーズが全力でハイドロポンプ。サンダースがそれを手助け。からかうグレイシアの氷のつぶて。ブラッキーの黒い眼差し。ブースターの突進。リーフィアのソーラービーム。そしてそれらを隙なく統率するエーフィ。  
 どんな強豪でもたちまち負けを認めるという。キュウコンも例外ではなかった。数分もしないうちに、足元から倒れる。ロコンたちは心配そうに駆け寄った。  
「逃げなさい!恩知らずの、乱暴者だか…」  
 
ブースターがキュウコンにのしかかった。その顔はとても楽しそう。これがトドメとなり、キュウコンは立ち上がれなくなった。  
「んじゃ、今回、こっちが良いと予知した我が弟を祝し、一番乗りの権限を与えよう。」  
エーフィはブラッキーに言った。ブラッキーは喜んだが、恭しくエーフィに一礼する。  
「お言葉ですが、ここはやはり序列で行きませう。」  
「なんと兄思いの弟だ。しかし弟よ、他の兄弟は皆待ってられなそうだ。」  
エーフィはしっぽを鞭のようにしならせた。そして、キュウコンに覆いかぶさると、9つのしっぽをかき分け、雌の性器を探り当てた。  
「兄弟たち!遠慮はいらん!」  
キュウコンは小さく呻いた。雄の性器が、入って来ている。しかも乱暴者の。一気に奥まで突き抜けると、地震でも来たかのようにキュウコンの視界が揺れた。目をつぶり、じっと耐える。  
「ちっ」  
自らの精を吐き出し、エーフィは舌打ちした。反応がなくてつまらない、と。  
「じゃあ兄さん!」  
人懐っこいブラッキーはロコンたちを見た。黒いまなざしでずっと動けず、母親が犯されるのを見ているしかなかったロコンたち。ブラッキーは嬉しそうに「品定め」をしている。そして決まったのか、一番上の姉をくわえた。  
「ひっ!」  
凍り付いた表情。恐怖で抵抗も出来なかった。さらに雄たちの中心に置かれ、逃げようにも足が動かなかった。  
 
「こいつもやっちゃお!」  
雄たちは喜んだ。ブラッキーの提案と、それを許可したエーフィに。悪魔の宣告に、キュウコンは懇願する。娘は助けて、と。  
「じゃあもっと喜ぶんだな。『犯されて喜ぶ淫乱でいけないお母さんです』ってガキどもに言え。」  
エーフィはしっぽを動かした。合図だ。雄たちが一斉に立ち上がった。キュウコンを取り囲むように。  
「じゃ、俺が入れて言わなかったら、罰ゲームね。」  
シャワーズがやっと使用を許された性器を、何のためらいもなくキュウコンにぶち込む。  
「!!ぎゃあああ!!!!」  
水タイプのシャワーズの攻め。効果は抜群だ。さっきとは違い、キュウコンが必死に涙を堪えている。  
「ほらほら、早く言わないとどうなるかなー」  
リーフィアが煽るも、それどころじゃなかった。歯が震えて言葉が出ない。シャワーズが揺する度に涙がこぼれていた。  
「そろそろいくぞ!」  
潮水を傷口に受けたような衝撃がキュウコンに伝わっていた。聞いたこともない母親の悲鳴にロコンたちの足は震えた。  
「ふぅ、やっぱ言えないか。仕方ないね。」  
エーフィのしっぽがまた動いた。リーフィアは嬉しそうに姉に近付いた。  
 
「へへっ、小さい子はやっぱいいよねっ!」  
ロコンはその目ではっきり見た。母であるキュウコンよりも。6つのしっぽの中にある姉の雌の性器を、リーフィアは満足そうに見ている。匂いを嗅ぎ、まだ発情期も来ていない子どもだと確認する。姉が涙目でこちらに助けを求めている。  
「なぁ、こいつもいい?」  
サンダースはそこへ2番目の姉を連れて来た。エーフィはもちろんだ、とうなづいた。  
「じゃあ、どっちが先にイクか勝負だ!」  
姉たちを向かい合わせ、位置につくサンダースとリーフィア。  
「姉ちゃんたちをいじめるな!」  
兄がついに立ち上がる。小さい体でリーフィアに体当たり。  
「なあに?弟も喜んでるよ!!」  
全く効果がない。兄はリーフィアに何度も攻撃するが、どれひとつダメージを与えられない。  
「お〜いブラッキー、ちょっとうっとおしいから黙らせといて。飛び切りはとっといてやるからさ。」  
「りょーかい!」  
ブラッキーの悪の波動。兄は衝撃を受け、転んでしまった。  
 
「君はお呼びじゃないよ。」  
アイアンテールで兄の腹を叩いた。手加減などしないで。ぐふっと肺から空気が出る音がした。終わりではない。さらに叩く。何度も何度もたたき付ける。終いにはバットのように振り回し、吹き飛ばした。兄の体は天井に当たり、首が直角に曲がっていた。  
「君も歯向かう?」  
ブラッキーがロコンを見て言った。家族の姿を目の当たりにして、体が動くわけがなかった。  
「だよね。じゃ、御褒美はもらうね!」  
ロコンの隣に隠れるようにしていた妹を軽々持ち上げる。驚いた妹は、足をばたつかせるが、ブラッキーに効果なし。  
「大丈夫だよぉ、安心して。僕が君の初めての人だから。」  
それはロコンの見えない後ろで行われたが、行為は予想できた。妹の声が悲鳴に変わった。  
 
 キュウコンは、仰向けに寝かされ、ブースターを中心に、兄弟たちがいつも占領していた乳房まで堪能している。ほぼ反応などない。噛まれても痛いとも言わず。  
「反応なくなっちまったな。つまんね。シャワーズ、今回の当番だ。」  
エーフィはしっぽを動かした。  
 姉たちは一回だけでない。後ろ足としっぽが精液で真っ白くなるまで犯されていた。途中、何度も攻撃されつつ。エーフィがしっぽを動かしたことで、ようやくやめたのだ。  
「どうしたどうした?」  
「恒例のあれをやる。今回は炎タイプのキュウコンなので、シャワーズにやってもらおう。」  
雄たちは盛り上がる。キュウコンの尻を向け、姉たちのしっぽを向け、妹の口を向ける。皆がシャワーズの手助けに入った。  
「では、キュウコン一家に感謝のハイドロポンプ!」  
手加減なしのハイドロポンプは、キュウコンの股間に容赦なく襲いかかる。  
「ひぎゃあああ!!!!」  
キュウコンの体がけいれんを始めた。それを見て、笑い出す雄たち。タマゴを産んだわけでもないのに、キュウコンの股から血があふれ出す。  
 
「次!ロコン兄弟!」  
切り裂かれるのでは、と思うくらいのハイドロポンプ。しかしそれを食らっても、姉たちは少し体を逸らせただけだった。  
「お前もな!」  
ロコンも例外なく水圧に押し流される。体は遠くに吹き飛ばされた。雄たちの「よく飛んだ」と喜んでいる声が遠く響いた。  
 
 
 ふとロコンは目が覚めた。遺跡は静まり返っている。誰かいないかとふらつく足で歩いた。  
「え……」  
目を見開いて動かないキュウコン、そして兄弟たち。  
 美しかった毛並みは、ボサボサに乱れて血をまとっていた。  
 優しかった姉たちは、全身に精液がつかっついる。  
 兄と妹はいなかった。代わりに、骨と血が残されていた。  
 ロコンは座り込んだ。大好きな母、そして兄弟を、あいつらが奪っていった。  
「許せない……」  
やつらと同様、大事な家族を奪ってやる。イーブイ進化系、そいつらの雌を片っ端から犯してやる!  
 ロコンは遺跡を飛び出した。家族の復讐を誓って。  
 
 
 
終  
 

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