「……い、嫌だよ!馬鹿!止めな!!」  
鉤爪を振るってバシバシとアーボックの尾を叩くが、彼は屁でもない様子で舌を揺らしていた。  
「マニューラ様、後ろは使った事は無いんですか?」  
ドラピオンが尋ねると、マニューラは腕を止め、しばし黙り込んだ後に  
「………あるさ…一度だけだけど…」  
と、苦々しい表情を浮かべて吐き捨てた。  
「え……うわ、冗談だったんですけど……マジですか?」  
ドラピオンは驚いた様子で呟き、アーボックも、ほぅ、と息を吐いた。  
「もしかして、あの鎌ヤロー共に……ですかぁ?ボス」  
「…そうだよ」  
「うひぃ。アイツらボスのアナル処女まで奪いやがったんか。許せねー」  
「今度会ったらブチのめしてやろうか」  
「おー、そうしようそうしよう」  
「って!そんなのどうでも良い!とにかく後ろを使うのは嫌だからね!!」  
顔を赤らめてマニューラが咆哮するが、部下たちはそうも行かない様子であった。  
「どうしてですかい?」  
「ど、どうし…てって……お、お前たちのじゃ……その………」  
チラチラと彼らの股に視線を向けてマニューラが口を濁らせると  
2匹は「あー…」と、納得した様子を見せた。  
「切れちまうかも、と?まーでもしっかり馴らせば大丈夫ですって。前の方にも入ったんですし」  
「だ、大丈夫…って……ひゃ、あ、こらっ!!」  
 
アーボックはケラケラと笑っては、尾の先端をまずはマニューラの秘所に寄せて  
零れている液を絡めてから、それを臀部の窄みへと擦りつけた。  
「う……後ろは嫌だってばぁ…」  
マニューラはそう言いつつも抵抗をしようとせずに、うつ伏せに横たわったまま身体を震わせていた。  
「まぁまぁ、そんなに怯えないでくださいよ、マニューラ様」  
ドラピオンがマニューラの横へ歩み、首を下げて声をかけると  
彼女は他人事の様に言うなと、赤い瞳で睨んで無言の圧力をかけた。  
「ん…っ……ふぁ……」  
後ろの窄みを撫でられ、マニューラは声を抑えられずに息を吐いた。  
アーボックは尾を窄みの中に入れる素振りを見せず、今は執拗にそこを撫で回しては  
体液を馴染ませる事に集中し、それにより受けるくすぐったさに似た刺激にマニューラは身をよじらせた。  
トロリと、秘所から愛液と精液が垂れたのを見て、アーボックは彼女が感じ始めている事を知った。  
「なぁんですか…何だかんだ言ってもしっかり感じているんじゃねぇですか」  
失笑しながら、アーボックがマニューラへ今のように言うと  
彼女はピクリと肩を揺らして反応を見せ、羞恥心から顔を赤らめた。  
「し……仕方ないだろ…」  
「へへへ。ま、正直なのはイイ事ですぜぇ…」  
アーボックはそう言って一度尾を離し、窄みの様子を確認すると  
薄い桃色の窄みがヒクヒクと震えていた。  
「もうちょっと馴らしてから、解しに入りましょうかねぇ」  
そして再び尾の先端に液を絡め、それを窄みに馴染ませる事を繰り返した。  
 
少し強めに尾を押し込んで、窄みを解そうとゆっくり回して見せると  
マニューラは小さく身体を揺らして息を吐いた。  
「はぁ……ぅ、ん……」  
「……ボス、ちょっと入れますよ」  
「う、……んぅッ…!」  
ピリピリとしみるような軽い痛みを感じ、マニューラは呻いて藁の枕に右頬を押し付けた。  
「痛いですか?」  
「ん……だ、いじょうぶ…」  
はぁっ、と肺の奥から熱くなった息を吐き、マニューラは弱々しく答えた。  
その言葉を受けて、アーボックはゆっくりと尾を回して窄みを解す事にした。  
「ん、う……はぁ…」  
「…いやぁ、しかし……後ろにアーボックの尾を入れられて  
悶えるマニューラ様を見られるなんて、何か感激ですねぇ」  
「う、うる、さい!ね!」  
マニューラは自分がとてつもなく惨めに思い、枕に組んだ腕を置いてその中に顔を埋めた。  
 
「もー…こんくらいで大丈夫ですかね。一度経験有るんならまぁ平気か」  
アーボックはそう言ってから、マニューラの窄みから尾を抜くと  
彼女は小さく呻き、壁と背を合わせるように身体を横へ転がしてから  
アーボックに弄られていた箇所を鉤爪で覆った。  
「……何か、ヒリヒリするよ……」  
「液で濡らしてもそうなっちまうのは仕方無いですかねぇ……よっと」  
「わっ」  
アーボックはマニューラの腰に尾を絡め、ヒョイ、と持ち上げては自分の腹部へ彼女を乗せ、  
そして肩に自分の顎を乗せては舌でマニューラの頬を撫でた。  
「う…ん、……えと…その、さ…どっち……から?」  
アーボックの胸に背を寄り掛けて視線を下へ落とすと、  
股の間から勃起したアーボックのヘミペニスが覗いており  
先端が膨らみ、棘が生えたソレを最初に挿入するのは無理ではないのか、とマニューラは内心そう思った。  
すると、マニューラの心情を読み取ったのか、アーボックは「あぁ、ドラピオンからですぜ」と答えた。  
「え?オレ?」  
「順番考えたら、オレさまは前だからな。それにオレさまのじゃぁいきなり突っ込むのもムリだろー」  
それこそ切れるぜ、と続けては、アーボックはケラケラと笑った。  
「でも…さぁ……」  
チラリ、とマニューラはドラピオンの腹部へ視線を向けて苦く笑った。  
「……ドラピオンのも、ちょっとねぇ…」  
ドラピオンは腹部を床に向ける形で立っており、仰向けの時はほぼ垂直に勃起していたペニスは  
今は腹部と床の間に押し付けられるように寝かされており、胸の兜の下から先端を覗かせていた。  
「まぁ、ケツの穴も結構広がるモンですぜ。内部は案外緩いモンですから  
最初は穴の方を緩めるのも兼ねてドラピオンに任せましょうぜ」  
「……やけに詳しくないかい、アーボック…?」  
腕を組み、マニューラがジト目でアーボックを見上げ、ドラピオンも同じく相棒の顔を引き気味に眺めていた。  
頭と相棒の冷やかな視線に、アーボックは彼女らを交互にキョロキョロと眺めては、ははは、と笑った。  
「ま、気にしないで下さいよ。……じゃ、ボス、オレさまの挿れて下さい」  
「ん……」  
マニューラは腰を浮かし、アーボックと向い合せになるように身体を回して  
そして彼の胸に鉤爪を押し当ててから、腰を落としてヘミペニスを自分の秘所へ押しつけた。  
ズニュ…、と鈍い水音が鳴り、アーボックのヘミペニスは驚くほどあっさりとマニューラの膣内へ挿入された。  
「んッ…はぁ…」  
「…ボス、すんなり入るようになりましたねぇ…でもナカは相変わらずスゲェ締め付け…」  
アーボックは目を細め、喉奥を鳴らしてから首を下げて彼女に口付けし、  
マニューラはそれに応えるように、彼の頭部に腕を回して舌を絡ませた。  
 
「マニューラ様、挿れたいんですけど…」  
「ふ……ん?」  
アーボックとの口付けを中断し、マニューラは後ろを振り返ってドラピオンを眺めた。  
「その体勢だと多分挿れられないと……」  
「あぁ。座ってちゃ確かにムリだな。ボス、前に倒れるように寝て下さいよ」  
アーボックはそう言ってから、自分の背を後ろに流してマニューラが寝られるように腹部を伸ばし、  
彼女はそれに応じて、鉤爪をアーボックの腹部に寄せてから肘を曲げて軽く前へと身体を落とした。  
そしてドラピオンが、アーボックの尾に乗りあがり、  
その上で身体を落としているマニューラの臀部へ己のペニスの先端をあてがい、彼女の腰を両爪で掴んだ。  
窄みへドラピオンのペニスが押し当てられ、マニューラは一瞬身体を強張らせたが深く息を吐き出し、  
「……良いよ…」  
と、呟いてみせると、ドラピオンはそれに応じて腰を前に突き出した。  
 
「ひぅ……うん…」  
マニューラは顔を顰めつつも、肛門を押し広げられる感覚に悶えドラピオンを受け入れていた。  
アーボックの尾で解された事もあり痛みは感じず、侵入され圧迫される感覚に彼女は息を飲んだ。  
「んっ……ちょっと入った…マニューラ様、平気ですか?」  
「うん…でも、腹に力を入れられ無くて……呼吸がし辛いねぇ…」  
下腹部に鉤爪を寄せて、軽く擦りながら息を吐き、苦々しく笑った。  
「マニューラ様、もう少し挿れますんで……」  
「う、ん………んー…」  
異物が侵入し、直腸内が徐々に圧迫されて行き、マニューラは口を閉じたまま唸った。  
「っ……う…と、とりあえずここまでで…」  
息を詰まらせてから吐き出し、ドラピオンは腰を進める動きを止めた。  
彼のペニスは先端と竿の丁度境界線までをマニューラの内部へと入れており、  
窄みの皺を伸びきりそうなまでに広がしていた。  
「ボスぅ、どんな感じで?」  
アーボックが口の端を上げながら、舌を揺らして尋ねると  
マニューラは頬に流れた汗を拭いながら答えた。  
「何と言って…ん…良いのか、分からないねぇ……今はちょっと苦しいだけだよ」  
「ドラピオンはどーよ?」  
「んー……前とは大分違うんだな…って感じだなぁ…でもスゲェ…」  
 
窄みは元に戻ろうと収縮するための動きを取るが、それはドラピオンのペニスで遮られてしまう。  
そしてその動きが、ドラピオンのペニスを締め付ける結果となった。  
だが、それに反して内部は緩く、優しく包み込むような暖かさがじんわりと染み入っていた。  
緩いと言っても、マニューラにとっては強烈な圧迫を感じる程である。  
しかも膣内にはアーボックのヘミペニスを挿入されているのだから、たまらない。  
「そんじゃボス…動きますぜ」  
マニューラの身体を思ってか、アーボックは腰を突き上げる事をせずに  
彼女が乗り上がる尾をくねらせ、膣内をゆっくりとかき混ぜる方法をとった。  
「んっ…ぅ、ぁん……」  
蕩けそうな穏やかな快楽に、マニューラはうっとりと瞳を潤わせた。  
「オレも動きます……う、ん…ッ」  
「ひゃ……んぅ…」  
ぬるりと、ドラピオンのペニスが引き抜かれて行き、排泄を行っているような錯覚を感じ  
マニューラは羞恥心からか、瞳と口を固く閉じた。  
引き抜いて行く過程で、窄みを通り過ぎようとするとその部分が締め付けられ  
ドラピオンは鼻で息を吐き出しながら、マニューラの後部の感触を味わっていた。  
先端の先端まで引き抜いたところで彼女の窄みは元の大きさまで戻ったが  
再度、それを広がすためにドラピオンはペニスを押し付けて内部へ侵入した。  
きつい締め付けを通って柔らかな温もりに辿り着き、膣内とはまた違う感触に  
ドラピオンは徐々に夢中になり、先端で内部を掘り進めては入れ込む深さを増して行った。  
そしてマニューラもまた、張り裂けそうな腹部の圧迫感と羞恥心に苛まされていたのが  
徐々に悦楽の一つになって行くのを感じ、自己嫌悪に襲われていた。  
「はっ…あ、ぅん…はぁ…」  
アーボックの腹部に身体を落としたまま、マニューラは喘いでは身を捩じらせていた。  
「ボス、善くなってきました?」  
「ん……まだ、良く分からない、ね……悪くは無いけ…」  
 
──と、言いかけた時、マニューラは突然、身体を飛び跳ねさせて悲鳴を上げた。  
「……ひ、ひゃぁッ!!?」  
直後に、全身の体毛がゾワッと逆立ち、彼女は目を見開いた。  
 
「あ……あ?な、何……?」  
突如、受けた感覚にマニューラは驚きを隠せない様子で呟いた。  
「お?ボス、どうしました?」  
「わ、分からないよ!」  
「おい、ドラピオン。何かしたか?」  
「え……いや…?あ、先に硬い何かが当たっているみたいだな…」  
ドラピオンはそう言いながら、腰を軽く揺さぶってペニスの先端でマニューラの内部を探り  
目当ての感触を腹部側の肉壁に見つけ、そこを先端で擦ると  
彼女は再び戸惑いと混乱が混ざり合った悲鳴を上げた。  
「ひゃぅッ!や、だぁ…おか、しいよぉ……そこ何ぃ…」  
「あー……なるなる。そこ、子宮口ですぜ。腸の壁越しに当たっているんだな」  
「へぇ…じゃぁ、ここがポイントですかね、マニューラ様?もっとして差し上げますね」  
ニタリと笑い、ドラピオンはその部分を先端で擦りつけ始めた。  
そして今まで腰をくねらせていたアーボックも、更なる快楽をマニューラに与えるために腰を突き上げた。  
 
「ひ、あ、んッ!!あ、嫌…だ、よぉ……」  
「へぇ…?何でですか、マニューラ様…?」  
首を横に振り、与えられる感覚を拒絶するマニューラに、ドラピオンは首を下げて彼女へ問いた。  
「だ、だって、…だって、さぁ…き、気持ち良すぎ…るから…壊れちまうぅ……!!」  
羞恥心よりも自己嫌悪よりも、身体の芯を揺さぶられる感覚にマニューラは怯えていた。  
「……ボス、大丈夫ですって。別に壊しゃしませんから」  
「壊られたら、こっちが困りますしねぇ…」  
マニューラの意外な反応に、アーボックとドラピオンは更に興奮したが  
あえてそれを行動で示す事はせずに、ニヤリと互いに笑うだけで済ませた。  
「…ッ…う…やば、そろそろ出そ…」  
マニューラの子宮口付近にまでペニスを入れてから、ドラピオンは突き進める動きを止めては今のように言い  
グリグリと彼女の内部を弄くっては訪れようとしている射精感に喉奥を鳴らした。  
「マニューラ様…今、出しますからね……」  
「んッ!あ、そっちで出すのは…駄……ひゃ、あ…!!」  
「お、おお……ッ!!」  
ドラピオンのペニスが直腸内で跳ね飛んだのをマニューラは感じ、  
その感触に喘いだと同時に彼の精液が放出され、腸内を満たして行った。  
「ひは……腹のナカぁ…膨らんで…るよ…」  
膣内に射精された時の圧迫される感覚と違い、満腹感に似たその感覚にマニューラがたじろいでいると  
射精が治まったドラピオンがペニスを引き抜き、栓を失った窄みからコポコポと精液が排出された。  
 
「はぁー…あー、スゲェ良かったですよ、マニューラ様…」  
満足した様子で息を吐き、マニューラのうなじに口付けしてからドラピオンは今のように呟いた。  
「そぉ、かい……はぁ…後ろが痛い…」  
ヒリヒリと擦れた痛みに、マニューラは軽く呻いては大きくため息を吐いた。  
「…ボスのケツ、そんなに良かったのか?」  
アーボックが舌を揺らしてドラピオンに尋ねると、彼はコクリと大きく首を揺らした。  
「前もイイけど…後ろも相当だったなぁ…」  
マニューラのうなじを舌で舐め上げながら、ドラピオンは彼女の体内を思い返していた。  
「へー……そんじゃぁ、オレさまも味わいたいんで、イイですか?ボス」  
「う…」  
アーボックは揺らしていた舌を伸ばし、マニューラの顎下を撫でながら今のように言うと  
彼女は一瞬、困惑した様子を見せたが「…い、良いよ…」と、部下の欲求を飲んだ。  
「へへへ…じゃ、こっち抜きますか。ドラピオン、ちょっと下がれや」  
マニューラの背に乗り上がっていたドラピオンはそう言われて後ろへ数歩下がり、  
それを確認してから、アーボックはマニューラの腰に尾を巻きつけて持ち上げてはヘミペニスを引き抜かせた。  
「ん…」  
引き抜かされる際、出口で一瞬ヘミペニスの先端が引っかかり、  
力任せに抜かれる感触にマニューラは小さく喘いだ。  
それが原因でか、彼女の花弁は開いたままになっておりトロトロと液体を垂らしていた。  
そして液体は、秘所からだけでなく後部の窄みからも垂れており、  
その様子をまじまじと眺めながらドラピオンはニヤニヤと笑っていた。  
「マニューラ様、前も後ろもイイ眺めになっちゃいましたねぇ…」  
「…ば、馬鹿……見るんじゃないよ…」  
尾羽を下げて二つの秘部を隠し、マニューラは胸の奥をくすぐられるような羞恥心に身体を震わせた。  
 
「今じゃぁ、ボスにバカ言われても逆効果なんですけどねぇ…興奮しちまうだけですぜぇ」  
マニューラを腹部に乗せ直し、アーボックもドラピオンと同じく、ニヤリと笑った。  
「っ……ま、全く……」  
マニューラが不貞腐れてアーボックの腹部に顔を埋めようとした時、ドラピオンが再び声をかけた。  
「マニューラ様、こっち向いて足を曲げて座って下さいませんか?」  
「ん?う、うん…?」  
ドラピオンに促されるまま、マニューラは身体を起こし上げてからアーボックの腹部に腰を落とし  
クルリと身体を半回転させてドラピオンと向い合わせになり、膝を曲げて両脚を開いた。  
マニューラは左腕を股の間へ入れて、その部位を見せないようにしていたが  
今更隠されても、尚興奮するだけだとドラピオンは内心そう思った。  
そして、開いたマニューラの脚の間に両腕を入れ、爪で彼女の腰を掴んでは  
尖った兜の一つ目と二つ目の繋ぎ目に彼女の膝の裏を乗せ、グイ、と持ち上げた。  
「んっ!?」  
脚を開かされたまま持ち上げられマニューラは一瞬戸惑い、そしてドラピオンの狙いを読んだ。  
視線の先には、尾を支えに腹部を曝け出したドラピオンの尚も勃起を続けているペニスが見え、  
この体勢で挿入するのか、と彼女は息を飲んだ。  
 
「おー……ボス、精液垂れていますぜ…漏らしているみてぇ」  
「!」  
ギクリと身体を強張らせ、首を後ろに回して視線を移すと、  
幾度と無く放出された白濁液が雫を作ってポタポタと床の上に垂れていくのが見えた。  
「あ……そ、そんな事…言わないでおくれよ……」  
部下たちにすっかり翻弄されてしまったマニューラは羞恥に顔を赤く染め、  
奥歯を噛み締めながら首を戻し、顔を伏せては自己嫌悪に浸った。  
そんな彼女を眺め、ドラピオンは腕を動かして自分の顔に近づけ、マニューラの頬を舐めてから  
「まぁー…それは仕方無いですよねぇ。オレたちが張り切り過ぎちまっているのもありますし…」  
と、彼女を労わろうとしたが  
「も、じゃないだろう。お前たちが張り切り過ぎなだけ、だよ…」  
逆に彼女の心情を逆撫でてしまったのだった。  
「へへへ……それはすいませんねぇ。でもボスがあまりにもそそるから、つい興奮しちまうんですぜぇ」  
起き上がり、背を伸ばしてマニューラの後ろに回っては彼女の首筋に口付けし、  
アーボックが今のように呟くと、マニューラは一言、馬鹿、と返した。  
 
「それじゃ、挿れますよ」  
マニューラを抱える腕と自分の首を下げ、彼女の広げさせた脚の中心部に怒張の先端を押し付け、  
そしてゆっくりと彼女の膣内へと入れ込んでいった。  
「ん……あ、ぁぁ……はぁっ…」  
秘所を広がされて膣内を押し広がされる感覚にすっかり慣れ、  
マニューラはゾクゾクと背に走る快感に喘ぎ、仰いでは浅い呼吸を繰り返していた。  
「あ…ん……当たってるよぉ……」  
ドラピオンの先端が奥を突き、マニューラは無意識的にその事を口にしていた。  
「そいじゃぁ、オレさまも挿れさせて頂きますぜ…」  
マニューラの濡れた後ろの窄みにヘミペニスの片方を押し当て、  
軽く腰を揺さぶりながら膨らんだ先端を埋め込もうとすると、マニューラは「くぅ…」と、苦い表情を見せた。  
先端が尖ったドラピオンのとは違い、アーボックのを挿入されるのは前方と同じく手間取りを覚えたが  
やがてそれはグジュリ、と粘膜が擦れ合う音と共に彼女の窄みを広げて内部へと入り込んだのだった。  
「んッ!んんッ……ひぁ…あ、はい…った…?」  
首を後ろに回し、アーボックへ視線を向けるとその口を彼の口に塞がれた。  
アーボックはマニューラの口付けしたまま、腰を少し揺すって内部の具合を確かめてみると  
挿入していない方のヘミペニスが彼女の臀部の間と尾羽の付け根を擦り付け、  
マニューラはその感触に対しても悦楽を感じた。  
「ふ……ボス、後ろもイイ具合していますねぇ…」  
アーボックは彼女から口を離し、短く息を吐き出してからニヤリと笑っては腰を本格的に振り始めると  
それに促されたのか、ドラピオンも腕を上下に揺さぶってピストン運動を始めた。  
 
「ひゃ、ぁ…!あ、あぁ、ん!」  
「マニューラ様…どう、ですか?」  
「ん、んくッ…少し苦しい……けど、気持ち良い…よ……もっと欲しいよ…」  
口から溢れ出そうになる唾液を飲み込み、マニューラは身を捩りながら更なる悦楽を求めていた。  
「はぁー…ボス、ヤッてる時は弱くなっちゃって…可愛いですぜ…」  
アーボックがマニューラの腰から背のラインを二股の舌先でツゥッと弄ると、  
彼女は再び身を捩り、受けた愛撫に悶えていた。  
「はぁ、ん……」  
「マニューラ様がオレたちを抱くって言っていたのに…それって最初だけでしたねぇ…  
今はもうオレたちがマニューラ様を抱いているだけになっちゃいまして……」  
「しっ……仕方、無い、よ……お前たちが調子に乗る、か…ん…」  
マニューラの言葉を遮るように、ドラピオンが彼女に口付けした。  
一瞬戸惑ったが、マニューラは鼻で息を吐いて笑い、腕をドラピオンの首に回して互いの舌を擦り付け合った。  
 
その間も、部下たちはそれぞれ腰の動きを止めずにマニューラの体内を貪り、  
そして彼女が望む悦楽の感触を与えていた。  
マニューラの両穴からは、彼女の愛液と彼らの精液そして先走りが混ざり合った液が垂れ、  
彼らの身体を伝って床の上に零れていた。  
「ふ、はっ…」  
息苦しくなったのか、ドラピオンがマニューラから顔を離した時  
彼女の鉤爪が彼の頭部の角を掴み、グイ、と彼の顔を引き寄せた。  
「ッ!?」  
口付けを止めるなと言う意思表示かとドラピオンは一瞬思ったが、  
マニューラは彼に視線を合わせて含んで笑っているだけであり、それは違うと理解した。  
「……ま、マニューラ…様?」  
肉食獣特有の鋭い瞳に見据えられ、ドラピオンはたじろぎながらもどうしたのかと尋ねてみると  
彼女はニヤリと口の端を上げて飛び出した牙を更に飛び出させ、次のように言った。  
 
「……お前、ジラーチに会わなかったなんて……嘘だろう?」  
 
---------------------------------------  
 
「変更するお願いはー……それで、いいの?」  
 
淡く、虹色の輝きを放つ水晶が星の化身の姿を映し出していた。  
「…お、おう。それでいい」  
そして、赤紫色の兜を身に纏う男の姿も映し出していた。  
「……ほんとーーに、それでいいの?」  
「しつっけぇな!いいっつってんだろ!!」  
ジラーチの再確認に苛立ちを覚え、ドラピオンは思わず怒鳴ってしまったが  
それに怖じ気付く事無く、ジラーチはゆらゆらと身を空中に泳がせながら「そぉ」と返した。  
「だって、また途中で変更したいって言われても困るからねー……ふぁー…じゃ、ちょっと待っててねぇ…」  
大きな欠伸をドラピオンに見せつけた後に、ジラーチはクルリと彼に背を向けて  
短い腕を前に突き出し、瞑想を始めた。  
彼の小さな掌の前に、これまた小さな光の粒がふわふわと幾つも浮かび上がっては、  
それらは集結し合って一つの光の固まりとなり、ドラピオンがジラーチとその光の塊を眺めていると、  
突然それはポン、と弾け飛び一瞬の内に消え去った。  
「さーて…終ったよ」  
スカーフを揺らしてドラピオンへ向き直っては、ジラーチは願いの儀式が終了した事を伝えた。  
「え?それで?」  
「うん。これでかんりょー。……に、してもお兄さん、変わったお願いにしたねぇ」  
 
願いを叶えた後に、何を言うかとドラピオンは内心で思い、悪いか?と返した。  
するとジラーチは首を横に振り、そうではないと示した。  
「うぅん。ただ、最初のお願いとずいぶん違うお願いだったから、ちょっとびっくりしちゃって」  
「……ま、そうだろうけどな……。  
……実は、本当はよぉ。本当に願いたい事は別、だったんだよな」  
 
「…えぇ?どんな?」  
ジラーチは緑色の瞳を丸くし、何故その願いにしなかったと言いたげにドラピオンに尋ねた。  
ドラピオンは視線を水晶の床に向け、映りこむ自分の姿を眺めてから、ポツポツと語り始めた。  
「……ずっと、な……MADを組んで…マニューラ様とアーボックと、一緒に生きていてぇってな…  
でもそれだとさ、無理矢理オレがマニューラ様たちを縛り付ける事になっちまうだろ。  
マニューラ様もアーボックも、それぞれの居場所を見つけたら、  
そっちで生きたいと思うだろうし、オレもそうして欲しいしさぁ…」  
 
──あのビッパが、羨ましかった。  
仲間と共に暮らし、仲間と共に生き、そして例えその仲間と離れてしまっても  
決して切れぬ結び付きを持っている、あのビッパが。  
 
「……だから、オレは……マニューラ様とアーボックとに……別れても切れない絆が欲しかったんだ」  
 
首を上げ、ジラーチを真っ直ぐ見つめ、ドラピオンはニヤリと笑って見せると  
ジラーチもまた、ニコリと笑ってはコクリと頷いた。  
が、ジラーチはすぐに表情を真顔へと変えては、パチンと両手を合わせて  
「あ、でもぉ〜……実はぁ、お願いか叶うかどうかは、お兄さん次第になっちゃうんだけどねー…」  
と、バツが悪そうに笑った。  
 
---------------------------------------  
 
「っ……え、あ、…あのッ…!!」  
ドラピオンはドキリと身を怯ませて口ごもった。  
そんな彼の様子を眺めて、マニューラはフッと息を吐き、やはりな、と呟いた。  
「…お前は、嘘をつくのが本当……んっ…ぁ…ヘタだねぇ…」  
「んん?何だよ、ジラーチに会ったのかよテメェ」  
腰を突き上げる動きを止め、マニューラの肩に顎を乗せてアーボックはジロリと相棒を睨み、  
睨まれたドラピオンは言葉を失い、視線を彼らから反らした。  
「おい、何を願って来たんだ?……見たところ、強さを手に入れたワケでもなさそーだし…  
……まさか、ボスとヤりてぇとかって願いじゃねーだろーな」  
「んな……なな…な、わけあるかッ!!!」  
即座にアーボックに振り返り、唾を散らす勢いでドラピオンが否定するとマニューラがアーボックを咎めた。  
「ドラピオンをからかうんじゃないよ、アーボック。  
……コイツが何を願ったのなんか、ワタシらが知る必要なんか無いんだからね…」  
マニューラはそう言ってアーボックの額に口付けると、彼はへへへ、と笑ってから彼女の肩から顎を離し  
再び腰を突き上げる事に専念し始めた。  
「んっ…あ……ドラピオン、お前も動きな…」  
角から鉤爪を離し、自分の脚を支える彼の腕に寄せて指示すると、  
ドラピオンは戸惑いを見せつつも、腕を再び上下に揺らした。  
「あ……あ、ぁあ…ッ!ん、ふぁッ……ふぁ…気持ち良い…あぁ…」  
ズッズッ、と、膣内と直腸内を擦られ、マニューラは恍惚とした表情で喘いでいた。  
解れた窄みと直腸をヘミペニスで味わっていたアーボックだったが  
何かを思いついたようで、相棒に首を伸ばして声をかけた。  
 
「おい、ドラピオン」  
「ん?何だよ……」  
「……ちょっとさ、ボスから抜いてくんね?全部じゃなくてイイからさ」  
ニタニタと笑うアーボックを見て、ドラピオンは彼が何かを企んでいる事を理解したが  
その内容までは理解できず、とりあえず言われた通りに  
マニューラの膣内からペニスを先端が埋まる程度まで抜いた。  
そしてマニューラも、アーボックが好からぬ事を企んでいる事を知ったが、  
ドラピオンと同じく内容まで把握出来ていなかった。  
「…? んっ!?」  
ピクリと肩を揺らし、マニューラは自分の窄みが広がった感触に小さく喘いだ。  
──アーボックが彼女の後部からヘミペニスを抜いたのだった。  
何故抜くのか、とマニューラは疑問に思ったが、その考えは直後訪れた感触に吹き飛んでしまった。  
 
「──!! な…ちょ、ちょちょちょちょ!!?」  
「う、えッ!?」  
マニューラとドラピオンの戸惑いの声が、同時に上がった。  
それもそのはずだろう。  
ドラピオンは自分のペニスに、そしてマニューラは自分の後部と前部に違和感を覚え  
それが何なのかを即座に理解したからだ。  
──アーボックの一対のヘミペニスが、後部と前部に入り込もうとしていたからだ。  
「なっ……あ!馬鹿!両方とも入れるなんて聞いてないよ!!」  
マニューラは腕を振るい、アーボックの頭部を鉤爪で叩きつけようとしたが  
すっかり体力を失ってしまっている彼女の今の力はもはや無力に近く、  
ペチペチと彼の頭部を叩くだけの物となっていた。  
「お、おおおお、おいッ!テメェのが当たって…気色悪ぃだろ、よせよ!」  
相棒の陰茎が自分の陰茎に触れ、擦り付けられる感触に嫌悪の念を示しながら  
ドラピオンはアーボックの行動を止めようとしていたが、彼はそれを気にも留めず  
今一度腰を突き上げて、対のヘミペニスをそれぞれの部位に入れ込んだのだった。  
 
「ひゃッ!!…裂けちまうよぉ……」  
ビリビリと痺れに似た痛みを秘所に感じ、マニューラは顔を顰めて首を横に振った。  
「ふぅー……でも、ちゃんと入ったみたいですぜぇ」  
「いたたたたた!おい!棘が刺さってる!刺さってる!!」  
陰茎に突き刺さるような鋭い痛みを覚えてドラピオンは相棒に息巻き、一度抜いてしまおうと腰を引かせたが  
それではアーボックだけがマニューラを味わう事となるので、  
チッと舌を打ってマニューラの奥までペニスを入れ込んだ。  
「ふぁッ!!」  
「へへへ…やーっぱり、両方とも挿れてぇんですよぉ、ボス…  
今はちょいキツいかもしれませんけど、すぐ慣れますって」  
前後に一本ずつ挿入されていただけでも相当な圧迫を感じていたが、  
それが三本になってしまったのだから、腹部が張り裂けてしまいそうな錯覚をマニューラは見ていた。  
だが、内部をアーボックの棘の生えた太い先端で撫で回される感触と  
ドラピオンの先端で奥を突かれる感触に、かつてない程の悦楽を感じているのもまた事実であり、  
マニューラは浅い呼吸を繰り返しながら身体を震わせていた。  
「つぅか……何、ドアホな事考えてんだ、オマエは!気色悪いっつーの!」  
「へっ。気色悪いのはお互い様だ。嫌なら抜けよ?」  
「冗談じゃねぇな…オマエだけにマニューラ様を抱かせるかよ」  
「も……争っている場合じゃない、だろぉ…!一番キツいのはワタシだよ……」  
息を大きく吐き出し、マニューラは歯を食いしばっては部下たちを宥めた。  
「へへ…無茶して悪いですねぇ、ボス。でも、拒絶しない所は嬉しいですぜ…」  
マニューラの頬に口付け、アーボックは腰をくねらせて彼女の体内をヘミペニスで掻き回して見せると  
彼女はビクリと身体を揺らし、彼の頭部を軽く叩いた。  
 
そしてドラピオンも、アーボックの感触に嫌悪感を抱きつつも  
マニューラの膣内を自分のペニスで掻き回しては突き上げる事を再開させた。  
「は、あぅッ…ん!!あ、あっ…ぁあぁ!!ひぁ、キツい…よぉ…!」  
目を見開き悲鳴に近い嬌声を上げるマニューラの小柄な身体は、部下たちによって揺さぶられていた。  
ジュブッジュブッ、と粘膜が擦れ合わさり糸を引いて垂れ落ちて行く。  
部下たちはマニューラを揺さぶるだけでなく、ドラピオンが彼女の胸を二粒の突起ごと舌で舐め上げ  
アーボックが彼女のうなじから生えた羽根を舌で梳きながら、尾の先端を膨らんだ陰核に擦り付けた。  
「あはあぁっ…お前…たちっ…ぃ!それっ凄く、感じっ…る……ひゃあッ!!」  
プシュップシュッ、と、マニューラと部下たちの結合部から潮が吹き、ドラピオンの腹部へと露を飛ばした。  
 
「ひはぁっ……ふぁ、んッ!あぁー…あッ!!!」  
ガクン、と背を反らして喘ぎ、マニューラは訪れようとしている波が来る事を  
無意識的に行動で部下たちに教えてしまい、彼らは自分たちの頭の状況を瞬時に読み取った。  
「お…ボスぅ、イきそうなんですねぇ…オレさまたちにこんな風に抱かれて…嫌らしいですねェ…」  
腰を回してマニューラの直腸内と膣内をグリグリと掻き乱してはアーボックが笑い、  
「三本も咥え込んで、イッちゃいますか?マニューラ様……エッチなお身体しちゃって…」  
腰を突き上げてマニューラの子宮口を突いてはドラピオンが笑い、  
「ひゃぁ、んッ!あ、あ、や、やだぁ……い、イきたく、無いよぉ……!」  
腕で顔を覆いながらマニューラが首を横に何度も振った。  
「嫌、嫌だよぉ…こ、こんっな……ふぁっ!やだ、やだ、やだぁあ!あっん!」  
訪れようとしている波に怯え、マニューラは尚も首を横に振っては部下たちに恐れている事を教えていた。  
「んっ……んー…なんで、ですかいボス?」  
「う……く……そぉですよ、マニューラ様。気持ちイイんでしょう?」  
部下たちも限界が近い事を互いに知り、マニューラを揺さぶる勢いを増させた。  
「だ、だって…こん、な……あぅっ…こんなので、イッちまったらぁ……  
も……自分じゃ、満足出来ない、よぉ…ッ!!」  
 
「………」  
「………」  
『ぶふっ!』  
アーボックとドラピオンは面食らい、一瞬言葉を失ったがほぼ同時に吹き出してはゲラゲラと笑い出した。  
「ぶはは!ちょ、ボスぅ……さっきっから爆裂の種投げまくりですぜぇ」  
「は、はは!もー、マニューラ様…本当可愛らしいですねぇ…」  
「笑うな!ひぅ…あぁっん…!!とにかく、嫌ぁ…!」  
首を横に振るうマニューラの意思を部下たちは聞き入れるわけも無く、  
彼女に襲い来る波の高さを上げる為、快楽の壷をそれぞれ探ってはそこを重点的に責めた。  
「ん、ぅ…オレさまも、ボス以外の女はもー抱けませんねぇ…ここまでイイなんて知っちまうと」  
「あー……ふー…オレもかな。マニューラ様が良過ぎて、ねぇ…」  
「は、あぁ!やぁ……気持ち…良過ぎ……狂ッ…狂っちまうよぉ…あ、ぁ…」  
部下たちの言葉などもはや耳に届いておらず、マニューラはガクガクと身体を震わせていた。  
膣内は部下たちの性器を締め付けて、直腸内は小刻みに痙攣しており  
絶頂を自分だけではなく、彼らにも促していた。  
「も……イ、ッちまうぅ…はぁっ!あ、ぁ!!」  
「くッ…ボス、オレさまも…」  
「マニューラ様っ!オレ、も…」  
「や………は、あぁっ…あ、ッ、お前たち…ぃ!…ひはっあ、あああぁあぁッ……!!!」  
 
口を大きく開いて牙を剥き出し、マニューラは泣きながら背を弓なりに反らして身体を跳ね飛ばせた。  
──ついに、前方と後方の両方で抱かれての絶頂を迎えたのだった。  
「お、うくッ!!」  
「つ、うぅ…ッ!」  
同時に、部下たちもそれぞれの性器をマニューラの体内で跳ね飛ばせ、先端から白濁の液を放出させた。  
「はぁっ…あ、腹ぁ……あ、ぁ…また…熱…ぃ……」  
震える腕を動かし自分の下腹部に鉤爪を寄せて、体内に放出される熱さに悶えながら  
マニューラは喜悦から笑みを浮かべていた。  
 
「……う、ふぁ……あー……も、ダメだ…」  
射精が治まった所で、アーボックは大きく息を吐いて彼女からヘミペニスを両方抜き取っては  
今のように呟いて藁のベッドの横へとその身を落とした。  
「あー……オレも、疲れた……」  
マニューラを抱きかかえながら、ドラピオンも相棒と同じく息を吐いてペニスを抜き、  
前にゆっくりと倒れこみながら彼女を藁のベッドに寝かせ、その隣にうつ伏せで寝転んだ。  
ドラピオンとアーボックの間に挟まれるように仰向けに寝かされたマニューラは、  
はぁ、と未だ治まらぬ絶頂の余韻と痺れる秘部の感覚に息を吐いた。  
「も……この、馬鹿、共…が……ワタシを、はぁ…壊す気かい…」  
本当は怒鳴りつけてしまいたかったが、もう既にそこまでの体力が無く、  
マニューラは仕方なしに呟く程度の叱咤を飛ばした。  
「へぇ、い…すいませんねぇ、ボス……」  
「はぁ…申し訳、ございませんでした…マニューラ様ぁ…」  
部下たちは声で反省を示したがその顔はニタニタと笑っており、  
マニューラはジロリと彼らを睨んでは、ため息を吐いた。  
「……ま、お前たちが節度を保つ事なんて、端から期待してないけどさ」  
「へへ、ボス分かっていますねぇ」  
「調子に乗るんじゃないよ…もう………眠たい。もう、ワタシは眠るよ…」  
腹部の上で鉤爪を組み合わせ、マニューラは天井を見据えながら呟いた。  
灯りを保っていた皿の油は燃え散りかけており、闇が小さな灯りを侵食しようとしている所を見て  
マニューラはその戦果を見届ける事を、瞳を閉じる事で無視する姿勢をとった。  
「……えぇ、寝て下さいよ、ボス……オレさまも…寝ますんで…」  
広がった胸を床に押し付け直し、アーボックも瞳を瞑った。  
「…おやすみなさいませ、マニューラ様……」  
そしてドラピオンも、息を大きく吐いてから鱗の眉を生やした瞼を下げた。  
 
 
 
 
──瞼に突き刺さるような痛みを覚えた。  
いや、それは痛みではなく、眩しさを痛みと錯覚したのだと理解する前に  
ドラピオンは目を開き、首を上げて頭を振るった。  
「う、うん……?」  
「おー。ようやっと起きたかよ。おせーな」  
頭上で自分を貶す聞こえ、ドラピオンは反射的に顔を上げると  
相棒が舌と尾を揺らして自分を見下ろしていたのを見た。  
次に、窓へと視線を移すと闇はとっくに消え失せて、今は太陽の明かりが十字の影を部屋の中に作っていた。  
あぁ、朝か、と理解した後に身体を起こし上げたが、腰がズクリと痛み、ドラピオンは軽く呻いた。  
「ぐ…うー…いてて…」  
そんな相棒の様子を見て、アーボックはケラケラと笑っては尾でドラピオンの腰を突いた。  
「だっ!」  
「へへへ。童貞の癖に張り切り過ぎだっつーの。弁えろ」  
「う、うるせぇな…!……って、マニューラ様は?」  
突かれた腰を爪で擦り、キョロキョロと部屋の中を眺めてみるがマニューラの姿が無く  
ドラピオンはアーボックに尋ねると、  
「あぁ、ボスなら近くの川で水浴びしに行かれたぜ。そろそろ戻ってくると思うけどよ」  
と、答えが返って来た。するとドラピオンは首をかしげ、水浴び?とアーボックのセリフの一部を復唱した。  
「何で?」  
「何でって……おいおい、コレを見ろって…」  
呆れ気味に、アーボックは尾で床の一部を指し、つられてドラピオンはそこに視線を向けると  
木の板の床には所々白濁の斑点が浮かんでいた。それが自分たちの体液が乾いた成れの果てと知るや否や、  
ドラピオンは「あー…」と、納得した様子で呟いた。  
 
「ボスは『なんだいコレは』つって気にもしてなかったけど。身体に付いたのを洗い落としに行ったワケ」  
「え?」  
アーボックの言葉に、ドラピオンは眉を顰めて彼に詰め寄った。  
「お、おい…それどう言う…」  
「ボス、言っていたじゃねぇか。目を覚ませば、全て忘れる……ってさ」  
「………え?で、でも、あれって…」  
──マニューラが、オレソの実で混乱していると言う主張は、どう考えても彼女の狂言だった。  
自分たちの想いに応える為の口実である事など、アーボックも分かりきっている筈だと、  
ドラピオンは口を挟もうとしたが、アーボックは喉奥から蒸気音を鳴らし  
「……ボスがそー言っているんだから、そーなんだろ。ま、ちょっと寂しいけどなー」  
鎌首をもたげ、項垂れ気味に苦く笑った。  
 
その時、部屋の出入り口を塞ぐ藁の壁がザワザワと動き、それを掻き分けながら  
「戻ったよ」  
と、アーボックとドラピオンの前に、マニューラが姿を現した。  
「お、お帰りなさいませ、ボス」  
「あぁ。おや、ドラピオン起きていたかい。全く、お前は朝が弱いんだねぇ」  
黒色の絹で編みこまれた織物で身体に付着した水分を拭き取りながら、マニューラはドラピオンへ笑みを見せた。  
「え…あ、お、おはようございます…」  
ドラピオンは戸惑いを見せつつも、マニューラに目覚めの挨拶を見せると  
彼女もまた、「あぁ、おはよう」と、返したのだった。  
 
 
「さぁーて、と。今日は何処のお宝を頂こうかねぇ…」  
床に広げた羊皮紙製の地図を囲うように、マニューラ達は床の上に腰を落としていた。  
「ん?ボス、ゼロの島じゃねぇんですか?」  
アーボックが首を伸ばしてマニューラに問うと、彼女は背を伸ばして、まぁね、と返した。  
「…最近、焦りすぎているかなーって思ってさぁ…失敗続きなのに意地になっちまってて…  
だから、しばらくは他のお宝を手に入れつつ、レベルを上げる事に専念しようかねぇってね」  
「なぁる。さすがマニューラ様!」  
ドラピオンが感嘆すると、マニューラはジロリと彼を睨んだ。  
「……ゼロの島で失敗が続いている原因が言うんじゃないよ」  
「うぐっ!……は、はい、そうでした…」  
痛いところを突かれ、ドラピオンは首をペタリと下げて項垂れると  
アーボックがその様を見てはゲラゲラと笑っていた。  
「それに、さぁ……別に、今必要ってワケでも無いしね。でも、いつかは絶対に手に入れて見せるよ」  
鉤爪で拳を作り、それを自分の胸の前まで持ち上げては力を込めると、  
「おぉ、ボス。気合入っていますねぇ」  
と、アーボックが返した。そして次にこうも返した。  
「……でも、いつになりますかねぇ?ゼロの島の財宝を手に入れるのは」  
「──さぁ?数ヵ月はかかるかもしれないし、一年以上かかったりするかもしれないし…」  
 
「…それこそ、世界中のお宝を手に入れるには一生かけてもどうか分からないよねぇ…」  
 
「………え?」  
あからさまに、含んだ言葉を紡いだマニューラに、ドラピオンは反応を見せた。  
「ま、マニューラ様、それって」  
「はぁー。本当、弱い部下を持つと大変さ。……ま、それでも結構楽しいから、良いけどね」  
ドラピオンの言葉をわざとらしく遮って、マニューラは腕を伸ばし拳で彼の鼻を突いた。  
突かれた彼は一瞬たじろいで言葉を失い、そんな彼の様子を見て彼女はクスリと笑った。  
「で、ボスぅ。今日はどちらへ?」  
「ん。そぉ…だね。烈火の洞窟にでもするかねぇ……」  
鉤爪で地図上を指し示しながら、マニューラは呟いた。  
 
「烈火の洞窟!?そこって炎ヤロー共の住処ですぜ!ボスにゃキツいんじゃぁ…」  
アーボックが声を張り上げて、マニューラの出した案に異論を唱えようとしたが  
マニューラは首を横に振り、大丈夫だよ、と返し、  
横に置いておいたトレジャーバックの蓋を開けてはその中に腕を入れた。  
「ワタシたちには、コレがあるからねぇ……っと」  
中を探り、鉤爪にある道具を乗せて持ち上げては、アーボックとドラピオンに見せるように地図の上に掲げた。  
──青く輝く、不思議球を。  
 
「あ…それ……」  
ドラピオンはその不思議球に対し、ドキリと胸の兜を揺らした。  
するとマニューラがニッと笑い、彼の代わりに不思議球の効力を説明した。  
「そう、雨球、だねぇ…炎の力を半減させるんだから、多少の攻撃を喰らってもまぁ大丈夫だよ」  
と、言っては雨球をトレジャーバックに戻し、次に地図を掴んでは縦に丸めて  
それもバックへと入れて蓋を閉じ、紐を掴んで肩に回してから、マニューラはスクッと立ち上がった。  
「さて、目的が決まれば長居は無用。さっさと向うよ」  
腰に鉤爪を寄せ、床の上に座り込む部下たちを見下ろしては急ぐようにと促し、  
マニューラは床を蹴り上げて部屋の出入り口を塞ぐ藁へと駆け出した。  
「え、あ、は、はい!」  
「了解ですぜ、ボス!」  
アーボックとドラピオンは威勢良く返事を上げると、彼女は藁の前で立ち止まった。  
「…あ、そうだ」  
クルリと首を後ろに回し、マニューラは部下たちとそして部屋を眺め、ふぅ、と鼻から息を吐いた。  
「……別室を取っていたけど、結局昨夜は全員こっちで眠っちまったねぇ。  
ポケが勿体無いから、もう別室を取るのは止めにするか」  
 
瞳を細めてクスッと笑ったと同時に、マニューラは藁を掻き分けて部屋の外へと飛び出した。  
そしてそれをアーボックが尽かさず追いかけたが、  
ドラピオンはと言うと、彼女の今の言葉に意識を奪われ出遅れを喰っていた。  
「……あ、ま、待って下さいよ!マニューラ様!おい、アーボック!!」  
ハッと気を取り戻し、ドラピオンは頭と相棒の名を呼びながら、  
追いかけるために慌てて腹部の爪を前へと動かした。  
 
 
 
ドラピオンの願いが叶ったのか、どうか。  
願いをかけたドラピオン本人と、そして願いを叶える事に協力したジラーチだけが、知ると言う──  
 
 

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