「なあ、こんな話を知ってるか?」
学校、晴れた日の昼下がり、食堂内、
いつものように他愛もない会話が繰り広げられようとしていた。
「昔は、人もポケモンも同じだったんだって。」
「…ふ〜ん……」
今日の他愛もない話の、語り手はコイツ。
歴史とかをかじってるから大体の話が『昔は──』で始められる。
聞き手は俺。
身長は四捨五入して190cm。それ以外は実につまらない男。
「だから、人もポケモンも同じだったわけよ!分かるか?」
「分かった。」
「つまりだな…人とポケモンが結婚できたわけよ!すごくね?」
「……へぇ〜」
その話は俺が10歳くらいのとき読んだ本にあったな。
あの時はあまり関心が無かったが…
「ちなみに昔はそれが常識だったそうだ。」
「ふーん…」
既知の話を再び聞くのもアレなので、食べかけのベーグルを手に取る。
「それを禁止・廃止するような文書・条約の類いは一切存在しない。」
「もご…ふご……」
味には文句は無く、美味しさも抜群。
尋常じゃない歯応えと重量でボリュームも最高レベル。
お陰で夕食時まで飲まず食わずでも平気。
「よーうーすーるーにぃっ!今でもポケモンと結婚することは『可能』なのだぁっ!」
「もがっ…かふっ…!……ゴクン。ああ、そう…」
一瞬死を覚悟したが、おいしいみず1Lボトルがノドのベーグルを胃に落としてくれた。
…次からもっとよく噛んで食べよう。
「と、ゆーわけで今から結婚申し込んでくる」
「誰に?」
「サナちゃんに」「ああ……」
この学校にはサーナイトが住み着いている。実際には他にも色々住み着いている。
名前はつけられてないが皆勝手につけている。
そいつに今から告白しようと言うのだ。…告白後のビジョンが手に取るように分かる。
「そんじゃ、行ってきます!赤飯用意して待ってろよ!」
「うーいっ…」
早々とトレーを指定された位置に返し、風のように走る後ろ姿を見届け、
この食堂が弁当持ち込みOKであることにささやかな喜びを感じた。
……さて、文庫本でも読むか。
学校で線香は手に入りそうにないな。
シャー芯でいいか。
そして今日も何のトラブルもあること無く学校が終わり、校舎から出る。
「あ、サナさん。」
「あら……一体何ですか?」
箒で目立つ落ち葉を掃き集めていて、
少し動く度にスカートっぽい白い部分がヒラヒラと揺れ、
俺の呼び掛けに反応して笑いながらこちらを見るサーナイト。
そりゃあアイツも惚れるよなあ。
おまけに感情を読めるんで色々と気がきく。
例えばサナさんに疑問・質問があるなら近づいた時点で待ち構えてくれるしな。
「えーと───を知りませんか?午後に入ってから
姿が見えないんですk「すいませんが分かりませんね。ごめんなさい…力になれなくて」
胸元の赤い角みたいなのに手を当て、尚も笑顔で答える。
どうやら俺はアイツの事をメチャクチャ軽く考えていたようだ。
これでアイツの事を深く考えていたら
「ごめんなさい、どうにも鬱陶しくて……」くらいは言うだろう。
さて、まずはアイツを探していや、家に残ってる食材、余裕があったっけな、
確か今日はあそこのスーパーで野菜が安かったような……
結局野菜はジャガイモのみ買って、ついでに買った板ガムを噛みながら家路に着く。
途中川にアイツの履いていたのと同じ靴と靴下とズボンと上着がそれぞれ一直線に流れていた。
随分な偶然もあるもんだ。
上着の前には何か黒い海草みたいなのが流れていた気がするな。
まあいいか。
味の無くなった板ガムを紙に包んで丸め、ガムの容器内の奥に詰め込む。
三枚目を取ろうとしたが家はもう目の前。ポケットの中を探り、
中に何も入っていないことを確認すると、ドアのハンドルに手を掛け、
引くと軋みなど一切無く開いた。
「ただいまー」
「おかえりなさーい。」
触り心地良さそうな紅蓮の羽毛で、凛とした綺麗な眼がこちらを見ている。
『何よりも特筆すべきはその身体!
羽毛に包まれていながらボディーラインはハッキリしており、
その胸、その腰のくびれ、その下半身のムチムチ差!PERFECT!』
とアイツからお墨付きのバシャーモ。
一応俺のパートナーでもある。
「スーパーで安かったんで…」
「ジャガイモねぇ……ポテトサラダでも作る?」
「ああ、手伝うよ。」
学校ではポケモンの持ち込みが禁止されているから、普段は家においている。
しかし野生のポケモンがやたら学校に住みついているから、持ち込んだとしてもバレない気がする。
でもバレた場合はポケモン没収、
ではなくて反省文五十万字以上。
過大なリスクを乗り越えるよりは家においた方が良い。
「じゃあ、皮を剥いてくれる?」
「りょーかい。」
その点においてはバシャーモは素晴らしい。俺より背が少し低いくらいの人型なので、
大概の家事はこなせる。
─剥いたジャガイモをそのまま鍋に放り込み、
包丁を手に取って手頃な大きさに切り始めた。
たまに料理のレシピ本を欲しがり、
買った次の日には既に本に載った料理が食卓に並ぶ。
─茹でたジャガイモを笊に揚げ、
水気を切ったそれをボウルに入れ、マッシャーでつぶしている。
まあ、ポケモンと人との『主従関係』よりかはルームメイトに近いんだよな。
もしくは同棲相手。
─フライパンにベーコンと共に薄切りのジャガイモを炒め、
百何十度ぐらいの油に粉をまぶして揚げて…何品作る気だろうか。
・
・
・
本日のメニュー。
フライドポテト、ポテトサラダ、ハッシュドポテト、ジャガイモの煮物………
見事なジャガイモ祭りが食卓の上で開催されている。
「ちょっと作りすぎたかな?」
黄色いエプロンを着てフライパンをさらに食卓に置こうとする彼女。
これが人間ならば見事な裸エプロnまあいいか。
席に着き、食事前の例の一言を言って料理をつまむ。
ポテトサラダ以外は量は少ないので全種類を食べることは容易かった。味も文句なし。
サラダは明日、サンドイッチの具として使われるだろう。
「…どう?」
「すごい美味しい。」
「ホント?良かった。」
本当に素晴らしい奴なんだよなぁ…
もしコイツが人間だったらなぁ……言っても仕方ないか。
風呂に入ろう。
「あの……マスター?今日…よろしく……」
……仕方ないんだよなぁ…ポケモンなんだから。
自宅、月明かりが照らす夜、俺の寝室内。
風呂で一日の疲れ、汚れを洗い流し、身体の水気をぬぐってから、
そのまま一糸纏わずに寝室に直行、ベッドを整え、
現在は全裸のまま部屋で仁王立ちをしている。
ここは俺の家だから特に何の問題も無いだろう。
それに何度か彼女が脱がそうとして爪で切り裂いちゃったこともあったしな。
服をオシャカにしたくないだけであって断じてこういう趣味はない。
のしのしと足音が部屋に近づき、ドアのハンドルが回され、
ゆっくりと開けられる。
「マスター、ごめっ!?あっ……」
バシャーモは驚きながらも、こちらの一部分を凝視している。
「ますたぁ…そんな格好だと……もう…」
股間を押さえながら絞り出すような声を出されるとは、よほど溜まっていたようだ。
しかしポケモンだから仕方はない。
「ほら、我慢できないんだろ?おいでおいで」
「……っ…!」
一歩一歩足場を確かめるように歩いて俺の目の前まで来ると、
ギュッと俺の身体を抱き締めた。
俺もお返しと、両手を彼女の背中に回してその赤い羽毛を存分に堪能する。
「ふっ……うぅっ…ますたぁ…」
執拗に俺の身体に全身を擦り付けるバシャーモ、でも仕方無いことなんだよなあ。
見た目で分かるように人間とポケモンは違う。
ポケモンには性機能が活発化する時期があって、その時に子孫を残すことが多いらしい。
その際ナントカのナントカで活発化が異様に激しい奴がいるようで、
家のバシャーモがまさにそれなのだ。
あまり溜めすぎるのは身体に悪いことは良く知っているので、
度々今みたいにバシャーモを抱くことなる。
「ふやぁっ!?ますたぁっ…!」
「…ここまで活発になってるのか……」
ただ利き手じゃない左手で軽く全体を包むように胸を揉んだだけだが、
それで身体が跳ね上がって、股間から流れる雌の臭いが強くなる。
だがしかしここで妥協しては男としてアレな気がするので、次の段階へ移行する。
「ひゃぁん!?」
右手を彼女の股間に押し当て、指を使い掻き回す。
この時点で秘部は十分に溶けており、中は火傷しそうなくらいに熱い。
「ますたぁっ……そんなしたらぁっ…きゃうっ!?」
秘部から粘液が溢れ、絶頂が近いのが分かるが、あえて手を引き抜く。
右手は粘液でびしゃびしゃで、外気の冷たさを感じている。
「ほら、もう充分だろ?」
俺は未だ背中に回されている両腕を引き剥がすと、一歩下がって自身の屹立したナニを見せつける。
「あっ…くぅん……!」
多分バシャーモは、これを口に含んで余すこと無く味わいたいのだろう。
しかし、口を使う行為は禁止している。
どうにも、最中にキスなんかしたら、一線を越えたまま戻ってこれないような気がするから。
バシャーモは俺を床に仰向けに寝かせ、秘部に俺自身が埋まるように腰を沈めた。
「んきゃぁっ!?ますたぁ…!」
そして猛烈な勢いで腰を振り始めた。
「ひゃぁっ…!マスターのがっ…気持ち良いよおっ!」
赤い羽毛。涙ぐんだ眼。口から溢れる甲高い声。そうした顔で腰を振り続ける貪欲さ。
一番肝心なのは秘部。ぐちゃぐちゃと音を激しくたてながら俺のモノが根本まで入ったと思えば
外気にさらされ、再び余すこと無く根本まで飲み込んでくる。
内部はぎゅうぎゅうと引き千切らんばかりに締め付け、火が付くように熱い。
要するに俺に余裕が無い。
「くっ…!バシャーモ……そろそろ…!」
「ひっ…良いよぉ……来てぇ…ますたぁっ!」
俺のモノが秘部に完全に埋まり、内壁が搾り取るように吸い付いた。
「ぐうううっ…!」「ひあああっ!?」
一瞬、自身が爆発したかと思うくらいの快感、それに見合ってるのかは分からないが、
普段よりも明らかに多い量の射精。それも放たれる感覚が何十秒も続いた気がした。
「…ごめんなさい、マスター…どうしても我慢できなくて…」
何にしろ終わった後は何でこんなに虚しいんだろうか。
バシャーモは俺の隣で、ティッシュで事後処理をしている。
「いや、いいよ。仕方ないことだし。」
「うん…私はポケモンでマスターは人間だから。」
今までに何度もこの言葉を事後に聞いたものだが、何か引っ掛かる。
……あ。
「なあ、バシャーモ、こんな話を知ってるか?──」
学校、始まった朝、教室内。
何か用?え、口元に切り傷がある?うん、知ってる。