「ちょ、まって!それはレン、ちょっと無理、かも」  
思わずおこしかける上体を私は前足で優しく止める。  
チナツは、少し怯えているようだった。  
「…レンと一つになれるのはうれしいよ、だけど、さっきの…」  
「どう考えても入りそうになかったな」  
「…うん」  
どうかんばったって、種族の差は縮まみはしない。  
慣れれば、そうと思うも時あるが、今日は我々にとっての初夜だ。  
そもそもうまくいくなどと思ってはいなかった。  
「それでは、入れないから」  
「え?」  
「まあ、中に入れなくともやり方はあるんだけどな」  
「そうなの?」  
「私が君を気持ち良くできるかどうかは自身がないが…」  
「いまさらだよ、レン。好きにして。私を気持ち良くして。レンも気持ち良くなってよ!」  
私は目を丸くした。  
「レンを、近くで見るたびに、私はどんどん幸せになるよ」  
畳み掛けるように続く、チナツの言葉。  
「まあ…ちょっと痛くても、もっとたくさん気持ちいいこと教えてくれたじゃない」  
「教えたというより、割と…無理矢理だったり…君は初めてのくせにやたらうまかったり…正直びっくりさせられっぱなしだ」  
「それは、一生懸命やったからって言ってよ」  
ぷ、とほおを膨らますチナツに、私は苦笑いする。  
「もしね、明日…もうお話できなくなっても私とレンは、このままでいられるよね?」  
笑顔で言うチナツの言葉に、一瞬私は言葉を失った。  
少し、上がる息を整えてから、レンは力強く言う。  
「私は君の物だ、君のポケモンだ。君の望みはすべてかなえる」  
言い切る私に、チナツは優しく笑い、そのやわらがな肩を抱いた。  
「そんなに堅苦しくならないでよ」  
「堅苦しくなんてない」  
「ガッチガチのいわなだれだよ。ロックカットにも程があるよ  
レンはものじゃない。私の大切な、大切なパートナーだよ!ずっと、一緒にいてほしいよ」  
チナツは、本当に眩しかった。首に抱きつかれ、ぎゅっと手を回される。  
まっさらな未成熟な体が私の体に直接触れて、すこし動揺する。  
「…だから、ね、最後まで行かなくてもしよう?レンがもっと気持ち良くなるの、教えて」  
「…チナツ、いいのか?」  
「いい。…教えてよ、レン。大人の、やり方…」  
チナツはすっと、私のから身を離した。少し淋しそうに笑い、私の前で少し腕を広げて、首を傾げた。  
「ね、きれいかな…私」  
「…ああ、君は私の、女神だ…」  
私は思わず本音をこぼす。チナツに出会えたこと、チナツに育ててもらったこと、チナツと旅に出れたこと。傍にいれた事が何よりの幸せだった。  
お互いに、自然に口付けを交わす。口の構造は異なるけれど、チナツは私の鼻先に触れ、私のチナツの唇に触れる。  
とてもささやかな行為。  
人間とポケモン。隔たる壁なんて見えないように、二人は二人の世界へ落ちて行った。  
 
「な、なんだか恥ずかしいね」  
チナツは顔を赤らめて、後ろの私を振り向く。  
彼女はベッドの上で四つんばいになっていた。足は閉じてくれ、と言われたままに、腰を上に突き出すような姿勢だった。  
正直恥ずかしいだろうが、その後ろには私がいる。  
どういう事をするのかよく分からずに、チナツは恐る恐る振り返る。  
「レン、入れないよね?」  
「入れない。入れたいのは山々だが、我慢する」  
目の前の、チナツの…最初とは違う、熟したそれが愛液を垂らして、まるで自分を誘っているかのように見える。  
だが、そこに突っ込むのは簡単だが、今はそういう訳にはいかない。  
ごくり、と息を呑んで、私はそそり立つ自分自身を、チナツの太ももへとゆっくりと差し込んでいった。  
また、チナツの中との別の感触が私の肉棒を包み込む。  
その太ももだけでなく、その先にある、器官。大切な入り口にあるひだが、私の動きにあわせてゆっくりと、やわらかく触れた。  
「…あ…」  
チナツは小さな声を、私は思わず溜め息が漏らした。やはり、チナツは暖かい。  
先ほどお互いにねぶりあった唾液と蜜が十分な潤滑剤となり、それは滑らかに、さらなる快楽を生むように、私の回りに絡み付いて熱を与えてくる。  
ゆっくり、前へと進んでいく。チナツがふるふると体を震わせた。  
「レンの、熱いのが触ってる…」  
「チナツのも吸い付いてくるみたいだ」  
その、たとえるならば貝のような器官が私を包み込むように…私の勝手な感覚からしたら、この肉棒を離すまいと、食いついてくる気がした。  
幼いチナツの体が短時間でこのような成熟ぶりを見せるとは…ぶるり、と私の腰が揺らめく。  
ああ、食って、貪り食ってしまいたい。  
「動くぞ」  
ぷちゅ、と柔らかい襞をかきわけるような音を立て、私はチナツのかたく絞められた足の…入り口を過ぎ、その上の快楽を生む突起を捜し当てた  
「…あっ…!」  
私の先端が触れただけで、体全体が跳ねた。  
「ん…っ、ん、あっ、なにっ、これぇっ…」  
枕に顔を押しつけるように、チナツの甘い声が漏れる  
「れ、レン、どうしよ、わたし、おかしくなる…!」  
反射的にきゅっとかたく閉じた太ももにも性器が触れ、更に快感が増す。  
「だめっ、動かしちゃだめぇ…!あっ、また、来ちゃうよっ…」  
ぬる、ぬる、と音もなく、私とチナツの性器がこすれあう。  
私の荒い獣の吐息が、チナツの可愛らしい悲鳴が、美しい部屋へ響く。  
「気持ちいいよ…っ」  
先端が、チナツの一番気持ちの良いだろう小さな突起を押しつぶすように滑り、さらに私が腰を引くたびにちゅるん、と引っ掛かるように跳ねた。  
そんな仕草がチナツに快楽を与えているようだ。  
「ひゃ、あっ、ああ、あっあんっ、レンっ、レンっ!」  
きゅっと下腹に力をこめて、快楽に耐えるチナツだが、私にとってもそれは愉悦を含む行為だ。  
チナツの肉が私のむき出しの情欲をぎゅうぎゅう締め付けて、もっともっとと訴えているようで…  
無論それは私の身勝手な想像でしかなかったが、私も夢中で腰を動かした。  
「レ、レンっ、あっ、身体が熱いよっ、気持ち良くて…、おかしくなっちゃうよっ」  
「チナツ、チナツ…!」  
彼女の首に牙を軽くあてて甘がみする。  
「や、あっ!だめえっ…!」  
短く、悲鳴じみた声を盛らしたチナツが、ガクガクと震えて、体を反らした。  
私もその姿にあおられ、チナツの下腹に精液をぶちまける。  
勢い良く放たれたそれは、息を荒くしたチナツの胸まで汚し、なんとも言いがたい罪悪感を覚える。  
チナツにはぺたりとベッドに沈み込み、高ぶった息を押さえようと、真っ赤な顔を枕に押しつけていた。  
私は首を上げ、荒い息を繰り返す。  
精液の独特の匂いと、獣の汗の匂いが部屋に充満していた  
私は満たされていた。  
たとえ一晩の夢であれ、チナツと愛を語らい、愛を育めたことを。  
それが例えば、世界に逆らうことだとしても…  
私たちだけは、今、幸せであることを…  
 
事後、とてもけだるかったが二人でシャワーを浴びた。  
半分寝かけているチナツの首をつかみ、背に乗せて、バスルームへ向かう。  
チナツはぼんやりしながら、熱目の湯を浴び、さんざん自分の精液を浴びてべたべたになった体を洗う。なんだろう、いい香りがすると思ったらモモンの香りだ。  
私は風呂はあまり好きではないし、なにより自分のタイプは電気だ。弱点にはあまり近づきたくなかった。  
入り口にたたずんでいると、  
「レンもおいでよ」  
あっさりとしたチナツの言葉にぎょっとした。  
「いや、私は結構…」  
「だって汚いよ、レン」  
チナツは困ったように、私の首筋を撫でた。  
「きれいにしよ?」  
「…ああ」  
断れられるはずもなかった。相手はチナツだし、何より自分は汚い。汗と体液でぐちゃぐちゃだ。  
「わかった、いい子いい子」  
頭を撫でられて、少し首をすくめた。  
彼女は自分のボディーソープを両手で泡立てると、丁寧に私の体を洗っていった。  
「おや、いつものと違うのか」  
「本当はね、無添加無着色だからポケモンにも使えるんだよ。高いからあんまりつかえないんだけど、今日は特別ね」  
耳の辺りをマッサージするように、チナツの小さな手が私を綺麗に洗っていく。  
それはとても心地よくて、ついうっとりと目を細めてしまう。  
鼻からはチナツと同じ香り、すぐ傍にはチナツ。  
不幸に満ちた己の生まれなど、もうそんなものは意味をなさないくらいに、今、幸せに満ちていた。  
 
一番苦手なシャワーでさえ、今日はは静かに堪えた。  
その後のドライヤーでのブローは、眠りたくなるほど心地がいい。  
私は図体が大きいため、時間がかかるのだが、チナツは丁寧に、時間をかけてやってくれる。  
すべてが終わった頃、もう夜もすっかりと更けていた。  
夜が明けるまで、そうジラーチと約束した時間までは後もう少しだ。  
せっかくの大きなベッドに、私とチナツは一緒に横になった。  
普段のポケモンセンター暮しではとてもできないが、今日だけは特別だ。  
疲れたのか、もう微睡みかけているチナツの胸に、私の顔を抱かれている。  
チナツの鼓動が私に伝わる。  
「ねえ、レン…もし、明日になって、言葉が…通じなくなっても…」  
「なんだ?」  
「私たち、分かりあえるよね…」  
「ああ」  
言葉足らずのチナツ。私はもう少しだけチナツに寄り添い、つぶやく。  
「今までそうだっただろう?今日、またもっと分かりあえたんだから、これからはもっと、分かりあえるさ」  
「…そっか、そうだよね」  
「ああ」  
チナツは私の前脚をとる。柔らかな頬に寄せて、呟く。  
「私、レンが大好き…」  
少し驚いて、チナツ?と言い掛けた言葉が言えなかった。  
完全に眠りに落ちたのだろう。小さな胸が穏やかに上下し、くったりと枕に横顔が沈んでいた。  
 
今までのこと、今日のこと、これからのこと。私たちに課せられる問題はたくさんあるのだろう。  
だが、私はチナツのために生きていこう。  
君に生かされた命を、君のために使おう。たとえ、自らを引き替えにしても、何も悔いは残らない。  
 
規則正しい寝息をたてるチナツをしばらく見つめ、私も目を閉じた。  
この暖かさを忘れることは生涯ないだろうと思いながら…  
 
 
――――あれから、一日が経過した。  
 
我々はトバリデパートの最上階にいた。  
さきほどから…件のリゾートエリア経営の男性とチナツが散々話をしている。  
今朝、私たちが疲れでのろのろしている間に、リゾートエリア組が颯爽と帰ってきたのだ。  
素晴らしい旅をありがとう!と彼に別れをつげ、チナツの元に集まる彼らは非常に満足気で、毛づやが良い。  
「ミミロップのお耳ふっかふかだよー、レンく―ん」大きな耳をひっぱりながら、レンのそばにやってくるのはミミロップだ。  
「あれ、レンくんも洗ってもらってるー、いいなー」「プロがするものではないがね」  
昨日の騒ぎでべたべたになったものだから、いつもの通り、チナツが洗ってくれただけなのだが、レンにとってはそれが一番嬉しく、誇りだった。  
「…でさ、昨日はどうだったわけ?」  
「昨日?」  
「やだなぁ、ごまかさないでよ。チナツとえっちな事、したんでしょ」  
くふふふ、と口に手を添えて意地悪そうに笑うミミロップ。  
レンはその態度が気に入らなくて唸り声を鳴らしてやる。  
「噛むぞ」  
「キャー!レンくんに噛まれちゃうー」  
キャハハハと楽しそうに笑うミミロップの姿を見て、少し離れていたリオルがてくてくと歩いてくる。  
「何の話だ?」  
 
「大人の話だ」  
「大人の話だよっ」  
 
見事に揃う、私とミミロップの声。  
それが気にならないのは当然リオルだ。  
「私はもう大人だ!ばかにするな!」  
「なら進化してみなよー。ルカリオにねっ」  
「大人扱いされたいというのは大概子供だ」  
二匹に論破され、リオルは言葉を失い、ぐっと歯を食い縛った。  
「いつかおまえたちより立派なポケモンになってやる!」  
リオルは有りがちな捨て台詞を残して、チナツの傍へと駆け寄っていった。  
「だから子供だって言われるのにねぇ」  
くすくすとわらうミミロップに、私は苦笑いで返すしかなかった。  
 
他のポケモンたちはチナツのところでお土産やら毛づや自慢やら大騒ぎをしている。  
これ見よがしに翼を広げるムクホーク、いつも美しいロズレイドの薔薇は、更に美しく咲き誇っているように見える。  
「ありがとうございました。みんな満足そうで良かったです」  
「いえいえこちらこそ。あんなことならいくらでもさせて頂きますとも」  
男は丁重にチナツの手を握り、深々と挨拶をした。  
「よろしければまたおいでください。ポケモンたちも大喜びでしたよ」  
笑顔で言うその男に、チナツは少し複雑に笑って答えた。  
「…いつか私たちの腕で行けるようになって、別荘なんか持ったりできたときは、是非」  
「はい、その際にはごひいきにお願いします。お待ちしておりますよ」  
二人は笑顔で握手して、別れた。  
―いつか自分の力で。  
青年を見送るチナツの手がぎゅっと握られた。  
まだまだ目標には遠いけれど、いつかみんなで―  
そんなチナツの意気込みを感じた気がした。  
 
青年と別れ、今は一休み中だ。  
落ち着いてこれからの旅について考えなくちゃ、とソファに腰掛けて、くたびれかけた鞄を床に置く。  
そのポケットから擦り切れて、何か所かテープで補修してあるマップを取り出した。  
「次はキッサキシティにいくのか…きっと雪がすごいよね、あったかい格好していかなくちゃね」  
ポケッチを弄りながら、マップを膝に広げたチナツがつぶやく。  
「んー、誰を連れていこうかなぁ…ほのおポケモンがやっぱりいるよねぇ」  
その言葉を耳にしたミミロップが含み笑いをしながらリオルに声をかける。  
「リオル、リストラされるんじゃなーい?」  
「お前こそ、れいとうパンチでどうやって氷ポケモンと戦うつもりだ」  
「ミミロップはノーマルわざ強いもーん。リオルはルカリオになってから言ってよねー」  
「なんだと!」  
二人の喧嘩はまるで兄弟がじゃれあっているようだ。仲睦まじいのはいいが、やりすぎはまわりに迷惑だ。  
「こら、騒ぐな」  
ちらっと二人を睨み付けると、すぐに静かになる。  
チナツのポケモンがみんな兄弟みたいなものだとしたら、私は長兄といった所だろうか。  
私が一番チナツと暮らした時間が長いのだから自然にそうなるのかもしれないが…弟たちは皆やんちゃで困る。  
「よし、決めた!」  
チナツはそういうと、くたびれたマップを丁寧にたたみ、バッグにしまう。  
「テンガン山越えもあるからしっかり準備していかなきゃ。  
せっかくデパートに来たんだし、まずは買い物をすませてから行こうか」  
確認を求めるようにちらっとチナツが私を見る。  
私は少し頷いて見せる。言葉はなくても、昔から二人のお約束の仕草だ。  
「それじゃ、行こうか!」  
立ち上がり、にっこり笑って皆へと旅立ちを促す。  
とたんにリオルがチナツのそばに行き掛け、チナツの手を取ろうとした。  
が、リオルはいけない!とばかりに手を引っ込めてしまう。  
クスクス笑うミミロップが後ろから眺めている。  
そんなリオルの様子を見たチナツはどうしたの?、とリオルの手をいつものように握って、笑う。  
顔を真っ赤にしたリオルを見て、ミミロップがさらにクスクスと笑う。  
本当に仲のいい二人だ。私は苦笑いしてしまう。  
私はいつものようにチナツの横を歩く。何か合ったときにすぐ守れる位置だ。  
チナツが私をちらっと見たと思ったら、不意に頭を撫でられた。  
「頑張ろうね」  
その微笑みはなぜか少しくすぐったくて、私は思わず目を細めてしまった。  
 
ああ、君のためなら私はどんなことだってできるさ、と。  
 

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