たった一度の過ちが、取り返しのつかない結果をもたらすことがある。  
いくら反省しても元に戻ることは決してない、己の運命全てを歪めてしまうほどの転機。  
それが、この世の中には確かに存在する。  
そのことを…ブイゼルは噛みしめていた。  
 
 
「お前は可愛いな、ブイゼル」  
「あっ、くぅっ!んっ、あんっ…!」  
体の後ろから伸びた男の手がゆっくりと脇腹を撫であげ、そのまま全身を滑るように刺激していく。  
首元には暖かい息が吹きかかり、そっと頬のあたりに寄せられた男の唇が次第に中央へと移動してくる。  
横を向くと、その男、自分の主人である人間の優しそうな目が瞳に映った。  
もう何を言いたいのかが、見ただけで分かる。  
ブイゼルはこくんと頷くと、さっきまで愛撫に悶えて喘ぎ声を流していたその口を自分から動かし、人間のそこに重ねた。  
くちゅ…くちゅ…  
唇を割って躊躇なく温かい舌先が侵入し、動き回る。  
ポケモンである自分が相手だというのに、この人間は非常に楽しそうに口腔内を愛撫してくる。  
長時間口を塞がれ、ブイゼルの小さな黒い鼻からくぴくぴと荒い息が漏れた。  
1分…2分…  
執拗に。  
その言葉がぴったりくるぐらい、人間の口撫が続く。  
肉厚の舌がねっとりと絡ませられ、口腔内の全てを撫で、擦り、刺激する。  
元々水タイプで少し体温が低めのブイゼルの内部へ、粘膜ごしに直接人間の熱が送り込まれ、  
脳が茹でられているかのようにぼうっと意識がぼやけてきた。  
くにっ…  
それまで腹部を愛撫していた人間の手が、そっと股間に伸びる。  
触られてもないのにキスだけで既に半分立ち上がりかけていたそこは、  
余程敏感になっているのか、握りこまれただけで先ほどの2倍くらいまでに大きくなって、  
人間の手のひらから元気に顔を出してしまった。  
甘い香りが周囲に広がっていく。  
 
「今日も元気だな」  
やっと口を解放してくれた人間が、今度はゆっくりと局部を撫で上げながら満足そうにほほ笑む。  
ブイゼルはただただその手つきを眺めながら、頬をピンク色に染め上げ、身を預けていた。  
無抵抗なその姿。  
一瞬だけこの1人と1体の姿を見ただけならば、お互いが進んでそういう行為をしているように見えるかもしれない。  
しかし、もしじっと観察していたら、このブイゼルが決してこの行為を楽しんでいるわけではないと気付いただろう。  
確かにブイゼルの目は性的快楽に潤んではいるものの、  
その瞳の奥には、絶望から来る諦観の色が深く刻まれているのが見て取れただろうから…。  
 
「気持ちいいか?ブイゼル」  
「ん…あっ…、は、はい…。すごく、いいです…」  
くにゅっ、くりっ…くちゅっ、くちゅっ…  
まだ立ち上がったばかりのブイゼルの肉茎を、人間の器用な長い指がこねあげていく。  
ふとその人差し指が小さく鈴口の開いた先端にあてがわれると…  
ねと…っとその先っぽから黄金色の糸が伸びた。  
「ふぁっ…!」  
「もう出てきたな。毎日毎日エロい奴だ。さあ、今夜もしっかり愉しませてくれよ。こいつらもお待ちかねだ」  
薄暗い小屋の中、人間が顎で示した方を見やると、  
既にお馴染みとなったポケモン達がじっとこちらを見つめているのが目に入った。  
物欲しそうなその顔。  
ヨダレを垂らしているやつまでいる。  
「まずはピチュー。お前からだ」  
「やったぁ!一番だぁ!」  
トコトコと嬉しそうに駆け寄ってくる幼い顔。  
その目の前で、ブイゼルの局部を握りこむ人間の手が少しだけ強めに根元を絞りこんだ。  
「んっ…、はぁぁっ…ん…」  
とぷっ…  
たまらず快感に喘いだその先端から淫猥な雫が膨らみ、あっという間に肉茎を垂れて滑り落ちていく。  
その雫が…黄金色だった。  
赤く染まった粘膜を伝い、それが皮との境目に達しようかというその瞬間、  
ピチューの小さな舌が伸びて、まるで子供が溶けそうなソフトクリームを舐めとるように  
肉茎の先端までつつーっとなぞっていった。  
「うぁっ!んっ!」  
そのひと舐めがまた新たな刺激となって、  
ブイゼルの興奮しきった先端から黄金色の粘液がとめどなく溢れだし、甘い香りで辺りを満たしていく。  
「今日もよく出てるな。おいしいか?ピチュー」  
「うんっ!」  
口の周りをもうベトベトにしながら、嬉しそうに答えるピチュー。  
後ろでは他のポケモン達が待ちきれないとばかりに目を血走らせている。  
「んぐっ…!」  
くちゅっ、くむっ…  
肉茎をピチューの好きにさせながら、人間はまたブイゼルの口を犯し始めた。  
 
ああ…  
なんで、なんで、こんなことになってしまったんだろう?  
いや、原因は分かっている。  
ただその過ちがもたらしたあまりに過酷すぎる現実を、受け止めきれずにいるだけなのだ。  
そう。あの時あの場所で…  
ブイゼルは、己の中の運命の歯車が突然不協和音を奏で始めた音を確かに聞いたのだ。  
 
◆  
 
「琥珀の森?」  
「えー、ブイゼル聞いたことなかったの?甘党には有名だよ!」  
それはまだほんの数か月前のこと。  
遊び仲間だったブルーとのそんな会話がきっかけだった。  
ブルーは頭がキャンディみたいな形をしてるだけあってかなりの甘党で、  
ブルーの勧める甘いものにはハズレがないって評判だ。  
ブイゼルも実はかなりの甘いもの好きで、甘い木の実なんかには目がない。  
この前なんか、自分の顔くらいの大きさのカイスの実を全部食べてしまったほどだ。  
そんな2体のこと、会話も当然のことながらそういう話題が多くなり…  
そこでブルーが言いだしたのが、「琥珀の森」だった。  
 
「琥珀の森はね、ビークインが住んでるんだ!」  
「ビークイン?」  
「うん。ミツハニー達の親玉だよ。でね、ミツハニー達がいつもせっせと運んでくるあま〜〜い蜜をね、  
いっぱいためこんで、ものすっご〜〜〜〜っく甘い蜜を作ってるんだ!」  
「ものすっごく…甘い蜜…」  
じゅるっ…ごくんっ…。  
垂れそうになるヨダレを慌てて飲み込んだ。  
聞いただけで全身が震えそうになるほどの、美味しそうな名前だ。  
甘い蜜だけでもかなりの美味しさだというのに…。  
隣のブルーは目をきらきらと輝かせながら中空を見つめている。  
「でも…」  
と、突然その瞳の色が輝きを失い、口調も一気にトーンダウンしてしまった。  
「でも?」  
「気性が荒いミツハニー達がいっぱいで近づけないんだけどねー」  
がくっ。  
「ダメじゃん…」  
「うん…」  
頭を垂れる2体。  
その場はそれでおしまいだった。  
でも、夜になっても、また次の日になっても、  
琥珀の森のビークイン。ものすっご〜〜〜〜っく甘い蜜。  
その言葉がブイゼルの頭を離れることはなかった。  
ほんのちょっと、一舐めでいいから、味わってみたい……。  
 
結局数日後には、ブルーに聞いたその場所へとブイゼルはやってきていた。  
琥珀の森。  
その名前がつけられているだけで、普通に生えているだけの木々がまるで黄金色に輝いているかのように見える。  
新緑の葉に太陽の光が反射してまたたき、垂れ落ちる朝露はまるで本物の蜜のようだ。  
甘い蜜。  
甘い蜜。  
ものすっご〜〜〜〜っく甘い蜜。  
ブツブツと呪文のようにその言葉を繰り返しながら、ブイゼルはその森奥深くへと進んでいった。  
 
「おい、お前!この森に何の用だ!?」  
突然後ろから浴びせられた鋭い声に振り向くと、  
1体のミツハニーが音も立てずに空中をホバリングしていた。  
普段花の蜜をあつめて飛び回っている時とはまるで異なり、  
その声の端々から警戒心が露骨なまでに顔を出している。  
いきなりそんな目を吊り上げて話しかけてこなくても…と思いつつ、話し始めたブイゼルだったが…  
「あのー、実はここにビークインがいるって聞いて、ものすっごく甘い蜜っていうのを…うわっ!」  
言えたのはそこまでだった。  
ここに来た理由を言い始めたまだ途中だというのに、  
ミツハニーは突然、その言葉を遮るようにしてブイゼルを攻撃してきたのだ。  
猛烈な勢いで突進してくると、真空状になった空気の刃がブイゼルを襲い、地面をえぐった。  
よけなければ…当たっていた。  
 
「ちょっ、ちょっと待ってよ!」  
必死で避けるブイゼルの声を聞こうともせず、連続で空気の刃が撃ち込まれてくる。  
「そっちがその気なら…!」  
ブルーから琥珀の森のミツハニーは気性が荒いから気をつけた方がいいとは言われていたけど…。  
ポケモン同士、そんなに話が通じないはずがない。  
もしかしてちゃんと話せば、少しくらい蜜を分けてくれるかも…なんて甘い考えを抱いていたブイゼルは、  
いきなり攻撃されて頭に血が上ってしまった。  
得意の水の中とまではいかないまでも、素早い動きには自信がある。  
あまごいを使って雨を降らせ、2倍のスピードになったブイゼルには  
空中を自在に飛び回るミツハニーの動きでさえ、スローモーションに見えた。  
ミツハニーの体当たりを余裕をもってかわすと、隙だらけのその背後から冷凍ビームをお見舞いしてやった。  
「わあぁっ!」  
パキッ!ビキビキッ!  
雨で濡れていたミツハニーの体が一瞬で氷に覆われ、地面へと落下していく。  
弱点をつかれ、完全に氷状態になってしまったミツハニーは、満足に動くこともできなくなってしまった。  
(なぁんだ、こいつら大したことないじゃん)  
タイプ的にも、実力でも己の優位を確信したブイゼルは、ちょっとした高揚感に包まれながら更に森の奥を目指していった。  
 
実際、ブイゼルにとって琥珀の森を進んでいくのはそれほど困難なことではなかった。  
森の中に小川が流れていたのだ。  
琥珀の森を巡回するミツハニーも、他の虫ポケモン達も、水の中を進むぶんには全く問題にならない。  
川の中を遡って行き、その水がめである大きな湖にたどり着くと、  
その湖畔に目指すべきものがあった。  
琥珀色に輝く大きな巣。  
いや、それはもはや、巣というよりは城と呼んだ方がしっくりくるかもしれない。  
琥珀色に塗り固められた壁が幾何学的な形態を呈し、  
内部にいる女王、ビークインを守るべく張り巡らされている。  
(すごい…)  
想像以上の美しさとその威容に、思わず気押されそうになったブイゼルだったが、  
あまい蜜への好奇心と、突然問答無用で攻撃をしかけてくるようなミツハニー達への怒りが背中を押して、  
そっと水路からその城へと侵入していった。  
 
ビークインを見つけるのは容易かった。  
大きな城だというのに、その外側と違って内部には全くと言っていいほどミツハニー達がいないのだ。  
やっと見つけた1体のメスのミツハニーを襲って凍らせると、  
女中として女王の世話をしているというそのミツハニーは、怯えた目つきでペラペラと喋り出した。  
城の中は男子禁制で、今ここにいるのは自分と女王のビークインだけであること。  
女王はまだなりたての、若いビークインであること。  
ミツハニーが集めた蜜の中でも最上級のものを女王のもとへ運び、  
それを女王が体内で熟成させて、最高に甘い蜜を作っていること…。  
全てをしゃべり尽くした上に、寝室の場所まで教えてくれた。  
まったく、ビークインもいい部下を持ったもんだ。  
他に誰もいないと分かると、もう何も遠慮することなどなくなった。  
教えられた寝室へと進み、バンっと大きな音を立てて扉を開けると、  
ふかふかした白い繭のようなベッドに横たわるビークインの姿があった。  
 
「あんたがビークイン?」  
「何奴っ!!どうやってここに入ってきた!?」  
ブイゼルの姿を認めた瞬間、ブォン!っと羽音を立てて飛び上がるビークイン。  
すごいプレッシャーだ。  
まだ若い…というより幼いくらいの年齢と聞いていたけれど、とてもそうは見えない。  
腕を広げ、眼を鋭く光らせるその姿からは女王の風格とも言うべきものが感じられた。  
 
「まあ、そう怒らずに話を聞いてよ。ボクはただキミの作ってるっていう、  
ものすっごく甘い蜜っていうのを分けてほしいと思って…」  
低姿勢に話し始めたブイゼルだったが、ビークインの反応はミツハニーと同様、取り付くしまもないものだった。  
言葉を遮るようにして、怒声が響き渡る。  
「貴様…!わらわの蜜を分けろ、だと?汚らわしい!!  
誰が貴様ごときに!その口が開くのを見たくもないわ!消えるがいい!」  
……。  
もしかして女王なら少しは話が通じるかもと思っていたけれど、  
やはりそれも無理だったみたいだ。  
(話くらい聞いてくれたっていいじゃないか!そんなに無理を言ってるわけじゃないのに!)  
あまりの話し合いの通じなさに、これまでの期待が逆に失望から怒りになってブイゼルを包む。  
その目の前で、ビークインがあからさまに戦闘体勢をとってきた。  
これはもう、力ずくでいくしかない。  
ブイゼルは覚悟を決めた。  
 
「去ねぃっ!!」  
ビークインを中心に、放射線状に音波が走る。  
それはそのまま部屋中の壁を揺らし、城全体に広がっていった。  
しかし、1秒…2秒…と時が過ぎても、何の変化も起こらない。  
「っ!?」  
不思議そうに辺りを見渡すビークインに、ブイゼルは余裕の表情で説明してやった。  
「キミの攻撃司令も、防御司令も、外には聞こえないよ。今ボクが外で大雨を降らせてるからね。  
雨が城の外壁を叩く音で、城の外のミツハニーには全く音が届いていないから」  
ゆっくりとビークインに歩み寄る。  
動揺したその顔を見つめながら、最後の説得を試みた。  
「ねえ、ちょっとだけでいいんだ。キミの作る甘い蜜をわけてくれないかな」  
しかし…部下を呼ぶこともできず、窮地に立たされたはずのビークインに、一片の変化も見られなかった。  
「ふざけるな、まだ言うかこの下郎が!貴様ごとき下賤の者にくれてやる蜜などないわ!」  
(はぁ……)  
この強硬で高慢な態度は何なんだろう。  
ビークインの作るものすっごく甘い蜜って、そんなに大事なものなんだろうか?  
これだけ強く拒絶されると、かえって是が非でも欲しくなってしまうのが人情ってもんだ。  
ついに己の体で襲いかかってきたビークインの技を難なくかわすと、  
「後で後悔しても知らないからねっ!」  
その体に勢いよく水流を叩きつけた…。  
 
羽を湿らせ、冷凍ビームで凍らせる。  
ミツハニーに有効だったこの作戦は、当然のことながらビークインにも効果的だった。  
部下から切り離され、羽を凍らされ、凍傷で動きを封じられたビークインはただ悔しそうに顔を歪めて横たわっている。  
飛翔していた時はスカートのように広がっていた下半身も、水に濡れややしっとりと細まった姿へと変化していた。  
「ほら、言わんこっちゃない。ねえ、甘い蜜はどこ?」  
「き、貴様…!」  
「ねえ、いい加減あきらめたほうがよくない?命は惜しいでしょ?蜜を分けてくれるだけでいいんだしさ」  
このセリフ、まるで悪役だな…と思いつつ言葉を投げかけると、  
さすがのビークインもついに観念したらしい。  
「くっ…。仕方がない。下賜してやらんでも…ない。我が蜜を」  
まだかなり上から目線だったけど…。  
 
「ほんとっ!?ねえ、どこにあるの?」  
「……。こ…、ここ…だ」  
目を輝かせるブイゼルの前で、ビークインの凍える細い腕がゆっくりと己の下半身をまさぐる。  
水に濡れて細まったヒダをそっとめくり上げていくと、  
その奥深くから、綺麗なピンク色をした粘膜のスリットが顔を出した…。  
 
「えっ!?」  
ドキッ!!ドクン、ドクン…!  
その姿を見た瞬間、ブイゼルはかぁっと顔が熱くなり、心臓がとてつもない速さで脈打ち出すのを感じた。  
(そ、それ、あの、それってもしかして…女の子にとって、恥ずかしいところなんじゃあ…?)  
自分が同じような体勢をとったらどうなるか、想像してみる。  
そこには間違いなく、男の子のしるしがあるはずの部位だ。  
ビークインはメスだから、自分みたいなオチンチンはなくて、そこにあるのは…そのぉ…  
「ちょっ、あのっ…ビークイン…」  
「どうした?欲しいのではないのか、ここから出る我が蜜が…?この…下衆めが!」」  
悔しそうに、指でそこをめくりあげるビークインの顔は羞恥で真っ赤だった。  
間違いない。  
そこはビークインにとっての性器なんだ。  
これじゃあ、蜜をくれって言って嫌がるのも当たり前だ。  
(こんなひどいこと…するつもりじゃなかったのに…)  
ブイゼルは、ほんの出来心でスカートめくりをして女の子を泣かせてしまった小学生のように、  
どうしていいか分からない、居たたまれない気持ちになって立ちすくんでいた。  
 
「さあ、早く摂取するがいい。わらわを辱める気か!」  
こんな恰好になっていてもまだ、ビークインのその言葉からはプレッシャーが感じられた。  
そして、恥ずかしそうに指で示されたその秘所からは、  
左右のピンク色の肉襞から湧水が染み出すようにして、ゆっくりと黄金色の液体が滲みはじめていた。  
粘性の高いその体液が、ヒダの下端にじざじわと雫を形成する。  
と同時に…  
ふわぁっ…  
(ああ…。いい…匂いだ…)  
とびっきり甘い蜜の香り。  
今まで舐めた甘い蜜を遥かに凌駕するその強い芳香。  
ほんの少し染み出しただけだというのに、その液体から広がった香りはたちまちブイゼルを虜にし、  
さっきまでの居たたまれなかった気持ちを隅へと追いやってしまった。  
気がつけばブイゼルは、花の蜜に吸い寄せられるミツハニーさながらに  
ビークインのその場所へと顔を近づけていた。  
 
「は…、早く…!舐めとるがいい…!」  
じぃっと見つめるブイゼルの目の先で、綺麗なピンク色の陰唇がひくひくと震えている。  
(これが女の子の…初めて見る…)  
「ひぅっ!」  
滲み出る液の出所を探ろうと、くいっと肉球で縦についた唇のようなそこを広げると、  
蜜壺からトロッ、トロッと黄金色の雫が分泌されていた。  
(すごい…)  
少しだけ指を挿し入れると、ざらざらした粘膜のヒダの1つ1つが蠕動しながら、  
じゅくっ…じゅくっ…と濃厚な蜜を絞り出しているのが感じられた。  
エロい。  
まだ性体験というものを経験したことのなかったブイゼルだったが、  
本能でそれが淫猥なものであることを理解していた。  
そして同時に…  
(オチンチンが…すっごい硬くなってる…)  
ビークインの秘所に小さく指を挿し入れながら、  
性的興奮によって自分の股間が著しく膨張しているのに気かついていた。  
つぷっ…と指を引き抜くと、せき止められていた蜜が一筋の糸のようにトローっと流れ出す。  
「くぅぅっ!」  
指を引き抜いた瞬間のざらっとした刺激がよほど耐え難かったのか、  
気丈だったビークインが押し殺した声を漏らしながら、未だ自由の効かない体をヒクつかせた。  
ブイゼルは内部から溢れてきたその濃厚な蜜をそっと手ですくい取り、口元へと運んで行く。  
じゅっ、ちゅぷっ…じゅるっ!  
甘く香るその液体を啜りあげると、強烈な甘さと、濃厚な香りと、そして淫猥な匂いが一体となって  
口腔内から鼻腔へと突きぬけ――ブイゼルを狂わせた。  
媚薬。  
そう表現しても差し支えはないだろう。  
もはやその蜜は単なる食物の域を超え、オスの欲求を異常なまでに高める薬効を有していたのだから。  
 
「あ…ふぁぁ…、す、すっごぉい…!おぉいしいよぉ〜〜!」  
ちゅうっ、くちゅっ、じゅるっ…!!  
「はぁぁぁぁんっ!あっ、いやぁぁぁっ!ダメぇっ!」  
一舐めしただけで、理性も、分別も、何もかもが一緒くたになって吹き飛んでしまった。  
指をつけるのももどかしいとばかりに、ぐいっと陰唇を左右に広げ上げ、  
直接口で秘所を覆い込み、思いっきり吸い上げる。  
突然の激しい刺激にビークインはたまらず体をのけ反らせ、ビクビクと震えだした。  
「あっ、あんっ!そんなっ!やり…すぎ…だって!」  
全体を吸い上げながら、更に貪欲にブイゼルの舌先が内部へと潜り込み、ざらざらと舐めあげる。  
ぐいっと突き込まれた鼻先が、ちょうど陰核の部位にぐりぐりと当たって皮を剥きあげ、  
そのまま直に鼻息を吹きかけられた、小さいながらも敏感な器官が快感で疼く。  
とめどなくブイゼルの舌先に蜜を分泌しながら、ビークインは初めての絶頂を迎えようとしていた。  
 
「んくっ、ああっ!ダメぇ…!もう、やめてぇ…!ヘンになっちゃうからぁ…あっ!ああっ!」  
懇願するビークインの言葉は、蜜に夢中になったブイゼルには届いていなかった。  
ぺろっ、ちゅくちゅく…、じゅぷっ…  
蜜を求め、蠢く舌先。  
計算された愛撫ではないが故の、不規則な刺激が波のようにビークインに襲い掛かる。  
「んぐっ、ああ…すっごいよぉ、おいしいよぉ〜。もっと、もっとちょうだい…」  
ブイゼルの刺激は、そのままビークインの全てを吸い取ってしまいそうな勢いで続いていく。  
ビークインはもう限界だった。  
「ああっ!んっ!はぁぁっ、もう…!…ダメぇ…!っ!」  
ビクンっと体が震え、一際濃い蜜がとぷっと分泌され…ブイゼルの口を甘い香りで埋め尽くした。  
 
「ふぁぁ…、すっごい…甘いぃ〜」  
「はぁっ、はぁぁっ、うう…。もう、もうよかろう…。わらわを…許して…」  
顔の周りをベトベトにして、うっとりとした表情を浮かべるブイゼル。  
やっと終わった…とビークインは思ったことだろう。  
しかし、性感をこれでもかというほどに高められたブイゼルには、まだ始まりでしかなかった。  
ものすっごく甘い蜜を味わう。  
当初のその目的は達成していた。  
確かにビークインの蜜はこの世のものとは思えぬおいしさで、ブイゼルを満足させてくれた。  
しかし、ブイゼルのオスとしての本能は、目の前のメスを求めていた。  
いまだ蜜の流出の止まらない秘所を露わにし、ぐったりと横たわるビークイン。  
その体を前にして、己の股間は見たこともないくらいに硬く、大きく立ち上がり、  
今までしっかりと皮で覆われているだけだったピンク色の粘膜の先端が、  
にゅうっと先端から顔を出し、透明な液体を分泌させはじめている。  
ブイゼルは今、完全にオスの本能に目覚めてしまっていた。  
 
ズキズキと痛いほどに伝わってくるオチンチンからの脈動。  
その大きく反り返った肉茎が、目の前のメスを求めているのが分かった。  
さっきまで舌で味わっていた柔らかい粘膜に、オチンチン全体が包まれたがっている。  
これを挿し入れたい。  
内部までずっぷりと。  
それは正しいことだと、当然のことなのだと、オスの本能は告げていた。  
「ねえ、ビークイン。挿れちゃうよ…」  
絶頂を迎えたばかりでぼうっとしているビークインは、その言葉に気づかない。  
返答を待たず、ぴと…とその先端が、蜜でベトベトになった秘所へとあてがわれた…。  
 
「ひぃっ!何をっ!貴様っ!何…あっ!!」  
つぷ…  
ビークインが我に返った時には、既に遅かった。  
まだ氷の溶けない体と、快感の余韻に浸る心も抵抗の邪魔をした。  
あっという間にその侵入物は、ビークインの体へとねじ込まれていく。  
ぐいっ…ぐりっ…!  
「いつっ!!あっ、あっ!痛っいっ!やめっ!」  
「んっ、きっつい…!」  
さっきまで豊富に蜜を分泌していたその肉壁が、初めての異物の侵入に痛みを覚え、それを阻止しようと必死で締め付ける。  
しかし、その蜜が今度は最高の潤滑油となって、ブイゼルのオスのしるしを滑らかに奥へと進めていった…。  
ゆっくりとブイゼルの太めの肉茎が内部を押し拡げ、  
ビークインの秘所から蜜に混じって破瓜のしるしである赤い筋が流れ出て…  
ついにその全てが内部へと導き入れられ、ずんっとビークインの奥底へと突きたてられた。  
「うっわぁ…、ぬちゅぬちゅして、気持ちいい…。すごいや」  
初めて性行為を行うオスとメス。  
オスの方はその快感に酔い、夢中になって己を突き込んでいたが、  
メスの方は恥辱と、怒りに体を震わせていた。  
 
「貴様っ!貴様ぁっ…!蜜を奪うだけで飽き足らず、わらわの体まで…!んくっ!許せ…ん!んっ…」  
「あっ!すっごい、これ、気持ちいいよぉ、オチンチンが、中で擦れるっ!」  
ブイゼルはもう夢中になって、全く何も聞こえてない。  
ねっとりとしたビークインの秘部の中に出入りしながら、皮が一段と剥きあがり、  
くちゅくちゅと音を立てる自分の肉茎の様子に見入っている。  
あっという間に性感が高まり、絶頂を迎えそうな肉茎がピクンピクンと中で跳ねる。  
「あっ、イくぅ!もう、出ちゃうぅ!」  
「なっ!あうっ!おっきぃぃっ!いやぁぁ…!」  
必死で体を動かして肉茎を抜こうとするビークインを押さえつけたまま、  
興奮が極致に達したブイゼルが己の欲求を解放する。  
その先端から、どくん、どくんと白濁した液が弾け、ビークインの内部で濃厚な蜜と混じりあった…。  
 
「貴様ぁぁ!許さん、許さんぞ!呪ってやる!未来永劫な!」  
体内でオスの液が弾ける音を感じながら、ビークインが怨嗟の言葉を吐き出す。  
そして、最後の力を振り絞るかのように、  
凍っていたはずの両腕でしっかりとブイゼルを抱き込むと、その瞳が妖しく輝き始めた。  
「わっ、な…何するんだ…!」  
「黙れ!ビークインに伝わる、女王の呪いを…受けるがいい!!」  
どこにそんな力があったのか、  
ぎゅっとブイゼルを抱きしめる腕は、力を込めてもぴくりとも動かない。  
その上、いまだ挿入されたままのブイゼルの肉茎も万力のような力で周囲から締めつけられていた。  
(うう…ちぎれちゃいそう…)  
息ができず、意識が遠のく。  
その霞みゆく意識の中、ビークインの声が聞こえた。  
「簡単には殺さん。ビークインの呪いの恐ろしさを…思い知るがよいわ!」  
 
気がつくと、川を流れていた。  
ビークインの城に行く時にさかのぼったあの川だ。  
はっと我にかえって、自分の体をあちこち見てみたけど、どこにも何も変わった様子はない。  
(無事…だった…?)  
真っ赤に輝くビークインの目に睨み付けられながら締め上げられ、死を覚悟した。  
あれは夢だったのかと思ってみたけど、そんなはずはない。  
あのビークインの秘部から流れ出るものすっごく甘い蜜の味も、  
初めて味わったメスの体の感触も、しっかりと体に焼き付いている。  
そして、あの「ビークインの呪い」の言葉も…。  
あれは一体なんだったんだろう。  
ただの脅しとは思えないけど…。  
 
ザバッと川から上がり、ぶるっと体を震わせる。  
内部にたっぷりと空気を含んだ毛皮がすぐに水気を弾き飛ばし、体を軽くした。  
と、辺りに甘い蜜の香りが漂っているのに気がついた。  
くん…と鼻を鳴らしてみる。  
間違いない。  
すごく上等な、甘い蜜の香りだ。それも、すぐ近くから香ってくる。  
(どこだろう?)  
くん…くん…と辺りを嗅いでいき、ついにその源を突き止めた。  
「え…?ボクの…オチン…チン?」  
間違いなかった。  
皮に包まれ、てろんと垂れた幼い肉茎。  
川で流されてそこについていた蜜は完全に流されたはずなのに、  
まるでべっとりとそこに蜜が張り付いたままの状態のような、濃厚な香りが漂ってくる。  
嗅いでいるだけでヨダレが出そうになるくらいに。  
(まさか…まさかコレが…ビークインの言ってた、呪い?)  
「は…、ははっ。なぁんだ、こんなのが『呪い』だって!大袈裟すぎじゃん!バッカみたい!」  
呪いというおどろおどろしい響きから、もっととんでもないものを想像していただけに、  
思わず吹き出してしまうブイゼル。  
 
その時のブイゼルはまだ、ビークインの呪いの効果がどれほどのものなのか、  
この後自分がどれほど苦しむことになるのか、  
全く理解していなかったのだった……。  
 
 
 
続く  
 
 

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