「ほら……負けたんだからじっとして」  
 負けた、という一つの単語を耳に入れるとコトネは顔を歪めて涙を零した。心の中で悔しさと悲しさが交差する。コトネは下唇を噛み締めた。自分の体にのしかかるワタルを睨み付ける。  
「だからって、こんなのないです……っ!」  
 ワタルはその言葉を受け流すと、何も言わずコトネと胸の膨らみに手を伸ばした。ジワジワと力を込めて、小さなそれを掴む。  
「……っ、あ……っ、いや!」  
 その行為に敏感に反応し、コトネは頬を紅潮させ、逃げたいともがく。それとは反対にワタルを不適に微笑んだ。  
「そんなに大きい声だすと誰かきちゃうよ?」  
 コトネは小さく唸り、また涙を流してた。ワタルの熱い舌が頬のそれを舐め上げる。  
「あ……っ、ダメです……んんっ」  
「黙って」  
 コトネの不用心に開いた口をふさぎ、ワタルは舌を入れた。コトネの舌を見つけると、そっと優しく触れる。それに安心したのかコトネはワタルの舌におずおずと近寄っていった。  
 
「んん……っ!」  
 その途端、ワタルは強くコトネの舌を絡めとる。コトネを激しく後悔の念が押し寄せてきた。息苦しいのとこんな形でキスされる無念さと比例して徐々にコトネの頬に赤が増していく。  
「はあ、はあ……」   
「キスの間、息止めてたんだ? ……可愛いね」  
 やっと唇を離すとまじまじとワタルにそんなことを言われ、コトネは怒りと恥ずかしさでワタルから顔を背ける。  
「……だって、初めてだから……っあ、イヤ!」  
 嬉しそうにクスクスと笑みを漏らしながらワタルはコトネの白い首筋に舌を這わせる。下でもがくコトネの手を片方の手で押さえた。  
 もうコトネは完全に身動きがとれなかった。成人した男にのし掛かられて、十代のか弱い少女が逃げられるはずもない。これから起こることを思い、コトネはまた涙を流した。  
「ワタルさんは……もっと優しい人だと思ってたのに……!」  
「俺は優しくないよ」  
 ワタルは目を細めた。しばらくコトネの濡れた瞳を見つめていたが、不意に視線をコトネの服の方へもっていく。そしてゆっくりとコトネからその服をはがしていった。途中、コトネは拒んで叫んだがそんなことは聞き入れない。  
 雪のように白く、幼い乳房が露わになった。  
 
「だ、ダメです……っ! お願いですからやめてください!」  
「……ダメ? 嫌ではないんだ?」  
「……っ!」  
 嫌ではない、そう言われるとコトネは押し黙った。反論ができない。コトネは初めてワタルにあった時からその強さと人柄に惹かれ、慕っていた。また、それが憧れから恋愛感情に変わっていっていたことも自覚していた。  
「でも……! こんなの、ないです!」  
「……言っただろう? オレは優しくないって。大半の男はこんなものだよ、コトネちゃん」  
 そう言って、ワタルはコトネの胸にも舌を這わせる。  
「きゃ……っ、あんっ」  
 敏感に反応し、コトネは思わず自分でも聞いたことがないような甘い声を漏らす。  
「へぇ。ここが駄目なんだ」  
 ワタルはそれを見て楽しむように、コトネの乳をその手で鷲掴んだ。途端にコトネの体に痺れるような痛みが走り、顔を歪めた。  
「痛い……っ、やだぁ……!」  
   
「も、やめ、てくださ……いっ、あ」  
「やめてって言う割には気持ち良さそうだね」  
「んんっ」  
 
  今度はコトネの胸をゆっくり揉み回しながら口を繋げる。ワタルの口内の中で彼女の舌は何もできず、ただされるがままにされていた。  
「ん、はぁ、はっ、これで終わりですから、ん、ねっ……!?」  
 唇を僅かに離したすきにそう言ってコトネは油断して、強張った体の力を抜き始める。ワタルがそれを見逃さなかった。  
「終わり……? こんなに男を興奮させといて、キスだけで終わりかい?」  
 ワタルは胸を揉む手を止め、コトネを瞳を見やる。コトネは恥ずかしそうに胸を隠しながら、ゆっくり上半身を起こした。コトネは無言でワタルを睨みつける。最も潤んだ瞳では逆効果ではあるが。ワタルはそれを見てまた含み笑いを浮かべて。  
 
「第一、コトネちゃんも結構気持ち良さそうじゃないか」  
 そう言って、服の上からコトネの秘部を撫で回す。コトネにとって皮肉なことにそれは正論であった。体は素直に反応し、コトネの秘部は湿り気を帯びる。  
「大体ですね! 私しか脱いでないじゃないですかっ。卑怯ですよ!」  
「え? それって俺にも脱いで欲しいってことかい?」  
「……正直に言えば、そうですけど! でも!」  
 そこまで言うとコトネはまたワタルから顔を背けた。その途端、ニヤニヤと含み笑いを浮かべていたワタルの顔が急に真顔になった。  
「大人と話してるんだから、よそ見は禁物」  
 ワタルは小さく囁くように言うと、コトネの胸を強く引っ張る。コトネは短く甘い声で叫んだ。  
「で、ホントはどうしてほしい?」  
「ほん、とは……! あっ、ワタルさんにもっ」  
「オレにも?」  
 ワタルは強く揉み、コトネの答えを催促する。甘い痺れが体中を駆け巡る中で、コトネは必死に言葉を紡いだ。  
「ああっ、脱いでほし、い、です!」「脱いで、どうしてほしいの」  
「え!?」   
 
「え、え、え!?」  
 脱いで、その後のことなんかコトネは知らなかった。辺鄙な田舎町で育った少女の思考にやましいこと等、あまり思い浮かばない。コトネはオロオロと視線をあちらこちらに泳がす。雰囲気に色気も糞もあったもんじゃない。ワタルはため息をつくと苦笑いを浮かべた。  
「……分からない?」  
 ワタルはコトネの耳元で囁いた。コトネの肩がびくりと震え、何故かドクドクと鼓動が速くなる。  
 
「知りたいかい?」  
 優しげなその声に騙されるようにコトネは小さく、頷いた。  
 途中小さな抵抗はあったがお互いの服を脱ぐと、ワタルは股に割り込むような形で、コトネの両足を自分の小脇に挟む。  
「え……!? ちょっ、この格好は恥ずかしいですっ!」  
「何を今更」  
 ちゅっ、と愛らしい音を立て、ワタルはコトネの額に優しく口づける。その途端コトネは顔を赤らめ、大人しく口をとじた。  
「あれだけで、こんなに濡れるなんて……やらしいね、コトネちゃん」  
「……っあ、っう、やっ」  
 ワタルはコトネの秘部を直に愛撫する。その度に秘部からはくちゅりと白濁した液が出てきた。コトネのそれで濡れた自らの手をワタルはぺろりと舐める。  
「や……っ! 汚いです!」  
「汚くなんかないよ。甘い」  
「……っう」  
 それを見てコトネは恥ずかしそうに目を背ける。ワタルはくすくすと笑いを零しながら、コトネの蕾のような赤い乳首に舌を伸ばした。びくん、とコトネの体が揺れ、強ばる。液が秘部から溢れ出た。  
「あんッ! あ、あ、やぁっ!」  
 コトネの背が反る。ワタルは蕾を貪るようにキスをする。  
「は、はっ」  
「うん、大分いい感じに濡れてきたみたいだね」  
「……?」  
「コトネちゃん、力抜いて。そうしないと痛いから」  
 
「あああっ!」  
 
 ずぶりと、コトネの僅かな割れ目からワタルが入ってくる。ワタルもワタルで興奮していたらしく、随分とかたくなっていた。コトネの中にワタルが侵入していく。初めての味わう感覚がコトネを襲った。苦痛にぎゅっと目を閉じる。  
「い、痛い……! んっ」  
「……っ、力抜いて、コトネちゃん」  
 流石にワタルも笑いながら顔を歪めた。中で強く締め付けられる。奥まで到達したい気持ちを抑え、一度引き抜いた。  
「お、わりですか……?」  
 コトネはうっすらと涙を浮かべ目を細め、切なげにワタルを見る。  
 流石にここから先はおどけてはいられない。彼女の初めてを奪うことになるのだ。同時に激しい痛みを伴う行為でもある。同意の上で。コトネの息づかいを耳に欲望を抑え、そう自分に言い聞かせる。ごくりとワタルは生唾を飲み込んだ。  
「コトネちゃん、先に言っておくよ。これから先は凄く痛い」  
「……さっきのも痛かったです」  
「ああ、……ごめんね。でもこれは比べものにならないくらい痛いよ。それでも、いい?」  
 しばらく、沈黙が訪れた。その間コトネはじっとワタルの目を見て、考えていた。  
 この人は、ワタルは憧れだ。いつしか恋心さえ抱くほど強く惹かれていた。先程のような形でキスされたのはショックではあったが半分、いやもしかしたらそれ以上、嬉しかった。こんな風に優しく事前に聞いてくれれば素直にそういう行為ができる。  
 これから先は凄く痛い。でもきっと苦痛だけではないだろう。快感だって味わえる。この人なら大丈夫。許せる。  
 コトネはもう一度、深くワタルを見据えた。  
 
「わたし、ワタルさんが好き、ですから。きっと大丈夫です」  
「ありがとう。オレも好きだよ、コトネちゃん」  
 
 そう言って二人は深く沈むように倒れこんだ。再び体を繋げる。その時もコトネに苦痛が襲った。  
 ワタルは、いきなり奥まで突き進むことはしなかった。  
 
「ひゃっ、あ、ああっ」  
「く……はっ」  
 
 その代わり激しく出し入れした。コトネの腰が何度も浮く。  
 
「行くよ、いい?」  
「んん、は、はぃっ!」  
 
 散々出し入れすると、ワタルにも限界が来たようだ。コトネは自然とワタルにしがみつくような体勢になりながら、必死にそれに答えた。それを聞くとワタルがさっきよりも深く入ってくる。  
 
「い……っうぁ、ああ!」  
 
 コトネは再び顔を歪めた。それもその筈コトネの小さな割れ目にワタルのそれは大きすぎる。痛くないわけがない。それでも今度は嫌とは言わなかった。ワタルが最奥部に到達するのを感じると、互いに見つめ合いこくりと頷いた。  
 
「イッッッっっああああぁ!!」  
 
 ワタルは勢いよく、薄い処女膜を貫いた。コトネが泣き叫ぶと同時に、赤い花が咲くように彼女の鮮やかな血が溢れ出した。後から白いワタルの欲望が続く。  
 ワタルは最初にしたように、コトネの頬を流れる涙を舐めた。ごめん、と小さく呟く。  
 コトネはそのまま深い眠りについた。閉じた唇にワタルはもう一度口を付ける。まるで、初めてキスをするように、唇に触れるだけだった。  
 
 
 
〜 オワレ 〜  
 
 

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