まだサトシ・カスミ・タケシが3人で旅をしていた頃のおはなし・・・・
次のバッチを目指し、雪山を登っていた3人。
ふと立ち止まったタケシは、不思議な花を見つける。
「こんなに雪が積もってるのに、花が咲いているなんて・・・・」
その花は、見た目は悪いがほんのりと、甘い香りがしていた。
好奇心からつい、その花を手に取り匂いを嗅ぐタケシ。
「お〜いタケシ〜。なにやってんだぁ〜。早くしないとおいてっちゃうぞ〜!!」
「あ、ああ・・すまん。すぐ行く!」
それからしばらく・・・山を進んでいるとタケシの様子がおかしくなっていく。
「ちょっとタケシ、だいじょうぶ?汗こんなにかいて・・・」
心配するカスミは、タケシのおでこを触ると熱くなっていることに気付いた。
「タ、タケシ・・・すごい熱。サ、サトシまって・・・タケシが・・・・」
「ううぅ・・・・」
がくっ・・と、倒れそうになったタケシをサトシが受け止める。
「タケシ!・・・ど、ど、どうしよう・・・カ、カスミ」
動揺するサトシにカスミは、冷静に答える。
「と、とにかく・・・ポケモンセンターまで、タケシを連れて行きましょう。」
急いで近くにあったポケモンセンターまで戻るサトシ達。
「す・・・すまない・・2人共・・・」
「なに言ってんだ・・・仲間じゃんか・・・」
タケシを背負い、下山するサトシ達。
ようやくポケモンセンターに着いたサトシ達は、すぐにジョーイを呼んだ。
ジョーイはすぐにタケシの治療に懸かるが、やがて眉を顰めていく。
「これは、普通の症状じゃ無いわ・・・・山でなにか食べたりしていない?」
「・・・いや、オレ達、お昼もまだ食べてないし・・・特には・・・」
必死に考えるサトシとカスミ。
「・・・そういえばタケシ・・・・お花を取ってたわ。」
「花?」
「ええ・・・雪山にもお花が咲くんだ・・・って、だから憶えてたんだけど・・・・」
「・・・・・・もしかして!」
何かを思い出したジョーイは、本棚から一冊の図鑑を取り出しサトシ達に見せた。
「これじゃなかった?」
「え?ええ、たぶんこれだと思います。」
「・・・だとすると、こまったわね・・・」
考え込んでしまうジョーイに詰め寄るサトシ。
「どういうことですかっ・・・ジョーイさん。」
「実は、あの雪山に昔咲いていた花だったんだけど、最近はぜんぜん見かけなくなって、もう絶滅したと思われていたの・・・
でもこの花、毒をもってるのよ・・・で、その解毒薬が今ここに無いの・・・」
その言葉に絶句してしまうサトシとカスミ。
「・・・あぁ、ごめんなさい。毒っていっても熱が出るだけで命に別状は無いから大丈夫よ。」
サトシ達の様子に、あわてて説明するジョーイ。
「・・・ふぅ、脅かさないでくださいよ・・・・オレ達てっきり・・・」
「ごめんなさいね・・・ただ、山に行けば薬草があるんだけど・・・・」
窓の外に目を移し呟くジョーイ。
山には少し雲が掛かり、ジョーイの経験から危険を感じ取っていた。
「とにかく、解毒薬は他のセンターにある物を送ってもらうから、今日はここに泊まりなさい。」
「はい、じゃあタケシのこと、よろしくお願いします。」
深々とお辞儀するカスミ。
その横で、なにか考え込んでいるサトシたった。
「もう・・・サトシったら、どこいったのかしら?」
カスミはサトシを探していた。
センターの食堂で昼食を済ませ、一息就いていたサトシ達だったが、気が付くとサトシが居なくなっていた。
ようやくサトシを見つけたカスミは、サトシが何かの本を調べていた。
どうやら、山へ薬草を取りに行こうとしていたようだ。
「だめよサトシ・・・1人でいこうとするなんてっ!」
「だ、だけど・・・」
「サトシが行くんなら、あたしも行くわ!!」
「な・・・なに言ってんだよ!遊びに行くんじゃないんだぜ!!」
「あたしだってタケシの事・・・心配だもん!それに・・・・」
痴話げんかを始めてしまう2人。
しばらくして・・・・
「っ〜〜〜〜わかったよっ!とにかく、急ぐぞ!!」
山に入り薬草を探す2人。
しだいに空の様子がおかしくなっていたが、2人には気が付くはずもなかった。
「う〜ん、無いなぁ・・・・本当にあるのかよ・・・」
嘆くサトシの後ろからカスミが駆けて来る。
「ねぇサトシ!これかしら?」
「えっと・・・・ん!これだ、やったぜカスミ!!」
拝借してきた本で確認し、手を取り合い喜ぶサトシ達。
「よーし、急いで帰ろうぜ!」
「あん、待ってよぉ」
薬草は手に入ったが、天候が急変し雪が降りだしてくる。
「まずいな・・・急ごう!」
しかしやがて風が吹き、吹雪になってしまう。
「っく!くそ・・・だいじょうぶか、カスミ?」
「え、ええ・・・・でも、これじゃ・・・・」
吹雪の上、時間が過ぎるにつれて、だんだん暗くなってしまう。
「前にもこんなこと、あったっけ・・・」
「え?」
「ほら、前に雪山でピカチュウが行方不明になってさ、オレがピカチュウを探しに行って助け出したけど大雪で遭難しかけて
ビバークしなくちゃいけなくなっちゃって・・・」
「ええ・・・・憶えてる・・・あのとき本当にサトシの事、心配だったんだから・・・」
「ごめん・・・とにかく、なんとかしないとあの時と同じ・・・・いや、へたをすると・・・・」
以前はサトシがポケモン達の力を借りて助かったが、急いでポケモンセンターを出てきた2人はモンスターボールを置いて来ていた。
なんとか下山を試みるが、思うようにいかない。
しだいに不安になるカスミは泣きそうな顔でサトシに寄り添う。
「っ・・・だいじょうぶだって、絶対・・・・な!」
「・・・・・うん。」
精一杯強がってみせるサトシに、カスミも答える。
しばらく進むと吹雪がさらに強くなり、視界が利かなくなってしまう。
2人も着ていたジャケットが雪の為に濡れて、動きも鈍くなってきた。
「・・・・・こ、このままじゃ・・・やばい・・・・」
と、その時・・・・・・
「きゃっ!!」
後ろを歩いていたカスミが足を踏み外し、坂にヨロけていた。
「カ、カスミっ!!っく・・・・・わっ!」
とっさにカスミの腕を捕まえるサトシ・・・が、同時にそのまま引っ張られ落ちてしまう。
「うわああぁぁぁぁ・・・・・」
「きゃあああぁぁぁぁぁぁっっっっ・・・・」
「・・・・・・んっ・・・・あれ?なんでサトシ・・・あたしを抱しめて・・・・」
ほんの少し気を失っていたカスミは、ぼぅ・・・とした目でサトシを見る。
「・・・あ!サ、サトシ・・・だいじょうぶ?」
意識を取り戻し、起き上がってサトシを揺する。
「・・・・・っく、てててて・・・・あぁ、カスミは無事か?」
「うん。サトシか庇ってくれたから・・・」
ジッと見つめられ思わず照れくさくなって視線をずらすサトシ。
すると、その視線の先に薄っすらと何かが見えた。
「カ、カスミ・・・・あれ・・・・」
「え?」
そんなサトシの目線を追うと建物らしき物がみえた。
「小屋・・・山小屋だ!!」
2人は同時に声を上げ、その場所に歩き出した。
山小屋にたどり着いたサトシ達は、なんとかカギを壊し中へと入った。
そこは以前までみやげもの屋だったのだろう、カラのショーケースがあるだけだった。
「・・・・・っううう、と、とにかく体をあ、温めないと・・・・」
「なにか・・・つ、使える物が無いか、さ・・・探してみましょ・・・っ」
2人共震えながら、あっちこっちと漁りだす。
「お?・・・や、やったぜ、カスミ。こ、ここに暖炉が・・あるぜ」
「こ・・こっちには、毛布が・・・」
サトシは早速、見つけた小型の暖炉を点ける準備をする。
「ああっ!・・・・し、しまった!!」
「な・・・どうしたの!?」
「火が無い・・・・あ゛あ゛あ゛あっ」
がっくりとうなだれるサトシ。
「サトシ・・・・はい、これ。」
「へ?」
スッと出されたカスミの手に着火用ライターがあった。
「もう・・・・しっかりしてよね。」
「あれ?どこにあったの、それ・・・」
「この暖炉の上・・・・クス」
暖炉の準備にばかり気が入っていたサトシは、火を点けるまでそのことを忘れていた。
なんともバカバカしいミスに、思わず顔を赤くするサトシ。
「っごほん・・・・とにかく火を点けるぞ」
暖炉に火が点きだんだんと暖かくなってくる。
「濡れた服も乾かさないと・・・このままじゃ、カゼひいちまう・・・」
徐に服を脱ぎだすサトシ。
「きゃあ!・・・ちょっ、ちょっとサトシ・・・!!」
「あ!・・・・ご、ごめん!!」
気が付くとパンツに手を掛けていたサトシ。
「やだ・・・・もう〜!!」
くるりと後ろを向いて、手で赤くなった顔を隠すカスミ。
「・・・でも、カスミも服を乾かしたほうがいいぜ・・・」
サトシの言うとうり、服が濡れて下着まで肌に張り付くようで気持悪いし、なにより寒い。
しかしカスミだって女の子。
男の子の前で・・・・と考えるとはずかしくて出来ない。
「そ、そうだ・・・この毛布で・・・・こうして・・・っと、これなら見えないだろ。」
サトシは気を利かせて、自分とカスミの間に毛布を吊るして遮った。
「うん・・・・ありがと・・・サトシ。」
そう言うと、まだはずかしかったが、サトシがここまでしてくれたんだから・・・・と自分を納得させて服を脱ぎ始める。
隣ではサトシがもう脱ぎ終わり、棚に服を立て掛ける。
「・・・・・っしょ・・・・・と・・・」
漏れるカスミの声が気になり、吊るした毛布を見るとそこにはカスミの影が映っていた。
「・・・・・・・・ぁ・・・・」
一枚、また一枚と服を脱いだカスミのシルエットは、胸がすこし膨らみ、そして細い腰からおしりへのラインはまさに女の子らしく
サトシは思わず息を呑んだ。
そして、寒さで小さく縮んでいたはずのサトシのモノが、本能のままに大きくなっていく。
「わっ・・・・こ、こら・・・・鎮まれっ!!」
そんなサトシの意志に反してどんどん反り返っていった。