『契り』
あたしを、抱いて下さい…!」
ポケモンリーグのチャンピオンの元へたどり着いた少女トレーナーは、開口一番そう言った。
「…は?」
これには流石に、リーグチャンピオンの男もびっくりしたようだ。
「ちょっと待ってくれ、君はここにバトルをしに来たんじゃないのか?」
「…正確には、貴方に会いに来たんです…!」
この12、3才位のトレーナーは、ポケモンと出会い旅をするようになってから、御多分に洩れず最強トレーナー・ワタルに憧れた。
会ったことがなくても、憧れがどんどん「好き」という感情に変わっていった。胸が苦しくなる程に。
あの人に会って、この想いを伝えたい―その決意を胸に、少女はポケモンリーグの激闘を制して行った。
「とりあえず、落ち着けよ。そんな簡単に、抱いてとか言うものじゃない。」
ワタルは部屋にあるいかにも高価そうなソファーに腰掛けて言った。座ることにより小柄な少女とほぼ同じ目線になる。
「…それは、あたしが子どもだからですか…?」
「そうだよ。君の体はまだ成長の途中だろ、もっと自分を大事にしないと。君は“抱く”って行為を良く分かっていないんだよ。とにかく、俺は君を抱くことは出来ない。」
「じゃあ…せめてキスだけでも、してもらえませんか…?」
少女トレーナーは、目に涙を浮かべながら言った。
「…分かった、じゃあ目をつぶって。」
少女は、言われた通り目を閉じた。
唇に、何か柔らかいものが押し当てられた。それがワタルの唇だと分かると、少女の顔は熟れたリンゴのように真っ赤になった。
(あ、あたしのファースト・キス…)
ワタルは緊張でこちこちに固まっている少女の唇をぺろりと舐め、顔を離した。
少女は、まだ目をつぶったまま顔を赤くしうつむきながら立っている。その様子がとても可愛らしくて、ワタルはくすっと笑った。
ふと服の方へ目をやると、胸の頂がつんと尖ってTシャツを押し上げているのが分かった。
下着を付けて来なかった、ということだ。
こんないたいけな少女をここまで本気で悩ませていたのかと思うと、彼は少し罪悪感を感じた。
Tシャツの上から、同年代の女の子と比べたらわりと大きめな胸にそっと触れた。大きな手が、膨らみを優しくさする。
「ん…っ」
少女は、くすぐったさや、恥ずかしさや、良く分からない気持ちよさに思わず声をあげた。
腰に手を回しぐいっと自分の方へ引き寄せると、胸の頂をTシャツごと口に含んだ。
「ぁん…」
服の上から舌を動かすと、少女はすすり泣くように声を出した。
Tシャツ越しに胸の頂を舐め、空いている手でもう片方の胸を柔らかくにぎる。
「やっ…あ…っ、んん…」
今まで感じたことのない快感に頭がしびれ、自然と息遣いも早くなる。
「ぅんっ、ワタルさんっ…」
「はい、今日はここまで。」
体を離しそう言われ、少女は一気に現実の世界に引き戻された。
「これ以上はやれないよ。君のためにもね。これで少しは男が女を抱くっていうのがどういうものか分かったかい?」
少女トレーナーは恥ずかしそうに、それでもしっかりうなずいた。
ワタルは立ち上がり、少女の頭にぽふっと手を置いた。
「さぁ、今日はもう帰りなよ。今更バトルは出来ないだろうしな。君には実力と才能がある、いつか君と勝負出来るのを楽しみに待ってるよ。」
「あたしがもう少し大きくなったら…今度こそ抱いてくれますか?」
「次ここに来たら、俺が君を女にしてやるよ。」
ワタルは口に妖しい笑みを浮かべながら答えた。
だからそれまでに、いい女になれよ…
帰りゆく少女の小さな背を見つめながら、チャンピオンの男は思った。
おわり