シバとの行為が終わってから、カリンはまっすぐシャワールームへ向かった。
火照った体を冷まし、男の匂いを洗い流すために。いつ挑戦者が現れるやも分からないので、さすがにこのままではいられない。
(それにしても…思っていたよりすごかったわね、彼。このままじゃこっちが夢中になってしまいそうだわ。)
熱いシャワーに打たれながら、カリンは先程の情事を思い返していた。大きな鏡に映し出される彼女の裸体は、美しい彫刻のようだった。
(また、機会があれば誘ってみるのも悪くないわね…)
手早く服を着て髪を乾かし、パウダールームで化粧を済ませ、普段通りの格好でカリンは自分の持ち場へ戻った。
特にする事もなかったので、カリンは自慢の悪ポケモン達を丁寧にブラッシングしていた。
すると、部屋の扉が開いた。挑戦者の入って来る側の扉ではなく、後ろの扉が。
彼女を倒さなければ開かれない、チャンピオンの部屋へ続くその扉から入って来れるのは、1人しかいない。
「やあ、カリン。」
「あら、貴方があたくしの部屋に来るなんて珍しいわね。何か御用かしら?」
カリンはすっと立ち上がり、入ってきた男―ワタルに問いかけた。
まあ、用があると言えばあるな。」
「貴方の事だから、バトルのお誘いでしょう?でもあたくし今日はちょっと疲れているの。悪いけど明日にして下さるかしら?」
それを聞いてワタルは、意味ありげにニヤッと笑った。
「疲れている、か…そうだろうな。あんなに激しい運動すれば。」
「…?」
何を言われているのかすぐには理解出来ず、カリンは訝しげな表情を浮かべる。
ワタルはカリンに近づき彼女の耳元に口を寄せ、低い声でささやいた。
「君は見かけによらず、随分と色っぽい声で啼くんだな。俺も興奮しちゃったじゃないか。」
「…!!!」
そう言われた瞬間、カリンは全てを理解した。部屋に設置されたカメラと、チャンピオンの部屋にあるモニターの存在のこと、そして何から何までこの男に見られていたことを。
(あたくしとした事が…不覚だったわ…!カメラのことを忘れるなんて…)
カリンは、何とも言えない苦い気持ちと悔しさで下唇をぐっと噛み締めた。
「四天王ともあろう者が、神聖なバトルの場であんな不謹慎なことをするなんてね…チャンピオンとして見過ごす訳にはいかないよ。お仕置きだな、カリン。」
だがカリンも負けてはいない。不敵に微笑み返すと、冷たく言い放った。
「あら、夜の生活が相当お乱れなチャンピオンに言われたくないわね、ワタル。あたくし知ってるのよ、貴方が色んな女性を連れ込んでいるのを。同じ女と二度寝ない男ってやつよね。」
今度はワタルが驚いた。まさかばれているとは微塵も思っていなかったからだ。カリンはしてやったりという顔で、それでも笑みは絶やさぬまま言った。
「女は皆探偵なのよ、覚えておくことね。まぁお互い様ってことよね。要するに貴方、あたくしを抱きたいんでしょう?いいわよ、抱かれてあげるわ。」
そう言うが否や、カリンはワタルの唇をふさいだ。彼女の髪から、ふんわりと甘い香りがする。その香りに酔いしれ、カリンを強く抱きしめ、舌を絡ませあった。
「ふっ、はぁ…ね、ベッドへ連れてって…?」
うっとりした表情でそう言われ、ワタルはカリンを横に抱き上げた。彼女の体は見た目以上に細く軽く、それでいて柔らかい。絹のような白い肌を見つめ、息を呑んだ。
チャンピオンの部屋の隣にある、通称“控室”のベッドにカリンを横たえると、ワタルはもう一度深く口付けた。キスをしながら、慣れた手つきでカリンの服を脱がしていく。
大きな形の良い胸が露わになると、彼は目を細めその白い果実に手を伸ばした。ゆっくりと下から揉み、頂を摘む。
「あぁ…」
カリンが、悩ましげに声をあげる。いつもの勝気な彼女からは、まるで想像もつかない“女”の姿だ。
「もうこんなに固くなってるよ…いやらしいな、カリンは。」
ワタルはカリンの胸の突起にチロチロと舌を這わせる。
「ふ…っ、そういう貴方のここだって、元気になってるじゃない…」
カリンも負けじと、ワタルの下半身に手をやり、それをさする。
「ねぇ、下も…触って…」
ワタルはカリンのズボンの中にスルリと手を差し入れた。
そこは既に湿っており、いつでも男を受け入れられる体制になっていた。
「もう、いいか…?俺もそろそろ限界だ…」
「ええ、来て…!」
カリンの言葉に誘われるがまま、一気に貫いた。
「んあぁぁ!」
ワタルが動くたびにカリンが美しい髪を散らしながら、喘いだ。
今の2人はもはやポケモンリーグの四天王とチャンピオンではなく、快楽に溺れるオスとメスだった。
「…っ、カリン、カリンっ…!」
「ああぁっ!」
2人は同時に絶頂までのぼりつめ、果てた。
「…結局、最後までしてしまったな。」
「誘って来たのは貴方の方でしょうに。…シバとのも、最初から見てたのね?」
「当たり前だ。話してる声が聞こえたからモニターを見たら、あんなことしてるんだもんな。まぁお陰で俺も楽しめたが。」
「人の情事を最後まで除き見るなんて、最低だわ。」
「そうかい。最低ついでに、もう1試合するとしようか?」
「なっ…今したばかりでしょう、どれだけ性欲強いのよ!?あたくしもう無理よ!」
「そう言うなって…どうせすぐに気持ちよくなるさ。」
「はっ、離しなさいこの変態マント!!」
この日は1日挑戦者が来なかったので2人はこの後もおおいに乱れ、次の日はどちらも疲れきってふらふらだったそうな。
おわり