妖艶な雰囲気を身にまとう美女がそうっと扉を開けると、部屋の中にはムッとするような熱気と汗の匂いがたちこめていた。
その部屋の真ん中で、筋骨隆々とした男が胡坐をかきながらダンベルを手に特訓している。
女は腕を組みながら扉に寄りかかり、男の逞しい背中を見つめながらほくそ笑んでいた。
男は、四天王の1人、シバ。そして女も同じく四天王の1人、カリン。
カリンは女でありながらその類まれな戦闘センスで、四天王の大将まで上り詰めた。
四天王になったのはいいが、近頃腕のたつ挑戦者は皆無。そもそも彼女のところまで辿り着く実力を持つトレーナーが少ないのだ。
彼女は退屈でしょうがなかった。ポケモンリーグ本部に属しているため勝手にフラフラと出歩くことも出来ず、持ち前の美貌を披露する機会もない。
何か刺激が欲しい…そう思ったカリンは、前からちょっと気になっていた同僚をからかってみることにした。
寡黙で堅物そうな印象を受けるが、根はまっすぐで常に高みを目指し特訓し続ける男。いかにも修行以外興味のなさそうなシバを、自分の魅力の虜にしてみたかった。
カリンの完璧な顔立ちとスタイル、そして独特の魔性のオーラに欲望を抱かない男はいない。だが、簡単に手に入っては面白みも何もない。苦労して捕まえた獲物の味は極上だ。
早く彼の体に触れてみたい…カリンは体の奥が疼いてくるのを感じながら、彼の鍛錬が終わるのを待った。
「…で、いつまでそうしている気なんだ?カリン」
カリンの方へ背を向けたまま、男は尋ねた。どんな状況であっても必ず背後へ神経を張り巡らせているのは、さすがは格闘家といったところか。
(やっと終わったのね…いるのに気付いてたのなら、もっと早く切り上げても良かったんじゃなくて?)
「貴方のそれが終わるまでよ。ずっと待っていたんだから。」
カリンは音もなくシバに近づき、がっしりした太い首に腕を回した。
「…何のつもりだ?これは。そういう冗談は、俺は好かん。」
「あたくしが冗談でこんな事をすると思う?体が疼いて仕方ないの…鎮めてくれない?」
そう言いながらカリンはうっとりした表情でシバの鍛え上げられた胸板や腹筋を指でなでさすった。
ぴったりと寄り添ったカリンの体から、彼女の鼓動や体温が伝わってくる。温かい。熱い吐息を直に感じると、自然と体が反応してしまっていた。
普段から心身を鍛え、滅多なことでは動じないこの男も、やはり原始的な欲望には勝てなかった。
「…本気で言っているのか?俺は優しくないぞ、後悔しても知らないからな。」
「それはお互い様よ?余計な事は考えずに楽しみましょ?」
カリンはシバの顔をこちらに向けさせ、優しく口付ける。そしてゆっくりと彼を押し倒した。
シバは、自分の体におおいかぶさる女をまじまじと観察した。
会議などで顔を合わせることは多いが、個人的に話をしたことはほとんどなかった。もちろんこんなに接近したのは初めてだ。
不思議な感じのする女だ、とは思っていたが、間近で見るとかなりの美人だ。言い寄ってくる男も多いのだろう。
筋肉質な自分とは対照的に、彼女の体はとても細い。少し力を入れただけで折れてしまいそうな腕や華奢な肩を見て、ちゃんと飯食ってるのかと言いたくなる。
「どうしたの…?まさか女性の扱いに慣れていないのかしら…?」
カリンは楽しそうに言うと、首や鎖骨にキスを落としていく。ウェーブのかかった美しい髪が、サラサラと体の上を流れていった。
シバは何も言わず、目の前で揺れる豊かな胸の谷間を見つめていた。空気でも入っているのかと思う位、大きい。
手を伸ばし、大きな果実のような胸を下からすくい上げる。それでも全部手の中に収まりきれず、隙間からこぼれ落ちた。
ゆるく握ると、カリンがぴくりと反応した。そのままタンクトップの中に手を入れ、胸の先端を指でまさぐる。
「あぁ、いいわ…そこ…」
カリンの艶っぽい声に触発され、シバは彼女の細い両腕をつかみ、体をぐるりと反転させた。上に乗っていたカリンの体が床に押し付けられる。
「あっ…強引ね…でも、そういう男って…あたくし、好きよ…?」
タンクトップも下着もまくり上げ、白い肌にキスマークを付け、胸の先端を口に含み、舌で転がす。
「んぁ…気持ち、いいわよっ…そろそろ…きて?」
もう我慢出来なくなったらしい。早いな、と思いつつもシバも大分興奮していたため、彼女の要求に答えて体を繋げる。
カリンの、泣いているような、喜んでいるような甘い声が室内に響き渡った。
四天王の厳格なイメージをぶち壊すように2人は快楽を貪り、乱れた。
そんな2人の睦み合いの様子を、モニターを通して見ている男が、ひとり。
真っ赤な髪の男はヒマそうに椅子に腰掛けているが、口元は嬉しそうにつり上がっている。
「全く、神聖なバトルの場でこんなことをするなんてね…隅におけないな。シバも、カリンも。」
四天王のそれぞれの部屋には、バトルの様子をリアルタイムでチャンピオンに伝えるためのカメラが設置されている。
つまり、2人のやり取りや行為はハナからこの男に筒抜けだった。2人共行為に夢中になる余りそのことをすっかり忘れていたのだ。
やがて、カリンが服を整え、シバの部屋を出て行く様子がモニターに映し出された。
「さて…俺も楽しませてもらおうかな?」
クスクスと笑いながら男は立ち上がり、カリンの部屋へ向かった。
つづく…?