岩肌から覗く幾つもの原石が幻想的な光を放ち、星屑のように洞窟の暗闇を淡く照らす…。  
とある洞窟の中にある美しい地底湖のほとりに、一匹のポケモンが訪れた。  
 
「(ここは静かで広くて景色も良い、最高の場所だな。  
  俺の美しく鍛え上げられた肉体をより強く美しくするのにちょうど良い住処になりそうだ。)」  
 
そのポケモン…ゴーリキーは、直ぐにその場所が気に入り、周囲の壁を触ったりして岩壁の感触を確かめ始める。  
そして、湖の中を覗き込む。  
水面に映る自分の肉体を見て、ゴーリキーは思わず呟いた。  
 
「…美しい…。」  
「フン、『美しい』という言葉を醜い貴様が軽々しく使うな。」  
 
ゴーリキーは急に声を掛けられ、慌てて周囲を見回す。  
いつの間に現れたのか、水面からゴルダックが顔を覗かせていた。  
ゴルダックはこの地底湖を住処にして居たのだが、無断でゴーリキーが侵入した為、不機嫌になっているのだった。  
 
ゴルダックは岸に上がりながら語り始める。  
 
「『美しい』というのは美しく整った顔を持ち、  
  優雅かつダイナミックに泳ぐ…まさしくこのオレにこそ相応しい…。  
  貴様にこの場所は不釣り合いだ。今直ぐ出て行け!」  
 
ゴルダックはゴーリキーの目の前に来ると目を睨みながら出口の方を指差した。  
ゴーリキーは顔を赤くして反論する。  
 
「お前が美しいだと?笑わせるな!  
  その弛んだ肉体を持つお前が美しいなんて認めるか!  
  お前なんかより鍛えられた肉体を持つオレの方が美しいに決まっている。  
  だから出て行くのはお前の方だ!」  
 
ゴーリキーもゴルダックを睨みながら出口の方を指差す。  
暫しの間、睨み合いが続き、低い唸り声が洞窟に響く。  
 
「言っても分からないなら…」  
「痛い目にあってもらうしかないな…?」  
 
二匹は同時に後ろに飛び、お互い間合いを取る。  
 
「オレは必要以上の暴力は望まない。身の程が分かったら早く降参してここから去るんだな。」  
「あぁ、望むところだ。お前を締め上げてサッサと降参させてやるよ。」  
 
二匹は共に勝利を確信し、ニヤリと笑った。  
両者は体格や体重がほぼ同じ。  
ゴーリキーは格闘技で鍛えられた肉体があるが、ゴルダックにだってポケモンで一番早く泳ぐ為の筋肉は持ち合わせている。  
 
「(…だが、奴が持ってる力なんてその程度だろう?俺の肉体が負ける筈は万に一つも無いな。)」  
 
…ゴーリキーは知らなかった。  
ゴルダックには超能力もある事を。  
 
「(フン、脳筋馬鹿め…。こちらには地の利もあるというのに…。ちょっと遊んでやるか。)」  
 
ゴルダックはジリジリと移動し、湖を背にして立った。  
 
「おらおら、逃げ腰になってるぞ?そっちから来ないならこっちから行くぞっ!」  
 
ゴーリキーがゴルダックに向かって走る。  
…ゴーリキーは爆裂パンチの動作に入る。  
 
「(今だ!)」  
 
ゴーリキーが目前に迫った瞬間、ゴルダックは湖に飛び込んだ。  
 
「どうした?そんな大振りな攻撃なんて当たら…ッ!?」  
 
ドガッ!!  
 
ゴーリキーの方を向いた瞬間、ゴルダックは激しい衝撃に襲われる。  
何が起きたか分からぬまま、ゴルダックは何とか体勢を整えようとするが、身体が思うように動かない。  
 
「油断したな?俺の攻撃は必ず当たるんだぜ。水に潜ろうが空を飛ぼうがな。」  
 
ゴーリキーはニヤリと笑う。  
 
「(そうだ、奴の特性は…くそっ、オレとした事が…ど忘れしていたか…)」  
 
ゴーリキーは流石に水中は不利だと判断し、慣れない泳ぎで水から上がろうとする。  
 
「に、逃がすかっ!」  
 
ゴルダックは逃がすまいと、意識を周囲の水に集中させた。  
湖の水の流れが変わっていく。  
 
「な、何だ!?」  
 
水の流れが渦を巻き、渦潮となる。  
それはゴーリキーを水中へと再び引きずり込み、閉じ込める檻となった。  
 
「フン、降参するなら息の続く今のうちだぞ?」  
 
ゴルダックは水流に揉まれて身動きが取れないゴーリキーの近くに寄り、無様な姿を見てニヤリと笑う。  
 
「だ、誰が…降参などするか…!」  
「だったら、じわじわと痛ぶってやろう。」  
 
ゴルダックは念力でゴーリキーを攻撃しようと試みる。  
しかし、先程の爆裂パンチを食らった影響で狙いが狂い、ゴーリキーのベルトに攻撃が当たり、ベルトが外れてしまった。  
 
「なっ!?」  
 
念力で混乱したゴーリキーは思わずベルトを拾おうと身体を動かすが、  
ベルトで抑えていた力に耐えられず…  
 
ビリッ!  
 
…ゴーリキーの黒い腰布は破れてしまった。  
 
「…っ!!」  
 
慌てても時既に遅く、破れた布は水流で流れていき、ゴーリキーの下半身を隠すものは無くなってしまった。  
 
「よ、よくも俺の一張羅を…!」  
「あの薄汚い布切れがか?あれは自分で破いたのだろう?…っ!?」  
 
怒りに狂ったゴーリキーは、ゴルダックに飛び掛かる。  
 
「くそっ、放せ!」  
 
ベルトを失ったゴーリキーに力で敵う筈もなく、ゴルダックは仰向けで両腕の上腕を捕まれ、両脚は膝で湖底に押さえつけられてしまった。  
 
「…渦潮を止め、負けを認めるなら放してやる。」  
 
ゴーリキーは顔をゴルダックの顔に近づけ、脅す様に睨みつけた。  
押さえつけられている腕の骨がギリギリと悲鳴を上げる。  
 
「ぐっ、渦潮を止めるのは貴様が降参した時だけだ!これでも食らえ!」  
 
そう言うと、ゴルダックはゴーリキーの目をギッと睨み付ける。  
しかし、ゴーリキーには何も起きない。  
 
「…不発か?余りの痛さで技を出す余裕は無い様だな?悪足掻きでもするか?」  
「ふん、技が出せないのはどっちなんだ?」  
 
ゴルダックは不敵に笑う。  
 
「何だと?また俺の爆裂パンチを食らいたいのか?…!?」  
 
ゴーリキーは爆裂パンチを出そうとするが、身体が思うように動かない。  
 
「金縛りだ。お前の爆裂パンチは封じさせて貰った。」  
「何っ!?俺の唯一の技が封じられただと!?」  
 
ゴーリキーは狼狽える。  
 
「…アンコールの必要はなかった様だな。技が一つだけなんて、全く馬鹿の一つ覚えだな。」  
「五月蝿い!俺の拘りなんだよ!それに貴様だってまともな技が使えないだろうが!」  
 
ゴーリキーは力任せにゴルダックを抑え込む。  
ゴルダックも何とか逃れようと悪足掻きをする。  
 
「(痛みで集中できないから念力は使えない…他の技は既に使用済み…クソッ!悪足掻きしかないのか!)」  
 
ゴーリキーは暴れるゴルダックを押える為、全身に力を込める。  
…そして、下半身に当たる、生暖かい硬い感触。  
ゴーリキーの逸物がゴルダックの股間に偶然押し付けられているのだった。  
 
「(くっ、そんな所を押さえ付けられたら勃っちまう…!)」  
 
ゴルダックは目を閉じ、なるべく他の事に集中して勃たないようにしようとする。  
しかし、抵抗虚しくゴルダックの股間からは雄の象徴が現れてしまった。  
ゴーリキーがゴルダックを押さえつける度、  
また、ゴルダックがゴーリキーを振り解こうとする度、お互いの物が擦れ合い、耐え難い色情を催させる。  
 
「(早く締め上げてギブアップさせないと…性欲を我慢出来ん…!)」  
 
ゴーリキーは思わず射精したくなるのを目を閉じ、必死に堪える。  
その頃、ゴルダックは意識が朦朧とし始めていた。  
 
「(くそっ、ムラムラしてきやがった…!これじゃ、こいつが窒息する前にオレの気がおかしくなっちまう…!)」  
 
ふたりにとって、気に食わない相手の目の前で射精するのは、勝負に負ける以上の屈辱。  
もしイってしまえば、相手に罵られ、哂われ、自身のプライドは再起不能なまでに大きな傷を負わされてしまうだろう。  
 
「ぐぐ…っ…、まだギブアップしないか…、しぶとい奴め…!」  
「…フン、き、貴様こそ…!ギブアップするなら今の…内だ…!」  
 
予想以上に苦しそうな相手の声を聞いて不審に思い、薄目で相手の様子を伺う。  
苦しみを耐える相手の表情…そして、視界の隅に映る相手の雄…。  
血管が浮き出し、今にも熱を吐き出しそうなそれを見て理解する。  
 
「へっ、何だよ、今にもイきそうじゃねぇか…!」  
 
ゴルダックは腰をぐいぐいと押し当て、ゴーリキーのものを刺激する。  
ゴーリキーは一瞬表情を歪めるが、直ぐに平静を取り繕う。  
 
「うっ、くそ…、お前こそ…、もう我慢出来ないんじゃないのか?」  
 
ゴーリキーも負けじと押し返す。  
ゴルダックは思わず腰を引こうとするも、押さえつけられていて動けずに苦悶の表情を浮かべた。  
 
「…っ、このっ…!ふんっ!」  
 
ゴルダックの攻めにゴーリキーはうめき声を上げる。  
 
「ぐぅっ、ま…負けるかっ!」  
 
そして、ゴーリキーもまた、うめき声を上げる。  
 
「くそっ、降参しやがれ…っ!」  
「貴様こそ…っ!」  
 
何度も何度も腰を打ちつけ合い、お互いの急所を責めていく。  
…しばらくして、ふたりはゆっくりと腰を引く。  
 
「(もう…限界だ…っ、こうなったら…!)」  
「(…この一撃に…賭ける!)」  
 
そして、勢いよく、腰を打ちつける。  
 
『食らええええええぇぇぇっ!!!』  
 
ぶつかり合う身体と身体。  
ふたりの間で脈打つ1本の雄の象徴…。  
 
…ふたりの意識はそこで途絶えた。  
 
どちらが勝ったのか…。  
それは彼らしか知らない…。  
-end-  
 

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