「ねぇ、今日はこれ位にしたらどう?」
友の身を案じ、制止の声を掛けた。諦めの悪さは僕も見習う所があるけど、
今のままでは只の無茶の繰り返しな事にいい加減気付いてくれないかなぁ。
いくらなんでも、相性が悪すぎる。少し考えれば分かることなのに…。
しかし、その気遣いは今日も届かないらしい。
「ぐっ、ま、まだだ!まだやれる!」
神はきっと、彼に不屈の心だけを与え、考える頭を与えなかったのだろう。
性懲りも無く膝を付いてまでして立ち上がり、悪タイプらしい鋭い眼光をこちらに向けていた。
ふらふらと蹌踉めきながらも、闘志だけを糧にして立っている。
その彼の不屈の心には感服させられなくもない。寧ろそんな馬鹿な彼が好きだ。
「ふ〜ん、そう。じゃあそろそろ"アレ"やっちゃおうかな。覚悟してよね」
彼も相当疲労している様なので、止めを刺すと宣告する。
その宣告を聞き、直ぐに鋭い眼光は失せ、まるで彼は怯える様に顔を引きつらせた。
さっきまでの威勢の良さは、今の僕の一言で霧散してしまったようだ。
「お、おい…あ、"アレ"をやるのか……?"アレ"だけはやめてくれ……俺、死んじまう……」
死ぬなんて大げさなぁ。只君にとっては効果抜群なだけじゃないか。
そういえば、最初に君が"アレ"に弱いと知ったときはもう楽しくって仕方が無かったなぁ。
一日中やって、君が酸欠になっちゃったときは流石に反省したけどね。
「でもまぁ、今の僕は限度を知ってるから大丈夫だよ、きっと」
「"きっと"ってなんだ!"きっと"って!!」
冗談、冗談。
「さぁ、行くよ……」
体の重心を低くし、しんそくの体制をとる。しんそくで素早く彼の背後に周り、"アレ"をキメるのだ。
「や……やめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
彼の断末魔は、深い森に響き渡っていった……。
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日は今日も燦々としていて、とても気持ちがいい。ぽかぽか陽気というやつだ。
木々に生い茂る緑の間から注がれる日差しは、眩しくも無く、けれどもどこか光に満ち溢れた
空間をそこに生みだし、居るだけで幸せになれるような気分にさせてくれる。
森の中に風は無いが、空気が動いているのを感じる。木々が、大地が呼吸している。
沢山の生命が息づく、そんな素敵な場所。そこには………
「へっっっくしょん!!!」
………馬鹿が居ます。
「笑いすぎて鼻がムズムズするぜ。畜生この野郎、またやってくれたな」
嗚呼、そういえば彼はこんなのだった。情景なんてものには全く関心の無い。
何で戦うことしか頭に無いんだろう。
「何度でもやってあげるさ。いい加減懲りるか学ぶか、どっちでもいいからしてよね、ゾロア」
ゾロア、彼の名前。幼いころから一緒だった。何をするにも一緒でいた。
探検隊ごっことか良くやったっけ。二人だけで暗い洞窟に入って、ズバットの羽音にビックリして
ベソ掻くくらいの頃からの付き合いだ。
「おい、ゾロアはやめろって何度も言ったろ。俺はもうし・ん・かしたんだっ。
ゾロアじゃなくてゾロアークて呼べっての」
「だってゾロアークって呼びにくいんだもん。ゾロアの方がしっくりするし」
僕は生まれつき二足歩行だ。所謂人型で、進化したら何故か胸と両手の甲に棘が生えた。
彼も今は二足歩行だが、進化する前は四足歩行だった。子犬…じゃなくて、子狐の容姿をして、
それはもう愛くるしさが溢れていた。特に麻呂眉の辺りとか。
けれども今では嘗ての面影は無くまるで獰猛なケモノに……
「うるせぇ!俺様は生まれつきワルだったっての!」
これも冗談だって。
「う〜……なんでいつもお前に勝てないんだ……今日はいけると思ったのになぁ」
何を根拠にそう思ったのか言ってみて欲しいね、多分答えられないだろうけど。
「ねぇ、だからさ、いい加減僕に悪タイプの技は効かないって覚えてよ。
そして他のタイプの技を覚えてよ」
鋼/格闘タイプである僕に対し悪タイプは最早効かないに等しいのに、
何を血迷っているのか悪タイプの技ばかり繰り出し、今日も僕に負けている。
「うっせぇ、そんなの関係ねぇっての。それより明日こそ負けないからな!」
う〜ん、今日も分かってくれなかった。
でも、そんな強情な所とか、只単に馬鹿なところが、僕は好き。
「あ!あと、もう二度とくすぐりはするな!アレは頼むからマジでやめてくれ!死ぬ!」
ああもう、いちいち可愛いなぁ。
擽りに弱いなんて、擽って下さいって言ってるようなものだよね。
さっきだって、ゾロアの後ろに回りこんでがっちりホールドして全力で脇の辺りを揉んだら
『わ、わひゃひゃひゃひゃひゃっ!!やっ、やめっれっ、ひゃははははははは!!』
だもんなぁ〜。
「……あ〜、うん、もうしないよ」
ウソです。明日もやります。あんなに可愛いゾロアを見れなくなるなんてイヤです。
「うっし!じゃあ腹でも減ったし木の実でも取りに…」
「ねぇ、ゾロア」
あー、ダメ、もう耐えらんない。
「なんだ…ってその前にその呼び方はやめええええっ」
立ち上がろうとしていたゾロアに、僕は飛びついた。
ゾロアは情けない悲鳴とも取れる奇声を上げながら、僕の下敷きになった。
「我慢できなくなっちゃった。一回していこうよ」
「はぁっ!?」
予想通りの反応に満足しながら、僕は慌てた顔のゾロアに口付けをした。
「んんー!んー!」
もう、キスの時くらい静かにできないかなぁっ。
僕はゾロアを黙らせるべく、抵抗する口を無理矢理開いて、舌を侵入させた。
侵入した舌は、僕の命令通りにゾロアの口内を犯して回った。その内、抵抗は徐々に弱まっていく。
「んっ……くちゅ・・・」
抵抗の無くなったのをいい様に、互いの舌を何度も絡ませたり、
ゾロアの唾液と僕のそれを混ぜたりして官能を高めた。
暫くの間接吻は続き、離したときには細い銀の橋が二人の口を繋いでいた。
「…えへへ、落ち着いた?」
大人しくなったゾロアに声を掛けた。
「お、落ち着くわけ無いだろが……」
顔にも落ち着いていないって赤い頬に書いてあった。
「あ、そっか、寧ろ興奮しちゃうか」
「ばっ!?」
図星だろうなー、今の反応。
「何だかんだ言って、ゾロアだってやりたがりだもんね」
「うっせ、お前が言うな。こんな真っ昼間にヤるなんてよく……」
そこまで言ってゾロアは、はっとして言うのをやめた。
僕は、追い討ちを図った。
「だから、ゾロアもなんでしょ?」
「…………ヤるなら、とっととしろ……」
隠そうとしても隠し切れないゾロア、それがいい。
同意は取った。これで文句は無い筈。もっとも、同意が無くともやるつもりだったけど。
仰向けになったゾロアを、僕は弄る。
生物の身体は雌が元となった、その証である胸の突起を厭らしく舌で舐めた。
「…ぁっ」
ゾロアが息を呑んだ。声を押し殺そうとしているんだ。別に我慢しなくたっていいのに。
「我慢しないでいいよ?僕は誰かに見られても構わないから」
「なっ…こ、この変態がっ!」
またも顔を真っ赤にするゾロア、反応がいちいち可愛い。
もっとゾロアを弄るべく、僕はゾロアの股に手を伸ばした。
ピクンッ
ゾロアの正直な反応が、手を通じて伝わった。既に勃起した陰茎をしっかりと握り、
「動かすよ?」
擦り始めた。
「ん、あぁ…はぁっ……」
擦り始めて間もなく、ゾロアの呼吸は乱れた。何だかんだ言って、ゾロアは待ち遠しにしていた筈だ。
「くぁぁ…ルカリオ……」
ゾロアのモノは自身が吐き出した粘液で濡れ始めた。摩擦音が徐々に湿ってくる。
「気持ちいい、って聞くまでも無いよね……僕も上手くなったでしょ?」
モノを扱きつつ、冗談交じりで訊いたつもりだった。
「あ、あぁ、気持ちいいぜ………」
だから、まともに返事されたのにちょっとだけルカリオは驚いた。
普段からこう素直ならいいのに……。エッチのときだけこうなんだから…。
「ルカリオ……はぁっ、そろそろ、でる…」
「うん、イっていいよ。たくさん搾ってあげる」
そう言うと、ルカリオは扱く速度を上げた。
「あっ、はあ、ああっ……」
ゾロアのモノがビクッ、と大きく震えた、それが合図だった。
「がっ、でるっ………っ!」
びゅっ、びゅるるっ、びゅ……
ゾロアのモノから、精液が溢れ出た。相変わらず、量は多い。
ゾロアの黒い身体に、白い模様がいくつも出来上がった。
「はあ、はぁっ、…はぁ……」
達してから暫く、ゾロアは呼吸を整えていた。
「フフ、ゾロア、そんなに気持ちよかった?昨日やったばかりなのに」
言葉でもゾロアを弄りつつ、ルカリオはゾロアの白濁液をいきり立った自分のモノに塗りつけた。
自分のモノを十分に湿らせると、ゾロアに訊いた。
「ねぇねぇ、体位は何がいい?このまま正常位、それともバック?…まさか駅弁とかやりたい?」
「っは……なんでもいい、好きにしろ…変態……」
自分だって変態の癖に、なんて野暮なことは口にはせず、
特に希望は無いということで、ルカリオの好きなバックで交わることにした。
「お尻はあまり解さなくても大丈夫でしょ?」
四つん這いになったゾロアの腰をつかみ、己のモノでゾロアの尻をこすった。
「………あんまり痛くするなよ…」
「わかってるよ、ゾロア」
一応確認を取ってから、とうとうモノを穴に宛がった。
「…挿れるよ」
ぐっ、と腰に力をいれ、モノをゆっくりゾロアに挿れる。
ゾロアの精液が潤滑油になり、また、昨日もやったので元々解れていて、苦も無く挿入した。
「奥まで挿ったね、動くよ」
「……いちいち訊くな、どうせ無理矢理にでもヤるんだろ」
「バレてたか」
ゆっくりと腰を引き…再び、思いっきり挿入した。
「んあっ!」
思わずゾロアは大きく喘いだ。
「い、いきなりすぎるだろ!!」
「今までお預けだったんだから、好きにさせてよねっ」
ズンッズンッ……
いよいよ腰を素早く動かし、より多く快楽を得ようとする。
挿入に難が無くとも挿れらる度にきゅっ、と尻穴が締まり、ルカリオのモノを刺激した。
「はっ、はっ、ゾロア…すごく、イイよ……」
「お、いっ、はげしっすぎ…だっ……!」
ルカリオのピストン運動は速く、大きく、力強かった。
ゾロアの中に大きな快楽を感じ、口はだらしなく、涎を垂らす。
じゅぷ、じゅぷと激しいピストン運動に、結合部からは飛沫が辺りに飛び散る。
突かれることにゾロアも快感を感じ、再び吐精の予感がした。
「ル、ルカッ…い、イきそう、だっ…!」
「んっ、くぅ…ゾロ、アっ……も、もうイっちゃう、の……」
ルカリオも、もっとゾロアの中を感じていたかったが、吐精は大分近づいてきている。
ゾロアが達すれば、弾みで尻穴は強く締まり、それが呼び水となるだろう。
「ルカ、リオッ…!あっ、あぁぁ……ッ!!」
「ゾロアッ、ゾロアッ!くぁっ、ああぁ!」
びゅるるっ、びゅる、びゅっ………
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自分たちがとんでもない所でしていたことを再認識したのは、互いに姿を見つめあったときだった。
白濁の水玉によごれたゾロアに、激しい挿入で股をひどく汚したルカリオ、雄の臭いが周囲に漂う場所。
「ったく、真っ昼間から森のど真ん中でヤるなんてどうかしてるぜ」
まあ、それは認めるけど、やるのは一人じゃないし…。
「ゾロア、それは自分のことを言ってるんだよね?」
ゾロアはまた赤くなった。
「ゾロア、気持ちよかった?」
「…わ、分かり切った事を訊くなよ、な」
やっぱり、素直じゃないんだから。よし、擽っちゃる。
「わ、擽りはやめろ!それは無しだ!それより腹減っただろ!」
話の転換が無理矢理過ぎる、それはもう、ご愛嬌だ。
「分かってるって。それより、木の実をとりに行く前に川でしょ」
「あ、あぁ、そうだな」
「じゃ、いこっか………♪」
さて、ゾロアークがルカリオに勝てる日は、いつになるだろうか。
おしr…おわり