季節は春。
多くのポケモン達が子孫を残すべく、つがいとなる季節。
ニドラン雄雌のカップルがいちゃついているのを横目に、俺は繁殖の相手…ニドクインを探して森をうろついていた。
…くそっ、早く相手を探さねぇと他の奴らに先を越されちまう…!
交尾するなら強くて体の丈夫なニドクインに限る。
…そう考え、今まで華奢な雌や身体の小さい奴はスルーしてきたが、一向にこれだ、と思える雌には巡り会えなかった。
そろそろ妥協をするべきか?
そう思った頃には遅く、大抵の雌は相手を決めた後。
…俺は後悔した。
空は曇り。
今にも雨が降りそうだ。
湿った風に含まれる甘い香りを感じ、俺はハッとした。
…ん?これは…雌のフェロモンじゃねえか…!
風上に向かって走る。
香りは次第にはっきりしてくる。
雨が降り始めてきたが、そんな事はどうでもいい。
風邪をひいたってかまうものか。
雨で匂いが消えたらおしまいだ。
…こんなチャンスはもう無いよな?
やがて岩壁に開いた洞窟の前に着いた。
目当ての雌はここに住んで居る筈だ。
雨に濡れた足跡が中に向かって伸びている。
…間違いねえ。
中は暗いが、目がなれれば何とかなるだろう。
ずずっ…
…くそっ、どうやら風邪を引いちまったみたいだ。
匂いが嗅げないが、ここまで来れば問題は無いか…
俺は手探りで奥へ進んで行った。
洞窟の細い通路を進んで行くと、やがて大きくひらけた場所に着いた。
…ここが最深部か?
暗がりの中、目を凝らすと誰かが居るのが見える。
暗くてよく見えないが、俺に勝るとも劣らない体格の持ち主であることはわかった。
こいつなら強い子孫を残せるだろう。
俺は一目でこいつを気に入った。
向こうもこちらに気づいた様で、ゆっくりと歩いて来た。
俺も警戒させないよう、ゆっくりと彼女の方へ歩み寄る。
彼女は俺の肩を掴むと、身体を引き寄せ、力強く抱きしめてくる。
…随分積極的だな…へへっ…
ようやく目当ての雌に出会え、俺は心の中でガッツポーズをした。
俺は昂る心を抑え、彼女の背中にそっと腕を回す。
彼女の心臓の鼓動が胸から伝わり、彼女もまた興奮しているのがわかる。
…そろそろ良いんじゃねぇか?
俺は彼女の頭を掴み、少し強引にキスをする。
少し遅れて彼女も口を少し開き、舌を入れてくる。
甘い、甘い口付けの感触を共有し、俺の興奮は高まっていく。
呼吸は荒くなり、抱きしめる力も次第に強くなる。
身体はより密着し、雨で冷えた身体が温まっていく。
口を離し、見つめ合う。
暗くて顔が見え無いがおそらく彼女も同じなのだろう。
俺は腰を前に突き出し、興奮で硬くなった下半身を彼女の下腹部に押し当ててアピールをする。
早く挿れさせろ、と。
…しかし、俺はここで違和感を感じた。
俺の下腹部に当たっている…コレ…は…?
手、では無い。
彼女の両腕は俺の両肩にかかっている。
脚、でもない。
脚ならもっと太い筈だし、第一、これは粘液でぬるぬるしている。
答えはひとつ。…雄のあれである。
「…おい。」
彼女が…いや、彼が急に、図太い声で話しかけてくる。
「お前、ニドクインじゃないな?」
「お、俺は雄だっ!」
次第に目が暗闇に慣れてくると、相手の姿がはっきり見えて来る。
…相手は俺と同じニドキングだ。
…ううっ、ファーストキスの相手が同性かよ…
「ちっ、ニドクインが帰ってきたと思ったが、とんだホモ野郎だったなんてな…
…全く、いきなりキスなんかしやがって…」
…カチン。
「だ、誰がホモだっ!先に抱きついて来たのはお前だろうが!
それにお前だって俺とキスして興奮してたじゃねえか!」
「うっ、うるせえ!てめぇはさっさとここから失せろ!犯されてぇのかコラァ!?」
「なに寝言言ってやがる!失せるのは貴様だろうが!ケツに俺のメガホーンぶち込んで泣かせてやるから覚悟しやがれ!」
売り言葉に買い言葉ってやつで、俺は奴の挑戦を受けて立つ事になった。
「おらっ、凍って砕けろっ!」
俺は氷の力を拳に込め、奴の胸に叩き込む。
「くっ、冷てえ!風邪がひどくなるだろうが!お返しだっ!」
奴は間合いを取ると、俺に向けて吹雪を放つ。
「うおっ!?余計に寒くなっただろうが、馬鹿野郎っ!」
威力は高いが当たらなければどうということはない。
俺は尻尾に水の力を込めて叩き付ける。
「くっ、貴様やるな!」
奴は反撃で水の力の波動を放つ。
今度は回避が間に合わず、まともに食らってしまう。
「っ!お前もな!」
クラクラする頭をなんとか堪えながら、俺が炎の拳で殴りつけると、奴は反撃で巨大な炎を放つ。
俺が毒を込めた突きをすれば、奴はへドロの塊を飛ばしてくる。
一進一退の攻防に、俺たちは闘争心を燃やしていく。
「隙ありっ!」
「何っ!?」
俺は奴の一瞬の不意をついて背後に回り込み、尻尾を抱え込んだ。
奴はバランスを崩し、前のめりに倒れる。
「不意打ち…だと…!?」
俺は奴の尻穴に自身のものを押し当て、ニヤリと笑った。
「覚悟しやがれ!」
「や、止めろっ!!」
ぬぷっ!
先走りでぬるぬるになった俺のものは抵抗なく奴の中に入った。
「うっ…くそっ…!」
奴は少し呻き、痛みを必死に堪えている。
俺はそのまま腰を動かし始める。
初めて味わう感触に、思わず腰を引きそうになるが、奴に悟られまいと無理に腰を振り続けた。
奴の呻きは痛みからくるものではなく、少し…なんというか、そそるものになっていた。
「へへ…どうだ?俺のメガホーンは…」
「ふ、ふん…、これがメガホーンだぁ?…こんな毒針程度、何とも…ない…ぜ…!」
「その割には…さっきから…良い声で…鳴いてるじゃねぇか…感じてるんだろ…?」
「…っ!?くそっ!」
突然、俺の体が動かなくなった。
そして、奴は起き上がり、俺を突き飛ばしてくる。
「くっ、金縛りか!?」
俺は起き上がろうとするが、その前に奴が俺の背後から押さえつけてきた。
「今まで…好き勝手やってくれたな…?今度は…俺の番だ!」
慣れない動きで体力を消耗していた俺は、抵抗する事が出来ない。
「よ…よせっ!」
「食らえぇぇっ!」
頼みも虚しく、俺の中に勢い良く侵入する巨大な奴のもの。
今まで物を受け入れた事がない穴は、今にも裂けそうになり、激痛が俺を襲う。
奴の前で悲鳴をあげれば負けを認める事になる。
俺は歯を食いしばり、ただ痛みを堪えるしかなかった。
「お前の…中…、気持ち…良いぜ…。病み付きに…なりそうだ…。」
「う、うるせえ…っ!」
四つん這いで床に先走りを垂らし、みっともない姿で奴に犯される俺。
そして、荒い息遣いで不規則に腰を動かし、本能に身を任せて快楽を貪る相手。
いつからか、俺は痛みを感じる毎に、快感を通り越してイきそうになるようになっていた。
…イきたい。
しかし、このままでは奴にイかされたことになり、
それは俺のプライドが許さない。
奴を先にイかせ、奴の顔面にザーメンをぶっ掛け、奴を征服する。
…これが俺の答えだった。
俺は勢い良く奴の脚を引っ張る。
「っ!?」
奴は足を滑らせ、俺の横に倒れた。
俺はすかさず目の前にある奴のものを握り、扱き始める。
「うっ、くそっ…!」
奴もまた、奴の目の前にある俺のものを握り、負けじと扱いてくる。
先程迄の行為で既に相手は限界が近い事は分かっている。
だが、限界が近いのは俺も同じ…。
そして、恐らく相手は俺と同じ事を考えているだろう。
俺は奴の尻に開いている方の手を伸ばす。
そして、奴の前立腺を爪の先でグイと押して刺激する。
俺の手の中で、奴のものが大きく反応し、奴が苦しそうに呻く。
奴もまた、同様に俺の前立腺を刺激し、俺を攻めてくる。
俺もまた、思わず呻き声を上げた。
洞窟に響く、二人の喘ぎと、湿った音…。
そして、絶え間なく流れ出す先走り…。
俺は目を閉じ、手を動かしながら、ただ相手が果てる事を願った。
次第に感覚が麻痺し、手足が痙攣を始める。
意識は朦朧とし、自分で自分のものを扱いているような錯覚さえし始めていた。
…もう…限界だ…っ!!
『ぐああああああああぁっ!!』
快感の波が俺の理性を押し流していく。
身体を震わせ、俺は…果てた。
俺の顔には奴の熱い性がかけられ、俺のプライドは音を立てて砕け散っていく…。
…俺は意識を失った。
…翌日。
「お前が先だ!」
「いいや、絶対お前が先だった!」
お互いにザーメンまみれの顔で睨み合う、俺と…奴。
どうやら、俺が果てた瞬間、奴も同時に果てたらしい。
…確かに、俺が叫んだ時、奴も叫んでいた気がする。
「お前みたいな早漏野郎に俺が負ける筈ないだろうが!」
「何だとォ!?どっちが早漏だ、短小野郎が!」
「お前の方が小さいじゃねぇか!」
「俺のは膨張率がたけぇんだよ!」
「…ふん、このまま言ってても埒があかねぇ!昨日の勝負を最初からやり直して今度こそ決着をつけてやらぁ!」
「おぅ、望む所だ!」
奴はニヤリ、と笑いながら言う。
「まずは…キスからだ。」
俺もまたニヤリ、と笑う。
「…そうだな。」
…俺たちはゆっくりと、口を重ね合った。
優しく、激しく、熱く、奪い合うように、求め合うように…。
…全く、素直じゃねぇな…俺も…こいつも…。
-end-