ホワイトと力を合わせてついにサブウェイマスターを撃破した。  
 大喜びで飛びはねるホワイトを見て、また胸が高鳴る。  
 初めて出会ったときからこの娘はずっとこんな調子で元気いっぱいなんだ。  
 
「ありがとうブラックくん! ここまで来れたのもブラックくんのおかげだよ!」  
 
 そんなことない。  
 こっちのヘマで何度負けても、なんだかんだで最後まで付き合ってくれたホワイトのおかげだ。  
 今日勝った記念に、なにかお礼がしたいくらいだ。  
 
「い、いーよそんな! 今日だってけっきょく活躍したのブラックくんだし!」  
   
 ホワイトがサポートに徹していなかったら間違いなく負けてたよ。  
 いいんだ、遠慮なく何でも言ってよ。  
 
「えっ……じゃ、じゃあ」  
 
 すでに早歩きしていた脈拍は、帽子のツバに隠れたホワイトの上目遣いで一気に跳ね上がった。  
 
「い、一緒に遊園地いかない? あっ、そ、その、イヤだったらいいんだけど」  
 
 目を帽子に伏せ、両手を後ろに結んでモジモジするホワイト。  
 ほんのり秘めていたハートが、きゅうしょ的中でブレイクされた。  
 
 
 ホワイトはおおはしゃぎで、一つ乗り終えた矢先に次のアトラクションを指さしていく。  
 それにひきかえ自分は、初めてのデートがとにかく恥ずかしくて、周囲の目線が気になって仕方なかった。  
 意気揚々と手を引いてくるホワイト、どぎまぎしながらされるがままの自分。  
 うまく立ち回れない。ホワイトはこんな自分と一緒にいて、本気で楽しんでくれているのだろうか……。  
 
 でも、一般開放されていたジムのジェットコースターに乗ったとき、考えを改めるきっかけがあった。  
 ジムリーダーのカミツレさんがこっそりやってきて注意してくれたのだ。  
 
「そんなんじゃダメよ。男の子が輝かなくてどうやって女の子を楽しませるの」  
 
 その現場を、ちょうどソフトクリームを買ってきたホワイトに見咎められた。  
 
「も、もしかしてブラックくんて、カミツレさんと仲いい?」  
 
 慌ててポケモンの話をしていたんだとごまかす。  
 でもカミツレさんが去り際に、ホワイトの前で意味深な投げキスをよこしてきたからたまらない。  
 
「ブラックくん、また会いましょう」  
 
 普段は明るいホワイトが本気で動揺していたように見えて、弁解するのが大変だった。  
 カミツレさんは意地が悪い、まるでヤキモチ焼いてるみたいだ。とこれは自意識過剰。  
 
 ジェットコースターの一件から、今度はこちらがホワイトの手を引いて回った。  
 すると彼女は意外にも大人しく従った。  
 目も合わせたがらないし、口数も少ない。  
 そんな似合わない態度と取られると、こちらも気おくれしちゃうじゃないか。  
 
 もしかしたら嫌がられているのかもしれない。  
 それでも、最後にあの観覧車に乗ろうと言ったら、はっきり「うん」と答えてくれた。  
 
 
 スタッフに案内される間も、ホワイトの手を引いてエスコートした。  
 何気なく他のゴンドラの中を遠目にのぞくと、幾多のカップルがその一時を過ごしていた。  
 慌てて視線をそらしたけど、ホワイトはどう思ってるんだろう。ダメだ、怖くて顔を向けられない。  
 思えばカミツレさんの言葉を聞いて以降、今までの自分では考えられないほどの無理をした。  
 今さらながらじわじわと緊張がわきあがってくる。  
 
 せまい個室へ向かい合わせに乗り込むと、一気に外の世界と隔てられた。  
 かわいい女の子と二人きりの観覧車。  
 彼女は「いい眺めだねー」とか「きれいだねー」とか子供っぽくはしゃいだ。  
 すっかりアガりきってしまった自分は、そんな言葉につまらない相槌しかできなかった。  
 
「……ねぇ、ブラックくん」  
 
 ややあって、窓の外を眺めていたホワイトがそのまま呟いた。  
 緊張しているのが丸出しの返事をすると、彼女はおかしそうに笑って、さらりと言った。  
 
「わたし、ブラックくんが好きなんだ」  
 
 間髪入れず、自分も想いを伝えた。  
 初めて会った時から、と付けくわえて。  
 
「ほんとうに?」  
 
 彼女の少し驚いたふうな顔がこちらを向く。  
 うそじゃない。  
 偶然ギアステーションで見かけたときから、ずっと。  
 
 ――あとは勢いとばかりに、ホワイトを抱きよせた。  
 
「! んんっ……ん……」  
 
 強引にホワイトの唇を奪ったけど、彼女はすぐに順応してくれた。  
 サラサラウェーブが顔に当たって気持ちいい。  
 
 そして彼女は予想外に積極的だった。  
 こちらの首回りに腕をからめ、肌身をこするように抱きついてくる。いい匂い。  
 のみならず……  
 
「ん……ブラックく……ふぅ……む……んん……」  
 
 ツバ同士がぶつかって邪魔だった互いのキャップ帽を脱がすと、いきなり口内に舌をねじこんできた。  
 思わずたじろぐ自分に、おいうちをかけるように濃厚なディープキスが展開される。  
 アタマに響くいやらしい水っ気、ソフトクリームのバニラ味、いよいよ火照ってくるホワイトの体温。  
   
「んっ……んんん……んっ……」  
 
 ホワイトは休む間もなく、狂ったようにこちらの口の中を侵していく。  
 あらゆる方向から舌を絡め、唾液を奪い、唾液を送りこんでくる。  
 薄目を開けると、目をつむったホワイトの上気した顔。  
 かわいい。  
 
「ぷぁ」  
 
 ようやく解放してくれたのは、もうゴンドラが一周終えようとしたときだった。  
 あやうく案内スタッフに見られる所だった。いやもしかしたら、もう見慣れているものかもしれない。  
 
 キスが紡いだ証、細糸のアーチをペロリと吸い取るホワイト。   
 積極的なんだねと言ったら、「うん、がまんできなくって」と恥ずかしそうに小声で答えた。  
 
 
 
 
 ライモンシティは娯楽の街――  
 となれば当然、その手の施設はある。  
 年齢が年齢なので、さすがにチェックインしようとしたときは一旦は断られたが、  
 「わたしたち、もう立派な大人です」とホワイトが万札を上乗せしたらすんなり手配してくれた。  
 手慣れてるね、来たことあるのとホワイトに訊いたら、こともなげに「ママに教わったの」と部屋のカギをクルクル回した。  
 
 
 部屋に入るなり、ホワイトは荷物と靴を放って元気よくベッドにダイブした。  
 うつぶせの格好のまま枕を抱え、大きなポニーテールを揺らすホワイト。  
 
「ね、ブラックくん、早くっ」  
 
 首だけこちらに向け、足をパタつかせるホワイト。  
 シャワーも浴びないつもりらしい。  
 まぁ我慢できないのはこっちも同じだけど。  
 
 帽子と靴を脱いでいそいそとベッドに上がり込む。  
 そのままゆっくりホワイトに近づき、その白いフトモモに手を伸ばした。  
 
「あんっ」  
 
 ホワイトのわざとらしい声が興奮を駆り立てる。  
 てはじめに、くどいくらい尻の輪郭を強調させたホットパンツをなでまわした。  
 初めて見たときからずっとこれを味わってみたかった。  
   
「ね、ずっと見てたでしょ? 知ってたんだから」  
 
 やっぱりバレていた。  
 そうだよ、こうしてホットパンツの隙間に手をもぐりこませてみたかったんだ。  
 
「あん……もう……ブラックくんてばエッチだね……」  
 
 ホワイトの方がエッチだ。  
 いつもいつもこんな誘ってるとしか思えない格好して。  
 
「そ、それはただ動きやすくするための……やっ!」  
 
 ああ、なんて柔らかい尻肉。  
 ホットパンツの機密性が手を閉じ込めて、モミ心地のよさを余計に演出している。  
 一日中ずっとこうしてモミモミしてもいい……。  
 
「も……バカ……」  
 
 ああ、そろそろ我慢できなくなった。  
 尻から手を離して即座にベルトを外し、ズボンを下げる。  
 トランクスの隙間を解放すると、先ばしりを伴った肉棒がブルンとおどりでた。  
 
「あ……これがブラックくんの……」  
 
 こちらが何か言う前に飛び起きたホワイトは、夢中でトランクスに飛びついてきた。  
 全くためらいなくわえこむと、こなれた感じで吸いつきにかかる。  
 舌のザラザラした感触がいきなり自分のモノに襲いかかった。  
 チュパチュパいやらしい音。ぐーんと膨張していく自分自身。  
 
「ん……んんん……おいひ……」  
 
 童貞とテク技の相性は一方的! 効果は抜群だ!!  
 だ――だめだホワイト、すぐ出てしまうよ!!  
 
「へ? もうほ? はやいほ……ん”っ!!」  
 
 たまらず頭をがっしり両手でつかむ。  
 ああやばい気持ちいいもうイキそう!  
 ああああ、ホワイトのふさふさポニーテールかわいい!!  
 
「んんんん”っ!!」  
 
 ホワイトの口の中に猛るようなだくりゅうを解き放つ。  
 彼女は目を見開き、口の隙間から白濁をこぼしていく。  
 まだ終わらない。  
 脈打つ肉棒は、とめどなくホワイトの口内に精液を注ぎ込んでいく。  
 
「ん……ん……ケホッ! けほっけほっ……」  
 
 やっと満足して頭を離してやったとき、ホワイトは咳き込んでシーツの上に液を垂れこぼした。  
 どうやら結構な量を頑張って飲んでくれたようだ。  
 その様子を眺めて本気で申し訳ない気持ちになり、我を忘れたことを詫びる。  
   
「もう……」  
 
 ホワイトは顔を上げ、気恥ずかしそうにほほ笑んだ。  
 おもむろに体勢を仰向けに変え、こちらに股を開いて見せる。  
 
「……ちゃんとこっち用の体力、残してるんだよね?」  
 
 いわずもがな、先を見こした体力配分は中級トレーナーの基本。  
 レポートを書ける程度のインターバルの間に、ふたたび肉棒をいきりたたせる。  
 
「ん……ブラックくん、はやくぅ……」  
 
 ホットパンツのチャックは全開。  
 純白の下着が横にずらされる。  
 もはや思考回路はまひ状態だった。  
 急くように先端をきゅうしょに当てがう。  
 
「……はぁ……ブラックく」  
 
 とっしんの勢いで、一気に貫く。  
 ホワイトのか細い悲鳴があがりかけ、しかしすぐに押し殺される。  
 
「ん〜〜っ……」  
 
 凄まじいしめつけ。  
 接合部からの血。破瓜の血?  
 ホワイトの目がしらに光るしんぴのしずくに、こんらん状態に陥る自分。  
 
「あっあっブラックくっブラッあっあっやっ」  
 
 みだれづき。  
 止まるわけがない。  
 毎ターンフルスロットル5回。  
 
「ブラックくん! もっと激しく! もっと! もっとおぉ!」  
 
 揺り動かされるホワイトが更なる欲望を求める。  
 ベッドが軋み続ける音に、ホワイトの喘ぎ声が覆っていく。  
 
「あっあっあっあっあっあっあっあっ」  
 
 乱れる長髪。  
 小気味いい嬌声。  
 控えめなのに質量感たっぷりに揺れる胸。  
 ピストン運動にしたがって激しく上下する華奢な肢体。  
 
 すべての要素が徐々に絶頂へのボルテージを高めていく――。  
 
 あのいつも明るくて元気いっぱいの女の子が。  
 戦いの列車を一丸となって走破してきた凄腕トレーナーが。  
 大きなポニーテールがよく似合って、ホットパンツを意識してきた、凄腕女の子トレーナーが。  
 いま、荒い呼吸とともに自分の名前を呼び、強く強く求めて――  
 
 ホワイト、好きだホワイト!!  
 も――もうイキそうだ――!!  
 
「わたしも、わたしも好き! ブラック! きて、ブラック、きてぇ!!」  
 
 せり上がる欲望を……一番……奥で!  
 
 最大威力でたたきつけた刹那、ホワイトの腰を持ち上げ弓なりに身体をよじる。  
 
 
 だいばくはつだった。  
 至高の快感と共に、欲望がどくどくと暴走する感触が脳髄につきつけられる。  
 
「あ……出てる……中に……」  
 
 淫靡な激しい吐息と共に、薄目のホワイトが放心したようにつぶやく。  
 その間にも、みずでぽっぽうのような容赦ない射精が延々続く。  
 ときおりビクンと震えるのは自分か彼女か。  
 
 
 一区切りついたところで、剛直を引きぬく。  
 ゴポリと白い液が赤に混じって吐き出された。  
 悔いなんて微塵もない。責任は取る。  
 
 それよりも――ホワイトの恍惚とした顔があまりにかわいくて。  
 たまらずその頬にキスを落としてあげた。  
 
 
「ね。ブラック」  
 
 一息つくかつかないかのタイミングで、ホワイトが言った。  
   
「もう一回やろ?」  
 
 あくむの予感が走った気がしたが、せっかくの申し出だったので応じてやった。  
 
 
 もっとも予感が的中していたことを思い知らされたのは、5回目の絶頂を経たあとだった。  
 
 
 
 
 
「はあ〜……今日は楽しかったあ」  
 
 ホワイトが「うーん」とのびをするのを、やつれた顔で見守る。  
 もうだめだ。本当に無理だ。PPが尽きた。HPも警告音鳴りっぱなしだ。  
 
「ね、これでわたしたち、晴れてカップルだよねっ!」  
 
 なんでそんなに元気なのかきくと、「もうっ、言わせないでよっ」と恥ずかしそうにつつかれた。死ぬ。  
 
「ねぇ、今度はほかのトレインにも挑戦してみようよ! で、そのあと、またデートしよっ!」  
 
 今日一日あれだけオーバーヒートしたのに今度のことを考えられるなんて凄まじい。  
 ホワイトの体内にはポケモンセンターでも完備されているのだろうか。  
 
「じゃあまた明日ギアステーションでね!」  
 
 明日!? ってもういま明け方……。  
 
 大手を振って別れを告げるホワイトに、力なく見送ることしかできない。  
 いや――もはやそれさえもかなわない。  
 意識が次第にじわじわ途切れはじめ、やがて完全に目の前が真っ暗になってしまった。  
 
 
 終  
 
 

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