「嫌っ、もう、もうやめてぇぇ!!」  
プラズマ団によるポケモン解放から二週間後。ホワイトはNの城に軟禁されたまま、団員の性欲を満たす人形とされていた。  
「ちっ、うるせえな……デンチュラ、電磁波」  
「んあぁぁぁぁ!!」  
団員のデンチュラが放った電磁波が、ホワイトを襲う。  
「あ、あ……」  
「やっと静かになったか。ほら、さっさと終わらすぞ」  
そういうと団員は電磁波で痺れて動けないホワイトの尻を向けさせ、自分のモノを一気に挿した。  
「いぎっ!?」  
「何度もヤられてりゃ慣れてきたろうに……やっぱガキだな」  
「ぅあ、あ……」  
「泣くなよ、面倒くせぇ。……ふんっ」  
「ああっ!!」  
団員はホワイトの腰を押さえ、激しく腰を動かす。  
「んっ、あっ、んぁっ、あぁっ!!」  
「ほら、しっかり、受け止め、な……っ」  
「やっ、あっ、嫌、嫌ぁぁぁぁ!!」  
団員のを中に出され、ホワイトは絶頂した。  
 
「…………」  
その夜、ホワイトは、用意された部屋(といっても、牢屋のような部屋だが)で膝を抱えうずくまっていた。  
「……みんな、どうしてるかな」  
ふと皆の顔を思い出すと、ホワイトの目から涙が零れた。  
「帰りたいな……」  
横の壁に身を寄せると、ポケットからモンスターボールが一つ転げ落ち、その弾みでスイッチが押され、ボールが展開した。が、  
「あ……」  
何も、ポケモンは出てこなかった。  
「そっか……みんなも、解放、したんだ、っけ……」  
ポケモン解放の時、ホワイトの手持ちポケモン達も、ボックスの中まで全て解放されていた。  
ホワイトは空のモンスターボールを手にとり、胸に抱える。  
「みんな……みんなぁ……う、うわぁぁぁぁぁ!!」  
ボールを抱え、ホワイトは大声で泣いた。  
 
「わからないな」  
Nは部屋の外でホワイトの泣き声を聞いていた。  
「わからない……とは?」  
横にいた見張りの団員がNに尋ねる。  
「僕は王になりポケモン達を解放した。でも今、僕達はポケモンを持っている」  
「それは、N様は王ですから」  
団員は、当然です、と付け加え、Nに話す。  
「王、か」  
そう呟くと、Nは部屋の前を後にした。  
 
「わからない……」  
Nは自室に戻った後も、先程と同じく呟いていた。  
「ポケモン解放のあの時……ホワイトのポケモンは戸惑っていた」  
あの時、ホワイトのモンスターボールからポケモン達を出してやると、ポケモン達は困惑した表情をしていた。  
「手持ちだけじゃなかった。ボックスにいたポケモン達も、だ」  
ボックスのポケモン達もまた、ホワイトの元を離れるのを戸惑っていたようだった。  
「他のトレーナーのポケモン達も、そう、なのか?」  
Nは思考を続ける。  
「僕達が解放を促さなくても、ポケモン達は、幸せだったのか?」  
Nは、一つのモンスターボールを取り出し、見つめる。  
「レシラム……」  
ボールの中には、伝説のポケモン、レシラムがいた。  
「君は、この結末を望んでいたのか?」  
問うが、レシラムは答えない。  
Nはモンスターボールをしまい、別のポケットから黒い石を取り出した。  
「……ゼクロムはレシラムに敗れ、再び石に戻った、か」  
Nは石を握ると、目を閉じ、意識を集中した。  
「……鼓動を感じる。何かを待っているのか?」  
何を? と呟くと、Nは、はっとし、  
「ホワイト……なのか?」  
その名を呟くと、石の中で、鼓動が強くなった気がした。  
 
「ホワイト」  
次の日、Nはホワイトの部屋に来ていた。  
「N……」  
Nを見るホワイトの目は泣いた跡があり、赤くなっていた。  
「そっか……今日は、Nの番なんだね」  
そういうとホワイトはよろよろと立ち上がり、ジャケットを脱ぎ始めた。  
「ホワイト」  
Nが名前を呼ぶも、ホワイトは服を脱ぐのをやめず、シャツ、ホットパンツと脱いでいく。  
「ホワイト!」  
「……っ」  
ホワイトの手が下着にまで伸びた時、Nはその手を掴んだ。  
「放してよ……」  
「ホワイト……」  
「脱ぐから……逆らわないから……もう、かえしてよぉ……」  
下着姿で立ち尽くしたまま、ホワイトは泣き出した。  
「もうかえして……帰して、返してよぉ……」  
泣くホワイトの手を握ったまま、Nは羽織っていたマントをホワイトにかけてあげた。  
「N……」  
Nはホワイトに視線を合わせ、  
「ホワイト……君は、ポケモン達といて、幸せだったかい?」  
「そんなの……当然じゃない」  
ホワイトの答えに、Nは、そうか、と返し、  
「なら、これは返そう」  
Nは、ホワイトの手を取り、何かを握らせた。  
「これは……ゼクロムの」  
「ゼクロムは、まだ君を待っているみたいだ。そして、君の仲間も」  
「え……?」  
ホワイトが尋ねると、急に外が騒がしくなった。  
 
「な、なんだ!?」  
「知るか!!急にポケモン達が城に……うわぁ!!」  
「てかこんなに沢山……どこから!?」  
 
「ポケモン……達?」  
ホワイトが呟くと、外に視線をやっていたNは振り向き、  
「君の仲間だよ」  
 
「仲間……って」  
「君の捕まえたポケモン達さ。手持ちのだけじゃなく、捕まえたポケモン達、皆」  
Nの言葉に、ホワイトは驚きを隠せないでいた。  
「遠くからだけど、ポケモン達の声が聞こえる。皆、君を探してる」  
「みんな……」  
ホワイトは思わずへたりこみ、涙を流した。  
「さあ、皆の所に戻るんだ。ホワイト」  
「戻るって……」  
服を着ながら、Nに尋ねると、Nはホワイトの手を指差した。  
「彼が、ゼクロムがいる」  
Nはモンスターボールを取り出し、  
「レシラム」  
中のポケモンの名前を呼ぶと、モンスターボールが赤く輝き始めた。  
「レシラム……あっ」  
それと同時に、ホワイトの手の中で、石が脈打つ。  
「ゼクロム……」  
ホワイトがその名を呼ぶと、さらに鼓動が大きくなり、  
「一緒に……行こ?」  
その言葉と同時に、青い雷が部屋に落ちた。  
「ゼクロム……目覚めたみたいだね」  
外壁が崩れ、空が見やすくなった部屋の中に、ゼクロムが佇む。  
「さあ、戻るんだ。ホワイト」  
「Nは……どうするの」  
促すNに、ホワイトが問う。  
「僕も行くさ。皆のポケモンを戻しに」  
「ポケモンを……戻しに?」  
ホワイトが尋ねると、Nは、ああ、と頷き、  
「僕はポケモンと会話出来るからね。解放したポケモン達に話してくる。好きだったトレーナーの元に戻っていい、と」  
「そっか。それじゃ……」  
ホワイトはNに手を差し出し、  
「握手。また、会おうね?」  
「……ああ、また」  
Nも同じく手を差し出し、二人で握手を交わした。  
「それじゃあね!N!」  
「ああ!また!」  
ゼクロムの背に乗り、部屋を後にするホワイトを、Nは見送った。  
 
 
「あっ、いた!」  
ゼクロムに乗り部屋を飛び出したホワイトは、城で暴れているポケモン達の中に、見知ったポケモンを見つけた。  
「みんなぁー!!」  
ホワイトの声に、ポケモン達が一斉に空を見る。  
「ただいまー!!」  
その声に応えるように、ポケモン達も一斉に声をあげた。  
 
Nの城をポケモン達が襲撃した日から数日後、プラズマ団によって解放されたポケモン達がトレーナーの元に戻ってきたというニュースが、あちこちで放送された。  
表だった理由は明かされてないが、ホワイトはNがやった事だと知っているのだが。  
「そういえば、N、今どこにいるんだろ」  
ポケモン襲撃の騒動でゲーチス達は捕まり、プラズマ団も解散状態になっている。  
「N……」  
ホワイトがふと空を見ると、遠くに向かう飛行機雲のような雲を見つけた。そしてその先に、白いポケモンが見えたような気がした。  
「レシラム……だったのかな」  
気のせいかもしれない。でも、  
「また、会えるよね」  
そう言ってホワイトは、笑顔で空を見た。  
 

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