世の中には変わったやつもいるものだ。  
 カミツレはライモンジムを訪れた挑戦者をみて、そう思ってしまった。  
「ジムに所属してるトレーナーは全て倒したわ! 残りはカミツレ、アナタだけよ!」  
 そういって突きつけられた挑戦をカミツレは、  
「……いいけど」  
 とてもあっさりと受けた。  
 そのことが意外だったのか挑戦者はがっくりと肩を落とし、『もうちょっと盛り上げよう  
よ』と視線で訴えてきていたが、カミツレには効果がなかった。  
 ここはライモンジム、そしてカミツレはそのジムを統べるジムリーダー。  
 ポケモンジムはポケモンリーグへ挑戦するものたちにとっての関門であり、カミツレは毎  
日のように訪れる挑戦者たちの相手をしている。  
 そうジムリーダーにとって挑戦してくる相手というのは、別段珍しくはない。  
 ただ今回の挑戦者はいつもと少し違った。  
「……あまりのスピードにクラクラしてない? 次は愛しのポケモンたちで」  
「ちょーっと、ストップ! なに普通に進めようとしてるのよ」  
「え」  
「『え』じゃなくて、もっということあるでしょ」  
「いうこと……?」  
 カミツレはそういわれて「なにかあったかしら?」と挑戦者の姿をしげしげと眺め、ある  
ことに気が付いた。  
「フウロ、また太った?」  
「……へ?」  
「なんか前よりむちむちし」  
「そうじゃな――――――い!」  
 カミツレの言葉をかき消すように、挑戦者の少女――フウロは叫ぶと、改めてカミツレの  
ことを指差した。  
「なんで普通の挑戦者みたいな扱い方するの! フキヨセジムのジムリーダーであるアタシ  
が同じジムリーダーに挑戦しにきたっていうのに、その扱いは淡白すぎない?」  
 怒ったようにいうフウロに、カミツレは自分がなにか間違ったことをしただろうかと考え  
たが――特に思い浮かばなかった。  
 カミツレとフウロは知らない仲ではない、それどころか二人で一緒に修行をしたこともあ  
るほどの仲なのである。  
 だからむしろカミツレとしてはこう思ってしまうのである。  
「というか、なんであなた普通の挑戦者みたいにきたの? バトルしたいんだったら、連絡  
くれたらよかったのに」  
 そこまでいってカミツレは気がついた。  
「もしかしてあなたポケモンリーグに挑戦するつもり……?」  
 ジムリーダーであっても、バッジを八個集めさえすればポケモンリーグに挑戦することが  
できる。  
 しかし、フウロは首を左右に振って否定した。  
「アタシにはまだそんな力はないわ」  
「ならなんで……?」  
 バトルの特訓でもなければ、バッジを賭けた公式戦でもない。  
 とうとうカミツレにはフウロがなぜこの場所を挑戦者として訪れたのか、想像がつかなく  
なってしまった。  
 フウロは困惑するカミツレの表情をみて、ニッと口端をゆがめて笑うと、声を大にして言っ  
たのである。  
「今日アナタから奪うのはバッジじゃないわ!」  
「なら一体なにを……」  
「アタシが勝ったらカミツレ、アナタにアタシのいうことを一つきいてもらうわ!」  
 そう言い切って満足げなフウロを見ながら、カミツレは首を傾げた。  
「どういうこと?」  
「つまり、アナタがアタシに負けたら。アタシの願いをなんでも一つ叶えなくちゃいけない、  
そういうことよ。それがどんな無茶な願いであってもね」  
 
「……」  
 再度説明されても、カミツレにはフウロがなにをしたいのか理解できなかった。  
(なにかやってほしいことがあるのなら、こんな形をとらずとも聞いてあげるのに……)  
 しかし、カミツレは友人の奇行には慣れていたし。  
 それに、わざわざこんな形で要求される願いとやらが、どんな無茶苦茶なものかと想像す  
ると、どうやら本気でいったほうがいいようだと理解し、云った。  
「わたしのポケモンたち相手に、そんなポケモンで大丈夫かしら?」  
 その言葉にフウロは「フッ」と笑い。  
「大丈夫よ、問題ないわ」  
 二人は同時にモンスターボールを投げた。  
   
   
***  
   
   
「――いつも思うんだけど、飛行タイプ使いのあなたがわたしに挑むのって、かなり無謀な  
んじゃないかな」  
「……むぅ」  
 バトルはあっさりと終わってしまった。  
 カミツレは容赦なくフウロの鳥ポケモンたちを電撃技で倒し、勝利した。  
 回復アイテムをつかって傷ついたポケモンたちを癒すフウロを見ながら、カミツレは小さ  
くため息をついた。  
 フウロは馬鹿みたいに正直で真面目な少女だ。  
 だから、というわけではないが、ポケモンバトルでも搦め手はつかわず、真っ直ぐに攻撃  
してくる。  
 だから戦う相手としては分かりやすくて、倒しやすいのだが。  
「……ごめんね、スワンナ」  
 モンスターボールを握り締めて唇を噛む姿をみると、なんだかもうしわけなくなってしまう。  
 これが互角の戦いだったのならフウロの反応も違うのだが。タイプ相性は完全にカミツレ  
が有利で、互いの戦法は十分すぎるほどに把握できている。  
 故にカミツレっが敗北する理由はなく、ここ最近は今日みたいにカミツレが一方的に勝っ  
てしまうことが多くなっていた。  
 カミツレはなんて言葉をかけようかと考えていると、不意にフウロが立ち上がっていった。  
「負けちゃったー。うーん、やっぱカミツレちゃんは強いね」  
「まあわたしたち、相性がいいからね」  
 電気タイプが弱点をつけるのは水タイプと飛行タイプのみ、カミツレにとってフウロは得  
意な相手といえた。  
「そう……?」  
 フウロはわずかに頬を染めながら、確かめるように聞いた。  
「ええ」  
 カミツレは迷うことなく頷いた。  
 フウロの切り札であるスワンナに至っては、水飛行タイプだから通常の四倍のダメージが  
入ってしまうのである。  
 これはもう単純に相性がいいという言葉だけは済まない。  
「最高よ」  
 カミツレはフウロの目を真っ直ぐに見つめながらそう言った。  
 その瞬間、フウロの顔が熱湯でもかけられたかのように真っ赤に染まり、視線が左右に泳いだ。  
「そ、そういわれると照れるよ」  
「……?」  
 なんで照れるんだろうか。  
 カミツレは不思議に思っていると、フウロは「そうだ」といった。  
「アタシ負けちゃったから、カミツレちゃんのいうこと聞くね」  
「……ん?」  
「最初に言ったよね、『負けたほうが勝ったほうのいうこと、なんでも一つきく』って。だ  
から、負けたアタシは、勝ったカミツレちゃんのいうこと、なんでもひとつ聞いちゃいます!」  
 カミツレは一瞬、フウロが何を言い出したのか理解することができなかった。  
 その条件はてっきりフウロが勝った時にのみ行使されるものであって、まさか自分が勝っ  
た時にも適用されるものだとは思ってもいなかった。  
 だがフウロの様子をみるに、これでカミツレがなにも命令しなければ、文句をいってくる  
かもしれない。  
 
 そう考えると、なにか適当なことをお願いしてお茶を濁せばいい。  
 しかし、なにも思い浮かばなかった。  
 カミツレは考える振りをしながら視線を泳がせていると、ふとフウロの胸が目に付いた。  
 二人で修行していた当時はさほど大きさの変わらなかった胸だったのだが、気づけばフウ  
ロのほうが大きくなってしまっていた。  
 モデルをやっていくには、どんな服でも着こなせる必要がある。  
 そのためにはスレンダーでなければいけない。そうフウロのように、健康的な肢体など、  
カミツレには縁遠いものなのだ。  
 だが、フウロの体つきをみているとどこも柔らかそうで、細く引き締まった自分とは違っ  
て、抱きしめたら柔らかそうだとは常々思っていた。  
「……それなら」  
 カミツレは再びフウロの瞳を真っ直ぐみつめていった。  
「身体触らせて」  
「えっ」  
 いうやカミツレはフウロの両胸を細い手で掴むと、その感触を確かめるようにもみ始めた。  
「ちょ、え、ええと、カミツレちゃん?」  
「うーん」  
 驚き慌てるフウロをよそに、カミツレは自らの手にあまる両乳房の感触が微妙に硬いと思  
った。その理由は分かっていた。  
「ちょっとごめん」  
 そういってフウロの服のチャックに手をかけると一気に下ろし、はだけさせた。すると白  
いブラジャーに包まれた豊かな乳房が露わになった。  
「わっ、こ、こんなところで」  
 言われてカミツレはここがライモンジムの中であることを思い出した。  
 いつ挑戦者が来るかも分からなかったが、カミツレは気にした様子もなく。  
「いいじゃない、見られて減るもんじゃないんだし」  
 言った。  
 フウロはカミツレの手から逃れると、乳房を両腕で隠しながら、潤んだ瞳でカミツレを睨  
みつけた。  
「そんなこといって、ならカミツレちゃんはここで脱げるの?」  
「わたしも脱いだらいいのね」  
 カミツレの即答、そして即応。  
 カミツレはいうや自らの服に手をかけると、いつ誰が来るかも分からない場所だというの  
に、一糸まとわぬ姿になってしまった。  
「……わぁ」  
 おかしな状況だというのに、フウロはカミツレの細くしなやかな肢体をみて、思わず感嘆  
の声を漏らしてしまっていた。  
 カミツレの肌は白くきめ細かい、まるで産まれてからこれまで日焼けなど一度もしたこと  
がないというように、肌は荒れておらず艶やかだった。  
 そして、フウロの視線はカミツレの下腹部をみて、あることに気がついた。  
「か、カミツレちゃん、それ剃ってるの?」  
「ん?」  
 カミツレはフウロの視線と、その言葉の意味に気がつくと「ああ」と頷いた。  
「きわどい服着ることもあるから、処理はしないとね」  
「そ、そうなんだ」  
 フウロは言いながらも、カミツレの陰部を食い入るように見てしまっていた。  
 カミツレの股間はまるで花びらのように見えた。  
「そんなに見つめてどうしたの?」  
 カミツレが不思議そうに聞いた。  
「フウロもわたしと同じじゃないの?」  
「それはそうなんだけど……」  
 陰毛の処理なんて殆どしたことない。  
 そういったらカミツレに笑われるんじゃないんだろうか。  
 同じ女の子なのに、どうしてこんんあに違うんだろう。  
 フウロが言葉にできない想いで悩まされていると。  
「じゃあ、フウロも脱ごっか」  
 そういってカミツレはフウロの前に膝をつくと、服に手をかけ一気にずりおろした。  
「ぃやっ!」  
 フウロは反射的に逃れようとしたものの、足がもつれてしまい転んでしまった。  
 
 後頭部を床に打ちつけ、一瞬意識が飛んだ。  
「つぅ……」  
 フウロは直ぐに意識を取り戻すと、自分がとんでもない格好をさせられていることに気が  
ついた。  
「きゃっ」  
 フウロは素裸で仰向けに寝かせられ、脚をM字に開かされていた。  
 そして開かれた脚の間に、カミツレの顔があった。  
「パイパンに驚いてたから、どれだけもじゃもじゃなのかと思ったら、全然薄いじゃない」  
「へ――ひゃっ」  
 カミツレの細い指先がフウロの薄く生えた陰毛の毛先を撫でた。  
「けど、すごい敏感」  
 カミツレは嗜虐的な笑みをうっすらと浮かべ、割れ目を指先でなぞった。  
「あっ……だ、だめ」  
「なにが駄目なの?」  
 触るたびにフウロの身体は反応し、甘く切ない声を上げる。  
「そんな嬉しそうな声出して」  
 言いながら、カミツレはフウロのクリトリスを爪で弾いた。  
「ひゃっ」  
 その声にカミツレは我慢しきれなくなったというように笑い声をもらした。  
「かわいいね、フウロ」  
 カミツレはゆっくりとフウロの身体に自らの身体を重ね合わせていく。  
 脚と脚、腹部と腹部、乳房と乳房、腕と腕、からみつくようにひとつになっていくシルエ  
ット。フウロの華奢な身体の重みがフウロにすべて預けられる。  
「あ……うう、なんでこんなことするの」  
 鼻と鼻が触れ合うほど間近に、カミツレの顔がある。  
 自分なんかとは比べ物にならないほど、整った美しい顔つき、まるで作りものかのような  
美しすぎる相貌。  
 見ていると目だけでなく、心まで奪われてしまいそうだった。  
 カミツレは妖艶な笑みを浮かべ、  
「かわいい」  
 そっと呟くと唇を重ねた。  
 柔らかい唇の感触、驚いて口唇を開いてしまうと、カミツレの舌がフウロの口腔の中に侵  
入してきた。  
 間違って口を動かして、カミツレちゃんの舌を噛んだら大変だ。  
 そう思ってしまいフウロの動きが硬直すると、目の前にある青空のような瞳が笑ったよう  
な気がした。  
 総て見透かされてる。  
 指を動かそうとすれば、手と手が絡み合う。  
 重なった胸が、あまりのことに早鐘のような鼓動を、ダイレクトにカミツレに伝えてしまう。  
 少し身体を動かすだけで、頭があわ立つような快感の波がフウロの全身を巡った。  
 おかしく、なってしまいそうだった。  
 ただ身体を重ねているだけ。  
 それだけなのに、それだけだというのに、おかしくなっていた。  
 どこからが自分で、どこからがカミツレなのか分からなくなりそうだった。  
   
   
『   !』  
   
   
 声が、聞こえた。  
 フウロははっと気がつくと、いつのまにか閉じていた目を開いた。  
 そこにはいつものクールさがどこかへいってしまったかのような、とろけた目つきのカミ  
ツレの瞳があった。  
 視線が絡まると、カミツレの瞳が「にぃ」と笑った。  
 気づくとカミツレの腰が何かを求めるように、フウロの下腹部に押し付けられ、叩きつけ  
られ、こすり付けられていた。  
(――なにかがおかしい)  
 フウロはそこでようやくカミツレの様子がおかしいことに気がついた。  
 カミツレとそういった関係にはこれまっでなったことがないから、こういった場合にカミ  
ツレがどういう行動をとるかは分からなかったが。  
 
 しかし。  
 普段のカミツレの行動や言動を考えると、こんな乱れた行動はしないような気がした。  
 けれど、ならばこれはどういうことだろう。  
 フウロはカミツレの小ぶりな尻を撫でながら考え、思い至った。  
(これは、夢?)  
 とっぴな発想だと理解していたが、そうとしか考えられなかった。  
 そうじゃなければ、カミツレがこんな淫乱なことをするわけがない。  
(そうだ。アタシのカミツレちゃんはきっと裸になったら頬を真っ赤にして、すっごい恥ず  
かしがりながら、そっと求めてくるんだ。こんなエッチで淫乱なのはカミツレちゃんじゃな  
い!)  
 フウロはそうと理解すると、自分がどうすべきか即座に決断できた。  
 カミツレの身体を強く抱きしめると、身体を横に転がして体勢を入れ替えた。  
「ふ……ふふ……」  
 突然のことに驚いているカミツレを見ながら、フウロは妖しく笑った。  
「いつもクールで沈着冷静なカミツレが、いまはエッチで淫乱になってるということは、こ  
れは――チャンス!!」  
 フウロはそういうとカミツレの陰部に手を伸ばし、勢いのままに割れ目の中に指をいれた。  
「ひゃっ」  
 カミツレの瞳が驚きで大きく見開かれ、フウロに見つめられていると分かると、両手で顔  
を隠してしまった。  
「や、触らないで」  
「すごい、とろとろ……」  
「やめてそんなこといわないで」  
「指にからみついてくる……」  
 フウロは言いながら、指でしかカミツレの淫乱なところを攻められない自分を悔しく思い  
――はたと気がついた。  
「ああそうだ、ここは夢の世界よね。夢の世界、現実じゃない、不可能も……可能になるっ  
ていうことだよね!」  
 フウロがそう言った瞬間、フウロの身体の一部が光に包まれ……。  
「やっぱり!」  
 フウロの下腹部におおきなキノコが生えていた。  
 その変化したてのソレは今にも限界に達するといわんばかりにたぎり、先端からは涎が溢  
れてしまっていた。  
 痛いほどに勃起してしまっているそれをフウロは、当然のもののように扱えた。  
 カミツレの脚を開くと、  
「いれるよ」  
 そっと囁き、カミツレの返事も待たぬまま――貫いた。  
「――――ッ!?」  
 指で触れることはあっても、ここまで強引に、ここまで圧倒的に侵入されたことはなかっ  
たカミツレの身体は。  
 フウロの空想により具現化した雄雄しいものの一撃により、身体が裂けてしまうんじゃな  
いかというほどの衝撃をうけていた。  
 茫然自失とするカミツレの表情を見て、フウロは満足げに頷き、そっと唇を重ねた。  
 カミツレの目じりから一滴の涙がこぼれたのをみると、フウロは口唇を離し、フウロにいった。  
「動かすよ、いい?」  
 カミツレは今にも泣きそうな、しかしフウロとひとつになれた喜びを隠し切れないといっ  
たような表情で、頷いた。  
   
   
***  
   
   
「――フウロ?」  
「……ふぇ?」  
 カミツレの呼ぶ声でフウロは目を覚ますと、視界を占領するカミツレの美貌に息を飲んだ。  
「あれ? まだ夢の途中なのかな?」  
「は? なにいって――」  
「そういうことなら!」  
 フウロはカミツレの肩を掴むと、一気にカミツレの身体を床に押し倒し、今度こそカミツ  
レと一つになろうと、強引にカミツレの股を開き股間に顔をうずめた。  
「あれ? パンツはいてる。まあいいや」  
「ちょ」  
 フウロはカミツレの陰部をパンツ越しでもかまわず舐め始めた。  
「カミツレちゃんぺろぺろ」  
「――くっ」  
 身の危険を感じたカミツレは、そばに置いてあったモンスターボールを掴むや、放り投げた。  
 股間に顔をうずめるフウロの顔を蹴飛ばし、距離をとると――叫んだ。  
「ゼブライカ、雷よ!」  
 直後、ライモンジムに凄まじい轟音と、そして痛ましい少女の悲鳴が轟いた。  
   
   
   
   
 後日、フウロは語ったという――  
「電流が身体を走った瞬間、カミツレちゃんがマジ天使にみえた」  
 ――と。  
 
 
了  
 

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