早朝。サトシよりも早く目が覚めたアイリスは、近くの水辺に来ていた。
「周りに誰もいないみたいだし……ちょっとくらい、いいわよね」
そういうと、アイリスは上着を脱ぎだし、
「あ。キバゴ、念のため見張り、お願いね」
「キバァ♪」
髪の中から顔を出したキバゴは、アイリスの言葉に了解の返事として鳴き声をあげ、地面に降りた。
「さて、と」
キバゴが降りたのを確認すると、アイリスは脱衣を再開する。
上着を脱いだアイリスは、ズボンに手をかけ、下に下ろす。
褐色の肌に白い下着のみの姿になると、今度はブラに手をかける。
「んしょ」
背中のホックを外すと、まだ未発達ながらも僅かに膨らんだ胸があらわになる。
「よっ」
外したブラを脱いだ服の上に置き、パンツを脱ぐ。
「ん」
最後に髪留めを外すと、結われていた髪がさらりと流れ、アイリスの背中を覆う。
「でわ、1番アイリス、いきまーす♪」
そういうと、一糸纏わぬ姿になったアイリスは、水の中に飛び込んだ。
「うーん、中々珍しいポケモンには会えないなぁ……」
その頃シューティーは、水辺の近くを歩いていた。
「マメパト、シキジカ……どれも見慣れたポケモンばかりだなぁ」
そう呟いていると、ふと草むらの向こうから何かが水に落ちる音がした。
「……何だ?」
不思議に思ったシューティーが、音がしたほうへ向かうと、そこにはキバゴがいた。
「キバゴ!?何でこんな所に……ん?」
よくみると、キバゴは水辺をじっと見ている。
「何かあるのか……?」
シューティーは息を潜め、キバゴと同じ水辺を見ていると、
「ぷはぁっ」
「!?」
水の中から、裸の少女が飛び出した。
「女の……子?」
シューティーは、裸で水浴びをするアイリスに目を奪われていた。
褐色肌に水に揺れる長い髪。水から現れる身体は、それほど起伏はないものの、綺麗なラインをしていた。
「はぁ……」
完全にアイリスに目を奪われたシューティーは、思わずため息をついていた。すると、
「キバ?」
「え?」
ため息の音に気付いたのか、キバゴがこちらを向き、
「キバッ、キバァ!」
吠えた。
「うわぁ!!」
「え?きゃああぁぁぁぁ!!」
シューティーの声に気付いたアイリスが、水の中に身体を隠し、悲鳴をあげる。
「な、何よあなた!!痴漢!?覗き!?変態!!」
「ち、違う!!」
水中で身体を両手で隠しながらまくし立てるアイリスに、シューティーは必死に弁明するも、アイリスはシューティーの手元を指差し、
「じゃあそのカメラは何!?」
「こ、これは、旅の記録を――」
「記録!?私の裸も記録するの!?」
「記録してないし撮ってもいないって!!」
シューティーは必死に抗議するも、アイリスは聞こうともせず、
「も〜怒った!!キバゴ!ドラゴンクロー!!」
シューティー目掛けて技を繰り出した。
「う、うわぁ!!」
シューティーはその場から必死で逃げ出した。
「全くもう、信じられない!!」
その後、アイリスは膨れっ面で着替えながら悪態をついていた。
「キバァ……」
その横でキバゴが気を沈ませている。
「あー、ごめん。キバゴのせいじゃないよ?よしっ、気分を変えて、サトシとピカチュウの所に戻ろ♪」
「キバ♪」
アイリスの言葉に笑顔で返し、またアイリスの背中に飛び乗った。
「はあ……何だったんだあの娘」
必死にアイリスから逃げ出したシューティーは、アイリスとは逆のほうを歩いていた。
「……ちょっと、可愛いかったかな」
一つ呟き、
「一枚撮っておけば……」
と、呟いた所で我に帰り、首をぶんぶんと横に振り、
「って、何考えてんだ!!忘れろ!!」
頬を叩き、気持ちを改め、次の町へと向かった。