幼馴染から恋人になって。  
抱き合って、何度も抱き合って、何度もキスして。それだけで、グリーンのすべてが分かった気でいた。  
その先に何があるのかを知っていながら、知らない振りをして来たけれど……限界だった。私も、グリーンも。  
「俺のこと、好きなんだろ?」  
私が知らない振りをすることで、かろうじて保たれてきたその垣根を、自信家のグリーンらしい言葉がいとも簡単に壊してしまう。  
その言葉に戸惑いがちに頷いたときから……啼かされっ放しだ。  
 
「グリーンはずるいよ。」  
一糸纏わぬ私を後ろから抱きすくめるグリーンに、一言。グリーンは後ろから私を抱くのが好きだ。  
今のように背面座位で交わることもあれば、四つんばいのあられもない格好にさせられる事もある。  
初めてのセックスの時以外はすべてそうだった。だから、私はセックス中のグリーンの顔を、知らない。  
顔が見えるのは、繋がっている最中で気持ちが高ぶり、荒々しい口付けを交わすときくらいで、その時は私も突かれる快楽に溺れているから、とてもグリーンの顔なんて見れやしない。  
そう言えば一度だけ、向かい合ってシたいって言ったことがあったっけ。その時は…そうだ、松葉崩しで犯されたんだ。  
あの時は高々と持ち上げられた私の足と被っちゃって、結局グリーンのイキ顔なんて拝めたことなんてないんだ。  
不満。ものすごく不満。しばらくはセックス禁止にしようと意気込んだものの、宥められて、丸め込まれて、結局はヤッてしまう。そういう意味でも、グリーンはずるい。  
「ずるくてもいいさ。お前が抱けるんなら、な。」  
おちゃらけたような口調で言うグリーンの顔はやはり見えない。だけど、分かる。ああ、そろそろ始まるんだ、って。  
その証拠に、ホラ。私の腰に当たってるグリーンのアレが、硬くなってるもの。  
「変態。」  
「さっきまで俺のモノを美味そうに咥えてたくせに。どっちが変態だよ。」  
「だんぜん、グリー……んっ…」  
黙れ、と言わんばかりに、胸をやわやわと揉まれ、乳首を転がされる。  
やっぱりずるいよ。ここが弱いこと、知ってるから、言葉を遮る時はいつもそうされる。  
片方だけでも甘い痺れが来るのに、両方の手でされた暁には、もう、喋る気力さえなくなる。  
 
「んぅっ……あ、ああっ……」  
十分に胸を揉んだ後は、わき腹から顔を入れて、ミルクを飲む赤ちゃんのように、むしゃぶりついてくる。  
指での刺激も気持ちいけれど、唇と舌の這う感触、歯で甘噛みされる刺激には、白旗を振るしかない。私は、これが好きなのだ。  
「あ、くっんっ…!あっ、あ、あぁ……!」  
「変態。」  
「ち……が………! ひゃんっ!!」  
M字に開かされた足の付け根をさすって、もう十分にとろとろになってるであろう場所をつ、と撫でられる。  
いつものお決まりのパターンだと言うのに、いつもと変わらずに感じている私は、なんて単純なんだろう。  
入り口とクリトリスの刺激、それからの指の出し入れ。胸への愛撫は変わらず。少し繰り返すだけで、私は、私だけがどんどん絶頂に上り詰めていく。  
「ん、ふぅあ、あっ、もううう、ダメっえ、ぇえぇ!!」  
「イッたか。なんだよ、今日はやけにはえーじゃん。」  
半ば放心状態の私の肩に顔を乗せ、耳に息を吹きかけるようにグリーンはつぶやく。  
「やっぱ……グリーン、ずる………」  
「ずるい、か。確かにそうかもな。」  
愛液で濡れた指が腰を這う。ああ、次はグリーンの番だ。自然と体が前へ倒れ、お尻を上へ突き出す格好になる。  
こうすればすぐにでも覆いかぶさってくる。……と思ったけど、違った。  
「お前さ、前に俺の顔見てシたい、って、言ってたよな。」  
「え? あ、うん……」  
すぐに入れられるとばかり思っていた分なんだか呆気にとられて答えると、グリーンは戸惑いがちに私の体を転がした。  
仰向けの状態になったところでグリーンが覆いかぶさって、まず私にキスをする。何これ、どういう状態? 状況についていけない私に、グリーンが耳打ちした。  
「お前の望むとおり、俺の顔、見せてやる。」  
グリーンの体が足を割って入り込んでくる。入り口に硬いものが当たった瞬間、体がびくっ、と跳ねた。  
「その代わり…引くなよ?」  
熱いものが、体を貫いた。  
 
「きゃあああうぅ!!」  
突然入り込んできた猛った質量に、ひどく驚いた声が出る。間もなく、グリーンの腰がピストンを開始する。  
「あはぁっ、や、きゃあっ、ああっ、いあっああぁっ!」  
硬い。熱い。いつもとはぜんぜん違う、えぐるように貫かれるなんて、初めてだ。  
ほぼレイプに近かった松葉崩しのときでさえ、こんなに激しくなかったのに。  
「あんっ、あんっ、ううっ、うぁっ……あ、あああ!?」  
水音が接合部で跳ねる。激しい音。中に感じる律動。少し怖い。だけど、どうしても気持ちいい。  
突かれるたびに、もっとグリーンを奥で感じたい、そう思ってしまって、やってくる快感の波と共に、彼を締め付けてしまっていた。  
「っ……!」  
グリーンの押し殺したような声がして、彼の顔を見る。  
余裕がない。いっぱいいっぱいでどうしようもない。そんな顔だった。私の後ろで、いつもこんな顔をしていたの?  
途端にぞくぞくとなんとも言えない感情が押し寄せてきて、どうしようもなく切なくて、グリーンのものを限界まで締め上げる。  
グリーンが2度、切なく、小さく喘いだ。これまでとは比べ物にならないほどにたぎった白濁が私の中を満たして、果てる。  
しばらくはお互い抱きしめあって、時間が経つのも忘れるくらい、繋がっていた。  
ようやく中からグリーンのものが抜かれる。白濁がお尻の割れ目を伝って漏れ出ているのを感じる。  
「いっぱい……出したんだ………」  
「あー、くそ! リーフの淫乱女!」  
「ふぇっ!?」  
「だから、顔見ながらやるのは嫌なんだよ! お前のイキ顔見てるとどうしても早漏になっちまうし、そんな俺の情けねー顔も見られたくなかったし!」  
はき捨てるようにそういって頭をガシガシとかきむしるグリーンを見て、思わず笑ってしまった。  
そういうことだったのだ。グリーンが正常位でヤりたがらない理由って。  
こうなったら形勢逆転。いつもグリーンがするように、背後から抱きしめて、頬にキスする。グリーンの大好きな、私の胸をぎゅっと押し付けて。  
「満足してないのなら、第2ラウンド、ヤっちゃう?」  
翌朝までイかされっぱなしになることを覚悟して。早漏男の唇を貪ってやった。  
 
 
 
 
END  
 
 

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