いまだに意識のない彼女を見つめていると背後でザシュッとおかしな音がした。  
「N様。お楽しみ中失礼します。」  
「ダークトリニティか。今度は何の用?」  
「例の奴らをとらえましたのでご報告を…。」  
「『理想』と『真実』か。ちょうどいい。彼女も連れて行こうかな。」  
「…N様、せめて、服くらい着せてあげましょう…。」  
 
まだ頭の中がもやもやする。  
トウコはそっと目を開けた。  
身体の奥底がじんじんとうずく。  
「あれ?私…。」  
「やあ起きた?その服もいいね、よく似合ってる。」  
そういわれてはじめてプラズマ団の紋章が刺しゅうされた白と黒のワンピースに着替えさせられてることに気が付いた。  
ただ、下着の感覚がないっていうことはきっとそういうことなんだろう。  
「この、変態。」  
「その変態に賭けで負けたのは誰?」  
思いがけぬNの一言に言葉につまってしまう。  
彼との賭けを了承したのは私、耐えきれなかったのも私なのだ。  
「うぅ…。なんなのよ、もう…。」  
Nは笑みを浮かべたままトウコの手をとった。  
「君に見せたいものがあるんだ。来てくれるね?」  
逆らう気力なんて残ってなかった。  
 
腕を引かれ、Nについていくと、そこは、城の大広間だった。  
「さっき、演説が延期になったと言っただろう?怪しいやつらが僕たちを狙っていると情報が入ったんだ。  
だから、安全のため延期にしたんだけど、もうその必要もない。これがどういう事かわかるかな?」  
プラズマ団にかこまれた二人の男女。  
トウコには馴染みのある、いや、ありすぎる人物だった。  
「チェレン!ベル!」  
「そう、彼らを捕らえたってことだよ。ふふ、ボクから彼女を奪おうなんて考えるから、そんな目にあうんだよ。チェレン、ベル。」  
Nはまた冷たい笑みを浮かべた。  
「トウコ、君は、ボクの所有物になったんだよ?なぜ、ボクに仇なすやつらの心配をするの?お仕置きが必要かな?」  
プラズマ団員たちともみ合いながらもチェレンが声を張り上げた。  
「黙って!トウコはトウコだ!誰のものでもない!トウコ、少し待ってろ!すぐ、そっちに行くから!」  
「そ、そうだよトウコ!あのとき約束したんだもん。トウコだけじゃないって!あたしたちも、トウコを支えるからって!」  
親友たちの言葉が胸に響く。  
涙が次から次へとこぼれてくる。  
「チェレン、ベル!ありがとう!だいすきだよ!」  
Nに怖い顔で睨み付けられたけど、そんなことで、負けられない。  
「えぇい、メンドーだな!オノノクス、げきりん!」  
「ムーランド、ワイルドボルトだよお!」  
チェレンもベルも次から次へとプラズマ団をなぎ倒していくが、如何せん相手の数が多すぎて、やや、押されぎみであった。  
「え、N様ぁ!こいつら、強いですよぉ!N様も戦ってください!したっぱじゃ勝負にならな……へぶっ!」  
すでに手持ちを瀕死にされたプラズマ団のしたっぱがNに泣きついてくる。  
それをデコピンの一発で沈め、Nはボールをかまえた。  
「バトルは好きじゃないけど、しょうがないな。行くよ、ゾロアーク。」  
 
その後は一方的だった。  
ゾロアークの幻影を見せる能力でチェレンもベルも幻影にとらわれ、現実でのバトルがどうなっているのかを把握しきれなくなったからだ。  
トレーナーの指示を失ったポケモンなんて野生とたいしてかわりはない。  
いや、むしろ、幻影にとらわれたトレーナーをかばいながら戦わねばならないので、隙ができやすく、あっという間に瀕死に追い込まれてしまった。  
「覚えておくといいよ。ゾロアークの力にはこういう使い方もあるってこと。ま、もっとも、次はないけどね。」  
さんざんチェレンとベルにやられたプラズマ団員たちが勝利の雄叫びをあげた。  
「さすがN様!ポケモンのことをよく理解してられる!」  
「やっぱりポケモンと話せるだけあるよなー!なんかわからないけど、やっぱりN様は特別なんだろうなー。」  
「あー、もう、あのクソガキども、俺のオタマロちゃんのこの完璧な眉毛に傷をつけやがって!一発殴るくらいじゃ気がすまないぜ!」  
「この女、年のわりには発育いいよな?ヤっちゃうか?」  
好き勝手なことをいい始めたプラズマ団に好きにしろと指示を出し、青ざめた表情でかたまるトウコの元へとむかう。  
「残念だったね。これで君の唯一の頼みの綱もなくなった。君は、ボクの事だけを考えて、ボクのためだけにいきればいい。」  
Nの言葉はトウコには届かない。  
トウコの意識は団員たちに殴られ、なぶられている幼馴染みにのみに向けられていた。  
それがまたNのカンにさわった。  
 
「このクソガキが!」  
プラズマ団員が力に任せてチェレンを殴った。  
「っ…相手が丸腰じゃないとなにもできないくせに!」  
たとえポケモンたちを失ってもチェレンの眼はまだあきらめていなかった。  
「チェレン!血が出てるよ!?もうやめたげてよぉ!チェレンをいじめないでよぉ!」  
一方ベルはもう半泣き状態だった。  
「少し、切っただけだよ。これくらいで…メンドーだな。」  
どんな状況だろうと相変わらずのベルに別の意味で感心してしまう。  
こんな状況だというのに、緊張の糸がゆるんだのがいけなかった。  
「おじょーさん、人の心配してる余裕はないでしょう?」  
完全に油断した。  
「きゃ!?や、やだよう!どこさわってるのぉ!?」  
「べ、ベルにさわるな!」  
気づいた時にはもう遅かった。  
プラズマ団たちにしっかりと取り押さえられ、彼女のほうに伸ばした手は空をきった。  
「ヤ、やだやだ、チェレンーー!!」  
プラズマ団員に連れて行かれる彼女を見送ることしかできなかった。  
「ベルーー!!ベルーー!!」  
 
「チェレン!ベル!」  
飛び出そうとしたトウコを抑え込んだのはNのゾロアークだった。  
「はなして!二人を助けに行くの!!二人は私の大切な友達なのよ!!」  
いくら叫んでもゾロアークは首を横に振るだけだった。  
「はーーーなーーしーーてーーー!!」  
ベルの悲鳴が焦燥感を駆り立てる。  
幼馴染としての欲目をひいても、ベルはとても女の子らしく、かわいいのだ。  
「や、やだぁ!!やめてぇ!!」  
この位置からでは、悲鳴しか聞こえない。  
ベルの身に何が起きているのかトウコの場所からでは全く分からなかった。  
 
「やだよぉ!はなしてよぅ!」  
ベルが必死に訴えても、プラズマ団たちが手加減なんてしてくれるはずがなかった。  
容赦なく、彼女の服を破り捨てる。  
「おおっ、すげえ!」  
「いいチチしてるなぁ!!」  
「うおーむしゃぶりつきてぇ!!」  
いくら世間知らずなベルでも、彼らから自分に向けられている視線がよくないものであることは理解できた。  
「ヒっ…。」  
「やめろ!!ベルに手を出すな!!」  
チェレンの必死の願いも一笑されて終わる。  
プラズマ団は、笑いながら彼女を貫いた。  
「がっあっ……い、痛い…!!」  
文字の通り、体を引き裂かれる苦痛にベルがうめく  
「うひょー、初めて、もーらい!キツキツでいいねぇ!」  
「へー、じゃあ俺は後ろをもらおうかな。」  
「馬鹿だなぁ、ここはやっぱりおっぱいだろ!」  
「へへ、じゃあ俺は口でご奉仕してもらおうか。」  
プラズマ団員たちからの下賤な言葉に反応する余裕もない。  
純潔を失った痛み、初めて感じる異物感、何よりも、家族のように育った親友たちの前で犯されることへの心の痛みに耐えることができない。  
「んぶー、んんーー!!」  
口内を犯されているために言葉を発することもできない。  
ただ、目からぽろぽろと涙をこぼすだけだった。  
「ベル!!」  
ああ、あんなにも泣きそうなチェレンの声を聞いたのはいつ以来だろう。  
もしかしたら、初めてかもしれない…。  
必死に別のことを考えて今の現実から気をそらそうとしても、一突きごとに身体を襲う痛みと嫌悪感が思考の邪魔をする。  
「んうっ!!ぷは、チェレ…あぐっ!!」  
前から、後ろから、突き上げられる苦しみ、痛み。  
すこしずつ、しかし確実に、男たちの動きは早くなっている。  
それが意味することは…。  
それはベルにとって恐怖でしかなかった。  
「っは!!い、イヤーーーーーーっ!!!!」  
身体も、心も、すべてが白濁の濁流で塗りつぶされた。  
 
「はっ、はっ…。も、もう許し…」  
虚ろな目をしたベルの懇願もプラズマ団の嘲笑を買うだけだった。  
「ふん、馬鹿言うな。次は俺だぜ!」  
「あと30人は待ってるんだからな。さっさとしろよ。」  
「へへへ、孕ませてやるよ。」  
にやにやといやらしい笑みを浮かべながらプラズマ団員たちが詰め寄ってくる。  
「あ…ああ…、できちゃう、赤ちゃんできちゃうよぉ…。」  
「安心しろよ親子ともども、かわいがってやるからよぉ!!」  
そういってプラズマ団員は自らの剛直をベルに突き入れた。  
「いやぁっ!!!」  
「へへ、口ではやだやだ言っておきながら、お前のココは嬉しそうに俺様をくわえこんでいるんだぜ?」  
「あーー、やっぱりおっぱいはいいわぁ…。おい、しっかりはさめよ。」  
「手もあいてるんだから使わなきゃ損だろ。ほら、しっかりしごけしごけ!」  
「その可愛いお口でフェラしてほしいねぇ。」  
「おいコラ、せっかくいい声で啼くんだから、口をふさぐなよ!!お前は自分でしごいてろ!」  
「あーくそ、じゃあ俺次の時口予約だからな!」  
「あ、予約ずるいぞ!なら俺、あそこ予約!!」  
本当にくだらないことで仲間割れを始めたプラズマ団員の声も、ずっと自分の名前を呼び続けている幼馴染の声ももう、ベルには届かなかった。  
「あ、ア、い、いっぱいでてる!!ドクドクしてるよぉ!も、許してぇえええーーーっ!!!」  
ベルの心が折れるのが先か、虜辱が終わるのが先か。  
 
もうすでに答えは見えていた。  
 
「ベル、ベル!!?N、やめさせて!!あなた、あいつらの、王なんでしょ!?お願い、このままじゃ、ベルが…!!」  
ゾロアークに抑え込まれたまま、トウコはNに懇願する。  
Nは眉一つ動かさずに、ゾロアークに組み伏せられたトウコを見下ろした。  
「…ふうん。もし、彼女の精神が壊れたら、君はどうなるのかな?もっと、ボクのこと見てくれる…?」  
「N、お願いよ。ベルは私の親友なの。大切な『トモダチ』なのよ。あなたなら、わかるでしょ?」  
Nはぱちぱちと目を瞬かせた。  
「……そうだね。本来なら、君の頼みなんて聞いてあげるつもりなんかないんだけど、『トモダチ』のためならば…交換条件でなら聞いてもいいよ?」  
Nの出す交換条件に途方もなく嫌な悪寒がしたが、絶え間なくベルの悲鳴が聞こえている今の状況では選択肢は存在しなかった。  
「…わかったわ。条件は、何よ?」  
「あれ、思ってたよりもあっけないんだね。もっと文句言うかと思ったのに。」  
「文句言ってる時間も惜しいの!早く、ベルを助けて!!」  
Nはふぅと小さく息を吐き団員たちに呼びかけた。  
「お前たち、そこまでだ。」  
王の言葉に団員達の動きが止まった。  
目をキラキラさせながらNはトウコを振り返った。  
「さあ、ボクは約束を守ったよ。次はトウコだ。」  
「……ぅ。」  
一瞬でNの眼に凶悪な光が宿る。  
「…やはり君はうそつきなのかい?また、ボクにうそをつくのかい?」  
Nは、ゾロアークに組み伏せられたままのトウコの手をぐりぐりと踏みにじる。  
「っあ!え、えぬ、痛いっ!」  
「…おい、そっちの男を、チェレンをつれてこい。」  
Nの声はどこまでも冷たくて、トウコが恐怖を感じるには十分すぎるほどだった。  
 
「え、N、何をするつもりなの!?」  
プラズマ団たちに引きずられながらチェレンがやってきた。  
散々殴られたのだろう。  
顔は青あざだらけで腫れ上がっているし、鼻血が流れていた。  
そして、彼のトレードマークともいえるメガネは割れていた。  
「がっ、ぐっ、あ…、と、トウコ、逃げ……!」  
Nは、もう自力では立つこともままならぬチェレンの胸元をつかみあげた。  
「君が、再びボクを裏切るなら、君がボクにしたことと同じことをしようかと思ってね。『トモダチ』を傷つけられる気持ち、わかるかい?トウコ。」  
「そ、そんな、N、やめてってば!何でも、なんでも、あなたの言うこと聞くから!これ以上二人に手を出さないで!」  
Nは力いっぱいチェレンを床にたたきつけた。  
「………君の言うことは信じない。それに、ボク自身、彼にはイラついているんだよ。」  
ひどくたたきつけられた衝撃で、肺の中の空気が押し出される。  
息を吸うことも難しい。  
それでも、チェレンは必死に叫んだ。  
「っ!!え、N!力ですべてを解決できると思うな!人の心は、力で動かすことはできないんだよ!何が、英雄だ!そんなもの、ただの………!」  
「黙れ!黙れ黙れ!ボクは、英雄となり、トモダチを救うんだ!力がなければ、今のお前のように、なにもできないんだ!あの時、力さえあれば、みんなを助けられたんだ!!」  
今まで一体何匹のトモダチを助けられなかっただろう。  
人間に虐げられたトモダチが腕の中で冷たくなっていく、その感覚をNは忘れられなかった。  
だからこそ、トモダチを救うという目的をもって強さを求めたのだ。  
その、自分の信念を、目的もなく強さの身を求め続けていた男に否定されるのは腹が立った。  
「そうだ。チェレン、君にも、苦しんでもらおうか。君の『トモダチ』が、ボクによってめちゃくちゃにされるってどんな気分だろうね?」  
Nの、冷たい瞳がトウコをとらえた。  
「トウコ、チェレンに、見せてやれ。君が、だれのものなのかを。」  
 
「くっ…ふあ、ひぅっ…!」  
くちゅくちゅと水温が響く。  
「やめろ、やめてくれ…。」  
蚊のなくような声しかでないが必死にチェレンは訴えかける。  
「うぅ、あ、ぁぁ、ン、ふっ…。」  
「ふふ、サザンドラのおかげかな?ずいぶんほぐれたね、トウコのココ、指三本、余裕でくわえこんでいるよ?」  
Nはにちゃっと音を立てて、トウコの中に指を押し込む。  
「あ、ああっ!!」  
目の前の幼馴染は甲高い声を上げた。  
ずっと妹のように思い大切にしてきた少女が、オンナにされてしまったことがチェレンには言い様もなく悲しかった。  
「頼む、もう、やめてくれ…!」  
「ふーん、ここでやめようか?トウコ?あとは自分でするかい?」  
トウコは顔を真っ赤にして首を振る。  
大事な幼馴染の前でこんな痴態をさらしているのも耐えられないが、それ以上にこの身体の昂ぶりをそのままにするなんてことができるわけがなかった。  
「え、えぬぅ…ら、楽に、してぇ…。このままじゃ私…へ、へんになっちゃうぅ」  
「ふうん、楽にしてほしかったら、どうすればいいかわかってるよね?」  
「あ…ぁン、そ、そんなぁ…。」  
Nは唐突にトウコの中をかき回していた手を止める。  
「言えないなら、これでおしまいだ。」  
ああ、頭がもやもやする。  
一言、たった一言で楽になれるんだ。  
だったらためらう必要ないじゃない。  
「え、えぬを、Nを、ちょうだいっ…!」  
その言葉が、自分が信じてきたものすべてを終わらせるとしても。  
 
「トウコ、ボクはね、いっぱい、いっぱい考えたんだ。レシラムとゼクロムがなぜ、一つの生命から二つの命へと別れたのかを…。」  
Nは自らのズボンのチャックに手をかけながら静かに語りかける。  
「イッシュをつくった双子の英雄。彼らは、信念を違えてしまった。だから、レシラムとゼクロムが生まれた。  
そしてお互いの意見の違いから争いがおこった。たくさんのポケモンたちが傷つけられたんだ。」  
ゆっくりと、もはや涙も枯れたチェレンに見せつけるかのようにNはズボンを脱ぐ。  
「今、ポケモンたちが虐げられているのは英雄たちが互いに異なる信念を貫き通そうとした為。レシラムと、ゼクロムは、過去の争いの象徴だ。  
だからこそ、ボクは、レシラムとゼクロムをもとの一つの姿に戻したいんだ。彼らが、争いの象徴から人とポケモンが対等であるという平和の象徴になるように。」  
そっと下着に手をかける。  
「彼らに認められた英雄の僕たちが、一つになれば、その願いはかなうのかな?トウコ。」  
一気に彼女を貫く。  
「あ、あーーーっ!!」  
トウコは待ちわびていたモノを手に入れ、歓喜の涙を流した。  
快楽にとけた頭は破瓜の痛みすらも快感としか受け取ってはくれなかった。  
「ボクも、君も、『トモダチ』のためならなんだってできるんだ。目的は同じなのに、少しベクトルの向きが違っただけだったんだね。  
君が、本当にボクのことをわかってくれた時が、『英雄が、一つになるとき』そして『レシラムとゼクロムが元の姿に戻るとき』だ。  
その時まで、一緒に頑張ろうね?トウコ。」  
単語ごとにNは腰を打ち付けてくる。  
「あ、ぁ、奥まできてるぅ!!あぁぁ、そ、そこだめぇ!!」  
頭の中がスパークする。  
早口のNが、単語ごとに腰を動かすということはいったいどういうことなのか言わなくてもわかるだろう。  
少なくとも、ついさっきまで処女であったトウコに耐えられるような優しいものではないということだけは確かだ。  
「うぁっ!はぁっ、くぅっ、やぁあ!!」  
次々へと襲い掛かる快楽の波に体を震わせることしかできなかった。  
「…っ、もう、そろそろっ…!!」  
トウコの中でNがはじけた。  
どろりと内股を伝う生暖かい液体の感覚がやけにリアルで、自分がもう戻れないのだと強く感じた。  
そう思うと、もう涙が止まらなかった。  
 
私は、何も守れなかったのだ。  
人と、ポケモンの世界も。  
大切な幼馴染も。  
そして、今、肩で息をしながら私を抱きしめている人も。  
 
「……トウコ?なんで、泣いてるの?」  
 
悲しいの。  
私じゃ、あなたをこのゆがんだ世界から救い出せないことが。  
それが、どうしようもなく悲しくて、このゆがんだ世界で生きようともがくあなたが愛おしくて。  
涙が止まらないの。  
もう私じゃNを止められない。  
誰か、お願い、Nを止めて…。  
どこか、違う世界の誰かでもいいから…この人を解放してあげて…。  
 
 
 
 
 
▽さいしょからはじめる  
 
 
 
「キミのポケモン いま はなしていたよね?」  
 
「ボクの名前は N」  
 
 
 
 
END  
 
 
 

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