不意に、首筋にひやりとした感触を覚えた。と、思ったら目の前が真っ赤に染まっていた。  
驚いて声を上げようとしたら、首筋からごぼごぼという奇妙な音がこぼれた。  
ああ、これは、この赤は、私の頚動脈から吹き上がる血だ。  
そうか、私は首を切られたのか。  
目の前がぐるりと回転した。急速な失血による眩暈か、それとも身体が倒れたのか。  
もう、そんな事さえ判別できない。  
私の首を掻き切った張本人…いや、張本ポケモンか、は愕然とした目で私を見ている。  
私の血に塗れた、自分の爪にゆっくりと視線をやり、彼は絶望の叫びを上げた。  
おいおい、貴方がやった事でしょ、いったいこの後どうするの、貴方、人間を殺したのよ。  
人間を殺したポケモンが、どういう目にあうか、私、貴方に教えたわよね。  
こんな時でもいつものように、心の中で(だってもう喋れないんだもの!)ポケモンを叱っているのに気づく。  
唇が苦笑の形に歪む。そういえば私は彼を叱ってばかりだった。  
産まれてから、一度も「おや」らしく優しい声をかけたり、頭を撫でてやることさえしなかった。  
彼との出会いから今までの事が、映画のフィルムのように頭の中を駆け巡る。これは、走馬灯というヤツか。  
彼は、育てやから渡されたタマゴから産まれた。ポケモンバトルをする、ただそのためだけに…。  
 
私はポケモンブリーダー…その中でも主に、バトル専門のブリーダーだった。  
コロシアムやポケトピアで開催される、ポケモンバトルの大会。  
そこで優勝して賞金を得るために、「強い」ポケモンを育てるのが私の仕事。  
私が直接トレーナーとしてポケモンに指示を与えて戦わせることは無く、  
私の育てたポケモンが大会に優勝しても、賞金はトレーナーとの折半、5分5分なら良い方で、  
後で調べてみたら9割がトレーナーにボッたくられていた事もあったが、  
私は金のためだけにこの仕事をしているのではない。  
ポケモン達が最高の技を繰り出し、時には力を溜め、時には体力を吸収し、血を、体液を流しなら戦う。  
そして相手を地に伏せさせ、勝利の雄叫びを上げる。  
バトルで「私が育てた」ポケモンが、相手のポケモンを打倒す瞬間。  
それを見たいがためにこの仕事を続けてきたのだ。  
その快感は、セックスなどとは比較もできない。  
 
元より人との交わりには興味が薄いほうだったが、バトル専門のブリーダーとなってからは  
誰とも深い交流をすることは無くなった。  
ただ、捕まえた野生のポケモンの中でも優秀な能力を持つモノを選び、遺伝する技を考え、  
交配を繰り返し、一際優れた強さを持つポケモンを「造り出す」。  
そしてバトルに適応するよう育て上げる。そんな毎日だった。  
当然、いわゆる「落ちこぼれ」…力の無いポケモンも無数に産まれた。  
本来ならパソコンのポケモンBOXシステムの管理人に頼んで、牧場や引き取り希望者に渡るよう  
BOXから「逃がす」ようにするところだが、如何せん私の場合、数が多すぎた。  
BOX管理人からこれ以上「逃がす」ことはできない、という警告を受けてしまったのだ。  
無論、野生に人工交配したポケモンを許可無く放流することは禁じられている。  
仕方が無いので、私は裏の業者に頼んで「落ちこぼれ」達を引き取ってもらうことにした。  
裏の業者は評判芳しくなく、引き取ったポケモンを奴隷のようにこき使ったり、  
金持ちのマニアに売り飛ばすために性的愛玩用に育てたり、  
はがねタイプのポケモンを溶鉱炉で溶かして鋼の部分を加工し直して売ったりする、  
という黒い噂を聞いてはいたが、「落ちこぼれ」達にさして情も無かった私は、特に気にしなかった。  
どうせ「落ちこぼれ」を食わせる金など無いのだ。  
私が飼っていても、ボールの中で飢え死にするのが関の山なので、  
まだ生き残れる可能性がある方がいいだろう、と平然と考えていたのだ。  
そして彼も、無数の同種が裏の業者に引き取られていった後で産まれた。  
いつものように彼を育て、鍛えているうちに、私は興奮を覚えていった。  
ブリーダーとしての経験から、彼の潜在能力が今まで育てたポケモンの中でもトップクラス、  
いや、今までとは比べ物にならないほど「強い」ポケモンになり得る能力があると感じたからだ。  
ただ、一つ気になる事があった。彼が妙に私に懐いている事だ。  
私は特に彼を優遇したり、甘やかしたりした記憶はない。  
だのに彼は、私から受け取る餌(栄養価は高いがさして美味そうには見えない)を嬉しそうに食べ、  
頻繁に擦り寄って甘え、時折私をじっと見つめては熱い溜息を吐いた。  
愛玩用のポケモンなら人懐こい性格は好まれるが、彼はバトルの為だけに産まれてきたのだ。  
甘い性格では困る、と私は彼にむしろ殊更辛らつに接してきたつもりだが、さして彼に変化は無かった。  
 
ある日、トレーナーに育成途中のポケモンの様子を見てもらう前日、彼と一緒に風呂に入ったことがあった。  
トレーナーに高く評価してもらう為にも、毛並みを整えておこうと思ったからだ。  
面倒なので、自分も一緒にきれいになっておこうと素裸で彼と風呂に入ったのがまずかった。  
彼は私の裸に激しく興奮し、驚く私を押し倒し、膨れた生殖器を私の下腹部に当てて腰を振り始めた。  
最初は呆然と彼のするがままになっていた私だが、我にかえると、  
彼が私に生殖器を擦りつけるのを、普段の訓練やバトルより遥かに熱心にしている事に気づき、  
その事実に抑えきれないほどの怒りを覚えて、風呂場の床磨きで力任せに彼を殴った。  
非力な人間の女の力では、彼にそうダメージは無かったはずだが、  
私に殴られたという事実か、私の般若のような表情か、それともその両方かは分からないが、  
彼はひどくショックを受けた様子で風呂場の床に転び、呆然と私を見つめた。  
彼の生殖器が未だ膨れている事に気づいた私はうんざりと溜息を吐き、彼に近づいて手淫を施してやった。  
発情期のポケモンを慰めてやるのもブリーダーの仕事の一つだ。こういう事には慣れている。  
陰嚢を柔らかく揉み、生殖器を扱き、敏感な箇所を軽く擦ってやる。  
私はありありと嫌悪の表情を浮かべていたはずだが、彼は私の手淫に耐え切れず、  
悲鳴に近い鳴き声を上げながら達してしまった。  
自身の放った精に塗れて、彼がとても悲しそうな目で私を見つめていた事は覚えている。  
 
次の日、トレーナーが帰った後、私は彼と彼のツガイになる雌を連れて育てやに向かった。  
風呂の事件以来、彼は明らかに意気消沈してしまい、  
トレーナーの前でも普段の力の半分も出せていなかった。  
これではいけない、と私は彼の性欲を満足させてやるべく、数日雌と好きにさせてやる事にしたのだ。  
彼自身の能力で充分なので交配の必要性は薄く、たとえタマゴができても彼より劣った雌の子では  
優れた素質の子が産まれる可能性は低かったし、産まれる子は裏の業者に渡されるのが決まりきっていた。  
業者に渡す手数料が無駄にかかる事を考えると、私は彼の不甲斐なさに苛立ちを感じた。  
だが、このまま彼の力を性欲ごときのために埋もれさすには、あまりにも惜しかったし、悔しかった。  
 
私が一番苛立っていたのは、彼に対してだった。  
どうして「強い」ポケモンになり得るのに、私に対して不甲斐ない態度ばかりをとるのか。  
理解できなかったし、彼の素質を想うと怒りすら覚えた。  
…今思うと、私が彼の態度に理不尽に苛立っていた理由は、私が精神的に荒んだ生活の中で、  
随分と昔に忘れてしまった何かを、彼から思い出しそうになっていたからかもしれない。  
彼に対する怒りが憎悪に変わったのは、数日後、彼が共に預けられたポケモンと一度も性交をしなかった、  
と育てやに告げられてからだ。  
彼は雌の同種の誘いに頑として応じず、私が与えた使い古しの  
私の匂いが染み付いた小汚い毛布に包まって寝ているばかりだったという。  
「この子はお前さんの事が、よっぽど好きなんじゃろうなあ」  
育てやの爺さんは私の憎悪に気づかず、のうのうとそんな事を言った。  
「たまにおるんじゃよ、人間をどうしようもなく愛してしまうポケモンが。  
 こうなったら無理に他のポケモンとツガイにしようとしても無駄じゃ。  
 だが、ポケモンにここまで好かれるのも良いことじゃ。  
 大事に、一生のパートナーとして傍にいてやったらどうかね」  
大事にはしてやるつもりだった。だが、それはポケモンバトルの為だけにだ。  
パートナーとして、彼を扱ってやるつもりなど微塵もない。  
だが、私は爺さんの言葉で、ある残酷なアイディアを思いついた。  
それを利用する事は、彼の心の何かを深く傷つける事だとは分かっていたが、  
私はもう彼の事で頭を使うのは疲れ始めていたので、これを機に彼が心を入れ替え、  
トレーナーの元で戦い続ける、バトルの為だけのポケモンになってくれる事を期待したのだ。  
 
コロシアムの中央、彼の前には一匹のポケモンが勝利を確信し、余裕の表情を浮かべながら立っている。  
それもそのはず、彼と彼の相手のポケモンの相性は絶望的に悪く、  
彼がこの戦いに勝利することは万が一にも無いと思われた。  
実際、彼は種族的に不利な相性の攻撃を幾度も受け、今や息も絶え絶えに立っているのがやっとの様子だ。  
私はそんな彼を観客席から冷徹に見下ろしていた。  
これで、少々荒療治ではあったが、彼も己が如何にヌルい考えの持ち主であったか気づくだろう。  
 
私はこの戦いの前、トレーナーに預ける前に彼と一つ、約束をしていた。  
育てやから帰ってきて、早速じゃれつく彼を引き剥がし、私は彼にこう言った。  
「貴方、私の事が好きなのね。(彼は勢いよく頷いた)  
 私とヤリたくって仕方が無いのね?(彼は何度も頷き、私に擦り寄りたがった)  
 じゃあ、貴方、今度のバトルで貴方が勝ったら、私を好きにして良いわよ。  
 ただし、もし勝てなかったら、貴方に今後一切の甘えは許さないわ。  
 当然でしょ、貴方はバトルに勝つ為に産まれてきたんだから、  
 勝てなかったら生きている意味が無いじゃない。  
 勝てなかったら、バトルに勝つ、その事だけに集中してもらうわ…」  
彼は意味が分かっているのかいないのか、小躍りせんばかりに喜び、何度も私に頷いた。  
私はトレーナーとコンタクトをとり、わざと彼と極めて相性の悪い相手とのマッチングを提案した。  
トレーナーは当然いぶかしんだが、私は相性の悪い相手と戦っておくのも必要な経験だから、などと  
適当な言い訳をしてマッチングを成立させた。  
その時のトレーナーの言葉が、私の彼に対する憎悪に油を注いだ。  
「…ふうん、まあ、良いけどね。どーでもいいけど、○○さん(私の名前だ)の育てたポケモン、  
 最近評判悪いよ。なんか、能力はすごいんだけど、肝心の、何ていうのかなあ、  
 …生きる意志っていうのか、前向きな心が足りないっていうのか。  
 俺も○○さんのポケモン、指示していて思うもん。勝負の要のところで、投げ出しちゃうみたいな。  
 ちゃんとポケモン、可愛がっている?やっぱ、多少足りない所があっても、  
 可愛がられているポケモンの底力には敵わないよ」  
その言葉を聴いた時、私の顔はダゲキ並みに真っ青になっていたに違いない。  
何と言って通信を切ったのかは覚えていないが、目の前がぐらぐらして、  
しばらく震えが収まらなかったこと、ソファに座って何も映っていないTVを  
長い間見つめていたことは覚えている。  
バトル専門のブリーダーとして、「強い」ポケモンをブリードする事だけが生きる意味だった私にとって、  
あまりに衝撃的な言葉だった。  
そしてこの時私は、八つ当たり的に、彼に対して殺意に近い悪意を覚えた。  
彼が…最初から素直に「強い」だけのポケモンとして生きてくれれば、こんな思いはせずにすんだのだ。  
彼が不甲斐ない態度を捨てて「強さ」を見せれば、私の行いもまた肯定される、  
理屈として成り立っていないのに、憎悪に捻じ曲がった私は、強くそう確信していた。  
私の心は頑なで、自分が何か間違っているとは少しも考えなかった。  
今度のバトルで彼は悲惨な敗北を経験するだろう。私はそれを見て嘲笑ってやる。  
そして、次からは「強い」だけのポケモンになる為に、徹底的にしごいてやろうと思った。  
 
今、その狙いは実現されつつある。次の相手の攻撃に、もう彼は耐え切れない。  
出来試合だと分かっているだけに、彼のトレーナーも白けた様子だし、  
観客も一方的な試合内容に、つまらなそうに  
「まだ終わらないの?」「早く次を見せろよ」などという言葉が飛び交う有り様。  
このコロシアムに、彼の味方は、一人も、一匹も居なかった。  
相手が最後の一撃を放とうとしている。これで終わり、だ。  
 
その時、彼が私の方をふっと見た。  
どうして、戦いの最中で相手から目を逸らすの。しかもこれほど追い詰められた状況で。  
戦っているときに余所見をしちゃいけないと教えたでしょう。  
幾つかの言葉が頭の中に浮かんだが、彼の目を見て私は息を呑んだ。  
彼の目は、私に対して、確かにこう訴えていた。  
…私のことを信頼していると…。  
相手の攻撃が空をきる。100パーセント命中する技では無かったが、  
ボロボロな彼の身のこなしを考えると、奇跡に近かった。  
返しの彼の攻撃が、相手の急所にクリーンヒットする。これも奇跡だ。  
畳み掛けるように、彼は先制攻撃を相手に仕掛ける。  
相手のポケモンは、そんな馬鹿な、という驚きの表情のまま崩れ落ちた。ダレていた観客が逆転劇に沸く。  
トレーナーが興奮した様子で彼を褒め称え、彼は誇らしげに私の方を向いた。  
熱気に包まれたコロシアムの中で、私一人だけが、冷たい憎悪に全身を強張らせていた。  
 
トレーナーの手のひらを返したような賛辞を聞き流し、  
「あんたが育てた中でもこいつは最高のポケモンだよ」という、  
普段の私なら素晴らしいエクスタシーを感じたであろう言葉も、今は逆に腹立たしいのみ。  
家に帰り着いて、ボールから彼を出してやると、  
彼は待ってましたと言わんばかりに、私にむしゃぶりついてきた。  
勢いのままに私は押し倒され、彼は無遠慮に私の身体をまさぐる。  
彼の口吻が、固く閉ざされたままの私の唇を幾度も掠める。  
熱い吐息が私の首筋に吹きかけられ、服越しにも彼の興奮しきった生殖器が  
下腹部に擦りつけられているのを感じた。  
気が急いているだろうに、彼の爪はあくまでゆっくりと優しく動き、私の身体を傷つけないように  
細心の注意を払っているのが分かった。  
以前、私が彼を拒んだのは、無理矢理に行為を仕掛けたからだとでも思っていたのだろうか。  
彼がどんな表情をしていたかは、目を強く瞑っていた私には分からない。  
熱く滾る彼に対して、私はパルシェンよりも固く、冷たく強張ったままだった。  
彼の熱を感じるたびに、私の中の憎悪は殻を破る寸前のように大きくなっていった。  
服を剥ぎ取られ、彼の生殖器が私の性器に押し当てられた時、それが私の我慢の限界だった。  
奇声を上げ、手の届く所にあった重く固い何か(感触からしておそらく灰皿)を掴み、  
思い切り彼を殴りつけた。不意の一撃に彼は大きく仰け反り、呻き声を上げて頭を押さえた。  
爪の間から、一筋の血が伝った。  
それを見て、私は確かに、ざまあみろ、と思ったのだ。  
 
…どうして…?  
疑問と悲しみが込められた、彼の視線が私に向けられる。  
それが、より私の激情を煽った。半裸のまま、仁王立ちに立ち上がり、彼を指差し、口汚く罵る。  
私が彼に対してどれだけのモノを費やしたのかという事、彼が如何に私を苛立たせていたかという事、  
今まで堪えてきた怒りを、彼に向かって思い切りブチ撒けた。  
私がどれほど醜い顔をしていたのかは、分からない。彼は死んだような表情で私を呆然と見つめていた。  
そして、私はついに彼の心をぶち壊す、決定的な言葉を言ってしまった。  
「あんな約束、信じるなんてどうかしてる!バトルだけしてればいいのに、調子に乗っちゃって!  
 私はね…貴方なんか、だいっ嫌いなのよ!!!虫唾がはしるぐらい、大嫌い!!!」  
 
不意に、首筋にひやりとした感触を覚えた。と、思ったら目の前が真っ赤に染まっていた。  
…  
…  
 
冷えびえとした身体の上に、生暖かい液体が零れ落ちるのを感じた。首筋を這い回る、優しい感触…。  
以前、ギロチン処刑を受けた人間は、数分間だけ首を斬られても生きていると聞いたことがある。  
今の私の状態も、そういう事なのだろうか。それとも何かの奇跡なのだろうか。  
切られた頚動脈から明らかに、生きていられるハズがない程の血を失いながらも、  
私は辛うじて意識があった。尤も身体の感覚は妙に遠く、冷たく、毛先ほども動かすことは出来ない。  
見開かれたままの私の瞳には、涙を零しながら、私の首筋を舐める彼の姿が映っていた。  
きゅうん、きゅうんと絶望的に泣きながら、彼は懸命に私の傷を癒そうと舐めていた。  
勿論、無駄なことだ。もう、私が起き上がることはない。  
馬鹿は死ななきゃなおらないと言うが、「死んだ」ショックのお蔭か、  
あれほど頑なだった私の心に、彼に対しての愛情のようなものが芽生えた。  
私が彼にどれほど惨い事をしてきたのか、今更ながらに気づいて、慙愧の念に駆られた。  
彼を抱きしめ、もう安心だと慰めてやりたかった。  
優しい言葉をかけ、彼の全てを受け止めてやりたかった。  
でも、今となってはもう遅すぎた。  
 
彼の息遣いが変わる。目の奥に情欲が宿るのが、見えた。  
血に塗れた私の半裸は、彼にとって扇情的なものだったのだろうか。  
それとも、ようやく私を好きに出来ることに気づいたのだろうか。  
彼は死んで強張った私の性器を無理矢理にこじ開け、自身の生殖器を挿入した。  
そして、涙を零しながら、懸命に腰を振る。途中で私の性器が裂け、血が流れ始めた。  
血のお蔭で滑りが良くなり、彼が深い悦びを得ていることが、彼の涙と涎に塗れた顔から分かった。  
私はそれを見て少しだけほっとした。  
死んだ私に、彼のためにしてやれる事など、これくらいしかなかったから。  
そして私は、彼はこれからどうなるのだろう、と思った。  
凶暴なポケモンや、人間を殺傷出来るほどの力を持つポケモンは、  
一度は「施設」の見学に連れて行かされる。  
そこは、人間や他のポケモンに意味も無くひどい暴力を行ったり、  
殺したりしたポケモンが送られる場所なのだ。  
軽い怪我なら数ヶ月の「再教育」で済むだろうが、人間を殺害…おまけに死姦を行ったポケモンが、  
無事でそこを出られるはずが無い。  
良くて一生「施設」暮らし…おそらくは凶悪なポケモンとして、「処理」されるであろう事が予想できた。  
彼も私と一度、「施設」の見学には行っている。  
…その事はよく分かっているだろうに…。  
私は彼をつくづく不憫に思った。  
彼に罪は無い。全ては私のせいだ。  
私なんかを愛してしまったせいで、彼の生が断たれるのは、とても悲しい、理不尽な事に思えた。  
どうか無事に逃げ延びて欲しい、と私は天に祈った。  
神を信じたことは、今まで (一生)一度も無かったが、それでも私は薄れゆく意識の中で、懸命に祈った。  
私を殺したポケモンの暖かい精が、子宮の中に注ぎ込まれるのを感じながら、  
私は二度と覚める事のない眠りに落ちていった…。  
 
 
 

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