「……ねえ」
「えっ、あっ!と、トウコちゃん……!
あの、今日はごめ……」
「ごめんじゃないわよ。あのさあ、どうして……」
そこまで言って、トウコは息を思いっきり吸い込む。
「どうしてツンベアーとバイバニラなの!!?」
ここはギアステーション・マルチトレイン乗り場。
貪欲に勝利のみを目指すトレーナー(ともだちいない)が集まる場所。
しかし、ここでの勝利には大きな壁が立ちふさがっている……。
パートナーのポケモンを、自由に選べないという壁だ。
車両から続々と降りてくる敗者の視線にも構わず、同じく敗者のトウコは自身のパートナーへ罵声を浴びせていた。
「どうして!一番大事な!三回目にぃいいッ!!」
「ああっ、ご、ごめんなさい!!次は頑張るから……!」
情けなく震えるパートナーのトウヤ。
しかし、彼の目にわずかに浮かんだ涙が、トウコの獣のような本能を刺激した。
「……次、次ねえ。じゃあ、リアルファイトで頑張ってもらいましょうか……」
「うわ、どど、どうしたのトウコちゃん!どこに連れ……」