一匹のエルフーンが樹から吊るされている。  
念入りに結われた縄は、特性「すりぬけ」を持つエルフーンにも脱出不可能だ。  
つい数十分前まで大声で泣き叫んでいたエルフーンも、今は泣き疲れて時折しゃくりあげるのみ。  
痛々しい縛り上げられた身体、泣き過ぎで赤く腫れた目蓋と悲しそうなエルフーンの表情を見れば、  
どんな冷血漢だろうがあくタイプだろうがホロリときて助けたくなってしまうだろう。  
が、エルフーンがこんな樹に吊るされているのは全く自業自得な理由からだった。  
「いたずらごころ」を持つエルフーンの一族の中でも、彼女はひときわイタズラ好きで、街で一番大きい畑を荒らして  
結果、貴重な木の実の苗が全滅してしまった。  
以前から彼女のいたずらに手を焼いていた住人の堪忍袋の緒が切れ、  
ついに彼女は人間が草ポケモン対策に育ててきたバッフロンやミルタンクに取り押さえられてしまい、  
罰としてこうして樹に吊るされているというワケだ。  
しかも、人間は何を思ったか彼女の恥ずかしい所…草ポケモンの雌しべのある所にべったりと甘い蜜を塗っていった。  
吊るされていて苦しいわ、蜜がベトついて気色が悪いわでエルフーンは何時間も泣き叫んでいたのだが、  
彼女の悪行を知る周囲のポケモンや人間は、誰も助けに来なかった。  
周囲が暗くなり始めた。  
体重の軽い彼女は長いこと吊るされていてもヒドいうっ血状態にはならずにすんでいたのだが、  
それでもこの状況下で寝られるほど神経は図太くなかった。  
夜はこの辺りの捕食者が活動し始める時間だ。こんな状態で襲われたらどうなるか…。  
エルフーンの目にはまた涙が浮かび始めていたが、今泣いたらこちらの居場所を教えるだけだ。  
恐怖と不安、縄の苦痛と股の不快感に耐えながらエルフーンは震えていた。  
ふと、面前の草叢がガサゴソと揺れた。  
小さく悲鳴を上げて身体を強張らせたエルフーンの前に現れたのは一匹のヘラクロスだった。  
かくとうタイプを併せ持つ攻撃能力の高いむしポケモンではあるが、  
凶暴性はさほどでもなく、むしろ樹の蜜を好む温厚な気質のポケモンである。  
エルフーンはヘラクロスの姿を見て、必死に逃れようと暴れたが、  
ヘラクロスはじっとエルフーンを見つめるばかりで攻撃してくる様子はない。  
攻撃がこないことに気づいたエルフーンは、きゅうきゅうと鳴いて  
ヘラクロスに縄を解いてくれるよう頼んだか、これにもヘラクロスは反応無し。  
不審に思ったエルフーンがヘラクロスを見ると、彼は涎を垂らしながらエルフーンの雌しべがある辺り…  
甘い蜜がたっぷりと塗られた辺りを見つめていた。  
 
彼女は人間の行動の意味と、ヘラクロスがココに来た理由を悟り、顔を青ざめさせて逃れようとしたが、  
相変わらず縄が緩む気配は無い。むしろ、暴れれば暴れるほどキリキリと身体に食い込んでいった。  
ヘラクロスがふわりと飛んでエルフーンの背後に近づき、前肢でがっしりとエルフーンの腰を捕まえた。そのまま口に近づけてゆく。  
エルフーンはあまりの事に、もう悲鳴を上げる力も無くされるがままになっていた。  
ただ、腰が持ち上げられ頭部が下に向いたときに、涙が音もなくぽろぽろと零れ落ちていった。  
ヘラクロスの口がエルフーンの雌しべに塗られた甘い蜜を舐めとってゆく。  
エルフーンは最初こそ、いつ噛みつかれるかという恐怖に、股のぬるぬるした不快感に震えていたが、  
段々に雌しべから体の芯まで伝わってくる蜜よりも甘い感覚に困惑を覚えながらも蕩けていった。  
エルフーンは知らなかったが、樹の蜜を主食にするヘラクロスの口内には蜜を効率よく吸収するために柔らかい繊毛がびっしりと生えている。  
彼女に塗られた甘い蜜を舐めとるたびにその繊毛が雌しべをくすぐってゆくのだからたまらない。  
しかもヘラクロスはエルフーンに塗られた蜜を余すところ無く舐め尽くそうと、  
角度を変え、速度を変え、口全体を使って雌しべを舐めあげるものだから、  
彼女の敏感な所は全てが柔らかい繊毛のくすぐりと吸収しようとする刺激を受けることになった。  
エルフーンは最初の恐怖もどこへやら、雌しべから伝わってくる快楽に溺れ、あられもない声を上げ、  
生理的な涙と涎を垂れ流しながら、縄とヘラクロスの前肢に捕らわれ自由にならない身体で腰を振り始めた。  
一方、ヘラクロスは最初は甘い蜜の匂いに釣られてエルフーンの股を舐め始めたのだが、  
舐めれば舐めるほどじゅくじゅくと、甘い蜜とはちがう味の今まで食べたことの無い蜜が  
エルフーンの雌しべから湧き出てくるのを感じ、初めて食べる蜜の味に夢中になり、  
さらに強烈にエルフーンの雌しべを舐め始めた。  
エルフーンは性欲に、ヘラクロスは食欲に突き動かされ、樹の下の饗宴は続いていった。  
ヘラクロスがようやく満腹したのは、エルフーンの雌しべからとびきり濃い蜜が吹き上げるように漏れた後。ヘラクロスはそれを全て吸い取り、満足した様子で飛び去っていった。  
ぐったりと吊るされたままのエルフーンは、半分意識を失いかけながらぼんやりと前を見ていたが、  
再び草叢がガサゴソと…しかも複数箇所揺れたのを見て背筋を凍らせた。  
出てきたのはさっきとは違う個体のヘラクロス…それにその他の蜜を好物とするポケモンたち。  
皆、エルフーンの濃い蜜の匂いに惹かれて集まってきたのだ。  
蜜欲しさに徐々に近づいてくるポケモンたちに囲まれながら、  
エルフーンは恐怖と快楽への期待に震える口で「ごめんさい」と小さく鳴いたが  
この場にそれを聴きとれる者は誰もいなかった。  
 

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