『ポケモンと仲良くなろう!』  
 
「タッチュゥゥ〜!」  
パチィィッ!!  
突然。  
その言葉がぴったりくるほど、何の前触れもないままに、  
ポケモン同士が互いに威嚇しあう声が辺りに響きはじめた。  
(ああ…、また始まっちゃった…)  
最近見慣れてきつつあるその光景を見ながら、少年トレーナーはその幼さが多分に残る顔をしかめた。  
 
一見すると丸みを帯びた貝のようにも見えるが、その実きれいに研ぎ澄まされているその武器。  
よくよく観察すると、辺縁がまるで日本刀のように波打つ曲線を描いているのが見て取れる――。  
2枚というよりは2振りと表現したほうがしっくりくる美しいホタチを手に、隙のない姿で構えるフタチマルの目前で、  
好戦的な、まるで見下すような表情で(まあ、実際に見下しているのだが)、エモンガが樹の枝からぶら下がっていた。  
その頬にある赤みを帯びた電気袋は、まるで冬場にセーターを脱ぐときのような  
パリパリという特有の音を放ちながら、黄色い火花をほとばしらせている。  
フタチマルとエモンガが、いつものように衝突しているのは明らかだった。  
 
ついさっきまでは、仲良くみんなでご飯を食べていたのに、どうしていつもこうなるのか。  
「もう…、またかよ!」  
急いでモンスターボールを取り出して2体を戻そうとするが、  
エモンガは既に“こうそくいどう”をしており、目で捉えられるような状態ではない。  
元来素早くて体格の小さなエモンガが高速で動き始めると、  
人間の目にはそれだけで“かげぶんしん”をしているかのように、残像しか目に入らない。  
こんな状態では、ボールに戻すことなんて不可能だ。  
片やフタチマルの側も、一時は素直に赤い光に包まれてボールに入ったかと思いきや、  
数瞬後には自らその拘束を絶ち切ってボールから飛び出してきた。  
再び油断無く構えると、血走った目でギラッとトレーナーを一瞥する。  
強い意思と、怒りの込められたその瞳を見て、思わず少年は気圧されてしまった。  
 
ポケモンが言う事を聞かない。  
持っているジムバッジの数で象徴される、トレーナーの実力が低い時に認められる現象だ。  
どうしてこうなってしまったんだろう…。  
止めようなないバトル…いや、ケンカを勝手に開始してしまった2体を、  
少年トレーナーは呆けたような表情でただ眺めているしかなかった。  
 
少年は、名前をユウトという。  
今を遡ることほんの1ヶ月ばかり前に10歳の誕生日を迎え、  
アララギ博士から最初のポケモンとしてミジュマルをもらって旅立ったばかりだ。  
正直、ここまでの旅は拍子抜けするほどに順調だった。  
いろんなポケモンを捕まえて育てることなく、ミジュマルと途中で貰ったバオップだけを使っていたせいか、  
どんどん強くなっていった彼らは、ただの1度だってバトルで負けたことはなかったし、  
途中でミジュマルがフタチマルに進化してからというもの、  
ほとんどどんな相手でも、たとえそれがジムリーダーのポケモンであっても、1撃で倒してしまうことが多かった。  
万事そんな調子であったので、初めての1人旅に伴うそれなりの面倒はあったものの、  
大した苦労もなくジムバッジを3つも手に入れた頃には、ユウトは随分と調子にのってしまっていて、  
「たった1ヶ月でもうそんなにバッジを手に入れたの?すごいじゃない!新人トレーナーの新記録ね!」  
というアララギ博士の言葉にも鼻高々で、その後に続いた  
「ただ、図鑑のほうは全然埋まっていってないみたいだけど…」  
なんていう苦言は、するりと幼い少年の耳を通り抜けてしまっていた。  
 
実はボクって天才かも!ポケモントレーナーなんて、大したことないじゃん!  
この年代の男の子の陥りやすい、一種英雄感にも似た高揚が彼を包む。  
しかし、完全に天狗になりつつあった少年の鼻を挫いたのは、  
強力なポケモンを操る手ごわいライバルの出現でも、行く手を阻む困難な洞窟でもなく、  
たった1体の可愛らしいポケモンだった。  
 
 
今思うと、あの人もこのポケモンに手を焼いていたに違いなかった。  
道端で突然女性トレーナーに声をかけられ、エモンガを貰ってほしいと頼まれたのだ。  
自分にはどうしても育てられなくなってしまったから、他のポケモンと交換じゃなくてもいいから、と…  
これまでフタチマルとバオップのたった2体で勝ち抜いてきて、時々タイプ的不利を感じることもあったユウトにとって、  
電気タイプと飛行タイプを合わせ持つエモンガを貰えるというのは、まさに渡りに船の話だった。  
いちいち野生のポケモンを弱らせてゲットして、育てる手間が省けるというもんだ。  
そうして新たにユウトの仲間になったエモンガだったのだが…  
「エモンガ、♀。レベル60…ってすごく高いな。特性はでんきエンジン、性格はなまいきで、  
技は“こうそくいどう”に“エレキボール”、“でんじは”に“いばる”…かぁ」  
 
確かにエモンガは強かった。  
ユウト自慢のポケモンのフタチマルでさえ、まだレベルは40弱だ。  
レベルが60もあるポケモンを扱えるだろうかと不安を覚えたが、  
仲間になったばかりのエモンガは、最初のうちは意外なほどに言う事を聞いてくれた。  
バトルではその素早い動きで相手を翻弄し、威力抜群の“エレキボール”でなぎ倒していく。  
まさに自分にぴったりのポケモンだ。  
そんなユウトの浮き立った心は、しかし数日と続かなかった。  
しばらくするとエモンガはその本性を現しはじめた。  
自分のしたいように…つまりは、相手をもっといたぶりたいのに、そんな指示を出してくれないトレーナーに反抗するように、  
平然と指示を無視し、勝手な技を繰り出すようになったのだ。  
 
バトルには勝ってくれる。  
それも圧倒的に、意地悪に。  
麻痺させ、混乱させて、どうしようもない状況に陥らせてから、最大に威力を高めたエレキボールを撃ちこむのだ。  
でもそんなのは、ユウトの望む形ではなかった。  
「ちゃんと言う事を聞いてよ」  
傷ついたポケモンを抱え、泣きながら去っていくバトル相手を見送りながら、困ったように言う少年の言葉は、  
エモンガの大きな耳にはまるで届いていないようだった。  
トレーナーとポケモンとの間に軋む不協和音。  
これまで潤滑に動いていた機械にはびこり始めたサビのように、それは全てを歪めていった。  
 
きっかけは、ささいなケンカであったようにユウトには見えた。  
ダブルバトルでフタチマルとエモンガでバトルをした時のことだ。  
相手が出してきたのはレスパダスとワルビル。  
ユウトの指示の通りに、ワルビルを一刀のもとに“シェルブレード”で斬って捨てたフタチマルは、  
返す刀でレスパダスへ向かい、そちらもまた一撃で気絶させてしまったのだ。  
トレーナーとして見ていても、惚れ惚れするような動きだった。  
しかし…面白くないのは、エモンガだった。  
その時エモンガは“こうそくいどう”の指示を無視して放った“いばる”でレスパダスを混乱させ、  
さあお次は“でんじは”で麻痺させて、いつものようにじわじわといたぶってやろう…という  
お決まりの意地悪コース一直線だったので、  
突如目の前で相手が倒されてしまい、獲物を奪われて肩透かしを喰った形になってしまったのだ。  
そして、その怒りの矛先は、とんでもない方向へ向かっていった。  
「よくやったぞ。フタチマ…」  
「ぎゃんっ!!」  
喜んで駆け寄る少年の目の前で、水色の体が不意の攻撃に跳ねる。  
エモンガの、電気を放出するアンテナのような役割も果たす飛膜に蓄えられていた“でんじは”の網は、  
放たれる相手を急遽変更されて、背を向けていたフタチマルへと襲いかかったのだった。  
 
それからというもの、2体の仲の悪さは決定的になった。  
元来真面目な性格であったフタチマルにとって、  
トレーナーの言う事を聞かない、我儘なエモンガの立ち振る舞いは、腹に据えかねるものがあったようだ。  
積もり積もって爆発したその不満は、エモンガに対してだけでなく、自身のトレーナーにも向けられた。  
尊敬すべき自分のトレーナー。  
だがその少年は、あんな我儘を許している。  
敬愛と不信、怒りの間で収まりがつかずに揺れ動くその心は、苛立ちとなって表れ、  
次第にトレーナーへの態度を硬化させていった。  
 
その時点で、エモンガを手放してしまうという選択肢もあったはずだった。  
言う事を聞かないトラブルメーカーなど、邪魔にしかならないという考えもあるだろう。  
しかし、少年はそうしなかった。  
その理由をたった1つで言い表すのは難しい。  
純粋に、「エモンガをきちんと育ててあげたい」という本来の優しいお坊ちゃん的な性格からくる心もあったし、  
こんなに強いポケモンを手放すなんて、もったいないという打算もあった。  
そして、“天才トレーナー”であるはずの自分なら、このレベルのエモンガにだって言う事を聞かせられるはずだという  
少しばかりの思い上がりもあったかもしれない。  
そんなあれやこれやが一緒になって、結局今までエモンガを逃さずに旅してきたのだ。  
旅をしてるうちに懐いてくれて、言う事を聞くようになってくれるかもしれないという、楽観的な思いを抱えながら。  
 
しかし、現実は厳しかった。  
 
2刀のホタチを油断無く構えるフタチマルの眼前で、“こうそくいどう”を繰り返すエモンガは、  
文字通りもはや目にも止まらない。  
接近戦を得意とするフタチマルは、相手が己の間合いに入ってきたその瞬間に勝負を決めるべく、  
全身に力をたぎらせながら、じっと待っている。  
そんな剣士の姿をあざ笑うかのように、ぽわんと明るい、淡黄色のソフトボール大の膨らみが  
1つ、また1つと姿を現し、彼を取り囲みながらゆっくりと回転し始めた。  
夕暮れの森の中に浮かんで流れる、たくさんの黄色い風船のような“エレキボール”。  
戦闘に似つかわしくない、幻想的ですらあるその風景は、  
テレビで一度見たことのあるコンテストバトルを思わせた。  
 
ふわふわと宙を滑る、しかしそのふんわりとした見かけとは裏腹に、内部に強烈な破壊力を秘めた電気の球は、  
エモンガの意地悪な性格を示すように、回転を続けながらじわっじわっとフタチマルの方へ迫っていた。  
フタチマルの顔に、はっきりと焦りの表情が浮かんでいるのが分かる。  
このまま立っていても、いつかは電気の球に触れてしまうだろう。  
しかし、動いたとして、自分より数段動きの速いエモンガを捕らえることは…  
迷いと焦燥がフタチマルの心を蝕む。  
「タチィッ!!…ギャンッ!!」  
ついに焦りに負けて、あえて一方向のみ残されていた上方の逃げ口へと飛び出したフタチマルを、  
待ってましたとばかりに電気の網が絡めとった。  
「エヒヒヒヒッ!」  
樹の枝の上に姿を現し、蟻地獄に落とした蟻を嬉しそうに見つめる子供のような笑みを浮かべるエモンガ。  
舞い落ちるように地面に落下し、痺れた体で睨め上げるフタチマルの体に、容赦なく“エレキボール”が降り注いた――。  
 
 
ピン・ポン・ピロリン♪  
 
ポケモンセンターに、治療終了を知らせる音が響く。  
「みんな元気になりましたよ」  
と笑顔で挨拶してくれるジョーイさんに、いつも通りお礼を言って立ち去ろうと少年が思っていると、  
意外なことに、少し心配そうな顔をして話しかけられた。  
「ユウト…くん。キミ、ポケモンのことで何か悩んでるんじゃないの?」  
「――え?」  
自分はそんなにも深刻な顔をしていただろうかと、顔をあげながら、  
改めて眉間にぐっと力がこもっていたのを感じた。  
こんな顔をしていたら、心配されるのも当たり前だ。  
しかもジョーイさんは、ポケモンの専門家だ。  
治療をしながら、その傷つき具合に何かしら感じるものがあったのかもしれなかった。  
 
「そう…。エモンガが言う事を聞いてくれないの…」  
事情を話すと、その深刻さを感じたのか、ジョーイさんは沈痛な面持ちになって目の前のモンスターボールを見つめた。  
その中にいるエモンガに、どうしたの?と問いかけているように。  
ポケモンを治療するという立場の人間にとって、  
無闇にポケモンが傷つき、争いの原因となることは、  
普通のトレーナーが考える以上に、痛切な想いを与えるようだった。  
 
「何とかして言う事を聞いてもらうようにはなれないでしょうか?  
ボク、バトルでエモンガを無理矢理従わせたいとか、そういうんじゃないんです。  
ただ…、ただ、もっと仲良くなって、エモンガのこと理解してやりたいんです」  
本心から出た言葉だった。  
たとえ人からもらって、全然言う事を聞かなくっても、  
別にエモンガのことを嫌いと思ったことなんてないし、  
むしろその愛らしい姿は見ているだけで癒されるような気分になる。  
だからこそ、言う事を聞いてくれないと悲しいし、  
それが原因で他のポケモン達との仲まで悪くなってしまうのは、もっと辛いのだ。  
 
と、唐突に、ジョーイさんが何かを思い出したような声を上げた。  
「ポケモンと仲良く…そうだわ!確か今月号の『ポケモンと仲良くなろう!』がエモンガ特集だったのよ。  
私はこの雑誌、読んだことないんだけど、この前ここに忘れていった人がいて…」  
確かこのへんに…と言いながら、忘れ物が詰め込まれていたらしいダンボール箱から、A4サイズの1冊の雑誌が取り出される。  
確かにそこには、意外に地味な文字で書かれた『ポケモンと仲良くなろう!』というタイトルの下に、  
可愛らしく宙を滑降するエモンガの写真と、〜エモンガ特集〜という文字が見て取れた。  
 
「これって、ポケモンだいすきクラブとかで読まれてるらしい、コアなファン雑誌らしくって、  
こういうのがトレーナーのキミの役に立つかは分からないけど、  
ポケモンと仲良くなるっていうことでは、共通してるんじゃないかなって思うの」  
こんなことしか力になれなくてごめんなさい…と申し訳なさそうにジョーイさんは言うが、  
ユウトは地獄で仏に出会ったような気分だった。  
全く何も情報がないのと、こうして少しでも方法があるのとでは大違いだ。  
ぺこりと礼儀正しくお辞儀してその雑誌を受け取ると、  
今夜はこのポケモンセンターで泊まることにして、与えられた個室へと入っていった。  
 
『ポケモンと仲良くなろう!〜エモンガ特集〜』  
いったいどこが出している本なんだろう?  
ポケモン雑誌として親しまれている本といえば、『ポケモンファン』か『ポケモン・トレーナーズガイド』  
あたりが有名で、ポケモンセンターにも毎月号並べられている。  
しかし、『ポケモンと仲良くなろう!』は、ジョーイさんが言うように本当にコアな雑誌なのだろう。  
自分が今まで聞いたこともないタイトルだった。  
 
名前だけ見れば、わりととっつき易そうな本なんだけど…。  
そう思いながら少年が裏表紙を見てみると、そこには出版社などの名前はなく、  
ただ小さく『監修:タマムシ大学ポケモン生殖研究学教室 シダカナ教授』と記してあった。  
 
パラパラとページをめくってみると、どうやらその本は、写真などがメインの、  
いわば大衆誌のような作りになっているようだ。  
当初この真面目な少年が期待したような、エモンガの詳しい生態であるとか、  
好むポケモンフーズであるとか、そういった情報は載っていそうにはない。  
ただ、そこに乗っている数多くのエモンガの写真は色鮮やかだ。  
モデルのエモンガ…なんてものがいるのかどうかは分からないが、  
プロの写真家により撮影されたのだろうその写真は、  
ミュージカルで着飾っていたり、はたまた優雅に木を飛び回っている一瞬を見事に捉えたものであったりして、  
とても…可愛らしいものばかりだった。  
 
少しばかり落胆を感じながらページをめくっていくと、途中から、  
さあ、ここからが本番ですよとばかりに、内容が更に色鮮やかになってきた。  
目に付くタイトル文字も綺羅びやかなものになり、「読者投稿コーナー!」とでかでかと書かれていた。  
どうやら文字通り、読者から投稿された愛ポケの写真を掲載しているようだ。  
いろんなポケモンたちの写真がコメントつきで乗っているのだが、  
雑誌1冊がエモンガ特集だけあって、エモンガの写真が数多く採用されている。  
 
木からぶら下がって木の実を食べるエモンガ。  
電気を帯びた飛膜で滑降するエモンガ。  
どう撮影したのか、きれいにウインクをしているエモンガ…。  
どの写真にも、その下にエモンガ愛に溢れまくった、  
やや引いた心で見ると、おやバカ丸出しのコメントが並んでいる。  
純粋にポケモン好きな心で眺めれば微笑ましい写真なのだろうが、  
今の少年にとっては、嫉妬心を少なからずかき立てられるものだった。  
 
いいなぁ…。ボクのエモンガも、こんなになればいいのに。  
可愛さだけなら、負けてないと思う。毛艶だっていいし。  
でも…こんな愛らしい表情、見たことない…。  
 
そんなことを思いながらページをめくっていく。  
すると、投稿写真の最後の方には、  
「うちのトビマルきゅんは生クリームがお好きなようです(はぁと)」というコメントつきで、  
ケーキを前に口元に生クリームをはりつかせ、  
なぜか頬を染めて上目遣いでこちらを見ている写真とか、  
「柔軟体操チュウのエモちゃん(はぁと)」と付記された、  
体を反らせた微妙な角度からの写真なども投稿されていた。  
 
まだ10才の少年であるユウトには、細かい性知識などあるはずもなく、  
そういった写真を見て性的興奮や、逆に嫌悪感を抱くといったことはなかったものの、  
彼自身思ってもみなかったほどの好奇心が、小さな胸の中に沸き立っているのを感じた。  
そういうイケナイことに対する男の子のアンテナは、いつだってどんなテレビ局のそれより鋭敏だ。  
すでにこの雑誌が、『ポケモンファン』や『トレーナーズガイド』のようなまともなものではなく、  
いわゆる「いかがわしい」ものであるという空気を、年頃の男の子は敏感に感じ取っていた。  
 
と、次のページから袋とじになっているのにユウトは気がついた。  
袋とじ…と言っても、閉じられているわけではない。  
閉じられていれば、多くの袋とじつき雑誌でそうなるように、  
その部分で本が開きやすくなっているので、すぐ分かっただろう。  
その袋とじは、神経質なほどの丁寧さで既にきれいに切り開かれており、  
一見しただけでは分からなかったのだ。  
 
なんだろう、これ…。  
初めて出会う袋とじが男の子に与えるドキドキ感は、まるで海賊が海の孤島で宝箱を発見した時にも似た感覚であり、  
一種独特な高揚を彼の心にもたらしていた。  
しかも、普段であれば開けるのにも相当な覚悟を要するだろうその宝箱は、  
すでにその鍵が外され、中にある財宝をキラキラと輝かせながら、手招きをしているのだった。  
袋とじの表書きには、「マル秘・エモンガゲット大作戦!?」と書かれ、  
更にズラズラと、「この中に、エモンガを懐かせるマル秘テクニックが!!」とか、  
「これであなたもメロメロ使い!?」といった煽りや、  
「あんなに懐いてなかったエモンガが、今ではこんなにラブラブです!(S.H)」といった、  
まるで深夜テレビの通販番組のような、妙な体験者の声までくどいほどに印刷されていた。  
 
ごくり…  
過大な煽りに、「馬鹿じゃないの」と疑う思いと、期待で膨らむ気持ちをない交ぜにしながら  
袋とじの中を見てみると、どうやらそれはエモンガのマッサージ法を解説したものであるらしかった。  
「超体感!エモンガボディマッサージ(はぁと)」の文字と、  
漫画的な(そしていやに官能的な)エモンガの絵に、矢印や丸印で、マッサージの手順が記されていた。  
 
「ボディマッサージかぁ。これならボクにもできそう!」  
その内容が意外と簡便であったことが、少年の心を後押しした。  
そして、これをすれば、宣伝に書いてるほどではないにしろ、  
エモンガが本当に懐いてくれるんじゃないだろうかという、淡い期待もあった。  
「出てきて!エモンガ!」  
バトルでもないのにボールから出され、ふかふかと弾む人間用のベッドの上に着地したエモンガは、  
ほえ?とでも言うように、不思議そうな顔をしている。  
「じっとしててね」  
しかし、ユウトが捕まえて、寝かせようと手を伸ばした瞬間、するりとそれを避けてしまった。  
フン!と顔を横に向け、膜の背中の方の毛づくろいをしている。  
 
これは思った以上に難しそうだ…と雑誌を見ると、そこからは目を疑うような言葉が並んでいた。  
「『まずは麻痺させましょう』…麻痺っ!?」  
曰く、エモンガは素早く、しかも人間に触られるのを嫌がることも多いため、  
マッサージをしようとするならば、ポケモンの技を使用して、麻痺させた方が容易であると。  
本当だろうか…。  
その内容は少年が持つ常識とはかなりかけ離れていたが、  
こんな、本になって出版されているものに、明らかな間違いは書いてないだろう。  
そう思い直して、少年はバオップをモンスターボールから出すと、  
“したでなめる”を命じた。  
もちろんエモンガも突然の攻撃にびっくりして避けようとしたが、  
ここが室内であったことが災いして(ユウトには幸運であったが)、  
飛び上がった瞬間に、2段ベッドになった上の段に派手な音を立てて頭をぶつけてしまい、  
あっさりと攻撃を受けることになってしまったのだった。  
 
ガンっ!!  
「きゅうっ!きゅぅぅ〜うん…」  
ふらふらと力なく落下してきたエモンガの背筋をバオップがひと舐めすると、  
エモンガはびくんっと体を震わせて、力が抜けてしまった。  
「ダメージ与えちゃダメだよ。ダメージを与えないように手加減して、ぺろぺろってずっと舐めててね」  
本にある通りに指示されるユウトの声に従い、  
バオップは仰向けになったエモンガの首筋や、ほっぺ、耳の付け根あたりをすりすりと舌で刺激し始めた。  
タイプ的に弱いフタチマルほどではないにしろ、  
バオップもエモンガの我儘のせいで少しばかり被害を被っている。  
自分の思うがままにエモンガを麻痺させているバオップの目には、ざまみろというような意地悪な喜びが浮かんでいた。  
 
「えっと、ここを…こう…」  
ぺろっ、ぺろっ  
「はっ、きゅぅっ、もぉんっ、えもぉっ…!」  
本に書いてある通りにエモンガの脇の下からおヘソのあたりを撫で上げる少年の手と、  
明らかに、麻痺させるためという目的を超えたバオップの舌先の動き。  
その両方を無抵抗な体に浴び続け、最初は怒りを瞳に浮かべていたエモンガも、  
次第に顔を上気させ、目をうるうると揺るがせ始めた。  
 
イヤがってる…のかな?  
普段聞いたこともない嬌声をあげるエモンガの姿につと不安を覚える少年だったが、  
まるでそれを見透かしたかのように、雑誌には「目が潤み始めたら、効果が出ているしるしです」なんて書かれており、  
安心したユウトはどんどんマッサージを進めていった。  
手足の付け根を撫で上げるように、お腹を回すようにゆっくりとほぐしてやると、  
なんだかエモンガの体温が更に上昇してきて、ぽかぽかと湯たんぽのような温かさになってくる。  
相変わらず執拗なまでに顔を舐め回すバオップに、はぁはぁと熱にうなされるような調子の吐息が吹きかかっていた。  
 
「『体が温まってきたら、次は複乳のマッサージです』か。複乳って…これかぁ」  
♀のエモンガに非常に効果的なマッサージとして、  
お腹にぽつぽつと2列に並んでいる複乳を、指の腹を使ってそっと8の字を描くように揉みほぐすのが効果的です…とある。  
試しにちょんっと指先で触ってみると、それだけでエモンガの全身がびくんっと反応した。  
どうやら、効果大のようだ。  
しかし、人間と違って複乳の数は多く、手が足りない。  
どうしよう…と思って本を見ると、まさに至れり尽くせりといった様子で、手が足りないときは…と続いていた。  
「手が足りないときには、ポケモンに手伝ってもらうと簡単です…か」  
丁寧な解説に感動しつつ、ぱらっと次のページをめくると、「マッサージの例」と題して  
草ポケモンが多くのツルでエモンガの体を弄る挿絵…なんてのがマンガ的な絵で載っており、  
そのあまりの背徳的な構図が、意味は分からずとも少年の心をどきっとさせた。  
 
ポケモンに協力してもらうと言っても、少年の残りのポケモンはフタチマルしかいない。  
バオップは少年の指示に従って、本に書かれている通りにエモンガの耳の付け根から先端までを、つうーっと舌でなぞっている。  
フタチマルにも協力してもらおう。  
そう決心した彼の手が、残り1つのモンスターボールへと伸びた。  
 
つい先程、エモンガとのケンカで負った傷を癒してもらったばかりのフタチマルは、  
ボールから出された瞬間はまだ少し不機嫌そうであったが、  
目の前で展開されている異様な光景――自分の主人である少年が、エモンガを麻痺させ、  
明らかに性的な興奮を覚えさせている――を見て、その表情が引きつる。  
エモンガが仲間になる前の、元々の真面目な性格を強く表に出したフタチマルであったなら、  
その行いに嫌悪感を抱いていたかもしれない。  
しかし今の彼の中には、その真面目さを押し潰して余りある、  
エモンガへの怒りや嫉妬、ライバル心といった負の感情が渦巻いていたのだ。  
 
そんな中、必死で状況を理解しようとするその耳に響いた、  
「フタチマル。エモンガと仲良くなりたいから、ちょっと手伝ってね」という少年の言葉に、  
フタチマルはにぃっと少し悪そうに見える笑みを浮かべながら、嬉しそうに頷いた。  
この性悪娘を少しばかり懲らしめてやるんですね。分かりましたよ――とでも言うように。  
 
エモンガの弱点は飛膜とお腹の間のうっすらとした皮膚と、大きな耳と書いてある。  
それでなくても、耳を丹念にバオップの舌で舐めほぐされ、  
少年の、慣れないが繊細な指で複乳を刺激され、  
麻痺させられた体には十分すぎるほどの愛撫を加えられていたのだ。  
エモンガの小さな股下に入り込む形になって、フタチマルの指先がお腹と膜の間を刺激し始めると、  
エモンガはもう息も絶え絶えといった感じで喘ぎ始めた。  
 
「くっ、きゅぅぅぅ〜ん!えもっ…、きゅぅっ!んっ!」  
頬がきれいにピンク色に染め上がり、目は潤みを通り越して霞がかったようになって宙を見つめている。  
「どう?エモンガ。気持ちいい?」  
無邪気に尋ねる自分の主人である少年に向かって、  
エモンガはかつてなかったほど正直に、きゅぅんと頷いた。  
「でも、あんまりおっきな声出さないでね。ここポケモンセンターだし」  
初めてと言っていいほど素直な姿を見せるエモンガに喜びながら、  
少しだけすまなさそうに言う少年の意図を汲みとって…かどうかは知らないが、  
その瞬間バオップがエモンガの唇を塞ぎ、そのまま内部に口撫を加え始めた。  
「んっ、くむっ、くちゅっ…」  
エモンガの口腔粘膜と舌の根元から先端に到るまで、  
内部から“したでなめる”の痺れが突き抜けていく。  
その瞬間、くたりとエモンガの最後の抵抗の力が折れた。  
 
バオップの動きに呼応するように、フタチマルもおもむろにその口をエモンガの会陰部へと近づけていく。  
ぺちょっ…ちゅくっ…  
やや頭よりの位置にいた少年には見えていなかったが、すでにそこからは、透明な粘液が流れ出はじめていたのだ。  
水系ポケモンのねっとりと柔らかい舌先がそこに触れた瞬間、  
辺りには淫猥な水音が響き始めた。  
 
「え?バオップ?フタチマル…?」  
当惑する少年の前で、2体は完全に暴走を始めていた。  
 
エモンガの両足がぐいっとフタチマルの逞しい両腕で捕まれ、左右に吊り上げられる。  
強制的に腰を浮かされ、ぱっくりと露に割れた粘膜のスリットへとフタチマルの舌先が滑り込んでいく。  
ぺちょぺちょという水音が、次第にぐちゅぐちゅとより淫猥な攪拌音へと変化する。  
その間、数分間いや、もっとだろうか。  
びくん、びくんと体を強く反応させ、まるで電撃に打たれたように痙攣するエモンガの口元は、  
ぴったりとバオップによって封じ込められており、悲鳴はくぐもった声としてしか漏れてこない。  
行為に酔い、完全にヒートアップしてしまった2体は、もう止まりようがなかった。  
 
ぺちょっ…ぺちょっ…ぐちゅぅ…  
体温の高まった3体の熱気と、荒々しい息遣いと、粘液音が交錯する。  
エモンガの股間を執拗に舌で舐め、擦り、刺激するフタチマル。  
口を塞がれたままにビクンビクンと反応している、エモンガの柔らかく白いお腹を見据えながら、  
楽しみにしていたおやつをやっと食べた子供のように、目をきゅっと細め、実に楽しそうに愛撫を続けている。  
エモンガの小さな鼻から漏れ出る、くんくんという吐息が、  
次第に涙混じりに濡れたような音に変化していき、  
その音は、十分な性的知識を持ち合わせていない少年にも  
なんとなくだが、エモンガが「堕ちてしまった」ことを感じさせた。  
 
「バオップ…、フタチマル…」  
こんなの、本に書いてない。  
マッサージをすることも忘れ、本を半開きに手にぶら下げたまま、  
ユウトは呆然とその光景を見つめていた。  
あまりに衝撃的な展開に、暴走する2体をモンスターボールに戻すということを思いつきもせずに。  
 
最初はただマッサージしていたはずなのに、どうしてこんなことになってるんだろう。  
これは、何なんだろう?  
バオップはずっとエモンガにキスしているし、  
フタチマルはエモンガの、男の子ならオチンチンがあるところを舐め続けている。  
ユウトは性的知識に乏しく、その意味は完全には分からなかったが、  
その行為の背徳感は十分なほどに感じていたし、そのせいもあって動けずにいるのだった。  
 
「……っはぁ…、えも、もぉん…」  
やっと口を開放してもらったエモンガから、深い吐息が漏れる。  
口腔内から唾液を曳きながら離れていくバオップの舌が、  
今度はエモンガの頬を少しだけ伝っていた涙を舐めとった。  
エモンガの視線が、バオップを、そしてフタチマルを通り、最後に自分のトレーナーへと流れる。  
「えも…、もぉん。……っ!きゅぅっ!きゅぅぅ〜うん!」  
持続的に襲いかかっていた“したでなめる”が中断され、少しだけ動けるようになったエモンガは、  
もはや暴れることもなく、ただ興奮に酔ったような表情で少年を見つめていたが、  
その潤んだ瞳に反応して少年が言葉を発するよりも早く、  
更に苛烈になったフタチマルの舌先の動きに翻弄され、  
濁流に飲み込まれるように、再び沸き起こされる快楽に溺れていった。  
 
エモンガが完全に快感の虜になってしまっているのは、フタチマルから見ても明らかだった。  
レベル60だというのに、こういう経験はほとんど無いようだ。  
フタチマル自身も、たった1ヶ月前にトレーナーと一緒に旅だったばかりで、  
しかも他のポケモンを捕まえることがほとんどなかった新米トレーナーのせいで、  
もちろん性的な行為をするのは初めてであり、  
その愛撫もただただ動物的本能に任せた荒いものではあったが、  
まだ何も穢れがなさそうに見えるエモンガの会陰部の粘膜は、素直にそれを受け入れて喘いでいる。  
小さな肉球のあるフタチマルの指で、遠慮無くそこを左右にめくり上げられ、  
まるでオムツを替えられる赤ちゃんのような体勢で、ピンク色の肉襞と、真ん中の膣口を晒している。  
よくよく目を凝らすと、その上の小さな尿道口までもが外気の刺激で震えているのが分かった。  
膣口の内部から滴る香りの濃い粘液で包まれた舌先で、少しだけ凹んだそこをつんと突き刺してやると、  
そんなところでも感じるのか、きゅん!とエモンガが鋭く一声啼いた。  
膣口の中心に舌先をあてがい、顔ごと潜り込むようにして内部の粘膜を犯していくフタチマル。  
その小さな鼻先がちょうとエモンガの会陰の上端にある肉のツボミに押し当てられる形になり、  
顔が小刻みに動くたびに、そのツボミを覆う薄い皮が引っ張られ、擦れ、めくられていく。  
ついには敏感な内部の粘膜が露にされた先端部に、温かな吐息を浴びせかけられだすと、  
エモンガはもう限界というように、きゅぅっと体を弓なりに反らせ、ヒクヒクと白いお腹を痙攣させはじめた。  
 
絶頂に向けて止めどなく走り続けるエモンガの体を、  
まるで壊れ物を扱うように、優しくバオップの手が通り抜けていく。  
バオップも初めての行為に少しばかり当惑していたが、  
フタチマルとは逆に、メスの扱いに慣れてないことが柔らかな手つきとして反映されており、  
遠慮がちにエモンガの飛膜の付け根を撫で下ろし、  
興奮で完全に勃ちあがっている複乳の1つ1つを、毛並みに逆らってそっと摘み上げていく丁寧な指の動きが、  
エモンガの体と心をほぐしていた。  
 
性格の異なる2体のオスの愛撫を同時に受けることになったエモンガは、  
明らかに犯されているという状況にも関わらず、それほど嫌悪感を抱いていないことに、自分自身びっくりしていた。  
未熟なコドモのトレーナーに突然麻痺させられ、体をいいように触られはじめた時には  
怒りのあまり頭の中で電撃が弾けたような感覚に襲われたものだが、  
その後の、どうやら少年が読んでいる本に書かれているらしいマッサージは、  
あまりにも的確にエモンガの弱点を押さえており、あっという間に体から力が抜けていった。  
バオップの技でずっと麻痺させられているというのはあったが、  
そうでなくとも、既に最初のマッサージの時点で怒りの感情も、抵抗する気力も、あっさり霧散していたのだった。  
そしてそこからの、フタチマルとバオップによって沸き起こされる、性的な快感も初めての体験だった。  
前のトレーナーの所にいた時に、「優秀なタマゴを作るため」などと言われ、  
数回ほど痛みに耐えて行為を行ったことがあったが、  
オスは無理矢理ペニスを突っ込んできて数秒で果ててしまっただけで、快感など感じる余地もなかった。  
結局タマゴもできることはなく、トレーナーに対する不信を募らせるだけの結果になってしまったのだ。  
オスなんて勝手なもので、交尾なんてもうまっぴらだと思っていた。  
だから、マッサージで緩んだ体に浴びせられた、2体のオスの執拗な舌技によって  
体の芯が疼き、燃え上がるように反応し始めたとき、エモンガは一種感動にも似た悦びを覚えていたのだ。  
なんて気持いいんだろう。なんという快感なんだろう。  
ふわふわと雲に乗って浮いているようで、それでいて突き刺されるほどに刺激的で。  
「きゅぅぅ〜ぅん、きゅうぅぅん…」  
自然と漏れでた鼻にかかった喘ぎ声はもはや、オスの挿入を催促するメスの誘惑の声と化していた。  
 
「きゅぅぅ〜ぅん、きゅうぅぅん…」  
フタチマルとバオップの愛撫で全身をひくつかせながら、  
エモンガの口から、甘く、やや切なげに伸びる喘ぎ啼きが漏れる。  
その声を聞いて頃合いを見計らったかのように、エモンガの体を舐め上げていたフタチマルはぐっと頭をもたげた。  
ベトベトに愛液がついた口の周りを、ぺろりと肉厚な舌が舐めとる。  
そのままゆっくりと立ち上がっていくと、軽く膝立ちのような姿勢になったまま、  
両手で袴のようになっている自身の股間をぐいっと持ち上げた。  
そこから現れたのは、まさに隆々と…という表現がふさわしいほどに、  
真っ直ぐきれいに直立した、ピンク色の肉柱だった。  
半ば以上が立派に剥き上がり、その下にはだらんと2つの大きな膨らみが見て取れる。  
ヒクン、ヒクンと律動するたびに、先端から透明な粘液がタラッと流れ、刀身を伝っていた。  
 
「フタチマル、それ、どうしたの…?」  
わざと見せつけるようにその肉茎の根本付近をエモンガの下腹部に押し当てるフタチマルを見ながら、  
少年は呆然と呟いた。  
久々に見ることになったフタチマルのオスのしるしは、前と全然違っていたのだ。  
旅の最初に初めて博士からミジュマルを貰ったとき、性別を確かめるのに図鑑を開けば分かると知らなくて、  
無理矢理股間を広げて見てミジュマルに怒られたことがあった。  
その時は、ほんの小さなでっぱりのようなオチンチンがちょこんと毛並みから飛び出しているだけだった。  
それが今や…  
一緒に同じ時間、同じ距離のの冒険をしてきたというのに、フタチマルになるという進化を経たとはいえ、  
かつては小さく可愛かったミジュマルの肉体の成長は、ユウトを置き去りにして  
あっという間に立派な生殖能力を獲得し、それに比例するようにオスの本能を強烈に目覚めさせていたのだった。  
 
「タチッ!」  
さあ、お仕置きだとでも言うような調子で一声あげると、ゆっくりとフタチマルの体が沈み込む。  
同時に、ぬちゅっ…という淫靡な音を立てながら、フタチマルの大きな生殖器が侵入を開始した。  
十分すぎるほどに濡れ、舌先で刺激され続けて柔らかくほぐされ、充血したエモンガの膣壁が  
全く抵抗することもなくその太い肉茎を包みこんでいく。  
ぬちゅっ…ずちゅうっ…みちぃっ!  
「もっ!えもぉ〜…んっ!」  
先端部がきれいに尖り、根元に達するほどに太く、逞しさを増していくフタチマルのオスのしるしは、  
体格の小さなエモンガの膣内を、容赦なくぐいぐいと突き上げ、押し広げ、犯し尽くしていく。  
半ば以上が埋まりこんだ時、さすがにきつそうにエモンガが喘ぎ、  
許しを乞うているのか、快感に耐え切れないのか、  
潤んだ瞳でつ…とフタチマルを見上げる。  
しかしその瞬間、フタチマルはにぃ〜っと最上級の満足感を得た笑みを浮かべながら、  
許すわけ無いだろうとばかりに、己自身の全てをずんっと押し込み、貫いた。  
「〜〜っ!!!きゅっ!うぅっ!」  
 
フタチマルが積もりに積もったエモンガへの恨みと、初めて解放するオスの生殖欲望をないまぜにして、  
思う存分エモンガを征服しているのを横目に見ながら、  
バオップもそれを真似るかのように、興奮が最大に高まった自分の肉茎をエモンガに擦り付け始めた。  
バオップのオスのしるし、いやまだオトコのコのしるしと言ったほうがいいかもしれないそこは、  
フタチマルの隆々とそそり立つ肉茎と比べると随分と小さめだ。  
普段から皺のある分厚い皮に覆われている肉のつぼみは、ぴんと控えめに勃起してもユウトの小指ほどしかなく、  
ぴっちりと先端まで皮に包まれている。  
しかし、その機能だけはしっかりと発達しつつあるようで、  
下の袋はずんぐりとした立派な大きさに育ってきており、  
ぐりぐりとオチンチンの先端がエモンガの頬や、耳へと擦りつけられるたびに、  
そこから止めどなく分泌されている透明な液が、短い体毛に糸を引き、毛を縮れさせていた。  
「っえも…んっ!んっぐ…!」  
荒々しく前後運動を繰り返すフタチマルの肉棒の刺激に、夢中になって喘ぐその小さな口に  
ついにバオップのオチンチンがすっぽりと入り込み、塞ぎ込む。  
突然入ってきたその侵入物と、そこから染みこんでくるオスそのものの香り、ねっとりした分泌液に驚き、  
エモンガは泡を食ったように必死で舌先を動かして、それを追いだそうとするが、  
それはただバオップの局部に、快感を響かせるだけの結果に終わった。  
 
じゅぷっ、ぐちゅっ…ちゅぶっ、ちゅぶっ…  
股間と口元から、同時にリズムの違う2つの粘液音を響かせながら、2体のオスによる陵辱が続く。  
辺りにはただ、粘膜同士の擦過音と、複数の激しい息遣いだけが響いている。  
トレーナーが見てもすぐ分かるほど生意気で、意地悪な性格だったあのエモンガが、  
ただ無抵抗に犯され、口にも、下に開いた淫猥な穴にも、オスの生殖器を挿し込まれながら、  
それでもうっとりと頬を染め、メスの本能に流され、陶酔している。  
その姿を少し離れて見つめる少年トレーナーは、初めて見るオスとメスとの性的な営みに衝撃を受けつつも、  
それに興奮してしまっている自分を恥じ、顔を真っ赤に染めて股間を押さえていた。  
 
「ばおっ…んくっ!」  
先に絶頂に達したのは、バオップの方だった。  
はぁっと大きく息を飲み込むような声をあげると、腰を引いてにゅるっとエモンガの口から肉茎を引き出す。  
そして…  
やっと口を解放され、はふぅっと息をつくエモンガの目の前で、  
めいっぱい大きくなったオチンチンの皮を指でつまんで、ぐいっと根元へ向かって引き下ろすと、  
まるでカタツムリの頭が出てくるみたいに、先端からにゅうっとうすピンク色の粘膜が顔を出す。  
そのままオチンチンに手を添え、何かに耐えるようにぐっと目を閉じるバオップ。  
 
「…んっ、くぅっぅ!」  
ぶぴゅっ!どぷっ!とぷっ!  
そうなるように狙って出したのだろう。  
勢い良く鈴口の先端から飛び跳ねた白濁液が、エモンガの口元から鼻先を超え、大きな耳に到るまで、ねっとりと浴びせられた。  
顔面をオスの精液で穢されるエモンガ。  
そんな屈辱的な行いをされるのはもちろん初めてだろうに、  
エモンガはその間も続くフタチマルの肉茎の刺激を体内に受け続け、頬を染めて喘いでいる。  
口元に白濁液をこびりつかせたその姿は、  
ユウトに先程の雑誌の読者投稿コーナーの、生クリームをつけたエモンガの写真を思い出させ、  
その卑猥な意味をやっと彼の頭に理解させ、耳たぶまで真っ赤に染めさせることになった。  
 
欲望を放出し終えたバオップが、満足そうにぺたりと腰を折って座り込む。  
余裕の表情でエモンガを犯し続けていたフタチマルも、バオップが絶頂を迎え、  
エモンガが顔射の屈辱を受けているのを見て、興奮をより高めたようで、  
ぐいっとエモンガの腰の辺りを持ち上げて、  
バシッ、バシッと打ち付けるように肉茎全体を激しく埋め込む。  
エモンガはもうすでに何度か絶頂を迎えてしまっており、満足に体も動かせないようだ。  
悲鳴とも喘ぎ声ともつかない、喉のあたりをひゅうひゅうと空気が通り抜けるような啼き声をあげている。  
と、ついにフタチマルの全身がびくびくんっ!と痙攣し、  
んくぅぅっ!と一声うめき声を上げる。  
その瞬間、エモンガの薄いお腹の皮膚越しに、内部でドクドクとオスの液が注がれ、満ちていくのが見てとれた。  
 
ずぷっ、ずっぷぅぅ〜…  
ゆっくりと、役割を果たして少しばかり柔らかくなりつつあるフタチマルの肉茎が引き抜かれる。  
はぁっ、はぁっ…と荒い息をつくエモンガは、もう放心状態で、  
まだ余韻を残して開ききった膣口から、だらだらと白濁した粘液を垂れ流していた。  
これで終わりか…とユウトが思った瞬間、フタチマルは思ってもいなかった行動に出た。  
 
粘液に光る己の生殖器を隠そうともせず、ぐいっとエモンガの首根っこを掴み上げると、  
ぐったりとしたその体を引きずるようにして自分のトレーナーの方へと向かってきたのだ。  
そして、わざわざユウトの目の前にエモンガの股間が見えるように横たえ、ぐいっと脚を広げる。  
「えもぉん…」と少しだけその辱めがイヤそうに身をよじるエモンガを押さえ込みながら、  
「タッチィ〜、タチュッ!」  
と促してきた。  
まるで、「お前もこいつには散々悩まされてたんだろ?犯っちまえよ」とでも言うように…。  
 
エモンガのだらしなく開き、白濁液の流れるそこを見つめるユウト。  
そんなことをするのは間違っているのは分かりきっていた。  
性的知識に乏しい少年にも、ポケモンと…今フタチマルとバオップ、エモンガがしていたことを、  
自分がするのはおかしいなんてことは、人間がポケモンフーズを食べないのと同じくらい当たり前のことだ。  
でも…  
そんな薄っぺらい常識で、今の自分の興奮と、どうしようもなく高まった性的好奇心を覆い隠すことなど…できそうもなかった。  
さっきからずっと、股間が大きく、硬くなって主張しているのを感じる。  
ズキズキと急かしてくる。  
エモンガの中に、フタチマルがしていたみたいに、入れて欲しいと…。  
「タチッ!」  
再び催促するフタチマル。  
夢遊病におさかれたようにズボンを、パンツを脱いだユウトの股間からは、  
まだ小さな、先端の半分ほどが皮に覆われた幼茎が、横を向いてぴこんと勃ちあがっていた。  
「なにするの、フタチマル…うぁっ!」  
まだコドモの自分の主人も十分に興奮していることを確認し、満足したフタチマルが  
そうっとそこに鼻先を近づけ、くんくんと匂いを嗅いで、  
頑張れよとでも言うように、ちゅぶっと軽くそのツボミをくわえ込む。  
初めて味わう粘膜の感触が、少年の背筋に痺れるような衝撃をもたらした。  
潤滑油替わりにねっとりと唾液を絡められ、先端が一段と剥き上げられると、  
ユウトはもう、そこを早くエモンガに埋めたくて仕方が無くなってしまった。  
 
「じゃあ、入れるね。エモンガ」  
少年がそう言って幼茎を近づけていっても、エモンガは嫌がる素振りも見せない。  
入れるべき場所は分かりきっている。  
まだそこからは、ついさっき撃ち込まれたばかりの性塊がどろりと流れだしているのだから。  
嬉しそうに見つめるフタチマルの目の前で、先端がゆっくりと内部への侵入を開始した。  
じゅぷっ、にゅるぅぅっ…  
「えもぉぉん…んんっ!んっ!」  
十分すぎるほど多量の精液という潤滑油に包まれ、ユウトのオチンチンがあっさりと包まれていく。  
小動物特有の、人間よりずっと高い深部体温が、火傷しそうなほどに局部を温める。  
ゆっくりと動くと、下腹部全体に当たるエモンガのお腹の毛皮の心地良い感触と、  
まだ未熟な性器がら有り余るほど伝わってくる快感がお互いを高めあい、絶妙なコンビネーションを奏でた。  
「うっわぁ…、すごい、すごいよぉ、エモンガ。気持いいね」  
初めて味わう性交の感触に、あっという間に昇りつめてしまいそうになりながら、  
少年は夢中になって自身の固く反り返った幼茎を突き入れていた。  
 
そんな主人の姿を嬉しそうに眺めながら、フタチマルが再び硬度を取り戻しつつある肉茎を、  
ぐいっと強引に横を向けたエモンガの口に挿し入れ、  
自身の粘液と、フタチマルの白濁液が絡んでベトベトになったそれを舐めとらせる。  
一生懸命に口を広げ、んっく、んっくと喉で声を出しながら、  
肉柱の半分ほどをくわえ込んでいるエモンガの頬が、異物でぐいっと内側から膨らまされていた。  
 
エモンガの内部は、つい先程までフタチマルの大きなオスの突起で刺激され尽くしており、  
すでに何度か絶頂を迎えていたため、粘膜はねっとりと充血し、  
ユウトの小さな性器を絡めとるようにしてまとわりついてくる。  
敏感になったそこは、幼い少年の拙い動きにも激しく快感を呼び起こされ、  
抽送が繰り返されるたびに、エモンガはこらえきれない様子で身をよじる。  
「気持ちいいの、エモンガ?」  
「んっく…」  
確認するように尋ねる自分のトレーナーに、エモンガは口に別なオスの性器をくわえ込んだまま、  
そして更に別なオスの精液を目元から頬にかけてはりつかせたままに、こくんと素直に頷いた。  
 
男の征服欲を掻き立て、充足させるそのエモンガの姿は、ユウトの精神に重大な影響を及ぼし始めていた。  
この自分のオチンチンで、エモンガが気持ちいいと言っている。  
ボクのこれを挿し入れることで、気持よくしてあげられるんだ。  
エモンガはこうしてもらえることを欲しているんだ…!  
「これが欲しいの?もっと?」  
「うくっ!んっく!!」  
ずちゅっ、ずちゅっと音を立てて出入りさせながら聞くと、  
かつてないほどに素直に、性器の入った口元を上下させながら頷くエモンガ。  
これが、ポケモンに言う事を聞かせるということなんだ。  
今、こんなにもエモンガと仲良くなることができてる…。  
ねじ曲がった感覚と、初めての性感の高まりの中、少年は絶頂へと向かおうとしていた。  
 
「あっ、うわぁ、んっ!んっ!出ちゃう…、なんか…気持よすぎて…!ダメ…!」  
「んきゅぅっ!きゅぅうっ!」  
自分で性器を慰めることすらしたことのない少年が、初めてのメスへの挿入で長く耐えていられるわけもなく、  
あまりの快感に、夢中になって腰を動かしているうちに、ゾクゾクっと背筋を堪えようのない開放感が走る。  
あっけなくその瞬間は訪れ、快感が最大限に弾けたその時、  
エモンガの中で大きくなって数回跳ねたその幼茎は、エモンガにも何度目かの絶頂をもたらしていた…。  
 
 
◇◇◇  
 
 
「あ、あのね、ユウト君。私謝らなくちゃいけないことがあるんだけど、  
昨日あげたあの…本なんだけど、申し訳ないけど返してほしいの。  
実はあれ、15禁って私知らなくて…いえ、理由はいいから、とにかく…」  
次の日の朝、珍しく泡を食ったような表情でそう謝るジョーイさんに、  
少年トレーナーは昨日とは打って変わって、自信に溢れた表情で微笑んだ。  
「いえ、ありがとうございました!ボク、やっと分かりました。  
ポケモンと仲良くなるってことがどういうことか」  
その言葉とともにボールから出てきたエモンガは、ひとしきり嬉しそうに宙を滑空した後、  
少年の肩にすっと舞い降りると、  
「えもっ、もぉ〜ん!」  
しっぽをぱたぱたと振りながら、すりすりと頬を寄せる。  
「あはっ、くすぐったいよぉ、エモンガ」  
 
「……あ、はは…そ、それはよかったわ。すごく懐いてるみたい…ね」  
その劇的な変化に、詮索してはならない裏を感じ取り、  
一筋の冷や汗を流しながら顔をひきつらせるジョーイさん。  
丁寧におじぎしてもう一度お礼を言うと、少年は旅立っていく。  
ポケモントレーナーを目指して。  
これからは、様々なポケモンをゲットし、仲良くなっていこうと心に決めながら。  
 
 
 
終  
 
 
 

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