「ゴウカザル・・・幸せな家庭をつくりましょうね!」  
正直言って、ゴウカザルには今自分が置かれている状況が全く理解できなかった。  
目の前には鼻息を荒くさせた主人の姿。  
そして彼女にソファに押し倒されている自分。(しかもここは彼女の家のリビングだ)  
ちょっと待ってくれと、押しとどめようとしても、  
その華奢な腕のどこから力がわいてくるのか、ビクともしない。  
ゴウカザルが全くもって意味をなしていない抵抗をしていると、彼女が潤んだ瞳で接近してきた。  
「ねえ、ゴウカザルは私のことキライなの?」  
ゴウカザルは彼女の言葉を否定するように首を振った。  
いや、そんなことはない。オレはお前を十分、その・・・好いている!言えないが!  
するとヒカリは、これでもかというくらい、満面の笑みを浮かべた。  
ああ、確かチャンピオンに勝ったときもこんな顔だったような。  
そんなことを思い出していると、  
「じゃあ、いいよね」  
何がいいのか、と考える間もなく、ゴウカザルの頭はガッチリとヒカリに拘束された。  
「ふつつかものですが、よろしくお願いします・・・!」  
だからこれはどういう状況なんだ!!  
ゴウカザルは叫びたい思いだった。  
 
* * *  
 
話はそれなりにさかのぼる。  
ポケモンリーグの頂点に立つようになってからも、ゴウカザルたちにはしばらく忙しい日々が続いた。  
対戦を申し込んでくるトレーナーとのバトル。バトルフロンティアの攻略。まだ見ぬポケモンのゲット。  
旅に終わりはないとは言ったものだが、よくまあこれだけ新しい世界が飛び込んでくるものだ。  
ゴウカザルはそんなことを思っていたが、退屈はなくて、むしろいいとすら思っていた。  
しかし時には休息というのも必要で、ヒカリの母親の勧めもあって、一行は一度故郷に戻ることにした。  
仲間たちは調整の意味合いも含め、ナナカマドの元に預けられた。  
いつも主人をその背に乗せているムクホークは、せめてマサゴタウンまで送ることを主張したが、  
「ゆっくり景色でも見て帰ろうと思うから」というヒカリの考えで、  
ゴウカザルだけが手持ちに残ることになった。  
そういえば、二人っきりで旅をするのも、随分久しぶりのことのように思える。  
今でこそゴウカザルも強くなり、頼もしい仲間たちもいるが、昔は草むらに入るだけでも大騒ぎだった。  
それが今では、平然と突き進んでいくのであるのだから、成長を感じざるを得ない。  
家に帰ってからゴウカザルとヒカリは、二人で釣りに行ったり、  
化石を掘ったり、木の実を育てたりと、非常にのんびりとした生活を送った。  
いつだって主人はにこにこと笑っていたし、それまでは、別段これと言っておかしなところはなかった。  
しかし、ここ最近の彼女は、何か様子が変わった気がする。  
変だと思ったのは、仲間たちの様子を見に、ナナカマド研究所に行ってからだったろうか。  
あの日を境に、ヒカリは物思いにふけるようになった。  
ぼんやり空を見ていたかと思えば、熱心にパソコンの前にへばりついたり、  
図書館にこもったり、そしてまたぼんやりしたり。  
彼女の母親は「勉強熱心でいいじゃない」と言うので、ゴウカザルも特に気にしないことにした。  
ゴウカザルはといえば、どうしようもなかったので、  
母親の買い物の手伝いをするなどして時間を過ごした。  
そして、今日は母親が出かけると言うので、二人して留守番を頼まれたのだが・・・。  
 
「安心して。ママは夜にならないと戻ってこないから」  
アリアドスの糸に捕らえられたアゲハントも、こんな気分なのだろうか・・・。  
今はようやく昼を過ぎた頃。助けはないと言っていいだろう。  
一緒に映画を見よう、とおもむろにカーテンを閉め出した時点で気づくべきだったのか。  
逃げる術もなく、もはやゴウカザルには目線を動かす自由しか残されていなかった。  
右を見れば、結局ろくに見ていない映画が流れたままのテレビ。  
左を見れば、まだヒコザルだった頃の自分と、そんな自分を抱く彼女の写真。  
旅立つ時、ヒカリの母親が撮ってくれたものだ。まだまだ二人とも、距離に少しぎこちなさがある。  
そして下を見れば、前かがみになった彼女の胸元。  
つい視界に入ってしまったのだから仕方がない。  
それにしても、相変わらず平らな胸だな。見えそうで見えな・・・。  
「どこ見てんの?」  
バチリと彼女と目が合ってしまい、ゴウカザルは慌てて視線を逸らす。  
ふっふっふという笑い声が漏れ、細い指先が彼の顎をつぅっと撫でた。  
「ふぅ〜ん。ゴウカザルって、ポケモンなのにニンゲンの女の子の胸が気になっちゃうんだ」  
改めて指摘されて、ゴウカザルは何だかいたたまれなくて仕方なかった。  
「いいよ。見ても」  
・・・は?  
突然何を言い出すのかと、ポカンと彼女を見ると、  
ヒカリは至ってまじめな顔でゴウカザルを見つめていた。  
「ゴウカザルだったら、私の胸、見せてあげる」  
こ、これはタナボタというやつなのか!?  
いやいやそうじゃないだろ、しっかりしろオレ。  
ゴウカザルが欲望という強敵(と書いて”とも”とは読まない)と戦っていると、  
でもね、と彼女が付け加えた。  
「ゴウカザルからキスしてくれなきゃイヤよ?」  
そう言って、ヒカリは目を閉じ、ギリギリのところまで顔を近づけてきた。  
少女らしい、血の通った健康的な唇が、ほんの少し顔を動かすだけで届いてしまう。  
本音を言えば、たまらなく魅力的なのだが、果たして自分は本能に従っていいのだろうか。  
ああでもない、こうでもないと、考えを巡らせていると、  
痺れを切らしたのか、ムクリと彼女が身を起こした。  
「何だ、まだぜんぜんその気じゃないのね。それじゃあ、その気にさせちゃうんだから!」  
言うやいなや、これっぽっちの遠慮もなく、ヒカリの右手がゴウカザルの股間に伸びてきた。  
いや、だから、ええ!?  
ゴウカザルの動揺は止まらない。  
「私知ってるのよ。ゴウカザルのおちんちんが、おっきくなったりすること」  
体毛に隠された問題のブツを探り当てると、ヒカリは獲物をしとめた時のような目をした。  
ズルリと彼の生殖器を取り出し、さわさわといじり始める。  
慣れない手つきではあるのに、神経が全て持っていかれているからだろうか、  
ゴウカザルは、股間に熱が集中するのを止めることはできそうもなかった。  
確かにゴウカザルに進化してからというものの、生物としての成熟期を迎えているからか、  
ふとしたことで(まあ原因の大半は主人の短いスカートなのだが)、  
己のモノが高ぶり、自身で慰めることもあった。  
バレないように処理していたつもりではあったが、まさか一番見られたくない相手に見られていたとは・・・。  
 
「私、初めて見たときすっごくビックリしたけど、博士が言ってたの」  
―子孫を残すために必要なことだから、ちっとも恥ずかしいことなんかじゃあないって。  
あのじいさんはこどもに何を教えているんだ。  
いや、でもこどもとは言え、彼女とて立派なポケモントレーナー。  
ポケモンというひとつの命を預かる以上、こういった知識も大事なのだろう。  
なるほど、何だかんだであのじいさんも研究者といったところなのか。  
ゴウカザルがひとしきり感心していると、きゅぅっとペニスが掴まれた。思わず息を漏らす。  
「で、こうすると気持ちよかったりするんだよね?」  
そう言うと、ヒカリはゴウカザルの茎を、手のひら全体で包み込むようにして、上から下へとさすり上げてきた。  
まさかこんなことまで教えられたのかと思ったら、どうやらそうでもないらしい。  
たまにしごいてやるといい、と言われただけで、  
その意味がわからなかった彼女は、自分で調べたんだとか。  
なるほど、最近やけに研究熱心だったのは、こんなことを調べていたからか・・・って、ママさんが泣くぞ!  
ゴウカザルは頭を抱えたい気分だった。  
こんなところを人が見たらどう思うのだろう。少なくとも、ほほえましい光景ではないはずだ。  
そういえば今まで忘れていたが、あのやかましい幼なじみの家も近くではなかったか。ていうか隣だ。  
アイツがやってきたらもう最悪だ。  
しかしゴウカザルの不安とは裏腹に、ヒカリの猛攻は止まらない。  
「すっごいね。どんどんおっきくなってくよ」  
たどたどしいながらも、ピンポイントで責めてくるのだからたまったもんじゃない。  
ゴウカザルのペニスはすでに努張しきっており、いつ精を解き放ってもおかしくはなかった。  
彼の赤黒いペニスが、彼女の白い手の中でうごめき、膨らんだ血管が、小さな手のひらと擦れ合う。  
「ね、いいかげんキスしてくれる?」  
甘い吐息と共に、ヒカリがゴウカザルの顔をのぞき込んできた。  
長い黒髪がサラリと肩から流れ落ち、服の隙間からは、結局彼女の白い胸が見えてしまった。  
もう何もかもが限界だったが、それでもゴウカザルは、なけなしの理性を手放すまいと必死だった。  
しかし、彼の健気な抵抗にはお構いなしに、小さな手の動きはこれでもかというくらい激しくなる。  
ああ、もうダメだ―!  
どんっ!!!  
最後の理性がはじけ飛びそうになった時、ゴウカザルは勢い余って主人を突き飛ばしてしまった。  
「きゃぁっ!」  
ずてん、とヒカリがソファから転がり落ちる。  
ゴウカザルは慌てて彼女を抱き起こした。  
「ごめん・・・ありがとう」  
もう彼女には先程までのせっぱ詰まった感じはなく、代わりにまた塞ぎがちだった時の表情に戻った。  
落ち込んだようにうなだれたまま、顔を上げようとしない。  
感情がそのまま出やすいのが彼女の特徴だが、こんな風に気持ちが読めないのは初めてのことだった。  
重苦しい空気が流れる。  
 
「やっぱり・・・私じゃだめなのかな」  
ゴウカザルがオロオロとしていると、ヒカリはぽろり、ぽろりと、涙を落とし始めた。  
突然のことでゴウカザルはぎょっとしてしまい、思わず彼女の肩を掴んだ。  
するとヒカリはゴウカザルに抱きつき、駄々をこねるようにわんわんと泣き出した。  
「でも、いやなの!わたし、いやなの・・・!」  
こうなってしまった彼女を落ち着かせるのはなかなか至難の技で、  
正直カビゴンの足を針の穴に通す方が楽だと言ってもいい。  
それでもゴウカザルは、彼女の背をさすってやり、何とかなだめようとした。  
しばらくの時間が経つことで、ようやく彼女の肩の震えがおさまってきた。  
ふと彼女と目が合い、何があったのかと、問いかけるような目で彼女を見つめる。  
彼の意図を察したのか、嗚咽混じりで、ヒカリはたどたどしく言葉をつむいだ。  
「だって博士がぁ・・・」  
 
 
そもそもの原因は、ヒカリたちが研究所に行った時のことだった。  
「まあ、ゴウカザルとていきものだ。そういう現象もある」  
「はあ、そうなんですか・・・」  
ゴウカザルを博士の助手に預け、ヒカリは長い間抱えていた疑問を博士にぶつけていた。  
そういった類のことをあまり知らなかったヒカリは、おしべとめしべの関係から教えられ、  
急に流れ込んだ情報に動揺を隠せ得なかった。  
「種の繁栄には大事なものだ。そこはトレーナーであるお前さんがしっかり見てやれ」  
「は・・・ハイ・・・」  
「しかしそうだなあ。ゴウカザルにもそろそろ伴侶が必要だろうなあ」  
「は、はんりょって!?」  
「平たく言えばお嫁さんのことだ。まあ、ポケモンにとっては子を作るための相手だがな。  
しかし中には人間のように、生涯を共に・・・」  
そこまで聞くと、すでに博士の言葉はヒカリの頭には入ってこなかった。  
(今までゴウカザルと一緒にいるのが当たり前だと思っていたけど、そうじゃなくなっちゃうの・・・?)  
苦楽をずっと共にしてきたパートナーだ。  
思えば、旅を始めることになったのも、彼がきっかけのようなものだった。  
そのパートナーが、他の誰かのパートナーになることを考えると、何とも複雑な気持ちになった。  
ヒカリにだって、ヒトはヒト、ポケモンはポケモンという認識はある。  
仲間のポケモンたちはもちろん大好きだし、  
必要ならば、子孫を残すためのパートナーを、喜んで探してあげようと思う。  
しかしゴウカザルだけはどうも別だった。  
強くて頼りになる、優しい相棒。  
その感情が、特別なものだと気づくのに、大した時間はかからなかった。  
研究所でそんな言葉を聞かされてからは、  
ゴウカザルのことを想うと胸が苦しくなり、悶々とする日々が続いた。  
(そっか、私はゴウカザルのことを好きなのね)  
そのことを意識し出すと、想いは止まらなくなっていた。  
 
「私いやなの・・・。ゴウカザルのパートナーは私だけがいいの・・・!」  
そう言うと、また瞳に大きな涙を浮かべ、声を上げて泣き始めた。  
ゴウカザルは相変わらず目の前の状況に対処しきれていなかったが、  
それでも事態の成り行きは何となくわかってきた。  
つまりアレか。他の誰かがオレと子づくりするくらいなら、いっそ自分が、ということか。  
何だ。なかなかかわいい話じゃないか・・・。  
って!ええ!?え!ええええええ!!!!????  
「私、ちょっとこわいけど、ゴウカザルとだったら大丈夫だよ?」  
そう言って、ためらいなく服を脱ぎ出すもんだから、たまったもんじゃない。  
ゴウカザルは、思いとどまれ、と、彼女の行為を阻んだ。  
「何で?ヒトとポケモンじゃいけない?」  
純粋がゆえに生じる疑問。  
もし自分が、まだ無邪気なヒコザルだったら、もっと単純に彼女といたいと思っているだろう。  
―しかし、オレは純粋な想いだけで彼女といるわけではなくなっている。  
彼女を見る自分の眼に、オスとしての本能がうずいていることだって気づいていた。  
もし自分がニンゲンなら。もし彼女がポケモンなら。  
そうであれば結ばれるのに、と思うこともなくはないが、  
しかし実際そうはいかない現実を、ゴウカザルは認めることにしていた。  
だが、彼女は違うようだ。今のままでも十分に結ばれるのだと思っている。  
「それに、私じゃなきゃダメよ・・・」  
泣きそうな顔のまま、ヒカリはゴウカザルの"背中の傷"に触れた。  
 
 
あれは、いつのことだったか。  
ゴウカザルがまだ小さなヒコザルで、ヒカリが駆け出しの新米トレーナーだった頃。  
彼女の故郷を出発してしばらくは、彼らは二人っきりで旅をしていた。  
意図してそうなったのではなく、ただ単にヒカリがポケモンを捕まえるのがどヘタクソだったからだ。  
いい加減仲間の一匹や二匹、増えてもいい頃だというのに、ボールを投げればいつもノーコン。  
まともに当たった試しがない。  
そうは言っても、道中特に困ることはなかったし、  
ボールを投げる腕はともかく、戦いに関してはなかなか筋がいい。  
そのうち何とかなるさ、とヒコザルもヒカリも気楽に構えていた。  
だが、それは間違いなく根拠のない自信というものだった。  
次の町に向かう途中、二人は激しい雷雨に見舞われた。  
北へ行けば、また気候も変わる。そんなことも、無知な彼らはわかっておらず、  
急な天候の変化に対応する術を持ち合わせていなかった。  
続く戦いに加えて、この雨でヒコザルの体力はすっかりと低下していた。  
当時はあまり十分に傷薬をそろえられなかったので、満足行くほどに傷を癒すことはできなかった。  
あと一回戦えるかどうか、という程度。  
―どうか野生のポケモンに出くわしませんように。  
ヒコザルとヒカリは夢中になってポケモンセンターまで走った。しかし、彼らは見てしまったのだ。  
小さな野生のコリンクが、これまた怒り狂った野生のゴルダックに襲われているのを。  
恐らく好奇心旺盛なコリンクのことだ。  
つい調子に乗って、ゴルダックの縄張りを荒らし、怒らせてしまったのだろう。  
これもひとつの自然の摂理。きっと自業自得。いや、間違いなく自己責任。  
だが、ヒコザルもヒカリも思ったことは同じようで、彼女の指示が先だったか、彼が動くのが先だったか、  
コリンクを助けようという意識だけがお互い先走っていた。  
この天候、そして相性。不利な状況は歴然としていた。  
しかし、時に理屈でないことをしでかすのが本能というものなのだ。  
ゴルダックは彼らの存在に気づくと、一瞬にして、その敵意をヒカリに仕向けた。  
コリンクを抱いた彼女に、ゴルダックが鋭い牙を向ける。  
ヒコザルは彼女たちを庇うようにして、とっさに相手の前に飛び出した。  
背中に刺すような痛みが走るが、ダラリと流れる血も、激しい雨にあっという間に流されていった。  
―そんな子どもに飼われているのか?と、ゴルダックは嘲るようにヒコザルを挑発した。  
このままではまずい。朦朧とする意識の中、すると突然バチリと光が放たれた。  
ゴルダックの注意が、そっちに注がれる。  
走る緊迫感の中で、凛とした主人の指示がヒコザルを貫いた。  
ヒコザルはすかさずその命に従う。  
これで・・・一撃だ!  
 
 
気がつけば、ヒコザルはポケモンセンターのベッドの上で寝ていた。  
グルグルと包帯を巻かれて、きっと情けない姿なのだろう。  
側では、一晩中寝ないで看病してくれていたのだろうか、瞼を腫らしたヒカリと、  
あのコリンクが彼を見守ってくれていた。  
二人が無事なら彼としてはそれで良かったが、  
以来、主人は毎晩ボールを投げる練習をするようになった。  
小さな手のひらを、つぶれた豆でいっぱいにして。  
傷はすっかりと癒えたが、傷跡はゴウカザルになった今でも残っている。  
戦いを好むゴウカザル一族にとって、背中の傷は、  
負け犬(猿?)の象徴として非常に不名誉なものであった。  
ましてや、こんな大きな傷があったのでは、求愛に応えるメスもいないだろう。  
しかし彼は野生のゴウカザルではないし、主人を守った名誉ある傷なのだから、  
それを否定されるのならゴウカザルは何も望むまいと思っていた。  
そういうわけで、彼は大して気にしていなかったが、彼女にしてみれば、そうも行かないようだった。  
 
 
「私知らなかった・・・この傷が、ゴウカザルにとってどんな意味を持つのか・・・」  
そう言って、ヒクヒクと震える肩が、やけに心細かった。  
彼女の中では処理しきれない色々な感情が巡っても、結局は自分のことを想ってくれる優しい心にたどり着く。  
ゴウカザルはたまらなく愛しくなって、細い体をぎゅうと抱きしめた。  
ああ、もし自分にニンゲンの言葉があったなら!  
「ゴウカザル・・・?」  
普段はゴウカザルから彼女に抱きつくなんてことはないせいか、ヒカリはかなり驚いた様子だった。  
ふと、彼は主人を生真面目に見つめる。  
一度求める心に火がつけば、もう取り返しはつかない。  
そんなにまでお前がオレのことを想ってくれたのだから、応えないわけにはいかないだろう?  
ゴウカザルは彼女に口づけをした。  
触れるだけの口づけだったが、ひどく心地よい満足感につつまれた。  
目の前には、先ほどの勢いはどこへ行ったのやら・・・目を白黒とさせた彼女がいた。  
ゴウカザルはもう我慢できなくなっていて、首筋に、胸元に、口づけを落としていく。  
「ひ、あっ、やぁ!ちょ、ちょっと待って!」  
顔を真っ赤にさせながら、今度はヒカリが彼を制止してきた。  
「やっぱりここじゃまずいから、ベッド行こっ!ベッド!」  
全く、考えなしで行動しようとするから・・・。  
ゴウカザルは身を起こすと、ひょいと彼女を横抱きにした。  
ゴウカザルの方が幾分か身長は低いものの、ヒカリを抱き上げる力は十分にある。  
「わ・・・おひめさまだっこだ・・・」  
そう言って、感動している姿がやけにかわいかったので、  
ゴウカザルは、たまらず額にもうひとつ口づけを落としてやった。  
 
 
自室まで行くと、ヒカリをベッドの上に座らせ、ゴウカザルはその隣に腰掛けた。  
弾力性のある赤い唇は、それだけで情欲をそそられる。  
さあ、先ほどの続きといくとするか。  
ゴウカザルはさっきまでの軽い口づけでは物足りなくなり、深く唇を重ね合わせた。  
歯と歯の隙間から舌を突っ込めば、ヒカリは苦しそうに息を漏らす。  
「ふ・・・ふぅっ・・・」  
ぐちゃぐちゃと口内をかき回し、舌を絡み取る。  
流れ込んだ唾液の混ざり合う音が、耳をかき乱し、飲み切れなかった分は口の端からこぼれていた。  
それでも一生懸命に彼女の舌が応えてくれるのがうれしくて、ゴウカザルは夢中で貪った。  
すると、きつく抱きしめた体から、徐々にその存在を主張しだしたモノに気づいた。  
少し身を離し、そこに手をあてがう。  
胸の辺りをこすると、コロコロと、突起が手のひらに転がるのを感じた。  
これだけでこんな風になったのか、とからかうように見れば、彼女は拗ねた表情を見せた。  
そうむくれるな。かわいがってやるから。  
ゴウカザルはヒカリの服に手を潜り込ませると、胸を覆っている下着をずらし、直接肌に触れた。  
まだしこりの残る乳房を揉みしだくのは、彼女には痛みを与えるようで、  
ゴウカザルはやわやわと触るにとどめておいた。  
正直人間の成熟した雌と違って、配慮が必要なほどの小さな胸だったが、  
それでも、やわらかくて健気に吸いついてくる肌といったらたまらない。  
白い胸の先端は、赤く染まっており、すっかりと固くなっていることは触らずともわかった。  
ふるふると震える乳首があまりにもかわいくて、ゴウカザルは思わず口に含んだ。  
ちゅうちゅうと吸い上げれば、彼女の弾んだ息が漏れる。  
「や、やだぁ・・・ゴウカザルってば赤ちゃんみたいよ・・・?」  
赤ん坊がこんなことをするか。  
ゴウカザルは舌先で、固くなった乳首を柔らかな乳房にグリグリと押し込む。  
「はっ・・・あっ・・・やぁっ・・・ん!」  
彼女の抵抗が隙を見せたので、しめたとばかりに、  
ゴウカザルは胸にむしゃぶりついたままヒカリを押し倒した。  
いくら彼の体が彼女よりかは小さいとはいえ、  
全力でのしかかられてしまった以上、華奢な体では身動きも取れまい。  
しかしもうヒカリには抵抗する余力などないようで、ゴウカザルの頭を、彼女の薄い胸に抱え込んできた。  
ゴウカザルの体の下で、ヒカリの脚がもじもじと擦れるのがわかった。  
膝で脚の間を割り開き、付け根を確かめれば、しっとりと濡れる感触があった。  
それまで乳首をこねくり回していた右手を下腹部へと持っていき、下着の上からその場所をなぞる。  
「い、やっ・・・何!?」  
グニュリという感触と共に、頼りない布が秘部を擦った。  
少し力を入れれば、今にも指先は沈んでいきそうだった。  
手のひら全体で愛撫すると、固くなっている芽が当たり、それが彼女の体を跳ねさせる。  
あまりに驚いた様子だったので、  
自分で慰めたことはないのか?―そう眼で問いかけると、  
彼女はとんでもないという風に首を振った。  
「だって、そこ、汚いよ・・・!?」  
どうやら雄を悦ばせることは学んだようだが、雌が悦ぶことに関しては大して知らないらしい。  
まあ、彼女らしいと言えば、彼女らしいのだが。  
それなら、ここはどんな使い方ができる場所なのか教えてやろう。  
 
ゴウカザルはヒカリの腕を優しくふりほどき、額にひとつ口づけを落とす。  
そして、少し腰を浮かせて、するすると下着をひっぱった。  
ふとももを、脚を、爪先を、なだらかに抜ける。淫らな糸を引きながら。  
白い脚の間に浮かぶ、赤く充血した肉。滑らかな割れ目に、ぬらりと愛液が光る。  
ここが自分の昂ぶりを受け入れるのだと思うと、ゴウカザルは得も言えず唾を飲んだ。  
ゴウカザルがあんまりにも凝視するものだから、恥ずかしくなったのか、ヒカリは手で隠そうとした。  
しかし彼はそんなことは許さず、大きく腿を開かせ、  
手でヒカリの腕を拘束したまま、股間に舌を近づけた。  
じゅるり、と秘部を舐めあげると、彼女はぎゅぅっと拳を握った。  
舌で先ほど敏感に反応した部分を探し出すと、ゴウカザルは皮をめくりあげ、突起を露出させた。  
守ってくれるもののなくなったそれは、舌先でつつくだけで異常なまでの反応を示す。  
ゴウカザルから出る唾液と、彼女から出る愛液を絡めあげ、ゴウカザルはその突起を舐め回した。  
淫らな潤滑油に遊ばれるように、小さな突起は、口の中で転がる。  
「やっ・・・やぁっ、なにこれぇっ・・・!」  
彼女は脚を閉じようとジタバタともがくが、ゴウカザルにのしかかられている状態では、それはかなわなかった。  
むっちりとした柔らかなふとももが、ガクガクと震えを訴える。  
ゴウカザルが腕の拘束を解くと、行き場をなくした手は、おもむろにシーツをひっかき始めた。  
掠るように、力のない動きで。  
ゴウカザルは突起を舌でなぶりながら、指を柔らかな肉壁へと挿入させた。  
にゅぷりとした感触で、締まった肉は、ゴウカザルの指を包み込む。  
こんな風に性器を弄ばれるのは、きっと自分が初めてなのだろう。  
そう思うと、優越感と罪悪感が、一気にゴウカザルを襲った。  
だが、ここまで来て止めたくはなかった。いや、もう止まらないのだ。本能が。  
「ひぁっ・・・あっ、あっ、あっ・・・!」  
一本、二本と、ゆっくりと指を増やしていき、丹念に内部を擦り上げる。  
ヒカリは腿を大きく開脚させまま、秘所をゴウカザルに近づけるように、腰を浮かせてきた。  
全ての快楽が、まるでそこに集中しているかのようで、  
それなのに、もっと欲しいと求めているようでもあった。  
自分でも触ってみろと、ゴウカザルはヒカリの手を、充血した突起へと導いた。  
始めは戸惑いがちだった細い指も、次第に愛液にまみれては、卑猥な音を奏でるようになった。  
「ひゃううぅっ・・・きもちいいよおぉ・・・!」  
ガクガクと揺れる腰の動きと共に、ゴウカザルの舌も、指も、欲望を刻む。  
ぐちゃりぐちゃりと鳴り響く水音は、理性などめちゃくちゃにしてしまうようだった。  
「はぁっ・・・はっ、やだぁっ・・・なにかでちゃうぅっ・・・!」  
一際腿が痙攣したかと思えば、ぷしゃぁっと密壷から透明な液が溢れ出た。  
彼女はおもらしをしたのかと思ったようで、羞恥で顔を真っ赤にした。  
ゴウカザルが、舐めとった液を口に含んだまま口づけをしてやると、  
ようやく何なのかを理解したが、それでも、まだ信じられないといった風だった。  
だが、ゴウカザルがそのまま彼女の歯列を舐めていると、貪るように深く舌を絡めてきた。  
 
「あ、や・・・ん!なにか、当たって・・・る・・・!」  
彼の怒張した一物が、待ちわびるようにヒカリの割れ目を擦り上げた。  
しとどに濡れた愛液が絡みつき、ますますゴウカザルの興奮を煽る。  
いいな?と、優しく頬をなでてやると、「ちょっと待って」と、彼女はゴウカザルを制止した。  
どうしたのだろう、と彼女を見ていると、ヒカリはむくりと起き上がり、彼に散々に乱された衣服を脱いだ。  
「何だかもどかしくて・・・」  
そうはにかむと、一糸纏わぬ姿で、彼女はゴウカザルに抱きついてきた。  
ふんわりとした乳臭い甘い匂いが、鼻腔をくすぐる。  
「ゴウカザルって、ふわふわしてあたたかいのね」  
知らなかった−そう彼女が言うので、ゴウカザルはぎゅうと抱きしめてやった。  
何に邪魔されることのない、肌と肌のふれあい。  
柔らかな肉が、彼の体毛に包み隠さず埋もれる。  
はっきり言ってしまえば、貧相な体だと人は言うのだろう。  
だが、ゴウカザルは今、この目の前の肉体を愛してやりたくて仕方がなかった。  
ゴウカザルはヒカリを仰向けに寝かせ、今にも精を解き放たんとするペニスを、彼女の秘部にあてがった。  
「昔ね、・・・」  
ヒカリはゴウカザルの肩にそっと手を触れさせた。  
「ヒトとポケモンが結婚していた時代があったんだって・・・」  
そして、鋭く走った傷跡を、優しくなでてくれた。  
ズプリと鳴る感触。ひぁっ、と短く発せられる悲鳴。  
ゴウカザルのグロテスクな陰茎は、彼女の未熟な入口をギチギチと押し広げた。  
挿入は困難にも思えたが、唾液と愛液にまみれた膣は、  
収縮を繰り返しながらも懸命に彼を飲み込もうとしてくれている。  
ゴウカザルはそれに応えるように、にゅるにゅると動く波に揉まれながら、最奥まで突き進んだ。  
「はぁっ・・・はぁっ・・・はぁっ・・・」  
彼女の呼吸が落ち着くまで、ゴウカザルは額に、瞼に、唇に、一つづつ口づけを落としていった。  
ようやく荒い息がおさまると、ヒカリは小さく頷いた。  
 
にゅぷっと少しばかり肉棒を引き抜くと、ヒカリはぎゅぅっと彼の首にしがみつく。  
ゴウカザルは彼女の背に腕を回し、引き込むようにして抱きかかえた。  
互いに互いを抱きしめる。まるで、この存在を確かめ合おうとするように。  
ゴウカザルの肉が、ヒカリの肉をかき回す。  
ぐちゃぐちゃと混ざりあう愛液。欲望のぶつかりあう音。  
ぐるりと肥大した茎を回せば、彼女の内壁もまた、それについてくる。  
こんなにまで密着する喜びといったらない。  
「あ・・・んっ、そんなに動かないで・・・はぁっ・・・んんっ・・・!」  
体を上下に揺すれば、ヒカリの堅く尖った乳首が、ゴウカザルの胸元で擦れ合い、  
柔らかな乳房がぐにゅぐにゅと形を変える。  
股の間を、先ほど散々かわいがってやった突起が控えめに主張してくるので、  
ゴウカザルはわざとらしくグリグリと下腹部を押しつけてやった。  
(このいやらしいやつめ)  
一つずつ、丹念に与えられてきた快楽を、一気に得てしまったものだから、  
彼女の喘ぎは今までの比ではなかった。  
「やだ・・・やっ、あっ、あっ、ああっ・・・はぁんっ!」  
もっと乱れる姿が見たくて、思わず腰の動きも早めてしまう。  
鉄のような臭いが鼻につく。きっと出血している。しかし止めることはできない。  
昔―昔ヒトとポケモンは結ばれていた。ヒトもポケモンも、同じだったから、それが普通だったという。  
こんな風に、昔のヒトとポケモンは愛し合ったのだろうか。そこに障害はなかったというのか。  
こうして愛し合えるのに、オレと彼女は何が違うのだろう。  
そんなことを考えると、切なくて、ゴウカザルは何だか泣きそうになった。  
じゅぽん、じゅぽんと、抜き差しの度に漏れる音が、やるせないほどに一物を昂ぶらせる。  
「わたし・・・もぉヘンになっちゃうよぉぉ・・・」  
ポロポロと、大粒の涙が彼女の瞳から溢れる。  
安心しろ。オレだってとっくにヘンになっている。  
ゴウカザルは彼女の唇をふさぎ、深く、深く、口づけを交わした。  
きっと無意識なのだろうが、彼女は白い腿で、彼の腰をグッと挟んだ。  
脚と脚とを絡ませ、腰を擦りつけ、一層に繋がりを濃厚なものにさせる。  
きゅうきゅうと締め付ける膣に、膨張するペニス。ヒトとポケモン。雌と雄。  
もう、限界だ―そう思うやいなや、ドクンという射精感と共に、ヒカリの背が弓なりにしなった。  
「ひぁっ!あっ!あぁぁああん!」  
はぁ、はぁ、と、甘美な喘ぎが脳に響く。  
ゴウカザルはしばらくヒカリとつながったままでいた。  
狭い膣内に納まりきらなかった精液が、どろりと溢れてくるのがわかった。  
これだけ彼女の中に満たしても、この白濁の液が、彼女との子を為すことはない。  
それでもゴウカザルは、この温もりが欲しくてたまらなかったのだった。  
 
* * *  
 
「それでねー、私、今度コンテストに挑戦してみようと思うの」  
そう言うとヒカリは、カバンから何やら甘い匂いのするものを出した。  
「知らない?ポフィンって言うのよ」  
ヒカリとゴウカザルは、ベンチの上に並んで座っていた。  
周りを見渡せば、仲良く散歩をしたり、おやつを食べたり、キャッチボールしたりと、  
仲むつまじくイチャつ・・・遊ぶトレーナーとポケモンの姿が、あちこちで見られる。  
何だか目も当てられないな−とゴウカザルは思ったが、  
「はい、ゴウカザル。あーん」  
目の前には、満面の笑みを浮かべて、手作りのポフィンを差し出す主人の姿。  
正しく自分もその光景のひとつであることは認めざるを得なかった。  
 
あの日以来、何か大きな変化があったかといえば、ないと言ってしまう方が手っとり早いかもしれない。  
ゴウカザルはヒカリのベッドで一緒に寝ようとしないままだし、  
ヒカリのゴウカザルへのじゃれつきの無邪気さも相変わらずだ。  
せいぜい、ゴウカザルがふれあい広場などという場所に行くことに、抵抗の色が和らいだくらいだろうか。  
それでも、時折目と目が合うと、惚けるような熱をお互い帯びていることは何となしに感じていた。  
果たしてこの関係は許されるのだろうか?  
あの日、彼女はさっさと彼を風呂へと押しやったが、  
視界に入ってしまったシーツの赤い染みは、ゴウカザルの罪の意識を煽るには十分だった。  
彼女は今、何を考えているのだろう。  
それを問おうにも、ゴウカザルに言葉はなかった。  
「あの、さ」  
ヒカリがぽつりと呟いた。  
ゴウカザルはチラリと彼女の方を見ると、主人の声に耳を傾けた。  
「実は私、旅に出る前はポケモンって、ちょっと苦手だったんだ」  
そんな話を聞くのは初めてで、ゴウカザルは思わずヒカリの顔をまじまじと見た。  
苦手というより、怖かったって言うべきかな。ヒカリはそう付け足した。  
「小さい頃、好奇心でジュンと草むらに出ちゃってね、  
そこで運悪く出くわしたコリンクに追っかけられて、それが怖かったってだけなんだけど・・・」  
コリンクとしては、無邪気に遊んでもらおうとでも思ったのだろうが、  
幼いヒカリにとっては、襲われているような感覚だったらしい。  
それにしても、コリンク・・・何かと縁のあるポケモンだったのだな。  
ゴウカザルは、今では立派なレントラーになっている彼女のことを思い出した。  
昔はもっとかわいらしかったはずだったが、今ではふれあい広場に行く自分を、  
ムクホークと共に、ニヤついた笑いで送り出すやつになっていた。  
(帰ったら覚えてろよ…)  
「ゴウカザル?」  
不思議そうな主人の顔に気づき、ゴウカザルは何でもない、と首を振った。  
そんな様子を、ヒカリは微笑ましそうに笑う。  
 
「ポケモンって、きっと私じゃ仲良くなれないのかな、って思ってたの」  
でもね、そう言って、彼女はゴウカザルの頬に触れた。  
−あなたはなぜか特別だった。  
穏やかな笑み。彼女の妙に大人びた表情に、ゴウカザルはドキリとした。  
「あなたがいてくれているって思えたから、私は草むらに足を出せたんだと思うの。  
あの一歩がなかったら、きっと私、いろんな世界があるってこと知らないままだった」  
そう言って、ヒカリはゴウカザルの体をそっと抱きしめた。  
「まだまだ考えなきゃいけないこと、あるよね。  
でも、ずっとずっと、こうして一緒にいられたらいいね・・・」  
ゴウカザルの脳裏に、遠い日の記憶がよぎる。  
まだ小さなヒコザルだった頃、心細さのせいか、よくヒカリはヒコザルを自分の寝袋に押し込んでいた。  
いくらかの抵抗は見せるものの、ヒカリの腕に抱かれると、心が落ち着くのも事実だった。  
研究所育ちのせいか、こんな風に純粋な愛情を注がれるのは初めてで、  
ヒコザルは、無邪気に主人の側にいたいと思っていた。  
(何だ、あの頃のオレの方が、ずっと立派なもんじゃないか)  
何があろうと、大事なのはいつだってひとつ。彼女と一緒にいたい。  
それでいいじゃないか。他に何があるというのだろう。  
ゴウカザルは、主人の背中を、ぽんぽんとたたいてやった。  
主人が優しくほほえんでくれたので、何だか胸が暖かくなるのを感じた。  
 
北の空では、星がひとつ、きらめきだしていた。  
 
 
 
 

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