「はっ……はっ……!」  
荒い息遣いとポケモンが駆ける水音が物静かな沼地の静寂を破る。  
大型犬という表現では足りない程の巨躯が、よだれをだらだらと垂らす舌を口からはみ出させて走っている。  
燃えるようなオレンジの身体には泥がべっとりとこびり付いて、伝説ポケモンと呼ばれている威光は欠片も見えない。  
そのポケモン、ウインディは懸命に四足を交差させつつも、時々後ろを見やっては絶望していた。  
「ぐるるぅ……」  
背後からは、鼻面に皺を寄せ唸りながら迫ってくる黒い影。  
こちらはまさに大型犬と呼ぶにふさわしい。  
しなるような薄灰色の身体で泥を踏み散らし、獲物を追いかけている。  
脚や額から腰にかけて、黒光りする艶やかな毛皮を纏ったポケモン―――グラエナだ。  
本来はウインディのほうが素早さが高いが、重い体重が仇となってぬかるみに足を取られている。  
ポケモンの中でも軽くそれなりに素早いグラエナが追いつくのも時間の問題だろう。  
「ぐるぁっ!」  
眼と鼻の距離まで迫ったグラエナが、もう届くと踏んだのか一声吠えて大きく跳躍する。  
その声にハッと振り返ったウインディだが、目に飛び込んできたのは既に自分へと落下体勢に入っているグラエナの姿だった。  
「ぎゃうん!」  
背中から思い切り『たいあたり』を食らい、ウインディは地面へと倒れ込む。  
伝説ポケモンの背を足蹴にしながらグラエナが面倒そうに立ちあがる。  
「追いつくのは目に見えてるんだからよ……一々逃げてんじゃねぇよみっともねえ」  
「痛い、よぉ……!」  
グラエナが吐き捨てぐっと体重を込めると、呻き声を上げながらウインディの身体は茶色の水溜りへとめり込んだ。  
頭部から胸元までを覆う立派な肌色の毛並みも今や台無しである。  
「おら、顔見せろ」  
自分の数倍も体重のあるウインディを脚力だけでうつ伏せから仰向けへと変えさせる。  
通常より大きめなグラエナの力はどうやら相当なものらしい。  
ごろんと顔を上げさせられたウインディは、恐怖に怯え、泥で汚れた顔を引きつらせていた。  
グラエナはその表情を満足気に見下ろしながら言葉を続ける。  
「こんなでけぇナリして情けねえなあ。恥ずかしくねえのか?」  
「うぅ……」  
情けないからか怖いからか、ウインディは最早目を瞑って涙を流し降参状態だ。  
そんな獲物の状態に満足したのか、グラエナが嗜虐的な笑みを浮かべてウインディの胸元に跨る。  
「舐めろよ」  
「え……?」  
ウインディが目を開けると、既に包皮から露出されたグラエナのペニスが目前に迫っていた。  
大きさはウインディのそれには遠く及ばないが、犬科特有の赤い肉茎。  
身体にぶつかっている根元の双球からはずっしりとした重量感が伝わってきた。  
「でも僕、オスな……」  
「いいからさっさとしろ! 早くしねえと喉を食い破るぞ!」  
ウインディの主張はグラエナの恫喝で一蹴される。  
本当に今にも食らいつきそうなグラエナに観念し、少し身体を起こして先端に舌を這わす。  
燃えるような色の舌で、赤い肉を撫でるように舐め下ろしていく。  
グラエナの一物は即座に刺激に反応し、びゅくびゅくと先走りが放出される。  
それに驚き、ウインディが口元からペニスを放した。  
 
「こ……これでいいの?」  
一旦顔を上げ、逆らえないご主人様のようなグラエナへと聞きたてる。  
既にウインディの顔は透明な液体によって生々しいぬめりを帯びていた。  
雄の艶めかしさ、とでも言うべき表情を湛えた伝説ポケモンに一層満足したグラエナは口吻を大きく開けて嗤う。  
「よーし、いい子だ……。次はもっと大きく口を開けてみろ」  
言われたとおりにあーんと口を開いたウインディ。  
目の前にだらしなく開いた大口に狙いを定めて、頭を前脚で押さえ、股間へと一気に下ろした。  
「―――んむっ!?」  
突然口内を侵食した肉茎にウインディは目を丸くする。  
むわっと広がる、塩辛いような苦いような雄の味と匂いに苦しそうな顔をしてグラエナを上目遣う。  
グラエナは気持ち良さそうに舌を出し、自らの性器を咥える淫獣の頭を撫でてやった。  
「さすが炎ポケモン、口ん中も蕩けそうだな。舌動かすの辛いんなら手伝ってやるよ」  
そう言うと、両前脚でウインディの頭を固定し、ゆっくりと上下に動かし始めた。  
雌の性器から出入りするように、赤いペニスがウインディの口から見え隠れする。  
「むぅっ、んうっ!」  
体格の大きなウインディでもグラエナの大きな肉茎を咥えこむのはきついらしい。  
塞がれた口から不明瞭な声を漏らしながら涙目になって奉仕を続けている。  
と、グラエナは背後に何かが当たるのを感じ視線を背後に移す。  
「おいおい、てめえも雄同士なのにチンポおっ立ててんじゃねえか」  
ウインディも行為の感覚に飲み込まれたのか、グラエナの倍はあろうかという程まで性器を成長させていた。  
グラエナが前脚でそれを擦るようにしてぬめぬめとした液体を取り口元に運んだ。  
ウインディが羞恥で顔を焼いているのを見たグラエナはわざと腰を大きく打ち付け、ウインディを嘔吐かせる。  
苦痛に歪む表情を見て、興奮を高めているようだ。  
徐々に溢れ出る先走りの量が増していき、ウインディの涎と共に地面に妖しい光を反射する水溜りを作っていく。  
「くっ……気持ち良すぎてイっちまいそうだ。お楽しみは後に取っておくか」  
限界が近いと感じたのか、グラエナは一方的に動きを止めてウインディの口からペニスを抜き取る。  
ウインディの口元とグラエナの一物の間に、粘質のある糸が滴り落ちた。  
ウインディはどこか惚けた表情で、グラエナを見つめている。  
「もう許してくれるの……?」  
「ああ? まだ何もしてねぇだろうが。さっさと四つん這いになれよ」  
低い声で脅すグラエナに、ひっと息を漏らす。  
雌との行為は知っているらしいウインディは、この後にどのようなことをされるか大体予想がついたらしい。  
表情の変化にグラエナがにたぁと笑みを浮かべると、ウインディから降りて首へと噛みついた。  
「ぐずぐずしてんじゃねぇよノロマ! このまんま食っちまってもいいんだぞ?」  
わずかに牙を埋められた喉元からは、鮮血が湧き出している。  
そのまんま引っくり返してやろう、とグラエナが顎に力を込めたその時である。  
「な、なんだっ!?」  
突然、ウインディの身体が金色の光を帯び始めた。  
暗い沼地を隅々まで明るく照らすかのようなその光は、徐々に吸い込まれるようにウインディの体内へと消えていく。  
「てめえ、何しやがっ―――」  
グラエナの言葉は、ウインディが振り下ろした前脚が顔面に命中し途中で途切れる。  
地面に身体をしたたか打ったグラエナが素早く起きあがろうとするところを、太い脚がそれを阻んだ。  
「僕の特性は『せいぎのこころ』。君が『かみついた』から、漸く発動したんだ」  
『せいぎのこころ』は、悪タイプの攻撃を受けると攻撃力が上がる特性。  
さっきまではグラエナの方が力で勝っていたが、今は特性により逆転したようだ。  
「き、汚ねえぞそんな特性……!」  
「恨むなら君の無知と、『じしんかじょう』なところを恨むんだね。さて……と」  
踏みつけられたグラエナは丁度うつ伏せになっている。  
何かを含んだような言い方をするウインディに、グラエナが顔を青ざめさせる。  
「続きは僕がやってあげるよ。多分これで……あってるよね」  
と、グラエナの首元を甘噛みし、上へと引っ張り無理やり四つん這いにさせる。  
「ちょ、ちょっと待てって! そんなの入る訳ねーだろ!」  
後ろを振り向いたグラエナの目には先程よりさらに少し大きくなった感じもするウインディの雄槍だった。  
既に準備万端といった風で、突き刺すような形状の先端からはとめどなく先走りが流れ出している。  
 
「うーん、さあ? まあ僕は『せいぎのこころ』を持ってるから、悪はやっつけないとね」  
首から牙を放し、グラエナに跨るようにして前脚を背後から背中に乗せる。  
重さに潰れそうになるグラエナの耳元でウインディがそっと囁く。  
「もし立っていられなくなったら、『食っちまってもいいんだぞ』?」  
先程のグラエナの言葉を借りて、ウインディが微笑みながら脅しをかける。  
どこが正義だ、と泣き出しそうなグラエナは必死に踏ん張って身体を支えた。  
「お、俺が悪かったから、なあ、許して……」  
「じゃあそろそろ、っと」  
聞きいれるつもりは無いらしいウインディが脇腹にぎゅっと前脚を固定すると、グラエナは観念したかのように視界を閉ざす。  
巨大な赤い肉茎で不釣り合いな小さな穴に狙いを定めると、一気に腰を押し入れて貫いた。  
初めての挿入に、静かな湿地の奥まで轟くような悲鳴がグラエナの喉から発せられる。  
「ほら、入ったじゃない。同じ犬ポケモンだしね」  
軽い調子で言うウインディをよそに、挿入されたペニスからは赤い液体が伝っている。  
ウインディの物は半ばまで挿入されているが、どうやらそこが限界らしい。  
大きさが段違いなので、グラエナの肛は耐えきれなかったのだろう。  
「め、雌の話だろっ……!」  
「あれ、結構余裕あるんだね。それじゃあ」  
冷静に突っ込むグラエナを見て、ウインディは腰をゆっくりと引き抜いた。  
内部を擦れる感触に堪らず敏感にグラエナが反応を上げ、減らず口を止める。  
再度腸内を抉るように腰を沈めて、グラエナの体内を先走りで汚していく。  
「雄でも、意外と気持ちいいんだね。もっと早く動かすよ……」  
挿入してしまえば雌との交尾とそう大差無い。性交の快感に酔ったウインディが徐々に腰遣いを荒くする。  
ぐちゅ、ぐちゅとリズミカルな水音が辺りに響く度に、グラエナの口からは悲鳴に変わって色の付いた声が上がる。  
グラエナの肛門からは二匹の体液が混じったピンク色の液体が流れ出て、性器も先程の前戯も相まって雫を零していた。  
「あっ、くっ……も、もう出ちゃいそう……!」  
「ぐうぅうっ……!」  
口から漏れ出るように言ったウインディは止めとばかりに雄槍でグラエナを激しく突き上げる。  
グラエナも前立腺を刺激され尽くして絶頂が近いのか、ただでさえ重さで立たない四足をガクガクと震えさせていた。  
「はっ……はっ……うおおおぉぉん!」  
一際大きく腰を打ちつけた瞬間、ウインディが大きく吠え動きを止めた。  
びくん、びくんとウインディの肉茎が跳ねる度に、栓をされた結合部から白く濁った子種が漏れ出していく。  
グラエナもまた、炎ポケモンの熱い液体を注がれた刺激に耐えきれずに地面へと断続的な射精を始める。  
辺りには沼地の湿気も作用して、濃い雄の真液の匂いが立ち込めていた。  
ウインディはひとしきり精液をグラエナの中に流し込むと、腰から前脚を外して未だ射精を続ける雄を引き抜く。  
無理やり開かれたグラエナの肛門は幾分縮むが、それでもぽっかりと大きく口を広げて白濁液を流している。  
「て、てめえ、よくもこんな事を……」  
お座りしつつ、振り向きながらグラエナが涙してウインディを睨みつける。  
さながら無理やり犯された処女みたいだな、とウインディは胸中で笑いつつグラエナに近づく。  
「まだ懲りて無いみたいだね……。仕方ないなあ」  
ウインディは前脚をぐっと振り上げて力を込める。  
グラエナが危機を察知して逃げようとしたところに、思い切りそのお腹へと『インファイト』を放った。  
「ち、ちくしょ……」  
脚をぴくぴくと動かし口惜しそうにしているグラエナだが、効果抜群なその一撃に耐えきれずそのまま意識を失った。  
身体中体液に塗れたまま悶絶するグラエナをよそに、ウインディは悪者を改心させたような満足そうな顔をしてその場を去っていった。  
 
 

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