第5話  
 
トウヤ、チェレン、ベルの3人はスカイアローブリッジから見えるヒウンシティの摩天楼の圧倒されていた。  
ベル「あれがヒウンシティなんだぁ・・・。」  
カノコタウン出身の田舎者である彼らにとって、都会であるヒウンシティはブラウン管の中だけの憧れの世界であった。  
チェレン「橋を抜けると、そこは摩天楼だった・・・。」  
チェレンがどこかで聞いたことのあるような有名な本の一説に似た言葉をつぶやいていた。  
トウヤも圧巻されていた。目の前に見えるのは天を衝かんとする高層ビルの山。  
自分たちが住んでいた今までの小さい世界と眼前に聳えるこの大きな世界が、同じものだとは思えなかったからだ。  
しかし逆に言うと、この大きな世界に住む者も、彼らの住む小さな世界を知らないことになる。  
大きな世界は小さな世界のおかげで成り立っている。それは世界の掟である。様々な文明もそうやってできてきた。  
我々が日常で使っているものー 食料、金属、家電、エネルギー ーは、小さな世界からこの大きな世界に輸入されるものだ。  
小さな世界の者たちは、大きな世界の者たちにこれらを売らなければ自分たちの世界を存続することができない。  
大きな世界の者たちも、彼らの輸入物資がなければ、大きな世界の者の生活をすることができない。  
今、トウヤの眼前に広がるものは様々な小さな世界が集まって完成した集合体なのかもしれない。  
トウヤがそんなことを考えてると、  
ベル「お〜い、トウヤ〜、先に行っちゃうよ。」  
二人はすでに橋を降り、ヒウンシティのゲート入口に立っていた。  
トウヤ「あぁ、今行くよ。」  
トウヤは急いで彼らを追いかけた。  
 
ヒウンシティ。このイッシュ地方の首都にして、最大の町である。  
前述したとおり、この辺りはかつてヤグルマの森の一部であり、小さな漁村集落が広がるような場所だったが、  
様々な人間がイッシュ地方にやってくるようになると、この場所は次第に港湾都市として発展していった。  
発展するにつれて、この町の者たちは自分たちの生計を漁業から輸出入などの貿易業や運送業などに変えていったうえに、  
様々な人間が住むようになり、ついに当時の首都ソウリュウシティを抜き、イッシュ最大の都市として発展したのだ。  
現在でもヒウンシティは政治、経済、交通、文化などの中心地として君臨している。  
 
トウヤたちは、ゲートをくぐりポケモンセンターに入った。  
しかしヒウンシティのポケモンセンターは、トウヤが今までに知ったポケモンセンターとは全く違った。  
このポケモンセンターを一言で言い表すなら、空港のターミナル。けた外れに広いのだ。  
まずポケモンを回復させるカウンターの数は、およそ200メートルぐらい先まで並んでいる。  
次にフレンドリーショップだが、ここをフレンドリーショップと呼ぶには規模が違いすぎた。  
しかし、品数や品種は小さなデパート以上の規模であった。  
トレーナーグッズだけでなく、イッシュやそのほかの地方のものも売っているのだ。  
「いかりまんじゅう」「フエンせんべい」「森のようかん」聞いたこともないものばかりだ。  
さらに生活用品、漫画から専門書などを置いた書店、子供用のおもちゃにゲーム売り場、様々なブランドの服が揃ったブティックなど、あげたらきりがない。  
この場所がポケモンセンターというのはいささか疑問を覚えるほどだ。  
もちろんトウヤだけでなく、チェレンもベルもあいた口がふさがらないほど驚いていた。  
チェレン「ここでいろいろな物を揃えておけば、後の冒険に役立つかもしれないな。」  
チェレンの言うとおりだ。おそらく他の町にはこの規模のポケモンセンターなど存在しないだろうし、この町にしか売ってないものもあるだろう。揃えるなら今のうちであろう。  
とりあえず、トウヤはポケモンを回復させてからヒウンジム戦を行うことに決めた。  
トウヤ「俺はポケモンを回復させてから、ヒウンジムに行くよ。お前らはどうするんだ?」  
トウヤが二人に尋ねる。  
チェレン「僕は、さっき言ったとおりにもう少しこの中をめぐって、役に立つものを探しみるよ。」  
チェレンらしい堅実な答えだ。  
ベル「私はヒウンシティを見て回るよぉ。こんな町初めてだし!」  
ベルは相当この大都会に興奮してるようだ。  
 
トウヤはチェレンとベルに別れを告げ、ヒウンジムに向かうことにした。  
しかし、ジムはしまっていた。まだアーティさんは帰ってないらしい。  
仕方なくトウヤもベル同様町をうろつくことにした。  
とりあえずまずいジャンクフードを食って、つまらない映画を見ているうちにすっかり暗くなってしまった。  
トウヤは暗くなった街並みを照らすネオンの中で、あるところに向かって歩いていた。  
 
トウヤが向かった先。そこは13歳の少年が行くようなところではなかった。  
だがトウヤにとっては、それほど恥ずかしい、または悪いと感じるようなことではなかった。  
トウヤは母親に迫害されてからは、チェレンやベルやボンといても、どうしても埋まらない孤独(ただし本人はこれが孤独だとは気付いていない)があった。  
トウヤはこの場所が、孤独な人物たちが刹那の愛欲を求める場所であることを知っている。  
実はトウヤがこの場所に来ることは初めてではない。トウヤが旅立つ1週間前に、トウヤはサンヨウにあるラブホに訪ねたことがある。  
彼は1週間後の旅立ちのために、今までの自分に別れを告げるため、一人のビッチを抱いたことがある。  
もちろんこれは誰も知らないことだ。  
そして今日、トウヤは今日ここに訪ねたのはある意味孤独に耐えかねたこともあるだろうが、プラズマ団の矛盾した行動に対する憤りを発散させるために訪ねたという一面もある。  
僕もつくづく愚図な人間と同じなんだな・・・と、トウヤは自分を嘲笑した。  
とりあえずトウヤはラブホのドアをくぐった。  
こんな裏路地のラブホは所詮儲け主義だから、金さえ渡せばどんな年齢だろうか通すだろう。  
トウヤは上の女を選ぶパネルを見て、  
トウヤ「14番の女を頼む。」  
と、金を積んで頼むと  
フロント「はい、じゃあ鍵をどうぞ。」  
トウヤの思った通りだ。エレベーターで鍵に書いてある部屋へ向かった。  
鍵をあけると、自分より5歳くらい上の女がいた。  
 
女「あなたが今日のお客ね。ふ〜ん、なかなかかわいい顔をしてるはね。」  
女の官能的な声がトウヤの耳に響く。  
トウヤ「御託はいいから、さっさとやろう。僕は明日早いんだ。」  
そう言って、トウヤはさっさと服を脱ぐ。  
女「あら、そんなに慌てなくてもいいのに。」  
女も服を脱ぐ。なかなか豊満な体をしている。  
トウヤはおそらく家が貧困なんだろうな、そんなんじゃ水商売なんてやるはずがない、と考えながら女の胸を鷲掴みにした。  
女「あん・・・。」  
女の少々わざとらしい喘ぎ声がトウヤの耳に入る。  
とりあえずもっと激しく胸をゆさぶってみることにした。喘ぎ声のペースが速くなるだろうと、トウヤは予測した。  
女「あん♥あん♥あん♥あん♥」  
と、トウヤの予測した通り、まるで心臓の動悸のようなペースで喘ぎ声を出している。トウヤは自分の予測通りに少しほくそ笑んだ。  
トウヤ「とりあえず、次はこれを頼むよ。」  
トウヤは自分の膨張した股間を女の口に突然突っ込んだ。  
女「ん!?」  
さすがの女もいきなり突っ込まれて苦しそうだ。とりあえず女はトウヤの股間をしゃぶるが、  
トウヤは実を言うと股間をしゃぶられる快楽より、先ほど女が見せた苦しそうな表情が見れたことに笑っていた。  
トウヤ「おら、出すぞ!全部飲めよ!このビッチ!」  
トウヤはそういうと自分の欲液を女の口に掃き出した。  
女「んんんんん!!」  
女の声が響く。  
トウヤ「ははははは!!!!」  
トウヤは今の女の驚いた声におかしく、つい笑ってしまった。  
 
トウヤ「おら、そろそろ本番だ!股開けや!」  
トウヤはいつもの彼とは思えない荒々しい口調でそう言った。女はそれを聞き、黙って股を開いた。  
やはりヤリマンか、まぁ水商売やってるから当たり前か・・・と、トウヤは自分の考えたことを愚問だったと後悔した。  
トウヤ「おら、突っ込むぞ!ビッチ!」  
トウヤはコンドームをつけた股間を彼女の膣に突っ込んだ。  
女「ああああああ!!!」  
女は金切り声をあげた。  
トウヤ「くははは!!」  
トウヤはその声にまた笑ってしまった。  
トウヤ「おら、動くぞ!」  
そう言うや否や、トウヤは激しく腰を振り始めた。  
女「はん、はっ、はっ、はん」  
女は胸をもんだときとは違い不規則な喘ぎ声を発している。  
トウヤ「どうだビッチ?僕の股間はよ?お前を抱いてきた男と比べたらよ!!てめぇのヤリマン経験からしたらどうだ!?え!?」  
トウヤは罵詈雑言にも聞こえる言葉を掃き出した。  
女「も、もう・・・ダメっ・・・。」  
女はもう限界らしい。  
トウヤ「もう限界か!?まぁ、いいや!勝手にイけや!!」  
女「あああああああ!!!!」  
女は完全にイってしまったようだ。  
トウヤ「ちっ、僕はイってないのによ。」  
女はすでに放心状態のようだった。  
トウヤは女はしばらく気付かないと思ったのか、服を着替えるとそのまま部屋を出て行ってしまった。  
 
トウヤは夜空に輝くネオンの中、ポケモンセンターに向かって歩いていた。  
その中でトウヤは自分のことについて考えていた。  
僕はどうしてこうなってしまったのだろう。チェレンとベルが聞いたらショックを受けるだろう。むしろ軽蔑されるだろう。軽蔑されて当然のようなことをしたのだから。  
二人だけではない。こんなマスターだったら、ポケモンもショックではないのか。こんなマスターに命令されるポケモンは悲しいだろう。  
トウヤには自分がセックスをする時、自分の口調が変わることを知っている。  
だが僕は決してそんな口でポケモンに命令はしない、いや命令したくない。  
あぁ、なんだかんだで僕は結構感情的なのかもしれない。ポケモンが活躍しなければ、先ほどの暴言を吐いてしまうかもしれない。  
それを気付いた時は、僕はショックを受けるだろうが、ポケモンたちはもっと傷ついてしまう。  
トウヤ「僕は何のために・・・だれのために何の目的で旅をしているのだろう・・・。」  
トウヤは星空に向かってそうつぶやいた。カノコの迫害される生活から逃げるためであって、目的などなかった。  
自分はいつもそうだった。  
目先の利益だけで、肝腎の目的はまったく空っぽ。まさに凡愚な人間の特徴だ。  
僕はいずれ破滅する人間なんだろう。  
自己嫌悪に陥ってるトウヤはもうポケモンセンターに着こうとしていた。  
その時、トウヤの肩に何かがぶつかった。  
振り返るとチェインメイルを着た2,3人の男たちが走って行った。  
あの服には見覚えがある。いや、忘れるはずのない存在  
トウヤ「・・・プラズマ団・・・。」  
 
続く。  
 
 

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