トウヤにとって、旅立ちの日である今日ほど嬉しい日はないだろう・・・。  
13歳にして、ついに家から去る事が出来るのだから。  
それは自分だけではなく、母親にとっても嬉しいことだろう・・・。  
 
 
 
トウヤが物心ついたころ、トウヤの両親は離婚した・・・。  
その際トウヤは母親に引き取られた・・・。  
引き取られて間もないころは母親はトウヤをかわいがってくれた・・・。  
しかし、年が上がるにつれてトウヤに対する目はだんだん冷たくなっていった。  
母親が何故自分に冷たくなったかを知ったのは、トウヤが10才になったころだった。  
トウヤがある時見つけた写真に写ってた3人の人間。  
一人は母親、一人はおそらく小さい自分、そしてもう一人のトウヤに似ている男が自分の父だろう。  
トウヤは、母は父と似た顔を持つ自分を父と重ねてるから自分を嫌ってるのだろう。  
しかも性格も母親に似ていないし、血液型がO型の母親に対して、自分はA型。  
O型の母親がA型の子を産むには、父親がA型でなければ絶対に産まれない。  
ー あぁ、自分は完全に父親のDNAを引き継いで生まれたのか。 −  
幼きトウヤは、10歳とは思えないほどの頭の回転でそれを理解した。  
それからトウヤは13歳になれる日を一日千秋の気持ちで待った。  
通常、10歳になれば少年少女は正式なトレーナーになれ、旅立ちを許可されるはずなのだが、  
イッシュ地方では10歳のトレーナーたちが様々な犯罪に巻き込まれるという事件が、  
大量に起こったため(そのほとんどがブラックシティで起こっているらしい。)、  
イッシュ政府は責任のもてる13歳になるまで、正トレーナーにはなれないという法案を10年前ほどに可決した。  
この時、トウヤは自分がイッシュ地方に生まれたことを激しく呪った・・・。  
 
 
 
 
閑話休題。そしてこの日、トウヤは2人の男女と共に自分の部屋にいた。  
この2人は、この街 −カノコタウン生まれの二人組だ。  
過疎化が進んでるこの街で今年13歳になれるのはトウヤらこの3人しかいない。  
メガネをかけた男の子はチェレン、帽子をかぶったロングスカートの子はベルという名前だ。  
この2人とは物心がつく前からの付き合いだ。  
ベル「ついに私たちもトレーナーになれる日がきたね。」  
チェレン「まぁ、トレーナーになれば退屈はしないだろう。」  
トウヤ「・・・・そうだな。」  
トウヤたちの真ん中にはアララギ博士から送られてきたカバンがある。  
この中に新人用のポケモン3体が入ってる。  
トウヤ(新人用ポケモンか・・・。ガブリアスやウインディやギャラドスだったら楽だろうなぁ。)  
チェレンがかばんを開けると、3つのモンスターボールが入ってた。ラベルのようなものは貼っていない。  
ベル「みんなが適当に取ったのを最初のポケモンにしようよぉ。」  
トウヤとチェレンはベルの提案に賛成し、三人は同時にカバンの中のモンスターボールを取った。  
ベル「じゃあ、みんな出してみようか。」  
トウヤ達3人は真ん中のボタンを押した。  
 
「ミジュミジュ」「ポカー」「ツター」  
どうやら、トウヤのポケモンはこのラッコのようなミジュマル。  
ベルのポケモンは豚のような姿をしたポカブ。  
チェレンのポケモンはトカゲのような姿をしたツタージャに決まった。  
ベル「わぁ、かわいいー!!」  
ベルはポカブを力強く抱きしめている。  
チェレン「これからよろしくな。」  
チェレンはツタージャを持ち上げてそう言った。  
トウヤ「はじめましてミジュマル。僕はトウヤって言うんだ。よろしくな。」  
トウヤはミジュマルにそういった。  
チェレン「じゃあ、アララギ博士のもとへ行こうか。」  
僕たち3人はチェレンの言う通り、アララギ博士の研究所へ向かった。  
 
 
 
 
アララギ「あらみんな。みんなのポケモンは決まったみたいね。それじゃ、旅立つ記念にこれをあげるわ。」  
そういうとアララギはトウヤ達3人に赤い機械を渡した。  
アララギ「それはポケモン図鑑って言って、あなたたちが旅の先で出会ったポケモンたちを記録していくのよ。」  
なるほど、ポケモン図鑑を開いてみるとミジュマル達のデータがきちんと入ってる。  
アララギ「みんな、ポケモンを育てながら、たくさんのポケモンにたくさん出会って、素晴らしい図鑑を作ってね。」  
三人「「「はい。」」」  
 
 
 
 
アララギ博士の研究所から出ると、  
ベルは真っ先に「じゃあ私は一番最初にカラクサタウンに行くねぇ〜。」とか言って、走って行った。  
チェレンは、「とりあえず一度家に帰って、不備がないか調べてくる。一度旅立ってから家に帰るのは大変だからな。」と言って、家の方面へ行った。  
トウヤはとりあえず出発することにした。もう家に未練もない。と、いうより一刻も早くカノコタウンを出たかった。  
トウヤが街を出ようとすると、あることを思い出した。  
トウヤ「そうだ、ボンも連れて行くことにしようか。ボン!!」  
トウヤが呼ぶと一匹の鳥・・・いや、ポケモンが飛んできた。  
雛鷲ポケモンのワシボンだ。  
このポケモンは父親と別れる寸前に貰った卵から孵ったポケモンだ。  
しかし父親から貰った卵のポケモンとなると、母親がいい顔をするはずがない。  
そのためトウヤはワシボンのモンスターボールを持っていたものの、基本的には外に放っていた。  
だが「ボン!」と呼べば、ワシボンはトウヤのところへ来てくれた。  
チェレンとベル以外のトウヤのトモダチだった・・・。  
 
トモダチ・・・。  
後に彼にとって、このトモダチで苦悩するようになるのはまた別の話。  
 
 
 
トウヤの手持ちはミジュマルとワシボンの二匹となった。  
トウヤは今度こそカラクサタウンに向かって出発した。  
1番道路はトレーナーもいないうえに、生息してるヨーテリやミネズミも人間を襲うことのないとても安全な道だ。  
トウヤはカラクサタウンに行く途中に出会う野生ポケモンを倒していきながら街へと向かっていった。  
 
 
 
 
カラクサタウン  
トウヤ自身は何度かこの街へ来たことはあるため、街に迷うことはなかった。  
小さい頃は起伏の多いこの町で息切れをすることもあったし、この起伏を使ってチェレン達と遊んだこともある。  
とりあえずトウヤはポケモンセンターに入る事にした。中にはベルもいるだろう。  
入ると、案の定ベルはいた。ベルは「トウヤ〜!」と大きな声でこちらを呼んだ。  
トウヤ「やぁ、ベル。少しはポカブは育ったか?」  
ベル「うん。勝負してみる。」  
トウヤ「いいが、こっちは2匹だぞ?勝てるか?」  
ベル「えー、ずるい!というかトウヤはもうポケモンをゲットしたの?」  
トウヤ「ボンだよ。知ってるだろ?」  
ベル「あぁ、ボンちゃんか〜!」  
チェレンもベルもボンのことを知っている。ボンを使った遊びだってしていた。ボンはトウヤ達の友情の架橋の一つのようなものだ。  
トウヤ「まぁ、1対1で勝負してもいいが、その前に回復させてくれ。」  
トウヤがジョーイのいるカウンターにポケモンを預けると突然拡声器を使った声がした。  
トウヤとベルが何事かと思いながら、外へ出るとなにやら胡散臭い連中が演説をしていた。  
リーダーと言える緑の髪をした背の高い男が拡声器を使った大きな声で話していた。  
男「ポケモンは賢い存在であり、人間に使役されるものではない!ポケモンは解放され、自由でなければならない。」  
うさんくさい連中。まるで捕鯨を反対している某海賊集団だ・・・と、トウヤは思った。  
よく見るとチェレンも演説を見ていた。  
トウヤ「チェレン。」  
トウヤが呼ぶと、チェレンはすぐに反応してくれた。  
チェレン「やぁ、トウヤ、ベル。あの胡散臭い連中を見ろよ。新手の新興宗教団体だ。よくいる連中だ。行こう。」  
そういうとチェレンはポケモンセンターに向かって行った。トウヤとベルはチェレンと共にポケモンセンターに戻る事にした。  
 
 
 
日が沈みかけてることもあって、三人はカラクサのポケモンセンターに泊まる事にした。  
翌朝になり、朝食を食べてると早く食べ終わったベルは真っ先に次の街へと向かって行った。  
チェレンも朝食を食べ終わると先へ行ってしまった。  
トウヤはとりあえずショップでアイテムをそろえることにした。  
トウヤがショップでアイテムを買い終わったのは昼前のことだった。  
トウヤ「よし、アイテムも揃えたし出発するか!」  
トウヤがカラクサのゲートを抜けようとしたときだった。  
?「ねぇ、君。僕と勝負しない?」  
 
トウヤが振り向くと、一人の少年が立っていた。  
トウヤより少し年上そうで、帽子をかぶってる緑髪の少年。美少年という言葉が似合いそうな少年だった。  
トウヤ「いいよ。僕は2体ポケモンを持ってるんだけど、どうする?」  
?「1対1で勝負しよう。」  
トウヤ「分かった。いけ、ミジュマル!」  
?「頼むよ、ゾロア。」  
美少年はゾロアを出した。  
トウヤ「ミジュマル、みずてっぽう!」  
?「だましうち。」  
お互いの技があたり、それぞれダメージを食らっている。ほぼ同じレベルのようだ。  
トウヤ「みずてっぽう」「たいあたり」  
?「おいうち」「だましうち」  
実力伯仲。お互いの勝負に人も少し集まっている。  
ゾロアに怯みが生じているところをトウヤは見逃さなかった。  
トウヤ「今だ、みずてっぽう!」  
ゾロア「ロアッ!!」  
今のみずてっぽうでゾロアは完全に伸びてしまった。  
トウヤ「僕の勝ちだね。」  
?「すごいよ、君とポケモンは中々息があってるねぇ。見た限り、トレーナーになりたてみたいなのに、ポケモンは君を信じて戦ってるみたいだ。  
  そのわずかな間でここまで仲良くなれるとは・・・。」  
トウヤ「実はもう一匹のワシボンのボンは小さいころからの付き合いなんだ。」  
?「そうか。君とボンくんはトモダチなんだね。」  
トウヤ「え、まぁ・・・。」  
トウヤは美少年の陰のある言いかたに奇妙な感覚を覚えた。  
?「君はもうすこしトモダチのことを考えてみて・・・。」  
美少年は去ろうとする。  
トウヤ「待って、君の名前は?」  
トウヤはなぜか少年の名前を尋ねた。  
?「僕は・・・・N。愛するトモダチのために  
 
 
 
 
     僕はチャンピオンを越える。」  
 
 
 
 
気付くと、Nはもういなかった・・・。  
 
 
 
 
結局トウヤはミジュマルが疲れ切ってしまったため、もう一晩カラクサタウンに泊まる事にした。  
トウヤ「N・・・。不思議で強いトレーナーだった。でも次もまた勝ってやる!」  
トウヤはさらに強いトレーナーになる事を誓って、床に着いた。  
 
 
 
 
翌日  
トウヤは今度こそゲートを通る事ができた。2番道路にはたんぱんこぞうやらミニスカートやらトレーナーが多くいた。  
だが彼らが出すヨーテリやらミネズミやらチョロネコなどミジュマルやボンで簡単に蹴散らした。  
だがどのトレーナーもNのように強くもないし、熱くもならなかった。  
夕方近くになって最初のジムのあるサンヨウシティに到着した。  
今日はポケモンセンターに泊まることにした。  
とりあえず、夕食をとるためにトウヤは喫茶店に向かった。  
トウヤ「すいません。サンドイッチセット。」  
トウヤはサンドイッチセットを頼むと10分ほどで届いた。  
トウヤはサンドイッチを頬張った。なるほどうまい。  
と、急いで食べすぎたせいか喉に詰まらせてしまった。そのためお茶を流し込んだ。  
トウヤ「!!」  
トウヤが飲んだお茶は喉のつまりを忘れてしまうほど美味なものだった。  
?「お、当店のお茶を気にいってくれたみたいですね。」  
トウヤが声のした方向を見ると、3人の店員が立っていた。  
それぞれ赤、青、緑の髪をした青年だった。  
トウヤ「ええ、とっても美味しいです。本格的な店で飲み慣れてないのもありますけど、素人でもとてもおいしく感じます。」  
?「それはよかったです。このお茶は我がサンヨウジムカフェの名物なんです。」  
トウヤ「・・・・えぇ!?ここポケモンジムなんですか?」  
?「はい、イッシュ政府やチャンピオンリーグ公認のジムですよ。申し遅れました、私ジムリーダーの一人デントと申します。  
  こちらの青い髪をした彼はコーン、赤い髪をした彼はポッドというものです。この2人もジムリーダーでございます。」  
トウヤ「へぇ、あなたたちが・・・。あの使用タイプは?」  
デント「失礼ですが、あなたは最初に何を選びました?」  
トウヤ「ミジュマルですが・・・。」  
デント「そうですか、では草になりますね。わたくしたちのジムの場合、挑戦者が最初に選んだポケモンの  
    苦手なタイプを選ぶことになっています。あなたはミジュマル、水タイプを選んだので草タイプ使いである私デントがお相手します。」  
コーン「もちろん他のポケモンを使うことも認めております。」  
ポッド「苦手なタイプを使うなら、より育てないと倒すのは辛いと思います。」  
トウヤはとりあえず自分の相手はデントという緑髪の店員ということを理解した。  
トウヤ「そうですね。少しミジュマルを鍛えないときつそうですね。少し育てないと。」  
コーン「それでは夢の跡地で育てられたらいかがでしょう?あそこには様々なポケモンがいるので  
    様々なタイプのポケモンを育てるのも向いています。」  
トウヤ「分かりました。とりあえず3日後に挑戦します。」  
3人「「「ご来店お待ちしております。」」」  
トウヤは喫茶店(サンヨウジム)から出て、ポケモンセンターに戻った。  
 
翌朝、トウヤは夢の跡地へ向かった。  
近所の人の話によると、夢の跡地は昔工場が営業してたらしい。  
その工場は今から数十年前に潰れたが、かなりブラック企業の生産工場で開設した当初はサンヨウシティの雇用を生む場所として歓迎されたが、  
実際はブラック企業の傘下なだけに、労働基準法を軽く無視した悪徳工場であったらしい。  
メーデーなど起こせば、人やポケモンの暴力で鎮圧されていた。過労死する人も絶えなかったらしい。  
結局これはイッシュ政府の耳元に知る事になり、工場はおろか、ブラックシティに本社を置いていた会社は倒産、数年後破産した。  
現在は子供の遊び場となり、雑草も生い茂ったため野生のポケモンが住み着いた。  
 
トウヤが夢の跡地になると、トレーナーやら遊ぶサンヨウ幼稚園の子供たちがいた。  
余談だが、トウヤ、チェレン、ベルの三人もサンヨウ幼稚園出身であり、同じくサンヨウシティにあるスクールに通っていた。  
とりあえずトウヤは数人のトレーナーを軽く蹴散らし、草叢でポケモンを育て始めた。  
草むらに入ると、メラルバ、ゾロア、フシデ、モノズ・・・とても野生ポケモンが固定されていない。  
トウヤは妙に思い、近くのトレーナーに話しかけた。するとトレーナーは  
トレーナー「あぁ、サンヨウシティのはずれに育て屋があるだろ。あそこでは一定のポケモンを預けると卵を持っててね。  
      その時に生まれたポケモンたちがここに放たれてるんだ。」  
トウヤ「え?なんで生まれたばかりのポケモンたちを・・・。」  
トレーナー「ポケモンというのは、ポケモンによって能力や才能が違うものでね。  
      心のないトレーナーはその時に生まれた優秀ではないポケモンたちなんて、すぐに捨ててしまうんだ。まるでクローンの人間をつくるようだ。  
      そのせいで、この辺の生態系は他の道路とは違うんだ。」  
コーンが様々なタイプを育てるのに向いているとはこのことだったのか。と、トウヤは理解した。  
その瞬間、トウヤはカラクサタウンで緑髪の巨人が言ってたことを思い出した。  
ー ポケモンは賢い存在であり、人間に使役されるものではない!ポケモンは解放され、自由でなければならない。 −  
まさにこのことなのかもしれない。野生のポケモンはどんなに弱くて生まれたポケモンでも親のポケモンに必要にされ、自由に幸せに暮らすかもしれない。  
だが、この夢の跡地のポケモンたちは親とは引き離され、優秀ではないという理由で捨てられてしまう。  
このポケモンたちは必要とされていない「生」を受けてしまったものだ。  
弱いポケモンだったら、強いポケモンに襲われて、命を落とす。  
強いポケモンは、愛してくれるものもおらず孤独な生涯を送る。  
トウヤは夢の跡地のポケモンを不憫で哀れな存在に感じてしまった。  
 
結局トウヤは気乗りせずにポケモンセンターに帰る事にした。すると・・・  
「お〜い、トウヤぁ〜。」  
この間抜けた声は・・・・  
ベル「トウヤもここにきてたんだ。」  
やはりベルだ。  
ベル「トウヤ、ここすごいねぇ。たくさんのポケモンがいるからすごいポケモン図鑑が集まったよぉ。」  
トウヤ「お前、ポケモン図鑑集めてるのか?」  
ベル「うん、私はバトルよりこっちのほうが向いてるかなと思ってねぇ。」  
トウヤ「それも一つの道だし、なんかベルらしいぞ。」  
ベル「そ、そうかなぁ///」  
ベルはそう言って、うつむいた。  
ベルにゲットされたポケモンはまだ幸せかもしれない。ポケモン図鑑を完成させるというベルの夢に貢献できるのだから。  
それはポケモンにとっても本望だろう。  
トウヤ「俺はいまからポケモンセンターに帰るが、ベルは?」  
ベル「じゃあ、私も帰るよぉ。もうモンスターボールも無くなりそうだし。」  
結論が出たので、トウヤたちは帰ろうとした・・・。  
すると、工場跡のほうから何か音がした。何かの鳴き声もする。  
トウヤ「何の音だ?」  
トウヤとベルは音のする方向へ向かうと・・・  
ムンナ「むん・・・むん・・・」  
?「「おら、夢の煙を出せぇ!!」」  
ゆめくいポケモンのムンナが二人組の男に踏みつけられている。  
あの服はカラクサで演説をしていた連中だ。  
ベル「やめたげてよお!!」  
ベルは見るに耐えかねたのだろう、二人組の男を止めに入った。  
男1「うおっ、なんだこのガキ!」  
男2「我がプラズマ団の邪魔をするつもりか!」  
この2人 −というか、あのカラクサの連中ー はプラズマ団というらしい。  
ベル「どうしてそんなにひどいことするのぉ?」  
男1「うるせぇ、ガキには関係のないことだ!」  
ベル「やめて・・・やめてよぉ・・・。」  
男2「プラズマ団の邪魔をするな・・・ゴフゥ!?」  
プラズマ団の男は突然殴り飛ばされた。  
彼を殴り飛ばしたのは・・・トウヤだった。  
トウヤ「お前ら!!お前らの親玉はポケモンのためにポケモンを解放するんじゃなかったのか!!  
    お前らの言ってることはただの戯言だったのか!?あぁ!?」  
プラズマ団はおろか、ベルも驚き泣きやんでいた。こんなに怒るトウヤを初めて見たからだ。  
ベルが知るトウヤはいつも優しくて、少しいたずらをしても笑顔で返してくれた。  
少し怒ったときでも「もぉ!ひどいよ〜!」という拗ねたようなかわいい −というより、トウヤ自身の顔も童顔であるため、ベルでも可愛いと思ってる。−  
怒り方しかしたことがなかったので、その気迫に圧倒されていた。  
トウヤ「何がポケモンの解放だ!!ただのきれいごとだったんだな!  
    この夢の跡地のポケモンはな、ほとんどが捨てられたポケモンなんだよ!  
    そんな使役されたポケモンたちをお前らは夢の煙とか言うものために蹴りつけるのか!おい!答えろ!」  
プラズマ団1「貴様、のめしてやる。いけ、ミネズミ」  
プラズマ団2「よくも殴ったな。いけ、チョロネコ」  
プラズマ団の2人はミネズミとチョロネコを繰り出し、トウヤに襲いかかった。  
トウヤ「いけ!ミジュマル、みずてっぽう!ワシボン、つばさでうつ!」  
ワシボンのことを「ボン」と呼ばないほど、トウヤは怒っていた。  
トウヤはあっさりとプラズマ団の2人を蹴散らした。  
トウヤ「これで終わりか!?結局お前らだって、ポケモンを使役してるじゃないか!!  
    なにがポケモン解放だ!笑わせるな!とっとと失せろ!!」  
プラズマ団は、あまりのトウヤの強さと気迫に圧されたのだろう、すたこらさっさと逃げて行った。  
 
ベルは数分間動けなかった。目の前のトウヤが今まで見てきたトウヤと理解するのに時間がかかったからだ。  
ベルはそれを理解すると、真っ先にムンナのもとへ行った。ベルはバッグから傷薬を取り出し、ムンナに使ってやった。  
トウヤ「とりあえず、ポケモンセンターに連れて行こう。」  
ベル「うん。」  
二人はムンナを抱えて、サンヨウシティのポケモンセンターへと向かった。  
 
ムンナはベルの治療が早かったおかげですぐによくなった。  
ベル「もう大丈夫だよぉ。」  
ベルがそう言って、ポケモンセンターが出ると、  
ムンナの進化系であるムシャーナがいた。このムンナの母親だろ。  
トウヤとベルはすぐにそれを理解して、  
二人「「ほら、行きな(よぉ)。」」  
と言って、ムンナを離してやった。ムンナはムシャーナのもとに直行し、こちらを少し見て消えていった。  
トウヤ「よかったな。母親がいて。」  
トウヤはあのムンナに母親がいることを安心した。  
ベル「トウヤ・・・。」  
ベルは小さい声でトウヤを呼んだ。  
ベル「その・・・さっきの・・・トウヤ、初めて見たよぉ。  
   いつも優しかったのに、あんなに怒って・・・。」  
トウヤはそれを聞き、あの夢の跡地のポケモンが人間の身勝手によって捨てられたことを  
話そうと思ったが、やめた。  
ベル「でも///かっこよかったよ、トウヤ///」  
トウヤ「ははっ、トレーナーの良心として許せなかっただけさ。」  
とりあえず、トウヤはそう言って、お茶を濁した。  
トウヤ「さて、俺は明日サンヨウジムに挑戦するよ。ベルはどうする?」  
ベル「私はもうバッジ手に入れたから、明日はシッポウシティに行くよ。」  
トウヤ「なんだ、ベル強いじゃないか。」  
ベル「そんなことないよぉ。トウヤもジム戦がんばってね。あ、ジムリーダーが出すポケモンは・・・」  
トウヤ「もう知ってるよ。昨日そのジムで夕食をとって、リーダーたち本人から聞いたからね。」  
ベル「そうなんだぁ。ねぇ、あそこのお茶おいしいくない?」  
トウヤ「おぉ?ベルもそう思うか?いやあのお茶は絶品だ!」  
ベルはトウヤがいつもの姿に戻ってることに安心した。  
 
 
 
 
その夜。トウヤは夢を見た。  
自分はベルと立っていた。すると何かが現れた。  
ムンナとムシャーナだった。  
すると声が聞こえた。  
「この子を助けてくれてありがとうございます。」  
「おにいちゃん、おねえちゃん、いじめられてるところを助けてくれて  
 ありがとう。」  
トウヤはムンナとムシャーナの声だなとすぐに理解した。  
ベルもそう理解してるだろう。そしてベルもこの夢を見ているのだろう。  
 
 
 
 
翌朝  
二人は食事を取ると、トウヤはサンヨウジムに、ベルはシッポウシティへと別れていった。  
 
 
 
トウヤ「デントさん、勝負をお願いします。」  
トウヤは扉を開くやいなや、大声で叫んだ。  
デント「待ってたよ、トウヤくん。3日後というわりにはずいぶん早かったじゃないか。  
    そんなに鍛え上がったのか?」  
トウヤ「はい。」  
と、トウヤはとりあえず嘘をついた。  
デント「じゃあ行くよ、こちらは2体ポケモンを出すからね。行け!ヨーテリ!」  
トウヤ「行け、ミジュマル!」  
コーン&ポッド「「バトル始め!」」  
トウヤ「みずてっぽう!」  
デント「ヨーテリー、かみつく!」  
先に攻撃したのはヨーテリーだった。ミジュマルはひるんでしまった。  
デント「かみつく連続!」  
ヨーテリーのかみつくがミジュマルを襲う。  
トウヤ「ひるむな、ミジュマル!みずてっぽうだ!」  
ミジュマル「ミージュー!!」  
ヨーテリー「テリー!」  
急所にあたったようだ!  
ポッド「ヨーテリー戦闘不能!」  
トウヤ「よく頑張ったな!ミジュマル!」  
ミジュマル「ミジュ!」  
するとミジュマルの体が光り始めた。  
トウヤ「これは!?」  
デント「進化の光だ!」  
フタチマル「フターチ!」  
トウヤ「フタチマルに進化した!!」  
デント「これは楽しくなってきた!いけ、ヤナップ!」  
トウヤ「戻れ!フタチマル!いけ、ボン!」  
トウヤはワシボンを繰り出した。  
デント「ワシボンか。タイプではこっちが不利だね。だけど・・・。」  
トウヤ「ボン、つばさでうつ!」  
こうかはばつぐんだ!  
デント「よし、ヤナップ。がんせきふうじ!」  
こうかはばつぐんだ。 ワシボンのすばやさがさがった。  
トウヤ「く、ボン!つばさでうつ!」  
デント「遅い!がんせきふうじ!」  
トウヤ「ボン!」  
コーン「ワシボン戦闘不能!」  
デント「お互い一対一。体力も同じくらいだ。」  
 
トウヤ「でも負けませんよ。いけフタチマル!」  
デント「行くよ!ヤナップ、がんせきふうじ!」  
フタチマルのすばやさがさがった!  
トウヤ「フタチマルたいあたり!」  
デント「だがこちらの早い!ヤナップ、とどめのツルのむち!」  
トウヤ「耐えろ、フタチマル!」  
するとフタチマルは突如ホタチを取り出し、ヤナップを攻撃した。  
シェルブレード。フタチマルの新技。水タイプの技でヤナップにはこうかはいまひとつだが、  
体力の弱ったヤナップをしとめるには十分な火力だった。  
デント「ヤナップ!」  
ポッド&コーン「ヤナップ戦闘不能!よって、チャレンジャーの勝ち!」  
トウヤ「やったな!フタチマル!」  
トウヤとフタチマルは勝利を喜び、抱き合った。  
デント「すばやさはあちらの方が上だったか・・・。」  
トウヤはボンも取り出すと  
トウヤ「ボンがヤナップを弱らせてくれたから、勝てたんだよ。ボンもありがとう。」  
三人(((彼はポケモンのことを本当に信頼してるんだな。やられたポケモンも褒めるなんて・・・)))  
デント「さぁ、トウヤくん。勝利の証のトライバッジだ。持っていってくれ。」  
トウヤ「ありがとうございます。」  
ポッド「あとこれも持っていきな。わざマシン83 ふるいたてる」  
トウヤ「ありがとうございます。でもデントさん使いませんでしたよね?」  
デント「あ、確かにね。」  
4人「「「「ははははははは!!!」」」」  
 
 
 
 
N「やはり彼はそこらへんのトレーナーと違うみたいだね。」  
Nはジムを覗きながら、そう呟いて、去って行った・・・。  
 
 

テレワークならECナビ Yahoo 楽天 LINEがデータ消費ゼロで月額500円〜!
無料ホームページ 無料のクレジットカード 海外格安航空券 海外旅行保険が無料! 海外ホテル