トウヤが最初ここにきた時も、カトレアはすやすやと寝息をたてていた。  
 プラズマ団の事件の時ですらベッドで温もっていたのだ。呆れを通り越して感心する。  
 トウヤは彼女含めた四天王に対してあまりいいイメージを抱いていなかった。  
 四天王はただ義務付けられた通りバトルをしただけだ。  
 その気になれば各々の部屋からでて、ジムリーダー達がくるまでリーグの入り口でとめることだってできた……。  
 そうすればNは、とトウヤはそこまで考えてやめた。とりあえずは勝利をおさめねば正式な殿堂入りは果たせない。  
 
「いい加減起きてください。いい大人が職務放棄ですか」  
 
 声をあげるとカトレアが起床したのかもぞもぞとラメが散りばめられたベッドがもぞもぞ動きだす。  
 しかしそれだけで、カトレアはなかなかベッドから顔を出そうとはしなかった。  
 トウヤの頭に苛立ちが立ち込める。レンブのところはこの次に訪れるとしてギーマもシキミも部屋にいなかった。ふざけている。  
 
「……うるさい人」  
 
 舌打ちをするとやっとめんどくさそうにそう言ってカトレアが上半身を起こした。  
 まだ夢の世界を見つめているようなとろんとした目、ふわふわと美しい曲線を描き広がる紅茶色の髪。あきらかにネグリジェのような服。あの時から何も変わってない。憤りも消え失せそうなほど美しい容姿。  
 彼女はゆっくりとした動作でベッドをでる。足取りもゆっくり。そしてトウヤを眼光鋭く睨み付ける。  
 トウヤは少しひるんだがそれは一瞬で、カトレアは改めてトウヤみて少し思い出したようにまぶたをほんの少し上にあげた。  
 
「アナタ、あの時の……」  
「今度はちゃんと挑戦しにきたのに、なんなんですかあなた達。ギーマさんもシキミさんもいないし。ふざけてるんですか?」  
 
 トウヤが苛立ちと不満をそのまま悪態にしてぶつける。  
 だがカトレアは小さめのあくびを一つしただけで依然としてけだるそうにトウヤの前に立ち、モンスターボールにも手をかけない。  
 
「ギーマとシキミは今頃ベッドでお楽しみなんじゃないかしら」  
「な……っ? は!? ひひひひ昼間から何の話ですか!」  
「……随分と滑稽な童貞だこと」  
「っきめつけないでください!」  
 
 

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