「ただいま」  
 
ガランとした部屋に、青年―レッドの凜とした声が小さく響く。  
この青年、数年前のセキエイリーグでチャンピオンになり、それから一人で暮らしはじめ、しかし別の地方へ別の地方へと旅を繰り返していた。  
一人旅とは言わないが、しかし連れ立つのはいつもポケモンと、一人二人のジムリーダーたちだけ。  
女のジムリーダーと旅をする時には、特にエチケットなどに気をつけたものだ。  
 
「さて。カミツレちゃんとフウロちゃんだったかな、帰ったよって連絡しておこうかな」  
 
鞄の中に仕舞われていた財布の中に入っていた、イッシュ地方で出会った美少女ジムリーダー二人の連絡先の書いてあるメモ帳を取り出すと、ポケナビを使って連絡を取ろうとして―――。  
 
レッドは、思わず顔を引き攣らせた。  
眼前の小さな鏡に映る、三人の美少女――否、美女たちに気付いて。  
 
「お帰りなさい、レッド」  
「今回もまた現地妻を作ったのね」  
「わ、私では足りないのですか?」  
 
雑誌のトップを飾る程の美貌を持つ、実際にファンも多いジムリーダーのカスミ、ナツメ、エリカの三人である。  
カスミは露出度の高い服、ナツメは白いワンピース、エリカは和服姿で、見るものを魅了する微笑みを浮かべていた。  
 
「浮気ばかりのキミには、やっぱりオシオキが必要だね」  
「貴方が悪いの。私たちはずっと貴方だけなのに」  
「はぁ・・こんなにいやらしい女にしておきながら、放っておくなんて・・」  
 
ジリジリと距離を詰めてくる美女三人に勝つ術などないのだと、レッドは身を持って知っている。  
妙に部屋が綺麗なのは、この三人が片付けたり掃除してくれていたからなのかな、などと思いながら。  
 
レッドはそれから数日、三者三様の身体を嫌と言うほど味わうことになったのだった。  
 
 

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