視界の端を、黄色く揺らぐ星に似たそれが掠める。 
幾ら追えど中々距離が縮まらぬそれは揶揄う様上下に揺らめき、鼻先を擽ったかと思えば不意に跳ね上がって小さな少年の牙から逃れる。 
筋肉が伸縮する都度生まれる電気は何時しかその小さなポケモン…コリンクの体躯にぱちりぱちりと纏わりつき、一際大きな電撃が走った刹那、コリンクの小さな牙は、逃げ惑うそれ―…己の尾の末端を捉えた。 
がふ、がふ、と何度か噛み付き、微かな痛みと、身を縮める息苦しさに負けて甘噛みしていた尻尾を離す。 
「あーあ、つっまんないのっ」 
自分の唾液でデロデロになった尾から口を離し、コリンクは拗ねた様に呟いた。 
そのまま、無造作に草原へと身を伏せる。 
前足の間に低い鼻先を埋め、乳臭さと太陽の匂いが入り混じった柔らかな毛皮へと湿った鼻先を擦り付けた。 
「……、兄ちゃんの嘘吐き。…先に、僕に狩を教えてくれるって約束してたのに」 
穏やかな風にコリンクの大きな耳がピクピクと震え、頬がぷう、と幼く膨らむ。 
強く逞しく、誰よりも優しい兄は、進化してからと言うものどうも変わってしまった。 
少し前迄なら、コリンクとの約束を反故することなんて考えられなかったと言うのに、最近はそれが増えて来た。 
それもこれも、大人達が言う「立派な雄の勤め」のせいである。 
 
『悪いな、コリンク。…絶対に、この埋め合わせはするから』 
申し訳無さそうに耳を後方に寝かせ、尾を揺らす兄の後ろには、長い睫毛をこれ見よがしに瞬かせ、艶やかな毛皮に覆われた美しい雌のポケモンがいた。 
肉付きのいい腰をくねらせ、白く健康な牙や、澄んだ眼を持つ彼女達は、しっとりと濡れた鼻先を兄に摺り寄せ、そして思い出したかの様に小さなコリンクを一瞥する。 
『早く行きましょうよ、レントラー。…ごめんなさいね、坊や。お兄さんを、少し借りるわね』 
柔らかな、姉や母とは違う、幼いコリンクの体をざわざわとむず痒くさせる雌達の声音を思い出す都度、コリンクの腹はかっかと熱を持つ。 
それが大好きな兄を取られる悔しさからなのか、それとも、別の本能的なそれなのかは、コリンクには未だよく解らない。 
解らないけれども、どんなに念を押そうが、ずっと前から約束していようが、一度彼女達が現れると、レントラーはコリンクを置いて行ってしまう。 
コリンクの解らない、けれども群れのため大事な仕事をしているらしいことは、両親や他の兄弟からも聞かされていた。 
その行為は、コリンクとの約束よりもずっと重要なことでもあり、コリンクも大きく成長した末には同様の仕事をするのだ、と言われても今一ピンと来ないし、何より、 
「面白くなぁい」 
柔らかな草地に転がり、抜ける様な青空を見上げ文句を吐き出す。 
青々と茂った草地の上で背中を撓らせ、掲げた自分の右前足を見た。 
「……、大きくなぁれ」 
兄と一緒に埋めたモモンの種へと語りかける様な口調で、コリンクは小さく呟く。 
大きなレントラーの前足にすっぽりと納まってしまう程小さな自分を、コリンクは口惜しく思った。 
にぎにぎと小さな指先を動かし、柔らかくぷっくりと盛り上がった肉珠で虚空をなぞる。 
兄が自分を置いて行くのも、大事な仕事の内容を教えてくれないのも、今自分がこうして退屈な留守番をしているのも、コリンクが小さく幼いせいだと、コリンクは理解していた。 
「大きくなぁれ、はやく大きくなぁれ」 
大きく、逞しくなったらきっと、兄のレントラーが自分を置いて行くことはぐっと少なくなる。 
一緒に狩も出来るし、群れのために戦うことも出来る。 
兄と同様に、否、兄以上に大きく逞しくなれたなら、兄に寄り添うのはあの美しい雌達では無く、自分になるのでは無かろうか。 
うん、きっと、そうだ。 
そんな夢想をしながら、コリンクは大きな眼に己の前足を映しながら呪文を唱える。 
「大きくなぁれ、大きくなぁれ、大きくっ……?!」 
「待つのであーる、ショタボーイ…」 
小さな前足と抜ける様な青空、そして黄色くにやついた顔が、コリンクの視界へと突如入り込む。 
ぬるり、と何故か粘着質な擬音が似合う登場をしたそのポケモンは、尖った耳を小さく動かした。 
「小さき事は至宝、未進化こそ正義…っ!聞き捨てならぬ呪文に誘われ、幼ポケモンをこよなく愛する正義のポケモン、スリーパーにーにがっ」 
言葉途中で、コリンクは迷わず発光した。 
正しい判断である。 
「うお、まぶしっであーるっ!!」 
不審者丸出しのスリーパーの眼を迷い無く潰し、コリンクは逆立った毛並みもその儘に草原を駆け出した。 
「ちょいと待たれいっ!なんであーる!」 
しかし悲しき哉小さなコリンクの素早さや紳士たるスリーパーに劣り、少年の低い鼻が突如出現した光の壁に押し潰された。 
「きゃうっ!!」 
無様に転がるコリンクの顔を、改めてスリーパーが覗き込む。 
「むっふっふ。心配無用、何も言わなくていいのであーる。何せ我輩、悩めるショタボーイのことを影ながら見守っておったが故、全ての事情は既に把握済なんであーる!」 
紳士の嗜み、ストーキングをこのスリーパーはコリンクに対して行っていたのだった。 
ただしその行為は、何もかもを見通すレントラーがいない時に限られていたが。 
目を回して伸びているコリンクを他所、スリーパーは背筋を撓らせ、豊かな毛に覆われた胸を張った。 
暫しその状態を継続していたが、全く反応が返らないことを不審に思い、改めてコリンクを見た。 
「うむう?」 
膝を曲げて屈み込み、指先で鼻先を突く。 
暫し考え込んで、天へと突き出された前足を掴んだ。 
柔らかな肉球を、無造作に揉みしだく。 
「………」 
むにむにむにむにむに。 
柔らかな感触と弾力に眼を細め、特徴的な大きな鼻を柔らかく短い獣毛へと埋め胸一杯に匂いを嗅ぐ。 
鼻腔を満たす太陽と甘酸っぱい様な乳臭さに、知らずスリーパーの息が荒く弾んだ。 
「んむむむ。何たる悩ましき極上スメル…ッ!むぅふっ…っ!名残惜しいが、お仕事お仕事、なんであーる」 
滴る涎で濡れた毛並みを整えるふりをしながら丸い腹部を撫ぜ、スリーパーは気絶したコリンクを見下ろす。 
「キュウコンの毛にキレイハナの花粉、これにモモンエキスとビークインのロイヤルエキスを加えて……」 
何ぞ呟きながら、スリーパーは仕事を始めた。 
にちゃにちゃと音を立てる粘液を、幼いコリンクの体へと塗りこめる。 
瞬く間に馴染むそれから漂う香りに、スリーパーは若干顔を顰めた。 
「これでショタボーイのお兄ちゃんも、ほっとくことは無いんであーる。もっともっと、仲良くなれるであーるよ、むふふふっ!!」 
己の手からも強く香るそれに、スリーパーはひくひくと鼻を鳴らす。 
「むふう。確か近くに川があった筈であーる。手を洗うついでにこの余韻で…うほほほっ!!」 
 
青空に陰りが落ち、ヌケニンが物悲し気な鳴き声を奏でる。 
冷たくなった風に鼻先を擽られ、コリンクは小さなクシャミと同時に目が覚めた。 
慌てて跳ね起き、周囲を見渡してみるが、突如現れた謎のポケモンの姿は何処にも無い。 
ただ、仄かに胸を擽ったくさせる様な匂いが、何処からともなく漂っていた。 
それが己の体から香るものだとは露とも思わず、一連の事柄を夢と片付けたコリンクは、それきり忘れて家路へと急いだ。 
 
群れに近づくと、慕う兄の匂いが風に乗って届いた。 
そう間もない内に、静かに佇む大柄な兄の姿が視界に飛び込む。 
コリンクの眼が輝き、喜びの閃きがばちりと音を立てて周囲に散った。 
少年は小さな体を精一杯伸び縮みさせ、兄のもとへと駆け寄る。 
「兄ちゃん!!」 
弾む声音に誘われ、レントラーの視線が緩やかに持ち上がった。 
何処か気怠さの残る熱っぽい眼が穏やかに和み、緩む口元から白く尖った牙を覗かせる。 
「コリンク。…今日は悪かったな、退屈だっただろう。明日こそ、狩に――…」 
弾丸の様に飛んできた弟を受け止め、足に纏わりつくコリンクの体を何時もの様鼻先で押し遣り宥める。 
不意に、レントラーの鼻先がくん、と蠢き、コリンクの小さな体へと懐かせた儘、くんくんと執拗に匂いを嗅いだ。 
「擽ったいよう、兄ちゃん」 
コリンクが片方の前足を持ち上げ、足踏みし、執拗に匂いを嗅ぐ兄の勢いに負けてころりと転がる。 
顎下から一際柔らかな産毛の生えた首周り、薄く起伏する胸部分や丸い腹部を、兄の鼻先が掻き分け、匂いを嗅ぐ。 
「……コリンク。…俺が留守の間、違う群れの牝と会ったか?」 
一頻り匂いを嗅ぐとレントラーは顔を引き、口周りの襞を捲る様に舌舐りする。 
「?会ってないよ」 
不思議そうに首を傾ぐコリンクを見下ろしながら、レントラーは落ち着き無く鼻をひくつかせ、右の後ろ足で砂を蹴った。 
「――…コリンク、お前……」 
耐え入る様に眼を細め、レントラーは一際匂い立つコリンクの下腹部に熱い息を吐き出す。 
未成熟なコリンクの恥部は細く小さく、見ただけではそれと解らぬ程ささやかな皮鞘に納まり、下の睾丸も、卵から孵ったばかりのチェリンボ程しか無い。 
だと言うのに、其処からは濃厚な雌のフェロモンが漂い、交尾の余韻が引かず火照るレントラーの体を誘う。 
きゅっと可愛らしくつぼんだ肛門が、ひくひくと息衝く様すら、何処か官能的に見えて来た。 
「兄ちゃん……」 
黙り込んでしまった兄を不審に思い、コリンクは小さな前足を長い口吻へと掛けた。 
かかる熱い吐息が擽ったく、尿意の様な疼きが陰茎の根元で溜まるのを感じる。 
小さな皮鞘の中で、己の一部である物がゆるく上下し、引き攣る様な感覚がコリンクを襲う。 
当惑するコリンクを他所、兄であるレントラーの頭の中には、様々な疑問符が沸いて出ていた。 
何故弟の体から雌の濃厚なフェロモンが漂って来るのか。 
考えられるのは、幼い弟が、己の知らぬ間に牝とつがっていたと言うことだ。 
しかしそう考えるには、弟の体は未だ未成熟過ぎるし、純粋な牝の匂いだけで、雄特有の気に障る匂いが一切無い。 
そして何より、弟が己に隠し事をする筈が無かった。 
答えが見つからない儘執拗に匂いを嗅ぐ内に、燻っていた性欲が煽られ、思考はぐにゃりと蕩け、敢え無く霧散した。 
「――……兄ちゃん、…兄ちゃん。ちんこ、腫れてるよ」 
眼を見張り、心底心配気に告げられて、レントラーは体の異変を知った。 
鼻梁に皺を寄せながら瞬き、弟の体から顔を離す。 
レントラーの剛直は青みかかった黒毛で覆われた皮鞘から顔を覗かせ、ぬめぬめとした赤黒い肉茎を外気に晒していた。 
昼間散々雌と睦みあった獣茎は微かに腫れて熟れた光沢を纏い、むっと篭る匂いが周囲に漂う。 
重たく拉げた頭を揺らす肉茎に顔を顰め、レントラーは深呼吸を繰り返す。 
「大人の雄になると、時々こうなる。……兄ちゃんは自分でどうにか出来るから、コリンク、お前、体をちょっと洗って来い」 
若干血走った眼を逸らしながら、それでも何時も通りに振舞う兄を見て、コリンクはほっと息を吐き出した。 
安心したついでに、何時もの様甘えてごねる。 
「えーっ、水浴び嫌いだよう」 
「いいから。言う事聞かないと、明日連れてってやらないからな」 
ごねる弟の首根を甘噛みし、くっと首を動かして軽く放り投げる。 
容易く転がった弟が、渋々と川辺へ向かうのを見届けてから、レントラーは重たい腰をどっかりと下ろした。 
上半身を捻り、片足を持ち上げて、存在を主張する己のペニスを見下ろす。 
「何だってあいつ、あんな……」 
微かに湿り気を残したレントラーの毛からも、薄らと牝のフェロモンの名残が滲んでいた。 
散々肉感的な臀部を擦り付けられ、愛液の飛沫を受けた下肢の獣毛は、それが一層顕著であった。 
しかしその匂いも、先程コリンクの体から漂う香りに比べれば、水の様に薄い物でしか無い。 
答えの出ない疑問を頭を振って追い出し、レントラーはやや切羽詰まった様子で背中を丸めた。 
自ら腫れた陰茎へと顔を寄せ、根元から先端へとざらついた舌平を懐かせてねっとりと舐め上げる。 
甘く饐えた様な、塩辛い様な複雑で生々しい味と、背筋を走る甘い疼きに、黒色の毛皮を逆立てて震えた。 
年頃のレントラーにとって不意の勃起は然程珍しいことでは無く、本来ならば今回の様性急に処理する必要も無い。 
空をぼんやり眺めでもしていれば、自然に収まるものである。 
けれども、今回ばかりはそれで収まる気が到底しない上、下手すれば己を慕う弟を牝の様に使ってしまいそうだった。 
「っ…ん」 
先端からどぷりと溢れる先走り汁の味に、レントラーの舌から唾液が滲む。 
雄の本能が味を拒絶する一方で、神経が集中した箇所を粘膜で嬲られる快楽に、腰が戦慄き、開いた腿の付け根が痙攣する。 
処理を目的とした舌の動きは性急で、己の弱い箇所ばかりを執拗に責め続ける。 
舌を強く押し付けて舐り、尖らせた先端で拉げ汁を滲ませる鈴口を突き、重たく撓る獣根を弾く様軟体を蠢かせた。 
顔周りが己の汁でべたべたに汚れるのも構わず、柔らかな体を丸め、舌を肉茎に絡めた状態で、拉げた肉槍の先を銜える。 
滲み出る粘液の獣臭さに眼を眇めながら、じゅるじゅるとはしたない音を立てて肉茎を啜る。 
一度だけ、レントラーの体が強張り動きを止めるも、すぐに目の前の快楽を優先し、淫らな自慰を続けた。 
鈍く脈打ち、水の様に薄い汁を溢れさせる獣根を執拗に舐る内、根元から肉瘤が盛り上がり、どぶ、と重たく濃厚な精液を撒き散らす。 
肉瘤がしゃくり震える都度、溢れ出る精液がレントラーの口端から零れる。 
空を掻く様に突っ張り、揺れ動いた後ろ足を緩やかに下ろし、レントラーは猶も萎えぬ雄茎と、叢の影に潜む弟の姿を見て溜息を漏らした。 
巧妙に隠れたつもりだろうが、分厚い石壁すら透視することが可能なレントラーの眼には、生い茂った草木など何の意味もなさない。 
「コリンク…ッ!」 
叱責しようとレントラーが口を開く前に、コリンクは弾丸の様一直線に兄目掛けて駆け寄って来た。 
「怒らないでよ、兄ちゃん。違うんだもん、僕、僕っ……」 
額を前足へと押し付け、小さな肩を震わせるコリンクの体からは当然の様に甘く立ち上るフェロモンが未だに絡みついていた。 
言いつけ通り水浴びをせず、叢から一部始終を見ていたのだろう。 
勃起状態を継続していたレントラーの肉茎が、ずくりと鈍く疼く。 
花の様な、果実の様な、それでいて生々しいフェロモンに混じる特有の匂いに、レントラーは耳を小さく動かし、首を傾いだ。 
口を閉ざし、弟を見下ろす。 
涙で潤んだコリンクの眼が兄を縋る様に見上げ、自ら前足を折り、身を捩って柔らかな腹部と、兄の様粘膜を露出させた下肢を晒した。 
ピンク色の小さな錘は視線を受けて震え、先からとぷりと蜜の様な先走りを滴らせる。 
「僕のちんちんも、は、腫れちゃったから、治し方教えて貰おうと思って…、兄ちゃん」 
ぐず、と嗚咽を零し、甘えて鼻を鳴らすコリンクを見て、レントラーは苦笑した。 
「兄ちゃんの治し方は、大人しか出来ないやり方なんだぞ」 
獰猛にうねる性欲を強引に抑え付けながら、鼻先をコリンクの鼻へと寄せる。 
濡れた鼻頭同士が擦れ合い、喘ぐコリンクの口を、レントラーの舌が舐った。 
「ふ、ぁ。ぼ、僕も、ちんちん硬くなったよ。もう、大人の雄だからっ…」 
精液の味がしみ込んだ軟体へと迷い無くコリンクはしゃぶりつき、ちゅっちゅと小さな音を立てて啄ばみ、吸い上げる。 
それに応じ狭い口腔へと入り込む分厚い舌肉に堪らず仰け反り、大きな眼を瞑って震えた。 
「ふ、ぅ、兄ちゃん、…兄ちゃん…っ」 
もどかし気にコリンクの前足がレントラーの顎を引っ掻き、鋭い牙が舌肉に食い込む。 
熱を持った口腔を散々舐め回した後、レントラーはずるりと舌を引き抜いた。 
「そうか」 
レントラーは微かに笑み、その儘毛並みを撫で付ける様にコリンクの体を舐る。 
普段はくすぐったいだけの動作に、今までに無い快楽を見出しながら、少年は細る声で兄を呼んだ。 
「っ…兄ちゃん…、僕、おしっこしたいのに、おしっこが、出ない…ぃ。兄ちゃんがちんこ舐めるの見てから、ちんちん痛い、し…兄ちゃん、兄ちゃぁん」 
「心配するなコリンク、兄ちゃんが全部何とかしてやる」 
甘えた声音で鳴く弟を至極優しい声で宥め、レントラーは眼を細めた。 
同性且つ肉親、且つ幼い弟に対して劣情を催した罪悪感は切な気に戦慄く陰茎を見た途端吹き飛び、微かに残っていた理性は肉欲に塗りつぶされた。 
兄の太い足が草地を踏み締め、顔を震える弟の下肢へと寄せる。 
「くぅ、んっ」 
緊張に張り詰めた腿を舐るだけで、コリンクの小さな体はぶるぶると震えた。 
膝を曲げて身を屈め、今より幼い頃そうしてやった様に、肉厚の舌を窄んだ菊座へと押し当てる。 
「っは、ぁ、…ぁ、あっ…ぁあ、あんっ」 
唾液を塗布するための蠢きは緩慢で、肉厚な舌が薄い襞を押し上げ、歪ませ、ぷちゅりと音を立てて開いた窪へと舌先を捻じ込み、滴る唾液を注ぎ込む。 
泡立つ唾液がひくつく肉穴へと絡み、舌が跳ねる都度ぴちゃぴちゃと甲高い音が響いた。 
「兄ちゃ…ぁ」 
「!!」 
弟の尻穴を舐るレントラーの腰が跳ね上がり、口周りを唾液と己の精液で汚した儘顔を離す。 
視線の先には、小さな口で腫れあがったレントラーの陰茎へと、健気にもしゃぶりつく弟がいた。 
先細りの先端だけを懸命に息継ぎしながら銜え、包み込む舌肉が小刻みに上下して敏感な粘膜を舐る。 
乳を吸う様絞り込む口腔の感触に、レントラーの硬い毛並みは逆立ち、発達した腿の筋肉が小刻みに痙攣した。 
「こ、コリンク…無理、は、…ぅ、く…っはぁ…」 
「ん、…ぷ、…っ…ぼ、僕、僕も、兄ちゃんの、治す…っ、だって、も、大人だか、ら…」 
口蓋の隆起が茎の先端を揉み潰し、あぐあぐと咀嚼染みた動きで締め付けられるのが何とも心地がいい。 
とろ、とレントラーの口から唾液が溢れ、無意識の内に揺らぐ腰を懸命に押し留める。 
眼だけで笑うと、再び大きく口を開き、コリンクの陰茎を玉ごと銜え込んだ。 
「っ!ひゃぁっ…ふ、…ぁ、兄ちゃ、…んんんんっ」 
れろ、と蠢く舌が玉を転がし、舌と口蓋の合間で幼い肉茎を圧迫しながら吸い上げる。 
幼い肉茎は容易く脈動し、小さな体が撓り震えるも、未だ精通を迎えていない獣根が、絶頂を迎えることは無い。 
ただ目の前が白く爆ぜる様な快楽の波と、激しい電撃が身を焦がすばかりであった。 
「ふ、や、ぁ、あっ…っぼ、僕も、兄ちゃんの、ちんちん、舐め…っ…んん、ん、やだ、やだ、兄ちゃぁんっ」 
コリンクも小さく薄い舌を伸ばしてレントラーのペニスを舐ろうとするも、熱い兄の舌が精嚢を揺すり、皮と粘膜の境を苛む度口は外れ、ただ鳴き声を上げるだけになってしまう。 
ふうふうと鼻腔から熱い吐息を零し、レントラーはそんな弟の様子を満足気に見下ろした。 
「僕、もぉ……」 
翻弄されながらいじましくコリンクはレントラーのペニスへと頬を摺り寄せ、水を舐め取る様な舌の動きで鈴口を苛む。 
ちゅう、と湧き出る粘液を啜り、咽喉を鳴らして飲み込んだ。 
「大人、大人に、なってぇ…、兄ちゃん、と、ぃ、一緒にいるのぉ…、ず、ずっと…、置いてけぼりは、もー、や、やだもん。兄ちゃん、兄ちゃん」 
顔を己の唾液と兄の先走りの汁塗れにして、コリンクは健気に訴えかける。 
レントラーの背筋に、何とも言えぬ愉悦が走った。 
しゃぶっていた股間から口を離し、改めて弟の顔を覗き込む。 
大きな眼から溢れ出す涙を、レントラーの舌が舐め取った。 
「コリンク」 
優しい声での呼び掛けに、コリンクは薄らと眼を開く。 
舐られた肛門に、レントラーの猛るペニスが押し当てられていた。 
「――……兄ちゃんのこと、好きか?」 
コリンクは泣きながら、何度も頷く。 
合間に、何度も兄を呼んだ。 
レントラーは「そうか」と小さく呟くと、ぐっと沈めた腰を押し進めた。 
小さな弟の体に、兄のそれは長大過ぎた。 
軋む筋肉の痛みと押し広げられる圧迫感に、コリンクは小さく悲鳴を上げ、仰け反る体を強張らせる。 
「きゃうっ…!」 
仰け反るコリンクの咽喉をぞろりと舐め上げ、余りの狭さにレントラー自身さえも顔を顰めながら、慎重に腰を揺すり、中を丹念に擦り上げ拡張して行く。 
唾液と粘液が潤滑の役目を果たし、狭い粘膜をぬらぬらと舐め上げながら奥へ奥へと入り込んで行った。 
「んー…ぁ、っはぁ…ふ、…お尻熱い、兄ちゃん、…ちんちん、ズクズクして、痒いぃ、おしっこ、出る…っ」 
無意識に詰めた息を吐き出し、コリンクは身を捩じらせ、伸縮する筋肉の動きにより電気を発生させながら訴えかける。 
陰茎に押し上げられ、磨り潰されて生じた前立腺で得た快楽を上手く処理が出来ず、苛烈すぎる快楽に泣き咽び兄に縋った。 
「…っは、ぁ、はぁっ…はぁっ…くぅんっ!」 
ずず、と重たい陰茎が粘膜を引き摺り、ゆっくりと狭いコリンクの中から出て行く。 
突っ張ったコリンクの四肢が痙攣し、うねる肉壁が粘膜を舐る。 
ひくつく肉筒が完全に閉じきらぬ間に、ずず、と再度肉茎が内部へと沈む。 
行き場所を失い溢れ出た粘液が、ぶぷ、と濡れた音を立てて窄む淵から溢れた。 
「…コリンク……お尻が熱くなる場所、どこだ?…ジンジンしたら、兄ちゃんに教えろ、いいな」 
コリンクを気遣うレントラーの腰の動きは浅く、緩慢で、尖った先端でなぞる様に収縮する粘膜を撫ぜる。 
「そ、こ。そこ、擦られる、と…ちんちんが、…」 
丁度先端のみが潜り込む位置でコリンクの体が跳ね、掠れた声で素直にレントラーへと告げた。 
「そうか」 
「っ?!は、ぁ、そこ、…そこ、やだ、やだぁっ!兄ちゃん、そこだめ、らめっ」 
己の体に異変を齎すポイントを避けてくれるとコリンクは期待したのに反して、レントラーは敢えてその箇所だけを執拗に舐った。 
先端で薄く盛り上がったしこりを押し潰し、溢れ出る先走りの汁を擦りつけ、浮き立つ筋でゴリゴリと押し潰す。 
精嚢が内部から揺さぶられ、刺激される刺激にコリンクは身を縮め、回らぬ舌でレントラーの動きを制しようとした。 
熱で茹る体躯から益々フェロモンが濃く漂い、そこにコリンク自身が持つ乳臭さや獣臭さが混じり、一層レントラーの本能を煽る。 
浅い箇所でぐじゅぐじゅと掻き乱された肉筒は徐々に柔らかく蕩け、徐々にだがレントラーの肉茎を飲み込んでいった。 
未だ根元迄飲み込めぬまでも、狭い肉筒に絞り込まれ、レントラーはこみ上げる快楽に酔う。 
びゅる、と先端から汁が迸り、根元から肉瘤が競り上がる。 
ぐりぐりと肉茎を飲み込んで引き攣る肛門の淵を肉瘤に責められ、コリンクは小さく四肢をばたつかせた。 
「兄ちゃん、…兄ちゃぁんっ…、は、ぁ、あぁ、変、お腹、熱いっ…ぁあ、あんっ、兄ちゃんっ」 
びゅぶ、と鈴口から濃厚な精液が迸り、どぶ、どぷ、と鈍い音を立てて熱い粘膜を汚す。 
逞しいレントラーの腿が痙攣し、コリンクも眼を瞑って全身で戦慄く。 
数秒の緊張の後、弛緩する弟の体から漂う匂いに、レントラーは口が渇く程の興奮を覚えた。 
 
 
コリンクの視界の端で、黄色く揺らぐ星に似たそれが掠める。 
幾ら追えど中々距離が縮まらぬそれは揶揄う様上下に揺らめき、鼻先を擽ったかと思えば不意に跳ね上がって小さな少年の牙から逃れた。 
まだ低いコリンクの鼻先を、ぱしりと大振りな星が叩く。 
それでもコリンクは嬉し気に笑い、レントラーの尾を追い回していた。 
細めたレントラーの眼には、じゃれつく可愛い弟の姿と、遥か遠くの場所で無数の牝ポケモンに追い回されるスリーパーの姿が映っていた。 
 
「うひょおおおお何で我輩追われてるんであーる?何も悪さはして無いんであーるっ!!」 
「お待ちいいいいこの泥棒チョロネコッ!雄の分際でうちのリーダーを誘惑しくさってっ!!!」 
「求愛行動を邪魔する奴は、ポニータに蹴られて死んじまえですうっ!!!」 
鬼気迫る牝の迫力に怯え、スリーパーは自慢の催眠術を使う余裕すら無くして逃げ惑っていた。 
「誤解なんであーる!!匂いを落とす前に奴がっ!!」 
「お黙りっ!こうなったらアンタの子種、搾り取らせて貰うわよっ!」 
「ひいい!我輩熟女はノーセンキュー!!!!」 
徐々に遠退く悲鳴と怒声に鼻を鳴らし、レントラーは動きを止めてもじもじしているコリンクへと改めて視線を移した。 
「兄ちゃぁん、僕……」 
「すぐに治してやる」 
レントラーは口の周りを舌で舐め、緩やかな動きでコリンクへと顔を寄せた。 

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