ビリリダマの全身が小刻みに戦慄き、球体の周囲に瞬きに似た閃光が走る。  
凡そ人相、否、ポケ相がよいとは言えぬ面が一層険しく顰められ、50cm程の体が不意に膨張したかと思うと、周囲に轟音を鳴り響かせ爆発する…筈、であった。  
「じばく、は封じ込めちまったから、出来ないって何度言ったらわかるんだ?」  
溜息と共に、一人の男がビリリダマへと向き直る。  
男は右手にドライバー、そして左手には涙ぐみ震えるコイルがいた。  
「!!!」  
ビリリダマが憎悪の表情で男を見上げ、無駄と知りつつ体を無茶苦茶に捩って電磁波の床から少しでも体を動かそうと足掻く。  
「未進化で口もない、見ることしか出来ない役立たずなんだから、大人しく見てろよ」  
男は醜悪に口許を歪めて笑みを形作り、見せ付ける様緩慢にコイルの下部にあるネジへとドライバーの先端を押し当てる。  
ひたり…と鈍く輝く先端が押し当てられると、露骨にコイルの体が震えた。  
大きな眼の表面が涙で温み、つぶらな虹彩が極度の羞恥に頼りなく揺らぐ。  
「大切な恋人が、人間に無茶苦茶にされてるところをな…!」  
薄い唇が捲れ上がり、獣を思わせる獰猛な歯列を覗かせて男は笑った。  
軍手に覆われた手が無遠慮にコイルの丸みを鷲掴み、かち、と音を立ててネジのヘッド部分を乱暴に男は爪弾く。  
「!!!!」  
コイルの嬌声とビリリダマの怒声に喉を鳴らしながら、押し当てたり離したりを男は繰り返す。  
「ほら、仄かに磁力を帯びてるやつだから堪んねえだろ…、いやらしいネジだ、吸い付いて来やがる」  
男の言葉を否定する様嫌な音を響かせるコイルであったが、突起物が窪みにぴったりと押し当てられると、堪らず丸い一つ目を瞑った。  
男は荒い鼻息を笑みに混じらせて隠し、無骨な腕へと太い血管を浮かせる。  
その指からは想像も出来ない繊細な動きで、ネジをおもむろに回し始めた。  
体内の溝を絶妙な動きで擦られ、緩められたかと思うと一気に締め付け抉る動きに、コイルが放つ電磁波も思わず激しいものへと変化する。  
知らず自らの意思で浮遊を続けるコイルから男は片手を離し、工具箱から新たな淫具…マイナスドライバーを取り出した。  
「!!」  
溝にピッタリと嵌るプラスドライバーとは異なり、若干太すぎる感のあるマイナスドライバーは、悪戯にネジのヘッド部分を掠めるだけだ。  
しかし、男は強引に溝へ捻じ込み、力任せにネジやその溝を陵辱する。  
金属同士が噛み合い、擦れ合う淫媚な音が、周囲へと響き渡る。  
下肢を襲う一方的な、そして苦痛にも近い過度の快楽によりコイルの眼は頼りなく宙を彷徨い、ひっきりなしに電磁波を放出する磁石部分が痙攣しながら持ち上がる。  
「おら!彼女のあへ顔ピースをたっぷり拝みやがれ!」  
男の興奮も高まり、下部のネジを弄っていたドライバーを一旦離し、二本纏めてだらしなく盛り上がったヘッド部分へと捻じ込んだ。  
「!!!!!」  
窓ガラスを一気に引っかく様な、耳障りな音が響き渡る。  
「ドライバーでアクメ迎えやがったか…淫乱コイルが…」  
ビビリダマは無力に転がり、彼女の恥辱に怒りを募らせる一方で、点滅とカウントダウンを始める。  
「おい、だいばくはつしそうなのか?恋人がレイプされてんのを見て、だいばくはつたぁたいした恋人だな!」  
男の嘲笑が、ビビリダマのカウントダウンを一層早めた。  
「そら、だいばくはつしてみろ!見ててやるから、俺と恋人の前で無様にNTRだいばくはつしてみろよ!」  
ビリリダマの心を襲うのは、怒り、悔しさ、そして、目を逸らすことの出来ない程の不可解な快楽と興奮であった。  
床に縫い付けられたままビリリダマの全身が発光し、周囲は閃光に包まれた。  
 

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