幕間:黄泉戸喫
※黄泉戸喫(よもつへぐい)……彼岸で煮炊きした食べ物を食し、此岸に帰って来れない事を言う。伊邪那美命(イザナミノミコト)がこれをやり、現世へ帰って来れなかった。
――マサラタウン レッド宅
「ただいm……ありゃ?」
「? え、留守?」
帰宅したとき、家の扉は施錠されていた。明かりも消えていた。何時もは日付が変わる時間を過ぎて漸く消灯となる自分の家が、こんな日付が変わる前の時間に沈黙しているのはおかしいと思った。
取りあえず、鍵を開けて家の中に入った。中は真っ暗で誰も居ない。手探りで明かりを付けて荷物を床に置いた。
「……ああ」
カレンダーの日付を確認し、リーフが母親不在の理由を思い出した。
「婦人会の遠征だわ。明日の夜迄帰って来ないわね」
「……そうだった。今回はヨシノだったか」
「うん。愛知」
結婚前は敏腕トレーナーとして有名だったレッド達の母親。出産を境に本格的なトレーナー業からは足を洗ったが、腕を鈍らせない為に近所のポケモン婦人会に参加して小遣い稼ぎをしている。今日はその遠征日だったのだ。
二人にとっては好都合だ。こんな血の臭いをぷんぷんさせて帰って来た自分達を母親には見せたくなった。
「一杯、引っ掛けるかよ」
レッドは冷蔵庫の扉を空け、ビールの三合缶を取り出した。色々動き回ったので喉はカラカラ。体が水分を求めていた。
……先程、人を撃った感触を薄めたいと言う目的もあった。
――プシュ
プルタブを引いて缶を開けた。そして、一気に口を付けるとレッドはゴクゴクとそれを飲み干した。
「げふっ」
ゲップをして缶を置くと、今度は五合缶を中から取り出す。それを片手に持つと、レッドは自分の荷物を抱えて二階へと引っ込んだ。
「……一寸飲まなきゃやってられんわね」
残されたリーフも台所の下の棚を漁ると、度数高そうな洋酒のボトルを取り出し、グラスにやや大目に注いだ。そして、冷凍庫から適当な氷を掴み出してグラスにぶち込んだ。
――ゴクリ
一息で半分近くの酒を飲んだ。食道を伝って熱い液体が胃に溜まって行くのが判った。
「ふううう」
その熱さに身悶えしつつ、更にグラスへ酒を注いだ。
……荒事の後には無性に飲みたくなって堪らない。まるで、疲れた心と体が癒しと慰めを求めている様に。
身体が、熱い。胸の動機も激しい。決してそれは、今飲んだ酒の所為では無かった。
「……よっしゃ」
注いだ酒をぐっと飲み干し、リーフも二階へと昇って行く。
この疼痛を鎮める手段は一つしかリーフは知らなかった。
――レッド宅 二階
レッドは床に胡坐を掻いて銃と格闘中だった。脇には封の開いたビール缶が立っている。
かちゃかちゃ忙しなく指を動かしてバラした銃のトリガー部やバネを確認する。日頃からマメな整備を怠らなければ、得物はそれに応えてくれる。戦闘中に誤作動が起きれば命取りなのだ。だから、入念に手入れをする。
――ガチャ ガシャッ
何の音かと振り向く。其処には妹が立っていた。床には取り落とした彼女の二丁のイングラムが転がっていた。
興味無さそうにレッドが視線を外し、再び銃に意識を集中する。
……すると、背後に気配。
「――っ」
振り向こうとして、動きが止まる。それよりも一瞬早く、後ろから抱き付かれていた。
背中越しに押し当てられる豊満な乳肉の感触。密着するその身体が自分以上の熱を孕んでいた。
「お兄ちゃん……」
リーフの声には何故か艶が乗っている。耳元に吹きかけられる吐息はハアハアと悩ましく、酒臭かった。
レッドはリーフが何を求めているか当然判っている。昔は頻繁にあった事だからだ。
「……後にしてくれんか?」
見ての通り、整備中だ。漸く、気が乗ってきたのに此処で邪魔されては堪らない。それ以前にレッドは乗り気じゃないので相手が面倒臭かった。
「駄目」
だが、それで妹様は納得したりはしない。
「なっ!? ちょ――っ! ……っ」
――グキッ
凄い力で首を横に向けさせられた。一瞬、鈍い音がした気がする。
……そんな事を考える暇も無く、リーフの唇が覆い被さって来た。
ぶちゅ、と言う擬音が聞こえそうな熱烈なキスだった、開始直後から舌を打ち込んでレッドのそれに絡み付く。酒臭く、また煙草の苦味がする唾液を送られ、また送り返した。
ぐちゃぐちゃくちゃくちゃと口腔を蹂躙するリーフの舌。レッドは魂を吸われない様に必死に抵抗した。
――ちゅぽ
二人の間で唾液の糸が伝う程の大人のキスだった。リーフは妖艶な顔と声で言う。
「どう? 興奮、した?」
「――この女郎(めろう)」
長い付き合いだけあって妹は兄を煽るのが上手い。だが、それに敢て乗ってやるのも漢の道だ。少なくとも、この痛む首の礼だけはしなくてはいけない。レッドは銃の整備を中断する事にした。
――その腰、撃沈してくれる!
妹のリーフに勝負を挑まれた!
「ちゅっ、ちゅ、ちゅう……っ、はあ……お兄ちゃん、おにいひゃん……」
「っ、つ……くっ、リーフ……っ」
ベッドの上で影が二つ踊っている。
半分上体を起こしたレッドの上にリーフが覆い被さっていた。
狂った様にキスをせがむ妹に応える兄貴。二人の口は唾液でベトベターだが、そんな事を全く気にしている素振りは無かった
「ったく……相変わらず、っ……病気だな、お前は」
「おにいひゃんらって……ちゅぷ。くちゅ、……大変な変態さんでいらっしゃる癖に」
キスの合間の軽口。この場合、どっちもどっちの気がしないでもない。
殺しの後に発情して兄を求めて已まないスケベ妹。そんな妹を跳ね除けず、寧ろ餌食にしてしまう鬼(おに)いちゃん。どちらも大差は無い。
「へ、へへ。違いねえ」
「んふふ……あたし達、変態さん……♪」
二人は寧ろ、それを誇っている様な素振りすらあった。禁忌に胸躍らせ、心も股間も熱くし、お互いの肉を貪る。そんな背徳感が何にも勝って心地良い。
「うぬ……っくう……」
レッドが呻く。股間から甘い痺れにも似た感覚が襲う。リーフがレッドのジーパンのジッパーを下げて、片手の掌で勃起した一物を捏ねていた。
先走りの涎を零して啜り泣くレッドのギャラドスをリーフは細い指先を巧みに使って厭らしく扱き上げた。
「あ、ひあん!」
されっ放しで居るのも格好悪いので、レッドも利き手をリーフのスカートの中に潜り込ませる。太腿に触れるとぬるっとした感触が指先に伝わった。噴出した愛液が其処迄垂れて来ていたのだ。
案の定、下着はお釈迦になる程ぐっしょり濡れていて、クロッチをずらして指を滑り込ませると、リーフの膣肉が待っていた様に指に吸い付いてくる。レッドはそれを認めると直ぐに指三本でピストンを開始した。リーフが気持ち良さそうに喘ぐ。
「お、お兄ちゃんのえっち……あんっ」
「いや、この場合スケベなのはお前だよ」
誘って来たのはそっち。股間に先制攻撃したのもそっち。どう考えても物欲しそうにしているのはリーフだろう。証拠に、浅い部分の天井に在るザラ付いた部分を擦ってやるとリーフが痙攣した。
「スケベじゃ、ないもん」
――どんっ
「ううっ!? な、ちょっ」
突き飛ばされたレッドが背中からベッドに着地する。何だと思って顔を上げると、肉欲そのものを顔に貼り付けたみたいにリーフが舌舐めずりしながら、レッドのギンギンに滾った竿を握っていた。
一瞬、レッドですら我を忘れそうになる威圧感をリーフは放っている気がした。まるでそれが始めて繋がった時のリーフを髣髴とさせる様だった。
リーフは腰を持ち上げてパンツずらして、兄のギャラドスを自分のパルシェンに宛がう。
そして……
「い、いきなりかよ?! ぁ……っ」
――ずぶぶっ
「――はああああぁんんん……♪♪」
体重を掛けて、一気に腰を落とす。妹は兄の分身を容易く飲み込んだ。
再奥迄やって来た兄に喚起する様にリーフは全身をぶるぶる震わせて、蕩けた顔と声で兄に微笑んだ。
「ドスケベだもん……☆」
ノースリーブを脱ぎ、黒いブラを外して投げ捨てる。ぶるん、とリーフの豊乳が外気に晒された。身体の所々に切創や銃創の痕が見られるが、それでもリーフの女としての美しさは損なわれない。
『リーフ(の乳)は俺が育てた』(`・ω・´)キリッ……と言う発言をレッドはしたりしない。
しかし、リーフがレッドに育てられたと言うのは本当だ。(性的な意味で)
高校入学前から凡そ六年以上に渡り兄の手によって耕されてきた肉体は乳のみならず、その全ては瑞々しくも、また熟れていた。
兄もまた肌着である黒いTシャツを脱いで床に投げ捨てた。全身に垣間見られる火傷や銃創は妹を守り、また護られて共に歩んで来たレッドの生き様を象徴する勲章だった。
肉付きの薄い、それで居て搾られた傷だらけの男の肉体は今だけは妹専用だった。
「うふふ♪ 兄ち○ぽおいしいよぉ……♪」
兄と合体出来て嬉しいのか、淫語を憚り無く垂れ流し、兄の怒張を下の口で頬張る妹は淫乱と言う言葉がぴったり当て嵌まる。
快楽を引き出す為に上下に腰を振り、左右にグラインドさせ、器用に襞を怒張に絡めるリーフの技は熟練した娼婦の様だった。
「お兄ちゃんも妹ま○こに一杯どぴゅどぴゅしてね……♪」
「ああ。勿論だ」
きっちり種を撒いて耕す。それがリーフと言う花園を開拓してきたレッドが負う責任だった。だから、妹の腰にシンクロする様に兄もリズム良く腰を叩き込む。
長年連れ添っている兄妹はお互いの気持ちが良い場所をしっかりと知っていた。
ずぼずぼじゅぽじゅぽ卑猥な水音が室内に響く。互いの汗やその他諸々の汁の匂いが混じって何とも生臭く、それでいて饐えた臭いがしている。だが、少なくともリーフはこの臭いが好きだった。
「すーはぁ……んくっ、スーハー……お兄ちゃん……♪」
レッドの肩口に顔を埋めてくんかくんかと兄の体臭を肺一杯に吸い込んでトリップする。この汗と埃と血の臭いの混じった兄貴のワイルドな香りは容易く妹の脳味噌を甘く冒すのだ。ご飯三杯は軽くイける。
「……好きだねえ、お前も。……いや、構わんのだが」
リーフの痴態にレッドは若干引き気味だ。ほんの少しだが、匂いフェチ気味なリーフだが、レッドには別にそう言った性癖は無い。
思えば、妹が自分のトランクスをくんかくんかしながら股間を弄っていたのを見てしまったのは果たして何時だったろうか。だが、頭に霞が掛かった様に思い出が明瞭としない。
……ま、良いか。思い出せないのはきっと思い出さなくて良い思い出なのだろう。レッドは頭からそれらを追い出して行為に没頭する。
「もっと……! もっとリーフのおま○こ激しくハメハメしてぇん……!」
匂いを嗅いで覚醒したのか、腰をぐりぐりと捻ってピストンの催促をするリーフ。その瞳にはハートマークが浮かんでいて、一片の正気すら見出せそうに無い。
「激しく? じゃあ、こんなモンでどうよ?」
ソフラン発動。BPMが100から200になった。腰骨を掴んで上下に小刻みに、且つ激しくシェイクする。泡立つ愛液がぶちゅぶちゅ、と弾けて結合部にこびり付く。
「きゃああああんんんんんっ!!!」」
因みにレッドのMAXは調子の良い時で888が最高だ。今迄の倍のテンポで奥を小突かれるリーフは歓喜の悲鳴をあげた。
先程、酒を入れたので何時もより多少は反応が鈍い事はレッドに+に働いている。決して早漏である訳ではないが、お世辞にも我慢強いとは言えないレッドのギャラドス。
千に届く回数、何度と無く兄の竿を咀嚼した妹の蜜壷は兄専用のオナホールといって良い程にエグイ動きをする。その弾幕を掻い潜り、妹を満足させる事は兄にとっては常に重労働なのだ。
「いっ! イイっ! おま○こイィッ!」
オクターブ高い声で泣き喚くリーフは桃源郷を彷徨いつつ、それでも尚深い快楽を求める為に腰を振り続ける。パツパツとした結合音が引っ切り無しに鳴り止まない。
「もっと強く出来るぜ。やってみようか」
「――ひっ」
――ずぢゅっ!
レッドの無遠慮なストロークがリーフの入り口から奥迄を一気に串刺しにして、子宮口と亀頭がキスをした。恥骨と腰骨が衝突して少し痛かった。
「ひィううううんんんんん!!!」
子宮を押し潰し、内臓全部を振るわせる衝撃にリーフは涙の玉を零して悶絶した。
ズコズコと注文通りに奥を重点的に叩くレッドのギャラドス。リーフの媚肉は蕩ける程柔らかく、それでいて隙間無くみっちり締めて来る。全方位から攻め立てる襞々の攻撃も驚異的だ。だが、レッドは未だ余力があった。
「い、クぅ……! 逝っ! お、おま……逝く……!」
「んん〜? 聞こえんなあ。はい、もっと大きな声で!」
先に天辺を拝むのはリーフだった。証拠に、リーフの膣内は不規則に痙攣収縮を繰り返す。
レッドは凶悪な面で口の端を釣り上げて、高速ピストンを続けながらリーフの勃起したクリトリスを捻り上げた。
逝くなら逝くとはっきりと宣言しろ。レッドがリーフに施した唯一の調教だった。
「ぎっ! お、おま○こ逝く! 逝ぐっ! いんぐぅ!! おま○ごぉ……!!」
「おらっ! 更に糞フランだ!」
良く言えました。そのご褒美に、レッドが更にスピードを上げた。
BPMが400突入。此処迄来れば半分体力譜面だ。だが、突破出来ればウイニングランだ。ゲージは余裕なので、更に乱暴に妹の最奥の円蓋部を擦り上げる。
「おぉ……おおぉんんん! おま○ご逝っちゃいまっずっ!!!」
下品な言葉と涎を垂れ流してアヘ顔を晒すリーフは理性の螺子が跳んでしまっている様だった。
だが、その普段とのギャップもまた可愛い。レッドもフィニッシュに向けてヒートアップする。
「逝けよ……逝っちまえ。逝っちゃえよ! お、俺も……!」
良し、発狂地帯を乗り切った。これで勝てる!
「いっ、く……ぁ、あはああああああんんんん――――っッ!!!!」
「んっく……! つうううぅぅ……!」
仰け反り、ギュッと目を瞑り、涎と涙を伝わせてリーフが絶頂の快楽に身を焼かれる。
臍の裏から伝幡する享楽の波が全身の細胞全てを振るわせる。
同時に、レッドもまた熱い欲望をリーフの最奥に注ぎ込んでいた。ぎゅうぎゅう搾り取るリーフのマン肉が痛い程に息子に食い込む。
だが、それが心地良くて尿道に残る精液すらも痙攣しながら吐き出してしまう。
「はっ、あっ、あはああああ……♪ き、来たあ……♪」
ぱくぱくと金魚の様に呼吸し、胎にブチ撒けられる生臭い愛の重さがずっしりと伝わって来る。まるで止血した部分に血液が戻って来る様なじんわりと暖かい感覚がリーフは大好きだった。
「おち○ぽみゆくぅ……☆」
「……うむ。お前も大変な変態でいらっしゃる」
兄貴のモーモーミルクを子宮でごっくんしてリーフは多少胎が膨れた。
反面、リーフにぎゅっと抱かれて顔がおっぱい塗れのレッドは少しだけ苦しかった。
「やっぱり、こうやってる時が一番幸せだなあ」
下半身で繋がったまま、レッドの胸板にのの字を書くリーフ。その顔は満足気であり、また何か物足りなそうだった。
「この生臭い、泥臭い交わりがか」
少しやつれた様な顔でレッドが言う。確かに、幸せと言われればそうかも知れないし、犯ってて安心すると言う精神的な癒しみたいなものも感じる。
だが、その代償として激しく疲れる。今、この時がそうだった。
「あたしは少なくともそう。……お兄ちゃんは?」
穏やかな、それでいて屈託の無い顔。そんなリーフに視線を向けられたレッド。
「あ? 俺は」
……別にお前程じゃない。ちょっと気取ってそんな事を言ってみようとする。だが、それが判ったのか、リーフは途端に悲しそうな顔をした。
「……嫌い?」
「う」
だから、そんな本気の涙目を向けないでくれ。……駄目だ、とても敵わない。
レッドは顔を背け、早々に白旗を揚げた。惚れた弱み、と言う奴かも知れなかった。
「嫌い、じゃない。……お前とのこれは、寧ろ大好きな方だけどさ//////」
「だよね♪」
レッドの顔は珍しく真っ赤だった。満足の行く答えが聞けてリーフはご機嫌だ。
恐らく、やっているリーフには自覚は無いのだろう。若し、自覚ありでやっているのだとしたら彼女は大した役者だ。レッド以上のやり手であるのは間違い無い。だが、その真実は不明だ。
「若し、さ」
「ああ」
一寸だけ、元気が無いリーフ。何となく言いずらそうに、もじもじとしている。レッドはそんなリーフの長い栗色の髪を梳きながらリーフの言葉を聴く。
「ギャラ君もミロちゃんも死んでなかったら、お兄ちゃんとこうはなって無かったのよね」
「多分な」
リーフの問い掛けにレッドは答えた。
兄妹間も絆が爛れたのは相棒達の死が全ての原因だ。それが無かったら恐らく、お互いが垣根を越えて交わる事は無かったとレッドは確信している。
「……侭ならないなあ」
「全くだ」
あいつ等ロケット団が自分達に齎したモノ。復讐心と兄妹での禁断の関係。アレが無ければ、今のこの心地良さは手に入らなかった。だからと言って、あいつ等を許容するか否かは全く別の問題で、寧ろ消し去りたい過去だったのだ。……二人にとっては、だ
だが、例え過去をやり直す事が出来たとしても、二人は決してそうはしないだろう。この蕩ける感覚を知った今、二人がお互いを手放す事は在り得なかった。例え、相棒達に恨まれたとしても。
腐って糸を引いた縁。肉欲塗れの赤い糸と言う名の呪いで二人は縛られていた。
「ねえ」
「今度は」
リーフがレッドの瞳を覗き込む。空色の瞳。その奥には自分と同じ別の色が見え隠れしている。自分と同じ存在から熱を分けて貰う為に、リーフはレッドの一物を絞り上げた。
「ん……もっと、飲みたい」
「……おっけ」
リーフがアンコールを使って来た。蠢動する肉壷がまるで自分の一物を消化する様にうねって来る。
……もう少し、可愛い妹と戯れていたい。レッドはもう一発位は頑張ろうと決めた。
「お、お兄ちゃん……」
「リーフ」
皺になったスカートと汁塗れの黒い下着を脱がし、ニーハイソのみになったリーフ。
先程、痴態を見せていた妹は形を潜め、反面弱々しくいじらしい瞳を兄に向けていた。
M字開脚されたリーフの其処はヒク付いていて、彼女本来の色である黒色のヘアが申し訳程度に生えている。放たれた精はリーフの奥深くに着弾していて、ちっとも漏れては来ていない。
レッドは腹太鼓使ってパワー全開になったみたいにチャックから青筋立てて反り返る一物を隠そうともせずにリーフに覆い被さろうとしていた。
「ちゅー、して……」
怖い事を無くす様にキスをせがむリーフに胸の動悸を隠せないレッド。
偶にだが、リーフはこう言った付き合い始めを思い出させる様な初々しい態度を見せる事がある。そんな時は往々にして自分もまるで恋人とそうする様にどっぷりと妹の身体に嵌ってしまう。
そして、きっと今回もそうだとレッドは薄く笑う。……この先の激闘の苦しさを匂わせる乾いた笑いだった。
「いいよ」
――ちゅっ
レッドは優しく、リーフの唇にキスを落とす。最初の様な激しさは無く、只管に軽い啄ばむキス。それでも、リーフの目はぎゅっと閉じられていた。
――ずぶっ
「んっ! んんっ……っはあ! 挿入って、きたあ」
レッドはキスしながら、怒張をリーフの中に埋めて行く。瞬間、リーフの目が開かれ、レッドの最奥到達と同時に唇を離し、大きく息を吐いた。
容易く侵入出来たは良いが先程とは何か様子が違うリーフの膣内。
何だろう。気迫と言うか、篭っている情念が違うと言うか……
例えるなら、黄Bが赤GOPに変化した。そんな感じだろうか。
「……動く、か」
阿呆な事を考えてしまった自分を忘れる様にゆっくりとレッドは腰を動かし始める。
「はっ、ぁ、あはっ……んっ、んうう」
「ふっ、ふ、っ」
悶える様に喘ぐリーフ。決して苦しそうな訳ではない。とても心地良さそうにシーツを握り締めている。だが、レッドは余裕が無かった。やはり、先程とは様子が全く違ったのだ。
額に汗が滴り、リーフのお腹に雫が落ちた。
……おい、何だこのノーツの配置は。リーフの膣内は最初から発狂状態だ。
ぐちゃぐちゃのドロドロ。自他の境界が曖昧になりそうな泥濘具合だった。
「あっ! あっ! ああっ! あんんぅ!!」
「ふう……っ、っ」
遊んでいる余裕など微塵も無い。下手をすれば、最悪先にこちらが閉店して潮を吹く結果となる。男の矜持とエゴからか、それだけは絶対に避けたいレッド。
唇を噛み締めながら、妹を果てさせる為に頑張るレッドは兄貴としては最低で、それでもやっぱり優しい兄貴の鑑だ。
弾幕の如き、襞の猛攻。膣圧の洗礼。奥へと誘うリーフの女。レッドにとってはそのリーフの愛が逆に苦しかった。
「お兄ちゃん! おに、っひゃんん!!」
「はあ、はああ、はっ……っ、よっこい、せっと!」
涙の粒をポロポロ零し、上下に乳を揺らしながら四肢の爪でシーツを掻き毟るリーフ。
全体難を超えて全体至難と言った感じだろうか。だが、決して訳の解らない物でもどうにもならない物でも無い。少なくとも、完走は出来そうと踏んだレッドは尻に力を籠めて泣き喘ぐリーフに渾身の突き上げをブチ込んでやった。
「か、は-――ぁ」
リーフの身体から息が抜けて、瞬間浮き上がる。奥に到達した瞬間にリーフのお腹はレッドの一物の形にぽっこりと膨らんだ。
それがどうやら止めになったらしい。
「おにぃちゃ……っ!!」
身体はトロトロ、心もメロメロ。もうこのまま壊されてしまってもリーフは構わなかった。
――ぎゅう
リーフが脚をレッドの腰に絡ませて来た。両腕も背中に回され、物理的に引き抜く事が不可能な状況。俗に言うだいしゅきホールドと言う奴だ。
そんな男の桃源郷的シチュにあり、レッドの顔は苦い。
容赦無く搾り取る……否、握り潰すリーフの万力じみた肉壷。ゲージは輝きを無くして空っぽで、もう閉店直前だった。
そして、そんな状況でもレッドは勝った。
「お、おにいちゃんらいしゅきいいぃいぃ――――っっッ!!!!」
「リー、フ……くうっ!! ぅああっ……!!」
妹の絶叫告白を耳元に聞きつつ、レッドは堪えていた妹への愛を解き放つ。
その中で感じる背中の鈍い痛み。爪を立てられるのは何時もの事なのでレッドは抗う事はせず、只力の限りぎゅっとリーフを抱きしめた。
レッドのマグマストーム! 急所当り! 効果抜群だ!
「しゅきぃ……おにぃちゃん大好きぃ……♪」
リーフはマグマの塊を子宮に放り込まれた! マグマの熱がリーフを内部から焼く!
リーフは潮を吹いて倒れた!
「――ああ。兄ちゃんも大好きだよ、リーフ」
リアルでだいしゅきホールドを喰らいながら、レッドは白い欲望の全てをリーフの子宮に塗り込んで行く。噴かれた潮によって腹が汚れているが、そんな事は気にしない。
首や背中の鈍い痛みだって今は瑣末事だった。涙を零して極上の笑みをくれるリーフが可愛くて、レッドは自然と優しい手付きでリーフの頭を撫でていた。
リーフは最高に懐いている! リーフの肌の艶が上がった!
レッドはPPが無くなった! レッドの体力が残り少なくなった!
――Just Barely Bonus得点+1146000
「あたしは……お兄ちゃんの妹だけどさ」
「突然どうした」
気だるい身体を投げ出して、兄の抱擁を一身に受けながら、リーフが突然呟く。
レッドは怪訝な表情をした。
「あたしは同時にお兄ちゃんそのものでもあるのよね」
「おい? 何だ。脳味噌に精液でも回ったか?」
突然、要領を得ない話を振られる。ややメタ臭い話題だが、レッドにはさっぱり訳が解らない。軽口で応対してみるも、リーフには全く効果が無い。
「そうかもね。でも、薄々気付いてはいたわ」
「リーフ?」
屑の様な酷い台詞。イカれ女郎の戯言だ。
自分が精液好きだと否定しない辺り、本気で重症だとレッドが心配を始めた。
「本来、あたしは存在してはならない人間だってね」
……何だろう。一瞬、世界の綻びと言う奴が見えた気がした。
「でも、あたしはこうして存在してる。誰かが望んだんでしょうね」
光の無い、空ろな瞳だった。まるで終焉に際し、全てを語って逝くかの様な妹の様子にレッドは不安を隠せない。心に一抹の闇が滑り込む。
「今は未だ良いわ。新たな物語が始まる前だから。でも、一度それが始まってしまえば……」
「始まれば、どうなる?」
新たな始まりと言う奴がどうにも気になるが、それよりもそうなった場合に妹がどうなるのかが気になって仕方ない。少し語尾を荒くしてレッドが問う。
「さあね。それは世界次第でしょうね。だって、そう言うルールなんだもの」
全ては茶番。箱庭の中の群像劇に過ぎない。そして、役目を終えた役者は舞台を去らねばならない。例外は無い。それが、掟。
無表情なリーフの頬には涙が伝っていた。
「……冗談じゃねえぜ」
「――っ!」
だが、此処でレッドが漢を見せた。リーフを包み込む様に、それでいて強く熱く抱きしめた。
「言ってる意味は不明だが、まるで自分が消えるとでも言いたそうだな」
今にも消えてしまいそうな儚さが妹を包んでいる。そんな空気を追い払う様に、リーフの肉付きの良い、それでいて華奢な身体を抱き続けた。
「お前は俺の人生の相棒だ。勝手にリタイヤされちゃ困る」
そうして、レッドはリーフの瞳を射抜きながら力強く言った。
リーフの瞳に輝きが戻る。
……一緒に地獄に落ちると誓った。その約束を反故されては堪らなかった。
「うん。うん……!」
心の不安を全て打ち払う様な希望に溢れた言葉だった。
それに縋ってしまいたくて、リーフは顔をくしゃくしゃにしてレッドの胸に顔を埋めた。
「無性に、怖いよ。時が過ぎるのが。だから……ね」
心に湧き上がる不安は消せないし、恐怖心は日増しに強くなる。それを振り払ってくれるのは目の前の男しか存在しない。
「あたしを放さないでね……レッド」
リーフはレッドを兄としてでは無く、好いた一人の男として頼りたかった。
――ちゅっ
泣き顔のままリーフがレッドにキスをする。だが、レッドは凍り付いた様に何も出来なかった。
「……くっ」
……兄として、男としてリーフを支えなければならないのにこの体たらく。レッドは情けなくて堪らなかった。