水分を含む重たく湿った空気に、抜ける様な青空と輝く太陽を覆いつくす黒雲。  
腹奥に響く稲妻の音が、雨の気配を地上の生き物に知らせる。  
多くの者にとっては憂鬱なそれは、一部のポケモン…主にそれを糧とする者や、  
水を住処とする者にとっては、歓迎すべき恩恵でしか無い。  
肥沃の大地に恵まれ、緑豊かな湿地帯。  
一際高い葦の根元に腰を下ろし、機嫌よく喉を鳴らすドクロッグも、  
雨を歓迎する者の内の一匹である。  
湿気を孕んだ青い皮膚は常よりも艶を帯び、若い体に漲る力を現すかの如く  
逞しくしなやかな筋肉を包み込み張り詰めていた。  
黄色の眼は濁り無く澄んで、喉で膨らむ赤い毒袋は同年代の同族と比べても  
一回り大きく立派だ。  
そして特筆すべきは、両手の毒棘である。  
赤銅色の毒棘は特有の鈍い輝きを持ち、手入れされた曲線と鋭利な先端が  
完璧なラインを描く。  
未だ年若く経験の乏しいドクロッグの中には、勝ちを急ぐ余り  
ドクロッグの命とも言える毒棘を欠けさせたりする者も少なくは無い。  
そう言った彼等の毒棘は、微妙な歪さを持ち、また、それを恐れて毒棘を使用しない者の棘は、  
初々しくも淡い乳白色であったり、彼の様な色の深みが出ない。  
さて、そんな彼の視線の先には、一匹の雌がいた。  
沼地にしゃがみこみ、熱心に作業をしていた彼女は、彼の視線に気づいて振り返った。  
純白の布地は豊かに盛り上がり、彼女が一歩、また一歩と地面を踏みしめる都度さも重た気に揺らぐ。  
「……、お嬢」  
布地に押し込まれても猶、窮屈気に存在を主張する盛り上がりに、ドクロッグは瞬いた。  
彼女が身動ぎする都度双丘はぬめりを帯びた身を寄せ合い、  
むちりと滑らかな肌同士を寄せ合って濃密な谷間を作り出す。  
 
「……お嬢」  
剣呑そうに見える三白眼を眩気に細め、ドクロッグは枯れた声音で  
目の前の小さな影へともう一度呼びかけた。  
己と同じ様な三白眼ではあるが、進化前の、そしてメス特有の  
どこか愛嬌のある眼が彼を見返す。  
「せくしー?」  
特有の鳴き声を上げて、彼女は笑った。  
ちょこり、小首を傾いで見せる。  
「扇情的過ぎて、目玉が潰れちまいそうでさぁ」  
ドクロッグは枯れた声で応えを返し、目の前に佇む彼女へと徐に手を伸ばした。  
両手を上下に動かしてはしゃぐ彼女を微笑まし気に見下ろしながら、  
彼女と同色の盛り上がり…無理矢理に捩じ込まれたオタマロを解放するため、  
純白の布地ことサラシを無造作に引き摺り下ろした。  
保湿性に富んだ肌上を滑り、ずるりと重たい音を立てて二匹のオタマロが落ちる。  
「よくもまぁ…こんなん、見つけましたねい」  
ドクロッグ達が住むここ一帯と、彼らが住む場所は離れている筈だ。  
恐らくは、連日の雨で増水した水が不運な二匹を連れて来たのだろう。  
サラシの狭間から痙攣する尾をのたうち回らせていた彼等は、  
青褪めながらも相変わらずの笑みを浮かべていた。  
彼女は小さく声を上げ、ぼてりと落ちた哀れな二匹、次いでドクロッグを見る。  
「ドクロッグの引き摺り下ろす。グレッグルのエロさが下がった!」  
「嫁入り前の娘は、そんな物持ってなくたっていいんです」  
「ん゛〜」  
不機嫌に頬袋を膨らませ、不満を露にする彼女の反応に、  
ドクロッグは微かな苦笑を浮かべた。  
「エロさなんて極めてどうすんです」  
引き摺り下ろされたサラシを戻していたグレッグルは差し出された手に瞬き、  
軋む様な笑い声を上げてその手を握り返す。  
大きな手のひらにスッポリと収まる手を揺らしながら、片手を突き上げ意気揚々と応える。  
「ゆーわく!!グレッグルのせくしいさでドクロッグもメロメロ」  
ドクロッグは思わず、その場でこけた。  
ぬかるみへと頭から突っ込んだ彼を見て、グレッグルはきしし、と軋む様な  
奇妙な笑い声を上げる。  
「下半身に、来た?」  
「………、意味がわかんねぇまま、言ってるでしょう」  
浅い水溜りに小さな水泡を作り出し、呻くドクロッグに、グレッグルは無邪気に頷き返した。  
 
次期ボス候補と名高く、引く手数多のドクロッグの頭を悩ませるのは、  
ライバルの存在でも成熟した雌達でも無く、目の前の小さな女の子だった。  
ボスの娘であり、大事な預かり物である彼女は、ドクロッグによく懐き……、  
懐き過ぎて、妙なことになっている。  
直向な好意が、不快かと問われれば断じて否だ。  
思いもつかぬ方向で発露され、また惜しみなく真直ぐに伝えられる好意は、素直に嬉しい。  
「――……大事な娘に手なんざぁ出した日にゃぁ、  
細切れにされてバスラオの餌にされちまいまさぁ」  
力無くドクロッグは呟き、片手をついて体を起こす。  
繋いだ手をきゅっと強く握られ、彼は視線を落として彼女を見た。  
視線が合った瞬間、彼女の顔に満面の笑みが広がる。  
「私が守ってやるから、安心!」  
一瞬、ドクロッグは息を飲んだ。  
「……お嬢がそう言ってくれんならぁ、安心ですねい」  
すぐにシニカルな笑みで口角を引き上げ、緩々とした歩みで寝床へと足先を向ける。  
「今晩、来る?」  
「寝かしつけになら、行きますけど」  
「ん゛〜」  
グレッグルの不満気な鳴き声に、ドクロッグの笑い声が被さった。  
 
「今夜パパは帰らないの」  
「知ってますよい。…だから、旦那の留守中、俺がお嬢を預かってるしょうよ」  
彼女の父親は、他種族との交渉に出掛けていた。  
基本ポケモンの縄張り争いはボス同士のバトルによって雌雄を決するが、  
ドクロッグを含む一部のポケモンは、  
人間で言う外交にも似た行いで領土を広げることもある。  
その際は最も信頼する2に留守を頼み、ボスが他種族の土地へと赴くのだ。  
今回、ボスに留守を頼まれたのは彼であった。  
彼にはドクロッグ達の縄張りと、そしてボスの娘が預けられた。  
 
ごねるグレッグルを寝床に寝かしつけ、ドクロッグも己の住処へと戻る。  
自分の住処に辿り着き、誰も見ていない場所で初めて、  
膝から崩れ落ちる様に地面へと伏す。  
赤く逞しい毒袋は益々もって膨れ上がり、心臓が煩わしい程に音を立てて早鐘を打っていた。  
グレッグルからの好意は、不快では無い。  
不快どころか、一匹の雄として応えてしまいそうなグレッグルがいた。  
無邪気な彼女の笑顔、掌に収まる小さな手のひら、澄んだ眼に、サラシを引き摺り下ろした時に触れた肌のぬめり。  
不機嫌な時によく膨らむピンクの頬袋、徐々に広がる華奢な肩から肉付きのいい下半身へのラインも堪らない。  
「お嬢…!お嬢…!!…お嬢…!!!」  
ドクロッグは眼を硬く瞑り、掠れ過ぎて声にならぬ声で彼女を呼ぶ。  
彼の悶えが昨日今日の出来事では無い事を、黒く変色した壁の不自然な窪みや、  
粉砕された物言わぬ岩の欠片が物語っていた。  
ドクロッグの肩が窄められ、小刻みに痙攣する。  
彼女がボスの娘であることは、彼にとって何ら障害では無い。  
彼女がボスの娘であるからこそ、彼女とつがうに相応しい雄は、  
自分以外に無いと言う自惚れでは無い確信があった。  
ドクロッグは誰よりも、何よりも彼女を愛しているし、  
彼女も幼いながらに彼に好意を抱いてくれている。  
幼い……そう、幼い。問題は、そこだ。彼女からの求愛に応えるには、  
彼女は未だ幼すぎる。  
ドクロッグは深い溜息を零しながら、上体を起こした。  
「……俺ぁ…俺ぁ…、…ロリコンじゃあ、ねい」  
唇を歪め、己に言い聞かせる様に呟く。  
幾ら好いているとは言え、未進化の彼女に手を出すのは、彼の道義に反する。  
あの小さな体を抱き竦め、未発達なあの場所に己の逸物を捩じ込みたいと  
本能が渇望しようとも、理性でそれを抑え付ける毎日だ。  
「…、ああ、お嬢……、嫁入り前の娘がエロいだ何ざぁ…、誘惑なんて、どこで覚えて来たんです、…お嬢…っ!」  
彼の心情を知ってか知らずか、無邪気に誘惑して来る彼女に、  
ドクロッグは胸を高鳴らせつつも頭を悩ませる日々を送っていた。  
 
雨が過ぎ去った後の空は、憎憎しい程に晴れ上がっている。  
太陽の眩さと皮膚を焦がす熱気に顔を顰めながら、  
若干寝不足な眼を瞬かせドクロッグは塒から這い出た。  
何故眠た気なのかは、推して図るべし、である。  
ふらついたのは寝床から這い出す数歩で、今濡れた水草を踏み締める足は、  
しっかりとしているのが流石と言うべきだろう。  
「おんやーぁ、ドクちゃぁーん。随分眠そうじゃねーの。もしかして昨日頑張っちゃったぁ?」  
聞き覚えのある粘ついた口調に、ドクロッグの足が止まる。  
昨夜の行為が行為であるが故、ドクロッグは何とも言えぬ複雑な表情を  
顔に浮かべたまま振り返った。  
視線の先には、一匹のポケモンがいた。  
「……お帰りなさいやせ、ボス」  
「たっだいまぁー」  
若干目線を下げたのは、群れのボスたるグレッグルの父親が、  
膝を曲げてしゃがみこむ姿勢…所謂ヤンキー座りをしていたからだ。  
何時までもボスを見下ろす訳にもいかず、かと言って彼が立ち上がる気配も無いので、  
ドクロッグは自ら距離を縮め、同様に屈み込む。  
にー、と機嫌よく、白く凶暴に尖った牙を覗かせボスは笑う。  
無邪気な彼女とは異なる、どこかポケモンを不安にさせる様な笑みであった。  
無言で視線を向けるグレッグルを見返し、鷹揚に頷いてみせる。  
「交渉の方はぁ、もう成功も大成功ぉ!いやーぁ、自分の才能に、我ながら惚れ惚れするっつーかぁ」  
誇らし気に鼻から息を抜くボスを、グレッグルは猶も見詰める。  
見詰め続け、徐にボスの股間を指し示した。  
下腹部の盛り上がりに似せたその場所は、露骨な程に盛り上がっていた。  
「せくしーい?」  
ねっとりとした問い掛けに応えず、無言で適当に巻かれたサラシを引き摺り下ろす。  
娘の時と同様、否、一層に青褪め痙攣するオタマロを、  
ドクロッグは憐憫の眼差しでもって見下ろした。  
 
彼らは、こう行った不運の星の下に生まれて来た宿命であったのかも知れない。  
昨日が二匹であったのに対し、今回は一匹であったのが  
辛うじて幸いと言えるか否かは、彼には判断がつかなかった。  
「……親子揃って…、何ですかい、こりゃぁ」  
乱れたサラシを引き剥がし、下腹部の模様を露にしたボスは、緩やかに片目を眇める。  
「んん?ちょおっとばかり聞き捨てならねぇ言葉が聞こえたなーぁ。…まぁいい。こりゃ、あちらさんの条件さぁ」  
断続的な痙攣を繰り返すオタマロを、無造作にボスは鷲掴みして持ち上げた。  
指先が、そして当然の如く食い込む毒棘で、オタマロの顔面が青から赤、  
そして白へと徐々に変色を遂げる。  
「大事な、大事な婿殿よぅ。今ぁ未だチビっけぇがよ、  
もう少しすりゃうちのとピッタリな頃合になるだろうぜ」  
ぎし、と娘のそれと似た、しかし段違いに耳障りな声を立てて笑うオスに、  
グレッグルは息を飲み込む。  
「大事な婿を何でまたそんなとこに……、それよりも…婿選びなんてぇ、お嬢には未だ早過ぎやしやせんか」  
内心の動揺を押し殺し、必死にドクロッグは言葉を選ぶ。  
ボスの喉袋が膨らみ、二度、三度と起伏を繰り返した。  
「昨日うっかりはぐれちまったからよう、大事をとってなぁ。……、ドクちゃん」  
両者の空気が急激に張り詰め、ボスの手に握られたオタマロが、一際大きく跳ね上がる。  
「…この俺に、…随分物騒な殺気むけて来てんじゃぁねぇか。  
……俺が留守の間ぁ、役目以上の事やっちゃねぇだろうなぁ」  
黄色く濁ったボスの眼が、殺気に鈍いぎらつきを孕む。  
毒を練る低い喉の音が、周囲へ不気味に響き渡った。  
 
両者が毒棘を擡げるよりも早く、ぬい、と両者の間に割って入る小さな影があった。  
「おかえりー」  
きしし、と若干の高音が混じる笑い声に、殺気立っていた雄二匹の相好が見る間に崩れ落ちる。  
「ただいま俺のお姫(ひぃ)さん。パパがいねぇ間寂しかっただろー」  
「お土産ー」  
梃子でも動こうとはしなかったボスが瞬時に立ち上がり、愛娘の両脇を持ち無造作に抱き上げる。  
キスを散らそうとする彼の口をグレッグルは片手で覆って制し、  
年頃の娘らしいドライさで即物的な発言をする。  
そんな彼女の反応すら愛しいのか、すっかり眦を蕩かせたボスは彼女を抱きなおし、  
右手を徐に差し出した。  
「おうおう。今回はよぅ、とびっきりのを持って帰って来てやったからな。  
聞いて驚くなよ、お前ぇの婿だ!!」  
がらがらとした声での宣誓にグレッグルは瞬き、じっと父親の手を見た。  
当然、差し出された手には何も無い。  
首を傾ぐ娘の反応に瞬き、己の手を見返したボスは眼を見張る。  
「っ!またいねぇっ!おい、ドク、お前ぇまさか…っ…!!」  
疑いの眼を向けるボスに、ドクロッグは軽く肩を竦めて見せた。  
「――…、その大事な婿殿なら、ボスに放り捨てられて顔面から泥地に嵌ってますがねぃ」  
くい、と指先で指し示された先には、顔面を泥地に減り込ませ  
尾を痙攣させるオタマロの姿があった。  
悪びれもせず拾いに行くボスの背中に、露骨な溜息を零す。  
「……、むこ?」  
きょとん、とした表情のグレッグルが言葉を反芻し、父親とドクロッグを交互に見遣る。  
「おうよ!父ちゃんがいいの選んで来たからなぁーっ!縄張りも広がるし、  
娘の未来も安定。まーぁ、俺のよく出来た親父具合よぅ」  
自己陶酔する父親と見るからに瀕死状態のオタマロから、  
強張った表情をしたドクロッグへと彼女は視線を移しなおす。  
 
「………」  
真直ぐな視線は、何かを求めている様であった。  
「……、ドクロッグは、…それで、いいの?」  
ドクロッグの口が戦慄き、眼の合間へと深い皺が寄る。  
彼が何事かを言う前に、背中を向けた侭のボスが口を開いた。  
「こいつとお前ぇだったらよーぅ、年もピッタリよ。  
…それによ、ドクちゃん。お前ぇにも、そろそろ相応の連れ合いを見繕ってやっからよう」  
ボスの眼が動き、ちら、と佇むドクロッグを一瞥する。  
己の恋心と薄汚い欲望を見透かされた様で、思わずドクロッグの動きが止まった。  
その侭、項垂れてしまった彼をグレッグルはじっと見詰め、  
父親が尾を持ち引き上げたオタマロを見るよりも早く、  
己の右手を父親の額へと瞬時に繰り出した。  
ごす、と鈍く重たい音が周囲に響き渡る。  
「?!!」  
笑顔の侭、ボスは顔面の青味を一層深め、重たい音を立てて昏倒する。  
事態の急展開を理解するよりも早く、小柄な体躯が地面へと降りた。  
「…ドクロッグはよくても、私は、やだ」  
しなやかな筋肉がバネの様な瞬発性で伸縮し、地面への一蹴りで距離を縮める。  
己の懐に入り込み、己の眼をねめつける少女の目に、  
ドクロッグは今迄覚えたことの無い初めての怖気を感じた。  
本能で収縮した腹筋より上、鳩尾に、毒の滴る指が音も無く減り込む。  
「婿にいけなく、してやる」  
きいん、と脳髄を揺さ振る耳鳴りを最後に、ドクロッグの意識は暗転した。  
 
 
ぴちゃん、と己の鼻先で水滴が跳ねる。  
未だ痺れを覚える全身が戦慄き、妙に耳へと絡みつく水音に顔を顰めた。  
ぴちゃん、ぺちゃ、ぴちゅ、連続して響く雨垂れの音に、  
ドクロッグは渋々重たい瞼を押し開く。  
最初に目にしたのは、見慣れた天井だった。  
岩に走る亀裂から水滴が滴り、ドクロッグの平たい腹部のラインを辿りながら流れ落ちる。  
ぴちゃ、ぺちょ、ぴちゃん。  
猶も続くその音に誘われ、天井から己の下半身へとドクロッグは視線を移した。  
ぴちゃ、ちゅう、ちゅる。  
最初、彼は夢を見ているのかと思った。  
毒手よりも赤黒く、硬く撓る己の逸物に、薄桃色の長い舌が絡みつき、  
柔らかくむにむにとした唇が砲身を啄ばみ吸い上げていた。  
弾力性に富んだ冷たい掌は毒の棘部分だけ硬く、しかし滑らかで、  
刺激のアクセントとして膨らむ亀頭球を捏ねては重たい快楽を生み出す。  
「ぉ、」  
痺れの残る舌を、ドクロッグは悪戦苦闘しながら持ち上げる。  
己の意識ではまともに動かぬ癖、張り詰めた腿は快楽に反応して  
ビクビクと小刻みに痙攣しては跳ね上がっていた。  
小さな口では入りきらぬ長い太竿を小さな両手が懸命に握り、  
拙いながらも時折掌の中で揉み込み、捏ねながら上下に扱く。  
「お嬢ぉおお、ほっ…!?」  
ねっとりとした粘着質な舌が陰茎に絡みつき、粘ついた唾液を塗布しながらにゅるにゅると蠢き脈動する竿を絞り込んだ。  
グレッグルが先端を頬張り、じゅう、と重たい濁音を響かせながらきつく吸い上げる。  
長い舌が螺旋状に絡み付いた儘括れを締め付け、丸い先端が雄汁を滲ませる鈴口を  
好奇心の侭ほじほじと擽り、舐っていた。  
「ん、んっ……んくぅんっ」  
視覚的情報と強烈な快楽に、付け根が痙攣し、水気の強い、そして大量の精液を  
彼女の口中へと噴出する。  
喉に叩き付けられる生臭い飛沫に彼女は顔を顰め、  
口の端から泡立ったそれを垂らしながらも、懸命に喉を鳴らし飲み込んだ。  
若干角度を失い、それでも猶硬さを損なわぬ陰茎を、口中から緩慢に引き摺り出す。  
呆然とするドクロッグと視線を合わせ、股間に顔を埋めていたグレッグルは無邪気に笑った。  
 
「かたくなった割りには、防御力はないねー」  
無邪気な言葉に意外に繊細なハートを抉られながらも、  
ドクロッグは無理をして上体を起こす。  
「ななな、な、何、で」  
「何でって」  
動揺するドクロッグに反し、口周りをザーメンでねとねとにしたグレックルは  
冷静そのものだ。  
暫し考え込む様に、口を噤む。  
「実力行使ー?」  
愕然とするドクロッグを他所、彼女は肉棒に残る精液すら舐めつくさんと  
再び股間へと顔を埋める。  
「ぃ、いっけ、ねぇ、お嬢ぉ、…ま、まぁだ、ちびっけぇ、のに、こ、こん、な、ぁ、あっ」  
射精したばかりの過敏な男根の先を、無造作に摘まれる。  
触れるか触れないかのタッチで嬲られ、思わずドクロッグの腰が上下に跳ね上がった。  
「だめ、とか言ってー。こんなに赤くパンパンに腫れ上がらせてるのはだぁれ」  
ひくり、ドクロッグの喉笛が震える。  
「ぉあっ…ぅお嬢、本当に、本当に、いけ、いへ、いけねぇ、こんなのは、もっと、お嬢、が、ぅ、あ、あっ」  
とん、と硬い爪先が鈴口に触れ、しこる肉芯を揺らす様もどかしい振動を与える。  
粘膜に疼痛感が走り、染み入るそれは陰茎の根元で膨大な熱として爆発し、  
赤黒い陰茎にグロテスクな程の筋を浮き立たせた。  
「おっきいドクロッグが、ちっちゃいグレッグルをりょーじょくするのは、いけないこと」  
不意にグレッグルの右手が太る肉竿の根元を掴み、くびる様に竿を絞り、扱きあげる。  
持ち上がったドクロッグの腿がその侭二度、三度と痙攣し、  
声の無い悲鳴を上げながら砲身の先からびゅるびゅると精液を噴出した。  
妙に覚えのある愛撫に、ドクロッグの背中に冷たいものが走る。  
「おっきいドクロッグが出来ないなら、ちっちゃいグレッグルがして、あげる」  
うんうんと唸りながらグレッグルがドクロックの腿を担ぎ、  
毒で動きが儘ならない彼を転がした。  
膨らむ竿に口付け、舌先が根元からグロテスクな陰茎をまろび出すスリット、  
門渡りの淡い盛り上がり、そして窄む後口へと滑る。  
人間のそれとは違い、ドクロッグの肛門には襞が乏しい。  
ただ周囲の肉が薄く盛り上がり、刺激に反応して白い皮膜から僅かに覗く薄紅色の粘膜が、きゅん、と竦んだ。  
淵を捲りあげるかの様ちゅぴりと舌先が肛門を弾き、二度、三度と舌平を押し当てたまま肛門を舐る。  
得体の知れない違和感と興奮に、浅ましいドクロッグの陰茎は猶も先から透明な汁を撒き散らしていた。  
 
「ドクロッグにはおまんこないから、ここでいーや。……、ザーメンの代わりに、唾をたっぷり塗りこんで私の雌にしてあげる」  
無邪気に、グレッグルは笑う。  
その台詞に酷く既知感を覚えたドクロッグは、震える口を押し開いた。  
「――っ…ぉ、嬢…ま、さか。…み、見て……」  
彼女の囁きは、昨夜彼が自らを慰めながら口にしたうわ言その物であった。  
グレッグルは応えず、力ませた舌先をグレッグルの肛門へと押し当てる。  
撓る筋肉の弾力を押し退け、ぬめる表面で肉壁を擦りながら蠢く舌が内部へと入り込んだ。  
「ひっ…!?…う、わ、わわ、…っお嬢、いけねぇ、ぃ、い、あ、っぐ、く、ぅんっ…!…っ」  
狭い肉筒を掻き分け、時に身を捩り、浅く、深く舌が腸壁を舐め回す。  
鼻先が過敏なスリットを擽り、柔らかな唇が時折肛門の淵を食む都度、  
赤くぬらつく粘膜がきゅんきゅんと窄んだ。  
「ぁはっ…、うんち穴、ペロペロされるの、好き?…変態。ドクロッグは変態だったんだね」  
収縮した肛門へとこれ以上無い程グレッグルの口が密着し、撓る舌先が  
限界まで伸びて収縮する肉壁を引き伸ばす。  
苦い様な、酸っぱい様な、生々しい味にグレッグルの下半身が身震いし、  
無自覚の内に幼い生殖孔から滲むとろみが内腿を汚した。  
「っ…は、っは…っ…、ぅう、ちが、違…ぁ、俺ぁ…っ」  
「ドクロッグのうんち穴、おいひいよ。うんち穴犯されて、いけないちんぽから出る汁もおいしい」  
グレッグルの荒く弾む息が熱を持った肌を擽り、感極まった嬌声と  
背徳的なシチュエーションがドクロッグの性感を否応無しに高める。  
奥まで捩じ込まれた舌先が肉襞を味わう様粘着質に舐めまわし、ぬちぬちと捏ねながら緩慢に出て行く。  
一際敏感な前立腺の盛り上がりを擽り、過ぎ去ったかと思った刹那  
再び舌先が蕩け始めた肉壁を犯す。  
蕩け始めたのは粘膜ばかりでは無く、ドクロッグの理性もだった。  
彼が持つ道徳や思考が、砂糖菓子の様熱でどろどろと溶け崩れて行く。  
焦げ付く理性を叱咤し、ドクロッグは拳を握り締めた。  
多分に含まれ注がれた唾液は舌が出入りする都度ぶちゅ、ぐちゅりと濡れた音を奏で、  
緩やかに頭を垂らした赤茎の先から滲み出る白濁が、ドクロッグの肌を疎らに汚した。  
 
「ぐ、…く、…ぉ、嬢…っ!ぃ、加減にしないと、…怒ります、よ、ぉ、っは」  
ドクロッグの喉袋が発情によって膨れ上がり、ぐるぐると鈍い鳴き声が  
荒い呻きに紛れて響く。  
「なんで?…ドクロッグが出来ないこと、してあげてる、らけらもん。…あは、ドクロッグの穴まんこ、私の唾液でぐちょぐちょ…」  
ちゅぷ、と音を立てて舌を引き抜き、仄かに開いた粘膜から攪拌され泡立った唾液を  
滴らせる肉穴を恍惚と見遣る。  
グレッグルは視線を動かし、陰茎越しにドクロッグを真直ぐ見詰めた。  
「……っ…、お嬢…っ…悪い、ことばっかり、して…っ」  
肩と上腕に力を篭め、ぐっと身を乗り出す様に上体を起こす。  
足間に居たグレッグルが逃げるよりも先に、両腕で幼い体を抱き締めた。  
再び毒手を放とうと足掻く腕を、力任せに抑え付ける。  
「やだ。やだやだやだ。ドクロッグを女の子にするんだもん。他の子に渡さない」  
不機嫌に唸り、身を捩る体を抱き竦め、ドクロッグは硬く熱を持つ陰茎を  
幼い縦筋に押し付ける。  
密やかに閉じていた女陰は圧に押しやられて花開くかの如き綻び、  
小さく狭い肉の窪で精液に塗れた楔へと未成熟な淫液を擦り付けた。  
「……出来ないと、しないも解らねぇ、子供の癖…っ」  
掠れた声で唸り、若干身を離して腕の中の彼女を見遣る。  
グレッグルの眼は涙で潤み、嗚咽で肩が揺らいでいた。  
「――………女にされるのは、困りますねい」  
溜息混じりに、ドクロッグは囁く。  
剥き出しにされた歯列に笑い、首を傾いで食む様に彼女の唇へと口付けた。  
口を離すと、きょとんとした表情のグレッグルと目が合い小さく笑う。  
「……女にされちまったらぁ、お嬢を俺の女に出来なくなりまさぁ」  
びく、と肉付きのいいグレッグルの腿が震える。  
ドクロッグはむちりとした彼女の腿を掴み、陰茎に懐くほとを露にする様足を広げさせた。  
もう一度、彼はグレッグルへと口付けた。  
噛み付く様な、キスだった。  
「……許してくだせぇ、お嬢」  
快楽にのぼせた時よりも、熱っぽい眼が彼女の眼を射抜く。  
「もうやさしくなんてできやしねぇ」  
 
 
夢にまで見た細腰を、ドクロッグの無骨で大きな手のひらが掴む。  
ぬるみを帯びた陽根がぬるぬると粘膜を舐り、先端がひくつく生殖孔へと宛がわれた。  
粘つく水音に被さるかの様、肉の軋む音がグレッグルの中で響き渡る。  
「っか、…っはっ…ぅ、ううっ…」  
周囲の皮膜を巻き込み、歪ませ、押し伸ばしながら、窮屈な穴へと先端が減り込む。  
痛みと熱にグレッグルが咳き込み、苦気に眉間へと皺を寄せた。  
「――…、苦しいですか、お嬢」  
言葉で労わりながら、揺すり上げ、内部へと入り込もうとする動きは止まらない。  
グレッグルは顔を顰め、涙さえ滲ませながら、頭を左右に振った。  
「…く、ない……っ…、ぃ、から…」  
逞しい肉根が己の体を引き裂くよりも、今この行為が中断されることに怯えて、少女は拙い嘘を吐く。  
ぐう、と更に減り込む肉棒に、グレッグルの背中が撓った。  
「き、…さっき、のが、苦しかった……」  
引き攣れた声で、途切れ途切れながらにグレッグルは呟く。  
震える皮膜の表面にふつふつと汗の玉が浮き立ち、彼女の表面は艶やかに濡れそぼっていた。  
首を傾ぐドクロッグの眼を覗き込み、頬へと小さな手を宛がう。  
「……っ、ドクロッグが…、他、他の…メス、のもの、になりそ、だった、時。…ど、くっ…っ!!!!」  
みぢ、と肉の軋む音と共に肉棒が埋没し、見開いたグレッグルの眼から涙が散る。  
見た目より柔軟性に富む雌の肉穴は辛うじて裂けることは無く、それでもグレッグルは苦気に呼吸を繰り返す。  
ひんやりとした表面とは異なり、ひどく熱くぬかるむ肉壁は柔らかく、ぬっとりと粘着質に纏わりついてペニスを包み込む。  
揺さ振られる都度狭い肉壁が擦られ、複雑に入り組んだ肉の襞から滲み出る愛液でも減耗しきれぬ摩擦にグレッグルは身を捩る。  
「…や、だ。…ど、…く、…ぅ」  
力尽きた様にグレッグルはドクロッグの肩へと顔を埋め、息で弾む体を揺らす。  
 
「ぜんぶ…どく、ろっぐの。もの、っに、して、くんなきゃ、や、ら、ぁあ、あ、あ、あああっ!!!」  
緩慢であった揺さぶりが止まり、グレッグルが知らず安堵の息を零す。  
体の強張りがほどけたその刹那、ドクロッグは一気に腰を突き上げて狭い肉穴を犯した。  
先が硬い子宮口に押し当たっても砲身は猶余り、衝撃に引き絞られた膣道をぐりぐりと抉り、密着する媚肉を強引に引き剥がし抜いては、また減り込ませる。  
粘液に塗れた肉穴が戦慄き、ぷしゃぁ、と透明な潮が吹き出ても突き上げは止まず、無遠慮なまでの動きで少女を犯す。  
痛い程の締め付けに顔を顰めつつ、興奮にのぼせた息を零しながら未だ浅い腹奥を肥えた肉棒で捏ね回した。  
「――…お嬢、お嬢…、…お嬢…っ」  
白濁混じりの腺液を暴虐な陵辱者に戦慄く粘膜へと吐き出し、残りを捩じ込まんばかりに荒々しく腰を動かす。  
「ひっ…!ぁ、あっ…ぅ、ひいいっ…ぁ、ああっ、ど、…っ」  
まともな言葉は愚か、呼吸すら儘ならず、グレッグルは息を詰め、快楽に勝る苦痛に顔を歪め、それでも仄かな笑みを浮かべていた。  
「ぃ…?…ど、く、ぅ、…ぃ、…ぁ、ぅ、うう、ん、んんんっ」  
熱にグレッグルの小さな体が戦慄き、時折歯牙が戦慄き噛み合う音が響く。  
ぶぷ、と鈍い音が内部で響き、ドクロッグの砲身で媚肉へと粘液が塗りつけられる都度、尿意にも似た、むずかゆい疼きと熱が下腹部で生じる。  
「?…は、…ぁ、……は、ぁ、ああ、あっ」  
捩じ込まれる肉棒で膣肉をぐじゅぐじゅと押し開かれ、先端で子宮口を押し上げられる。  
幾度も、幾度も繰り返される動きに襞が戦慄き、複雑な隆起を舐り捲りあげる勢いで擦りつけられる肉棒に、薄い腰が短く跳ね上がった。  
「……っ…は、お嬢…、…しちまいます、よ…お嬢を、全部、俺の、に、…っ」  
切羽詰まった声でドクロッグが囁き、子宮口に押し付け、捏ね上げる肉棒が猶も執拗な突き上げを繰り返す。  
内部で膨れ上がった肉棒が激しい脈動を繰り返して跳ね上がり、火照った肉壁へと精液を撒き散らした。  
奥底を焦がす様な精液の濁流に、グレッグルの腰が小刻みに痙攣する。  
快感と熱に蕩けた思考と舌の根はまともな言葉を紡ぐことは叶わず、それを補うかの様二匹は唇を重ねあった。  
 
太陽の光を翳らせる雲と、水気を帯びた空気に、グレッグルは機嫌よく笑みを滲ませた。  
本日ドクロッグは父親とあだるとででぃーぷな話し合いがあるそうで、この場にはいない。  
散策していた彼女は不意に、見覚えのある後姿を見つけて足を止めた。  
「オタマロ」  
彼女の呼びかけに、小さな影は小さく揺らいで緩慢に振り返った。  
『――……、積極的な、お嬢さん。何じゃ、心変わりをしてマロのものになりに来たのかのかのう』  
からかう様な笑いを帯びた響きに、怒るでも無くグレッグルは頷きを返す。  
「それは、無理」  
すげなく断るグレッグルは、じっとオタマロを見詰める。  
「だって、メス同士は、無理なんだよ」  
何気ない彼女の言葉に、オタマロは軽く眼を見張った。  
『……驚いた。お嬢さんの父上やツガイには、見破られなかったと言うのに』  
何と無く、とグレッグルは言葉を返し、オタマロの傍らへと近寄り、無造作に腰を落ち着けた。  
無論、ヤンキー座りである。  
「巻き込んでごめんね」  
心成しかしょんぼりした彼女の態度に、オタマロは小さく鼻を鳴らして応えた。  
『何、お互い様じゃ。お嬢さんの婿になる予定であったおのこ…、妾の兄者は、能力はいいんじゃが、これがどーしようも無いどへたれでのう。  
妾も他所の世界を知りたかった年頃じゃし、お嬢さんの父上には悪いが、利用させて貰った。……それに』  
オタマロはころころと笑い、グレッグルを見上げた。  
『進化差を乗り越え貫いたお嬢さんの恋心に、妾の尾鰭は久方ぶりに打ち震えたぞ。…と、時に、お嬢さんの父上は、…どー言ったタイプの牝が好みなのかのう?』  
ぐっと尾鰭をもたげたかと思うと俯き、仄かに頬を染める彼女に、グレッグルは首を傾いだ。  
『股間を顔面に押し掴まれ、全身を力強く鷲掴んだ末、用が済めばあの様に投げ捨てて…、…妾、あの様に扱われたのは生まれて初めてじゃ!  
……お嬢さん…否…、…グレッグル…』  
母性の輝きに満ちた黒目が、グレッグルを見上げた。  
『母上、と…呼んでもいいんじゃぞ?』  
グレッグルは暫し黙り込み、脳内で様々な事柄を心の天秤に掛けた。  
 
終  
 

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