夜の森の中で泣く女の子の声。
「ったく…なんだよこんな夜中に」
一人のトレーナーが草むらから立ち上がり、声の元を探す。
「ほら、早くでてこーい」
それはすぐに見つかった。
木の影に隠れて「うぇーんうぇーん」とかわいらしい鳴き声を上げているポケモン。
「あ、ムウマ」
彼の存在にも気づかず泣き続けているムウマ。
どうやらムウマがよくある「人間を脅かすために泣いている」行為の一環ではないようだ。
「ほら、どうして泣いてるんだ、教えてくれ」
「森から離れて遊んでたら迷っちゃったの…」
「ほーう、なるほどな。で、住んでるのはどの辺の森なんだ?」
「あのね…ってえええ!」
泣き止んだムウマがびっくりして後ずさりする。
「お、お兄ちゃん、ニンゲンだよね?!」
「ああ、人間だけど?」
「何でムウマの言葉が分かるの?!」
「ああ、生まれつきさ。なんとなく、分かっちゃうんだよね。
おかげで子供のころは同じ人間から苛められっぱなしさ」
「じゃあ、お兄ちゃんはどこに住んでるの?」
「住んでるとこなんてねえよ。旅をして、ポケモンと共に暮らしてる」
「へえ、面白そう!じゃあ、ムウマもお兄ちゃんと一緒に旅する!いいでしょ?」
ムウマは喜んでいるのかその場で体を上下させている。
「いいよ、一緒に来な」
「ありがと!」
暫くムウマを連れて彼は歩き続けた。
「ムウマをボールに入れないの?」
「初めて仲間になったポケモンは一週間ほど外に出しとくんだ。
こいつもそうだ。アブソル!」
モンスターボールからアブソルが出てきた。
「何でしょう、マスター」
「ちょっとその辺の木を切り倒してくれ」
「イェス、マスター」
アブソルが“いあいぎり”で木を切り倒すと木の影からハハコモリが出てきた。
「あら、いつものトレーナーさん。びっくりさせないでよ」
「悪い悪い。子供の調子、どう?」
「問題ないわ。あなたも気を付けてね」
「そっちも人間に掴まるなよ」
「こんなところ来るのあなたくらいだけどね」
「確かにな。そんじゃあな」
手を振る彼にムウマが肩から囁いた。
「この辺のポケモンはみんな仲良しさんなの?」
「ああ、この辺は特にな。ポケモンと会話できると旅も退屈しないのさ」
「へぇ〜。お兄ちゃん、凄いんだねぇ」
「んなことねーよ」
感心するムウマに彼は微笑んでそう言った。
1週間ほどたつと、ムウマは彼に対して憧れを抱くようになった。
自分をただ掴まえようとするだけの人間と彼は全く違った。
むしろ、自分たちと同じ目線に立って見ている。
ボールから出て、フラッシュで洞窟を照らすムウマは彼に言った。
「ねえ、お兄ちゃん。最近、ムウマね、思うの」
「どした?急に」
「お兄ちゃんのことがカッコいいって思うの。おかしい?」
それは、人間である彼にとってはムウマからの告白に聞こえた。
幸か不幸か彼の手持ちにいるポケモンは今まで全員オスだったからだ。
「でもムウマ…お前はポケモンで俺は人間…そうだろ?」
「関係ない!お兄ちゃんといると、いろんなポケモンさんと遊べて楽しいし。それにね」
ムウマはふよふよと浮かんでその場にあった大きな石にちょこんと座った。
「お兄ちゃんはムウマたちやほかのポケモンのこと、誰よりも分かってくれるんだもの」
彼女の言葉に彼は興奮を抑えられなかった。
背徳と分かっている。だが、格好付けていても元は孤独で人間不信な彼だ。
ポケモンと繋がる方が、自分に合っていることもうすうす感づいていた。
「ムウマ、ごめん!」
彼は小さなムウマの身体を抱きかかえた。
「えっ?!」
彼女の小さな口にキスをする。
歯のない口に舌を挿れ、唾を絡ませる。
「やだっ…おにいちゃ…なにするの…?」
状況が呑み込めないムウマ。
いつの間にか彼女の体から灯るフラッシュは小さくなりかけている。
「ご、ごめん、ムウマ…俺、ハツジョーしてんだっ…」
ムウマの黒いスカートのような部分をたくし上げ、その中に腰を挿れた。
「あっ…やっ…おにいちゃ…いたいっ…いたいよぉ…」
肉棒を黒くてもやもやした女性器に押し込まれ、ムウマは叫ぶ。
ムウマ特有の女の子が泣き叫ぶような喘ぎ声は彼を余計に興奮させた。
「ムウマ…俺っ」
フラッシュの光が消え、辺りが真っ暗になっても、彼はムウマを侵し続けた。
ひとしきり、ことが終わるとムウマはぼたぼたと黒い体から精液を垂らしながら、
震える身体を精一杯に光らせた。
「ごめん、ムウマ…」
「いいの、お兄ちゃん、コービしたくなったんだね、ムウマと」
ぼんやりと暗闇に浮かぶムウマの表情は嬉しそうだった。
「ああ…惚れたんだ、ムウマに」
「いいよ…お兄ちゃんの『お嫁さん』として、ムウマ、一生ついていくよ!」
彼はこの可愛らしい生き物を一生かけて守っていこうと誓った。
そして一年後
「お、あの頃の森が見えてきたぞ。懐かしいな」
「ええ、そうね。私と『お兄さん』が初めて会った場所…」
「ああ、またここでするか?」
「やめてよ、まだお昼よ。夜中に…ね?」
その頃、世間では「ポケモンと話すことができる旅人」の存在が噂されていた。
その男は肩に『ムウマージ』を乗せて、今日も旅を続けているという。
(終)