Interval:男旱vs女旱 
 
 
「ダイゴ……もう、駄目。駄目なの……」 
「シロナ!?」 
 シロナがダイゴの胸に倒れ込んだ。そのまま身体を預け、肩の窪みに顔を埋める。突然の事に身動きが取れなかったダイゴは慌てるしかない。 
「ずっと耐えてた。苦しくても寂しくても、我慢してた。でも、こうやってまた抱き合えて、キスして、真剣に好きだ何て言われたら……もう、無理だよ」 
「――」 
 懇願する視線。涙を溜めて揺れる瞳。そうさせる程にシロナを追い込んでしまった。自分自身が許せなくてダイゴは拳を血が出る程強く握り締めた。 
「お兄さん……奢って、くれませんか?」 
「そいつは」 
 心の何処かで歯止めが掛かっていた。だが、もうこうなった以上シロナはダイゴに遠慮はしない。そして、猫を被る真似ももうしない。女としての自分の全てを曝け出し、またドロドロに溶かされたかった。 
 だからシロナはその言葉を言う。それはダイゴも覚えていた事だった。 
「仲直りしたいの。だから、ホテル奢ってくれませんか?」 
「・・・」 
 初めて抱かれた時の言葉。生娘だった頃の自分にせめて心だけは戻りたいと願った。あの時の様にもう一度優しく愛されたい。もう一度、全てを奪い、熱さと快楽を刻み付けて欲しい。そんなシロナの女としての願いを前にダイゴは静かに目を閉じた。 
「……確かに、そいつは妙案だ」 
「あ……」 
 それに対する是非は無い。長らく触れていなかった恋人の身体を抱き締めたい。その肉を貪りたい。ダイゴもシロナを抱きたかった、 
 閉じていた瞳を開け、シロナの肩に手を置くと、真剣な顔でその顔を見る。 
「でも判ってるよな? 俺が示せる誠意ってのはアレしか無いって事を。責任、完全には負えないぞ?」 
 確認させる様にダイゴが言う。流石に今回は自重出来そうに無い。最悪、壊してしまうかも知れない。それでも構わないのかと尋ねるとシロナは強い口調と共に頷いた。 
「……うん! 壊れても良い。赤ちゃん出来ても良い。……貴方を、感じたい」 
「委細承知した。俺も本気を出そう。今日は寝れないぞ?」 
 それだけの覚悟があるのならば、こちらもそれに答えてやらねば漢では無い。持てる全てを尽くし、シロナを点す。それこそが今のダイゴに与えられた責任であり、またシロナを手に入れた事に対する権利である。 
 ダイゴはシロナに対して自然な素振りでニッと笑って見せた。 
「はい……!」 
 それを見ただけでシロナは心の空洞が埋まった気がした。やっぱり、この男性(ひと)が居なければ生きて行けないと改めてシロナは思う。 
 涙が零れそうになるのを堪えて、それでもぎこちない笑みをダイゴへ返した。 
 
「終ったようですね。結末は……まあ、見れば判りますが」 
 辿った道程を逆走して、四天王の部屋に二人して入った。珍しく本を読んでいないゴヨウが色眼鏡越しに透明な視線を向けて来る。 
「悪いわね、ゴヨウ君。一寸出てくるわ、あたし」 
 ダイゴの手を握ったシロナが臆する様子も無く言い切る。頼むから今は邪魔をしないでくれと半ば拝み倒す様な心持だった。リーグは未だ就業時間内であり、チャンピオンが早退するのはシロナとしても気が引けたが、何とか融通を利かせて欲しかった。 
「・・・」 
「以前の無礼な真似は謝罪する。だが、今は……」 
 そのシロナ言葉を聞きつつ、ゴヨウはダイゴの顔色を伺う。別に責めるつもりは無い。 
 だが、ダイゴはその視線から、前に自分がやった事への謝罪を求められていると思ったのだろう。だから、深々と頭を下げた。 
「私は何も言いません。だから、行きなさい」 
「有難うね、ゴヨウ君」 
 今は好きにさせて欲しい。そんな心の声をゴヨウは聞いた気がする。流石にゴヨウとしても馬に蹴られる様な事はしたくないので、自分は何も見ていない事にすると、ポケットから本を取り出して読み始めた。 
 見逃してくれたゴヨウに笑顔を向けてシロナはダイゴの手を引いて出て行った。 
「ふふ。困ったものです、ウチのチャンピオンにも」 
 何だってシロナがあんな男に執着するのかゴヨウは判らない。しかし、ダイゴの顔は憑き物が落ちた様で戦った時とは別人に思えた。そして、最後のシロナの顔を見れば二人がどれだけ惹かれあっているのかが容易に想像出来た。 
 男と女は解らない事だらけだと納得した様にゴヨウは一寸だけ鼻で笑った。 
 
「何だよ、結局元鞘かよ。目論み外したな〜」 
「オーバ。邪魔するとか言い出さないよね?」 
 アフロのオーバがやれやれと言った感じに零す。言いたい事は判るがそれに少しムッと来たシロナは少しだけ怖い顔でオーバを睨む。 
「言ったらどうなる?」 
 勿論、止める気は無いが少しからかってやろうと思い、そんな事を口走るも、それが既に間違いだった。 
「「棺桶運ぶのにリフトが必要な位、ありったけ鉛をぶち込む♪」」 
 二つの銃口がオーバに噛み付きそうだった。ダイゴはショットガン。シロナはマカロフでは無い短機関銃を手に持っている。 
 M1928A1トンプソン・サブマシンガン。 
 旧式だが、その信頼性と威力は今のご時勢でも侮れないレベルを維持し、今尚現役品が各地の紛争地帯で活躍している燻し銀。モデルによって違う渾名が存在する世界最初のサブマシンガンである。 
 そんな強力な武器を何処に隠し持っていたのかダイゴもオーバも判らない。どうやら女には秘密の引き出しが多いらしい。 
「ど、どうぞ行って来て下さいって言うか、危ない物仕舞って早く!」 
 笑いながらも二人の目は本気と書いてマジだ。蜂の巣にされては堪らないオーバが叫ぶと二人は銃を仕舞った。 
「前回も今回も迷惑を掛ける。……済まない」 
「けっ! 遅いんだよ! もう何も言わないからシロナ連れて行っちまえよ!」 
 擦れ違う時、ダイゴがゴヨウにそうした様に頭を下げた。銃を向けて置いてそれは今更だが、悔いているのは本当だ。もう終わった事を蒸し返したく無いオーバはそう言って二人に背を向けた。 
 
「喧嘩は終ったのかしら?」 
「ええ。でも、仲直りが未だ」 
 キクノは穏やかな笑みを浮かべていた。どうやらこうなる事を事前に予見していたらしい。シロナは離れ離れの期間が終わった事を正直に告げる。後は恋人同士の生臭い儀式を残すだけだった。 
「判ってるわ。……ダイゴ君」 
「は? ……はい」 
 野暮な事を言う気はキクノには無い様だ。すると、キクノはダイゴの名を呼び、じっと見詰めた。不思議な迫力を感じさせる眼差しで、ダイゴは自然と背筋を伸ばす。 
 思えば自分の父やゲンジ、キンセツのリーダーであるテッセンが時折こんな目をしていたのを思い出す。年季とキャリアが積み重なった心の裏側を見透かす様な瞳だった。 
「……うん。怖い顔じゃ無くなった。これなら平気ね」 
 少しの間ダイゴの顔を眺め、キクノは顔に笑みを満たす。嵐が去った事を知り、それを喜んでいる様な笑顔だった。 
「そんなに、やばい面でしたか」 
「そりゃあね。でも、もう平気って自分で判るわね? 後は男として、シロナを傷付けた責任果たしなさい?」 
 鏡を見た訳ではないので、先程の自分がどんな顔をしていたのかダイゴには判らない。だが、それがどんな顔だったにせよ、シロナが側に居る限りはそんな顔にはならないだろう事をダイゴは知っている。 
「無論!」 
「ちゃんと仲直り出来そうね、シロナ」 
「はい!」 
 キクノの言葉に笑みを浮かべて強く頷いたダイゴ。喧嘩するよりは仲良くした方がよっぽど良いとキクノは思っているのだろう。そして、もうそんな心配は要らないとシロナも笑って頷いた。 
 
「リョウ。其処を退いて」 
「判ってます。でも」 
 最後の部屋。此処を越えれば自由が待っている。しかし、シロナの声に耳を傾けつつもリョウの視線は敵意を持ってダイゴを睨んでいる。 
「シロナさんをあんな風に傷付けたアンタを僕は同じ男として許せない。また泣かすんじゃないのか?」 
 先程ボコられた恨みか、それとも個人的にシロナを想う気持ちがあるのかそれは不明だ。それでもリョウはダイゴの答え無くしては見逃す機は無いらしい。 
 
「ああ。少なくとも今日これからベッドの上で泣く事になるだろうな」 
 
「!? //////」 
 それに対しダイゴはかなり際どい答えをリョウに返した。それはもう決定事項なので、シロナも恥かしそうな顔はしたが、何も言わなかった。 
「! また同じ事して泣かすんじゃないだろうな!?」 
「二度と無いとは確約出来んよ」 
 言いたい事は判るが、それはリョウが期待する類のモノでは無い。もう一度リョウはダイゴに訊くと、今度こそそれに答えた。この世に絶対と言う言葉が無い以上、その可能性はあると言う事を。 
「それは……」 
 ダイゴの言葉を聞きリョウは何とも難しい表情をした。薄情者と詰る冪か、それともちゃんと冷静に考えている事を褒める冪か。判断に苦しんでいる様だ。 
「だが、俺は俺の誠意を示すって決めた。それじゃ駄目かね?」 
 続いたダイゴの言葉にシロナが穏やかな、それでいて嬉しそうな顔をしたのを見逃さない。もう二人の間で争いは終結したのだ。これ以上外野が何を言ってもそれは二人を困らせるだけだとリョウは気が付いた。 
「……連れて行けよ。シロナさんが厭な顔してないなら、僕には止められないから」 
「恩に着る」 
 それならば、もう好きにさせるしかない。ダイゴのした事は未だ許せないが、無理に引き止めて怒りを買う事は避けたいとリョウは思った。決して認めた訳では無い渋い顔のリョウにやや苦笑しながらダイゴは言った。 
「リョウ。きっと大丈夫。あたしが言うんだから間違い無いわ」 
「そうである事を願ってますよ……」 
 心配してくれるのは有難いが、ダイゴも反省している事だし大目に見て欲しいシロナがそう言うと、リョウは軽く溜め息を吐いて呟く。やっぱり、頭では理解出来ても心では納得していないらしい。 
 だが、そんなリョウに対して掛ける言葉は無いのでダイゴとシロナは部屋を通過した。後ろは決して振り返らずに。リョウは最後迄複雑な顔だった。 
 
――移動中 空の上 
 外に出た時、陽は傾き始めていた。行く当ては特に決めていない。近場で用件を満たす場所があればそれで良い。メタグロスの上に乗り、二人は束の間の空の逢引を楽しんでいる。 
「こうやって、チャンピオンに勝って、それを攫う様な真似って、前例とかあるのか?」 
 賞金も名誉も選ばず、シロナを選んだ事はチャンピオン自身が賞品になった様だと、そんな印象をダイゴは持った。普通ならば在り得ないんだろうが、ひょっとしたら過去に事例があったのかも知れないとシロナに聞いてみる。 
「さあ。聞いた事無いわ。あたしと貴方が始めてかも?」 
「まあ、どうでも良いか。身柄を拘束する訳じゃなし」 
 だが、シロナとしてもそんな話を耳にした事は一切無かった。だとしたら、自分達が世界初の貴重な例なのかも知れないとシロナは思った。 
 そして、ダイゴにとってはそんな事はどうでも良い事象だった。このまま誘拐して返さない真似はしないし、今迄の分二人で三、四日裸で過ごす暇があればそれで良かった。 
「案外、こう言うのも悪いとは思わないかな」 
「何で?」 
 何故かシロナが嬉しそうに微笑んでいる。シロナが何を思ったのか気になったダイゴは当然訊いてみる。 
「一寸さ、こう言う展開、憧れてかも」 
 御伽噺に於いて、お姫様が何者かに攫われると言う展開は良くあるモノだが、その人物が王子様だったと言うのは中々珍しい展開ではなかろうか。少なくとも、シロナはダイゴに全部を奪って欲しかった。それが後少しで叶いそうなのだ。 
「案外メルヘンチックだな。じゃあ、俺はきっと地獄への馬車引きだな」 
「馬鹿。……王子様、だよ」 
 自分が御伽噺のお姫様だと言うつもりは無い。それでも自分を攫ったダイゴは紛れも無く白馬の王子様であるとシロナは信じて疑わない。ハデスとペルセポネの伝説では無いが、 
 例え連れて行かれるのが冥界だとしても構わなかった。 
「ん? そんなの柄じゃ無い。だけど、お前が姫さんってのは判るがね」 
 こう言う話には普段は乗らないダイゴだが、今回は乗りが良い様だ。シロナは姫君であると真顔で言い切った。 
「そ、それこそ何でよ」 
 そんなきっぱり言われてしまうとシロナとしても困惑物である。一応訊いてみたが、期待はしていなかった。どうせ渾名に姫が付いているからだろうと勝手に思っていた。だが、違った。 
 
「シロナが良い女だから」 
 
「な、なあっ!? ……くっ、不覚//////」 
 ダイゴの殺し文句! 効果は抜群だ! シロナはとっくにメロメロだ! 
 またしても真顔で言われて心臓を打ち抜かれた様に胸が痛み、また高鳴る。意図しないその言葉に完全にやられたシロナは真っ赤になった顔をダイゴに見られない様にそっぽを向く。 
 真冬のシンオウ。その空の上は凍る程寒い筈なのにシロナは全身から湯気が出る程熱を孕んでいた。 
 
――ナギサシティ ホテル 
 辿り着いたのは上空から目が付いた寂れた感じのホテル。クリスマスだって言うのにナギサは僻地なのか、空室が目立っていた。 
「さて、着いたぞ」 
 空いていた部屋を適当にチョイスしてご休憩する為に部屋の中に足を踏み入れる。きっとそれでは時間が足りなくなるだろうが、その辺は後の進捗次第だ。 
 只行為を行う為のシンプルな部屋。特別なオプションは付いていない。 
「先ずは、どうす――」 
――ドンッ ガンッ! 
「ぐっ、あ……?」 
 突然、腰の辺りに衝撃。直後、後頭部に鈍い痛みが走り、視界が歪み世界がグルグル回り始めた。 
 鈍器の様な物で殴られた? 否、それは違う。タックルを喰らって押し倒されたのだ。 
 その証拠にそれをやった下手人が身体を擦り付けて来ている。 
「はー、はあー、はっ……ダイゴ……っ、ダイゴぉ!」 
 餓えた肉食獣と見紛う迫力だった。部屋に入った時点でもう我慢が利かなかったのか、渇きと飢えを癒す様にしがみ付くシロナは色んな意味で怖かった。 
「ぁ、あ? ブーピッグが、飛んでる?」 
「ふうっ、ふうっ、ふうぅ……ダイゴ……♪」 
 哀れな贄と化したダイゴは見えてはいけない物が見えてしまっているらしい。軽い脳震盪を起こしたのだろう。シロナはそんなダイゴはお構い無しに荒い吐息と共に首筋や顔にキスの雨を降らして来る。素晴らしい遠慮の無さだった。 
「ま、待って、くれシロ、ナ」 
 漸く現状が認識出来たダイゴが行為の中断を申し入れる。このままでは本番に至る前に意識が落ちてしまう。それは流石にダイゴも遠慮したい所だった。 
「ダイゴ……ダイ……え? ――あー、えっと?」 
「一寸待って。お願い」 
 その言葉で少し正気に戻ってダイゴの顔を見下ろすと、それでようやっとシロナもダイゴの状況が理解出来た様だ。ダイゴは伸びる一歩手前の状況で何とかシロナに対し、そう呟いた。 
 
「ゴメンなさい。がっつき過ぎて、あの……痛かったよね?」 
「いや、良い。きっとお前を泣かせ続けた天罰だ」 
 ダイゴの後頭部の見事なたんこぶを心配そうに見ながらシロナが済まなそうにする。だが、その気持ちも判らんでもないダイゴはそれを責めない。 
 寧ろ、それが肉欲やら寂しさの暴走だと言うのなら、責任の一端はダイゴにこそあるのだ。何も言う資格は無かった。 
「でも」 
「良いんだ。それよりも、始めないのか?」 
 シロナの表情は尚も曇っていたが、ダイゴとしてはもう気にして欲しい事では無い。とっとと先へ進む事にした。 
「う、うん。……あ、あの」 
「あー、成る程。判った」 
 始めたいのはシロナも同じだった。終わった事はもうそれで良いと思い、頷く。 
 そして、ダイゴに向けられる期待の篭ったシロナの視線。どうやら、リードして欲しいらしい。そう言えば、ずっとそうだったとダイゴは遠い記憶を思い出す。そんな事はすっかり忘れてしまったいた。 
「先ず脱いでくれ、全部な」 
「脱ぐ、の? は、恥かしいな少し」 
 事に及ぶに際してダイゴが最初の指示を出す。ほんの少しそれに難色を示したシロナだが、構っては居られない。そんな事を気にする程お互いに若くは無いし、どうやっても無視する事は出来なかった。 
「俺も脱ぐからさ」 
「! ……うん」 
 中々動きを見せないシロナに対してそう言うと、ダイゴはジャケットを脱ぎ、スカーフと共に床に放り投げる。鋼の肉体は相変らず健在。贅肉等と言う物はダイゴには無縁な代物らしい。 
 ダイゴとしても恥じらいが無い訳では無いが、この場に於いて必要な事なのでそうすると、シロナも着ていた黒いコートとふさふさのチョーカーにおずおずと手を掛けた。 
 
 シロナ(飢餓状態)に勝負を挑まれた! 
 
「見られると恥かしい。……見慣れてるでしょ?」 
「いや? もう忘れたよ」 
 嘗てのシロナのそれを思い出す様にダイゴはその身体を凝視していた。相変らず黒い下着を好んで着用している様だ。それが取り払われると、桜色に染まったシロナの柔肌が晒される。 
 痩せた印象を受けたダイゴだったが、それでもシロナの身体は以前よりも丸みを帯びており、脂が乗っている様に感じられた。……実に美味そうだった。 
「――そっか」 
 ダイゴの言葉にシロナが寂しそうに顔を伏せる。それも仕方が無いと思い割り切ろうと思ったが、それでもやっぱり自分が過去の者になってしまった事が悲しかった。 
「おっと。飽きたとか浮気してたって意味じゃない。ほんと触れてない期間が長過ぎて、感触とか味とか、かなりぼやけてる」 
 その顔が心苦しいダイゴは自分の失言に付いて慌ててフォローする。実際、それは本当の事だったが、正直に言う事では無い。もう少し気の利いた言葉を言う冪だったとダイゴは自分の迂闊さを呪った。 
「……そ、そう。それなら、あたしも」 
 シロナの言葉は半分嘘である。刻まれた感触や香りは確かに薄らいでしまっている。それでも、ダイゴが与えてくれた全身を貫いた快楽の大きさだけは今もシロナの内部に忘れられない記憶として残っていた。 
「でもさ、こいつはお前を覚えてるようだ」 
 態々気を利かせたシロナの言葉に報いる為にダイゴはトランクスをスーツのスラックスと一緒に摺り下げる。果たして姿を現したハガネール。吃驚箱から飛び出したそれは天井を向いて屹立していた。 
「――あ、あ……!」 
「早く鞘に納まりたいってさ」 
 それを見た途端、シロナの表情がトロンとしたモノに変わる。青筋を立ててバッキバキに勃起したそれ。臍を軽く超えて反り返るダイゴ自身。太さも長さもシロナの知っているダイゴの一物の凡そ三割増しだ。 
 並みの女ならば咥え込む事すら難しい肉の凶器。しかし、シロナの身長ならばガバガバになる事さえ恐れなければ何とか飲み込めるだろうとダイゴは確信していた。 
「凄い……! 熱くて、ぴくぴくしてるよぉ……」 
 跪き、うっとりした顔で幹に頬擦りする。カウパーと言う名の涙を零し泣いているダイゴのハガネール。脈打つ肉塊は栗の花を髣髴させる芳醇な匂いを放ち、それを嗅ぐとシロナの脳味噌に桃色の霞が掛かった。 
「実を言うと、この三年。自分でも処理してない」 
「!」 
 舌を這わせようとするシロナに対し、ダイゴはお預けを意図した訳では無いが背を向けた。されるのは好きではないし、寧ろこの場に於いてはサービスするのは自分の方だと思っているのかも知れない。 
 そして、ダイゴの口を出たそれを聞いたシロナの顔が牝のそれに変わった。 
「夢精は何度かあったが、それだけだ。……序に」 
 最後に肌を重ねたのは三年前。凡そ千日の長きに渡りダイゴの欲望は封印されて久しい様だ。使われない種は身体に勝手に吸収されるが、それにしたって三年物のミルクはとんでもないレア物であるのは間違いない。ダイゴはそれを使おうとしている。 
「破局か復縁か判らなかったが、どの道こうなる気はしてた。だから、一月前からしっかり仕込んでる。エビオス、亜鉛、卵白、とろろ……その他諸々な」 
 しかもだ。この対決に際しダイゴはやっぱり入念な準備を行っていた。ポケモンの強化はいざ知らず、こんな事態すら予期していたとはダイゴの頭は常人から掛け離れている。少なくとも、シロナにとっては感涙の言葉だった。 
「はー……はー……ごくり」 
「お前に全て飲み干せるかな?」 
 荒い息と共に溢れる涎が口の端から零れる。目の前の御馳走に我慢出来ず、今にも飛び掛りそうなシロナの姿は人ではなく畜生と言っても良い程余裕が無い。 
 そして、そんなシロナを見ながらダイゴは挑発するみたいに言った。 
「の、飲む! 飲むわよお! だ、だから! だからっ! 早く!」 
「へっ」 
 流石のシロナも限界だった。零れそうな程涙を瞳に溜めて、尻をダイゴに向けると両手でその肉を断ち割る。むあっとした獣の臭いが部屋を包み、割れ目からは粘着くシロップがボタボタと床に垂れ落ちる。 
 その様子が戦闘開始の合図だと思ったダイゴはゆっくりと腕を円の動きで回し始めた。 
「我はお触りを極めし者。斯様な脆き女の分際で我に挑もうと言うのか?」 
「早くっ! ブチ込んでよおおおっ!!!」 
 演舞の様な動きに何故かダイゴの腕が複数本存在している様な錯覚に囚われそうになるシロナ。しかし、彼女が欲しいのはダイゴの竿のみである。お触りの神を前にしてシロナは哀願の叫びを発した。 
「良かろう……為らば、悔い改めよ! ……なんてか」 
 触神・ダイゴ降臨。後ろからシロナの乳を鷲掴んで泥濘にハガネールを宛がうと、一撃の下に穿った。 
「か、は――」 
 その質量、体積共にシロナの容量一派一杯。内臓を震わせる巨大な魔羅の衝撃に目を見開く。パクパクと口を開けて声にならない声を漏らす。 
 とうとうやって来た愛しい人の剛直にシロナの瞳から涙が一つ零れ、次には歓喜の悲鳴がダイゴの耳を劈いた。 
「んあああああああああああああああ――――っっ!!!!」 
「挿入れただけで跳んだ? だが、お前が欲しいのはもっと先の領域だろう!?」 
 もうこの時点でシロナは正気を失った様によがり狂う。頭の螺子が何本も跳んでしまった様な激しい絶頂振り。しかし、そんなモノは所詮序の口だ。 
 ダイゴは体が覚えている挿入角度で腰を突き入れた。懐かしい硬い引っ掛かりが亀頭部分に伝わり、腰に力を込めてそれを突破する。ダイゴはシロナの一番奥深くに到達した。 
「き、き、きたあああああああ!!  
オチ○ポ様、一番奥にはいっれきらあああああ――っ!!」 
 ……やっぱりチ○ポには勝てなかったよ。シロナを以ってしてもその誘惑には抗えないらしい。ずっと焦がれていた子宮への直接攻撃を前にシロナは涙を抑えず新たな絶頂へ誘われる。 
「これえ! これよお! ずっと! ずっろ待っれたのっ! 
ご主人しゃまの聖なるオチ○ボぉぉっ!!!」 
 昔の様に変なスイッチが入ったシロナは普段の美しさが嘘の様に痴態を晒す。ブレイク直後の超発狂にシロナはだらしないアヘ顔を晒し、腰を自分から動かしてダイゴのそれを咀嚼した。 
 自分では決して到達出来なかったエクスタシーにこうも簡単に導いてくれたダイゴに対し、愛しさと同時に牝としての服従心が湧いて来た。 
「またそれかよ? 飛ばし過ぎじゃないのか?」 
「判んない! 判んないいい! もうシロナIMIがわからなくなっちゃったのほおおお!!!!」 
 冷静な素振りでそう言うダイゴだが、実はかなり耐久力を失っている。 
 幹全体に突き刺さる襞の牙に白い血が出てしまいそうだ。加えて、飲み込まれた先端部が子袋にもぐもぐと食まれる感触は固定ダメージの如くダイゴの我慢を徐々に奪って行く。 
 しかし、狂いそうになっているのはシロナの方だった。瞳にハートマークを浮かべてぐちゃぐちゃと肉棒を扱き上げる。 
 きっとあの最速オルタ地帯の犠牲になったのだろう。あの蒲鉾工場は訓練を積んだ猛者であったとしても、爆死する危険を秘めている。頭がおかしくなったとしても仕方が無い話だった。 
※興味がある人はIMIで検索。どれだけ無茶な譜面か分かる筈(筆者) 
 
「駄目だこりゃ。ペットでも奴隷でも好きに気取っててくれ。俺は今は嫁さん以外は要らん」 
 この状態に陥ったシロナに何を言っても無駄であるとダイゴは知っている。欲している物が与えられる迄はずっとこの調子なのだろう。だから、へこへこと腰を突き動かしながらボソッとそんな事を呟いた。 
「――!」 
 それを耳にした途端、シロナの目にあった妖しい光は消え失せて一瞬にして通常運転に舞い戻る。腰の動きをピタリと止めると首をダイゴの方に向け、戸惑いながら言った。 
「ぉ、お嫁さん? ほ、本当に? あた、あたしがダイゴの?」 
「正気に戻ったよ!? ……いや、あれだけの事があっても切れなかったんだからもう、俺の中では確定かなって」 
 その変わり様にはダイゴも吃驚した。案外シロナは結婚願望が強いのかも知れない。 
 ダイゴにしても今迄は流石にそれに踏み込む勇気は無かったが、今は素直にそれを求めたい気持ちになっている。寧ろ、そうする事が自然な流れとも思った。 
「嘘……い、いや嬉しいけど、いきなりは」 
「いや、可能性は高いぜ。ってか、もういっそ一緒に住んじまおう。幸い、俺は今石関連の本の執筆と翻訳の仕事しかしてないから、お前の側に居れるしな」 
 シロナとしても言われて嬉しい言葉だったが、考え無しに頷く程馬鹿じゃあない。恋人から一段上の段階を構築するには色々と面倒な事も多いし、常に制約が付き纏う。 
 だが、ダイゴは本気だった。今年度で卒業なので報酬は安いが仕事は既にしているし、蓄えだって十分にある。愛しているから上手く行く等と言う確証は無いが、それでもダイゴはもうシロナを離したくない。一緒に暮らして行きたかった。 
「――」 
 ダイゴの左手の薬指。それが手に入る距離にある。意識が異界へと飛んでしまう。シロナは嬉し過ぎて生きながらにして成仏しそうになってしまった。 
「やっぱ、無理か」 
 放心した様に何も言わないシロナ。拒絶されたと勘違いしたダイゴが明確に気落ちした様な悲しい声色と顔で呟く。 
 こんな自分を愛してくれているシロナ。だが、それと結婚は別の次元の話である。それでもダイゴにはシロナしかいない。 
 だから、その耳元で好きの気持ちを全部纏めて甘く囁いた。 
 
「もう、お前しか見えない」 
 
「〜〜〜〜勝ったあああああ!!!!」 
 そのスーパースターの様な言葉に全部を持っていかれた気がしたシロナが狂喜した様に叫んだ。あのダイゴがデレた。その心を落とした。ダイゴの一番の女に遂になれた。 
 その事実さえあればもうどうでも良い。断る理由も無かった。 
「ぐおおっ!?? な、何ぃっ!?」 
 喰い千切られそうな強烈な締め付けにダイゴが焦った様に呻く。女の情念が篭ったとてつもない搾精に耐久力が一気に底を尽く。気分的には片手で捌く魔の七小節と言った感じだろう。こんなぶっ飛んだ難易度にはダイゴさんにしても大誤算。 
 シロナに逝かされそうになるのはダイゴには初めての事でどうして良いのかが頭に浮かばなかった。 
「なる! 一緒になる! 序に貴方専用のオナホールにも何だって!」 
「んつつつ……なら、決まりだ! 俺もお前専用の肉バイブ兼種馬になっちゃる!!」 
 だが、そんな瑣末な事は頭から消え去った。シロナは求めている。飢えた子宮をきゅんきゅんとときめかせて、ダイゴの物になる事を望んでいる。 
 そいつに対するダイゴの答えは一つだけだ。シロナの物になる事。唇を真っ青になる程噛んで、フィニッシュに向けて乱暴に腰を前後させる。デリケートな部分を使っているので丁重に扱わねばならないのだろうが、それでもダイゴはもう辛抱が堪らなかった。 
「ならっ! なら頂戴! シロナの子宮にぶちまけてええええぇぇ!!!!」 
「おっけーだ……! ぐ……喰らえっ!」 
 好きの感情が暴走して身体全体が性感帯になってしまった様だ。しかし、それが注がれる迄はシロナの飢餓感は決して満たされない。だから、シロナはダイゴにそれを強請る。ダイゴにしかこの疼きと渇きは癒せない。 
 後ろ手に首をホールドされたダイゴは耐えていたそれを解き放つ。些か遅漏気味のダイゴにしては稀に見る早い発射ではあるが、それでもシロナの中に注ぎたくて堪らない。だからそうした。 
「あ、あ! ああはあああああああんんんんんんんんんんっっっ――――!!!!」 
――びゅぶぶぶっ! ごぽごぽごぽ…… 
 望みが叶えられたシロナはビクビクと激しく暴れる様に痙攣し、様々な体液を零しながら深い絶頂に誘われた。 
 涙、鼻水、涎で化粧され、舌をだらしなく垂らしたシロナの顔は美しかった。 
「こ、こいつはっ! 宇宙モンキーのポポの分だ……!」 
「来た……来たよ……! ダイゴのミルク……美味しいよぅ……♪♪」 
 子宮底に亀頭を密着させての零距離射撃。一発で子宮の容量の半分を満たす様な凄まじい量が迸る。ダイゴの三年ミルク。異臭を放つ黄ばんだゼラチン様の液体が乾いた子宮に沁み込む様だった。 
 その余りの気持ち良さにシロナは愚か、ダイゴも気をやりそうだった。 
「未だ未だ調子が良いからもう四、五発喰らっとけ? ……なっ?」 
「うん……♪ 一杯、飲ませて……?」 
 子種を内部に撒き散らしながら、ダイゴはワイルドにシロナの唇を貪る。じゅぱじゅぱ厭らしい水音を響かせて煙草臭い唾液で口元が汚れて行くが、二人はそんな事すら御構い無しだ。 
 愛を受け取ってずっしりと重くなって行く熱を孕む子宮。それを吐き出して軽くなっていく睾丸。室内の生臭い空気はどんどん濃くなって行く。 
 
「ではでは」 
「ふやん!?」 
 漸く汁を吐き出し終えたダイゴは一物をシロナに収めたままベッドに上に胡坐を掻く。後ろから抱えられる様に貫かれているシロナは下半身の一部を襲った刺激にビクンと身体を跳ねさせた。 
「こいつにも頑張って貰おうか」 
「やん……ダイゴのえっち♪」 
 ダイゴが触れたのはシロナのクリトリス。鬼の弱点はやっぱり豆だった。 
 最初のダイゴの言い付けを四年近くに渡りずっと守ってきたシロナのそこはもう完全に蚕豆と言っても良い大きさに育ってしまっていた。 
 お触りの神としても扱き甲斐のある肉の突起。両手の指を総動員して絶妙な強さで以って刺激してやるとシロナは嬉しそうな顔をした。 
「お前も体外だっての」 
「ふう……ふぅ……は、半分、ダイゴの所為だもんっ」 
 普段のハスキーな声とは全く違う聞こえの良い喘ぎを漏らしてダイゴの言葉に抗議するシロナ。こう言う場に於いてスケベなのは悪い事では無い。それは判っているが、それがシロナには恥かしいらしいかった。 
「あー、はいはい」 
「ふあ、ぁ……んあっ……ああーっ、あー……」 
 だが、今更そんな恥じらいを見せられても説得力は皆無だった。 
 それでもぷう、と頬を膨らませるシロナが可愛いダイゴは返事もそこそこに豆の裏筋を重点的に扱き倒す。腰をくねらせながらシロナは快楽を貪る事に夢中だった。 
――そして、数十分経過 
 ……弄っている途中から最早男性器を扱っている気分になって来た。非勃起状態でも、この大きさでは包皮が役に立っているかが甚だ妖しい。 
 いっそ、包皮を切除して所有物の証であるピアスでも付けてやろうかと思ってしまうダイゴ。無論、そうなったらシロナは日常生活を送る事が困難になるだろう。 
 だが、湧き上がる嗜虐心には歯止めが利かず、自分の中にこんな変態じみた欲求があったのかと思わず首を傾げるが、一端意識してしまえばもう抑えられなかった。若し結婚したら本当にそうしてやろうかとダイゴは暗い欲望を胸に点す。 
「良い感じに蕩けてるな。お前のその顔、綺麗だから好きだよ」 
「ひくっ!? んっ! んんん〜〜〜〜〜っ!!」 
 足を大股に開き、子宮で肉棒を咥えながらダイゴに身体を預けてシロナはピクピク痙攣していた。ぐちゃぐちゃのピンク色の脳味噌は正常に動作しておらず、クリ豆と子宮から快楽を得る事のみに全ての処理能力が使われているのだろう。 
 その理性が融解した様な表情は何ともそそる。ダイゴはクリトリスを強く摘まんで引張り、同時に竿の形に膨らんでいるシロナの下腹部を掌で撫でてやると、シロナが悶絶した。 
 豆の痛みにも似た刺激もそうだが、肉の壁越しにコリコリとやられると何も考えられなくなる。仰け反って甘い喘ぎを漏らす事しか出来ない。 
 
「だからもっと塗り潰してやる。お前の胎の中、真っ白にな」 
 
 穏やかな口調でありながら、その顔は背筋が寒くなる様な笑みが満たされていた。 
 ズン、と強い突き上げを見舞い、シロナを再び肉欲の地獄へ突き落とす。次弾のリロードはとうに完了している。もっと泣かせたい。喘がせたい。気持ち良くしてやりたい。その気になったダイゴは弾が底を尽く迄止まる事が無いのだ。 
「っく! い、く! 逝くッ! 逝くイクイクイクイクイクぅうううう――――っ!!!」 
「くっあ……! ……ぐう」 
 また襲って来た快楽の大波に思考が漂白される。一度目とそう変わらない量を注がれてシロナは何度目かの歓喜の絶頂を味わわされた。 
 もう中出し=絶頂と言うパターンが刻み付けられた様に手足をバラバラに動かし、腰をうねらせてシロナがダイゴの子種を搾り取る。 
 この感覚が癖になっているのはダイゴも同じでそれはパブロフの犬の如しである。尤も、彼が一番欲しいのはシロナの愛の篭った噛み付きなのだが、この体位では流石に無理だった。 
「また、濃いのが……凄、いよおぉ……!」 
「未だ未だ終わんねえ。……時間、足りるかねえ」 
 絶頂の余韻を引き摺ってうっとりとした表情でシロナが言う。しかし、ダイゴの腹には未だ蟠る欲望が解放の時を待っている。こんな状態のまま終る何て事はダイゴにすれば在り得ない事だ。シロナに示す誠意を見せられたとも思っていなかった。 
 
「っ」 
「あん……ふっ、んっ……あ、はあ……?」 
 子宮は一端挿入ればそう簡単には抜けない。そうして、正常位に移行し手を恋人繋ぎしてお互いの熱を分け合っていた時、突然ベッド脇のサイドボードに置かれていた電話が鳴り出した。 
 それがフロントからの電話だと瞬時にダイゴには判った。陽はもう暮れていて辺りは真っ暗。数時間に渡って情を交わしていた事を壁掛けの時計が教えてくれている。 
「はい。……ええ」 
 シロナに竿を収めたままダイゴが受話器を取り、話し始めた。 
「? んいッ!? ひっいんんんんんんんん!!!」 
「無論延長……っ、明日の朝まで……はい」 
 すると、突然ダイゴが凄い勢いで腰を打ち付け始める。フロントと会話しながらこんな真似をするとはダイゴは只者ではない。 
 刻まれる快楽の刻印がまたもシロナを高みへと追いやり、切なく収縮する膣肉と子宮がダイゴの子種を搾り取る。びゅくびゅくと精を吐き出しながらダイゴはフロントへの延長申請を終えた。 
「んああ……♪ あっ、あああ……♪ 熱いぃ……♪」 
「さて。限界に挑戦しよっかな♪」 
 電話を終えて受話器を置いた時、シロナは夢でも見ているかの様な幸せそうな顔で自分の下腹部を撫でていた。掌で優しく触れられてピクピクと跳ねるダイゴのハガネール。 
 これで明日のチェックアウト迄邪魔は入らない。ダイゴのやる事は一つだけだった。 
 
――数時間経過 
「ひぐっ……うくっ……も、らめえ……!」 
 休まず肉責めされる事数時間余り。注がれた精液が六発を越えた辺りでとうとうシロナは泣きを入れた。グスグスと鼻を鳴らして泣くシロナにダイゴの下半身がまた弾を込め始めた。 
「聞き入れられんな。未だ弾はあるぜえ?」 
「もうお胎いっぱいぃ……! 飲めないよう……!」 
 でっかい図体にかなりの美貌を誇るシロナがこんな小動物の様な可憐さで泣いているのだ。そんな可愛さが胸一杯で逆に許せないダイゴは嗜虐心で満たされた実に良い顔で腰を突き上げてシロナの弱い部分を可愛がる。 
 胎の中がパンパンで苦しいのだが、竿で蓋をされているので溜まった精液は外へは排出されない。実際、シロナの下腹部は精液ボテと言える程に膨らんでいた。 
「駄々を捏ねるな。って、また催してきたな……」 
「ひいっ!? やら……ハメハメやらあ!」 
 顔を汚す涙と鼻水を拭わずにシロナがダイゴから逃げようとする。しかし、深い部分で繋がってしまっているので腰を掴まれただけで逃走は終ってしまう。ダイゴは決してシロナを逃がさない。 
「逃げるなよ。また注いでやる」 
「煮えちゃう……! お胎が煮えちゃ……っ!」 
 その仕草がムカ付いたダイゴは赤黒く腫上がったクリトリスを捻り上げながら射精を導く為に子宮口の輪っかで雁首部分を刺激する。もう抗う力も無いのかシロナは強制的に突き付けられる快楽と言う名の暴力に蝕まれる。 
「何の問題ですか?」 
「あっ……あぁっ……! また、また膨らんで……!」 
 射精に際し容積を増すダイゴの竿にシロナのパルシェンが悲鳴を上げる。これ以上は本当にあかん。素直に落ちる事が出来れば楽なのに都合良く脳味噌の電源は落ちてくれない。シロナは壊れてしまいそうだった。 
「そ、れっと!」 
「も、っ! ぴゅっぴゅらめええええええええええええ――――っっっっ!!!!」 
 手数王を髣髴とさせる凄まじい乱打でシロナの子宮を穿ち抜く。その勢いのまま容赦無くダイゴはシロナに種付けを行った。泣き叫ぶシロナは小便を漏らす程、脳の回路が焼き切れそうな快楽地獄に骨の髄迄冒されていた。 
「その割りに、この腰の脚と背中の腕は何なんだ?」 
「お、お願いしましゅ……! もう、も、許して……ゆるひてくらひゃい……♪」 
 射精の快楽を顔に出す事も無く、冷静にダイゴが突っ込む。 
 涙をポロポロと零し、許しを懇願しつつも、もっと飲ませろと言いたげにがっちりとシロナはダイゴの身体をホールドしている。掻き毟る背中の指が痛くて恐らくは爪が食い込んでいるのだろう。 
 そんなシロナの顔はとても行為の中断を望んでいるとは思えないモノだった。 
「……煽るのが上手いな」 
「んっ! んんーぅ♪ んふっ、ンッ♪ ふううぅぅぅ……♪」 
 やれやれ、困った女だ。そんな顔と共にまたダイゴがシロナにキスをした。甘さが微塵も見えない快楽を追求した獣同士の口淫。唾液の玉を口の端から零れさせてお互いの口を貪り、犯し合う。それが気持ち良くてまた下半身が元気になるダイゴだった。 
「……ぷは。そろそろ痛くなってきたが、俺はお前の為に頑張るぞ」 
「受精しちゃうよう……シロナのオマ○コ、ダイゴのお嫁さんになっひゃうのお……♪」 
 事前の準備があったとは言え、ダイゴとしてもそろそろ辛くなってきた。 
 だが、限界に挑戦すると思い立った以上、ダイゴはきっとそれを成すのだろう。瞳のハートマークはそのままに、尚も竿に噛み付くシロナをがっかりさせない為にもダイゴは頑張るのだ。 
「そりゃ良い考えだ。なら、しっかり耕して、孕ませとかねえと、なっ……!」 
「ひいっ! あひいいいいいいいい――っっ!!!」 
 流石に二発目を直ぐに用意出来る程ダイゴも絶倫ではない。だから、今の状態を楽しむ為に深い部分を穿つとシロナが狂った様に叫びダイゴの背中に血が滲む程強く爪を立てる。その痛みが心地良くてもっと欲しい気分になってしまった。 
「アレか? 見せ掛けで超ビビッてるな?」 
「なった……なっひゃったあ……♪ オマ○コ、ダイゴの奥さんになっちゃったよう♪」 
 もうシロナは理解していた。完全に身体がダイゴに屈服してしまった事に。そして、子宮自身がダイゴの剛直に恋をしてしまった事に。 
 きっと自分は壊れてしまった。そして、狂ってしまっている事に気付く。だが、シロナはそれで構わなかったのだ。 
 何故なら、シロナはダイゴにトロトロのメロメロだからだ。 
「ん? 俺のチ○ポが旦那ってか? 全く、見境の無い駄目マ○コだぜ。これでも食っとけスケベ女」 
「素敵っ! 素敵よお! あなたの奥さんマ○コ可愛がってええええんん!!」 
 もう、シロナはダイゴ無しには生きてはいけないだろう。そうなってしまったのだ。子宮をオナホールの様に扱うダイゴにもっと愛されたくて、可愛がられたくて。シロナの身体はダイゴを自分の夫と認めていた。 
「くっ、か、くかかかかかかっ! ほんと可愛い嫁御だな、シロナよお!!」 
 良く吼えた。シロナがそうである様にダイゴもまたシロナにイカレているのだ。 
 自分の女の趣味が変わったのかと最初そう思ったのだが、実はそうではなかったとダイゴは改めて知った。きっと支配したい、それと同時に支配されたいと言う願望が最初からあったのだろう。 
 それを満たす女はシロナ以外には居ないのだ。だから、ダイゴもシロナもお互いを好きで居られるのだろう。ダイゴはゲタゲタと品の無い笑いを漏らした。 
「あー、しかし、これじゃあ俺は最低な屑になっちまいそうだなあ」 
 しかし、それも一瞬で直ぐにダイゴの顔は元に戻った。 
 唯一の懸念事項はそれだ。今はお互い正気を欠片でも保っている。しかし、これ以上続けていけばそれすらも無くなる可能性がある。 
 身体の相性は若い裡だけだと言う奴も居るだろうが、きっとシロナと自分は死ぬ迄お互いを手放さないだろう事が予期出来る。それはダイゴの男の勘だが、そうなったら流石に自分自身で責任が取れない。周囲への迷惑と言う点でダイゴは不安だった。 
「ダイゴぉ……オマ○コしてよう……シロナの全部、ダイゴに売約済みだよ……?」 
「いや、もうとっくにそうなってんのか?」 
 しかし、そんな懸念も直ぐに消え去った。自分で動けない程の消耗度合いなのに涙を零して続きを強請るシロナの姿は本当に可愛くて頭がおかしくなりそうだった。 
 自分の事を棚上げする様だが、それでも、こんなニンフォマニアな残念な美人を愛してやれる男は自分しか居ないと逆に誇らしい気分になった。 
 ダイゴの中でシロナを一生可愛がる事は既に決定事項だった。その為ならば最低の屑でも一向に構わない。今のダイゴは残念の枕が付かない紛れも無いイケメンだった。 
 
「これでっ! これで……俺は!」 
 日付が既に変わりそうだった。もうドロドロにふやけてと快楽以外が無い状態に陥りつつ、先端部が鬱血した様な鈍い痛みがダイゴを襲っている。残弾もとうに空で睾丸が限界を訴えている。それでもダイゴは頑張っていた。 
「っ……ぁ、あう……うー……あうう……!」 
 それはシロナも一緒だ。水分を放出し過ぎて膣はカラカラに乾いてしまっている。痛いだけの筈なのにそれが気持ち良いのか、言葉の一切を置き忘れた様にあーだのうーだの呻いている。勃起状態のクリトリスが彼女が感じている確かな証だった。 
「これが……これが俺の愛だっ!」 
 もう吐き出す物は無い。それでも妻への愛を刻み付ける為にダイゴは愛のラストショットを放つ。全霊を込めた真摯な愛の形。それは確かにシロナへ届いた。 
 
『せーのっ、GAY♂BAAAAAAAAAAR――――!!!』 
 
 ダイゴのメタルバースト! 急所に当たった!  
 シロナは最高に懐いている! シロナは斃れた! 
 
「――ぁ、あ! …………はう」 
 内臓を焼く愛の熱さにシロナの目から涙が一粒ポロリと零れる。最後に極上の笑顔をダイゴへ向けるとそのままシロナは意識を失った。 
「シロナ……! 俺の……!」 
 ……勝った。シロナにでは無く、自分自身に勝った。もうそれ以上の言葉は無い。意識が無いシロナに軽い口付けをするとダイゴは刺さったままの一物を引き抜こうとして、其処で視界が途端に暗くなった。 
「新記録、樹立……!」 
 抜かずの10連発、達成。俺はまだまだ若い。 
 これで更なる位階に立った。ありがとう、シロナ。ありがとう、俺自身。 
 ……そして。 
「もう、限界」 
 さよなら現世。精も根も尽きたダイゴは竿を引き抜く事も叶わずシロナのおっぱいに顔から着地する。先に渡ったシロナの後を追う様にダイゴの意識もまた肉のカーテンに包まれて彼岸へと旅立った。 
 
「んっ」 
 朝。臍の裏がむず痒い様な感触にシロナは起こされる。身体を起こすが腕に拘束されていて起き上がれない。自分がダイゴに抱かれて眠っていた事。そして、合体したままだという事に気付かされた。 
 精液を浴び過ぎたのか下腹部の一部が妙に膨らんでいる。それはダイゴの竿の形では無く、間違い無く精液ボテだった。 
「……んん? あれ?」 
 男の身体は良く判らないが、勃起状態が長く続くと海綿体に深刻なダメージを与えると言う話を聞いた事があった。シロナはダイゴとの合体を解除する為に腕を払って身体を起こすが、其処で何か過去に感じた事のある様な自分の異変に気付いた。 
「おはようさん」 
「ええ、おはよう……」 
 すると、閉じていたダイゴの瞳が開かれて朝の挨拶が耳を通過する。シロナが目覚める前にダイゴはとっくに起きていたのだろう。 
 ……どうやら空気から判断するに、一夜明けてシロナが知っているダイゴの状態に戻ったらしい。それは嬉しい事だったが、シロナにはそれ以上に気になる事があった。 
「で、朝からどうしたの? 未だ足りないとか?」 
「いや、断じて無い。何か、少し違和感が」 
 戯けた事を口走るダイゴにシロナは真顔で言い返した。 
 しかし、異変の正体に付いてどうにも判然としない。まあ、どの道このままではシャワーすら浴びれないので構わずにシロナは竿を抜こうとした。 
「? ……おっと、抜くなよ。勿体無いからな」 
「何? きゃん!」 
 それに怪訝な表情をしたダイゴだが、竿を抜こうとするシロナの動きを見て、それを止めた。そして、起き上がると竿を軸にシロナの身体を半回転させる。気持ち良い箇所が擦られたのか、吃驚した様な声がシロナの喉を通過した。 
「なあに。注いだ汁は無駄にしたくないだけさ」 
 貫通状態でシロナの膝裏に手を当ててダイゴは軽々と立ち上がる。そうしてそのまま部屋の真ん中にあるテーブルへ歩くと、シロナを降ろしてやった。 
「はい、其処に手を付いて」 
「……こう?」 
 妙な事を言い出すダイゴに悪い予感がするシロナだったが、何をするつもりか寝起きの頭で訊く気は無かったので言われた通りにテーブルの端に両手を付く。そうして、それを確認したダイゴは備え付けのコーヒーカップを一つ手に取った。 
「ん。で、こいつを宛がって、抜くと……」 
「んくっ!」 
――ごぽっ ぶびゅびゅ! びちゅびちゃ…… 
 一気にダイゴが刺さったままだったハガネールを引き抜いた。同時に封を解かれたシロナの割れ目から溢れ出す黄ばんだ白濁。膣で射精している様な光景にダイゴはコーヒーカップでそいつを受け止めながら目を丸くした。 
 少しすると溢れる汁の量は減り、最後には雫しか垂れて来なくなった。膨れていたシロナの腹も元に戻った。 
「たっはー! 我ながら良く出したなあ。これだけの量、そうそう拝めないよ?」 
「……で? どうするの? それ」 
 人肌の温もりを保つホカホカのホットミルクだ。湯気が出る程熱くは無いが、それでも凄まじい臭気を放っている。カップの容量の八割に並々と満たされた粘々した液体。 
 ダイゴ自身としてもお目に掛かった事の無いそれ。隠し撮りしていないのが残念な程の量だった。 
 問題はその処理をどうするかと言う事だ。言われずとも何と無くシロナには判っていた。 
「君に進呈するよ」 
「今度は上の口で飲めって? ……どんどん変態度が加速するわね」 
 やっぱりそうなるのね。やや嫌そうな顔でシロナはカップの中身を覗き見る。……下の口で飲む分には構わないがこれは流石に……ねえ? 
「文句は台ほ」「はいはい。言わんで宜しい。でも……っ」 
 くんくんと臭いを嗅ぐと何故か口の中に唾液が溢れる。台本云々はどうでも良いが、案外飲んでみたいと自分でも思っているのかとその浅ましさに自分で呆れてしまう。 
 ダイゴの手にあるカップの淵に恐る恐る唇を寄せるシロナ。 
「んくっ!」 
 そして、シロナはそれを啜る。口に入れた事を確認するとダイゴはゆっくりとカップを傾けて飲ませてやる。十数秒掛けてシロナはその全てを口に含んだ。 
「んーっ! んんっ……」 
「直ぐに飲むな。舌で転がして、鼻に抜けさせろ」 
 もうそれだけで一杯一杯だったのかシロナが涙目の視線をダイゴに向ける。それに何故かゾクゾクと来たダイゴは更に意地の悪い注文をシロナに付けた。 
「っ……くちゅくちゅ、ふっ……ふうう……ぐちゅ……んっ……!」 
 言われた通り極上のワインを味わう様に……ではなく、口を濯ぐ様にぶくぶくと白濁液を口の中で攪拌した。味に付いては問う冪では無いが、鼻で息をした時にツンと来た精液特有の臭いにシロナの膣全体がきゅんと収縮した。 
 精液には媚薬の様な効果があるらしいが、少なくともシロナにとってダイゴのそれは不思議な薬も斯くやと言わんばかりの強力なお薬だった。 
「で、飲み込む」 
「〜〜っ! ……っはあ、はあ……けぷっ……ふー、ふーっ」 
 主人の許しが出たと同時にシロナは口にあったそれを一気にごっくんした。 
 精液臭いゲップを吐き、涙目で荒い息を吐いて、ピクピクと身体を震わせる。どうやら、軽く達してしまった様だ。桜色に染まった頬と肌がダイゴにそれを教える。 
「はい、あーんして……うん。良く出来ました」 
「やっぱり……美味しくないぃ……」 
 ダイゴは確認する為に涙目のシロナの口を開けさせた。ちゃんと飲み込んで胃袋に収めた事を認めると、褒める様な手付きでシロナの頭を撫でてやる。 
 普段なら喜ぶのだろうが、口に残る後味の悪さと喉に絡むイガイガ感が邪魔をしてなのか、何故かシロナは嬉しくなかった。 
「ん〜、塩と苦汁を混ぜた卵白+マルボ○風味? この酸味は君の味だね。何にせよ、好んで食すものじゃないね」 
「じゃあ何で飲ませんのよ……って、言っても無駄よね」 
「そう言う事。案外、肌に良いかもよ?」 
 シロナの割れ目から滴る雫を指の腹で掬ってダイゴはそれを舐めた。味に付いてはかなり的確なので何も言わないが、自分で出した汁を躊躇わずに口に運ぶのは中々出来る事では無いだろう。案外、飲尿健康法に通じる独特の考えがダイゴにはあるのだろう。 
 しかし、こんな糞不味い汁を態々飲ませるとは何を考えているのか小一時間問い詰めたいシロナ。だが、結局それも言うだけ疲れるだけだと気付いたのか、呆れた顔をする事しか出来ない。ダイゴはそれを見て少しだけ笑うとそんな事を言った。 
 
「あ」 
 もう用は無いのならとっととシャワーを浴びようと思い、テーブルから手を放して歩き出すシロナ。しかし、数歩歩いた時点で腰が抜けた様にストンとその場にへたり込んでしまった。 
「? どうしたの?」 
 それが何やら普通では無い。しかし、何処かで見た事がある様な気がしてダイゴが心配した視線を投げ掛ける。 
「あ、あれ?」 
「シロナ?」 
 懸命に立ち上がろうとするシロナだが、足腰に力が入らないのか立つ事が出来ない。それはどう見ても悪ふざけの類では無い。ダイゴは手を差し伸べようかと一瞬迷う。すると、シロナは困惑した表情でダイゴに助けを求めた。 
「ダイゴ? ……どうしよう。 自力で、立てない……」 
 ああ、思い出した。夏のホウエンで似た事があったけ。どうやら今回は痛みすら無い様だ。自覚症状が無いと言う事はそれだけ症状が重いと言う事だろうか。少なくとも二度と歩けない何て事は無いだろうとダイゴは楽観していた。 
「……また?」 
「またって言うな馬鹿ああああ!!!!」 
 手を差し伸べながらダイゴが口走るとシロナは顔全体に怒りを張り付かせて叫ぶ。 
 この暴れん棒将軍が! 本当に責任取らせんぞ! 
 
「ま、あれだけ長時間嵌めてりゃあ、こうもなるか」 
 風呂場。結局、湯を溜めている間もシロナの腰が復帰を果たす事は無かった。だから、ダイゴはシロナを姫抱っこで抱えると湯船に導いてやった。 
 少なくとも、責任の一端が自分にある以上、そうする必要があると思ったのだ。 
「何冷静に言ってんのよ、この(怒)」 
「イタイイタイ」 
 ガジガジと二の腕に噛み付くシロナ。髪を濡らしたくないのか長い金糸を後ろで纏めてアップしている。普段はお目に掛かれないポニーテールのシロナに少しドキッとしたダイゴだがこんな風にじゃれて来られるとそんな想いも吹っ飛んでしまう。 
 ……本当に噛み付くのが好きな女だ。まあ、それが愛情表現だと言うのなら受け入れるだけだし、寧ろ血が出る様な強い奴が欲しい。そんな事を思っているダイゴはやっぱり訓練された変態紳士だった。 
「前もそうだったけど、これが誠意って奴なら納得せざるを得ないわね」 
「そ。君が望んだ事。アフターケアはしっかりやるから、僕に任せてよ」 
 ちゃぷちゃぷと水音を響かせて同じ湯船に浸かる美男美女。胡坐を掻いたダイゴの上にシロナが対面で座っている形。水も滴る良い男と女な二人だ。 
 昨日のダイゴの頑張りの弊害が今回の腰撃沈の要因である。しかも、それは前の時と殆ど流れが一緒。だからこそ、シロナは文句を言えない。望んだ通りに犯され、貪られ、心も体も奪われたのだ。恨む筋合いには無い。 
 だからと言って今のダイゴはシロナを放り出す事はしない。自分の所為で愛する女が歩けない何て事態になっているのだ。最後迄面倒を見る気は満々だった。 
「当然よ。……処で」 
「ん?」 
「何か、お尻に硬い物が当たってるんですけど」 
 それには甘えさせて貰うシロナ。暫くは好きにコキ使って……否、それじゃ可哀想だ。たっぷりとイチャイチャさせて貰おうと心で決めた。 
 ……のだが、自分の尻にさっきから当たっている傘にも似た硬さを持った何かが、一体どうしてやろうかと考えるシロナの邪魔をする。無論、その正体は判っていた。 
「ん〜、また元気を取り戻したらしいね。君の御陰で」 
「あの、まさか?」 
 恥じ入る様子も無くそう言って来るダイゴにシロナの頭に嫌な考えが頭を過ぎる。 
 ひょっとして、11発目ですか? ま、まさかお尻に!? 
「大丈夫。使うのは前だから」 
「ほっ。そっか。……って、違うわ! アンタ、どんだけ猿なのよ!?」 
 無理をすれば最悪裂ける様な事になるが、ダイゴの言葉に胸を撫で下ろすシロナ。幾ら水中って言ってもあの太さは飲み込めるモノでは無いし、腸の洗浄も済んでいない。もっと拡張しなければ無理だし、ローションの類も部屋には無かった筈だ。 
 フロントに連絡すればその限りでは無いが……と、其処迄考えてシロナは正気に戻る。そりゃ興味が無いと言えば嘘になるが、今はナニを忘れてゆっくりと旦那様と一緒にお風呂に浸かりたかったのだ。 
「うん、珍しいよね。滅多に無いよ?」 
「他人事みたい言うな! そして、挿入れるなあああああああ――っ!!!」 
 あっけらかんとして言うダイゴの顔は殴りたい程に清々しい笑みを湛えている。だが、愛するmy only superstar にそんな真似はシロナとしても出来ない。 
 戸惑って何も出来ないで居るとニュッとした感触と共に膣に異物感。こいつ、本当に挿入れやがった。ふざけんなと侵入した珍棒を抜こうとすると、真面目な顔付きでダイゴが言って来た。 
「厭かい?」 
「〜〜〜〜っっ! 好きに決まってんでしょ馬鹿//////」 
「素直で結構。……あ、発射の際は肩に何時もの宜しく」 
 もう女としての自分が恨めしいのにそれでも幸せが胸一杯なシロナは泣きそうな顔と共にダイゴの背中に腕を回した。シロナが嫌う素振りをしていない事を確認するとダイゴは周囲がムカ付く程のドヤ顔を張り付かせてそんな事をシロナに呟いた。 
 
「うう〜……結局勝てないのね、あたしは……」 
「気持ちは判るかな。僕みたいなのに好きに転がされて、玩ばれて……モットモヒクイ気分。そうだろ?」 
 本当は判っていた事だ。幾ら勝ったと言っても、所詮はイーブンになっただけの話。 
 相変らずシロナがダイゴに惚れているのは変わらないし、寧ろダイゴがシロナに対し遠慮が無くなった事を考えるにトータルに見ればそれは彼女的には大敗北と言っても良い事態である。 
 だが、ダイゴは些かずれた言葉を送って来る。支配欲と被支配欲の一致。牡としての優位と牝としての本来の姿。ダイゴはそう言いたいのだろうか。……だとしたら、それは大間違いだ。 
「――フッ」 
 ……最低だと? 嘗めんじゃないわよ、ダーリン! 
 シロナは鼻で一笑すると男らしくきっぱり言い切った。 
「全然違う! 寧ろ最高だって思ってるっての!」 
「何?」 
 ザバッと水飛沫を立て、シロナが両腕をダイゴの背中から離す。そのままシロナは両手でダイゴの顔を固定すると、決して逃さない様な強い思いが篭る金色の瞳でダイゴの銀色のそれを射抜いた。 
 その様に何やら気圧されたダイゴはその意味に付いて尋ねる。 
「あたしもさ、やっと解ったよ」 
 すると、シロナは途端に表情を崩し、まるで恋をしている少女の様ないじらしく、また可愛らしい顔をダイゴに向ける。それから目が放せないダイゴは思わず唾を飲み込んだ。 
 
「惚れた男に身も心も命も捧げて……それでも愛されたい。支配されたいって願望の女が居たって事に」 
 
 行動の全てがダイゴの為では無い。寧ろ、半分は自分の為だとシロナは正直に言った。それでも、シロナがダイゴを愛している事には変わりは無い。 
 だからこそ、シロナはあれ程の執着心をダイゴに見せた。他人を慕い思い続ける事。自分のそれが本当に純粋な愛情だとは必ずしも言えない事だ。寧ろ、些か歪んでいる位が自分達には丁度良いともシロナは思っている。 
 大好きな人に全部を奪われたい。そして、シロナの心は体は望み通りダイゴに奪われた。だから、これからも女として、牝としてシロナはダイゴを愛し続ける。それこそが、シロナの生き様であり、誇りだった。 
「何所にさ。そして、誰なのさそれ」 
「此処に居るよ。今、貴方のチ○ポを咥えてる女」 
 何ともイカれた話で涙が出そうになる。でも、実際そんな病的な想いを向けられるのも悪くは無いとダイゴは思ってしまう。それだけ愛されていると言う証拠でもあるのだ。 
 それでも根の部分が臍曲りなのでやっぱり彼は訊いてしまう。それに対してシロナは再びダイゴの背中に手を回して溶かす様な柔らかさでダイゴの剛直をしゃぶって来た。 
「そう。どうやら、お互いにまともじゃないらしい」 
「だから、気が合うんでしょ? 違う?」 
 まともじゃない。だが、まともとは何だろう。そんなモノは所詮、世間で言われているマジョリティであって、ダイゴには興味が無い物だ。それを遵守しようとして、結果心が一度殺されたのだ。寧ろ、今となっては糞喰らえ。 
シロナにしても同じだ。周囲が何を言おうが自分達は自分達の道を往く。最悪、残念同士のシンパシィでも良い。恋の模様は人それぞれなのだから、それを続ける限りは決して間違いでは無い。シロナはそう思っていたのでダイゴに尋ねた。 
「え、あ――」 
 ルールからはみ出しても一向に構わない。その為なら、群れた暮らしに未練は無い。そう言いたげなシロナの顔にダイゴは自分の顔が赤くなるが判った。何か言わねばならない。でも適当な言葉が出て来ない。 
「――厭?」 
 それに悲しそうな顔をするシロナ。ダイゴの胸が痛む。頼むからそんな顔は止めてくれ。そう言いたい筈なのにやっぱり言葉は出て来なかった。 
「っ!? そ、そんな訳……っ」 
 そう答えるのが精一杯だった。歪で、それでも折れそうにない恋慕の情。もう一度、ダイゴはシロナに恋をする。自分にだけ向けられる女の一途な心。それを誰かに渡す気はダイゴにはもう無かった。 
 She is my wife……と言う奴だった。 
「言わなくて良いよ。こっちは正直だからさ♪」 
 ダイゴの気持ちを代弁する様にいきり立つペニス。そこからダイゴの想いを察知したシロナがぎゅうっとダイゴ自身を熱烈に抱擁する。 
「う、く……ん」 
「気持ち良い? なら、あたしのおまんまんでもっと扱いてあげるね……♪」 
 子宮に挿入されない限り、シロナはダイゴに対し五分の闘いを展開出来る域に到達した様だ。それは技術ではなく、きっと女としての自信や体験して来たダイゴとの交合によるレベルアップなのだろう。 
 実際、動いていないのにざわざわと小刻みに収縮する媚肉の感触は腰が勝手に動いてしまう様なもどかしさをダイゴに募らせた。 
 もう我慢するのも辛いので動こうとしたダイゴだが、シロナが先手を打った為にそいつが封じられる。ぱちゃぱちゃと水を跳ねさせてざんばらに腰を振るシロナはダイゴをゆっくりと追い詰めていく。 
 
――二十分程経過 
「が、ぁ――」 
「射精ちゃう? もう射精ちゃうの?」 
 お湯の中で悪戦苦闘。ダイゴが苦悶の満ちた呻き声を上げた。とうとう頑強な装甲を削ぎ取り致命傷を与えたシロナは自分ももう限界だと言う感じに涙目の表情をダイゴに向ける。 
「あ、ああ。射精したい。君に全部注ぎたい……!」 
「うん! うんっ! 一緒に逝こう……♪」 
 こうやって攻められるのも偶には悪くない……何てダイゴが思っているかは知らないが、それでも射精したいのは本当だったので普段の彼には有り得ない様な切なげな表情と共にシロナに頼み込んだ。 
 その顔が愛し過ぎてもう堪らなかったシロナは最後に深い部分でダイゴを感じたかったので、体重を掛けて思いっ切り身体を沈み込ませる。子宮口に亀頭がめり込むが角度が悪いので貫通には至らない。しかし、二人が絶頂を迎えるにはそれで十分だった。 
「シロナ……!」 
「ダイゴ……!」 
――ガリッ 
 先程のダイゴの願いを叶える為にシロナは犬歯を向き出しにすると、そのまま強い力でダイゴの首……肩口では無く首筋(しかも頚動脈辺り)に齧り付いた。 
「ぐう! ……っく」 
「ふきゅうっ!? っ……っ! ふうー……ふー……♪」 
 その痛みがスイッチになったのか、ダイゴは昨日の最初の一発を髣髴させる凄い量の種をシロナの内部にブチ撒ける。 
 べっとりと内膜に付着する白濁液が燃える様に感じられたシロナは下の口でミルクをごっくん直飲み。上の口ではダイゴの鮮血をちゅるちゅると啜る。鉄の味しかしない筈なのに、ダイゴの血はシロナには何故か甘く感じられてしまう。 
 飲血趣味を開拓してしまったのかと不安に駆られるシロナだが、この気持ち良さの前では全ての思考が霞む。ダイゴの竿を絞りながらシロナは口元を赤く汚して絶頂した。 
「ダイゴ……好き……好きだよお……」 
「僕も……っ、僕も大好きさ。シロナ」 
 想いの全てを吐き出す様に涙を伝わせてシロナが告白する。同じく、真摯な想いでそれに答えたダイゴ。二人はそのまま愛の口付けを交わす。 
 味付けは血のソース。シロナは勿論、ダイゴも自分のそれである事を除けば血の味は好きだった。 
 
「あー……糞。駄目だこりゃ。僕もまともに立てないよ……」 
「……早く、上げて。茹っちゃうよ、あたし……」 
 終った後。二人は完全に湯中りして湯船の淵に倒れ込んで身動きが取れなかった。相変らず自分で立てないシロナはさっさとダイゴに助けて貰わねばこのまま上せて失神と言う事も在り得る。 
 無論、それはダイゴも判っているが、幾ら彼でも直ぐに何とかするのは無理な状況だった。 
 
『良い子のみんな! 風呂場でのらぶらぶは要注意だ! お兄さんとお姉さんとの約束だ!』 
 
 
「これから、どうする?」 
「取り敢えず、君の家だね。そんな腰じゃ何も出来ないよ」 
 何とか風呂場から脱出を果たし、着替えを終えた二人は部屋から出ようとしていた。行き先はシロナの部屋。其処で暫くは腰を治さねばならない。 
「でも、やっぱお姫様抱っこは恥かしいって言うか//////」 
 そんなシロナは何故か恥かしそうだった。しかし、それも当然だろう。良い大人が姫抱っこされているのだ。二人っきりなら未だ判るが、この状態で外に行くのはシロナには恥かしい。 
「前にホウエンでもやったでしょ? ホームグラウンドだからとか言うの禁止」 
「……それを言われちゃ堪らんわね」 
 だが、ダイゴは無論そんなシロナの言葉を突っ撥ねる。シロナの腰が復活する迄はこの状態を続けるとダイゴは決めているのだ。それはもう覆らない決定事項だった。 
 
 その後、足腰の立たない状態のシロナを抱えて、ダイゴはチェックアウト。 
 姫抱っこ状態でシロナを運び、目的地であるアパートに辿り着く。撃沈したシロナの腰が復帰する迄二日を要したが、たったそれだけの間で二人は以前を越える絆を結んだ様だ。 
 人はその様を見てこう呼んだ。馬鹿ップルと。 
 
 

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