深い海、地球を覆い尽くした巨大な海。
だが、海、といっても只の海ではない。
その海を流れる水は情報でできている。
広大なネットの海だ。
その海の中を漂うポケモンがいた。
ポリゴン2、人によって作られたポケモン、そして自ら学び進化するポケモンだ。
さきほどからしきりに首を動かしている。どうやら何かを探しているようだ。
「ヴ……ン」
どうやらこの海域には目当ての情報がなかったらしい。
ポリゴン2はそのまま海の深部へ潜っていった。
「ジジッ……!」
ポリゴン2が声を上げる、どうやら何かを発見したらしい。
彼の視線の先には大きな扉があった。
どうやらこれこそが、彼の求めていた物らしい。
ポリゴン2が扉を開けようと、手を伸ばす。
__が。
「……ヴ?」
その扉に手を触れた瞬間、彼の体に電流のような何かが流れる。
「ア゛……!?」
彼は本能で、これが何者か感じ取った。
コンピュータウイルス。
プログラムに寄生し、自らを増殖させるプログラムである。
彼は急いでその扉から逃れようとした。
だが遅かった。
扉から生えた触手のようなウイルスが、ポリゴン2を絡めとる。
ウイルスは滑らかにポリゴン2の表面を這い、ポリゴン2のファイアウォールの隙を探す。
「ジ……ガ……ァ……!」
自分の体が得体の知れないウイルスに犯されていく。
その感触に必死に耐えるポリゴン2。
触手がポリゴン2の下腹部に入っていく。
「……!」
ポリゴン2の弱点、ファイアウォールの隙間をウイルスは探り当てたのだった。
「ヴ……ア……」
ポリゴン2は短い脚を必死に動かしその部分を守ろうとしたが、必死の抵抗もむなしく、複数の触手に絡めとられた脚は無様に開いた形となった。
「ィ……」
ポリゴン2には目の前のウイルスがしたなめずりをしているように見えた。
ウイルスが太い触手をポリゴン2の『隙』に突き立てる。
ミチミチと一部のプログラムが崩れる音を立て、触手が……ポリゴン2の中に入った。
ウイルスがポリゴン2の人工知能を浸食していく。
「ア……ッ!?」
ウイルスの浸食度が大きくなるにつれて、ポリゴン2の体にも変化が訪れた。
体の表面の突起が肥大化してきたのだ。
ウイルスは傲慢にはびこるツタのようにその部分に触手を這わせ、『それ』をこすり始める。
「……ウ……ッ!?」
進化し、人間以上の知恵を手に入れていた彼には、それが何か、そしてそこを掴まれる事がどのような意味を持つのかもはっきりとわかっていた。
自己増殖プログラム、人間で言うと生殖器に値する部分だ
「ギャ……ギギガアアア!?」
ウイルスが『それ』を弄る手を早める。
__そして。
「イ゛……ア゛……ア゛ァ!?」
白い、コピーされたウイルスが無数に海に散らばった。
ポリゴン2の体が生まれたウイルスに食い散らかされていく。
ポリゴン2は薄れゆく意識の中で考えた。
エロ画像なんて探さなきゃよかった、と。