二つのふかふかなベッドにテレビ、椅子、机、鏡、ランプ、電話と様々なものが揃った、いわゆる普通のホテルの一室。  
白い布団とは対照的な、黒い塊がこれまた二つ、それぞれのベッドの上に固まっている。よく見ると片方は灰色がかっているし、もう一方は何やら金色の輪が描いてある。  
金色の輪が付いた塊がもぞり、と動いた。見れば分かるとおり、この塊は立派な生き物、月光ポケモンのブラッキーだ。ぴくり、と長い耳を動かしてから、また丸くなった。  
布団とそのブラッキーが擦れる音を聞き取ったのか、今度は灰色の塊が顔を上げる。こちらは噛みつきポケモンのグラエナ。黒い耳をぴんと張って、寝入ろうとするブラッキーの様子を察知し、  
「なー、ナウル。……暇だからさ、楽しいこととかして」  
「みない。一応いっとくけど、僕はいま猛烈に眠たいんだ。あとそんな趣味もないからね」  
足蹴にされた。どうやらこのブラッキー、ナウル、という名前らしい。カーテンの隙間から覗くのは暗闇。日中から一日フリーだった二匹は、もう散々寝たはずなのだが。  
「嘘つくなよ、お前だってもう寝られないんだろ? なら俺と一晩を一緒に」  
「別にバトルの練習なら受け付けるし、他に面白い事があるならやってもいい。だけど君の趣味に付き合うつもりはないよ、ビート」  
ちぇ、と舌打ちをするビート。どうやら何かやりたい事があるようだが、ナウルに悉く断られて拗ねている様子。結局どうしようもなくなって、上げた顔を再び腹の毛の中に埋めた。  
室内には空調の動く音と時計の針が秒を刻む音しか聞こえない。窓の外はすでに真っ暗で、明かりが付いた家もほとんど見当たらない。時計の針は三時を指していた。  
「でも、もったいないよなあ。お前そんだけ可愛い顔しておきながら、雄だし彼女はつくんねーし。はっ、実は俺に気が」  
「べっ、別に興味がないだけ。全くばっかじゃないの、僕は雄なの、可愛くはないの!」  
再び顔を上げるなり突拍子もないことを言い出したビートに、ナウルも驚いて咽せてしまう。可愛い、と呼ばれるのが余り好きではないようだが。  
このブラッキーという種族。人間からしてみれば可愛い、の一言なのだが。ポケモンから言わせてみてもこのナウルは可愛い、に入るらしい。  
実際他の仲間のポケモン達に聞いても満場一致で可愛いとの結論だった。当事者は必死に否定していたが、その必死な姿もナウルの可愛さを引き立てる要因、らしい。ビート曰く。  
「まーいいや。それより小腹が空いただろ、木の実でも食おうぜー」  
机の上にはごちゃごちゃと散らばった木の実達。小腹が空いたときにつまんでいたらこんなに散らかってしまったらしい。  
ひょいっとベッドから飛び降りて、ビートは机まで向かう。適当に匂いを嗅いで、ぴんと来たものを咥えてナウルの寝ているベッドへ。  
ベッドのスプリングが軋む。ナウルもここでようやく起き上がって、ビートの持ってきた木の実をしげしげと眺める。  
「うーん、これは要らない、これ食べよっかな、これどんな味だろ……よし、こんなもんか。後はあげるよ」  
「よしきた。ふはー、にしても知らない木の実たっくさんだな。どんな味するのか分かんないけど、匂いは良いよな」  
がりっ、とお互いにそれぞれ木の実を一つ囓る。溢れる果汁を零さないように上を向きつつ、噛み砕いた木の実を喉の奥へと追いやっていく。  
しかしどうやらあんまりぴんとこない味だったようで、ナウルは嫌そうな顔を。一方のビートは当たりだ、と喜んでいる。  
二つ、三つと食べていくが、ビートの当たりは最初の一個だけ。ナウルもさっぱり好きな味に出会えないまま、お腹だけが満たされていく。  
「っ、はぁ、さっぱりだね、味。当たり一個もなかったよ」  
「俺も最初の一個だけだー。ふー……寝る、って感じじゃないよな」  
昼の間はどちらも余り活発ではない。ほとんどを寝て過ごしていたが故に、今は元気いっぱいの状態。ただ、その有り余る元気をどこへやることも出来ずにいるのが現状だ。  
ちなみにだが、苦手な木の実というのは人間にとってのアルコールの様な働きをする。正常な判断が出来なくなったり、少し気が大らかになったり。  
彼らももちろん例外ではない。一個だけでも結構きついのだが、二匹の回りには10個近くもの木の実が散らばっている。そのほとんどが外れ。ということは、数十分もしてみれば。  
 
「暇だなー。ねえちょっとビート、なんかやろうよつまんないよ」  
「それならさそれならさー、俺とたっのしーことやろうぜぇ」  
「たのしーことってどんなことさ、やってみないと分かんないじゃんかはやくー」  
……とまあ、こうなることは明白なのだ。普通はトレーナーが木の実には気を遣うのだが、その所為で彼らは苦手な木の実の効果を知らない。仕方ない、と言えば仕方ないのかも知れない。  
「じゃあまずはナウル、仰向けになれ」  
「ばっ、や、やだよそんな恥ずかしいことっ」  
早くもビートの暴走は始まっているようで、恥じらうナウルの首元に食らいつき、力づくでひっくり返す。四足歩行のポケモンにとって、いわゆる服従のポーズ、といったこの体勢。  
「やっ、やめっ、みるなよぉ」  
「へー……やっぱここも可愛いんだなあ、あるにはあるけど」  
必死に後ろ足を閉ざそうとするものの、ビートの前足がそれを許さない。後ろ足の間には、熱に浮かされたのか若干膨らんだピンクの雄が。棒、というには些か短い気もするが。  
ともかく、その小さな膨らみをまじまじと見つめるビート。恥ずかしい、けれども興奮が収まらないナウルの身体は、その雄を隠すどころかさらに誇張させていく。  
「準備は良いみたいじゃねーか、それじゃさっそく」  
まるで極上の木の実でも味わうかのように、じっくりと、確かめるように一舐り。言いようのない雄臭さがビートの口の中に広がる。だが、満更ではない様子。  
一方舐められた側はと言うと、ひっ、と小さく声を上げるばかり。まだ雌との行為に及んだこともない彼の雄が、舐められることに慣れているはずもない。  
自分で慰めるにしても、どこかに擦りつけて行うのが普通。自分で舐めよう、等という発想にはまず至らないだろう。普通は。  
「ひっ、あ、あっ」  
宙で揺れる後ろ足が、雄が舐められる度にぴく、ぴくと揺れる。余りにも正直な身体。わき出る熱に浮かされて、ナウルはぼんやりと天井を見上げる。  
嫌だ嫌だ、と口では言うものの。別にビートの事が嫌いなわけではない。寧ろかなり心を許している方だ。そうじゃなければこんな事を許しはしないだろう。  
ここまで来てしまった以上、この成り行きに任せて最後まで突っ走ってしまいたい。押し寄せる快感と、薄れ行く理性。後ろ足を閉ざすのが馬鹿らしくなってくる。  
「どうだー? 上手いだろぉ、俺。いっつも練習してたからなー、木の実とかで」  
「あ……も、っと」  
ぴたり、と止んだ快感が恋しくて。もはや抑えが効かなくなってきて、つい言葉に出してしまうナウル。恥ずかしそうにしながらも、もうその雄を隠そうとはしない。  
「なんだよぉ、お前もヤりたいんじゃん。じゃ、お互いにってことでー」  
やや呂律の回らない声でそう言うと、ビートはナウルに跨る格好に。それも、お尻をナウルの顔に近づける。顔は再びナウルの雄を咥える体勢に。  
ナウルの目の前には、既にそれなりの大きさと堅さを持った肉棒が。ナウルのモノと比べると数段大きい。驚きつつも、その雄槍にそっと顔を近づけて、舌を這わせる。  
最初は一舐め。ビートの香りがして、ビートの味がして。欲望が、本能が先に走っていって、思わずその雄をがっつくようにしゃぶるナウル。  
流石にその激しい行為は予想外だったのか、ビートが驚きの声を上げる。さっきまでの雄らしい声ではない、まるでか弱い雌の様な悲鳴。  
 
「へぇ、ビートもそんな声だすんだー、可愛いとこあるじゃんかぁ」  
「な、なっ……このやろっ」  
ふへへ、といじらしく笑うナウル。それが思いの外恥ずかしかったのか、かっとなってナウルのモノに仕返しをかける。ただ舐めるだけじゃなく、今度は全体を咥えるように。  
負けじとナウルもビートの雄槍を咥える。全体をねっとりと唾液で濡らし、ちゅぷ、ちゅぱと吸い上げ、くちゅ、と舌で転がしていく。  
ビートの大きな口はナウルの雄全体を咥えているが、ナウルの口ではビートのモノ全てを咥えるのはちょっと難しい。先端からある程度までを口に含むのがやっとだ。  
どっちの方が快感が大きいのか、はもちろん言うまでもなく。先に根を上げ始めたのはやはりナウルの方だった。ビートの口の中でぴく、と震えるナウルの雄。  
「はっ、もう限界か? はっやいなあお前」  
そろそろ耐えきれなくなってきた様子で、ナウルの口の動きも自然とおろそかになってきている。あっ、とか細く声を出しながら、必死でこみ上げるものを我慢している。  
「う、るさぁ、いっ」  
こうなったらいっそのこと、ビートの雄槍を先に果てさせるしかない。そう判断したナウルは、さっきまでよりもさらに深くビートの雄を咥えこむ。  
形を確認するように丁寧に舐めつつ、厭らしい音を立てながら吸い上げる。出てくるのは不思議な味をした液体。それが先走りだと言うことにはナウルも気づいている。  
「なぁっ、あっ、やめっ」  
一時ナウルへの攻めを中断していたビートにとって、またしてもこれは不測の事態。強い快感に、一瞬頭の中がふわり、と真っ白になる。  
やばい、と直感して、ビートはナウルへの攻めを再開した。このままでは自分が先に果ててしまう。ナウルより先に果てることは、やはり雄として避けたかった。  
一心不乱に相手のモノを吸う二匹。もはや最初の躊躇いはどこへいったのか、お互いその行為を楽しんでいる。相手の雄の味が、何だかやみつきになっている様子だ。  
二匹とも、既に足を震わせながら絶頂の寸前で留まっている。ナウルの宙に浮く足が雄と一緒に震え、ビートのベッドに置かれた足は時折がくっと力を失う。  
このままじゃ、と思った二匹は、同じタイミングで口を離した。物欲しそうに揺れるお互いの雄。けれどもここで果ててしまったら後がない。  
「なんだぁ? ナウルもわかってんじゃんかー」  
「なんだよぉ、ビートだってヤりたがってるくせにぃ」  
正常な判断などどこへやら。すっかりヤる気の二匹は、お互いにピンクの肉棒を揺らしながら立ち上がった。暫く見つめ合って、たまらずお互いの口を近づけて舌を絡ませる。  
先走りやら唾液やらでべとべとの口の中を、お互いの舌が舐め回る。舌を絡めて善がる二匹は、まさしく性欲に塗れた獣そのものだ。  
「じゃあ、まず俺からなー」  
「えーずるいずるいー。その後僕だからねぇ!」  
どうやらこの二匹、二回も行為に及ぶらしい。寧ろノリノリなのはナウルの方で、顔を上気させたような潤んだ目付きでビートを見つめている。  
わかったわかった、となだめつつ、まずはナウルがビートに向かってお尻を向ける。ふっくらと柔らかで、官能的なライン。その中央にはひくつく穴が一つと、股下で揺れる棒が一本。  
いきなり挿れたら痛いだろう。そう思ったビートは、まずその穴を解すことから始めることにした。とはいえ指なんて自分達の身体では使えない。使えるのは舌くらいだ。  
もちろん誰かが何かをそこに入れたこと等全くない、固く閉ざされた穴。周囲をなぞるようにして反応を楽しみ、そしてそっと長い舌の先端を差し込もうとする。  
「なんか変な感じだなぁ……うー、ビート、もっと上手にやれよぉ」  
「って言われたって、俺だってやったこと無いんだから仕方ないだろー! 黙って待ってろっ」  
口答えを終えたビートは、今度はやや無理矢理に舌をねじ込んでいく。長く薄い舌が徐々に徐々にと奥まで入っていく。違和感が拭えないのか、ナウルは時々もぞもぞとしているが。  
きゅっと締め付けてくるナウルに抵抗するようにしながら、舌をくるくると回して少しずつ慣らしていく。もちろん、この程度では到底広がりはしない。  
ただ、暫く執拗に舐め続けていけば、それなりに良い感じには濡れてくる。唾液でべとべとになった穴を見て、ビートも満足げだ。  
 
「よーっし、それじゃいくぞー」  
「遅いよぉ、ほら、はやくはやくっ」  
まだそれなりの堅さと大きさを保ったナウルの雄が揺れる。頭を低く、お尻を高く持ち上げて誘ってくるナウルに、ビートは自分の雄を宛がい、ナウルに覆い被さる。  
一回ですんなり入るわけもなく、何度も位置を確認しながら先端が入り口に触れるのを待つ。数回のやり直しの末に、ようやくビートはコツを掴んだようで。  
先端をもちろん拒むナウルの穴だが、それでも無理矢理雄槍を突き立てていくビート。もちろんナウルの様子を気遣いながら、時折優しく耳を舐る。  
「あっ、ぅあ、いたっ……あっ」  
ある程度ねじ込んだところで、暫くナウルを落ち着かせるビート。暫くの間そうしていると、ナウルもそれなりに落ち着いてくる。お互いの身体と身体が密着して、心臓の鼓動が聞こえて。  
「……も、いいっ、よ」  
わかった、と優しくささやいて、ビートはナウルから雄をぎりぎりまで引き抜く。先端を残して抜き去った後、再びゆっくりと雄を沈めていく。最初はこの繰り返しだ。  
何とも言えない不思議な感覚。中で肉棒が擦れる度に悶えるナウル。何かに当たっているのは分かっても、それがなんなのか、まではお互いに知らない。  
ただ、気持ちいいと言うことだけは十分伝わったようで、ビートもそこに肉棒が擦れるように腰を振り続ける。最初はゆっくりだった動きも少しずつ早めていく。  
もちろんきつきつに締め付けてくるナウルの中は、ビートにとってまさに天国のよう。こみ上げる射精感を抑えつつ雄槍を抜いて、挿して、抜いて、挿して。  
「あっ、ふあぁっ、や、うぁ」  
動きはいつの間にかかくかくと小刻みに。ビートの目付きはもはや雌を扱うときのそれと全く同じ。ナウルは潤んだ目でベッドに爪を立てながら善がる。  
その声に酔いしれ、淫猥な水音に溺れつつ、ビートはナウルを深く、深く犯していく。流石に根元の瘤までは入らないのだが、それでも絶頂には十分な快感で。  
「あっ、だ、すぞっ、あああぁっ」  
「ひあっ、ああっ、やああっ」  
先に声を上げたのはビート。ひときわ深く突き上げたかと思うと、咆哮と共に熱い液体が吐き出される。びくんと中で跳ねる肉棒が、ナウルをさらに刺激する。  
中に広がる熱い感覚も相俟って、遂にナウルも絶頂を迎える。固くなった雄から、シーツやお腹周りに向かってぴゅく、ぴゅくと飛んでいく。  
お互いの射精は暫く続く。その間ビートはナウルの背中に身体を預けてただじっと目を瞑り、ナウルは小刻みに身体を震わせながら快感に耐える。  
ようやく落ち着いたところで、ビートはナウルから離れていく。さっきまでビートの雄が入っていた部分が多少開いていて、そこから白濁が垂れてくる。  
ナウルの肉棒もまだ多少残った精を滴らせたまま。それでも一応落ち着いてはいるようで、ゆっくりと立ち上がると真っ直ぐビートの方へ向き直った。  
「それじゃっ、次はぼくの番だよねぇ」  
「あーもうわかったわかったよっ」  
上目遣いでビートの顔をじっと見つめてくるナウル。その可愛さに折れたのか、ビートも案外あっさりと後ろを明け渡す。白濁に濡れた雄と回りの毛が、他の綺麗な毛並みとはどう見ても釣り合わない。  
まずはナウルも同じようにビートの穴に舌を這わせる。震えるビートの様子を楽しみながら、少しずつ舌を入れていくナウル。どうやら、ビートはこの辺りに敏感な様子。  
これは楽しくなりそうだな、と思いつつ、ナウルはゆっくりとビートの後ろを解していく。舌を離せば、唾液でべっとりと濡れ、部屋の照明にてらてらと光るビートの穴が。  
 
「ヤ、ヤるならさっさとやってくれよぉ……」  
と、情けない声を上げるビート。どうやら我慢出来なくなったみたいで、雄を誘うように臀部を高くして振っている。見れば、足の間には再び大きくなった雄が、今か今かと震えながら揺れている。  
身体が小さい分少し苦労をしながらも、ビートの上にのしかかり、雄の先端をビートの穴に合わせる。今度は先ほど以上に苦労したものの、ようやくビートの穴がナウルの雄槍を銜え込んだ。  
雄自体もビートのモノと比べると小さいが、最初の状態よりは随分と大きくなっている様子。ピンクのそれは黒い毛並みに随分浮いて見える。  
ビートの身体が大きいせいか、はたまたナウルのモノが小さい所為か。思った以上にすんなりとビートはナウルを受け入れていく。そして、ぎりぎりのところで擦れる部分には辿り着き。  
「ひっぁ、あっ、うあっ」  
やはり、ナウルよりも敏感みたいだ。ビートは今にも達しそうなほどガクガクと足を揺らしている。ただ、ここでイってしまっては面白くない、とナウルは暫く動きを止める。  
少し落ち着いたかな、と言うところで雄を引き抜けば、そこには悲鳴にも似たような声を上げながら悶えるビートの姿が。荒い息、とろんとした目はさっきのビートとは別のもの。  
「ビートの中、いい、よぉ」  
「はぁっ、な、うるぅ、ふああっ、あっ、ひっ」  
暫くゆっくりとした腰の動きで、イかない程度にビートを虐めるナウル。ナウル自身も結構ぎりぎりの所なのだが、それは敢えて口には出さない。  
どれ位そうしていただろうか、いよいよ我慢できなくなったビートは、自ら腰をもぞもぞと動かす。それを見て、ナウルもそろそろと判断したのだろう、一気に動きを早くする。  
「も、もっ、だめっ……ふあああぁぁっ」  
「ひぁっ、な、うるっ、うあああああぁぁっ」  
震える後ろ足で何とか身体を支えつつ、ナウルはビートの中に精を吐き出す。ビートも堪らず絶頂を迎えて、シーツや前足を白濁で汚していく。  
二度目の射精にもかかわらず、互いに遜色ないぐらいの量。ナウルが肉棒を抜いたあとには、同じく零れる精液がそこにあった。  
荒い息を整えようと大きく息を吸えば、部屋中に充満した互いの雄の匂い。顔を見合わせて、ただ黙って口を重ねる二匹。  
喉が渇いた二匹は、ベッドの隅に転がっていた木の実をお互いに口で拾い上げ一囓り。溢れる果汁をずず、と吸う。直後、苦い顔をする二匹。  
「はあっ、な、ナウル……な、もうちょっと、やっても……いい、よなぁ」  
「ぼくも、おんなじこと、はぁっ、思ってた。もっと、やりたいよぉ……」  
誰に指示されるでもなく、お互いに見つめ合った後、ナウルはごろんと仰向けに。その赤い瞳がうるうるとビートを見つめる。そこに飛び込み、欲望を揺らしながらナウルのモノにしゃぶりつくビート。  
黒と灰が、白く、白く染まっていく。くしゃくしゃの毛並み、どろどろの顔。それでも、二匹の夜は長く、長くと続いていった。  
 
 
「なあ、ナウル。昨日のアレ、どうだったよ……って言っても、覚えてないか、詳細は」  
「どうだったもこうだったもないよ。全く、おかげでご主人にはこっぴどく叱られるし、僕たちの関係勘違いされるし」  
「でも、悪くなかったよな? あんまり記憶は無いけど、気持ちよかったぜー」  
「……それは、その」  
「またああいう木の実食べたときは、よろしくなっ」  
「……ま、まあ、変な木の実食べちゃったら、仕方ない、かもね。た、食べないけどっ!」  
 

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