「こんばんはー宅急便でーす。」 
インターホンが鳴ったと同時にドアの向こうから声が聞こえる。 
ちょうど炊事場で夕餉の支度をしていた僕は、電話台の上のペンを掴みとり、逸る気持ちを抑え一呼吸置いてからそっとドアを開けた。 
 
……… 
 
「早かったね…、この時期だしもうちょっと遅くなると思ってたけど…?」 
リビングのテーブルの上、開かれたままの雑誌、飲みかけのペットボトル、それらを押しのけるように中心に置かれた箱、不思議そうに見つめる二匹のポケモン。 
 
「じゃあ開けるね。」 
箱を開くと同時に、中を覗き見ようと二匹が揃って伸びをしたのがわかった。 
 
「こっちは…ライチュウのだね…」 
僕は箱の中にあった茶色い布をオレンジ色のポケモンに手渡した。 
 
「それで、こっちがマイナンのだよ。」 
もう一枚、今度はベージュの布を耳の青い淡い黄色の体色をしたポケモンに手渡す。 
二匹は未だ不思議そうな目をして僕に手渡された布を見つめている… 
 
先日通信販売で購入したガウンは本当に心地良い… 
ちょうど一昨年あたりから流行り出した、一枚の毛布に袖とベルトをつけガウン上に加工したものだ。 
サイズが大きく足先まですっぽりと包まれることが最大の特徴である。 
これが本当に素晴らしい…使用者が皆、怠惰になるという触れこみ通りの使用感であった。 
僕自身も例に漏れず足先まですっぽりとガウンに包まって怠惰に日々を貪り続けている。 
そんな折、僕のこの姿が彼の目にも幸福そうに見えたのであろう。 
オレンジ色のポケモンが僕のガウンに潜り込んで来るようになる。 
また、潜り込むだけではなく、僕の外出時にはしっかりと自分のものにしているようであった。 
このような状況にあって、彼と僕とでこの衣服の奪い合いになることは目に見えていた。 
当然であるが僕自身、こんな事で自分のポケモンと争う気は毛頭ない。 
よって、自然と次の答えに行き着くこととなる…、彼らにこの幸せを分け与えよう… 
…なんて、柄になく雄弁になってしまうぐらいの心地の良さを身に纏い、僕は通販サイトを開いた。 
幸いにも彼らは人と同様に二足歩行を得意とする。 
四足あるいは着衣に適さない形状のポケモンであれば、専用の衣服が必要となるが、彼らの場合は人間と同じものを身につけることができる。 
ただし、下着やボトムスに関してはそのとおりではない… 
でも今回の場合は上着として羽織るものなので、きっと何の心配もないはず…? 
閲覧を始めてほんの数分後、僕の予想通りに同じ形状の衣服を纏い、人間の子供と二匹のポケモンがじゃれ合う姿が目に飛び込む。 
 
「リオルと…もう一匹はタブンネ…だよね、たぶん…ね?」 
高まる気持ちに押し出されるように無意識のうちに発した言葉はひどくくだらない…、僕は直前の発言を押し流すように… 
 
「えっと…サイズは?…幼児用Mっと…あれSサイズもあるのか…」 
誰かに話しかけるというわけでもないのに声を大きくしていう。 
 
「Sサイズはリオルとチラーミィがモデルなんだね…?なるほど…リオルをものさしにしてSで短め、Mだと長めって言いたいのかな…」 
それにしても、色とりどりのガウンを纏った子供とポケモンたちは非常に可愛らしい。 
僕はモニタを眺めながら、頭の中でガウンを身に着けた家の仔たちを思い浮かべる。 
 
「よおし…ライチュウ、マイナン、ちょっとこっちにおいでっ…」 
 
このような経緯があって、注文からちょうど二日後の今日、僕の手元に二匹の選んだガウンが届いた。 
無地の茶とベージュ…二匹は目立たない地味な色を選択していた… 
注文の段階でわかってはいたけど、モデルの仔達が身につけていたオレンジやワインレッドが可愛いかったのになあ… 
でも、本人の意思を尊重した結果で、最初から気に入らないものを使わせるわけにもいかなかった。 
 
「それじゃあさっそく着てみよう…っとその前に…、ご飯…忘れてた…」 
ざく切りの野菜をお鍋に放り込んで煮込むだけ、味付けは塩をごく僅かに、お皿に取り分けて少し冷ましてから彼らの前に差し出す。 
冬はお鍋の季節とはよく言うけど、彼らと一緒に暮らす前までは一人で鍋なんて考えられなかった。 
僕の視線の先には頬袋をいっぱいに広げてご飯を口に詰め込むライチュウの姿があった。 
 
「相変わらずだなあ…」 
ライチュウと一緒に暮らすようになって…一年と十ヶ月ほど?…年が明けたらもうそろそろ二年になるのかな… 
 
早々と食事を終え、ベッドの上に横になり目を閉じる。 
そのまま一眠り…という間もなく、誰かが僕の肩を揺らす。 
僕が上半身だけ起こしてそっと目を開けるとポンポンと肩をたたく青い手があった。 
 
「う…うん…、なあに?マイナン?」 
僕が声をかけると同時に僕の目の前にベージュの布切れが差し出された。 
 
「あっ…ごめんっ…」 
先刻届いたガウンの存在を忘れかけていた。 
でも今日はもう眠るだけだから…折角だしお風呂上がりにしよう… 
 
「もうちょっとだけ待ってくれるかな?先にお風呂に入ろうよ?」 
傍から見てもその気持ちがよくわかるぐらい、マイナンは渋々とうなづいた。 
 
浴室に二つ並んだ小さな椅子の上、二匹のポケモンが並んで座る。 
それほど広くはない浴室に一人と二匹のポケモンが入ると少々窮屈だ。 
でも、まったく身動きが取れないというわけではなく身体を洗うぐらいなら何の支障もない。 
そんな中、僕は彼らのおなかに直接石鹸を塗りつける。 
二匹そろってくすぐったそうな仕草を見せるのはいつものことだ。 
ライチュウの細かい毛はふわふわの決め細やかな泡を生み出す。 
マイナンの体毛は石鹸を泡立てるには短すぎる気がするけど… 
僕が石鹸を塗り終えると彼らは自身の身体を擦り合わせ、あたり一面にふわふわの泡を拡げていく。 
僕はその泡を拝借し、自身の身体の汚れを落とすことにしている。 
スポンジ代わりに…この仔達と一緒に洗いっこすればほんとに気持ちよさそう…とは思うけど、この浴室にそこまでの余裕はなかった。 
僕は自身の身体を一通り洗い終え、手近にいたライチュウをそっと抱き上げひざの上に乗せる。 
ポケモン同士の洗いっこだけだとどうしても、関節や耳の裏、尻尾の付け根に脇の下など、洗いにくい場所が出てくる。 
また汚れがたまりやすい部分でもあるため、こういった洗いにくい場所は僕の手で仕上げている。 
 
「あれは最後にして…よしっ…マイナンもおいで…」 
ライチュウを降ろして代わりにマイナンを抱き上げる。 
そしてマイナンの洗いにくい場所を……… 
 
マイナンは半年ほど前、ある施設を介して家にやってきた。 
マイナンはおうえんポケモンと言われ、他者にエールを送ることにより送られた相手の力を引き出すことができるとされている。 
また、プラスルと対になる時、その力を最大限に発揮できるという。 
彼らはその性質からか、バトル以外ではいわゆる賑やかしとしてパーティーなどのイベントで活躍している。 
この仔もそんな中の一匹であったらしい。 
しかしながら、今のご時勢イベントごとだけではなかなか生計が立てにくい。 
そこで考え出された新しい企画が何かの二番煎じか三番煎じかわからないような、ポケモンのご当地アイドルダンスユニット計画だったらしい。 
これだけ聞いていると、鮮やかな体色に容姿も決して悪くない、一般的には可愛いといわれる部類のポケモンであるマイナンが選外となるとは考えがたい。 
でもその理由はもっと根本的な部分にあった。 
それは、ただ彼が♂のポケモンだったということである。 
アイドルというだけなら♂であっても特に何の問題もないが、ダンスの最中足を上げた時、♂の仔の印がちらっと見えてしまうとよろしくないということらしい。 
また不幸なことに彼の相方であったプラスルが♀であったため、自然と彼とのコンビは解消となる。 
マイナン単独では今までのようにイベントの仕事もこなせず、彼は必然的に引退を迫られることとなった。 
 
その頃、僕は仕事の関係で遠方まで出ることが増えていた。 
自宅にライチュウを一匹残してくるのは心苦しかったが、どうしようもないまま忙しい日々を過ごしていた。 
そんな折、ある日、とうとう日を跨いでの帰宅となってしまった。 
玄関のドアをそっと開けて、真っ暗な部屋の中に足を踏み入れ…、真っ暗じゃなかった…スタンドライトの明かりの下、瞳に涙をためたライチュウの姿があった。 
僕はライチュウを両手で抱き寄せ、ギュッと強く抱きしめて、ただひたすらに謝罪の言葉をつぶやいた。 
そして僕はその日の仕事をキャンセルして、とある施設を訪ねた…… 
 
「ライチュウの友達を探しています…」 
注文はあまりつけたくなかったので、出来ればでんきタイプの♂の仔をということだけを伝えた。 
でもライチュウ自身がこの施設の出身であるため、向こうに任せておけば相性等も踏まえて一番いい仔を紹介してくれるだろうという魂胆があった… 
ある程度時間がかかると踏んでいただけに、まさかあくる日すぐにもう一度呼び出されるとは思っても見なかったけど… 
今回は里親の仲介という形式になり、施設が一時的に相手側から預かったモンスターボールを里親となる人物、つまり僕に受け渡すだけで手続きが完了となるらしい。 
実際はモンスターボールの所有権を書き換えるだけなので、その場で僕のデータをコンピューターに登録してもらえばすぐに受け取れる状態になるそうだ。 
そんな手続きの途中でこの仔の来歴を簡単に教えてもらった。 
正直なところ僕の手に余るんじゃないかと不安なところもあったけど、しつけの行き届いている大人しい性格のポケモンだと教えてもらい、ほっと胸をなでおろした。 
登録作業はほんの十分足らずで完了する。僕は登録が終わったと同時に手渡されたモンスターボールを開放する。 
赤い光に包まれて、中から一匹の青いポケモンが… 
 
「えっと…マイナン?でいいんだよね…こんにちは…、っと始めまして…かな?」 
長い耳の鮮やかな青色に目を奪われていたけど、実際は淡い黄色の体色をした、小動物のような外見の可愛らしいポケモンだった。 
顔だけ見ると…ライチュウに似てる…?僕の第一印象はそれしかなかった。 
その後マイナンを自室に連れ帰り、恐る恐るライチュウと対面させるが、二匹は鼻先を近づけお互いに小さく合図を送りあっただけですぐに打ち解けたようであった。 
もしも馬が合わなくてケンカになったらどうしようと…僕の心配事は最初から何事もなかったかのような二匹を目の前にして一瞬で消え去っていた。 
…その日から僕と二匹のポケモンとの新しい生活が始まった。 
 
………ライチュウと同じようにマイナンも一通り洗い終わった。 
そうそう、いちばん洗いにくい場所がね…まだ… 
ライチュウにお嫁さんはまだまだ早いし、♀の仔の場合はいろいろと問題があるかな?と思って… 
そう、安心できるって意味でも同性である♂の仔のポケモンをライチュウのお友達にとお願いした。 
そんなわけで、マイナンにもライチュウと同じように♂の仔の部分が……、二匹のようにまだ幼い発育途上の♂の仔にはデリケートな問題が付きまとう。 
彼らの雄の性器は先端まですっぽりと分厚い皮膚に包まれているため内部を洗浄するのに一手間必要となる。 
いわゆる包茎という状態であるが、ポケモンにとっては皮に包まれている状態が自然な状態である。 
まあ、先端部分がまったく見えないという現状のままでは問題があるかもしれないけど、身体と共に性器も成長するので特に心配する必要もない… 
といったところまでが衛生、健康管理等の観点からの難しいお話だけど、実際はもっと簡便なやりとりをしている。 
まず、雄性器って言葉自体も彼らのものには似合わない無骨な印象を受ける。 
ポケモンは知能が高く人間の言葉を理解しているというのは定説だけど、本当にそのとおりで日常生活を送る上で必要になる言葉はきっちりと理解している。 
身体部位も例に漏れず、手、足等の大きな部位は当然、目、鼻、口などのパーツの一般的な名称もすべて理解しているようだ。 
そんな彼らに、彼ら自身の性器を示す語として僕が与えた言葉は、人間の男児と同じように可愛らしい印象を持つ「おちんちん」という言葉だった。 
でもたぶん…二匹とも僕がわざわざその言葉を教えなくても、以前から知っていたような印象があった… 
 
「じゃあおちんちん洗おうね…」 
マイナンは一瞬だけびくっと身体を小さく振るわせた後、僕の顔を見上げ僕のひざの上でそっと足を開いた。 
了承の合図を汲み取った僕は彼の開かれた足の間に手を運ぶ。 
現状では先端部分を露出させることも出来ないため、皮の中に水を流し込み、人差し指と親指の腹で挟み込むように皮の上から優しく指を擦り合わせる。 
習慣化しているためかマイナンは別段恥ずかしがる素振りも見せないが、またいつものようにそんな行為を覗き見る視線があって… 
 
「ライチュウもまだだから…後で洗おうね…」 
…小さな鳴き声が一つだけ返ってきた。 
 
………マイナンと入れ替わって今度は僕のひざの上、大きく足を開いたライチュウの姿がある。 
その正面にはマイナンが覗き見るわけではなく堂々と陣取っている。 
マイナンを家に迎えた直後は何をするにも怖々していた。 
特に入浴の際は直接身体に触れる、さらにはデリケートな部分にまで触れなくてはならない… 
まだ知り合ったばかりの相手にそのようなことを簡単に許すポケモンがいるのだろうか? 
このような問題があって、不衛生だと知りながら、マイナン自身に自分で身体を洗わせていた。 
きっとしばらくの間は表面の汚れだけを落とすような簡素な入浴が続いていたのであろう。 
そんな日々が続いていたが、ある日の夕食後にみんなで炭酸飲料を飲もうとしたときのこと… 
冷蔵庫から取り出した缶ジュース二本をライチュウに手渡し、一本をマイナンに分け与えるようにと伝え、僕は食べ終わった食器の後片付けをしていた。 
リビングからは二匹のうれしそうな声が漏れていた…と次の瞬間、二匹同時に大きな声をあげた。 
僕が慌てて居間を覗くと、ところどころ水分を吸収し、ペたっと毛が寝ている状態で呆然と立ち尽くすポケモンが二匹、またテーブルの上には缶の凹んだ炭酸飲料が… 
なるほど…運んでる途中で床に落としちゃったか?どこかにぶつけたか…? 
幸いにもあたりには電化製品は存在せず、床のマットを取替え、テーブルとその周辺を拭くだけで事態は収拾した。 
とはいってもやっぱり…ライチュウもマイナンも濡れた部分がべたべたするのが気になるようだった。 
 
「まあ緊急事態だししょうがないよね?マイナン…今日は一緒にお風呂に入ろうっ。」 
そんな形で僕はマイナンをライチュウと一緒に浴室に連れ込んだ。 
…そこから先は今までライチュウとマイナンにしていたように… 
ライチュウの身体を洗った後、マイナンの了承を経てライチュウにしたことと同じ行為をさせてもらった。 
ここでは身体だけで、もっと重要な部分には一切触れてはいなかったけど… 
そうそう、この時マイナンには身体部位の名称をつぶやきながら、身体に触れさせてもらったことも覚えている。 
その後は… 
 
「はいっ…マイナンはおしまい…、じゃあライチュウ…、おいで、次はおちんちんだよっ。」 
僕はわざと大げさに振舞ってライチュウを抱き上げ、足を大きく開かせてひざの上に乗せた。 
 
「えっとね…マイナン?これはねおちんちんって言うんだけど…君にも付いてるよね?」 
さらに僕はマイナンを正面に立たせて語りかける。 
 
「ここはね♂の仔にとって大切なところだからね…いつもきれいにしておかなくちゃいけないんだよ…」 
僕はライチュウのおちんちんを優しく摘み上げ、マイナンの目の前でぷるぷると震わせる。 
 
「じゃあちょっと見ててね…」 
 
最初にこのようなやり取りがあって、以来、ライチュウがおちんちんを洗われている間、マイナンはその行為の一部始終をそばでじっと見つめている。 
また、僕の作戦が功を奏したのか、ライチュウと同様にマイナンも自身の大切な部分をすんなりと僕の手に委ねてくれた。 
それにしても…ライチュウがまだ幼いポケモンだってことはわかってるけど、マイナンもそんなに大きくないのかな? 
それともポケモンは年齢・種族に関係なく同じような外性器を持っている? 
二匹のおちんちんは似たような形であまりにも可愛く、産まれたばかりのベイビーポケモンともそう変わりがないように思える。 
 
そんなこんなで、二匹のポケモンの身体と二本の可愛いおちんちんをしっかりと洗い上げると僕はもうたくたになっている。 
お風呂から上がるとそのままベッドに倒れこみそうになる。 
ここで便利なのがちょっと前に紹介した、あの購入したてのガウンだ… 
これを一枚羽織っておくと、もし布団の中以外の場所で意識を手放したとしても風邪を引くような心配はない。 
そして今日からは二匹にも同じものを身に着けてもらう。 
 
「さあ、大分お待たせしちゃったけど、そろそろ着てみようか?」 
マイナンにベージュのガウンを、ライチュウには茶色のガウンをそれぞれ羽織らせる。 
首もとのボタンを留め、胸元のベルトを絞ると… 
 
「なにこれ可愛い…」 
ほんの二、三日前、通信販売のサイトを閲覧していた時に頭の中で思い浮かべていたあの光景を思い出した。 
でも実際に目の当たりにするその光景は思い描いていた以上に衝撃的で…、僕は思わず二匹を抱き寄せていた。 
ふわふわのガウンの中ふにっとした柔らかい感触…、僕は二匹を抱き抱えたままベッドの上に仰向けに倒れこんだ。 
 
「っと…どうかな、ふたりともガウンは気に入った?」 
すっかり舞い上がっていた僕は二匹に質問を投げかけた後気づいた、彼らにはまだガウンを身に着けた自身の姿を確認する間も与えていない… 
そのとき一瞬、僕の手が緩んだ隙を見逃さず、二匹は僕の手を払いのけ身体を起こした。 
そして二匹は向かい合い、お互いの姿を見合わせて…、一度だけ小さく鳴いたと思うと… 
パフっ…という空気が抜ける音と共に、仰向けに寝転がる僕の上に二匹の重みが伝わる…二匹はそのまま僕にしがみつく… 
僕は体勢を変えないように手を伸ばし、ベッドサイドのテーブルの上からシーリングライトのリモコンを掴み… 
 
「おやすみ…」 
一声かけて部屋の明かりを消し、足元の掛け布団を引っ張りあげた。 
 
 
 
寒い…でも、ほんのりと暖かいような不思議な感覚…? 
まだ空が明るくならないうちに僕は不意に目を覚ました。 
 
「今何時かな…?」 
枕もとの時計をポンとたたくと真っ暗な画面に4:48の数字が浮かび上がる。 
 
「5時前かあ…ちょっと早いかな?でも…」 
僕はサイドテーブルの上に手を伸ばし、ルームライトに明かりをともす。 
その小さな明かりを背に二匹の姿を探すと… 
 
「なるほどなあ…」 
二匹は僕の足元で気持ちよさそうに並んで眠っていた。 
ベッドの下には彼らのうちのどちらかが蹴り上げたと思われる布団が落ちている。 
彼らにとってはガウン一枚で十分に暖かいのだろう…無意識のうちに邪魔な布団を排除しようとした… 
その結果、僕から布団を剥ぎ取って…、いくらガウンが暖かいといっても人間の僕がこれ一枚だけでは寒さを完全にしのげるはずはなかった。 
 
「やれやれ、しょうがないなあ…」 
僕はベッドの下に落とされた布団を拾い上げ、並んで眠る二匹に目をやった。 
布団をかけなくても十分に暖かいってことならば、このまま寝かせておけばいいかな? 
ベッドの上を転げまわっても脱げないようにだけしておこうかな? 
僕は並んで眠る二匹のそばに腰を掛け、手前で寝ているライチュウに手を運ぶ… 
 
「これは…寝てるところも可愛いなあ…」 
いつもと違う寝姿にそんなことをつぶやきながら、ライチュウが身に着けているガウンを裾のほうからゆっくり捲り上げる。 
ベルトさえ緩んでいなければそう簡単に脱げる心配もないだろうけど、念には念を入れて… 
くしゃくしゃになっていつはだけてもおかしくないようなガウンを整えておこうと考えた。 
でも、裾のあたりはすんなりと捲れても彼の身体の下敷きになっている箇所は簡単には持ち上がらない。 
そんな状況の中で僕は彼を起こさないように優しくほんの少しだけ、彼の身体を持ち上げた。 
半面だけひっくり返してガウンを整えた後、同じようにしてもう半面を整えればいいだろう… 
僕の試みはこの時点では上手くいくはずだった… 
 
「これでよしっと…次はもう片方を…」 
ここで問題が起きる…といっても実際は僕自身が起こした問題で… 
 
「あっ…っと…」 
ライチュウの身体を動かした際、下半身を覆っていたガウンに隙間が出来る。 
運がいいのか悪いのか、僕はその瞬間を見逃さなかった… 
はだけかけたガウンの隙間から一瞬だけ覗いた彼の可愛いおちんちん、柔らかそうにぷるんと震えるのが見えた… 
もう見慣れているもののはずなのに…、それは普段以上に魅力的に見え、僕の中のいたずらごころに火をつける… 
 
……… 
 
「うわあ…」 
僕の目の前には気持ちよさそうに寝息を立てるライチュウの姿がある。 
彼は暖かそうなふわふわの衣を纏い…、しかし、下半身は大きくはだけ完全に露出していた。 
普段何もきていない彼がこういう格好をしていると、本当に何だかよくわからない不思議な魅力を感じる。 
 
「ライチュウ…おちんちん丸出しだね…」 
僕はそうつぶやいてクスリと微笑む…、これはきっと背徳感からくる… 
いたずらごころはさらにヒートアップする… 
 
「マイナンもおちんちん出そうね…」 
僕はライチュウの隣で眠るマイナンが着ているガウンを裾からゆっくりと剥いでいく。 
何の抵抗もなく捲り上げられるガウン…、彼の無防備なおちんちんはいともたやすく僕の目の前に晒される。 
 
「ほら…、マイナンもおちんちん丸出しだね…」 
そういって僕はまたクスリと微笑んだ。 
 
今、僕の目の前には下半身を露出して眠る二匹の小さなポケモンの姿があった。 
彼らが呼吸をするたび、柔らかそうな腹部が上下するのに伴い、小さなおちんちんがぷるぷると震動するのがよくわかる。 
僕はその光景をしっかりと目に焼きつけた後、右手をライチュウのおちんちんに左手をマイナンにそれぞれ指を這わせる。 
 
「うん…柔らかい…」 
二匹のそこは外気に晒されたためひんやりとしていた。 
僕はそんなことお構いなしに彼らのおちんちんを指先でふにふにと揉みこむ。 
時々、先っぽをつまんで皮を伸ばしたり、付け根を持ってぷるぷるとゆらしたり… 
かなりの時間を二匹のおちんちんを弄くることに費やした気がする… 
それでも、ぐっすりと眠っているためか、まだ性的刺激が伝わってないのか、彼らのおちんちんは硬くなる素振りを見せない。 
そのせいか、僕のいたずらごころはいつまでたっても満たされずにいた。 
そして僕は最後の手段に訴える… 
自身の身体の向きを眠るライチュウに合わせ、そのまま彼のおちんちんに顔を近づける… 
大きく息を吸い込んで口を開き…、陰嚢からなぞるように裏側に舌を這わせて彼のおちんちんを口内に迎え入れる。 
…唾液をためた舌の上を彼のおちんちんが転がるたびにぷるぷるとした微弱な振動が伝わってくる。 
また、唾液といっしょに彼のおちんちんを吸い込もうとするたび、ちゅぱ…ちゅぱ…という隠微な音が聞こえる。 
僕がこの行為に没頭していると、柔らかかった彼のおちんちんはいつの間にか口の中で形を変えていた。 
 
「あれ…?」 
不思議に思った僕が彼のおちんちんを開放し顔をあげると…、また不思議そうに僕を見つめるライチュウと目があった。 
少しぼーっとしていて、彼にかける言葉がすぐには出てこなかったけど、僕は彼に微笑んでこう言った。 
 
「ごめんね…起こしちゃった?」 
僕の言葉を待っていたであろうライチュウは、僕の言葉を聞くや否や身体を起こして僕に抱きついてきた… 
そして、いつものように僕の口元を舐める…、これはライチュウの愛情表現で僕にキスをねだる仕草だ… 
僕はそれに答えるようにライチュウを抱きかかえ、そっと彼の口を塞いだ… 
そのまま、僕らは短い口付けを何度も重ねる… 
 
「いつから起きてたの…マイナン?」 
ライチュウとのキスの最中、不意に視線を感じた方向を横目で覗き見ていた。 
隣で寝ていたはずのマイナンが上半身だけを起こし、僕らの行為を盗み見ていたことはすでに気づいていた。 
 
「ほらほら…おいで…」 
僕が呼びかけるとマイナンはすっと立ち上がり僕の胸に飛び込んできた。 
ライチュウが彼のほっぺたを舐め…そのまま二匹は唇を重ねる… 
この光景は見慣れたものではあるが、いつ見てもドキドキする… 
唇を重ねることの心地良さは誰でも同じで、きっと動物の本能の中に組み込まれてるんだろうなあ… 
こどもがエサをねだるときのなごりだという研究者もいるらしいけど、そんなことはどうでも良かった。 
そして短い口付けを終えたマイナンに僕はお願い事をしてみた… 
 
「あとで直してあげるから、ちょっとこことここをね…持っておいてくれない?」 
はだけたガウンの裾を捲り上げて…そう、たくし上げって格好を… 
彼はよくわかっていないようだけど、素直に僕の要求に応じてくれた。 
マイナンは捲り上げたガウンのボリュームに押されて、自然と腰を突き出す格好になる。 
これもまた可愛いなあ… 
 
「ふふふ…マイナンの可愛いおちんちんが丸見えだね…」 
僕は無意識のうちに変質者のような発言を漏らしていた… 
可愛いものを汚すようなこの背徳感に自身の胸の高まりを抑え切れなくなっていることがよくわかる… 
僕はマイナンの股の間に手をとおしてそのまま足を開いて抱き上げた。 
そして彼のおちんちんをライチュウの顔の前に持ってきて… 
 
「ねえライチュウ、さっき僕がキミにしてたみたいにさ…マイナンも気持ちよくしてあげない?」 
ライチュウは大きく頷くと目の前のマイナンのおちんちんにしゃぶりつき… 
ちゅぅ…ちゅぅ…と赤ちゃんが母乳を吸うみたいに、ライチュウはマイナンのおちんちんを優しく吸い上げる… 
二匹とも表情一つ変えないから…、僕も息を呑んでその行為を見守り続けた。 
時折、ライチュウが顔をあげ呼吸を整えるたび、唾液にまみれて艶やかに光るマイナンのおちんちんが姿を見せる。 
僕は抱えあげたままのマイナンの身体を揺らし、彼のおちんちんが振り子のように左右する様子を楽しむ… 
ライチュウは目の前でゆれるマイナンのおちんちんをじっと見つめ…大きく舌を伸ばしてきた… 
僕はその舌の上にマイナンのおちんちんを重ねる… 
ライチュウの大きな舌の上で転がされ、マイナンのおちんちんは美味しそうにぷるぷると震え… 
次の瞬間、パクッと大きく開いたライチュウの口の中に取り込まれる…その光景はまるで捕食…?のようであった。 
そしてまた、ちゅぅ…ちゅぅ…という何かを啜る音が繰り返される… 
 
この行為を始めてから正確にどれぐらいの時間が経ったのかはわからないけど… 
僕の両腕の痺れから、ある程度の時間を費やしていることだけは明らかだった。 
マイナンの身体をずっと窮屈な体勢のまま固定し続けるのにも限界がある。 
そんな中、ライチュウが口を開けた瞬間を狙って、僕はマイナンをベッドの上に降ろした。 
 
「お疲れ様…」 
僕は少し申し訳なさそうにマイナンに声をかける…、…でも、彼は何事もなかったかのように僕に抱きついて来た。 
そしてマイナンと同じようにもう一匹…、ライチュウも僕に飛びかかる… 
僕は二匹を抱いたままベッドの上に仰向けに倒れこんだ。 
あれ…何か昨日も同じような場面がなかったかな…? 
そんなことを考えながら、僕が枕もとの時計に目をやると… 
 
「えっ!?…もうこんな時間っ!?」 
歳の瀬は何かと気ばかりが急いでしまう…わかってはいても何かせずにはいられない。 
 
「今日はまず買出しに行かないといけないんだよっ…それから…」 
僕は身体の上の重石を払いのけ、すっと立ち上がり、羽織っていたガウンを勢いよく開いた。 
一瞬で冷たい空気が流れ込む…、寒い…けど、目を覚ますにはこれが一番だ。 
 
「じゃあ朝ごはん作ってくるからね、君たちはもうちょっとゆっくりしてていいよ。」 
そう一声かけて炊事場に向かう僕の服の袖を何かが引っ張る… 
 
「なあに?」 
…振り返ると二匹のポケモンが並んで、ガウンのすそを捲り上げていた…、いわゆるたくし上げの格好で… 
その姿を目の当たりにした僕は一瞬意識が遠のきそうになる… 
でもすぐに我に返ったつもりで…平常心を装い彼らに話しかける。 
 
「…えっ…と…、あっ…と、脱ぎたい…?」 
彼らは揃ってうなづく。 
僕は一匹ずつ順番に彼らを纏っていたガウンを剥ぎ取る。 
ガウンを脱ぎ終えるとすぐに彼らは手を取り合ってリビングを飛び出した。 
僕は少し残念な気持ちで、彼らから剥ぎ取ったガウンを見つめ… 
…なるほど…、そういうことか… 
僕の中で静まっていたいたずらごころが少しだけ顔を覗かせる… 
…二匹は少し間をおいてリビングに戻ってきた。 
 
「ごめんね、これ着てたらひとりでやりにくいよね…?」 
彼らは小さく頷いた。 
さらに僕は彼らにこう告げる。 
 
「じゃあ今度から、脱ぎたくなったらさっきみたいにして教えてね…」 
二匹が揃って首を縦に振る姿を見ながら、僕は口元に自然と生じる笑みを押し殺していた… 
 
……… 
 
僕は通販サイトを開いて、色とりどりのガウンを眺めていた。 
そして、そばでモニタを食い入るように見つめる二匹のポケモンに話しかける。 
「今度はあれよりもっときれいな色にしたらどうかな?」 
窓の外、ベランダに並ぶ洗濯物の中、茶色とベージュの小さなガウンを指差しながら… 
「ゆっくり選んでいいよ。」 
そう言って彼らの頭を優しく撫で下ろした… 
 
fin. 
 

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