春眠暁を覚えずとはよくいったもので、このところの春の陽気は僕を寝床に縛り付けて逃さない。  
まだはっきりとしない意識の中、時計を探す僕の目に伸縮するオレンジ色のふわふわ毛玉が映った。  
無意識に手を伸ばし、その毛玉をぎゅっとわしづかみに…といってもそこまで力をこめるわけでもなく、オレンジ色の毛玉はするっと僕の手からすり抜ける。  
 
「ごめん、起こしちゃったね…」  
オレンジ毛玉はその形状を変え、後ろ足で立ち上がり、体を起こした僕の顔を見上げる。  
特に眠そうな目をしているわけでもなく、不機嫌そうな顔をするわけでもなく。  
しばらく見つめあった後、お互い無関心そうなしぐさをみせてベッドのふちに腰をかける。  
 
「もう4時過ぎなんだ…、買い物は…昨日買ってきたのがあるから今日は行かないでいいかな。」  
「ご飯の準備と…、ちょっとすっきりしたいから今日はシャワーじゃなくてお風呂を入れようか。」  
このときすでに時計の短針は4の数字からは大きく外れ、5の数字の間際まで来ていた。  
僕はふぅっと大きく息はいて伸びをした後、頭の上で腕を組み「もう5時前だよね」とさっきの言葉を訂正した。  
一人暮らしのこの部屋の中にあって、当然ながら誰からのレスポンスもない。  
いつからこんな独り言のようなものをいうようになったのか、それはこのときから3ヶ月ほど前のこと…  
 
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「ごめんなさいね、にぎやかで。」  
僕はとある施設を訪れていた。  
 
「いえいえ、今まであまりポケモンに触れたことが無いのですごく楽しいです。」  
よくあるポケモン保護施設である。  
無責任なトレーナーや飼い主による育成放棄というか、飼育放棄というか…、それらがこの世界が抱える大きな問題であるということは誰でも知っている。  
しかしながら、自身がポケモンとはあまり縁の無い生活を送っていたため、実際に目の当たりにする機会が来るとは思ってもみなかった。  
 
「それはよかったわ…、それで実際ここの印象はどう?」  
「…託児所とか保育所みたいな感じ…ですかね?」  
「うーん…大体正解かな。」  
施設の所長さんにエスコートしてもらい、道中でこの施設のポケモンの大半が元はトレーナーのポケモンであったということを聞く。  
一通り施設の中を見学させてもらった後、広間のテーブルセットに案内された。  
応接室は見当たらなかったし、まあそんなに重要な話があるわけじゃないから妥当なところかな…  
 
「ちょっとこの机使いたいから空けてくれる?」  
予想通り、所長さんは先の使用者に一声かけた後、僕に目の前の席に着くよう促した。  
言われたとおりに腰をおろそうと手前の椅子に目をやると、その上に一匹のポケモンが…  
 
「ごめんねライチュウ、このお兄さんを座らせてあげてね。」  
そのポケモンは所長さんの言葉を聞いてテーブルのうえに飛び乗った。  
 
「ありがとう。」  
僕もとりあえず声をかけて、目の前の空いた椅子に腰を下ろした。  
 
「それじゃあ始めましょうか………あっ…」  
僕のひざの上に何か重い荷物が落ちたようだった。  
実際そこまで重たくは無かったが、そのときは不意に感じた重量に少しだけ戸惑った。  
 
「………えーっと…、これはどうしたら…?」  
「うふふ…どうしましょう?」  
クスリと笑い声を立てて僕と所長さんは顔を見合わせた。  
 
「まあ別に気にならないからこのままでいいです。」  
「そういってくれると思ったけど、足が疲れてしびれる前に降ろしてね。…よかったわね、ライチュウ。」  
さっき僕に席を譲ってくれたポケモンが僕のひざの上にちょこんと乗っていた。  
ライチュウってあのピカチュウの進化系の…?初めて見たけど可愛いなあ…  
僕は指を伸ばしそっとライチュウの頬をなでてみる。  
細かくふわふわした毛がまるでシルクのような手触りだった。  
 
「じゃあ改めて始めましょうか。」  
 
……… ……… ………  
 
話の内容は…ここにきた目的なんだけど、この施設の広報のデザインの依頼を受けその打ち合わせに…。  
営利目的ではないため目を見張るような華美なデザインは必要が無い、施設紹介や活動内容等を簡潔に伝えることができればいいそうだ、アットホームな施設の印象からもどれぐらいの力を入れて取り組むべきなのか大体理解することができた。  
またこのような施設からの依頼であるわけなので、当然これは無報酬の仕事になる。  
実際にこの話も自分が探してきたわけではなく、別件のビジネスの場でたまたま顔を合わせた知人から、口頭で「時間があったらちょっと助けてやってくれ」と無責任に押し付けられたことに起因する。  
まあこの手の仕事は顔が広がるという点で重要でもある…というよりは、今回は自分がボランティアという名の社会貢献といえるような行為をしているわけなので、それだけでも少し高尚な気持ちになれる。  
 
「じゃあこんな感じで一度作って見ますね。アウトラインが完成したら先ずはメールでお知らせします。」  
「ありがとう!じゃあよろしくね。」  
ほんの1時間ほどで大体の方向性が導き出された。  
そうと決まれば頭の中に今の話の内容とこの施設のイメージが鮮明にある内に着手したい。  
僕は目の前に広げられた資料をまとめ、颯爽と席を立ち足早に帰路に着く………  
 
はずだった。  
 
しかしながら、僕がその席を立つことは許されなかった。  
 
「…安心しきってるみたいね。あなたは本当に今までにポケモンを育てたことは無いの?」  
所長さんは微笑みながら僕に問う。  
 
「はい、一度も…」  
僕は苦笑いしながら答えた。  
 
「折角だからその仔を育ててあげてくれないかな?」  
「…えっ…………えっと…」  
何の前振りも無く言い放たれたセリフに僕は戸惑う。  
さらに所長さんは僕の台詞をさえぎり追い討ちをかけるように言葉をつなげる。  
 
「よく懐いてるみたいだし、その仔は大人しいし初めてのポケモンには最適だとおもうけどなあ………それにあまり手もかからないわよ。」  
 
「…えーっと…で…も…初対面です…し…それ…より…も…飼い方とか…わからないです…し………あと…あと…ト…トイレのしつけとか…そういうの…も…」  
「しつけに関してはもう大丈夫!育て方についてはさっき渡した資料の中に…」  
「………そういえば………飼い方の冊子がありました…ね………」  
「そうそう、それに何かわからないことがあればいつでも聞いてくれればいいからね!」  
「………はあ…」  
僕はさっきひとまとめにした資料の山から「ポケモンハンドブック」と書かれた冊子を乱暴に引っ張り出す。  
その瞬間、冊子の上に積まれていた薄い紙がふわりと舞った。  
僕はその紙を手に収めるため、座ったまま体を大きく投げ出した。  
 
「ナイスキャッチ!」  
所長さんが声を上げた。  
 
「いやあ…」  
僕はまた苦笑いしながら力の無い返事をした。  
 
「起こしちゃったみたいだけどね…でもちょうどいいタイミングね…」  
所長さんは僕のひざの上のポケモンを抱きかかえ力強く言った。  
 
「今日からこのお兄さんがキミのパートナーになります。よかったわね…ライチュウ!」  
 
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夕飯の準備が整い、テレビ画面と向かい合わせにして小さな食卓に並んで座る僕と一匹のポケモン。  
「ヒトと同じものを食べさせる際は極薄味にすること。」  
ハンドブックの指示に従い、料理に味付けは行わず、自分が食べる分に関しては調理後に必要に応じて調味料を添加する。  
最初は少し味気ない気もしていたが慣れというのは恐ろしい。  
今では野菜に関しては後から調味料をかけなくとも、素材そのものの味を楽しみながら食することができるようになった。  
 
「春のお野菜は蒸すだけで甘くておいしいね。」  
となりで頬袋を膨らませているライチュウに語りかけるように言った。  
 
「もっとゆっくり食べたほうがいいと思うんだけどなあ…誰もとらないし…」  
そうは思ってもこれがポケモンの本能だったらどうしようもない…  
ハンドブックにも食事のスピードに関しての記載は一切ない。  
ただ食事量と栄養等、食事による健康管理に関する記載は豊富であり、僕は該当箇所を熟読した上で今まで遵守してきている。  
 
調理時間の五分の一ほどの時間で食事を終えると食卓に食器を残したまま僕はベッドの上で大の字になる。  
食欲が満たされることで次にくるのはいつも睡眠欲だ。  
僕はそのままそっと目を閉じる………  
 
……… ……… ………  
 
「またやっちゃった…」  
枕元においてあったリモコンの緑のボタンを押すと、つけっぱなしのテレビ画面の右下に23:26という数字が現れた。  
 
「今日はこのまま寝ちゃおうか…」  
僕はなんともいえない倦怠感があって、何もする気が起きなかった。  
またそれに併せて、僕の目の前には、仰向けになり無防備な白いおなかを上下させているライチュウの姿があった。  
その可愛い寝顔に僕の中でいろいろなものが満たされていくのがよくわかる。  
 
「しょうがない…」  
たぶんこの仔はあと三時間後ぐらいに目を覚ますだろう…  
僕のカンと少しの経験がそう告げる。  
僕はベッドの下から手探りで一個のビニール製のポーチのようなものを取り出す。  
両端をとめているシールを外しそのポーチをひろげると、ちょうどルビンの盃のような形状をした布が現れる。  
そう、これは赤ちゃんがいる家庭には必需品で、使い捨てタイプの…  
こうなることを予想してか、ライチュウは仰向けになり可愛い寝息を立てている。  
僕はライチュウのそのふっくらとした丸いおしりを持ち上げ、一見手馴れたような手つきでおむつを当てる。  
以前に比べるとずっとうまくはなっていると思うが、足を持つ手は今でも怖々ながらである。  
また尻尾に関しては常に暗中模索の状態で、おむつからどういう形で出してやればいいのかあまり理解できてない。  
まあこの点については「痛がらなかったらいいんじゃない」という、精神的な助言をもらって一応解決したことにはなっている。  
 
「この格好も可愛いんだよなあ…」  
ライチュウはその赤ちゃん体系も重なってかおむつ姿が本当によく似合う。  
実際にこの仔もおむつをしていてもおかしくないぐらいの年齢なのだろうから、あまり不自然でもないんだろうけど…  
 
「あっ…もう一度チェックしておかないと…」  
一度きっちりととめたはずのシールを外し、おむつを開いてもう一度重要な箇所を確認をする。  
後ろの尻尾は腰から逃がした形になるが、♂の仔のライチュウにはもう一本の尻尾が…  
その前の尻尾がおむつの中で上向きになっていると吸収帯の位置関係により大惨事に陥る可能性がある…  
可能性…では済まされず…、僕は実際にその惨事を経験している。  
ベッドのシーツの上に大きなシミを作ったときの、あのライチュウの申し訳なさそうで恥ずかしそうな表情は忘れられない。  
普段あまり感情を表に出さない仔だから、ある意味新鮮であり、あの恥ずかしそうな顔は本当に可愛いだけでは形容しきれない…  
でも僕自身の不注意であるため、あの時のライチュウの申し訳なさそうな表情はそれ以上に心が痛んだ。  
そんなことを経験してから僕はライチュウにおむつを当てるたびに彼の♂の部分を入念に確認する。  
♂の部分…この仔の場合は素直におちんちんっていったほうが合ってるかな…本当に可愛らしい以外の何者でもないし…  
この確認行為も便宜上はおもらしを防止するためではあるが、本当は…、可愛いライチュウのおちんちんをじっくり見ていたいっていう邪な気持ちがある。  
だからと言って性的虐待に及ぼうというわけではない、ほんのいたずらごころのような…  
 
「やっぱり可愛い…」  
可愛いものは可愛いからしょうがないと開きなおるように自分自身を言いくるめる。  
僕はライチュウのおちんちんを左手の人差し指でかるく押さえつけ、空いている右手でおむつを当てなおし、その上からしっかりとテープを留める。  
少しの満足感と少しの罪悪感を伴って、このいたずらごころはすぐに収束した。  
 
「おやすみ。」  
そうつぶやいて僕はテレビを消し、部屋の明かりを落とした。  
 
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「この仔はね、おねしょの癖があるのよ…」  
「…それ以外は本当に手のかからない仔なんだけどね。」  
ペンを走らせる僕のそばで所長さんが言った。  
 
「ここは…どうすれば?」  
「えーとね………あっ…そこは記入しないで空けておいて。」  
ライチュウを引きとるための書類は項目が多く少しややこしい…  
 
「おねしょって…この仔はやっぱりまだ小さいのですか?」  
「そうねえ…幼いっていうのもあるんだけど…」  
うすうすは感づいていたが、改めていわれてみればこのライチュウはやっぱり小さい…  
そんなに長い時間ではなかったが、ひざの上に乗せても何の支障もなかったことを思い出す。  
 
「この仔がウチに来る前どこにいたのかはわからないんだけど…、この仔が手放された理由はいくつか推測がつくの…」  
やっぱりこのライチュウは捨てられたポケモンなのか…  
僕は唇をかみ締めて息を飲んだ。  
 
「どっちにしても誤進化であったことは間違いないわ。」  
「…ごしんか…?って?」  
「…誤って進化してしまうことね。進化の石で進化するポケモンにはたまにあるんだけど、成長して能力を得る前に進化させてしまうケースね。」  
「この仔の種族は進化前のピカチュウの時に電気をコントロールする方法を覚えるの、でもその前に進化させちゃうと、ライチュウが持つ強い電気の力に技術がついていけなくて…」  
「どうなるんですか…?」  
「そうねえ…端的に言っちゃうとね、ポケモンがバトルのときに使う、ワザとよばれるものを自分の力だけでは覚えられなくなっちゃうの。」  
 
「………それってバトルができなくなるってことですよね?」  
「…うーん………まあワザマシンとか使って特別な訓練をすれば別なんだけど…」  
「じゃあこの仔はポケモントレーナーに?」  
「…そうかもしれないけど、ペットとしてピカチュウを育てていた人間が誤ってかみなりの石を与えてしまったって可能性も…」  
「えっ…なんでそれで?」  
僕がそう聞き返すと所長さんは初めて悲しそうな顔を見せた。  
ほんの数秒の間が何分にも感じた。  
 
「姿かたちが変わることに…なじめない人間もいるのよ…」  
僕はその言葉に隠された深い意味など知るはずもなく、ただ身勝手な人間がいるもんだとしか思えなかった。  
 
「こんなに可愛いのに…見る目がない人もいるもんですね!」  
「それに僕だったらこの仔がどんな姿になっても愛せる自身があります。この仔がこれ以上進化できないのが残念ですね。」  
自分で思い返してみると何でこんなことをいったのか…今でも恥ずかしくなる。  
でも所長さんは笑って僕にこう告げてくれた。  
 
「あなたといっしょなら安心ね…」  
 
……… ……… ………  
 
所長さんから聞いた話では、ライチュウは夜のうちに施設の前に置き去りにされた。  
朝になって職員が見つけたというお決まりのパターンだ…  
モンスターボールには入れられていなかったため、前の所有者も特定できない。  
トレーナーの所有ポケモンになるとボールを介してトレーナーごとの個別のIDが登録されるらしい。  
また、この状態のポケモンは特定のトレーナーの所有物とみなされるため、他者のモンスターボールによって捕獲されることはない。  
捨てられたポケモンの多くは所有権が放棄された状態…つまりモンスターボールから切り離された状態で放り出されることとなる。  
このようなポケモンはモンスターボールに入ることを拒むケースが多い。  
所有者以外のモンスターボールに納まるということは本来であれば起こり得ない状況であり、またさらに、自身がすでに誰のものでもないポケモンとなっているということは受け入れ難い現実である。  
ライチュウもそんなポケモンの一匹であった。  
もともとモンスターボールを所有していない僕にとっては、モンスターボールが使用できないというこの問題はあまり気になるわけではない…  
それよりももう一つの問題のほうが…  
しかしながら、僕が気にしていたこの仔が唯一つ手を煩わせるという、おねしょの問題であるが、普段は自分で排泄ができるそうで、夜間以外は特に何の心配もしないでいいということだった。  
 
「じゃあ今日と明日の分をいれておくわね。」  
「すみません。ありがとうございます。」  
ポケモンフードとライチュウ用のおむつを少し分けてもらった。  
 
「夜寝る前には忘れずにおむつをつけてあげてね。」  
「はい…」  
「じゃあ何かあったら何時でもいいから電話してね。真夜中でも何でもいいわよ。」  
「あ…ありがとうございます…でも大丈夫と思います…」  
所長さんの力強い言葉に少し戸惑いながら、僕は何度も頭を下げて施設を後にした。  
 
「…それじゃあ…また…」  
ダウンジャケットの胸元を大きく開いて、そこにマフラーを二重に巻きつけたライチュウを抱えて、僕は予定よりもずっと遅い時間の帰路についた。  
 
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「ふわあ…っと………8時前か…」  
 
春眠暁を………、またぐっすり眠ってしまったみたいだ。  
僕の目には伸縮するオレンジ色のふわふわ毛玉が映る。  
昨日の夕方と違う点はオレンジ色の下半分…、白い布のようなものが見える。  
 
「そうだ…お風呂…」  
昨日お風呂に入らなかったことを思い出し、僕は風呂場に向かう。  
ピッとスイッチ一つで追い炊きが開始される。  
大体二十分もすれば入れるようになるだろう。  
その間に僕は朝食の準備を始める…とはいっても簡素なものでトーストとコーヒーぐらいしかない。  
ライチュウにはコーヒーの代わりにミルクを飲ませる。  
以前ライチュウにひとくちだけコーヒーを飲ませたことがあった。  
お約束通りすぐに吐き出すと予想していたが、あまり表情を変えずに飲みこんだ。  
そのあと自分のカップに注がれたミルクを一息に飲み干したことから、口に合わなかったということはすぐにわかった。  
ライチュウは好き嫌いをしない…というよりは自己主張をしないと言ったほうが正しいのかもしれない…  
 
「うん…?」  
 
パジャマのズボンのすそが引っ張られる。  
足元に目をやると、おむつ姿のライチュウが昨晩の汚れた食器を持って立っていた。  
 
「あっ…忘れてたね…ありがとう。」  
僕がそれを受け取るとライチュウは颯爽と食卓の置いてある部屋に向かい、そしてまた別の汚れた食器を手に台所に舞い戻る。  
このようなやり取りを数回続けた後、僕は彼にミルクの入ったカップを手渡した。  
 
「これはキミのだよ。じゃあ朝ごはん食べようか。」  
 
小さな食卓を前に一人と一匹が並ぶ…  
 
「今日はマーマレードにしようか?それともいつものイチゴがいい?」  
とりあえず今日の気分をうかがっては見るが、ライチュウの視線はイチゴジャムのビンに釘付けだ。  
僕は彼の返事を待たずにイチゴジャムのふたを開け…スプーンと一緒に彼の目の前に置いてやる。  
 
「はい、どうぞ。」  
僕がひと声かけると、ライチュウはこれでもかと言うほどにトースト一面に隙間なくイチゴジャムを塗りつける。  
 
「ほんと…好きなんだね…」  
ライチュウは好き嫌いに関しては自己主張をしない…とはいったけど…。  
この仔がたまに見せる無邪気な姿を愛おしく感じる一方で、「もっと素直になってくれてもいいんだけどなあ」という寂しさが湧き上がる。  
そして頬袋いっぱいにトーストを詰め込むライチュウを横目に僕はコーヒーが入ったカップに口をつける…  
 
……… ……… ………  
 
「お風呂に入ろうか…」  
 
朝食を終え一息ついたところで、昨晩入り損ねたお風呂のことを思い出した。  
朝一番に沸かしなおしたお湯はちょうどいいぐらいの温度になっているだろう。  
僕はライチュウをひざの上に抱きかかえ、おむつの上から彼の股の間をぎゅっと抑える。  
 
「一回分…ぐらいかな…?」  
手に伝わる鈍い感触から、おむつが少量の水分を吸収したことがわかる。  
僕はビニール袋を一枚取り出し彼の目の前でその口を広げる。  
ライチュウは自分で両端のテープを解いて、外したおむつをきゅっと丸めてビニールの中に放り込む。  
 
「えらいえらい。」  
僕はビニール袋の口をきつく縛り、ライチュウ抱き上げて頭をそっと撫でる。  
 
「じゃあこのままお風呂に行こうか…」  
先に浴室の椅子の上にライチュウを座らせて、僕は身に着けていた衣服を洗濯機の中に脱ぎ捨てる。  
浴室には暖かい空気が充満していた。  
 
「じゃあ先ずは体を洗ってから…」  
浴室の椅子に座るライチュウに目を向けると、無意識の内にやわらなく開かれた太ももの間に目が行ってしまう…  
…あっ…そういえば、今日はこの仔はトイレにいってなかったような気がする………おむつもさっき外したところだし…  
 
「ライチュウごめんね…今日はここでおしっこしていいよ…」  
僕はライチュウのひざの裏に手を通してそのまま抱きかかえ、排水溝の上に彼のおちんちんを重ね合わせるように体の向きを変える。  
ちょうど都合のいいことに排水溝は浴室の鏡の前…つまり僕はライチュウの可愛い姿を鏡を通してしっかりと目に焼き付けることが出来る。  
 
ライチュウのおちんちんがぷくっと一瞬だけ膨らんだかと思うと、すぐに勢いよく水が溢れ出した。  
勢いがつき過ぎたのか、その放水は排水溝とはちがうあさっての方向に飛び散る。  
僕はすぐにその勢いよくあふれ出る水の水源に手を添え、放水の向きをコントロールする。  
それと同時に流れる水の勢いを指を伝わせて感じ取っていた。  
 
「終わった?」  
勢いと反比例してその流れ落ちた水の量は思った以上に少ない。  
時間にして数秒ほどのことだろう。  
僕は添えていた指で彼のおちんちんをやさしくはじく。  
目前の鏡の上にぷるんぷるんとやわらかくゆれるおちんちんが映る。  
 
「じゃ…じゃあ体洗おうか…?」  
このままだとライチュウの可愛いおちんちんをずっとぷるぷると振動させてしまいそうだった。  
僕は今の一言で自分を押さえつける…つもりではあった。  
どちらにしても彼の下半身に触れる機会はすぐに訪れる…  
 
ライチュウは水を嫌がらない…全身くまなく石鹸の泡に包まれても、頭の上からシャワーで水をかぶせられても、まったく動じることがなかった。  
水タイプを除いて、水を嫌がるポケモンは少なくない…特に頭の上、または顔が濡れることを嫌がるポケモンが非常に多い。  
そんな中にあってライチュウは特別な存在に思えた…  
「ただ水遊びが好きなだけじゃないかしら?」というあの人の言葉のとおりなのかもしれないけど…本当に手のかからないポケモンに違いなかった。  
僕はライチュウの真っ白なおなかに直接石鹸をこすりつける。  
このときばかりはライチュウもくすぐったそうな表情を浮かべる。  
上質の石鹸はライチュウの細かい毛と相成ってふわふわとした決め細やかな泡を生み出す。  
僕はその泡を自分自身の皮膚に刷り込む。  
以前はまさにカラスの行水ほどであった僕の入浴時間は、彼と一緒に入るようになり何倍にも膨れ上がっていた。  
 
「じゃあ流すね…」  
シャワーの水流を弱めて彼の頭の上からお湯を注ぐ。  
彼の体を包む細かい泡はお湯に触れるとすぐに溶けて流れていってしまう。  
 
「それじゃあいつものするね…痛かったら言ってね…」  
僕はライチュウを椅子に座らせ、大きく足を開かせる。  
左手の親指と人差し指で彼のおちんちんの根元を押さえ、右手のシャワーを近づける。  
シャワーヘッドが彼のおちんちんの先っぽに触れるか触れないかのところで固定し、おちんちんに触れたままの左手の親指と人差し指を上下させる。  
この行為に擬音をつけるのであればくちゅくちゅといった感じであろう、ライチュウのおちんちんの表皮だけが動き、内部にまだ誰の目にも触れたことのない本体があるという真実がよくわかる。  
スポイト等をおちんちんの皮の中に差し込んで洗浄する方法もあるそうだ、しかしながらあまりきれいに洗いすぎると自浄作用が低下するためかえってよくないともいう。  
どちらにしてもこの小さな可愛いおちんちんにスポイトを差し込むなんて僕にはできるはずもなかった。  
 
「はい、おしまい…痛くなかった?」  
無表情で僕の顔を見上げるライチュウ…そして僕は心の中で…  
この仔もいつか大人になるのかな………いつまでこんなことさせてくれるんだろう…?  
…まあ大きくなったら一緒にお風呂も入ってくれなくなるかな…?  
………っと…その前にいつまで一緒にいてくれるんだろう…?  
…………あれ…?  
 
浴室を出て、ドライヤーの温風を当てライチュウの体を乾かす。  
その間も僕はずっと考え続けていた…  
 
……… ……… ………  
 
「ねえ、ライチュウ、今晩からおむつするのやめようか?」  
ビクッ…とライチュウの体が大きく震えた。  
 
「だって普段はおむつしないで平気でしょ…今朝もお風呂入るまで我慢できてたでしょ?」  
ライチュウは何か悲しそうな目をして僕に訴えかけるようだった。  
 
「本当は夜だけ出来ないなんてわけない…よね?」  
ライチュウが今にも泣きそうな顔をする。  
この仔がこんなに感情をあらわにしたのは初めてだ………  
 
「…そのかわりに…何時でも僕を起こしてくれていいよ。…トイレに行く時は、一緒に行ってあげるから。」  
ライチュウが目を見開いた…僕はさらに言葉をつなげる…  
 
「トイレだけじゃなくてね…これからもずっと一緒に居るから。キミを置いて一人でどこかに行ったりしないよ…」  
「…でもキミが僕と一緒に居たくなくなったら………そのときは…っと………  
 
………オレンジ毛玉のすてみタックルを受けた僕は、仰向けにベッドに倒れこんだ…  
一瞬の暗転の後、明かりを取り戻した僕の目に映る一匹のポケモンの顔…  
 
「………泣いているのか…笑ってるのか、わからないけど…キミが…こんな顔するの…初めて見たよ………………」  
 
 
… fin  
 
… ……… ……… ………  
 
_____________________________________________________________________________________________________________________________  
 
 
 
「ぷっはっ………」  
………  
「まったく…」  
………  
「…なにやってるの?」  
………  
「息ができなくなったら…」  
………  
「しんじゃうでしょう?」  
………  
「もう…」  
………  
「何でこんな仔に…」  
 
心地よい眠りの世界はライチュウの厚い唇によって奪われた。  
僕の顔をまたぐように立つオレンジ色のポケモンは、頬を膨らした僕の顔を見てにこっと微笑む。  
 
「よおし…」  
僕は体を起こし目の前に立つそのポケモンを勢いよく抱き上げて、そのままベッドに仰向けに押し倒す…  
 
「夢を見てたんだよ………ちょうど1年ほど前かな?」  
ライチュウの頬をやさしく撫でる。  
 
「キミと僕が怖々付き合ってた頃だね…」  
添えたままの手でほっぺたをむにゅーっとひっぱる…  
 
「あの頃はもっと可愛かったのになあ………痛っ…」  
ライチュウに甘噛みされた…  
本当はまったく痛くはないけど…それはお互いわかってることで…  
 
「ほんとにもう!この仔は…」  
 
僕は仰向けに寝かせたライチュウの両足首を持って、そのままでんぐり返しをさせるように大きく開く。  
ちょうどライチュウの可愛いおちんちんが僕の目の前に晒される…  
 
「ココはあのころからまったく変わってないなあ………まだまだ赤ちゃんと一緒だね。」  
目には笑みを浮かべたまま、ライチュウはむーっと膨れる。  
 
「なんか違うとでもいいたそうだね…じゃあお兄ちゃんになったおちんちんを味見させてもらおうかな。」  
僕は目の前でぷるぷると揺れるライチュウの可愛いおちんちんにねっとりと舌を這わせる。  
そのままおちんちんの根元にあるぷっくりと膨れた部分から、厚い皮膚に包まれた先端までを舌先で入念になぞる。  
 
「それじゃあいただきます…」  
ライチュウのおちんちんをおもむろに口に含み、舌の上で転がす。  
口内に唾液をため、小さな小さな皮付きウインナーをゆっくりじっくりと味わうように唾液を絡めつける。  
そのウインナーはふわふわとした舌触りで、唇で食むとぷるんとしたその柔らかい食感を味わうことが出来る。  
僕が唾液を飲みこむ度に、その小さなおちんちんは僕ののどの奥に吸い込まれそうになる。  
ライチュウはそのたびに体を震わせて小さく「チュッ」と鳴き声をあげる。  
その小さな甘い声は僕のいたずらごころを刺激する。  
僕は唇を丸めると同時に彼の先端に舌先を当て、そのままの体勢で顔を激しく前後に振る。  
 
「…チュッ…チュッ……チュゥゥッ……ヂュゥゥゥッ!」  
 
次第に彼の鳴き声が大きくなる…  
僕はそのまま次の段階に…  
 
「…よし…汗かいちゃったからお風呂入ろうか。」  
僕はライチュウを抱きかかえベッドの上から浴室へと移動する。  
いつものように先にライチュウを浴室内の椅子の上に座らせて、僕は身に着けていたものを洗濯機の中に放り込む。  
 
…僕とライチュウは仲良くなりすぎた…いつかこの仔が大人になる時まで、…でも出来ればずっと一緒に暮らせたら…  
 
僕は浴室のドアを閉める。  
 
そしてここから先は僕とライチュウだけの…秘密………。  
 
 
TO BE CONTINUED.  
 

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