「はーん、キョウヘイちゃんの迫真の演技、よかったわー」  
   
 監督が歓声を上げる。  
 ここはポケウッド。ポケモン映画の殿堂。(注・スクリーンでのポケモン配信はしておりません)  
 
「お疲れ様です、監督。今日は張り切りましたからね」  
 
 四方緑のシートの上で、監督に呼び掛けるのは――スター・キョウヘイ。  
 まだ10代にしてポケウッドの二枚目役者となった売れっ子だ。  
 
「今日はこれでおしまいよ。キョウヘイちゃんは優秀で仕事が早く進むわ」  
 
 監督やスタッフへのあいさつを終え、ポケウッドを後にするキョウヘイ。  
 
「今日も疲れた……」  
 
 そう言い放つも、ねぎらいの言葉をかけてくれる者はいない。  
 風が、強く吹いている。  
 
「あら、何感傷的になってるのかしら」  
 
 キョウヘイの後ろから不意に声がかかる。  
 
「か、カミツレさん!! どうしてここに!?」  
 
「それはこっちのセリフよ。ポケウッドのスターがどうしてこんなところへ?」  
 
 二人がいるのは道路の脇の森の奥の奥の奥の奥の川辺である。  
 キョウヘイがここにいるのは、幼少のころからの遊び場であったからであるが、カミツレがいるには不自然かつ不釣り合いな場所だった。  
 
「ポケウッドの監督にせがまれて映画撮影を申し込まれたのよ。でもあいにく、私のスケジュールにはスキがないから。で、監督たちに追われてここに来たのよ」  
 
「そ、それは大変でしたね……」  
 
「大変なのはお互いさまでしょう?」  
 
 そう言うと、カミツレはキョウヘイの方に歩み寄る。  
 そのあまりの接近具合に戸惑う奥手男が一人。  
 
「ねえ、貴方、スターになったんでしょう。ジム戦以来だわ、あんなに輝く貴方を見たのは」  
 
「スターだなんて、そんなこと……ないです」  
 
「自信を失っちゃだめよ。ショーでもそう。一番大事なのは、『自信』よ」  
 
「あ、ありがとうございます」  
 
「いえいえ、それを教えてくれたのは、ジム戦の時の貴方よ」  
 
 まるで子をあやすようなその言葉に、キョウヘイは感銘を受けざるを得なかった。  
 優しい。自分を愛してくれる。母性のような感覚。  
 それは錯覚か、幻想か――と、突然カミツレがキョウヘイを抱きしめる。  
 
「貴方はもう子供じゃない。立派なオトナよ」  
 
「そんなんじゃ……ありません」  
 
「そう、なら――――――」  
 
 私が貴方をオトナにしてあげる  
 
 
 
 深い森の中、二人の男女の影が水面に映る。  
   
「か、カミツレさん。俺、もう……」  
 
「あら、意外と弱いのね、貴方のココ」  
 
 キョウヘイは下の衣類を脱がされ、肉棒はカミツレの口へと入っている。  
 カミツレはあまりにも口づかいが良く、童貞のキョウヘイには天に昇るような快感だった。  
 
「うっ!ごめんなさい!」  
 
 白濁の液がカミツレの髪に、顔にかかる。  
 
「あら、汚れちゃったわ。ねえキョウヘイくん、貴方のその舌でふいて頂戴」  
 
「え、でも……はい」  
 
 覚悟を決め、顔を近づけるキョウヘイ。  
 と、その顔をいきなりカミツレは両手でつかみ、強引に自らの口へと寄せる。  
 長いキス。最初は戸惑うキョウヘイも、やがてはその行為に真剣になっていた。  
 
「さあ、今度は君の番よ」  
 
 カミツレはそういうと、自らのストッキングと黄のショーツを片手で脱がし始めた」  
 大人びた体躯に似つかわしい、幼児的なワレメ。  
 股はすでに糸を引いていた。  
 
「ちょ、カミツレさん!!」  
 
「しー、声が大きいと、誰か来ちゃうわよ」  
 
 そういうと、上半身の衣類も脱ぎだすカミツレ。  
 モデルにふさわしい、豊満な胸があらわになる。  
 
「さあ、煮るなり焼くなり、貴方の自由よ」  
 
「カミツレさん、あなた、どうしてこんなこと」  
 
「それを私に言わせるの?」  
 
「で、ですから、こういうのは好きな人とか……」  
 
「ええ、好きな人とよ」  
 
「え――――」  
 
 あの日以来、何かが変わった。あのジム戦以来。  
 絶対的自信をもとに、今まで戦ってきた。  
 それなのに、彼は易々とそれを砕いた。  
 それでも、彼は慈悲を忘れなかった。  
 私に「自信をなくさないように」と。  
 「偉そうなこと言ってすいません」そう言って彼は去って行った。  
 それからは、自分を慰める毎日。彼のことばかり考えた。  
 やがて気づいた。  
 これは恋だ、と。  
 
「私は貴方が好きよ。誰よりも」  
 
「俺、俺は、……あなたが好きです。俺を好きになってくれたあなたが大好きです」  
 
「ありがとう」  
 
 そういうと、二人は強く抱き合う。  
 そして、互いの性器が干渉してるのを見て、笑いあった。  
 
「じゃ、本番ね」  
 
「今度は俺の番ですよ」  
 
 強く答えたキョウヘイの言葉に、初めてを奪われる恐怖は無くなった。  
 
 
 
 キョウヘイは奥手で童貞ではあるが、その手つきはしなやかだった。  
 右手でカミツレのワレメをいじくりまわし、左手で乳首をまさぐる。  
   
「だ、駄目、そこは、弱いの!」  
   
「だめですよ、カミツレさん。声をあげたら誰か来ちゃいますよ」  
 
 先ほどの言葉を返される。いや、形勢が覆される。  
 戸惑いのなくなったキョウヘイは、徐々に攻めへとまわっている。  
 カミツレは、男の力というものになすすべもない。  
 
「やめ、吸わないでぇ」  
 
「しー」  
 
 先ほどからにこりと笑いながらも手を休めないキョウヘイ。  
 彼の勢いがこんなにもあったのかと、カミツレは驚愕する。  
 手のピストン運動は勢いを増し――。  
 
「だ、駄目!イクぅぅ!」  
 
 びしゃあ  
 
 純水にも似た潤滑剤が勢いよく漏れだす。  
 痙攣するカミツレを、キョウヘイは強く抱きしめた。  
   
「手だけでイッちゃうなんて、Hな子だね、カミツレ」  
 
「いやぁ、ひどいわキョウヘイ、わかってやってるでしょ」  
 
 いつの間にか名で呼び合う二人。  
   
「じゃ、次はコレだね」  
 
 そり立つ肉棒をもたげるキョウヘイ。  
 
「ええ、望むところよ」  
 
 強がりだとは分かっている。  
 でも、そんなカミツレが、キョウヘイにはいとおしい。  
 
 第二ラウンドは、もうすぐだ――。  
 
 終わり。  
 

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