「せんせい、僕のキルリアは大丈夫なんですか……?」
医者の前に座った少年は心配そうに聞いた。少年の膝にはかわいらしい女の子のようなフォルムをしたポケモン、
キルリアが少年を心配そうに見上げている。
医者は柔和に笑い、少年に言った。
「大したことはないよ、少し疲れているだけだろう」
その言葉を聞いた少年の顔がはじけるように笑顔になった。膝の上のキルリアも少年同様に嬉しそうに飛び跳ねた。
ここはとあるポケモンの病院。ポケモンセンターでは分かりにくい病気やポケモンの状態を調べる場所。
昨夜、少年はいつものように外でめいいっぱい遊んだあと、一緒に遊んでいたキルリアの調子がおかしいことに気が付いた。
ふらふらと歩いては足を絡めて、こけてしまうのだ。
少年はすぐにキルリアをポケモンセンターに連れて行った。だがキルリアの調子は戻らなかった。
それがこの少年とキルリアがここにいる理由だった。
医者は少年に柔らかく問いかける。
「……栄養が不足していたんだろうね。だからポケモンセンターで回復しても治らなかったのだろう。一応の処置は今からしようと思うのだけれど……」
あわてて医者は言葉を切る。
「ああ、いや『処置』と言っても大げさなことじゃあないよ。すぐに終わるから心配しなくていいよ」
医者は「処置」と少年が聞いてわずかに眉を寄せたことに配慮したのだ。多少不安な気持ちが少年には残っていたのだろう。
「で、少し質問なのだけれど」
医者は少年に聞く。
「君のキルリアの技構成を教えてもらえるかな?」
少年は無邪気に答えた。何故と考えるよりも先に言葉出たと言っていい。素直なのだ。
「えっと、かげぶんしんとねんりきとあとは、えっとなきごえとめいそうかな」
指を折りながら少年は技構成を医者に伝えた。あまりにその姿がかわいらしかったのか医者の後ろにいた看護婦がクスリと笑った。
キルリアも軽く飛び跳ねた。
医者は少年の言葉をうんうんと頷きながら聞き、わかったと言った。
「よし、じゃあちょっとこの人形にねんりきをしてくれないかな」
医者は横にあったピッピ型の人形を取って言う。少年はさすがに意味が分からず。
「なんで?」
きょとんとした顔で問い返した。医者はにっこり笑って、キルリアが元気になる準備だよとかえした。
キルリアが元気になるとなれば、少年に異存はない。いや、その言葉を聞けば疑問すら浮かばないのだろう。
医者がぽいとピッピの人形を投げて床に落とした。少年はキルリアに優しく、お願いするようにねんりきと伝えた。
キルリアは少年の膝から飛び降りて、人形にねんりきを放つ。
人形は少し浮き上がって、落ちた。少年とキルリアは同時に首を傾げた。少年はキルリアが本調子じゃないからかなと思い、キルリアはいきなりねんりきが切れたことに驚いた。
医者だけがニコニコしている。
「よし、じゃあ僕(少年のこと)は外に出ていてくれ。大丈夫、処置は3分もかからないよ」
自分だけが外に出されることより、キルリアと離れることに少年は不安な顔をしたが、医者の笑顔と看護師が一言二言かけたことでしぶしぶと了承した。
だがキルリアはけろりとした顔をしている。元々疲れていただけで過度な行動をしない限り大丈夫なほど彼女は回復していた。
それにここの人間の「気」もいい。
実のところキルリアは少年や医者の話す「言葉」を理解していない。ただ、キルリアは人間の「気」を感じる能力がある。だから少年がキルリアが大したことないと喜んだ時もともに喜び、
看護婦が少年の無邪気さに心を和ませたときもともに和んだ。
ともに喜び、ともに悲しむポケモンと言えばいいかもしれない。
医者も看護婦も近くにいる人間も悪い「気」をしている者は感じられなかった。
「えっ……」
キルリアが少年に鳴いた。それは高く澄んだ声。驚いて少年がキルリアを見ると胸を張っている。大丈夫と言っているように少年には見えた。
少年は安心したのか小さく笑い、親指を立ててニッと笑うと。ドアから出て行った。
正直、何故少年が自分を置いて外に出たのかキルリアは分からなかった。
「じゃあ。ここに寝かせて」
医者が看護婦に伝えると。看護婦はキルリアを優しく抱えてベットに乗せた。
キルリアは抵抗しない。敵意を感じない限り彼女は動かないだろう。
「うつぶせに寝かせてから軽く押さえて」
医者の声がキルリアの頭上を飛ぶ。頷いた看護婦はキルリアを軽く抑える。キルリアは看護婦の手があったかくて心地よさを覚えた。
「すぐ終わるからねー」
と医者は言う。うつぶせになったキルリアからは見えなかったが、後ろでカチャカチャと音がした。医者の「気」に変化はない、やはり敵意などないとキルリアは考えている。
医者はキルリアのスカートのようになった下半身を掴んでまくり上げた。キルリアには人間の女性のような羞恥心はない。スカートのようになってはいてもスカートではない。
キルリアのお尻に注射が入った。
「ピぃ!?」
キルリアの体がビクリと跳ねあがる。しかし、キルリアの小さなお尻を嬲るように注射器は奥へと入っていく。注射器といっても針はない。先が柔らかなシリコンになっていて器官を傷つけずに使えるようになっている。
少し大きい為ぐいと押さないと入らない。
要はポケモン用の器具だった。
それがキルリアのお尻の中に入ってくる。キルリアはばたばたと暴れそうになったが看護婦に抑えられた。
「ちょっと冷たいけどがまんしてねえ」
医者の優しい声の後、キルリアの中に冷たい液体が入ってきた。
「????!!!!!??」
キルリアは何が何だかわけがわからない。医者にも看護婦にも敵意はなかったはずだ。なぜこんなことをするのか。
ぴいぴいと可憐な声を出してキルリアは暴れた。暴れるたびに注射器が肛門を責めるように動いてしまいさらに声が出る。
「こらこら、暴れちゃだめだよ」
のんきな医者の声。キルリアはそれどころではない。
口からはあはあと息を吐き、口元を涎が伝う。お尻から注射器を抜こうと動かしても、自らが抑えられて抜けない。股を閉じようとしても、医者がだめだよーと軽く開けてしまう。
「ぴい!ぴいいい」
キルリアは懇願するように鳴いた。抜いて、抜いて。と哀れにもお願いする。
じゅうううとお尻で液体がキルリアの中へさらに入っていく。冷たい感覚がキルリアの中に増して、無意識に体を動かせる。
「!!!」
二の舞だった。キルリアの肛門を注射器が責め、ぎゅちゅぎゅちゅと中をかき混ぜる。漏れた液体がキルリアの股を伝ってベットを濡らした。そこには「冷たい液体」だけでなくキルリアの愛液も混じっている。
キルリアは下を出して、涙を流す。肛門から上がってくる未知の感覚が彼女の頭をしびれさせた、快感という言葉も感覚も彼女は知らないのだ。
「ぴい、ぴぃぃ」
キルリアはぼんやりとした意識の中で最後の抵抗を試みた。ねんりきを使って抜こうと何とか思考する。彼女の持つ唯一の攻撃技だ。
しかし、ねんりきは発動しなかった。何故、どうしてとキルリアは涙をながしながら疑問を浮かべた。それが限界で回答を行うには、
「もう少しでおわるからね」
医者の押し込む注射が邪魔だった。
実はキルリアがピッピ人形にねんりきを仕掛けた時、物陰にいた医者のゴースがキルリアに「かなしばり」をかけたのだった。
だから医者はわざわざキルリアの飼い主である少年に技構成を聞いて、攻撃技を封じた。
最初からキルリアに抵抗する余地などない。
「おわったよ、がんばったね」
と変わらずのんきな声を出す医者が、注射器を抜き始めた。
「ぴぃぃぃぃい?」
度重なる刺激に濡れたキルリアのお尻の中を、シリコンの柔らかな注射器が出て行く。
キルリアは体をそらせた、意識したのではなく体が勝手に動いた。一気に引き抜かれた注射器が大きな快感をキルリアに与えた。
ぐったりとしたキルリアは涎を垂らして、恍惚な表情をしていた。
そんなキルリアをみて医者は首を傾げた。
「おかしいなあ。栄養剤をちゅうしゃしたんだけどなあ?」
人間とポケモンの間に言葉がないことは不便なのかもしれない。