「ぐう、アカネは強かったな、噂通り……」
「……ん、ポケモン用と書いてあるけど、人間にも食べられるんかな。両方買えばいいか」
そう独り言を吐きつつ、私はデパートを後にした。
次にポケモンセンターへ向かう。
「お預りしていたポケモンは、すっかり元気になりましたよ」
「それは良かった、ありがとうございました。ふう」
昼の戦いが思い起こされる。
私の唯一のパートナーであるマグマラシが、アカネのミルタンク繰り出す転がり攻撃に、為すすべなくやられてしまったのだ。
私は傷ついたポケモンを預け、自省も兼ねて夜更けのコガネシティを散策していたのであった。
「ちょっと買い込みすぎたな」
マグマラシへのお詫びをするべく、デパートで買い漁った嗜好品が手に食い込む。
「いつもなら、マグマラシに手伝ってもらうんだが」
そんなことを呟きつつ、ホテルへ向かった。
ドサッドゴォ
「出てこーい、マグマラシ」
まばゆい光とともに……出た。
『マ、マスター』
「今日は、ごめんな。ケーキ、買ってきたからさ、食べよう」
『え、僕のために……』
初めて負けてしまったことで萎縮しているのか、マグマラシは何か暗い表情だった。せっかくのパーティなのに、こう暗くては仕方ない。
「アカネは強かったし、私の作戦ミスもあったし。マグマラシの責任じゃないさ」
『でも、あのとき……』
「そもそもマグマラシだけで挑ませたのが無謀だったよ。ルール上6匹まで出せるはずだし……」
『……じゃない』
「んっ?」
『マ、マスター、あのね……』
「なんだい、マグマラシ」
『あのとき、本気出せなかったんだ……』
「そういえば、試合中、やけにこっちに背中を向けてたね」
確かに不自然だった。ミルタンクの前にプリンと戦ったが、こちらが何も仕掛けていないのにプリンが驚愕の表情を見せていたことも印象的だった。
『そ、そのときね……おち、おちんちんが……出ちゃって……』
「なァッ」
ふとマグマラシの下腹部に目をやると、縦割れの筋から……充血したペニスが露出していた。
『じつは、進化したときから、たまに……いまも……』
「わかった、わかったよマグマラシ」
わかったと言ったものの、どうするべきか自分でも分からなかった。
『なんとかしてほしいよぉ、マスター……ねぇ』
背中を噴火させながら、上目遣いでマグマラシは訴えてきた。
どうするどうする、そもそもこいつオスだよな、これが発情期の行動ならおかしいだろう、逆転してるよああまったく、
いや待てよ、人間かポケモンかを除けば、私らは2匹の繁殖期にメスを逃した哀れなオス……そして目の前にはメスのようなオス……
あれこれ考えるうちに、ひとつの奇妙な解が私を導こうとしていた。
「マグマラシ、ちょっと仰向けになって」
私の鼓動はとても早まった。本当にこれで良いのだろうか。
『このカッコ、恥ずかしいよぅ、ますたぁ』
仰向けのマグマラシからは、あたかもマグマラシ自身のような流線系の美しい肉柱が伸びている。
普段は体内に収納されているから、粘液をまとって艶がある。
オスがこんなに美しいとは、知らなかった。今まで損していたのか。
「ハ……ハフッハフッ……ベチュ」
したでなめる。クチュ、クチュと表面を味わう。しょっぱい粘液が良い調味料だ。
『ひゃあ!なにをっ……ますたぁ?!』
「今、マグマラシの病気を、治してるところだよ」
更に、手を使って搾ってやる。オスの扱いは、自分のモノで慣れたものだ。
『ひぁ、あ、で、でる、でちゃうっ……!?』
「思い切り出しなっ」
ブビュルッ!ドプ、ドプ、ボコッ……
「わ!あつっ?!」
体格の割に吐精の勢いは強く、自分の顔とマグマラシの腹部に降り注いだ。
少し火傷した気がする。炎タイプは熱くて濃いのだろうか。なら水タイプは……
『はあ、はあ、いっぱい出しちゃった……ごめんなさい……』
「いいんだよ、いっぱい出たほうが、病気が早く治る」
私はマグマラシを抱き上げ、いわゆる対面座位の格好にして休ませた。
彼の柔毛が、全身を通して伝わってくる。精液で寝かされてしまっているのが少し残念だ
『これ、オシッコじゃないよね……なに?』
「これは、セーエキといってね」
『これが、病気のもとなの?』
「そ、そうだよ。もっと出したい?」
『……うん』
よほど気持ちよかったのだろうか、彼は2回戦も承諾してくれた。
あれから数年、私はポケモンマスターへの道を自ら閉ざした。
コガネシティに職を見つけたので定住し、マグマラシと夫婦同然の生活を送っている。
なぜ定住したのかといえば、マグマラシがセックス依存症に陥ってしまい、とてもポケモンバトルのできる状態ではなくなってしまったからだ。
聞いた話によれば、一部のポケモンは進化後一定の経験を積むまでが発情期になるそう。
つまり、ポケモンバトルの機会を奪われたマグマラシは発情猫として、一生私の妻として生きてゆくこととなってしまったのだ。
私のように、パートナーの進化と発情期への対応をきっかけに腐ってしまったトレーナーが、他にも居るのだろうか……。考えただけで恐ろしい。