「ハブネーク! ポイズンテールよ!」
メガネをかけた幼いニンゲンのメスが私に命令します。
じゅくがえりと呼ばれるそのニンゲンの女性。彼女が私のパートナーです。
私は、命令通りに自分の長い体をうねらせ、刃の付いた尾を"敵"に振り下ろします。
「甘えっ!」
尻尾に感じる強い衝撃。
ムチのように敵に襲いかかったポイズンテールは、敵の持つ二本の爪で受け止められてしまいました。
渾身の攻撃を弾かれたせいで、体勢が大きく崩れてしまいます。
さすが、私の敵。この程度の攻撃で傷を負わせることは、できそうにありません。
私の敵は、爪をひらつかせて残忍な笑顔を浮かべています。
鋭い爪、白い毛皮、切り傷を付けられたかのような赤い模様。そう、ザングースです。
ザングースはハブネークという種の天敵。
私もハブネークのはしくれ。宿命のライバルであるザングースとの戦いには血沸き肉躍る思いです。
後ろでじゅくがえりが何かギャーギャーわめいてますが、宿敵との戦いの高揚感に支配された
私の耳には入りません。まあ、もともと私には耳は無いんですけど。ヘビですから。
「次は俺様の番だぜ! くらいやがれえ!」
ザングースは両手の爪を大きく振り上げながら、突撃してきます。
おそらくは、ブレイククローという技でしょう。
さて、受けるか避けるか、それとも……。
爪が私に到達するまでの、ほんのわずかの猶予に無数の思考が浮かびます。
しかし、残念ながらこの体勢では回避も防御も不可能のようです。
私は致命的なダメージを覚悟しました。
爪が私の頭に到達するその瞬間。
意外な形でバトルは終わりを迎えることになります。
いきなり、モンスターボールから放たれる赤い光がザングースを包んだのです。
「チクショウ! 邪魔すんな!」
ザングースの反抗もむなしく、彼は閃光に捕えられ、吸い込まれていきます。
じゅくがえりの手の中のモンスターボールへ。
宿命の対決に水を差すなんて、我が主人ながら空気読めていませんねえ。
「試合終了! 仲間割れによりこのダブルバトル、じゅくがえりの不戦敗!」
審判をしていた若いニンゲンの男性の良く通った声が、試合場に響きました。
「もう、なにしてんのよ! なにしてくれちゃってるのよお!」
試合が終わり審判と対戦相手が帰った後、試合場に残ったじゅくがえりは私たちをヒステリックに叱責しました。
手持ちの二匹が、対戦相手そっちのけで仲間同士攻撃しあって負ける……だなんて無様なバトルをしてしまっては
感情的になるのも無理有りませんね。
「ダブルバトルではチームワークが大事なの! 仲良くしなさいよね!」
キンキンと高い声が耳ざわりですねえ。まあ、耳無いんですけど。
ヘビですから。
「仲良くだ? テメエ、アホか? ザングースとハブネークが仲良くするわけねえだろ。脳ミソあったかいんじゃねえの?」
ザングースは大した反省もせずに悪態をつきます。
トレーナーを怒らせるような発言ですが、何も問題はありません。
どうせ、ニンゲンには『ザンザン!』とか『グース!』と鳴いているようにしか聞こえませんし。
「あ、バカにした! 今、絶対バカにした!」
前言撤回。問題ありでしたね。
じゅくがえりは、ザングースを指差し涙目になってわめきます。
言葉が通じないとはいえ、鳴き声の調子とか表情とか態度とかで何となく伝わってしまったようです。
バトルに負けたのは同情しますが、ちょっと鬱陶しいですねえ。
そもそも、相打ちになって草むらに倒れていた私とザングースを漁夫の利と言わんばかりに、まとめてゲットするからこうなるのですよ。
「ああ、もう! すっごくムカついた! こうなったらこっちにも考えが有るんだからね!」
じゅくがえりのメガネが怪しく光りました。
懐からモンスターボールを二個取り出すと、私たちに向けます。
その様子に不穏なものを感じましたが、それが何なのかを確かめる前に私たちの体はボールから
伸びた光りに捕らわれて吸い込まれていきました。
「チクショウ! 出せ! ここから出しやがれ!」
ザングースが青空に向かって絶叫します。
すると、空からじゅくがえりの声が降ってきました。文字通りの天の声ですね。
『しばらく、そこで反省して! ザングースとハブネークが仲良くなるまで、ボックスから出してあげない!』
ボックスというのは、パソコンとかいう道具の中にニンゲンが作った空間です。
仮想空間、バーチャルリアリティというのでしょうか。
ニンゲンの技術なので、詳しくは私もわかりません。
しかし、私の前に広がるボックスの中の世界はとても作り物とは思えません。
広大な大地、雄大な山。爽やかな風、透き通った空。
それらは外の世界と何ら変わりないように見えました。
科学の力ってスゲーですね。
『ケンカしたら、絶対出さないからね! 言っとくけど、私、監視してるから』
それが、天の声の最後の言葉でした。
残るのは沈黙と、私とザングースしか生き物の居ないこの世界です。
これは少々厄介なことになりました。
「チッ、あのクソメガネが……。けど、これでもう邪魔は入らねえよな、ハブネーク」
天空に叫ぶのをようやくやめたザングースが、こちらを見てにやりと笑いました。
二本足で立ち、爪を振りかざす。ザングースが戦う時の構えだ。
確かに、ここなら思う存分、戦うことができるでしょう。
しかし……
「残念ですが、今は戦えませんねえ」
「あ? ナマ言ってんじゃねえぞ」
「私も戦いたいのはやまやまですが……ここで戦ったら一生、この世界に閉じ込められるのですよ?」
ボックスの中からポケモンが自力で外に出ることはできません。
一瞬の闘争の快楽に流されたら、残りの寿命すべてをここで過ごすはめになるでしょう。
それは、ザングースも理解しているはず。
ザングースはしばらく顔を悔しそうに歪めた後。
「チッ、クソが」
ザングースは爪を手の中に引っ込めました。ザングースの爪は戦闘の時だけ、手から飛び出すのです。
そして、両手を地面につけて四足歩行に戻りました。
ザングースが爪をむき出しにして二足歩行するのは、戦闘時だけ。
普段は、今のように爪をしまい、四足歩行しています。
どうやら、今ここでバトルを始める気は無いようです。賢明な判断ですね。
「で、バトルはやめにするとして、これからどうすんよ?」
「まずは、探索ですね。水と食料の確保が最優先ですから。まあ、ポケモンを保存しておくためのヌルい世界ですから、すぐ見つかると思いますが」
「やっぱ、そうだよな」
ザングースは意外と素直に私の言葉に同意してくれました。
ザングースも水と食料の重要性は理解しているようです。彼も過去に野生の生活を体験したせいでしょうか。
ザングースは太い尻尾をゆっくりと振りながら四本足で歩きだしました。
「おい、ハブネーク行くぞ」
ザングースは振り向いて私に話しかけてきました。
「手分けした方が良くありませんか? ハブネークとザングースが一緒に行動というのはやはり……」
「んなこと言って、こんな慣れねえ土地ではぐれたらどうすんだよ。それに、あのクソメガネにも仲良しアピールしねえと」
「ハア……ハブネークとザングースが仲良く一緒に探検ですか。自然の摂理に逆らいまくりですねえ」
私はため息をつくと、ザングースを追ってにょろにょろと地面を這って行きました。
ザングースと探索してわかったのですが、このボックスはホウエン地方のえんとつ山のふもとをモデルに作られたようです。
ホウエンはハブネークとザングースの元々の生息地。我々が住みやすいようにとの、じゅくがえりの配慮でしょうか。
肌に突き刺さる日差しは温暖な熱を帯びています。自分で体温を作れない私にとっては、ありがたいことですね。
褐色色の山肌を見せる大きな火山。どうやら休火山のようで、背の低い雑草が溶岩に焼かれることなく茂っていました。
雑草だけでなく、オレンの実をはじめとして様々な果実がつく木が至る所に生えています。
これなら飢える心配は無いでしょう。ザングースを生きたまま丸のみにして、体内で消化する……だなんて展開にはなりそうにありませんね。
残念ながら。
次は、水ですがこれもすぐに見つかりました。水の臭いを嗅ぎつけたザングースが、山を勢いよく流れ落ちる澄んだ川を見つけましたから。
他にも、火山地帯特有の面白い場所を見つけましたが……まあ今日はこのくらいにして休むことにしましょう。
私たちは、地面にあいた穴を寝床にして眠りにつきました。もちろん、ザングースとは別々の穴ですが。
「おい、これからのことだがよ。俺様はさっさとここから出てえ」
朝、自然に目が覚めた私たちは話し合いをすることにしました。
闘争で語るのがハブネークとザングースの本来あるべき姿ですが、こんな状況では仕方ありません。
「私も同感ですね。こんな平和で安全で快適な世界にずっと居たら、頭が腐ってしまいますよ」
ザングースと同じ考えを持つことになるとは、思いませんでした。
ここに、ハブネークとザングースの二種族の間に奇妙な合意が産まれました。
「そうだ。一刻も早くここから出ねえといけねえ。その為なら俺様は何だってしてやるぞ。
だからな……その……なんだ」
ザングースは言葉を詰まらせる。
目が宙に泳いでいて、落ち着かない様子だ。
「どうしましたか、ザングース?」
「いや、まあアレだ……悪いのはこの状況だぜ。こんな目にあってなきゃ、俺様は絶対こんなこと言わねえんだがよ……」
ばつが悪そうに、ザングースが目をそらします。
よほど言いにくいことなのでしょうか。
私は、しばらくザングースの様子を静観することにしました。
何度かうなった後、ザングースは何か重大な決意をしたかのような、真剣な表情になります。
そして、大声で私に言いました。
「ハブネーク、俺様とトモダチになりやがれ!」
「……はあ?」
私はジグザグマを丸のみできる程、口をを大きくあんぐりとあけて固まってしまいました。
ハブネークと種族的な対立を続けてきたザングースがこんなことを言うとは思ってもいませんでした。
「いや、確かに外に出るためにはそうするしかないのでしょうが……それって、ハブネーク的にどうなんでしょう?」
「知るか、んなもん。ここに一生閉じ込められてたら種族の誇りもクソもねえよ。そんなもん、ポチエナに食わせろ!」
「うぅ……」
今度は私が言葉に詰まる番です。
ザングースとトモダチ。そんな言葉を頭に浮かべるだけで、頭が痛くなります。
私の体内に流れるハブネークの血が全力で拒否しているようです。
しかし、ザングースの提案は理にかなっています。
それが、ここから出る唯一の方法ですからね。
外に出たい気持ちと、ザングースを拒む気持ち。
その二つの思いに板挟みにされた精神が、私の視界をぐにゃりと曲げました。
「おい、どうすんだハブネーク!」
ザングースが私に返事を求めてきます。
もう、これ以上考えても無駄でしょう。
私たちはボックスに閉じ込められている。その現実を変える方法はただ一つしかないのですから。
「ふう……わかりました、わかりましたよ……。ただし、トモダチのフリだけですからね」
消え入りそうな、弱弱しい声で私は答えました。
「よし、決まりだな! なら、さっさと友情を深めるぞ」
「ノ、ノリノリですね……」
「俺様だってハブネークと仲良しごっことか嫌だぜ? だけど、グチグチ愚痴っててもしょうがねえだろ」
「呆れる程前向きな発言ですね……。しかし、友情を深めるって言っても具体的にどうするのです?」
「心配すんな。俺様に考えがある。ついて来い!」
ザングースは四本足で地面を軽快に蹴って走り出しました。
ふさふさの尻尾が上下にふわふわと揺れます。
「ちょっと、待ってください!」
慌てて私も、ザングースの後を文字通り蛇行して追いかけていきました。
「……で、これは何ですか?」
ザングースに連れられて来られたのは、探索の途中でみつけた暖かい水たまりでした。
黄土色の岩の囲いの中に、白く濁った湯が貯まっています。底に小さな穴が空いていて、そこから絶えず湯が湧き出ているようです。
それと、卵が腐ったような臭いもしますね。確か、ニンゲンは硫黄と呼んでいましたか。
ザングースの言うとおりに、頭だけ湯から出して二匹並んで浸かっているのですがわけがわかりません。
「温泉だ!」
「それはわかります。どういうつもりかと聞いているのです」
「だから、裸の付き合いだって。ニンゲンのオスは一緒に風呂ってのに入って仲良くなるんだよ。
テレビっていう、変なハコでやってたの見たんだ」
裸の付き合いって……
「つまり、ニンゲンの使う方法が、もしかしたらポケモンにも有効ではないかと。あなたはそう考えたのですね?」
「話が早いな。ニンゲンって、一番、多くの種族と関わってるだろ? 良い関係、悪い関係のどっちもあるだろうけどさ」
野生のポケモンが関わるのは、同じ生息地に住む同族か天敵だけ。
しかし、ニンゲンは全世界に分布して様々なポケモンと関係を結んでいます。
関係を結ぶという点に関して考えれば、ニンゲンの能力は一歩ぬきんでていると言えるでしょう。
それで、その模倣をする……というのはプライドを別にすれば有効な手段かもしれません。
しかし、この方法は重大な欠陥があります。
「ザングース、あなたはさっき裸の付き合いと言いましたが……」
「おう。着ているものを脱いで、何も隠さず本音で語り合えばきっと……」
「私たち、最初から裸じゃないですか」
「あ……」
私もザングースも言葉を失い、沈黙が場を支配します。
温泉が湧くコポコポした音だけが妙に大きく聞こえていました。
「べ、別に良いじゃねえか! 風呂に入りゃ体、綺麗になんだろ」
「私は脱皮するから、入浴は必要ありませんがね」
「せ、性格悪いな、テメエは……」
ザングースは顔をひきつらせています。
「しかし、脱皮つーのか? 皮を脱ぐだけで綺麗になるなんて便利だよな。
俺様は毛皮だから、こまめに毛づくろいしねえと、すぐ皮膚がかぶれちまう」
そういえば、普段のザングースはしょっちゅう自分の体をぺろぺろ舐めていました。
衛生を保つために、ザングースも苦労しているのですね。
その白いザングースの毛皮は、こうして湯につかれば汚れが落ちるでしょう。
濡れた白い毛はべたりと、その下の肉体に張り付いています。
ふわりと膨張していた毛が濡れて垂れたせいで、普段より若干、全体のシルエットが小さくなっています。
といっても、痩せっぽちの体を毛皮で膨らませていたわけではありません。
厳しい野生の生活とバトルで鍛えた硬い筋肉。じゅくがえりのから与えられる十分な量の食事によって蓄えた柔らかい脂肪。
その二つが両方とも程よくつき、ムチムチした肉付きの良く丸っぽい体つきをしています。
「ですが、その毛皮のおかげで寒い時期でも平気なのでしょう?そちらの方が便利でしょう。
私は寒くなると動けなくなってしまいますからねえ」
ハブネークは自分で体温を作ることができません。気温が低いと、途端に体の動きが鈍りそのまま眠りについてしまいます。
活動を開始するためには、日光浴をして体温を外から得ないといけないのです。
「ま、どっちも良いとこ取りとはいかねえよな。……ところでさ」
「何ですか?」
「お前、出ないのか?」
ザングースは辛そうに呼吸をしています。
「ま、まだ出ませんよ。あなたの方こそ先に出たらよろしいのでは?」
私は自分の体の状態とはあべこべなことを言ってしまいます。
ハブネークの肉体を動かすには外部から熱を入れないといけません。
しかし、この温泉の熱は少々過剰です。
本当はすぐにでも出たいのですが、ザングースより先に出るのは何となくシャクですね。
「お、俺様はまだ全然平気だぞ。全然熱くねえしい?」
嘘ですね。ザングースは絶対、我慢しています。
ザングースも先に温泉から出る気は無いようです。
いけません。悪い流れです。
ハブネークとザングース、二種族の間の激しい敵対心がこんな所で再燃するとは思いませんでした。
唐突に始まった、温泉我慢対決。
我ながらアホらしいと思いますが、ザングースには絶対に負けたくありません。
私たちは激しくにらみ合ったまま、湯につかり続けました。
どれだけ長く温泉に入っていたのか……時計が無いからわかりませんね。
「あまり長く浸かってると、ふやけるぜえ……早く出ちまえよお……」
ザングースの舌はうまく回っていません。
それに、何だかゆっくりと体が揺られています。
我慢の限界も近いようですね。
「あ、あなたの方こそ、そんな暑そうな毛皮なのに温泉に入ったら余計に暑いでしょお?
我慢は体に毒ですよお」
私の体も過剰な熱でおかしくなっているようです。
視界が歪み、ぼやけていきます。
熱い熱い熱い。なんですかこれは。熱すぎる。
熱いって言葉で私の頭はいっぱいになります。
「ニャハハ……毛皮はあ、ハンデなのりゃよお!」
このザングース、本格的に口調がおかしくなってますね。
目つきの悪い三白眼の瞳は、焦点があわずグルグルと回っています。
口をぽかんと開け、耳は完全に垂れてしまっています。
「ハブネークなんかにゃ負け……負けにゃ……あ……」
その言葉を言い終える前に、ザングースは限界を迎えました。
意識を失い、ざぷんと水音をたてて、温泉の底に沈みます。
勝利の余韻に浸る余裕はありませんでした。
「ザングース!」
緊急事態に意識が急に冴える。
あれこれ考える前に、私の体は動きます。
温泉の底に沈んだザングースの体を長い尾で素早く、ぐるぐる巻きし急いで外へ引っ張っていきます。
ザングース自身の体重(40.3kg)と、水分を多量に含んだ毛皮。
その二つの重量に苦しめられましたが、なんとか温泉の外に出すことができました。
しかし、ザングースは目をつぶってぐったりとしています。
意識を失っているようです。ですが、呼吸はしっかりとしているので命に別状は無いようです。
とりあえず、すぐそばの岩場に寝かせておきましょう。
「……あれ?……俺様は……」
ザングースが目覚めるのにしばらく時間がかかりました。
沈みかけの太陽が、ザングースの白い毛をオレンジ色に染めています。
「のぼせて倒れたんですよ。引っ張り出すのに苦労しましたよ、まったく……」
やっと起きたザングースに私は愚痴をこぼします。
ザングースはぼんやりと、私の顔を見た後。
「ああー、お前……俺様を助けてくれたのか。」
と、言いやがりました。
顔がかっと熱くなるのを感じました。
「はあああああ!? 勘違いしないでくださいよ!」
気が付くと私は大声を出していました。
「あ? 勘違い?」
ザングースはきょとんとしています。
「そうですよ! だって、あのまま溺死させていたら、私がザングースを直々にぶっ殺せなくなるじゃないですか!」
私は早口でまくしたてます。
ザングースを助けた、という事実を否定したくて必死です。
何か変です。どうして、私はこんなに慌てているのでしょう。
いつも冷静さを心掛けているのですが、この時はつい感情的になってしまいました。
「まあ、そうだよな。そんな理由でもなきゃ、ハブネークがザングースを助けたりするわけねえもんな」
「だから! 助けたわけじゃないと言ってるじゃないですか!」
「わかった、わかったから、そんなにムキになるなよ」
声を荒げる私とは対照的に、ザングースは極めて冷静です。
まるで、二匹とも普段の性格があべこべになったようです。
「でもよ、お前の思惑はどうだったとしても、俺様がそのおかげで命拾いしたのは本当だ。
だから、言っておくぜ」
基本的にザングースは、口をへの字にまげて仏頂面をしています。
目つきの悪さと合わさって、まごうことなき悪人面と言えるでしょう。
別に機嫌が悪いからとかではありません。ザングースという種は、元々そういう顔なのです。
もしも、彼がアニメキャラだったら絶対に悪役です。
そんな、ザングースが、にこりと無邪気にに笑って……
「ありがとよ」
と言いやがりました。
言葉の意味が頭に染み込んだ瞬間、猛烈な気分の悪さに襲われます。
「ぎゃあああああ! やめて! やめてください! 本気でキモいです!」
ハブネークの体に流れる血には、ザングースとの激しい戦いの記憶が刻まれています。
ザングースに対する深い敵意が、生まれつき備わっているのです。
それは私も、例外ではありませんし、それを当然と思って生きてきました。
それなのに、『助けた』だの『ありがとう』だの言われると、自分自身の価値観を根っこから否定されたようで、
猛烈な吐き気がするのです。
「なんだお前? 照れてんのか?」
頭を何度も激しく横に振って拒絶の意を伝えている私を見て、ザングースはニヤニヤしています。
「もう、この件は終わりです! わかりましたね!? わかったら、あんなこと二度と言わないでください!」
「あんなことって……」
ザングースがにやりと口元を歪めます。
そして、わざとらしく、こう聞き返しました。
「ありがとうか?」
「ぎゃああああ!!」
私の絶叫が、ボックス中に響きわたりました。
「おい、良い加減、機嫌直してくれよ」
「……もう知りません!」
日もとっぷりと暮れて夜。
私たちは、寝床に戻ってきました。
満月が煌々と輝いて、星も見えない。
外に出る為、仲良くするフリだけでもしようと考えていましたが先の件でそんな気持ちは吹っ飛んでしましました。
やはり、ハブネークとザングースが仲良くするなんて無理なのです。
「なあ、頼むよ。このままケンカしたまんまだと一生、外に出られないんだぜ。そんなのハブネークも嫌だろ?」
「…………」
認めたくはありませんが、ここはザングースの方に理があるようです。
「では……仲直りするにあたって、一つだけ条件があります」
「お、何だ? 俺様にできることならなんだってしてやるぞ!」
ザングースの顔がぱあっと明るくなりました。
「えーと……テメエ、コノヤロウ、ぶっ殺してやる」
戸惑っているような表情のザングースが棒読みでセリフを読み上げます。
私が出した条件。それは、ザングースに私を罵ってもらうことでした。
一応、言っておきますが、私はマゾヒスティックな性癖は持っていませんよ。
「はあああ……癒されますねえ」
「そ、そうなのか? えーっと次は……俺様の爪でズタズタにしてやる」
「ああ、イイですね。もっと言ってください!」
「お、おう……」
ザングースの顔がひきつっています。明らかにドン引きしてますね。
繰り返しになりますが、私はマゾではありません。
ハブネークとザングースは敵対するのが正常な関係。
ですから、さっきのように、ザングースに『ありがとう』だとか言われると、非常に居心地が悪い気分になるのです。
今のように、ザングースに悪い言葉を投げつけられる方が私は落ち着きます。
ザングースに『ありがとう』と言われた忌まわしい過去を、上から塗りつぶすために、私はザングースに罵倒を続けさせました。
「ふう……これで完全回復。晴れやかな気分です。トラウマを克服して、未来へはばたいちゃいますよ!」
「そ、それは良かったな。はは、はははは……はあ……」
ザングースはひどく疲れた様子でため息をつきました。
「まあ、これで一応仲直りできたってわけだな。それで、明日からどうする?」
「明日からですか?」
「まだ仲良しアピール続けなくちゃいけないだろ? 夕日をバックに殴り合うってどうだ?
コブシで語りあうんだよ」
また、テレビのマネでしょうか。
「コブシで語り合うって言っても私にはコブシありませんがね。大体、どうして殴り合いで仲良くなれるんですか?
逆に、仲が悪くなるんじゃないですか?」
コブシで語り合う。戦いを通じて友情を深める。
バカバカしいですね。
その論理を適用すれば、常日頃バトルをしている私とハブネークは大の仲良しということになってしまいます。
ザングースと仲良し……。自分の頭の中にでてきた忌まわしい言葉に吐き気を催してしまいます。
「なんだよ。文句ばっかり言いやがって! だったら、テメエもなんか案出せよ!」
反対意見を言っただけなのですが、ザングースを怒らせてしまったようです。
しかし、温泉にしろ殴り合いにしろ、結果がどうであれザングースは二件も提案をしています。
その一方で私は文句を言っているだけで、何も提案していません。
ザングースの怒りも無理もないかもしれません。
「わかりましたよ。ちょっと、待ってください。ええっと……そうですね……」
とぐろを巻きながら、考え込みます。
しかし、困りましたね。
ハブネークは群れを作らず単独で生きるポケモン。
ですから、私にはトモダチなんて居たことがないのです。
元々、そういう生き物ですから孤独だとか寂しいとか感じたことはありません。
そういった習性が今回は悪い方に働きました。
他のポケモンと仲良くする、というのが実際どういうものか想像もつかないのです。
「なあ、まだかー?」
「待てと言っているでしょうが! えっと……」
野生だった頃、他のポケモンと接触した記憶をたどります。
ですが、ザングースと戦った、血なまぐさい思い出しかありません。
あ、でも一年のうち一度だけ、他のハブネークの女性と会う機会がありましたね。
まあアレは仲良く……とも言えるでしょうか。
「お、その顔は何か思いついたんだな!」
ザングースは、もさもさした尻尾をブンブン振っています。
私のアイデアに期待を込めているようです。
「え、まあ……思いついたのは事実ですが……。このアイデアは使えないと思いますよ」
「そんなの良いから、とりあえず言ってみろよ。使えるかどうかはその後で決めるからさ」
「えー、ではお言葉に甘えて……」
非常に言いにくいことではありますが、ザングースがああ言うのですから……
私は一呼吸した後、意を決して言葉を吐き出しました。
「えーと……こ、交尾?」
「あー、言っちゃた。テメエ、言っちゃったな。つーか、もっとマシな意見言えよ」
「そうですね。そんなことできるわけないですもんね」
できるわけない。
気軽に言ったその一言が、とんでもない事態につながるとはその時はかけらほども思っていませんでした。
「あ? テメエさっき何ていった?」
ザングースの全身の毛が逆立ち、爪も飛び出しています。
理由はわかりませんが、怒っているようです。
「え、できるわけない」
「俺様がいつできないって言ったよ! 俺様はなあ、ハブネークにできないって決めつけられると腹立つんだよォ!」
「はあああ!?」
ザングースのハブネークに対する対抗心は非常に強いものがあります。
それが、こんなタイミングで発現することになるとは……。
何だか非常にマズい流れになっていますね。
「できるに決まってんじゃねえか! バカにすんじゃねえぞこのクソ爬虫類!」
「お、落ち着いてくださいよ。だって、雄同士ですよ? できるわけ……」
しまった。私としたことがまた、失言をしてしまいました。
「またできないって言いやがったな! 上等だ! できるって証明してやんよ!」
ザングースは草地に短い脚を投げ出して、尻餅をつきました。
「来いやあ!」
ザングースは黒い爪が生えた手で手招きしました。
「え、来いって……何度もいうようですが、私たちは雄同士ですし……」
「あ? ビビってんのか、ハブネーク」
ザングースがバカにしたような笑みを浮かべました。
正直、カチンと来ました。
ハブネークとしては、ザングースにバカにされるのは我慢できません。
「……ビビってなんかいませんよ。ビビってるわけないじゃないですか……」
互いが持つ激しい敵対心に、追い込まれ異常な状況へ私たちは追い込まれていきます。
バカげたことをしようとしていると、理解しています。
しかし、ザングースに臆病者と侮られるのは絶対に嫌なのです。
「良いでしょう。やってやりますよ」
私はザングースの白くて丸い体にゆっくりと這いよっていきます。
「へっ! 来いよ。 俺様は逃げも隠れもしないぜ」
ザングースは片方の口角を上げ、不敵に笑いました。
鋭い犬歯が覗きます。
そんな、余裕たっぷりのザングースの表情を崩してやりたい。
ザングースへのライバル心が歪んだ形で発露し、奇妙な情欲となって私の体内で燃えていきます。
「後悔しても知りませんよ?」
自分でも驚く位、冷たく暗い声で警告した後、
私は自分の長い胴体をザングースの白く柔らかな肉体に絡ませていきました。
「クッ……なんか……変な感じだな」
私の長い胴体が体の上でゆっくりと這う感覚にザングースがうめきました。
ハブネークには手足がありません。あるのは、このロープのような長い胴体だけ。
ハブネーク、アーボック、ジャローダといったヘビ型のポケモンの交尾は、この長い体を絡ませ合って行います。
相手に性感を与えるにはどのくらいの強さで絞めれば良いか、どれくらいの速度で体の上を這えば良いか……
その答えは、本能が教えてくれます。
私は、ゆっくりと焦らすようにぬめる体をザングースのぽっこりと出たお腹に這わせ、絡ませていきます。
ニンゲンの使うアルファベットのMのような赤い模様が描かれた、柔らかなお腹がハブネークの黒い肌に覆われていきます。
バトルでは、素早く巻きつき、力任せに一気にしめ上げます。
しかし、交尾では別です。相手に苦痛を与えない程度。しかし、しっかりと緊縛感を感じるような絶妙な力加減でザングースの腹を絞め上げます。
ふわふわの白い獣毛に、黒くなめらかな胴体が食い込み、柔らかな肉が盛り上がりました。
「グゥ……なんだ……コレ。なんか変態くせえぞ……」
ヘビ特有の絡みつくような交尾のやり方に、ザングースは戸惑っているようです。
「ハブネークの性行為はこれが普通なのですよ。怖いのならやめてあげても良いですよ」
「怖いだあ? バカ言うんじゃねえ! この程度じゃ全然感じねえから、拍子抜けしただけだ!」
ザングースのその言葉が虚勢であることを、私は見抜きます。
ザングースの吐息の熱っぽさ、呼吸の荒さ。
ヘビに絡みつかれ、緊縛されるマゾヒスティックな刺激にザングースは興奮を覚えているようです。
さすが、お腹に大きくMと描かれているだけありますね。
私はザングースの腹を絞めるのは、尾に任せ次の行動に移ることにします。
ぺたりと地面に尻をつけて上体を起こしたザングースのむっちりとした肉体を、私の胴体が螺旋を描いてゆっくりと上へ昇ってきます。
胸筋の上に脂がたっぷりと乗った胸。お腹よりも筋肉の比率が大きいのか、やや硬くガッチリした感触です。
胸部を一周して、呼吸を妨げないよう、弱めの力でここも絞めました。
もはや、ザングースの体はぐるぐる巻きにされています。
ザングースの身長は1.3m。それに対し、私の長さは2.7mもあります。
ザングースの全身に絡みついても、まだ長さに余裕があります。
絡みついた胴体を、緩慢に動かし、ザングースの全身を余すことなく這い回ります。
温泉に入ったおかげで、私の体は脱皮したてのようにつるつる、すべすべ。
ザングースの体毛も白く清められ、空気をふんだんに含んでふわっとしています。
「クソ……ヌルヌルするし、それに……なんか……冷てえ!」
今まで体験したことの無いであろう、異常な感触にザングースがうめきました。
ザングースは恒温動物。ハブネークである私は冷血動物。
暖かな体温を閉じ込めた白い毛皮と、冷たくなめらかな黒い鱗。
その温度差は、私とザングースには味わったことの無い感覚です。
ザングースは私のひんやりと体が触れる度、寒さに打たれたようにビクビクと体を震わせます。
ただ、温暖に保たれたボックス内の温度のおかげで不快では無いようです。
『冷たい』と文句を言いながらも、ザングースは大人しく私の攻めを受け続けています。
ザングースの肉体の暖かさをここまでじっくりと、身近に感じるのは初めてでした。
ザングースに巻きつくことで、彼の肉体の感触を全身で感じることができました。
柔らかな白い獣毛と、筋肉の上にむっちりと乗った厚い脂肪。
その柔らかさと暖かさに心を奪われてしまいます。
まるで、体内に春を閉じ込めているかのように、ふかふかでぬくぬくと暖かいザングースの肉体。
頬をザングースの腹部にすりつけると、白い毛に埋もれぽかぽかと暖かな体温に包まれます。
外から熱を取り込むのは冷血動物の本能。その本能の命じるまま、私はザングースの熱っぽい体にねっとりと絡みつき、彼のの体温を貪りました。
ふっくらとした腹、むっちりとした胸。思うまま、ザングースの体を這いまわる度に、彼の悪人面が快楽に歪みます。
その顔を見ると、征服欲が満たされたような奇妙な満足感が心のうちに広がるのがわかりました。
獲物を味見するように、ザングースの頬を長くて細い舌でべろりと舐め上げます。
「テメエ……ナメてんじゃねえぞ!」
ザングースは憎まれ口を叩きます。
しかし、それは自分が快楽を叩き込まれているのを認めたくないがための虚勢。
ピンと立った尻尾と、パタパタとせわしなく動く耳を見れば容易にわかります。
ザングースの耳は右と左で色が違います。
右耳は真っ白ですが、左耳は赤い。
左耳の赤い模様は、左目の部分まで届いて鋭いV字を描いて跳ね返っています。
まるで、左耳から左目まで斬りつけられて血がでたような模様です。
耳というのは、ハブネークには無い器官です。
ですから、単純に興味がわきました。
私は、特に明確な意図もなく、赤い左耳をぱくりと口に含みました。
「うひゃあ! ナニすんだテメエ!」
いきなりザングースが裏返った声をあげました。
これは予想外の反応です。
「耳をちょっと、噛んだだけですよ。ケガはさせてないはずですが?」
「と、とにかくだ……耳はヤメろ!」
やめろと言われると、もっとやりたくなりますね。
相手がザングースならなおさらです。
私は耳たぶをしっかりと唇で挟んだまま、耳穴に細い舌を滑り込ませました。
「ひっ……マジで、やめろって!」
ザングースが体をこわばらせ、小刻みに震えます。
もさもさした尻尾はピンと立ちあがったまま硬直しています。
「耳が感じるのですか?」
「う、ウルサイ!」
ザングースは否定しません。どうやらその通りのようです。
涙目になって感じるザングースの様子に気を良くした私は、ペロペロと耳を舐めまわしました。
耳の他にも、ザングースの体には私と違う場所があります。
それは尻尾です。
私にも尻尾はありますが、ハブネークの尾は刀のように鋭くなっています。
そこに毒をにじませ、敵に斬りつける武器になるのです。
ザングースの尻尾はそれとは真逆の印象を受けます。
白い毛がたっぷりと生えた、太い尻尾。
尻尾があるポケモンは多いですが、ここまで毛の量が多いのはそんなに居ないでしょう。
白く柔らかな毛がひとつに集まって、まるでマシュマロのようです。
最も毛が集まっているその部分を、私はぎゅうと絞めます。
黒の鱗が柔らかな白い尻尾に飲み込まれていきます。
「ン……! だから……尻尾もダメだって……」
どうやら尻尾もザングースにとって良い所のようです。
恥ずかしがって嫌がるザングースの耳と尻尾をしばらくもてあそびました。
さて、上は十分堪能したことですし、そろそろ下の方にも目を向けてみましょう。
ザングースの股間は毛が周囲より深く茂っています。
雄にとってそこは急所ですからね。そこを保護するためでしょう。
いったん、ザングースから体をほどいて、私はザングースの股に顔を突っ込みました。
温泉で綺麗にしたとはいえ、そこには濃厚な雄の獣の臭いがこもっていました。
つんとくる酸っぱさと、甘だるいような青臭さが混じった臭気。
普段は悪臭としかとらえないのでしょうが、今はその臭いが私の興奮を煽ります。
「お、おいハブネーク。何するつもりだ?」
「しゃぶってあげますよ。ザングースの陰部ってここで良いんですよね」
「お、おう……そうだぜ」
しゃぶるという言葉に、ザングースは期待しているのか、やけに素直になりました。
完全に私が与える快楽に流されているようです。
何だかうれしいですね。宿命のライバルのこんな姿を見られるなんて。
もさもさと茂る白いしげみを、口と舌でかきわけると目当てのモノが姿を表しました。
中途半端な角度で持ち上がっているザングースの肉茎が一本。彼の毛皮の色と同じ白い包皮に包まれていました。
ハブネークの血の中にはザングースとの戦いの記憶が刻み込まれています。
当然、ザングースの体の基本的な構造も血が教えてくれます。敵を知ることが、バトルの基本ですからね。
実際にこの目で、ザングースの恥部をみるなんて初めてです。
やはりザングースのペニスは一本だけのようです。ひとごとながら、これでメスを満足させられるのか心配になってしまいます。
先端の方は、すこしだけ剥けていて経験の薄そうなピンク色の頭が覗いています。
直接触られていないそこは、ザングースのヘビが吐き出した先走りでわずかに濡れています。
このツンと来る臭気はそのせいかもしれません。
ザングースのソコは体格に釣り合った大きさです。
ただ、長さはそれほどでもないですが、太さは結構あると思います。
ずんぐりと太ったザングースのモノはさらなる刺激を求めて脈動しています。
ザングースの陰茎は、ふっくらとした二つの丸い玉の上に乗っかっています。
睾丸、ふぐりとでもいうのでしょうか。丸々と太っていてやや大きい印象を受けました。
これもハブネークには無い器官です。
二つ仲良く並んだ柔らかそうな白い双玉は、まるで白玉のようです。
生殖器官の一部なのでしょうが、ぷりぷりしていて妙な可愛らしさがあります。
私は焦らすように、先端が二つに割れた舌先でチロチロと先端を舐めます。
緩慢な刺激にザングースは短い脚をバタつかせます。
こらえ性の無いことです。
私は、ザングースのペニスを一気に口に含みました。
野生時代は、自分の頭より大きな獲物を丸呑みにしていた私です。
ザングースのペニス程度、口に入れるのは楽勝です。
ハブネークの顎の関節は二つあり、口を大きく開けることができますから。
私は陰茎だけでなく、睾丸まで一気に口にいれてしまいました。
「ん……ああ!」
ザングースは間抜けな悲鳴をあげました。
睾丸まで含めた性器全体を襲うぬめぬめした口淫の刺激にザングースは乱れます。
口の中の陰茎はみるみるうちに太く硬く成長しスペースを圧迫していきます。
白い毛皮の包皮は、ペニスの増大によって剥けてどんどん下がっていきました。
さほど時間をおかないうちに、完全に剥けて赤い肉色がその全容を現します。
先が尖った、三角錐状。表面がつるりとした真っ赤に充血したペニス。
哺乳類型のポケモンにとっては典型的な陰茎の形でしょう。
白い包皮に守られていたデリケートな獣のペニスをしっかりと咥えこみ、上下に激しく頭を振ります。
「んあ……んあああああん!」
もはや、声を抑えることもできなくなったザングース。
あまりの快楽に、起こしていた自身の上体を支えられなくなり仰向けにバタリと倒れこみました。
太い尻尾がクッションになって腰の部分だけ持ち上がっています。
ザングースが倒れたくらいで、フェラチオはやめません。
睾丸を口内で転がす。細い舌先で鈴口を責め苛む。裏筋をべろりと舐め上げます。
思いつく限りの様々な舌技でザングースを追い詰めていきます。
血流が集中し、熱く硬く勃起する白い獣の陰茎はびくびくと脈動。しょっぱい先走りを私の口腔内へ断続的に噴射しました。
宿命のライバル、そして同性であるザングース。そのペニスをしゃぶるという行為は非常に屈辱的といえるでしょう。
しかし、それと同時に私の口でザングースが弄ばれ、快楽に涙を浮かべているというのは奇妙な征服感を覚えます。
フェラチオをする屈辱とザングースを口で犯す征服感が混ざり合った、歪んだ情欲。
それに突き動かされ、私はザングースをより強く、そして深くしゃぶり上げます。
私の唇はザングースの下腹にぴたりとくっつき、陰茎は喉元にまで迎えられます。
ペニスの先端から睾丸の付け根まで完全に飲み込んだ形。
哺乳類ならば、えづいてしまうでしょうが私は苦もなくやってのけました。
ここまで完璧なディープスロートはヘビにしかできないでしょう。
体全体を使うような、強烈で濃厚なオーラルセックスの刺激をザングースに一気に塗り込んでいきます。
顔を上にあげ、ペニスの先端ギリギリまで唇を持っていく。
そして、捻りを加えた動きで、睾丸の根元まで一気に飲み込む。
それを何度も何度も繰り返していきます。
口とペニスが触れ合う、グチャグチャした下品で淫靡な水音が鳴り響きました。
「ああ! ……も、いい! もういいよハブネーク! で、出るから! もう……やめろよォ!」
宿敵の口の中で果てるのに抵抗があるのか、ザングースは制止してきます。
私の頭に手を当ててペニスから引きはがそうとしますが、フェラチオの快楽のせいで体に力が入らないようです。
ザングースのせわしない呼吸に合わせて、丸い腹が膨張と収縮を激しく繰り返します。
睾丸はきゅっと引き締まり、子種を噴出させる準備に入ったかのようです。
舌と口でさんざん苛められた陰茎は、もう限界とばかりにビクビクと猛烈な勢いで脈動し、まるで湧水にように先走りを垂れ流しています。
ザングースのモノを激しくしゃぶりながら私は思います。
なるほど、このままフェラチオを続けたら口の中に出されてしまう。
宿敵であり、天敵でもあるザングースに口の処女を奪われるというのはこの上ない屈辱でしょう。
しかし……
ここでやめたくない。そう思ってしまいました。
憎いこの白き獣をもっと鳴かせたい、喘がせたい。
バトルを禁じられ、行き場を失ったザングースへの闘争心が性欲と結びついて、暗く歪んだ淫心となって私を突き動かします。
バタバタと足を動かすザングースの抵抗をものともせず、彼の性器を一気に咥えこみます。
「バ……バカバカ! なにやってんだテメエ! 出るって言ってるだろ!」
ザングースが嫌がれば嫌がるほど、逆に燃える。
それがハブネークの性分なのです。
私は嫌がるザングースのペニスの先端から睾丸の根元まで一気にディープスロートしました。
そして、下から上へ一気に力一杯吸い上げました。
雄蛇の猛烈なバキュームフェラに耐え切れなくなった白い獣は、ついに限界を迎えます。
「グゥウウウ!」
獣の咆哮を上げ、ザングースは射精しました。
どろりとした粘り気のある濃厚な精液が、限界まで膨張したペニスの先から勢い良く大量に噴出し、
私の喉奥に叩きつけられます。
油断すると、口から漏れてしまいそうな精液の量。
とてつもなく苦くしょっぱい濃厚な風味。
いかにザングースが性欲をためこんできたかわかるような気がします。
獲物を快楽にしずませた証を、私は漏らすことなく全て飲み込んでいきます。
放出を終え、柔らかくなっていく陰茎を容赦なく唇で絞り中に残っているわずかな精液すら残らずすすっていきます。
そして、白濁で汚れた陰茎を掃除でもするように完璧に綺麗に舐めとってやりました。
そこで、ようやくザングースのペニスを口から解放してやります。
口の中に青臭い雄の獣の臭いが充満していました。
ハブネークは口の中にヤコブソン器官という臭いを嗅ぐ器官を持っているので、飲み込んだ生臭い精の臭いを
より強く感じることができるのです。
茫然自失といった様子で私の顔を見上げるザングース。
彼を見下ろし、舌で自分の唇を舐めあげます。
「ごちそうさまでした」
私がそう言うと、ザングースの目の色が変わりました。
「な、なにが『ごちそうさま』だ! つーか、何飲んでんだよォ!」
「良いじゃないですか。口内射精できて、気持ちよかったでしょう?」
「いや、まあ良かったけどさあ……ってそういう問題じゃねえ!」
ザングースはすっかり普段の様子に戻ってギャーギャー騒いでいます。
うるさいですねえ。
「とにかくだ! 俺様は一方的にヤられるのは嫌だからな。今度は俺様の番だぞ」
どうやら、ザングースも攻めをやりたいようです。
まあ、マグロを相手にしていてもつまらないですからね。
「それは別にかまいませんが、やり方わかるんですか?」
「う、うるせえよ! そんなもん勢いでなんとかならあ!」
ザングースがいきなり抱きついてきました。
本当に勢いで何とかしようとするつもりのようです。
私の長い体を抱きしめ、目についた所をでたらめに舐め始めました。
なめらかで生暖かい舌が、鱗をぺろぺろと舐めとります。
しかし……
「フフ……くすぐったいですよ」
くすぐったいだけで、性的なモノは全然感じません。
ポチエナやガーディはトレーナー相手に親愛の情を示すために、顔を舐めることがあります。
それと同じような感覚でしょうか。
まあ、これはこれで不快では無いですね。
「アレ? おっかしいなあ? ここかあ? つーか、ハブネークの体ってどうなってんだよ?」
ザングースの表情には焦りと不安が浮かんでいますが、彼なりに私を責めようとしているようです。
ふわふわな両腕で抱きしめられ、肉球がついた手のひらで背筋を優しく撫でられました。
ザングースの暖かい体温と柔らかい毛皮に包まれる、優しい感触に心が休まります。
性的な意味はまったく含みませんが、これはこれで気持ち良いですね。
たどたどしく、愛撫というよりじゃれついているようなザングースの攻めを内心ニヤニヤしながら見守ります。
それにしても、やけに初々しいですねえ。
ヘビの体のつくりがわからないのか。もしかすると、このザングースは誰ともやったことが無いのかもしれません。
まあ、下手に聞いて怒らせても面倒臭いだけなので聞きませんが。
「あれ? なんでだ? おっかしいなあ……」
ぶつぶつとつぶやきながら深刻な顔をしているザングース。
ヘビの体に相当苦戦しているようです。
さすがに、ちょっと可哀そうになってきました。
私はちょっと、助け船を出すことにしました。
さりげなく体をくねらせ、尾の付け根の部分を
私の体を撫でまわすザングースの爪の部分へ寄せます。
「アレ? ここどうなってんだ? スジがあるぞ?」
ザングースはソコに気づきました。
私の計画通りです。
ザングースが私のスリットを見つめます。
すると次の瞬間、ザングースが顔を上げいきなり大声をあげました。
「お前……メスだったのか!?」
……呆れて物も言えません。
ザングースは私のスリットを女性器だと勘違いしたようです。
ですが、男だとおもっていたライバルが実は女で……みたいな甘酸っぱい展開は存在しません。
「私はオスですよ。脳みそ腐りましたか?」
「え? だって、ここに割れ目あるし……。それじゃ男の娘か!?」
「私は正真正銘、男の子ですよ! なんですかその最後の”娘”は!?」
「え、だって……テメエ、男のクセに自分のこと”私”て呼ぶし。さっきから探してるけどチンコどこにもねえから、ニューハーフ的な奴なのかと……」
「違いますよ! これはスリットといって、この中に男性器が入ってるんですよ!」
「ああーそうなのか。どうりで見つからんワケだ。変わってんなお前」
私から見れば、毛で隠しただけで丸出しのザングースの性器の方が変わっているのですけどね。
ヘビを含むは虫類型のポケモンの男性器の多くはスリット式です。
肉の割れ目の奥に陰茎をしまっておいて、必要な時だけ出す形です。
一口にスリットと言っても、ポケモンごとにかなり異なります。
その中でも、ハブネークのスリットは体幹に対して垂直に走っています。
いわゆる、横割れです。
「えっと……ここの中に、ハブネークのがあるんだよな?」
ザングースの黒い爪がスリットの入り口を突きます。
スリットに爪を入れようとしているようです。
「そうですけど……。デリケートな部分ですから注意してくださいね」
「わ、わかってるよ……。じゃあ、入れるぞ」
緊張した面持ちで、ザングースは爪を一本、スリットに突き立てました。
そのまま、ぐちゅりと音を立ててスリットが爪を飲み込んでいきます。
「クッ……」
性器を直接いじられる刺激に顔が歪みます。
「お、おい大丈夫か?」
「だ、大丈夫です……。痛いわけではないので続けてください」
「お、おう……」
おずおずとザングースは爪をより深く突き入れていきました。
肉の割れ目の中を鋭い爪がずぶずぶと潜っていきます。
幸いなことに爪が、中を傷つけることはありませんでした。
爪のコントロールの正確さは、さすがザングースといった所でしょうか。
スリットの奥に、爪が到達し、ザングースはソレをついに見つけます。
「えっと……コレか?」
「そう……です。そのままかき出して……」
「う、うん……」
ザングースは生唾をゴクリと飲んだ後、爪に私のモノをひっかけて外に引っ張り出しました。
透明な組織液がごぽりと、スリットから漏れた後、私のペニスが二本飛び出しました。
「え? 何で二本?」
ザングースは目を丸くしています。
私からすると、一本しかないザングースの方が驚きなのですがね。
「ヘミペニスですよ」
「ヘ、ヘビペニス!?」
ザングースは素っ頓狂な声をあげます。
どうやら、この形の性器を見るのは初めてのようです。
しょうがないですね。性教育してあげましょう。
「ヘミペニスですよ。ヘビ型のポケモンのオスは、陰茎が二本あるのです」
「なるほど……物量作戦だな!」
「なにわけわからないこと言ってるんですか……」
尾の付け根にある、横割れのスリットの左右の端から一本ずつ飛び出したヘミペニス。
黒い外皮とは違って、赤黒く色づいています。
ザングースに比べるとかなり細いですが、長さはかなりのものです。
細長いヘミペニスは更なる刺激をねだって、ビクビクと脈動しています。
「どうしますかザングース? 見慣れない形のモノでしょうし、怖かったらやめても良いですよ」
『怖い』という言葉をわざと使って、ザングースを挑発します。
案の定、ザングースはムッとしたようです。
「あ? この程度でビビるかよ! 二本だろうがチンコはチンコだろうが!」
そう怒鳴ると、ヘミペニスをまとめて掴んで乱雑に揉み始めました。
ザングースらしい、小細工もテクニックもない素直な手コキ。
それは、結構キました。
「ウッ……!」
ザングースの手のひらについているピンク色のぷにぷにした肉球がヘミペニスを柔らかい感触でもみほぐします。
ザングースの手の肉球の柔らかさ、毛皮の暖かさに包まれたヘミペニスは、悦楽にわき先走りをびちゃびちゃとまき散らします。
両手で、二本を束ねて一緒にシゴかれると肉茎がすり合わさって、まるで兜合わせをしているかのような感触に身が震えました。
「どうだ! やっぱオスならチンコが一番感じるだろ」
ザングースは得意満面の笑みを浮かべます。
オタオタと私の体を触っていた時とは大違いです。
調子にのったザングースは、握力を強め激しく上下にしごきます。
慣れない手のひらの感触に理性が崩れていく。
「ち、ちょっと……ザングース!」
「ヘヘヘ、気持ち良いだろ? このままイカせてやっても良いけど……」
ザングースはヘミペニスを握ったまま、顔をソコに近づけていきます。
クンクンと鼻を動かして、ヘミペニスの臭いを嗅ぐと。
「うえー。変な臭いー」
こちらをからかうように、いたずらっぽく笑いました。
「ザングース、何を……」
「ヤられっぱなしってのは性に合わねえからな。俺様も口でシてやるよ」
ザングースは犬歯がのぞく口を大きくあけ、ヘミペニスを二本いっぺんに咥えました。
生暖かく湿ったザングースの口内の感触を局部で感じます。
哺乳類の口は、あまり大きくあけられないので、ザングースにしゃぶられているのは二本の肉茎の先っぽだけ。
ヘミペニスの根元は、あの肉球のついた手で支えられています。
二本もの男根を咥えたザングースは先端をしゃぶったままモゴモゴと口を動かし、根元をふかふかの手でゴシゴシと擦ります。
先端の湿ったぬめる感触。根元の柔らかい毛皮の感触。二つの異なる触感に翻弄されます。
しかも、ザングースは二本いっぺんに愛撫しているせいで単純に二倍の性感が叩き込まれます。
あんぐりと開いた私の口からよだれがだらしなく、垂れさがりました。
「どうほ? ひもひいい? ひもひいい?」
ヘミペニスをしゃぶったまま、ザングースが嬉しそうに語りかけます。
語りかけるその口の動きで、性的な快感が産まれているとは思ってもいないようです。
「クゥッ……!」
気持ち良いと素直に答えるわけにはいきません。
口をしっかりと閉じて、そっぽを向きます。
その様子を見たザングースは、つまらなそうに顔をしかめます。
ちゅぽんと音を立てて、ヘミペニスを吐き出しました。
もう、これで終わり。
そう安心したのが間違いでした。
「じゃあ、こんなのはどうだ?」
ザングースは私の右のヘミペニスを口に入れてしゃぶり、左のヘミペニスを手で握って扱きはじめました。
ザングースから見ると、右手で手コキをしながら、もう片方の肉茎をしゃぶる形になります。
単体でもキツいのに、異なる愛撫を同時にヘミペニスに叩き込まれ、一気に追い詰められてしまいます。
「ウッ……! アア……!」
間抜けな喘ぎを抑えられません。
長い体の芯からやってくるゾクゾクと震えるような快感。
スリットの奥からじゅくじゅくとした放出感がせりあがってきます。
このままだと、非常にマズい。
「ザングース! このままですと、口だけじゃなくて顔にも……!」
その言葉を聞いたザングースは、手コキしていた方のヘミペニスの先を彼自身の顔に向けます。
そして、ヘミペニスをしゃぶったまま、にやりと笑い……
『出せよ』と口を動かしました。
熱く湿った舌が片方の肉茎に巻きつき、黒く鋭い爪がもう片方の先っぽを突き立てられました。
「ンン…………!」
私は声もあげず、絶頂を迎えました。
ヘミペニスから噴射される白い精液はザングースの口に注がれ、顔面にぶちまけられます。
顔の赤い模様は生臭い私の精液で白く染められ、周囲の白の毛皮と同化します。
。
口の中に放たれた精液。その味は、ザングースにはキツかったようです。
「グフ……!」
ザングースは白濁を飲み込むことができず、口の端から白い液がびちゃびちゃと漏れています。
それでも、口をヘミペニスから離さないのは意地でしょうか。
結局、ザングースがヘミペニスを吐き出したのは射精が完全に終わってからでした。
「うえー、マッジい! テメエ、よくこんなの飲めんな。逆に感心するぜ」
ザングースはせきこみながら精を口から吐き出しています。
白く粘り気のある精液が、ザングース口からでろーんと垂れています。
ザングースの耳も鼻づらも、青臭い白濁がぶちまけられ、綺麗だった毛皮ににべっとりとこびりついています。
付いたり、離れたりをゆっくりと繰り返す、二本の黒い爪の間にも白い精液の筋が何本もかかっています。
口内射精と同時に、顔射もされたザングースの顔は私の精液で下品な白でドロドロに汚れています。
盛大に精液をぶっかけられたザングース。その下品で卑猥な姿は私をかきたてました。
自分でもびっくりするような速さでザングースの股下に入り込みます。
ふっくらした股下を潜り込み、会陰をぬるりと通り抜け、ぷりぷりした尻の割れ目に自身の体を食い込ませました。
「うひゃあ! なんだよ、いきなり!」
恥部を襲う異様なヌルヌル感にザングースは全身の毛を逆立たせました。
「いえ、ザングースに挿入しようと思いましてね」
股下を通過した上半身はザングースの胸元をぐるりと一周して、巻きつきました。
長い尾を含めた下半身はザングースに跨がせています。
ザングースの柔らかな尻の表面をヘミペニスが撫ぜます。
どこに、何を挿入するつもりか暗に示されている体勢です。
「え、挿入?」
さすがのザングースもこれには抵抗があるようです。
まあ、無理もないですね。
「嫌ならやめにしても良いですよ。やめたとしても、臆病者呼ばわりしたりしません」
嫌がるザングースを無理やりレイプする。
それはそれで、心躍る展開です。
ですが、じゅくがえりは『ケンカしたら、外に出してあげない』と言いました。
レイプも当然、ダメでしょうからねえ。
「どうしますか? ザングース」
ザングースは険しい顔をして黙り込みました。
聞こえるのは互いの小さな息づかいの音だけ。
静かな月夜です。
温度を感じさせない青白い月光に照らされ、ザングースの白い輪郭が闇に浮かびます。
しばらくすると、ザングースは何かを決意したような真面目な顔をして口を開きました。
「一つ条件がある。それを飲んでくれるなら、俺様に入れても良いぜ」
「ふむ。では、その条件とはどんなものでしょうか?」
「その条件はな……」
私はザングースの口から語られる言葉を、しっかりと聞き取りました。
彼の言う条件。なるほど、ザングースらしい条件と言えるでしょう。
「どうする?」
「わかりました。その条件を飲みましょう」
「よし。決まりだな」
ザングースがニヤリと笑いました。
あの笑顔には見覚えがあります。
私と対戦形式のトレーニングをする時に、ザングースはあんな顔をしていました。
宿敵との戦いの前に浮かべる愉悦の笑顔です。
「来いよハブネーク。俺様を掘るんだろ?」
手のひらを上にして、黒い爪を立てるような動きで手招きしてくるザングース。
これから犯されるというのに、やけに堂々としています。
「可愛げがないですねえ。少しは怯えれば良いのに」
「ハッ! ハブネークを前にしてビビってられっかよ」
ああ、そうだ。ザングースとはそういうポケモンなのです。
毒がにじむ長いキバをみせても、鋭い尻尾の刃をちらつかせても絶対に怖気づいたりしない。
恐れず、勇気を持って立ち向かう。それが、ザングースなのです。
素晴らしいですね。皮肉ではなく、本心からそう思います。
これでこそ、ハブネークの宿敵としてふさわしい。
それに、堂々とした態度を快楽で崩すのも楽しそうですからね。
「では、少しお尻を浮かせてもらえますか?」
「こ、こうか?」
私の体にぐるぐると巻きつかれたザングースが、腰を浮かせました。
太くてもさもさした尻尾が付いた、ぷりぷりっとしたお尻がわずかに浮きます。
白い毛皮をまとった、尻の割れ目の奥にピンク色の小さな肛門が見えました。
穢れを知らない無垢な桃色。
どうやら排泄以外に使うのは今回が初めてのようです。
「さて、どうしましょうか。二輪挿し……」
何度も言うようですが、私は陰茎が二本生えていますからね。
一度に二本同時に挿入する、なんてプレイも当然可能なのです。
「テメエ、なにさらっとエグい事言ってるんだよ」
「あ、ご心配なく。今回は断念しましたから。最初は一本でいきましょう」
初釜にいきなり二本もブチこんだら、裂けてしまいますからね。
「何だよ『今回は』って……」
「ハードなプレイをするには、お尻のレベルアップが必要なのですよ」
「お前、話し方は賢そうだけど実はバカだよな」
何とても言いなさい。憎まれ口を叩けるのも今のうちです。
ヘミペニス一本ならば、結構細いですからね。
ザングースの処女を優しく奪ってくれると思いますよ。
「では、できるだけ力を抜いてください」
「お、おう……」
ザングースは目をつぶり、息をゆっくりと吐き出します。
彼なりに力を抜こうとしているようです。
裏返った私の下半分の体を跨ぎ、後ろ手をついて尻を浮かせるザングースの体勢。
下半身の形だけ見れば、背面騎乗位に近い形でしょうか。
私の長い胴体はザングースの股下を潜りぬけた後、背中からぐるぐると螺旋を描いて巻きついています。
ザングースの顔に目線を合わせると、彼のムスっとしたザングース特有の強面が目に入りました。
「入れますよ。準備は良いですか?」
「さ、さっさとしろい!」
ちょっとだけザングースの声が震えています。
強がっていますが、緊張は否めないようです。
できるだけ、ゆっくり入れた方が良さそうですね。
私は体を器用にくねらせ、ヘミペニスのうち左の肉棒をザングースのアナルの表面に当てました。
ぴくぴくと蠢く入り口の震えを、肉棒で直に感じることができます。
ザングースへの巻きつきを強め、尾を持ち上げるとヘミペニスが強い圧力を持ってザングースのアナルに突き立てられました。。
ザングースの唾液と自ら出したの精液にまみれる細い先端は、大した抵抗もなくぬるりとアナルに滑り込みました。
「はぅ……!」
侵入を拒むように、ザングースの尻が締りました。
反射的に、体に力を入れてしまったようです。
「ほら、このままじゃ痛いですよ」
「わ、わかってるよお……」
三白眼に涙を浮かべながら、ザングースは長く息を吐きます。
尻に異物が入ってくる異常な感覚に耐えながらも、必死に力を抜こうとしているようです。
ザングースの努力の甲斐もあって、細長い肉棒はスルスルと飲み込まれていきます。
肛門をこじあけた先端は、腸壁をめくりながら徐々に奥へ奥へと。
体液をまとった私の肉棒と、腸液で保護されたザングースの肉壁がこすれ、びちゃりとびちゃりと汚らしくも卑猥な音が
挿入の進行に合わせて鳴り響きました。
「あっ……あっ」
ザングースは口をパクつかせながら、小さく短く鳴くことしかできまないようです。
片方とはいえ、ヘミペニスに尻を犯される異常な感覚に必死に耐えているようです。
「ザングースの中、とっても気持ち良いですよ」
「う、うるさ……ひぃ!」
私の言葉に返答する余裕もないようです。
残念ですね。
ハブネークがザングースを褒めるなんて滅多にないことですのに。
ザングースの中が気持ち良いというのは、別に軽口で言ったわけではありません。
侵入してくる異物を排泄しようと、ザングースの腸璧はぜん動し、私のヘミペニスを容赦なく、ぎゅうぎゅうに締め付けてきます。
そして、この熱。ザングースの高い体温は焼けつくような熱を肉棒に押し付けてきます。
熱を帯びた力強い抱擁に、私のヘミペニスはたまらず、先走りをザングースの尻の中に漏らしてしまいます。
気を抜くと先走りよりも、もっと濃厚なやつを漏らしてしまいそうです。
ですが、それはなりません。
私は口をしっかりと閉じ、体に力をこめてグッとこらえます。
こんなに早くに終わらせるわけにはいきません。
もっと、もっと長く楽しむのです。
「ああ! ……ああん!」
細長い肉棒を埋め込まれていきながら、ザングースは高い声で鳴き続けます。
体を支えきれず、中腰の姿勢が崩れていきます。
ザングースの体重が乗り、ヘミペニスの挿入は更に進みました。
「ん……ああ……!」
尻を犯される感覚のせいで、力がうまく入らないのでしょう。
必死に、後ろ手をついて体を支えようとしてますが、ザングースの尻はゆっくりと重力に従って降りてきています。
わざわざ私が動くまでも無いですね。
元々、ゆっくりとやるつもりでしたし、ザングースのペースで入れさせてあげましょう。
しばらくザングースは私の体の上で喘ぎ散らしながら、落ちそうになる下半身を持ち上げようと必死にもがきます。
しかし、尻に肉棒が入った状態では、体が思うようにならず、自分の体重でズブズブと雄を埋めていく形になりました。
挿入された肉棒の質量が増えれば、それだけ体の自由はきかなくなります。
どれほどの時間がたったでしょうか。
最後にザングースがひときわ高く鳴くと、力がくたりと抜けて完全に私の体の上に座る形になりました。
ぴったりとくっつくザングースの尻と、私の長い体。
それは、ザングースがついにヘミペニスを根元まで受け入れたという証でもありました。
「はあ……はあ……これで全部……かあ?」
ザングースは息もたえだえです。
赤い白目に浮かぶ、小さな瞳は頼りなく揺れています。
目元には涙が今にもこぼれそうなほどたまっています。
目つきの悪いザングースが、こんな性に溺れた目をするとは……。
闘争にむかう凛々しいい瞳とのギャップで、余計に淫靡にみえます。
「ええ。あれだけ長いのを……よく頑張りましたね」
「ヘヘ……ハブネークに……褒められても……何も……嬉しくねえぞ……」
ザングースは尻に雄を受け入れながら、力なく笑いました。
「お前の……長すぎなんだよ……なんか……腹が張ってる気が……」
ザングースは爪の生えた両手で、自身のもっちりした丸い腹を撫ぜました。
彼の腹の一部がぽこりと突き出ているように見えるのは、気のせいでしょうか。
「何ボーっとしてんだ? ほら……動けよ……」
体がキツそうなのに、何を言っているんだか。
犯されていても、ザングースの態度はデカいままです。
「慣れるまで、動きません。入れたまま、しばらくこうしてましょう」
私は、ヘミペニスは動かさず絡みついた上半身だけを動かします。
ぐったりしているザングースの顔に、頬ずりをしてやりました。
「ハハ……テメエの……交尾のやりかた……スッゲエ、しつこい……」
頬ずりする私の頭を、弱い力で撫でながらザングースは気の抜けた笑顔を見せました。
「そりゃ、しつこいですよ。ヘビですから」
「ハッ……ちげえねえ……」
ゆったりとした呼吸に合わせて、ザングースのむっちりしたお腹がふくらみます。
時折、尻の中で肉棒が擦れる度、ザングースが切なく鳴きましたが、それ以外は静かなものです。
さらさらと草木を揺らす夜風と、互いのひそやかな呼吸の音くらい。
挿入の最中だというのに、妙に静かで穏やかな時間は過ぎていきました。
「さて……そろそろ良いですかね」
もう十分時間はたちました。
ザングースの尻の具合も、大分慣れたでしょう。
「やっと、休憩終わりかよ。退屈すぎて、寝ちまうかと思ったぜ」
ザングースは不敵に笑いました。
これだけ憎まれ口叩けるなら、慣らしはもう必要ないですね。
「それは失礼しました。……ここからは絶対に眠れないと思いますよ」
「ハハッ、面白れえ。やってみな」
戦いに誘うように、ザングースを動かして手招きしてきました。
良いでしょう。
ここからは本気です。
本気のハブネークの交尾がどんなものか、ザングースに思い知らせてやります。
私は闘争心を静かにたぎらせながら、ザングースの中に埋め込んだヘミペニスを動かし始めました。
長い胴体が、蠢く、波打つ、揺すられます。
ザングースにぎゅっと強く絡みついた体は激しく彼の体を這い回ります。
特に下部の動きは激烈です。
ザングースの尻の割れ目に、私の艶やかな体はしっかりと食い込み、挿入をきっちりと固定しています。
ザングースの股下に潜り込んだ尾の部分は猛烈な勢いでのたうち回り、ヘミペニスは尻の中で残忍に暴れまわります。
肛門の外で揺れる、もう一方のヘミペニスはザングースの太い尻尾の中へ突きこまれます。
もさもさした尻尾の柔らかな感触。尻尾コキの快楽と挿入の悦楽を同時に私は貪りました。
「があ……あ……ぎゃあ!」
ぎちぎちに締め付けられたザングースが絶叫します。
残忍な雄蛇の交尾の衝撃にパニックに陥り、爪を滅茶苦茶に振り回しました。
ザングースに絡みついていた黒い肌が引っ掻かれ、赤い筋が何本も引かれます。
鋭い痛みが走りますが、それが性欲にまみれた思考をかきけすことはありません。
むしろ逆です。
引っ掻かれる暴力的な痛みは、ザングースに強烈な敵意を持つハブネークの本能を焚き付けます。
燃え上がったザングースへの闘争心は、ヘミペニスの凶悪な挿入という形で発露しました。
ザングースの体をぐるりと一巻き。そのまま、上半身を持ち上げザングースの体を吊り上げます。
半ば抜かれたヘミペニスの上に、ザングースの体を落とします。
ザングースのペニスが、ぶるんと上下に揺れ腺液を空中に飛びます。
ぐちゃりと鈍い音をたてながら、尻がヘミペニスを一気に飲み込みました。
ザングースの自重が乗った猛烈な挿入。
長いヘミペニスが、コリコリとしたザングースの前立腺をすりつぶしました。
「うぎぃ! ぎいやあああ!」
唾液を吐きちらしながら、ザングースは泣き叫びました。
それが苦痛の叫びないことは、彼の分身が証明しています。
ザングースのペニスは萎えることなく硬く勃起しています。
鈴口からは、精液がぽたりぽたりとゆっくりと漏れ出ています。
ところてんと呼ばれる現象。
ペニスを触られず、アナルだけで到達する性感の終着点です。
射精の一瞬が長く引き伸ばされた規格外の快楽にザングースは狂乱します。
バトルの時は、どんなに痛めつけてもどんなに毒を注ぎこんでも爪を振り上げて果敢に立ち向かってくるザングース。
そのザングースが今、私に犯されてアンアン喘いでいるのです。
ハブネークにとって、これほどの愉悦はありません。
「ハ、ハブネークぅ……」
名前を呼ぶザングース。快楽のせいなのか舌がうまく回っていません。
ザングースはいきなり私の頭をつかみました。
性の快楽にまみれたザングースの顔が目前に迫ります。
そして、強い圧力で二匹の唇がくっつきました。
「ン……!」
キスされた。それに気づくのには少々時間がかかりました。
一般的に想像される、ロマンチックな感じは全くない食らいつくような荒々しい口づけです。
口をこじ開けられ、熱い舌先で無理やりディープキスさせられました。
唾液が混ぜあわされるぐちゃりとした汚らしい音。
舌ベロを、無遠慮な力で吸引される。
舌を引き抜いたザングースは、口角を上げニヤリと笑いました。
口の端には鋭い犬歯が覗く。
まるで、『やってやったぞ』とでも言うような闘争心に満ちた表情です。
犯され、快楽に押し流されながらもザングースの瞳の底にはハブネークに対する敵愾心がしっかりと残っていました。
その眼を見た瞬間、私はわかりました。
このザングースは真の意味で敵なのだと。
力をぶつけ、技を競い、命尽きる瞬間まで戦い続ける。そんな強い絆につながれた敵なのだと。
心の中に奇妙な熱情が広がります。
私は、ヘミペニスをぐちゅぐちゅと音をさせてザングースの中で突き動かし、高まっていきます。
激しく脈打つ肉棒。猛烈な放出感がせりあがってきました。
私は、絞めつぶしてしまう程の力強さでザングースに巻きつきます。
ザングースの白く柔らかな肉体は、めらかな鱗に覆われた黒い胴体にぎゅうぎゅうに緊縛され、食い込んだ肉がこんもりと盛り上がっていました。
ヘミペニスが、最も深く打ち込まれます。
「ザングース、もう……出ます!」
「いいぜえ……来いよ。俺様の中にテメエの全部ぶちまけやがれ……!」
拒否するどころか、さらにこちらを煽ってくるザングース。
どこにそんな力が残っていたのか、ザングースは尻に力を入れて肛門をぎゅっと締めてきました。
ザングースの満月のように丸い尻が角ばり、中のヘミペニスを絞りました。
その刺激が、最後の引き金でした。
放出がついに始まります。
「クッ……! フゥッ……!」
私は愛しい怨敵の中に精をぶちまけました。
肛門に突き刺さった肉棒から、勢いよくドロドロの白濁が注がれていきます。
流れ込んでいく大量の精液は腸内に満ち、受けきれない分は肛門の接合部のから漏れ出てきました。
外に出ていた方のヘミペニスも、元気に射精をしています。
ふかふかの尻尾、ぷりぷりした尻。ザングースの下半身を外から白濁をぶっかけて徹底的に汚しました。
今や、ザングースの尻の中も外も私の精で白く染めらあげられてしまいました。
宿敵を汚してやったという事実に、奇妙な充実感を覚えました。
「フン。二回目だというのに、ずいぶん盛んだな。たっぷり、中出ししやがって」
よっと、掛け声をかけた後、ザングースは腰を上げました。
ヘミペニスで栓をされていたアナルが開け放たれ、中から生臭い精液がどぷりと零れます。
射精後のけだるい余韻に浸る私を見下ろし、好色な笑顔を浮かべます。
その表情は、笑うというより獲物に向かってキバをむくような、そんな攻撃的な印象を受けました。
「なら、条件を守ってもらうか」
ザングースに挿入する前、彼は一つの条件を提示しました。
残念なことに忘れていなかったようです。
その条件とは。
『俺様に入れるなら、後で俺様もテメエに入れさせろ』
というものでした。
やられっぱなしは嫌。
本当にザングースらしい条件です。
股間をいきり立たせたザングースは、私を組み敷きました。
体をひっくりかえされ、地面に仰向けに押さえつけられました。
逃げられないように、私の体を跨いで体重をかけてきました。
ザングースの一本しかない肉棒が、ヘミペニスをおさめていたスリットに肉薄します。
正常位に近い体勢です。
「なあなあ良いよな? ココ、マンコみてえだし。ここに入れても良いよな?」
息を荒くし、盛りの付いた様子のザングースが迫ってきます。
尻尾は、彼の興奮を示すかのようにバッサバサと揺られています。
「仕方ありませんねえ。これも約束ですし」
「よっしゃあ! じゃあさっそくブチこんでやるぜえ!」
ザングースは性急に挿入をしようとしています。
「ち、ちょっといきなりは……」
「うるせえ! さんざん好き勝手に俺様を犯したくせに文句言うんじゃねえ。黙ってヤられてろ」
そう言うと、ザングースは無遠慮に私を犯しました。
固く閉じた横割れのスリットを押し広げ、ザングースの熱い雄が侵入します。
二本のヘミペニスの間に突き立てられるザングースのモノ。
その質量と熱は私を体の芯からゆさぶりました。
「うっはー、やっぱテメエの中、すっげえ冷てえわ」
「う……文句があるなら、さっさと抜いたらどうです?」
「誰も文句なんか言ってないだろ? 冷たいマンコもひんやりしてて気持ち良いしな」
勝手なことを言う。そう一瞬思いましたが、すぐに考え事をしてる余裕はなくなります。
ザングースは、こちらの反応をうかがうこともせず、腰を振り始めました。
素早い腰の動きに合わせ、白くて丸い睾丸がぶりぶりと揺れました。
肌が叩きつけるように強くぶつかりあい、ぴたんぴたんと乾いた音が鳴り響きます。
慣らしも、相手に対する心遣いもない。自分が気持ちよくなるためだけの、自己中な攻め。
作戦もテクニックも無い、力任せの交尾。
彼の性格がよく出ています。
「フン……ずいぶんとゴリ押しですね。そんなのでは、メスにモテませんよ」
「ハッ! そんなこと言っておきながら、テメエも勃起してんじゃねえか。感じてるクセに文句言うんじゃねえよ」
私の上で、激しく上下に体を揺らしながらザングースは返しました。
彼の言葉は正しい。
宿敵に自分勝手に犯される屈辱感は、私に被虐的な興奮をもたらしました。
その証拠に、ヘミペニスは完全に硬度を回復し、スリットもぬめる組織液で満ちています。
我ながら、淫乱な体をしている。そう思いました。
二本のヘミペニスの間で激しく出し入れされるザングースのペニス。
三本の肉棒がにちゃにちゃと音をたてながらこすれ合います。
陰茎を擦り合わせる、兜合わせのような性感。
スリットを犯されるメスの性感。その二つが混ざり合って、滅茶苦茶な気持ち良さになって私を襲いました。
それだけではなく、ザングースのふかふかしたお腹が、ヘミペニスを擦ります。
ザングースが腰を振る度に、スリットにもヘミペニスにも途方もない快楽が叩き込まれていきます。
あっという間に、私は追い詰められていきました。
「ん……」
ザングースのお腹の下で、私は静かに絶頂を迎えました。
三度目ともなると、もう透明な精の残りかすがちょろりと漏れる程度です。
精を出し尽くし、ぐったりする私の上でザングースは貪欲に体を揺すりつづけています。
挿入するのに夢中で私がイッたことにも気づいていないようです。
白く丸みを帯びた肉体をまるで、叩きつけるな勢いでぶつけてくるザングース。
息を荒げ、よだれを垂らし、獣じみた唸り声をあげながら、ひたすらスリットに肉棒を出し入れしています。
雄の獣欲をむきだしたザングースの姿。
私の体を使って射精しようとする宿敵をぼんやりと見上げます。
ライバルに犯される屈辱感はありましたが、不思議と嫌悪感はさほど感じません。
「グウ……ハブネーク、出すぞ!」
しばらく、私の体の上で跳ねていたザングースが顔を一層強く歪めました。
彼の言うとおり、限界が近いのでしょう。
「フン、嫌だと言っても、どうせ中で出すのでしょう。好きにしなさい」
「ヘヘ、良くわかってんじゃねえか……」
ザングースは口の端を持ち上げると、私の体をぎゅっと抱きしめました。
まるで、ザングースが、私の体を抱き枕にしているような体勢です。
柔らかく、暖かなザングースの抱擁。
ふわふわで、ふかふかで、ぽかぽかした優しい感触。
不本意ですが、素直に気持ち良いと思ってしまいました。
「俺様の全部、受け取りやがれえ!」
ザングースは私の体をきつく抱きしめたまま、スリットをもっとも深く穿ちました。
絶頂を終えた、けだるい体に襲いかかる強烈な異物感に顔が歪みます。
きつく抱きしめられ、深く犯され、逃げられなくなった私の頬を、味見をするようにザングースの舌がぺろりと舐めました。
そして次の瞬間、ザングースは獣の咆哮をあげました。
「グゥウウウウウ!」
白い砲身から、とめどなく精液が注ぎ込まれてきます。
しっかりと結合したせいで、精は漏れることなくスリットの最奥へ流し込まれていきます。
熱くたぎるザングースの白濁。またたく間に、スリットを白濁で満たしていきます。
その熱は私を苛みます。
ザングースに、天敵に中出しされる屈辱感とそれにともなう被虐的な快感。
ザングースもそれを感じていたのでしょうか。
私に犯された仕返しをするかのように、ザングースは私の中で大量に射精しました。
「ふうー。出した出したー」
もう用は無いとばかりに、ザングースは乱雑にペニスをスリットから引き抜きます。
びちゃりと音をたてて、白濁がスリットから漏れました。
そのまま、ゴロンと寝転がります。
余韻を大事にするなんてこと、ザングースは全然考えていないようです。
相手がメスだったら、さぞかし嫌われるでしょうね。
まあ、私は全然気にしませんが。
「あー……つい勢いで交尾しちまったけどさあ……俺様たち捨てられっかもなあ」
「まあ、そうなっても、しょうがないでしょうね。手持ちのポケモンがホモなんて嫌でしょうし」
射精した後は、異様に頭が冴えます。
仲良くしろ、と言われましたけど、ここまでしろとは言われてませんしねえ。
野生に放りだされてもなんとか生きていく力はあるつもりです。
しかし、元の生息地以外の所に逃がされたら苦労するかもしれません。
これからの身の振り方をあれこれ考えていると、ザングースが意外なことを言いだしました。
「おい、ハブネーク。捨てられたらさあ、今度こそ全力でバトルしようぜ。誰にも邪魔されずにさ」
「え……」
「捨てられたとしても、テメエは俺様のライバルだ。逃がさねえから覚悟しろよ」
その言葉を聞いた瞬間、私は確信しました。
知らない土地に捨てられても、ザングースが居る限り、私に孤独は訪れないだろうと。
このザングースが私の目の前に敵として、必ず立ちはだかって来ますからねえ。
「それは私のセリフですよ。このキバと尻尾で、あなたを無様に地面に倒れさせてあげます」
「ハッ、できるもんならやってみな」
ザングースは屈託なく笑いました。それにつられて私も自然と笑顔になります。
不思議と心があたたかくなりました。
ザングースとはトモダチなんかじゃありませんし、仲良しでもありません。
互いに力を競い合う宿敵同士。
しかし、そういった奇妙な形ではありますが、
ハブネークとザングースの間には確かな絆が有るのでしょう。
「ふああ……ねみい……。出した後だからクソだりい。俺様はもう寝るぞ」
一方的に言うと、ザングースは仰向けになり手足を投げ出し目を閉じました。
大の字になったザングースはすぐに深い眠りについたようです。
くちを小さく開けて、規則的な寝息をたてました。
鋭い目が閉じられた寝顔は結構、可愛いかもしれません。
「まったく、無防備ですねえ。寝込みを襲われても知りませんよ」
言いながら、私はザングースの体を取り囲むように輪を作りました。
起きる様子が無いのを確認した後、ザングースの呼吸のたびに大きく膨れる腹にゆっくりと頭を乗せました。
柔らかく弾力のある、極上の腹マクラの感触は私を眠りに引きずりこんでいきました。
あの交尾からしばらく後、私たちはボックスから出されました。
ポケモンセンターの隅のパソコンの前に仁王立ちする、じゅくがえり。
彼女の顔は硬く引き締まっています。
いよいよ捨てられるのかと、覚悟していましたが……。
「ごめんなさい!」
じゅくがえりにいきなり謝られました。
その言葉は私たちにとって意外なものでした。
「元々仲悪い二匹を無理やり一緒にしたのはトレーナーである自分。
それなのに、責任を二匹に押し付けてボックスに閉じ込めるなんて卑怯だよね」
ぽつり、ぽつりと確かめるように語りかけるじゅくがえり。
私たちがボックスに入っている間、彼女なりに色々と考えたようです。
「でもあたしは、キミたちとまた一緒に頑張っていきたいの! お願い!」
再び、じゅくがえりがペコリと頭を下げました。
トレーナーとポケモンが距離を置いたことが、今回は良い方向に働いた……ということでしょうか。
「あ? つまり、俺様たちは……」
「捨てられない……ようですね。しばらく衣食住の心配はしなくても良さそうです」
「衣って……俺様たちは最初から、全裸じゃねえか!」
じゅくがえりから見れば、『グースグース!』『シャーシャー!』と言い合っているようにしか聞こえない下らないかけあい。
その鳴き声の応酬を、じゅくがえりは変に解釈したらしく。
「ありがとう、ハブネーク! ザングース! あたし、頑張るからね!」
私たちを二匹いっぺんに抱きしめました。
知らぬが仏とは、まさにこのことですね。
「ま、捨てられないなら、それで良いんじゃねえの?」
「ええ、そうですね。あなたとは長い付き合いになりそうです」
「言っとくが、馴れ合いはしねえぞ」
「こちらこそ」
じゅくがえりに抱きしめられながら、私たちはそんな会話を交わしました。
最後までザングースとは仲良くなることはありませんでした。
しかし、これで良いのでしょう。
不敵に笑う白い毛皮を持つライバルを見て、私はそう思いました。
「あ、あと言っとくけど……あたし結構、恋愛に寛大な方だから」
じゅくがえりはいきなり何を言い出すのでしょう。
「男の子同士で、エッチなことしてても全然気にしないし。そこらへんは自由にして良いから!」
思わず絶句してしまいました。
ポケモンセンターの騒音がやけにクリアに聞こえました。
「あ、あれはそういうのじゃねえぞ! ふざけんなよ、じゅくがえり! あれは……ただの性欲処理だ!」
「そうですよ! こんな自己中な獣に恋愛感情を抱くわけないでしょう!」
じゅくがえりの腕の中で鳴き声をあげて抗議する私たち。
「良いから良いから、照れなくって良いって。ハブネークとザングースって本当に仲良しだよねえ……」
じゅくがえりは、おだやかに笑っていました。
私たちは必死に鳴き声をあげて反論します。
しかし、最後までじゅくがえりに伝わりませんでした。
それどころか、一緒に鳴き声をあげる私たちを見て。
「本当に仲良しだね」
などと抜かしやがりました。
「だから違えよ!」
「違いますよ!」
私たち二匹の鳴き声の真意は、最後までじゅくがえりに伝わりませんでした。
「ハブネーク、ポイズンテール! ザングース、ブレイククロー!」
後ろから聞こえるじゅくがえりの指示。
私たちは、再びダブルバトルに挑んでいました。
今度は技をかける相手を間違えません。
隣の白い宿敵と共に対戦相手に向かっていきます。
最近は、じゅくがえりにザングースとバトル形式のトレーニングをさせて貰っています。
負けた方が、その日の夜で下になるので毎回気合いが入ります。
ザングースとのバトルの機会が、毎日ちゃんとあるというのは良いものです。
ですから……まあ、ダブルバトルの間だけは、ザングースと協力してやっても良いでしょう。
「遅れんなよ、ハブネーク!」
頼もしい宿敵の声に私は答えます。
「あなたこそ!」
私たちは共に対戦相手に立ち向かっていきました。
完