その日、ボクは下半身に妙な心地良さを感じて目を覚ました。 
 そして、寝床のほら穴の床にしいていたワラのじっとりとした湿り気を感じて 
血の気が引いた。 
「うわあ……もしかして……おねしょしちゃった!?」 
 眠気が一気に吹っ飛んで、心にずしりと重みがのしかかる。 
 ボクはまだ進化してないヒメグマだけど、おねしょする程子供じゃない。 
 その証拠に、お父さんとお母さんから親離れしてこうして立派に一人暮らしだって 
できてるんだ。 
 
「と、とにかく片付けよう……」 
 ボクは、汚してしまったワラを集めて、ほら穴の外へ捨てに行った。 
 それにしても……何だろう? 何かがおかしい。 
 ワラから漂う臭いは、おしっこのあのすっぱい臭いとは違う感じがする。 
 どこか甘くて生臭い不思議な臭い。 
 それに、ワラにこびりついているのは……何だろう? 
 普通、おしっこは黄色くてサラサラしてるはずなのに、ワラには白くてねばねばしたのがこびりついて 
糸を引いていた。 
 コレ、ボクの体から出たんだよね? 
 ドロドロしてるハチミツを食べすぎたから、おしっこもこんなドロドロになっちゃたのかな? 
 どうしよう…… 
 ボクは言い知れない不安を感じていた。 
 なんか嫌な感じだ。 
 でも、いつまでも一匹でうじうじしていてもしょうがないよね…… 
 トモダチと遊びに行って、全部忘れちゃおう! 
「えい!」 
 ほら穴の外に濡れたワラを投げ捨てると、風に飛ばされて空に消えていった。 
 その様子を見ていると、ボクの中のもやもやした不安も一緒に消えていくような気がした。 
 
「おーい! クマシュン! ヤンチャム!」 
 両手にたくさんの木の実を抱え、ボクはいつも遊び場にしてる湖のほとりにやって来た。 
 そこには、クマシュンとヤンチャム。二匹のポケモンが既に居た。 
 ヤンチャムは地面に手をついて、湖面を真剣な表情で見つめている。 
 クマシュンはそんな彼の様子を隣で見ながらぼんやりとしている。 
 ここは静かな森の奥に、ひっそりと佇む小さな湖。 
 柔らかく暖かい木漏れ日が、水面にキラキラと反射して見ていると、心が落ち着く。 
 ここはボクたちだけの秘密の遊び場なのだ。 
 
「やあヒメグマ。そのきのみは……やっぱりもらい物?」 
 鼻水を垂らした、シロクマの子供みたいなポケモンが話しかけてきた。 
 この子は、クマシュン。ボクのトモダチだ。 
「うん。近所のおばさんがくれたんだ! 一緒に食べよう」 
 ボクは口を大きく開けてにっこりと笑った。 
 クマシュンの言うとおり、この木の実はここに来る途中で、貰ったものだ。 
 どうして、おばさんって子供に食べ物あげるのがこんなに好きなんだろうね。 
 まあ、ボクは嬉しいから良いけど。 
 周りの大人は、『かわいいね』って言って、いつもボクの頭を撫でて可愛がってくれるんだ。 
 でも、それはボクがまだ進化していないからなんだろうな。  
 
「もう……ちゃんと自分で食べ物取るようにしないと大人になった時困るよ」 
 クマシュンはボクと大して歳が変わらないはずなのに、やけに大人ぶったこと言うんだよね。 
 鼻水垂れてる小僧のくせにさ。 
「むぅ。ボクはまだ子供だもん」 
 ボクは頬っぺたをふくらませてそっぽを向いた。 
「あーあ、大人たちは、みんなヒメグマのぶりっ子にだまされちゃうんだよなあ」 
「ボ、ボクはぶりっ子なんかじゃないよ!」 
「ふーん、そうなんだ」 
 クマシュンの言葉にはは心がこもっていない感じ。 
 受け流したと丸わかりだ。 
 クマシュンはズビビと音をたてて鼻水をすすった後、一呼吸おいてから話始める。 
 
「今はそれで良いかもしれないけど、大きくなったらそういう喋り方やめた方が良いよ」 
「お、大きなお世話だよ! それにクマシュンだって、鼻をすするの汚いからやめたら?」 
「これは僕の種族としての宿命だからしょうがない」 
「何がシュゾクとしてのシュクメーだよ!」 
「君だって、ハチミツの味がしみついた指を気が付くとしゃぶってるじゃないか。赤ちゃんみたいに。お互いさまだよ」 
 そう言い返されて、はっとした。 
 今、まさに指をくわえていたところだったからだ。 
 ボクの指先にはハチミツが染みついていて、舐めるとおいしいから、ついしゃぶっちゃうんだよね。 
 やっぱり、口ゲンカでクマシュンに勝てるわけないか。 
  
 それに、クマシュンの言ってることはきっと正しい。 
 周りの大人で、ボクみたいな喋り方や振る舞いをしてるポケモンは居ないしね。 
 大きくなったら、やっぱそれに合わせた態度に変えないといけないのかも。 
 今から練習しておこうかな…… 
 でも、そんな先の話よりも今気になっているのは……。 
 
「ねえ、ヤンチャムはさっきから何やってるの?」 
 ボクとクマシュンの会話など、耳に入らないかのようにヤンチャムは無言で湖を見つめ続けている。 
 耳をすますと、ぶつぶつと何やらつぶやいている。 
 
「オイラの顔は怖い……オイラの顔は怖い……」 
 このアブない感じの発言をしてるのはヤンチャム。 
 パンダの子供みたいな姿のポケモンで、いつも緑色の葉っぱをくわえてイキがっている。 
 ヤンチャムもクマシュンと同じで、ボクのトモダチだ。 
 良く見ると、ヤンチャムはただ湖を見てるだけじゃないようだ。 
 いかつい目つきをしたり、口を大きく開けて八重歯を見せたりしている。 
 
「怖い顔の練習……だ、そうだよ」 
 クマシュンが呆れたような様子で説明してくれた。 
 まさかとは思ったが、やっぱりそうか…… 
 ヤンチャムって根は良い子なのに、なぜか悪い子のふりをしようとしてるんだよね。 
 ヤンチャムの涙ぐましい努力は認めるけど、このままじゃみんなで遊べない。 
 だから、ボクはヤンチャムにこう話しかけたんだ。  
 
「ヤンチャム、怖い顔の練習なんてしたって無駄だよ」 
 その一言は、ヤンチャムにとってひどく腹の立つ内容だったようだ。 
「なんだと! どうして無駄だ、なんて言うんだよ!?」 
 がばりと立ち上がり、顔を傾け、こちらを斜め下から見上げるような形で睨みつけてくる。 
 これでは、まるでチビッコギャングだ。 
 でも、そんなヤンチャムの様子にもボクはひるまない。 
  
「だって、ヤンチャム可愛いじゃん」 
「な……!? 可愛い……だと!」 
 ヤンチャムは目を丸くし、言葉を失う程驚いた様子を見せた。 
 だがすぐに、気をとりなおし、またいかつい目つきをする。 
 
「おうおう! どういう了見でえ! オイラは男の中の男だ! そのオイラを指して可愛いとか抜かしやがって!」 
 ヤンチャムは腕を組んで、がなり立てた。 
 相当、頭にきたようだ。 
 可愛いって言われたのが、そんなに嫌だったのかな。 
 ボクは可愛いって言われるのは嬉しいけど。 
 
「ま、確かにヤンチャムは可愛いかもね」 
 ゆらりと揺れた鼻水の向こうに、歪んだ口元。 
 クマシュンはこの状況を楽しんでいるようだ。 
 まあそれは、ボクも同じなんだけど。 
 ボクはクマシュンに目配せをして合図をする。 
 クマシュンはボクの意図がわかったようで、うなずいた後でいたずらっぽく笑った。 
  
「お、おいお前ら……ナニする気だ!」 
 ボクとクマシュンの様子に不穏なモノを感じたのか、ヤンチャムは動揺した表情であとずさりする。 
 ボクとクマシュンは、両手を上げてヤンチャムを追い詰める。 
「こうする気だよ!」 
 ボクとクマシュンは一斉にヤンチャムにとびかかった。 
「や、やめろおおおお!」 
 絶叫するヤンチャム。 
 そんな彼の様子など、気にもとめずボクとクマシュンはヤンチャムの頭を撫でた。 
 撫でて、撫でて、撫でくりまわした。 
 頭のてっぺんでソフトモヒカンみたいに立っているヤンチャムの白い毛がぐしゃぐしゃに 
かき回される。 
「う、嬉しくねえぞ! 別に撫でられたからといって、嬉しくなんかないんだからな!」 
 そんな言葉と裏腹に、ヤンチャムの顔はにやけていた。 
 
 
「チックショー……お前ら覚えてろよ! いつか絶対、仕返ししてやるからな! 特にヒメグマ!」 
 さんざん撫で回された後、ヤンチャムは憎まれ口を叩いた。 
 いまだ、怒りのおさまらない様子のヤンチャムにクマシュンが語りかける。 
「でも、嫌だったら抵抗できたよね? 僕は氷、ヒメグマはノーマル。君は格闘タイプだろ?」 
 格闘は氷とノーマルに強い。 
 ボクもクマシュンも、タイプの相性ではヤンチャムにはかなわないのだ。 
 本気でケンカになったら二匹がかりでもヤンチャムにこてんぱんにされていただろう。 
「オ、オイラは男の中の男だぞ! お前らみたいな弱っちい奴をいじめたりなんかしねえんだよ!」 
 ヤンチャムは恥ずかしそうにして、そっぽを向いてしまった。 
 さすがに可哀そうになってきた。 
 ここでやめにしてあげよう。 
 
「ねえ、そんなことより朝ごはんまだ食べてないでしょ? 一緒にきのみ食べようよ」 
 ボクはクマシュンとヤンチャムにきのみを差し出した。 
 一匹で食べるより、みんなで食べる方がおいしいよね。 
「おお、ありがとなヒメグマ。今度、お返しに笹持ってきてやるよ」 
「いや、ボクは笹の葉食べられないからいらないよ……」 
 ヤンチャムは笹の葉が大好物で良く食べてるんだけど、アレは硬くて苦くてボクにはとうてい食べられない。 
 
「なら、今度は僕がみんなにごちそうするよ。おいしいんだよね、タマザラシの……」 
「わー! ダメー! それ以上言っちゃダメー!」 
 ボクは慌ててクマシュンの口をふさいだ。 
 べちゃりと鼻水が手にくっついた嫌な感触がした。 
 あ、後で手を洗わなくちゃ…… 
 ボクたちは湖で手洗いをした後、みんなで木の実を一緒に食べた。 
   
「ふー、お腹いっぱい……」 
 きのみで膨れた丸いお腹をさする。 
 クマシュンもヤンチャムも満腹感を味わってるのか、深く息を吐いている。 
 ちょっと食べ過ぎちゃったかな…… 
 いつもは朝ごはん食べた後は、すぐに追いかけっことかバトルごっことかしに遊びに行く。 
 でも、体が重くてなんか動く気にならないなあ。 
 
 ……そうだ、朝のことをこの二匹に相談してみようかな。 
「ねえクマシュン、ヤンチャム。ちょっと聞いてほしいことあるんだけど、誰にも言わないって約束してくれる?」 
「おう、言ってみろ! 心配しなくてもオイラは秘密は守るぞ。男の約束だ。おまえもそうだろ、クマシュン?」 
 ヤンチャムは腕組みをして堂々と宣言した。 
「うん、そうだね。僕も秘密は守ると約束するよ。もし、約束を破ったらお詫びにタマザラシの……」 
「わー! いらない! そんなのいらないよ!」 
 ボクは大声を出して、クマシュンの言葉をさえぎった。 
 ……とにかく、二匹とも秘密にしてくれるそうだ。 
 ちょっと恥ずかしいけど、この二匹になら信じて話すことができそうだ。 
 
「で、言いたいことって何なんだよ?」 
 ヤンチャムの言葉に、ボクは少しまごつきながら答えた。 
「あのね……実は、ボク今日……お、おねしょ……しちゃったんだよね」 
 場の空気が一瞬固まって、痛いくらいの沈黙が訪れる。 
 風に揺れる木々が葉っぱをこすりり合わせる、ザーという音がやけに耳についた。 
 うう……笑われるよりマシだけど、無反応っていうのも結構困るなあ。 
 そんなことを考えていると、クマシュンが口を開いた。 
「気にすることないよヒメグマ。体の成長速度はみんな違うんだし。 
寝る前に水を飲まないようにしていれば、そのうち自然に治るよ」 
「そ、それだけじゃないんだよクマシュン。おねしょしたときに出た、おしっこが何ていうか……変なんだ」 
「変って、具体的にはどういう風に?」 
「うまく言えないけど……なんか白くてねばねばしてて変なにおいで……。ハチミツの舐めすぎなのかなあ」 
 ボクの言葉を聞いたクマシュンは、何もない空中をしばらく見つめた後、ズズッと音をたてて鼻をすすった。 
 
「オイラ思うんだけどよ……それ、ハチミツの食べ過ぎじゃないと思うぞ」 
 ヤンチャムが口を開く。 
「え? どういうこと?」 
 ボクは首をひねる。 
「だってオイラ、ハチミツなんか食べない笹中心のヘルシーな食生活だけど……そういう小便が出るし」 
 笹ばっかり食べるのって、ヘルシーなのかな…… 
 ってそうじゃない。それより大事なことをヤンチャムは言っていたはずだ。 
  
「え? ヤンチャムも……そうなの?」 
「おう……恥ずかしい話だけどよ。最近、たまに寝小便しちまうんだ。ヒメグマと同じような変なやつ」 
 ヤンチャムはポリポリと頬をかきながら目をそらす。 
 ヤンチャムはおねしょの悩みをボクたちに話すことができず、一匹で悩んでいたようだ。 
 ボクが相談したから、ようやく話せるようになったんだろう。 
 もう、水くさいなあ。 
 でも、ボクだけじゃないとわかってちょっと安心したかも。 
 うーん、でも何も解決してないよね。 
 原因も対処法もわかんないわけだし…… 
 どうしよう。ボクは頭をかかえてしまった。 
 うんうん唸って悩んでいると、ひときわ大きな鼻水をすするおとがズズッと鳴ったのが聞こえた。 
 
「それ、おねしょじゃないよ。夢精って言うんだよ」 
 クマシュンは何かを知っているようだ。 
 でも、何を言っているんだろう? 
「え? ムセーって何? ボクはむさくないよ。むしろ、可愛いよ」 
「いや、だから夢精だよヒメグマ。というか、自分のこと何の屈託もなく可愛いって言うのやめてよ。なんか疲れる」 
 クマシュンは、ため息をついた。 
 
「オイラはむせえ男だぞ」 
 ヤンチャムは男臭い男に憧れてるんだよね。 
 今はその憧れとは程遠い外見してるけど。 
「いや、ヤンチャム。『むせえ』じゃなくて夢精だから。っていうか二匹してボケるのやめてよ……」 
 クマシュン上を向くと、またズズっと鼻をすすった。 
 ボクたちの相手をしているうちに疲れたのか、氷でできている鼻水がちょっと水っぽくなっていた。 
 
「ヒメグマとヤンチャムから出たのは尿じゃなくて精液なんだよ。 
それが体の中にいっぱい貯まっちゃって、寝てる間に漏れちゃうのが夢精って言うんだよ。わかったかい?」 
 クマシュンは、ちょっと呆れたような様子で教えてくれた。 
 
「せ、精液って……お前……」 
 ヤンチャムは恥ずかしそうに目を伏せた。 
「あれ? 精液も知らないのかな? タマゴを作る為には大人の雄が大人の雌に……」 
「そ、それくらい知ってるぞ! だよな、ヒメグマ!」 
「うん。なんとなく……だけどね」 
 ワラに付いてたアレ、おしっこじゃなかったんだ…… 
 とりあえず、病気じゃなくて良かった。 
 ハチミツ中心の食生活も改善しなくて良いんだもんね。 
 
「ヒメグマもヤンチャムも体が大人になったってことだよ。もう雌とつがいになれば、タマゴができるよ」 
 クマシュンのやけに冷静な言葉が、胸に染み込む。 
 体が大人とか、雌とつがいとか、タマゴができるとか……そんなこともっとずっと先のことだと思ってた。 
 
「なんか……怖いね」 
 気が付くとそんな言葉が口をついて出てきた。 
「怖い? どうしたんだよ、ヒメグマ?」 
 ヤンチャムが心配しているような表情でボクを見つめる。 
「そうだよヒメグマ。これは自然なことなんだ。何も怖がることないよ」 
 クマシュンは鼻が垂れてるくせに、本当に冷静だ。 
 
「そうなんだけどさ。ボク、まだまだ子供だと思ってたから。ほら、進化だってまだしてないし」 
「進化と体の成熟は関係ないよ。ヒメグマ、君はもう大人になったんだよ」 
「だから! ボクはまだ子供だって言ってるだろお!」 
 気が付くと、ボクは絶叫していた。 
 どうしよう、こんなこと言っちゃいけないってわかってるのに……口が止まんないよ。 
 
「ボクはまだ子供なんだ。子供でいたいんだ。 
 可愛いって言われたいし、頭を撫でられたいし、美味しいものだっていっぱい貰いたい。 
 トモダチともいっぱい遊びたい。 
 それなのに、もう大人とか何なんだよ!」 
 口にしてはじめてわかった。  
 自分の中にこんな感情があることを。 
 ボクは恐れていたんだ。 
 楽しいボクの子供時代。それが徐々に擦り切れて、なくなってしまうことを。 
「嫌だ……嫌だよ。大人になんかなりたくないよ……」 
 目から自然と涙が出る。 
 体から震えが止まらない。 
 目の前が真っ暗になって、怖くて怖くてしょうがない。 
 
 
「バカヤロー!」 
 ヤンチャムの怒号と共に、頬に強い衝撃。 
 頬にじんじんとした痛みと熱を感じて、はじめてヤンチャムに殴られたと気付いた。 
「ヤンチャム……何するのさ。お父さんにも殴られたことないのに……」 
「うるせえ! 男のクセにうじうじすんじゃねえ!」 
 ヤンチャムはペッと唾を吐いた。 
 
「まあまあ、ヤンチャム。そのくらいにしておきなよ」 
 クマシュンがヤンチャムをなだめた。 
「ねえ、ヒメグマ。大人になるのもそんなに悪いことばかりじゃないと思うよ」 
「え?」 
「僕は大人になりたいな。進化だってしたい。いつまでも、鼻水垂らしてるのも嫌だしね。 
鼻をすする音も耳触りだろうし」 
 クマシュン……気にしてたのかな。 
「オイラも大人になって、進化したいぞ。この体じゃ、にらんでもイマイチ迫力がねえんだよ」 
 ヤンチャム……自覚があったんだ。 
「でも、ボク……進化すると可愛くなくなっちゃうんだよ。今はこんなに可愛いのに! 
そしたら、みんなボクのことちやほやしてくれなくなっちゃうよ!」 
 ボクの悲痛な叫びが湖畔にこだました。 
 しばしの沈黙。 
 ズズッとまた鼻をすする音が鳴った後、クマシュンが口を開いた。 
「ヤンチャム、もう一発ヒメグマを殴っても良いよ」 
「まかせとけ!」 
「うわー! やめて! やめて! もう殴らないでー!」 
 ボクは必死にヤンチャムとクマシュンを制止した。 
 おっかしいな。さっきまで、シリアスな話してたと思ってたのに。 
 気が付くと、ボクの体の震えは止まっていた。 
 クマシュンとヤンチャムと話をしたせいかもしれない。 
 
「ったく……いつまでも可愛いって言われてちやほやされたいとか、男としてもプライドはねえのかよ……」 
 ヤンチャムは舌打ちした。 
「無いよ!」 
 ボクは即答する。 
「断言したね。流氷にのまれれば良いと思うよ」 
 クマシュンは刺すような冷たい視線をボクに向けている。 
  
「まあ……でも進化して姿が変わったら周りの目が変わるってあるかもな」 
 ヤンチャムの言葉に、ボクは無言でうなずいた。 
 見た目が全てじゃない。性格が大事。 
 ボクはそんなの信じてないんだ。 
 やっぱり、見た目が可愛い方が得をする。 
 
 
「でも、オイラとクマシュンは変わんねえぞ。進化してもトモダチだ。そうだよな、クマシュン」 
「うん。多分、そうだと思うよ」  
 クマシュン……そこは断言してほしかったな。 
 でも、まあいいか。 
 ヤンチャムとクマシュンと一緒になら、大人ってやつも楽しいかもしれない。 
 
「ありがとう、ヤンチャム、クマシュン。キミたちが一緒ならボク、怖くない。もう大丈夫だよ」 
 この可愛らしい姿を失うのは惜しいけど、いつまでもこのままってわけにはいかないしね。 
 
「おう、そうか。これで全部解決だな」 
 ヤンチャムは歯を見せてニカッと笑った。 
「いや、全部は……解決してないかな」 
 クマシュンは暗い声色で言ったあと、ズズーッと強く鼻をすすった。 
「あ? 解決してない問題なんかあったか?」 
「ある。えーっと……これ、すごく質問する僕もすごく恥ずかしいんだけどね」 
 いつも冷静でズバズバ本音を言うクマシュンが珍しく口ごもった。 
 目が泳いでいて落ち着きが無い。 
 どうしたんだろう? 
 そう思ったけど、ボクは口を挟まず黙ってクマシュンの言葉を待った 
 
「さっきの夢精のことなんだけどね……夢精しない方法があるんだけど」 
「何!? 知ってるのか、クマシュン!」 
 せっかく僕が黙ってるのに、ヤンチャムが大声をあげた。 
 でも、仕方ないことなのかも。 
 夢精がおねしょじゃないにしても、このままだと寝床を汚してしまうことには変わりない。 
 事前に予防できるなら、それにこしたことはない。 
 
「うん。夢精を防ぐためにはね、体の中にたまった精液を外に出せば良いんだよ」 
 クマシュンはゆっくりと言葉を紡ぐ。 
「つまり、雌と交尾するってこと? ヤダー、ボクまだ独身生活を満喫したいよー。養いたくないよー」 
 ボクはイヤイヤと首を振った。 
「お、お前……最低な発言だな。最も低いぜ……」 
 ヤンチャムは顔をひきつらせている。 
「でもよぉ……雌と交尾っていっても、オイラ……その……まだ好きな子とか居ないし。よくわかんねえよ」 
 ヤンチャム、初恋まだだったんだ。 
 まあボクも似たようなもんだけどね。 
 女の子の話するより、クマシュンやヤンチャムと遊んでる方が楽しいし。 
 
「大丈夫だよ、ヤンチャム! ボクたちは雄なんだよ。別に好きな子が相手じゃなくても交尾できるさ!」 
「お、お前最低だな! つーか、お前みたいな奴と交尾してくれる雌なんていねえよ!」 
「えー、居ると思うけどなあ。こうやって、うるんだ瞳でー、指をくわえてー、首をちょっとかしげてー」 
 ボクは自分で一番可愛いと思うポーズをとった。 
「お姉さん、ボク教えて欲しいんだ……とか言えば、ショタコンのお姉さんが簡単に……」 
 言い終わる前に、ヤンチャムが容赦なくボクの頬をぶん殴った。 
「ぶぎゃ! やめて! 顔はやめて!」 
 ボクは自分の顔の前で腕を交差して、必死にボクの可愛い顔を守った。 
「お前なあ……」 
 まだ怒りが収まらないのか、ヤンチャムは下を向いて腕をぷるぷるさせている。 
 やばい。 
 二撃目のパンチが来そうだ。 
 
「えっと……話を続けて良い?」 
 クマシュンが困惑した様子で話しかける。 
「はい、聞きます! 聞かせていただきます! そうだよね? ヤンチャム」 
 この機を逃すわけにはいかない。 
 ボクはヤンチャムの怒りをそらすため、話題を強引に変えた。 
 ヤンチャムは、大して迫力が無い顔でにらみつけているが、一応こくりと頷いた。 
 ふう……助かった。 
 ヤンチャムは変に真面目なところがあるからなあ…… 
 ボクはじんじんと痛む頬をさすった。 
 
「ヤンチャムの言うとおり、そう都合よくいつでも交尾できる雌が居るわけないんだ」 
 ボクは余計な口を挟まずに、黙って話を聞く。 
 変なこと言うと、またヤンチャムに殴られちゃいそうだ。 
 ヤンチャムの鋭い視線が初めて怖いと感じた。 
「だから、自分で……その……処理するんだよ」 
 語尾の方はもうゴニョゴニョ言ってて良く聞き取れない。 
 
「おい、クマシュン。その処理って具体的にどうやるんだよ?」 
 ヤンチャムは興味しんしんって感じだ。 
 まあ、ボクはクマシュンの言ってることが何となく想像できたけど。 
 多分、アレのことだよね。やったことないけど、ボクも知ってるよ。 
「ボクも知らなーい。ねえ、教えてよー、クマシュン」 
 ボクはとびっきりの笑顔をクマシュンに向けた。 
 クマシュンには悪いけど、クマシュンをからかえる状況なんてほとんどないしね。 
 
「えっと……その……お……おな……」 
「お? お、何だって? もっと大きな声で言って欲しいなあ」 
 ボクは耳に手をあてて、クマシュンの声を聞くおおげさなポーズをとった。 
 目をらんらんと輝かせるヤンチャム。 
 わざとらしく質問するボク。 
 下を向いて、鼻水をぶらぶらさせているクマシュン。 
 具合が悪いのか、鼻水を構成する氷が溶けかかって水っぽくなっている。 
 このままだと地面についちゃいそうだ。 
 クマシュンはしばらくモゴモゴと口を動かした後、唐突に顔を上げた。 
 勢いのついた鼻水が、ボクの可愛い顔にくっついた。 
 うわっばっちい。でもそんなことを考えてる余裕はすぐになくなる。 
 
「だ、か、ら。オナニーだよ! オナニー! 自分でちんちんこすって精液出すの!」 
 クマシュンの絶叫の後、痛い沈黙が訪れた。 
 クマシュンの目には涙がたまっている。 
 ちょっとイジめすぎちゃったかな…… 
 明日、とっておきのハチミツをごちそうしてあげよう。 
 
「えーと……自分のチンコいじると精液出るのか? 小便じゃなくて? 本当に?」 
 ヤンチャムはまだ納得がいかないらしく、質問を重ねる。 
「そうだよ。僕も恥ずかしいんだから、何度も言わせないでよ……」 
 クマシュンはボクらから目をそらす。 
 本当に恥ずかしかったんだな。  
 クマシュンの様子を見て察したのか、ヤンチャムはそれ以上の質問を控えた。 
 でも、いまひとつ良くわかってないようで、さかんに首をかしげている。 
 
「ねえ、ヤンチャム。まだ良くわかんない?」 
「ああ。言ってることはわかんだけど、イマイチ実感がねえんだよなあ。 
チンコいじったら普通、小便したくなるだろ」 
 ボクは知識としてオナニーを知っているけど、実際のところは良くわかんない。 
 その意味で、ヤンチャムと同じ立場だろう。 
 うーん、でもこれ以上クマシュンに聞くのはかわいそうだし…… 
 自分の指をしゃぶりながら、ボクは考え込んだ。 
 甘い味が舌の上に広がると、自然と頭が冴えたような気になる。 
 実際、効果があったようで、一つのアイデアがボクの頭に浮かんだ。 
 
「そうだ! ここでみんなでやってみれば良いんだよ!」 
 ボクはにこりと笑って提案した。 
「ええええええええ!」 
 ヤンチャムの口が大きくあいたせいで、くわえてる緑の葉っぱがはらりと落ちた。 
 すぐにそれに気づいて、ヤンチャムはいそいそと落ちた葉っぱを拾ったまたくわえた。 
 クマシュンは、自分の顔に鼻水がついちゃったみたいで急いで顔を洗いに湖に向かった。 
 ばしゃばしゃと水しぶきをあげて、顔を洗っている。 
 しばらくあの湖で泳ぐのはよそう。 
 
「お、おい。お前……本気で言ってるのか?」 
 ヤンチャムはひどく動揺している。 
 何度も葉っぱを落としては、くわえ直しをしている。 
「そ、そうだよ……さすがにそれはまずいって……」 
 顔を洗ったばかりだというのに、クマシュンの鼻から新しい鼻水がぶらんと垂れさがっている。 
「えー、何で? おちんちんならもう見てるし良いじゃん。連れションした時とかさ。 
おしっこしてるとこも見ちゃってるし、それが精液に変わるだけだよ」 
 ボクたちは長いつきあい。 
 お互いに秘密がまったく無いわけじゃないけど、色んなことを一緒にやってきた。 
 これだって一緒だよ。 
 いや、違うか。ボクは一緒が良いと思ってるんだ。 
 
「でもよお……」 
「ねえ……」 
 ヤンチャムとクマシュンはまだ戸惑っている。 
 まあ無理もないか。 
 しょうがない。こういう時は、言葉じゃなくて行動で示すことにしよう。 
 ボクはおもむろに、足を投げ出して座った。 
「えい!」 
 ボクは、両手で自分のおちんちんを無造作に握った。 
 変に力が入っていたせいで、鈍い痛みを感じる。 
「お、おい何してるんだよ!」 
 ヤンチャムはあんぐりと口をあけた。 
 あ、また葉っぱが落ちた。 
「えへへ……オナニーだよ。やり方わかったら、ヤンチャムに教えてあげるからね」 
 ボクは両手で握ったおちんちんを上下に揺する。 
 うーん、気持ち良くなるって話だけど……今は痛いだけだなあ。 
 やり方が違うのかな? 
 ヤンチャムは、おちんちんをいじるボクを驚愕の表情で見つめている。 
 でも、しばらくすると何かを決意したようにきりりと顔を引き締める。 
 
「バカヤロウ……お前だけにやらせるかよ」 
 ボクの隣にウンコ座りして、右手で乱雑におちんちんをいじり始めた。 
 やはりうまくいかないようで、痛そうな表情をしている。 
 えへへ……でもなんか嬉しいや。 
 
「まったく……僕のトモダチは変態ばっかだね。僕も含めてだけど」 
 クマシュンもボクの隣にきて、膝立ちになって腰をゆすりながらおちんちんをこすりだした。 
 でも、おかしいな。クマシュンはやり方知ってるはずなのに、その表情は硬い。 
 あまり気持ち良くなさそうだ。 
 
「僕もなんだ……」 
 クマシュンが手を動かしながら、ぽつりと呟いた。 
「僕も……夢精してた……」 
「え?」 
 ぼんやりとクマシュンを見る。 
「オナニーしたけど、うまく射精までいけなくてさ」 
「なら、知識だけかよ!?」 
 ヤンチャムが大声をあげる。 
 クマシュンは気まずそうだ。 
「まあ良いじゃない。三匹がかりなら、きっとやり方わかるよ」 
 ボクはだらしなく笑った。 
 うーん、ちょっと腕が疲れてきたなあ。 
 こんなに強くやってるのに、何も体に変化が無いや。 
 
「最初は弱く……だんだん強くしていくんだよ」 
 クマシュンがアドバイスをくれた。 
 ボクとヤンチャムは無言でそれに従う。 
 アドバイスの効果はあった。 
 どうやら力が強すぎたらしい。 
 自分なりに、適切な力加減というのをボクは探り出した。 
 
 ボクの股にある小さなおちんちん。 
 小ぶりな二つの玉の上に、これまた小さな棒がちょこんとくっついている。 
 お父さんのと比べると、本当に棒も玉も小さい未熟なおちんちんだ。  
 棒の先端までボクの体毛と同じ茶色い皮がすっぽりと覆っていて、余った皮が先っぽで固まっている。 
 ボクは皮を掴んで、ずらし、中身をぐじゅぐじゅとかき混ぜる。 
 その刺激に、体が反応してふにゃふにゃだったおちんちんに芯が通り始める。 
 徐々に強く、そして速くしていく。 
 それをしばらく続けていくと、おちんちんはぷっくりと膨らみ、ピーンと硬くなった。 
 おちんちんの中から、なんというか……おしっこが貯まっているような感覚がする。 
 これが気持ち良いってことなのかな。良くわかんない。 
 でも、そこまで。そこから先は、どんなにおちんちんを触ってもいけなかった。 
 ただ、おちんちんが硬くなって、おしっこがしたいような弱い感覚が続くだけ。 
 多分、クマシュンが言ってた『最後までいけなかった』ってこういう状態のことなんだろうな。 
 腕が疲れちゃった。おちんちんもいじり過ぎてなんか痛い。 
 ボクは何かの参考にならないかと、他の二匹の様子を盗み見る。 
 
「う……はあ……クソッ」 
 ヤンチャムは荒く息を吐きながら、ウンコ座りでゴシゴシとおちんちんをしごいている。 
 いつも男らしさを心掛けているヤンチャムらしく、荒々しいオナニーの仕方だ。 
 足を大きく開いて、肉球のついた右手で大きくストロークをつけてパワフルにこすっている。 
 ヤンチャムのおちんちんは体の下半分と同じ黒の皮に覆われている。 
 コロコロとした黒い金玉の上に、ちっちゃなコドモのおちんちんが乗っている。 
 金玉はボクよりちょっと大きいかも。 
 でもそれば、ボクと比べてというだけで大人たちのモノより格段に小さい。 
 
「ン……フゥ……」 
 クマシュンは息を殺しながら、膝立ちでおちんちんを触っている。 
 いつも落ち着いているクマシュンらしく、丁寧な手つきだ。 
 柔らかい手つきで、おちんちん全体を包み込んでいる。 
 おちんちんだけでなく、金玉にもマッサージするように指が絡みついている。 
 クマシュンのおちんちんは、やはり彼の体毛と同じ白。 
 寒い地域でも生きていけるように、フワフワで真っ白な体毛に覆われた金玉はものすごく柔らかそうだ。 
 大きさは……うん、長さはクマシュンが上だね。これだけは認めるよ。 
 オナニーを先にしたせいなのか、白い包皮に覆われたおちんちんの先っぽにピンク色の中身が見える。 
 触ると痛いのか、クマシュンは絶対にそこには手を触れないけど。 
 
 二匹ともボクと同じ状態のようだ。 
 勃起できても、そこから先にいけず停滞している。 
 うーん、なかなか難しいなあ。 
 でも、ちょっと安心した。 
 ボクの勃起したおちんちんは他の二匹より格段に小さいってわけじゃないみたいで。 
 えーと……クマシュンのは長いけど太さはヤンチャムの方が…… 
 
「おい、何見てんだよ?」 
 ヤンチャムがにやりと笑った。 
「変態……だね」 
 クマシュンの口の端が持ち上がる。 
 あれ? 見てるの気づかれちゃった。 
 でも、別に怒ってるわけじゃないみたい。 
 二匹の視線が突き刺さる。視線をたどると、ボクの股間を見ているようだ。 
 ああ、そうか。 
 ボクが二匹のを見ているように、ヤンチャムとクマシュンもボクのを見ているのか。 
 そんな、当たり前のことを自覚した時胸がゾクリと震えた。 
 おちんちんがぷくりと膨れ、透明な液が先端の皮を濡らした。 
「あれ? なにこれ? おしっこじゃない?」 
 もしかして、これが精液じゃないかと一瞬思ったがすぐに違うとわかった。 
 色が違うもんね。アレは白かったし。 
 
「先走りだよ。がまん汁とも言うかな。精液出る前の準備みたいな感じで出るモノだよ」 
 クマシュンが教えてくれた。 
「へえ、ヒメグマが一番乗りかよ。どうやったんだよ。教えろよ」 
 ヤンチャムがニヤニや笑いながら聞いてくる。 
 
「そんなのわかんないよぉ……クマシュンとヤンチャムに見られてるって思ったら何か出てきたんだよ……」 
 気がつくとボクの胸は高鳴り、息も乱れていた。 
 おちんちんの中に感じる水っぽい感覚も強くなっている。 
 おちんちんの中に水が渦巻いて、ズクズクと痺れるような感触。 
 未知の体験に、戸惑いつつ魅せられてしまう。 
 
「え? 見られてって……確かに見せ合いっこしてるけどよお……なんか今さら恥ずかしく……あっ……何か……変」 
「ぼ、僕も……みんなの見てたらなんか……」 
 ヤンチャムとクマシュンもこちら側に来たようだ。 
 ぼんやりとした表情になって、一心不乱におちんちんをしごき続ける。 
 最初は皮膚がこすれる乾いた音しかしなかったのに、徐々に水音が混じり始めた。 
 三匹の小熊が発する自慰の音。グッチョグッチョというやけに卑猥な水音が静かな湖畔で混じり合う。 
 ボクたちはお互いのおちんちんを見ながら自慰にはげむ。 
 見たいという好奇心。見られるという羞恥心。 
 いつも仲良く遊んでるトモダチが性的に乱れる様子。 
 いまだ、雌に対する愛を知らないボクたちの心に強烈な熱を伴って焼き付けられた。 
 そして、自分のおちんちんに突き刺さる他の二匹の視線。 
 実体が無いものなのに、視線を股間に感じると淫らな姿を見られているという実感がわき、羞恥心がかきたてられる。 
 恥ずかしいと思うのに、それが気持ち良い。 
 変態だと思うけど、快感を感じる自分の心を否定できない。 
「み、見て……クマシュン……ヤンチャム……ボクもキミたちの見るから……」 
 ボクは左手をうしろにつき、腰を少し浮かせた。 
 驚いた二匹が目を丸くする。 
 だが、すぐにボクのおちんちんを見ながら腕の動きを速くしていった。 
 みんなに見せつけているんだという実感に、おちんちんは喜び 
がまん汁を更に噴出させた。 
 もう、ボクのおちんちんはグッチョグチョ。 
 頭の中はわけのわからない熱情でいっぱいだ。 
 瞳に映るヤンチャムの太めの黒いおちんちんと、クマシュンの長めの白いおちんちん。 
 淫らな液に塗れる友の局部を交互にみつめていると、新たな欲望がボクの中に産まれた。 
 じんじんと熱くて、ぬるぬるとヌメっているボクのおちんちん。 
 これだけでも十分気持ち良い。 
 だけど……だけど……もし、これがもっとあったら……きっと……。 
 気がつくと、ボクはふらりと立ち上がっていた。 
 
「ねえ、クマシュン、ヤンチャム。ちょっと立ってよ。良いこと思いついちゃった」 
 ボクの顔は極上のハチミツを食べた時みたいに、とろりととろけた表情をしていることだろう。 
「ハア……ハア……なんだ? まあ、ずっとウンコ座りしてるのも疲れたから良いけどよ」 
 ヨッっと声をあげて、ヤンチャムは立ち上がった。 
「ン……ア……ヒメグマ……何を思いついたんだい?」  
 クマシュンもボクの言葉に従って、立ち上がってくれた。 
「じゃあ、こっちきて。ボクの方に、体がくっつく位近づいて」 
 ボクは二匹を手招きする。 
 怪訝そうな顔をしながらヤンチャムとクマシュンがそろそろと歩いてくる。 
 ボクの右隣にはヤンチャム。左隣にはクマシュン。 
 ボクの大切なトモダチ。 
 息遣いが聞こえそうな程、近くに居る。 
 三匹とも、おちんちんが痛いくらい勃起している。 
「で、どうすんだよヒメグマ?」 
「つまらないことだったら、氷河に落とすよ」 
 戸惑いを隠せない二匹。 
 彼らの答えに、ボクは言葉ではなく行動で答えた。 
 右手でヤンチャムの、左手でクマシュンのおちんちんを掴んで真ん中に居るボクのおちんちんと一緒に束ねた。 
 三匹の雄にこもった欲望の熱が、一つになり混ざり合う。 
 異なる肉棒が接し、その粘るような感触に身が震えた。 
「うわ! だめだ! それはダメだよ! っていうかホモだよ!」 
「ぼ、僕も……いけないと……思うよ……ヒメグマ……」 
 二匹は驚いて腰が引けてしまった。 
 でも、そんなことでボクの行動は止まらなかった。 
「えへへ……気持ち良いねえ……一緒に気持ち良くなろお……」 
 束ねた三本のおちんちんを、両手できつく握りこんで上下に振る。 
 友の肉棒とこすれ合う喜びに、心の底からの歓喜と欲情を感じた。 
 
「ダ、ダメだって……わかってるのに……クソ!」 
 ヤンチャムの手が加わる。 
 悪ぶってるけど、本当は誰よりも真面目なヤンチャム。 
 トレーニングにもいつも一生懸命。 
 そんなヤンチャムの力強い握力。本当に気持ち良いよ。 
「ぼ、僕も……なんか……おかしく……我慢できない!」 
 今度はクマシュンの手も加わる。 
 落ち着いていて、物知りなクマシュン。 
 たまに辛辣なことも言うけど、本当はとても優しい子なんだ。 
 全体を包み込むような優しくて技巧的な手つき。本当に気持ち良い。 
 
「ハッ……ハア……クマシュン、ヤンチャム……好きだよ……大好きだよ」 
 口から出た言葉はとても素直な感情だった。 
 それは純粋に友情から出た言葉。 
 大好きなクマシュンとヤンチャムと一緒にこういうことができるのが本当に嬉しかった。 
「バカヤロウ! オイラも同じだよ!」 
「ぼ、僕も……」 
 クマシュンとヤンチャムの言葉が本当に嬉しい。 
 心の中には歓喜と快楽しかなくて、本当に幸せだ。 
 おちんちんも三匹分の熱でとろけて溶けちゃいそうだ。 
 おしりの穴とおちんちんの間をつなぐ部位がズキリと痛んだ。 
 
「アッ……アッ……なんか……くるよお!」 
 ろれつが回らない口。 
 まるで赤ちゃんに戻っちゃったみたいだ。 
「オイラ……も……」 
「ぼ、僕も……」 
 三匹の膝が震え、熱っぽい息が絡まる。 
 おちんちんの奥からズキズキしたうずきが体の中心をゆさぶる。 
 三匹とも、涙とよだれと鼻水にまみれた汚い顔で甲高い悲鳴をあげている。 
 ボクはなんとなく感じていた。来るべきときが来たのだと。 
 
「う……あ……ふああああああん!」 
 三本のおちんちんが一斉に白いねばねばを吹き出した。 
 膝をガクガクと震わせながら、ようやく解放された欲の塊をビュックビュックと飛ばしまくった。 
 三匹の小熊の初めての意識的な射精。 
 幼いとはいえ、三匹分も集まれば相当な精液の量だった。 
 空中に飛ばされた白い液は、重力に従って落ちてきて、ボクたちのおちんちんや顔にぼたりぼたりと落ちる。 
 その熱と青臭い臭気に包まれる。自分のが友にかかり、友のが自分に降りかかる。 
 そのことを嬉しく思っているボクが居た。 
 おちんちんから、精液を出し切るとボクたちはばたりと倒れて眠り込んでしまった。 
 意識が闇の中へ溶け込んでいく。 
 夢すら見ない、深い深い眠りだった。 
 
 
 
 朝だ。 
 ひさしぶりの朝だ。 
 オレはその日、ようやく目覚めたんだ。 
「うーん……アレ? 夢落ち?」 
 長い眠りから目覚め、オレは大きく伸びをする。 
 外から柔らかく暖かな日差しがさしこんでくる。 
「ふわー良く寝たなあ……」 
 冬の間、ずっと眠っていたのだ。 
 体のあちこちが凝り固まっている。 
 冬眠あけで、体がなまってるのだ。 
 オレは腕をぐるぐる回して、準備運動をした。 
 大きく腕をふりあげると、天井に手が当たってしまった。 
 ヒメグマだった頃には十分な広さだったが、今ではちょっと狭いな。 
 もう、オレはリングマに進化したのだから。 
 
 それにしても、変な夢だったな。 
 アイツらとはじめてやったオナニーの体験。 
 その記憶がそのまま蘇ったような夢だった。 
 もしかしたら、無意識のうちにアイツらに会いたいって気持ちが大きくなっていて、 
そのせいであんな夢を見ることになったのかもしれない。 
 冬眠していたせいで、前の秋から会ってないしなあ。 
「よしっ! 行くか!」 
 オレは立ち上がると、いつものあの場所に向かって駆けだした。 
 道すがら、きのみを見つけたら一つ残らず収穫して食べてしまう。 
 冬の間、絶食していたのだ。食欲はおさえられない。 
 背の高い木でも、軽々と登ってオレンのみをもぎとる。 
 進化して得たリングマの強靭な肉体なら、これくらい朝飯前なのだ。 
 そのかわり、可愛くなくなったから食べ物をプレゼントされることも無いのだが。 
 それでも、誰かの好意に甘えるのでなく、自分の力で生きていけるっていうのは気分が良かった。 
 
「おーい! ひさしぶりー!」 
 湖に到着したオレは、そこに居る二つの大きな影にむかって、手を振って呼びかける。 
「おはよう。ひさしぶりだね」 
 穏やかに答える白くて大きなポケモン。 
 クマシュンが進化した姿、ツンベアーだ。 
 進化して可愛くなくなった。 
 もう、鼻水が垂れることもない立派なオトナだ。 
 鼻水がなくなったかわりに、氷でアゴヒゲを付けている。 
 こういうのも、付けヒゲっていうのかな。 
 あと、股間にやたらと毛が密集してるのがセクハラだと思う。 
 進化前はオレとあまり身長が変わらなかったけど、今はすっかり追い抜かれてしまった。 
 ツンベアーの身長はなんと2.6m。体重は260kg。 
 オレたちの中で一番大きい。顔を見るには、大きく見上げならなければならないほどの巨漢だ。 
 まあ、このツンベアーは温厚な性格だから良く知ってるオレには威圧感を感じないけど。 
 くっそー無駄にデカくなりやがって。 
 言っておくが、オレが小さいわけじゃない。 
 リングマに進化したオレの身長は1.8m、体重125.8kg。 
 なかなかの体格だと思うのだが……ツンベアーと比較されるとさすがに分が悪い。 
 
「それにしても、もったいないね。冬という本当に素晴らしい季節を寝過ごすなんて」 
 ツンベアーは寒ければ寒いほど元気になるんだ。 
 冬が好きだなんて、オレには理解できない。 
「しょうがないだろ。それがオレのシュゾクとしてもシュクメーなんだからな」 
 オレは歯を見せてニッと笑った。 
 
「それで……えーと、コイツは」 
 オレは湖のそばにウンコ座りして、水面をじっと見つめる大きなポケモンを指差した。 
「怖い顔の練習だそうだよ。練習なんかしなくても十分怖いのにねえ」 
 ツンベアーは苦笑いした。 
 
「俺の顔は怖い……俺の顔は怖い……」 
 低い声でぶつぶつと繰り返している、怖い顔のポケモン。 
 ヤンチャムが進化した姿、ゴロンダだ。 
 進化して可愛くなくなった。 
 白い体にに黒いぶち模様が入った姿をしているのは変わらない。 
 両目の部分に真っ黒なぶち模様があるのも変わっていない。 
 だが、進化前は模様の中でも瞳が見えたのだが、ゴロンダになった今は模様と同化してしまっている。 
 結果、目元が真っ黒な影でおおわれているように見えて、めちゃくちゃ怖い。 
 良く子供のポケモンに泣かれてオロオロしてる姿を見かけるが、別に悪い奴じゃない。 
 悪タイプ持ってるけど。 
  
 
 
「むっ……リングマ、居たのか」 
 ゴロンダはくわえた葉っぱをゆらりと動かし、こちらを見上げてきた。 
 ヤンチャムだった頃より、葉っぱは大きくなって、茎つきの葉っぱに変わっている。 
 あれで敵の動きを読む……と、本人は言ってるけど、オレは絶対カッコつけてるだと思う。 
 っていうかやっと気づいたのかよ。 
 オレ、存在感薄いのかな…… 
 
 ゴロンダのそっと立ち上がると、オレに向かい合った。 
 ツンベアーほどではないが、ゴロンダも大きいポケモンだ。 
 身長は2.1m。体重は136.0kg。 
 オレより30cmもデカい。 
 白くて丸いお腹のせいで、ふっくらした体つきをしているように見える。 
 コイツはちょっと変わった毛の生え方をしている。 
 背中に生えた黒い体毛は、地面につきそうなほど長い。 
 実際、ちょっと地面と擦ったのか毛先が乱れている。 
 首元や手首、足首にも黒く毛先が乱れた長毛が生えている。 
 ゴロンダが言うには、これはニンゲンの中の番長という種族に良く似た姿だそうだ。 
 番長とは、不良をまとめる強い男のこと。 
 だが、ただ悪くて強いだけではダメで男気っていうのが無いとダメなんだそうだ。 
 オレにはわからない世界だけど、男らしさにこだわるゴロンダは憧れるだろうな。 
 ただ、ニンゲンの番長が着ている長ランという服とゴロンダの黒い毛が良く似てるというのは事実のようだ。 
 番長を真似てゴロンダが産まれたのか、ゴロンダを真似て番長が産まれたのか……それはわからない。 
 この世界はそういう物が多い。シャンデラとシャンデリア、ビリリダマとモンスターボール…… 
 まあ、どっちがルーツかなんてわかるわけないし、どっちでも良いけど。 
  
「押忍! おはよう! 気合い入っとるか?」 
 ゴロンダはいきなり大声を出す。 
 ああ、そうだった。こいつ、進化してからずっとこんな感じなんだよな。 
「え、ああ……オレは元気だぞ」 
「元気が足りん! 声出せ声! 押忍!!」 
 め、めんどくせえ…… 
 でも、つきあわないとゴロンダのてつのこぶしが唸るからなあ…… 
「お、押忍……」 
 オレは渋々声を返した。 
「気合いが足りんぞおおおお! たるんどる! 押忍!」 
 ええ、まだやるの!? 
「押忍!」 
 オレは半分ヤケになって大声を出した。 
「良し! 気合い入ってきたな! だが、まだまだ行くぞおお! 押忍!」 
「押忍!」 
「押忍ッ!」 
「押忍ッ!!」 
 な、何だこれ……。 
 声が……枯れる。オレの美声があ…… 
 
「まあまあ、ゴロンダ。その辺にしてあげなよ。リングマは寝起きなんだし」 
 ツンベアーの助け舟が入った。 
 た、助かった…… 
 ツンベアー、ありがとう。心の友よ。 
「むっ……お前がそう言うなら、仕方ない。気合い注入は後日改めるとするか」 
 えっ、後日またやるの…… 
 寝起き早々、暗澹たる気持ちに沈んだ。 
 
「そ、そういえば。お前ら冬の間どうしてた? 風邪とかひかなかったか?」 
 オレは気持ちを切り替える為、話題を変えた。 
「僕は大丈夫だったよ。風邪をひくとしたら、冬より夏だね。これからどんどん暑くなると思うと気が重いよ」 
 ツンベアーはヤレヤレといった様子で頭を横に振った。 
「俺は風邪などひかん! 気合いが違うわ!」 
 ゴロンダは……まあ、うん風邪とは無縁だろうな。 
 ぶっちゃけ、バカだし。 
 とにかく二匹とも元気そうで良かった。 
 
「でさ、冬ってどんな風にすごすんだ? オレ、寝ちまうからどんなのか知らないんだよ」 
 未知のものに対する好奇心からオレは尋ねた。 
「そうだね、冬はやっぱりウインタースポーツが楽しいね」 
 ツンベアーがゆったりと答える。 
「ああ、なるほど……。ウインタースポーツっていうと雪合戦とか雪遊びとか……」 
「水泳だね」 
「なんでやねん!」 
 ツンベアーの言葉に間髪いれずにツッコミを入れる。 
 ツンベアーの胸に手のひらの裏側でをビシッとやった。 
「なぜコガネ弁?」 
 ツンベアーが首をかしげる 
「なぜって、それはオレが聞きたいわ! 水泳は夏だろ?」  
「えー、氷が浮いたキンキンに冷えた湖につかるのが気持ち良いのになあ」 
 ツンベアーは寒さに強いって聞いていたけど、本当にオレらと感覚が違うんだな…… 
「そ、それはツンベアーだけだろ……」 
「そんなことないよ。ゴロンダも一緒に泳いだよ。ね、ゴロンダ」 
 ツンベアーの言葉にゴロンダは無言で頷いた。 
 
「ゴロンダ……お前マジで、真冬の湖なんかに入ったのか?」 
「うむ……精神修行の一環として、寒中水泳をツンベアーとな」 
「で、どうだった?」 
「寒かった。死ぬかと思った」 
「当たり前や!」 
 オレはすかさずゴロンダにツッコミを入れた。 
 ゴロンダの胸に手のひらの裏側でをビシッとやった。 
「なぜコガネ弁?」 
 ゴロンダが首をかしげる。 
 こ、こいつら…… 
 オレは呆れかえってしまい、言葉を失った。 
 
「まあそんな感じで、冬も結構楽しいからさ。リングマもたまには起きて一緒にウインタースポーツしようよ。 
夜ふかし……っていうか冬ふかししてさ」 
 ツンベアーがニコニコした顔で誘ってくる。 
 嫌がらせか? 嫌がらせなのか? 
「オレ、次の冬も絶対寝て過ごすわ」 
 変に気を持たせるとめんどくさい。 
 オレはにべもなく断った。 
 
「えー、どうして? 寒いのって楽しいよ。一緒に氷河の下に閉じ込められたりしようよー」 
 ツンベアーが食い下がってくる。 
 意外と粘るな。 
 っていうか嫌な誘い方だ。 
「そうだぞ。たまには起きてこい。でないと、ツンベアーに付き合う俺の身が……」 
 ゴロンダは途中で言葉を切って、大きくせきばらいした。 
 それがお前の本音か。 
 ゴロンダはオレを巻き添えにする気だ。 
  
「よし、決めた! 今度の冬はリングマも起こしていっぱい遊ぼう!」 
 ツンベアーがウキウキした様子で腕を振り上げた。 
 じょ、冗談じゃないぞ。 
「おう、それは良い考えだなツンベアー。リングマ、お前も一緒に、寒空の下で精神修行じゃあああああ!」 
 ゴロンダはにやにやしながら肩を組んできた。 
「や、やめろ! や・め・て・くれえええええええええ!」 
 オレは力の限り叫ぶことしかできなかった…… 
 
 ……とはいえ、今は春。 
 冬はもっとも遠い季節だ。 
 あいつらの記憶力の悪さに期待しよう。 
 
 それから俺たちは、ひさしぶりに一緒に遊んだ。 
 冬眠あけのオレにつきあって、きのみの大食いをしたり、バトルのトレーニングしたり、 
あと、体が汚れたからと言ってみんなで水浴びしたり…… 
 会えなかった時間を埋め合わせるみたいに、色んな話をした。 
 体は大きくなったけど、こうしてみんなと一緒に居ると子供のころに戻ったような気持ちになった。 
 
 気が付くと、もう夕暮れ時。 
 オレンジ色の光が湖を幻想的に照らす。 
「むっ……もう日没か。良い子はもう寝る時間だな」 
 夕日を背にあびたゴロンダにそう言われると、楽しい時間の終わりを実感する。 
 っていうか、その番長みたいな見た目で良い子の時間に寝てるのかよ…… 
「うん、そろそろお開きだね」 
 ツンベアーの真っ白な毛は夕日の色に染まっている。 
 コイツらの言うとおり、もう帰んなきゃいけないんだけど…… 
 せっかく、ひさしぶりに会ったんだし、もう少し一緒に居たいなあ。 
 
「な、なあ。ちょっと待ってくれないか?」 
 オレは意を決して言葉を発した。 
 ツンベアーとゴロンダがこちらを見る。 
「むっ……どうした? リングマ」 
 ゴロンダは腕組みをして、オレの言葉を待つ。 
 ツンベアーも言葉を挟むことなく、静かに会話が進むのを見守っている。 
 うーん、二匹に注目されると、なんか緊張してしまうな。 
 いつもは、気軽に言いだせたのに…… 
 やっぱ、これもひさしぶりだからかな。 
 でも、いつまでも緊張していても仕方ない。 
 オレは深呼吸をしてから、ゆっくりと口を開いた。 
 
「あ、あのさ……ひさしぶりに……アレ、しないか?」 
 ふう、やっと言えた。 
 
「アレ? アレとは何だ?」 
 ゴロンダは腕組みしたまま首をかしげる。 
 そこは察してくれよ…… 
 
「そうだよ、リングマ。アレじゃ伝わらないよ。老夫婦じゃないんだから」 
 ツンベアーは嫌らしい笑顔を浮かべている。 
 ツンベアーはああ見えて頭が良い。 
 クマシュンの頃からそうだった。 
 だから、絶対アレの意味なんか予想がついているはずなんだが…… 
 すっとぼけているのだろうか? 
 
「だ、だから……オレは……お前らと……その……あ、あの時みたいに」 
 ここまで言えばわかるだろう。 
 そう思ったのだが、相変わらずゴロンダは首をかしげたまま。 
 一方のツンベアーは…… 
「え? 何? 聞こえないなあ」 
 わざとらしい声色でオレに聞き返してくる。 
 ものすごく良い笑顔だ。ものすごく嬉しそうだ。 
 クソッ! なんて性格が悪いんだ。 
「え、えーと……オレはお前らと……ナニをだなあ」 
「アレとかナニとかじゃわかんないって。もっとはっきり大きな声で言って欲しいなあ」 
 ツンベアーは自分の耳に手をあてて、オレの言葉を求めてくる。 
 あの日の復讐のつもりかよ。 
 うう……執念深い奴め…… 
 クソ! しょうがない。 
 そんなに、はっきり言ってほしいなら、言ってやるよ! 
 オレはヤケになって大きく口を開いた。 
「だ・か・ら! オレはツンベアーとゴロンダと交尾したいって言ってんだよ!」 
 オレは自分の顔が熱くなっているを感じていた。 
 
「あはは。なーんだ、そのことか。それならそうと言ってくれれば良いのに」 
 ツンベアーはまるでセリフを棒読みでもしているかのような、平坦なイントネーションで話した。 
 わざとらしい。 
 わかってたくせに! 
「そうだぞ、リングマ。男なら男らしく、はっきり言わんか」 
 ゴロンダにも叱られてしまった。 
 なんか、二匹に精神をボッコボコにされている気がする。 
 
「うるさいな……それで、どうなんだよ。オレと……その……シてくれるのか?」 
 モジモジしたしぐさは、この体には似合わない。 
 そうわかっているが、止められなかった。 
 
「ガッハハハ! 水くさいぞリングマ。俺がお前の頼みを断るわけないだろが! ツンベアー、お前もそうだろ?」 
 ゴロンダは豪快に笑いながら、オレの背中を叩いた。 
 力強いその一撃に、思わずむせてしまう 
 
「もちろんだよ。リングマは冬眠明けで性欲もタマってるだろうし。こうなると予想してたもんね」 
 やっぱりわかってたんじゃないか。 
 心の中にちょっとだけ、ムッとした感情がわいた。 
 だけど、それよりも願いが聞き届けられた安堵感の方が大きかった。 
 ゴロンダとツンベアー。 
 二匹の大柄な雄がオレを取り囲む。 
 白熊とパンダ。二匹の巨体に取り囲まれると、威圧感があるな。 
 ゴロンダはオレの真正面に立つと、おもむろに右手をオレの股間に突っ込んできた。 
 
「ぐっ……!」 
 いきなり男根を掴まれ、唐突に直接的な性感を与えられる。 
 ごつごつとしたゴロンダのてつのこぶしが、しっかりと陰茎をつかんで上下する。 
 硬質な感触だが、冬眠の間に精をためまくったチンコにとってはそれで十分。 
 男らしい大きくて無骨な手のひらの中で、みるみるうちに大きく硬く勃ちあがっていく。 
「おう、もう勃ってきたぞ。それにしても、ヒメグマだった頃とはケタ違いの大きさじゃな。 
太さも長さも成長したし、皮だって剥けるようになったぞ」 
 ゴロンダがオレの頭を左手で押して下に向け、ゴロンダに握られた自分のを見るように促された。 
 そこには、ヒメグマ時代のおちんちんとはケタ違いの逸物がパンダの手の中でビクビクと快楽に震えていた。 
 ヒメグマからリングマに進化して、体が大きくなった。 
 身長も体重も十倍以上に成長したし、力も強くなった。 
 もちろん、性に関しても同じだ。 
 ヒメグマだった頃は、子供のおちんちんと言うにふさわしい可愛らしいものだった。 
 しかし、リングマに進化してからは、その可愛らしさは永遠に失われた。 
 体に釣り合った大きさまで、太く、長く、そして硬く成長した男根。 
 すっぽりと先まで覆っていた茶色い包皮は、勃起すると自然と剥けるようになり、 
赤黒い肉が外にさらされている。太い血管が表面に走り、グロテスクな威容を見せている。 
 おちんちんのオマケみたいに、根元についていた小さな二つの袋も、性の成熟を示すように 
茶色い袋がふてぶてしくふくらんで二つぶらりとぶら下げられている。 
 どこにもヒメグマだったころの面影のない、オトナの男性器だ。 
 ゴロンダが、剥けた皮をまた戻して一気にずりおろす。それを何度も繰り返してくる。 
 亀頭に訪れる、ちょうど良い皮オナの刺激にオレは身悶えした。 
 
「駄目だよゴロンダ。ちゃんと、体全体を触って気持ち良くしてあげないと」 
 いつのまにか、オレの後ろに回り込んでいたツンベアーがゴロンダをたしなめた。 
 後ろから大きな白熊に抱きしめられる。 
 鋭い爪と柔らかい肉球が付いた、大きな手のひらがオレの腹部に回される。 
 月の輪の模様が付いた茶色い腹を、ゆるやかに撫でてくる。 
「冬眠明けの割に、筋肉はあまり落ちていないみたいだね。でも、今日食べ過ぎたのかな? お肉がぷにぷにしているよ」 
 ツンベアーはいたずらっぽく笑うと、腹肉の一部をぷにりとつまみあげた。 
 春先だし、しょうがない。そう反論しようとするが…… 
 
「が……はあ!」 
 ゴロンダにしっかりと陰茎を握られているせいで、言葉にならない。 
 オレが何もできないでいることを良いことに、ツンベアーの愛撫はエスカレートしていく。 
 オレの両肩からは房状の長毛が生えている。 
 そこにツンベアーは自分の鼻づらを突っ込んで、くんくんと臭いを嗅ぐ。 
 そうやって、体臭を楽しみながら、ツンベアーは茶色い毛皮の中に手を突っ込んで、その中の地肌を嫌らしくなでてきた。 
 円を描きながら、腹から徐々に上がって胸へ。 
 ゴロンダに鍛えて貰って硬くなった胸板の頂点。 
 子に乳を与える用をなさない、雄の乳首をきゅうっとつまむ。 
 体の中に灯る、ゆるやかなうずき。 
 性器を直接いじられる刺激に比べると、それは確かに小さい性感だ。 
 しかし、それはじくじくと内部に蓄積しもどかしい熱になってオレを苛んだ。 
 
「ねえ、リングマ。僕はリングマの一番可愛い所はお尻だと思うんだよね」 
 後ろに居るツンベアーの表情はうかがえない。 
 だが、声の調子からただならぬものを感じる。 
 穏やかだが、相手に否定を許さない強い意志を感じる言葉だった。 
 ツンベアーの手がオレの背中を撫で、ゆっくりと下へ降りていく。 
「顔はこんなに怖いのに、尻尾がほら……真ん丸なんだよ。茶色いボールみたいだね。 
こんなに大きくて逞しいのに、ヒメグマと同じ尻尾の形なんて……可愛いよね」 
 そう言うと、ぎゅむっとオレの尻尾を片手で握りしめた。 
 球状だったオレの尻尾が握りつぶされて、へこんでいくのを感じる。 
 そして、ツンベアーは尻尾を持ち上げ余った片方の手でオレの尻を撫でてくる。 
 
「ねえ、リングマ。君が僕達の相手ができるように、準備をしてあげるよ。力を抜いてね」 
 そんなこと言われなくても、ゴロンダに逸物を握られている以上満足に力は入らない。 
 オレは目をつぶって、言いなりになるしかなかった。 
 二つに割れた尻の肉の間に、ツンベアーの太い指が一本差し込まれた。 
 入り口に指を押し当て、中に入れろとでも言うようにアナル周辺をもみほぐす。 
 オレがゴロンダとツンベアーの与える刺激に耐えられなくなって、息を大きく吐き出したタイミングを見計らって、 
ツンベアーの指が後ろから中に入ってきた。 
 
「は……あっ!」 
 ツンベアーにあばかれたアナルは、指をずぶずぶと飲み込んでいく。 
 水浴びの時に、尻の中まで洗っておいて良かった。 
 ヒメグマ、リングマといった冬眠をする種族はある習性を持っている。 
 普通、長く眠っていると大便をしたくなる。 
 しかし、オレたちが冬眠するとき、便が自然と硬くなって腸に詰まり出口に栓をするのだ。 
 硬く大きなモノが詰まるという経験をアナルは自然と体験しているのだ。 
 そのせいだろうか。 
 ヒメグマだった頃、クマシュンに初めて後ろを使わせた時にあまり痛みを感じなかった。 
 それだけではない。ヒメグマだった頃から何度も、三匹で雄の交わりをしてきたのだ。 
 経験豊かなアナルにはもう、痛みはなくツンベアーの大きな指がもたらす異物感を 
快感へと変換していった。 
 ツンベアーは慣れた様子で、指を二本に増やしてきた。 
 腸をかき回し、指を抜き差しし、中を広げてくる。 
 尻穴をかき乱される、屈辱的な快感にオレは大きく喘いだ。 
  
「うん、準備はこれでOKかな。ねえ、どっちが先にやろうか?」 
 オレの体ごしに、ツンベアーがゴロンダにたずねる。 
「もちろん、俺が先……と言いたいところだが、これはリングマが決めることだろう」 
 ゴロンダは、手の動きを止めてオレのを解放した。 
 二匹がかりの愛撫がようやく中断された。 
 乱れた息を必死に整える。 
「それもそうだね。ねえ、リングマ? どっちが良い? どうしたい?」 
「恨みっこなしじゃあ! どーんと言ってみろ!」 
 二匹がオレの瞳を見る。 
 オレは……オレの答えは…… 
 
「ゴロンダ。オレと……そのオレに……入れてくれ」 
 ゴロンダはキバを見せてにやりと笑った。 
「あーあ、残念」 
 ツンベアーはため息をついて肩を落とした。 
 
「お前は、さっき意地悪したから後だ」 
『交尾したい』と大声で言わされた恨みをここで持ち出す。 
「あ、でも後でやらせてくれるんだね。なら良いや。僕、楽しみは後にとっておくタイプだし」 
 ツンベアーは特に気にする様子もなく、オレたちの前から離れる。 
 オレとゴロンダから、数歩の距離の所の草地に腰を下ろした。 
「じゃあ僕はちょっと、休憩させてもらうね。ついでに、準備もしたいし。じっくりと観戦させてもらうよ」 
 ツンベアーはゆったりとした表情。 
 しかし粘ついた視線をこちらに向けている。 
 親友二匹の交わりを心底楽しみにしている様子だ。 
 オレは時々、ツンベアーがオレとは比べ物にならない程の変態なんじゃないかと思う時がある。 
 
「おう! 選んでくれてありがとな、リングマ! だが……このままだと」 
 ゴロンダはニコリと笑うと、右手を自分の股間に突っ込んで長めの黒い毛の中をがさごそと探る。 
 深い股間の茂みの中からポロリとゴロンダのモノが出てきた。 
「お前を掘るには、柔らかすぎる。リングマ、勃たせてくれないか?」 
 ゴロンダのペニスは先端まで黒い皮にすっぽり覆われている。 
 勃起の角度も足りないし、大きさも中途半端だ。 
 若干、芯が入っているみたいだが完全ではなく半勃ちといった様子だ。 
 オレのをしごいていただけで、ゴロンダ自身は物理的な性感を何も受け取っていないのだからそれは当然か。 
 
「わかった。そのまま立って、じっとしていて……」 
 オレはゴロンダの前にひざまずき、股間に口を寄せる。 
 湿った吐息を肉棒に吹きかける。 
「お、しゃぶってくれるのか。別に手でも良かったんだがな……」 
 ゴロンダは照れ臭そうに頬をかいた。 
 でも、何だか嬉しそうだ。葉っぱをくわえた口の端が上がっている。 
 オレはゴロンダの逸物を見上げた。 
 白くて丸い太鼓腹の下、ぐにゃりと垂れ下がるモノ。 
 平常時でも、その太さは目を引くものがある。 
 オレやツンベアーと比べても、太さという点ではゴロンダにはかなわない。 
 ずんぐりと太った砲身。 
 黒い毛皮に包まれた金玉のふくらみも他の二匹を圧倒している。 
 たっぷりと精が詰まっていると想像させる、でっぷりと膨らんだ重い双玉がぶらりぶらりと風に揺れている。 
 反面、長さは平均といったところ。 
 長さが足りないせいなのか、皮も余ってしまっている。 
 しかし、全体的な質量で言えばゴロンダのも巨根と言ってもさしつかえないだろう。 
 
「あーん」 
 オレは大きく口をあけて、ゴロンダの先端をぱくりといった。 
 そのままずぶずぶと咥えこんでいき、早々に根元まで口内におさめてしまった。 
 ヒメグマの時代、オレはことあるごとに自分のハチミツ味の指をしゃぶっていた。 
 そのせいか、オレの舌の動きは熟練した動きを見せる。 
 蜜を舐めとる要領で、先端の皮の中に舌先を突っ込み、鈴口を突っつく。 
 中身をいきなり攻められて、腰が引けたゴロンダの尻に手を回して逃がさないようにする。 
 余った皮の内側で、舌が円軌道を描いて亀頭をべろりと舐めまわした。 
 ほのかに苦い雄の肉の味にオレは酔った。 
「フッ……フゥウウウ……リングマ、お前しゃぶるの上手すぎるぞ?」 
 ゴロンダは大きく息を吐いたせいで、葉っぱをおとしそうになっている。 
 白い腹はせわしなく呼吸で上下している。 
 オレの口の中のモノもどんどん太くなっていく。 
 中身に熱い血が通って育ったモノ。 
 口の中でちゅるんと皮が剥け、オレの口内をその太さでぎちぎちに詰めてしまった。 
 口を全開にしないといけないので、顎が疲れる。 
 
「す、すまんリングマ。ちょっと、動かせてもらうぞ」 
 切羽つまった声でそう言うと、ゴロンダはオレの頭を掴んで猛然と腰を振り始めた。 
 額に、ゴロンダのやわらかい下腹部が当たる。 
 重量感のある金玉が腰の動きにあわせて揺れ、何度も顎にびたんびたんと叩きつけられた。 
 
「む……ぐ……! むぐうううう!」 
 ゴロンダのペニスをしゃぶりながら抗議しようとするが、口が太物で完全にふさがれているせいで 
言葉にならない。 
 唾液に満たされた柔らかく湿った口腔内をずりずりと擦りながら男根が激しく行き来する。 
 陰茎の下側に添えられた舌に、裏筋をこすりつけるようにゴロンダは腰を振る。 
 親友の口で行われるイラマチオの刺激にゴロンダの男根は悦楽し、生臭い先走りをぶしゃっと吹き出した。  
 口内をみたすペニス。とめどなく溢れるがまん汁。 
 長さが足りないせいで、喉奥を突かれることはない。しかし、口の中で暴れる太物のせいでひどく息苦しい。 
 オレはたまらず、ゴロンダの陰茎の根元を強く掴んで強引に口から引きはがした。 
 
「ぶは……! ゴロンダ! そういうことしたいなら先に言えよな!」 
「す、すまん……というより、先に言えばやらせてくれたのか……」 
 ゴロンダはしゅんとうなだれてしまった。 
 丸い耳が、ぺたりと垂れてしまっている。くわえてる葉っぱもなんだか下を向いている気がする。 
 怖い顔のポケモンが落ち込んでいると、なんだか哀れさ倍増である。 
 まあ、反省してるなら良いか。 
 
「ほら、ゴロンダ。一発目は、口じゃなくてさ……こっちにくれよ」 
 オレは四つん這いになって、尻の穴をゴロンダの方へ向けた。 
 尻を突きだし、自分のででアナルの入り口を開いて、ゴロンダを誘惑する。 
 ツンベアーにさんざん苛められたアナルがひくついているのが自分でもわかる。 
 淫乱そのもと言えるポーズだが、いまさら恥ずかしがってもいられない。 
 オレもいろいろと切羽詰まっているのだ。 
 
「おう! もちろん、そうしてやる!」 
 ゴロンダはオレの尻肉をつかんで大きく広げる。 
 アナルの入り口にゴロンダの雄がぴとりとくっ付いた。 
 いよいよ挿入されるという実感がわき、心がときめく。 
「だけどゴロンダ、大丈夫か? さっき、ほぼイキかけていただろ? オレに入れて三擦り半で終わりってことは……」 
「がっはっは! 心配無用だ! もし、イキそうになっても気合いと根性で耐えてやるわ!」 
 豪快に笑ってゴロンダは答えた。 
 ゴロンダはああ見えて、真面目な性格だ。 
 自分の言葉には責任を持つ。 
 本当に気合いと根性だけで、耐える気なのだろう。 
  
「よし! 挿れるぞ、リングマぁ! 気合い入れろよお!」 
 オレの尻たぶを一発スパーンと叩いた後、ゴロンダはオレの菊門を一気に貫いた。 
 ゴロンダのぶっとい砲身が一息に根元まで突きこまれる。 
 奥まで入ったペニスは、すぐに先端ギリギリまで引き抜かれ、また強い力で突き入れられる。 
 最初から全力全開。小細工も技巧も一切無しの素直で率直な腰使いだ。 
 一本気なゴロンダらしい、愚直だが男らしい攻め。 
 腹の底に響くような、重厚な挿入だ。 
 後ろから感じるゴロンダの男気に、オレのアナルは性感で答えた。 
 腸璧を擦りながら、入ってくる摩擦の熱。 
 奥まで入った、太い陰茎をずるりと引き抜かれるたびに、特大の大便をひりだすような排便感。 
 力強く掘られたオレはよだれを垂らして、がくがくと痙攣するような快楽を感じていた。 
 
「フンッ! フンッ!」 
 鼻息荒くし、両腕を組んだゴロンダはオレを犯している。 
 腕組みをしているならば、当然両手は使えない。 
 自らの腰使い、自らの逸物だけで勝負するつもりのようだ。 
 先ほどのイラマチオのせいで、射精寸前のはず…… 
 それでも、ゴロンダは手加減をせず、全力で腰を振っている。 
 さっきの言葉の通り、本当に気合いと根性で耐えているのだ。 
 ゴロンダは口に咥えた葉っぱをきつく噛みしめた。 
 
「まだだ! まだ……俺はあ! 気合いだ、気合い! 押忍!」 
 乾坤の気合いと共にゴロンダはオレを突く。 
「押忍! 押忍!」 
 腕組みしたまま、大声と共にオレを掘りまくる。 
 ずっしりとした黒い金玉をぶりぶりと揺らしながら、力強く腰を打ち付けてくる。 
 暑苦しいく、男臭いにもほどがある交尾の仕方だ。 
 茶色い尻に、黒色の毛皮が激しくぶつかり、パンパンと乾いた音が鳴った。 
 
 後ろに激しく出入りする、ゴロンダの剛直。 
 太く、確かな質量を持つ雄肉に力強く穿たれる。 
 ゴリゴリとオレの腸璧を押し広げ、ゴロンダのペニスが挿入される。 
 逞しい雄に力強く犯される喜びに、ピンと張りつめたオレの陰茎の先から透明な先走りが糸を引いて地面に落ちた。 
 ゴロンダの深く刺さった肉棒は、オレの前立腺をその太さで圧迫する。 
 チンコの裏を突っつかれ、直接精液をえぐり出されるような快感。 
 ゴロンダがこのまま耐え切れば……オレも絶頂を迎えられるだろう。 
 性感によって鈍くなった頭でそんなことを考えていると、視界を白い影が横切った。 
 
「あはは。ゴロンダは元気だねえ」 
 悠々とした調子で語るのはツンベアーだ。 
 ゴロンダはオレの尻を掘るので精一杯のようで、ツンベアーに関知している余裕は無い。 
「ツンベアー……お前……何を……」 
「君たちの交尾見てたら、興奮しちゃってね。僕も混ぜてよ」 
 ツンベアーは一歩前に踏み出す。 
 四つん這いになったオレの目の前にツンベアーのもさもさした股間が迫る。 
 陰毛と言えば、ちじれた硬い毛というのが普通だ。 
 しかし、ツンベアーの陰毛は違う。 
 長く柔らかな白い毛は、他の部位の毛よりふわりとしている。 
 本来は、股下にクマシュンを潜り込ませて寒さから保護するためだからだそうだ。 
 
「前の口、使わせてもらうよ」 
 ツンベアーはオレの頭を掴んで、白い毛で覆われた股間を押し付けた。 
 ふさふさした、白い獣毛の集まり。 
 驚くほどの柔らかさと温かさだ。 
 やられてる行為とは裏腹の、その優しい感触に戸惑う。 
 視界を覆う、ツンベアーの白い毛の群れ。 
 その奥に、ツンベアーのペニスが見えた。 
 オレ達の交尾を見て、興奮していたと言っていた通り 
完全に勃起している。 
 ツンベアーのペニスは何よりも長さが目に付く。 
 奥まで届くような長モノ。 
 皮が完全に剥けて、細い血管が走る砲身をさらしている。 
 太さはオレやゴロンダには及ばないものの、全体で見れば十分に大きい。 
 ツンベアーは、股間にオレの頭を押し付けたがそれ以上のことはしない。 
 ツンベアーはオレが自分で動くのを待っているようだ。 
 上等だ。 
 こうなったら、やってやる。 
 ゴロンダも頑張っているんだ。 
 オレだってこれくらいできるさ。 
 オレは顔を突き出して、ツンベアーのペニスにむしゃぶりついた。 
 考える余裕なんかない。 
 オレは滅茶苦茶に舌をツンベアーのモノに巻きつけてしごく。 
 
「フフフ……ありがとう、リングマ。とっても気持ち良いよ」 
 ツンベアーは、狩りが上手にできた子供を褒めるかのように 
優しくオレの頭を撫でた。 
 荒々しくゴロンダに突きこまれる尻。ふわふわと優しい感触を与えられる顔。 
 上の口も下の口も親友のペニスで満たされている。 
 親友二匹に犯されている。 
 そう実感すると、屈辱感と奇妙な喜びで体がカッと熱くなった。 
 オレのペニスの根元がずきりと痛んだ。 
 
「むぐ……! むぐぅうううううん……!」 
 オレがあげた嬌声は、ツンベアーのモノによってふさがれ、叫び声にもならない。 
 射精のとろけるような一瞬の快楽。 
 それが、長い時間引き伸ばされる、狂おしい快楽がオレを襲う。 
 ペニスを直接いじられないことによる性感の終着点。 
 ドライオーガスムだ。 
 オレの陰茎は完全に勃起したまま、その先端から精液がでろりと垂れる。 
 勢いなく、ゆっくりと垂れさがるオレ精液。 
 一瞬で終わることのない、射精の快楽にオレは熱狂した。 
 
「おや? ねえゴロンダ。リングマが後ろだけでイッたよ。もうガマンしなくて良いよ」 
 オレの異常に気付いたツンベアーが、ゴロンダに教える。 
「おう! そうか! なら、遠慮はいらんな! たっぷり種付けしてやるから覚悟しろよお! 押忍!」 
 再び気合いを入れると、猛然と腰を振り出した。 
 
「さて、僕は先にイカせてもらおうかな。リングマ、僕の液、飲んでね」 
 ツンベアーはオレの頭を抱きかかえる。 
「んっ……」 
 静かな息づかいとともにツンベアーは射精した。 
 口の中、喉奥に向かって噴出する精液。 
 オレは飲み込むこともできず、口のはしからゴポゴポと白濁が漏れていく。 
 口から鼻へと通り抜ける青臭い風味に頭がクラクラした。 
 
「押忍ッ! 押忍ッ!」 
 ゴロンダの声が更に大きくなる。 
 彼の限界も近いようだ。 
「イクぞ、イクぞイクぞおおおおお! うおおおおおお! 押っ忍!!」 
 一際大きな気合いと共に、ゴロンダの剛直が大量の精をぶっ放した。 
 腕を組み、きつく葉っぱをかみしめ、仁王立ちした体勢のままオレの尻の中にドバドバと射精する。 
 おびただしい量の番長の濃厚な雄液が、オレの腸内に放たれた。 
 その熱さとぬめりを尻に感じる。 
 オレ、ゴロンダに種付けされているんだ…… 
 ゴロンダに犯され、中出しされる実感。 
 逞しい雄に孕まされる悦楽に頬がゆるむ。 
 親友に口も尻も犯された背徳的な快感に、オレはただ喘いでいた。 
 
 
「ふぅ……なかなか良かったぞ、リングマ」 
 ゴロンダは葉っぱをくわえ直すと、オレの中からモノを一息に引き抜いた。 
 太い栓を失った尻の穴から、ぽたりぽたりと、白い粘液が零れ落ちていく。 
 オレは四つん這いの姿勢のままで肩で息をしながら、ぜえぜえと喘ぐ。 
 過激な性行為がもたらした、疲労と快楽の余韻。それらを鎮める時間が欲しかった。 
 
「でも、リングマはまだ満足していないようだよ。一回イったのに、おちんちんが元気なままだし」 
 ツンベアーの指摘通り、自らの吐き出した白濁で汚れたオレのペニスは未だサイズと硬度を保っていた。 
 自分でも嫌になる程の、性への渇望だ。 
 
「フフフ……冬眠の間、相当溜まってていたみたいだねえ」 
 ツンベアーはしゃがみこみ、地べたに手をつくオレに目を合わせる。 
「しょうがないなあ。冬の間、溜まりに溜まったリングマの精液。僕らが全部搾り出してあげるよ。ねえ、ゴロンダ」 
 ツンベアーはにこやかに笑いながら、淫猥極まりない内容の話をする。 
「おう! 俺とツンベアーも、春の発情期のせいで性欲が半端ないからな! 三匹まとめてスッキリさせてやるわい!」 
 オレにとことん付き合うと宣言した二匹の親友の言葉。 
 変態的な状況だが、素直に嬉しいと思うオレが居た。 
 やっぱり、オレも変態だからなんだろうな。 
 
「さてと……リングマ。今度は僕の相手をしてもらうよ。さあ、おいで。君を受け入れてあげる」 
 真っ白な巨体が草地に仰向けに寝転がる。 
 ツンベアーはクイクイっと手を動かして、オレを手招きした。 
 オレは、快楽の後遺症のだるさを頭を振って強引に払うい、のそりと立ち上がった。 
 
「いってこい、リングマ! 俺は一旦休みだ。まだまだヘバるなよ!」 
 ゴロンダに背中をバシンと叩かれる。 
 乱暴なやり方だけど、きっとゴロンダなりにオレを元気づけているんだろうな。 
 オレはゴロンダの言葉に無言で頷くと、ツンベアーの方へ向かっていった。 
  
 草地に投げ出された白熊の巨体。 
 ふわりとした白い毛はいかにも温かそうだ。 
 オレは仰向けに寝るツンベアーの上に体をゆっくりと重ねた。 
 まずは、ツンベアーの毛皮の感触を感じたくてぎゅっと抱きしめた。 
 ツンベアーも手をオレの背に回して抱き返してくる。 
 想像以上の心地良さだった。 
 極地の寒さにも耐える白い毛皮。 
 そこは空気をたっぷりと含むよう、ふわりとした純白の獣毛で覆われている。 
 毛並みの美しさなら、オレたち三匹の中でツンベアーが一番だろう。 
 水浴びで清められ、太陽の光で乾かされたツンベアーの白い体毛。 
 ありえない程の柔らかさとふさふさ感である。 
 毛皮の舌には、寒さに耐える厚い脂肪。 
 たっぷりとついた柔らかいお肉は抜群の抱き心地だ。 
 オレよりも80cmも大きなツンベアーの体に抱き着き、その大きさと 
感触の優しさに、途方もない安心感を覚える。 
 オレは、ツンベアーの厚い胸板に顔を埋める。 
 白い毛のなかにオレの鼻面が突っ込まれた。 
 顔面がふわりとした感触に満たされる。 
 そのまま、オレは毛づくろいでもするようにぺろぺろとリングマの胸元を舐めた。 
「フフフ……くすぐったいよ」 
 ツンベアーは穏やかに笑い、オレの頭を撫でた。 
 その声色に、性の色はまだ見えない。 
 ちょっと穏やかなやり方をしすぎたか…… 
 オレは行為をより卑猥な方向へと持っていく。 
 寝転がるツンベアーの体のいたるところにオレの男根をすりつける。 
 さらさらしたツンベアーの毛の感触が股間でダイレクトに感じられる。 
 ツンベアーの綺麗な白い毛に覆われた脇や太ももの間、そして腹が、汚らしいオレのペニスに撫でつけられる。 
 
「リングマ。君ってやっぱり変態だね」 
 ツンベアーはようやく好色そうに瞳を歪め、そして笑った。 
 その言葉には答えず、オレはツンベアー股間部分に男根を突っ込んだ。 
 前にも言った通り、ツンベアーの股間は特別ふさふさな毛で覆われている。 
 ありえない程の柔らかさを持った白い獣毛の群生。 
 その奥にあるツンベアーの逸物。 
 萎えかかった長物にオレ自身をぴたりと重ね合わせる。 
 そして、正常位で交わる雄と雌のように腰をガクガクと揺らして二本の陰茎を擦り合わせる。 
 ツンベアーのもさもさと茂った陰毛の中で、びちゃびちゃに濡れた二本の肉棒が兜合わせをする。 
 膨大な量の柔らかい毛に包まれるふわふわと優しい感触。、 
「あ……うぅ……」 
 さすがのツンベアーも股間を直接攻められたら、いつもの冷静さが崩れる。 
 オレを抱きしめる力を強め、目を閉じ口をきゅっと引き結んだ。 
 大声をあげるのが恥ずかしいのか、ツンベアーは声を押し殺している。 
 だけど、小さな息づかいやわずかな嬌声は隠しきれていない。 
 自分よりも数段大きな白熊が見せる痴態に胸がときめく。 
 オレはより激しく腰を動かした。 
 ツンベアーの陰毛の塊の中でにちゃにちゃ音をたてて二つの雄がこすれあった。 
「ああ……ダメ……出ちゃい……そうだよ」 
「このままイクか?」 
「待って……僕、リングマと繋がったまま出したいな」 
 ツンベアーの口から出た大胆な要求。 
 オレは腰の動きを止め、ツンベアーの話を聞くことにする。 
「ねえ、リングマ。僕のお尻に挿れてよ。準備は君とゴロンダが交尾してる間にすませておいたからさ」 
「お、お前……オレとゴロンダがやってる間にそんなことしてたのか?」 
「ゴロンダに犯されてる君を見ながらのアナニー……もなかなか乙なものだったよ」 
 ツンベアーはすぐオレのこと変態とか言うけど、こいつも相当の変態だと思う。 
 それも、ねじ曲がった方向の。 
 だが、わざわざ準備してくれたのだ。 
 その気持ちには答えたい。 
 それに、オレもツンベアーと繋がりたい気持ちはあった。 
 
「よしわかった、ツンベアー。それじゃあ……尻を出してくれ」 
 オレはツンベアーの足を大きく開かせる。 
 ツンベアーの後足がオレの腰に回される。 
 正常位の体勢だ。 
 下半身をわずかに浮かせられたせいで、地面にくっついていたツンベアーの尻が姿をあらわした。 
 ツンベアーの股間のもさもさは、ペニスだけでなく会陰を通って臀部まで覆っている。 
 普通、二つに割れた尻肉が見えるはずだが、ツンベアーの毛にはばまれて見えない。 
 オレは、あらかた見当をつけて白い毛の茂みにペニスを突っ込んだ。 
 手さぐりの状態だ。 
 股間の感触だけを頼りにツンベアーの肛門を探す。 
 しばらく、股間にふわふわした感覚だけが訪れる。 
 なかなか見つからないことに、焦りを覚える。 
「落ち着いてリングマ。もっと、上だよ」 
 見かねたツンベアーがアドバイスをくれた。 
「わ、わかった……あ、これか」 
 ツンベアーの言葉に従うと、股間が無毛の地帯にぴとりとくっついた。 
 柔らかな尻肉に挟まれる感触。 
 先端から伝わる感触で、そこがびくびくとひきつくツンベアー肛門だとわかった。  
 
「よし、ツンベアー。挿れるぞ」 
 ツンベアーはこくりと頷いた。 
 硬い穂先が、ツンベアーの肛門をずぶりと突き刺した。 
「ひ……うぅ……」 
 オレの体に手を回し、しがみついてくるツンベアー。 
 オレを求めるいじらしい姿に欲情がかきたてられる。 
 オレははやる気持ちを抑え、ゆっくりと抜き差しを繰り返しながらツンベアーを深く掘っていく。 
 腰を動かすたび、ツンベアーの柔らかな陰毛と淫らに収縮する腸璧の感触が同時に訪れる。 
「はあ……はあ」 
 静かなツンベアーの息づかいが聞こえる。 
 ツンベアーがちゃんと力を抜いてくれているおかげで、挿入はスムーズに進んだ。 
 もはや、根元まで楽に挿れることができる。 
 
「リングマ……もっと……強くしても良いよ」 
 オレを抱きしめながら、ツンベアーがささやく。 
「いいのか?」 
「言ったでしょ? 準備はしたって」 
 オレを煽るツンベアーの言葉が頭に染み込む。 
 相手を組み敷き、淫らに犯さんとする雄の本能が顔を出した。 
 ツンベアーの中で、オレのモノが一際大きくなった。 
「わかった。それじゃあ、動くぞ」 
 短くそう言うと、オレは猛然と腰を振り始めた。 
 ツンベアーの尻にオレの肉棒が激しく抜き差しされる。 
 茶色の下腹部が、白色の尻に強く何度もぶち当たる。 
 ツンベアーの陰毛の柔らかさのせいで、普通ならパンパンと肌がぶつかる音だが、 
今はぽふぽふと空気が抜けるような音が鳴っている。 
 ツンベアーの中に突き入れられたペニスはびくびくと脈動し、彼の中に先走りをぶちまける。 
 余裕を無くしたオレは、ツンベアーをイかせるべく、ツンベアーの股間に手をつっこんだ。 
 深い陰毛の茂みの中のツンベアーのペニスをしっかりとつかみ、親指を先端に当てて強くしごく。 
 挿入と手淫。二つの刺激でツンベアーを追い詰める。 
 
「ふぅ……ふぅ……リングマぁ……気持ち良いよぉ……」 
 ツンベアーは目をとろんとさせる。 
 静かな反応だが、確かに感じてくれているようだ。 
 それに気を良くしたオレは、握る力を強め、腰の動きも更に激しくした。 
 混ざり合う、二匹の鼓動と呼吸。 
 オレもツンベアーもお互いに高めあっていき、放出の瞬間へと近づいていく。  
 このままイク。 
 そう思った時、大きな足音が聞こえた。 
 
「ハア……ハア……すまんリングマ、ツンベアー。俺も、出させてくれないか?」 
 淫らに交わるオレ達の横に、ゴロンダが姿をあらわした。 
 ゴロンダは自分の太いペニスをわしづかみにして激しくコいている。 
 オレ達の痴態を見ながらオナニーをしていて、ついに我慢できなくなったらしい。 
 
「良いよ……ゴロンダ。三匹で一緒に精液出しちゃお」 
 ツンベアーがゴロンダを受け入れる。 
「オレも別に構わない。遠慮なんかするなよ、ゴロンダ」 
 ツンベアーとオレの言葉を聞いたゴロンダは、キバを見せて嬉しそうに笑った。 
「おう! ありがとうな!」 
 立ったまま、太い砲身を交わっているオレたちの方へ向けゴシゴシと自慰を再開する。 
 オレとツンベアーにぶっかけるつもりらしい。 
 面白い。 
 だったら、ゴロンダにオレたちの交わりを見せつけてやろう。 
 オレは手加減せず、全力でツンベアーを掘った。 
 にちゃにちゃした水音が一際大きくなる。 
 観戦しているゴロンダが、興奮したのか鼻息を荒くする。 
 両手で自分のペニスを掴み直し、激しくシゴきまくる。 
 ゴロンダの手の中で、彼のモノの先端にぷくりと丸い透明ながまん汁の雫がたまる。 
 やがて、ゴロンダのはびくりと震えるとぴゅうっと先走りをオレたちに放った。 
 鼻先に生臭い液の臭いを感じた。 
 
「リ、リングマ……ゴロンダ……ぼ、僕……もう」 
 ツンベアーが口をぱくつかせる。 
 限界が近いようだ。 
「いいぞ、ツンベアー。そのままイッちまえ!」 
 ラストスパートとばかりに、オレは激しく腰を振った。 
 体を強く揺さぶられ、せわしなく振動するツンベアーのペニスを強烈に扱く。 
 体重をかけ、尻に目いっぱい突っこむ。 
 それと同時に、ツンベアーのペニスの先に爪を立ててやる。 
 それが最後の引き金になった。 
「う……くぅ……!」 
 ツンベアーが息を止めると、オレの手の中にどぷりと精を放った。 
 びくびくと震えながら、青臭い液でオレの手を汚していく。 
 射精の時、体に力をこめたせいで内部がぎゅっと狭まった。 
「オ、オレも……!」 
 ツンベアーの腸壁に搾られた、オレのペニスも限界をむかえ 
びゅくびゅくと精を噴射した。 
 ツンベアーの尻の中にオレのどろどろした白い精が満ちていく。 
 
「俺も……イクぞお!」   
 ゴロンダの腰が突き出され、両手に掴んだ肉棒から精が勢いよく飛んでくる。 
 折り重なるオレとツンベアーの顔に容赦なく降りかかるゴロンダの精の雨。 
 茶色い毛皮と白い毛皮に、卑猥な色味の白がぶっかけられる。 
 雄の猛烈な臭気があたりを包む。 
「あ、熱い……リングマのも……ゴロンダのも……すごく熱いよう……」    
 中にも外にも雄の精を受けた、氷タイプの白熊はその熱にうかされて切なげに鳴いていた。 
 
 
 射精の余韻が収まるまで待った後、オレはツンベアーからオレのを引き抜いた。 
「ん……ううぅ」 
 肉棒を引き抜かれる刺激に、ツンベアーが呻く。 
 肛門から精液の白い筋が糸を引き、オレのペニスとツンベアーの陰毛にまとわりついた。 
 二回の射精にも関わらず、オレの肉棒は衰えを知らず、相変わらずの硬さと大きさを保っている。 
 冬眠によってため込まれた性欲がまだペニスの中にぱんぱんに詰まっているようだ。 
 
「フフフ……リングマは元気だねえ。相手してあげたいけど、僕はちょっと疲れちゃったかな」 
 ツンベアーは苦しそうに息をしている。 
「大丈夫か?」 
「心配してくれて、ありがとうリングマ。ちょっと休憩すれば、もう一回いけると思うよ。 
だから、ちょっとだけ休ませてね」 
 ツンベアーは力なく笑った。 
 疲労感をごまかすためなのか、ツンベアーはため息を一息ついた。 
 そして、ゴロンダを指さしてこう言った。 
 
「先にゴロンダとヤッてきなよ。体力が回復したら、僕も行くからさ」 
「わかった。無理させて悪かったな」 
「気にしないで。気持ち良かったし。じゃあ、頑張ってね」 
 ツンベアーは手を振ってオレを見送った。 
 
 オレは未だ満たされぬ情欲を胸に、ゴロンダにのそりのそりと近づいていく。 
 体が熱くてムズムズする。 
 ツンベアーとの交尾で目覚めた雄としての本能。 
 それが、オレを掻き立てているのだ。 
 今のオレは、ゴロンダが欲しくて欲しくてたまらなかった。 
「おう、リングマ。もう一回、俺とヤるか! 安心しろ、お前が満足するまで何回でも掘りまくってやるわい!」 
 ゴロンダは白い腹を揺らしながら豪快に笑った。 
「その話なんだがな……オレ、今度はゴロンダを抱きたいんだ」 
「うっ……」 
 途端にゴロンダの表情が渋くなる。 
 ゴロンダは両手で自分の尻を押さえ、視線をそらしながら口を開いた。 
「そ、それは俺がネコをやるってことか? 掘るのは良いが、掘られるのは男として……その……」 
 ゴロンダは男らしさにこだわっていた。 
 だから、女役をやることに未だに抵抗感を持っているようだ。 
 もじもじとした優柔不断な態度。 
 ゴロンダには似つかわしくない。 
「怖気づくなんて、らしくないなゴロンダ。男らしくないぞ」 
「ぐっ……!」 
 ゴロンダは言葉に詰まった。 
 男らしくない、と言われたのが相当効いたようだ。 
 腕組みをし、苦しそうに顔を歪め何やら考えこんでしまう。 
 唸り声をあげながら、地面をじっと見つめるゴロンダ。 
 オレは、苦悩しているゴロンダを黙って見守った。 
 しばらくすると、ゴロンダは決然とした表情をして顔を上げた。 
 
「おう! 俺は覚悟を決めたぞ! リングマ、ドーンとぶつかって来い! お前の全力、受け止めてやるわ!」 
 自分の腹をばしりと一回叩くと、再び豪快に笑った。 
 良かった。男らしくて、暑苦しい様子。 
 ゴロンダはやっぱりこうでないとな。 
 
「ありがとう、ゴロンダ。じゃあ、じっとしていてくれ」 
「う、うむ……好きにせい」 
 ああは言ったが、やっぱりネコには慣れていないのだろう。 
 ゴロンダは緊張していて、体も硬い感じだ。 
 いきなり本番は無理。 
 そう判断したオレは、まずゴロンダの体を触ってみることにした。 
 
 ゴロンダは、どっしりと安定感のある体格をしている。 
 上にも横にも大きな印象だ。ツンベアー程ではないが、巨漢といっても差し支えない。 
 横に広いといっても、たるんだ贅肉がついているわけではない。 
 格闘タイプを持つゴロンダの肉体の全身には逞しい筋肉がついていた。 
 太く見えるのも、それは筋肉や体毛のせいである。 
 ただし、ゴロンダのお腹は例外だった。 
 オレはゴロンダの腹に手を添え、いやらしく撫でまわした。 
 弾力感を持った腹肉に手が吸い込まれる。 
 ゴロンダの丸いお腹には、たっぷりとお肉がついていた。 
 
 ゴロンダの全身は白と黒の二色に分かれている。 
 顔は基本的に白だが、目元と耳に黒いぶち模様が入っている。 
 首回り、両腕、両脚、更に背中も黒である。 
 胴回りだけ白くなっているのだ。 
 胴体を見ると、全身の黒いのににお腹だけが白い。 
 膨張色の白が、より一層ゴロンダの腹の膨らみと丸さを強調しているのだ。 
 硬く腹筋えあげられた腹筋の上、たっぷりと乗った柔らかな脂肪。 
 硬さと柔らかさが入り混じっりムチムチとした独特の質感を持ったお腹になっている。 
 もう、たまらない。 
 オレは思わずひざまずき、ゴロンダのお腹の中に顔を突っ込んだ。 
 ふさふさした白い毛に包まれたむにむにとした腹肉に頬ずりする。 
 顔面で感じる、ゴロンダのむっちりした腹の感触。 
 ツンベアーと違って、体毛はゴワゴワした感じだが、これはこれで男らしく野生的で魅力的だ。 
 鼻に伝わる獣臭い臭気。 
 ゴロンダの腹肉に包まれて、オレは恍惚とした気分を味わっていた。  
 
「まったく……俺の腹のどこが良いんだか」 
 ゴロンダはやや呆れた様子でオレを見下ろしている。 
 だけど、特に抵抗することなく、オレの好きにさせている。 
 ゴロンダは見た目は怖いけど、優しい奴なのだ。 
 ……どうやら、緊張はほぐれたみたいだな。 
 名残惜しいが、ゴロンダのお腹とはここでお別れだ。 
 オレは最後に、ゴロンダの腹にほっぺすりすりした後、顔をようやく離した。 
 
「じゃあ、ゴロンダ。四つん這いになってくれ」 
「お、おい……ゴロンダ。水浴びの時、尻は洗ったが……ツンベアーみたいに準備はしてないぞ。だから……」 
 ゴロンダはまた尻を押さえてもじもじし始めた。 
 やはり掘られるのは、抵抗感があるようだ。 
 無理もない。 
 オレは慣らし無しで、ガンガンに掘られても後ろだけでイケる。 
 だけど、ゴロンダはそうじゃないしな。 
  
「大丈夫だよ。ちゃんと慣らすから」 
「本当だな!? 信じるからな! 男の約束だぞ!」 
 ゴロンダは何度も確認した後、のたのたした動きで地面に両手をつき四つん這いになった。 
 そして、恥ずかしそうに尻をこちらに向けた。 
  
 ゴロンダは特徴的な後ろ姿をしている。 
黒い毛皮に包まれた、広い男の背中。 
 その中で最も目をひくのは、背中に垂れる黒く長毛の束だ。 
 毛根は肩の部分に有るが、そこから地面すれすれまで伸びている。  
 その特徴的な生え方をした黒い体毛。 
 以前、ゴロンダが教えてくれたのだが、それは番長と呼ばれるニンゲンが着ている長ランと似ているらしい。 
 
 ニンゲンの若い雄が多く着る、真っ黒な服。それを学ランと言う。 
 長ランとは学ランが変化したものだ。 
 上着の丈が伸び、脛の部分まで下りてきているものが長ランだ。 
 ニンゲンの雄が、長ランの前をあけて肩に引っ掛けて着ればゴロンダと似た姿になるだろう。 
 この長ランは番長のトレードマークでもある。 
 
 番長は、喧嘩が強く、荒々しい言動で弊衣破帽といって粗野な外見をしている。  
 一見怖そうだが、仁義に篤く、正義感が強く、弱いものいじめを許さない熱い心を持った男の中の男。 
 それが番長である。 
 そのようなニンゲン、見たことないけどゴロンダのイメージにはぴったりだと思う。 
 そんな番長がオレの前で地面に膝をつき、犯されるのを待っている。 
 そう思うと、妙に興奮する。 
 オレは、しゃがみこんでゴロンダの尻と目線を合わせ、顔を近づけていく。 
 ゴロンダのどっしりとした体幹を支える、盤石な腰部。 
 だが、肝心のゴロンダの尻は長ランに似た黒い毛皮が背中から垂れているせいで、隠れて見えない。 
 オレは裾が毛羽立った長ランをつかんで、ぺろりとまくり上げた。 
 長ランの中からゴロンダのデカ尻が姿を見せる。 
 ゴロンダの下半身の毛皮は黒。 
 当然、尻も黒である。 
 格闘タイプを持つゴロンダの尻は大臀筋がしっかりとついている。 
 逞しく硬質な雄の尻だ。 
 136kgの巨体を支える筋肉質で大きな漆黒の尻。 
 長ランの中に隠れていたそこは、汗で蒸れている。 
 オレはごくりと唾を飲み込むと、ゴロンダの長ランの中に顔面を突っ込んだ。 
 硬い二つの尻肉の間に、鼻をぴったりとくっつけ、スーハーっと深呼吸する。 
 つんとくる酸っぱい汗の臭いと、野生的な獣の体臭が鼻孔を駆け巡る。 
 頭がクラクラする程の雄臭さだ。 
 オレはゴロンダの長ランを頭にかぶりながら、ゴロンダの尻に鼻を付け何度も何度もクンクンと臭いを嗅いだ。 
 
「お、おい……そんなとこ嗅ぐなよ」 
 ゴロンダは顔を後ろに向け、恥ずかしそうにつぶやいた。 
 その言葉を受け、オレは臭いを嗅ぐのをやめにする。 
 ゴロンダにとってもっともっと、恥ずかしいことをするためだ。 
 オレは大臀筋に覆われた硬くてボリューミーな尻肉をわしづかみにする。 
 もみもみと揉みしだき、筋肉質な尻のムッチリした弾力性を楽しむ。 
「うぅ……」 
 もはやゴロンダは抗議する気もおきないようだ。 
 頭をぐったりと下げて、オレのされるがままになっている。 
 ひとしきり、尻を堪能した後、オレは両方の尻肉を持って大きく左右に開いた。 
 やや黒ずんだ肛門が、尻の谷間からその身をさらす。 
 尻を洗ったというゴロンダの言葉どおり、そこは清潔で大便のカスもついていない。 
 良かった。 
 これなら、思う存分舐められる。 
 オレはゴロンダのアナルを下から上へ、ベロリと舐め上げた。 
 
「うひぃ……!」 
 ゴロンダは間抜けな声をあげ、毛を逆立てて、身を硬くする。 
 肛門に訪れた、ぬめぬめと湿った感触に感じてまっているのだろう。 
 ほとんどの雄が無自覚だが、アナルも性感帯の一つだ。 
 中に挿入するのは痛くても、こうして舐められるだけのソフトな行為なら雄でも十分に快感を得ることができる。 
 オレは汗ばむ尻の谷間に尻を忍びこませ、固く閉じた肛門をぺろぺろと執拗に舐めた。 
 肛門に舌が撫でつけられるたび、唾液が弾けぬちゃぬちゃと卑猥な水音をたてた。 
 しつこく舌で舐めまわされたゴロンダの肛門は入り口をひくつかせて、肛虐の快感に身を震わせていた。 
 だが、これでは慣らしとしては不十分だ。 
 オレは舌先を力をこめて硬くし、ゴロンダのアナルに垂直に突き立てた。 
 顔を尻に肉薄させ、舌を肛門に滑り込ませる。 
 唾液の湿り気と、舌の柔らかさを味方にしてゴロンダの中に侵入する。 
 
「が……ひぃ!」 
 舌とはいえ、他者の肉体の一部が入ってきたのだ。 
 ゴロンダの尻は角ばって硬くなり、それ以上の侵入を拒む。 
 カチカチに固くなった肛門。 
 ゴロンダの強力な括約筋のせいで、力でこじあけようとしても無理だ。 
 ここは何か別の作戦が必要だろう。 
 ふと見ると、尻の下にあるモノが見えた。 
 ゴロンダの見事に太った金玉袋だ。 
 尻の方向から見える金玉。いわゆる裏玉である。 
 陰茎が見えず、二つの睾丸の丸さだけが写るその姿は変に愛嬌がある。 
 裏玉は正面から見るのとは、また違った趣がある、とオレは思う。 
 オレはぶら下がる二つの双玉を裏側からつんつんと指でつっついた。 
 
「あ、遊びすぎだぞ、リングマ!」 
 ゴロンダは抗議するが、大人しくオレの玉付きを受けている。 
 金玉は陰茎の次に感じる部位。 
 その快楽には勝てないのだ。 
 オレは手のひらで柔らかく双玉を包み、ころころと手の中で転がした。 
 ゴロンダは悔しそうに顔をゆがめ、大きく息を吐いた。 
 オレの玉責めはまだ終わらない。 
 金玉の付け根。会陰から舌でなぞって裏玉をぺろりと舐めしゃぶる。 
 舌だけではなく、唇も使い出す。 
 どっしりとした金玉の一部をを裏側から口にふくみ、口の中で玉ころがしをしてやる。 
 裏玉への玉フェラの快感。 
 それに屈した番長パンダはへなへな脱力し、上半身を支えられなくなった。 
 尻だけ浮かせた不格好な姿へと堕する。 
 これだけやれば十分だろう。 
 オレは再び、ゴロンダの肛門に舌を突き立てた。 
 もはや抵抗する力は無い。 
 ずぶずぶと舌が飲み込まれていく。 
 途中、ゴロンダが身を固くして何度か抵抗しようとした。 
 しかし、その度に、ゴロンダの陰茎を握って軽くしごいてやる。 
 わかりやすい快感に、ゴロンダが脱力した隙をついて更に深く潜り込んでいった。 
「あっ……ああ……ああ」 
 舌の根元まで入るのに、さほど時間はかからなかった。 
 ゴロンダは時折、甲高い悲鳴をあげるだけでもう言葉を発することができないようだ。 
 オレは完全に無抵抗になった、番長のアナルを舌で思う存分開発した。 
 予行練習のように、アナルの中をオレの舌がピストン運動する。 
 唾液をたっぷり含んだ柔らかい舌が、腸璧をまくって進む。 
 ゴロンダは尻を洗ったと言っていたが、さすがに中まで完全に綺麗にはできなかったようだ。 
 舌先に、わずかにえぐみを感じる。肛門の本来の使い方を考えれば、当然ではあるが。 
 幸いなことに、ゴロンダが笹中心の食生活をしていたおかげで臭みはあまり無い。 
 それに、親友のゴロンダのものであれば別に嫌だとは思わなかった。 
 オレは舌をゴロンダの内部で円を描くように動かし、その内部を広げていった。 
 長い時間をかけて、ゆっくりと。だが、確実にゴロンダのアナルを広げ肛虐の快感を教えていく。 
 唾液と腸液が混ざり合うぐちゃぐちゃした卑猥な音はいつまでも続くように思えた。 
 
「はあ……もう、良い……もう慣らしは良いから……は、はやく俺に……ぶちこんでくれえ…… 
ケツがうずいてしょうがないんじゃあ……」 
 どれくらいたっただろう。 
 アナル舐めを受け続けたゴロンダが、そう言いだしたのは。 
 今のゴロンダの肛門はぽっかりとひくついた口をあけ、オレのを待ち望んでいる。 
 今なら、ゴロンダと繋がることができるだろう。 
 オレは口の中に溜まった唾を、ぺっと地面に吐き出し口内のえぐみを外に追い出した。 
 アナル責めに乱れる番長の痴態。 
 それを見ていただけで、触らずともオレの陰茎はがまん汁をどばどば出して濡れそぼっていた。 
 オレはゴロンダの背に覆いかぶさり、上からゴロンダの手のひらを押さえつけるような形で自分の手を重ねた。 
 長ランをまくりあげられて、丸出しになった尻にオレの男根が肉薄する。 
 硬い尻の谷間に、肉棒が挟まれる。 
 後背位で挿入する体勢がついにできあがったのだ。 
 これからついに、本番が始まる。 
 その実感に、胸が高鳴った。 
 
「よし、挿れるぞゴロンダ。力抜けよ」 
 オレは肉棒のさきっぽを、ゆっくりとゴロンダに挿入した。 
 先端だけ入れて、抜き差しして入り口からペニスの感触にならしていく。 
 痛みを与えないよう、ツンベアーの時よりも慎重に掘り進む。 
「うお……おおぅ……」 
 肉棒が後ろから侵入する感覚に、ゴロンダは野太い喘ぎ声をあげる。 
 たっぷりと舌で穴を広げ、唾液で滑りを良くしていたおかげでゴロンダに苦痛を与えることなくすんだようだ。 
 オレはゴロンダの反応に気を遣いながら腰を動かす。 
 ゴロンダの筋肉質な尻の中は恐ろしい程の力できつく締まっていた。 
 油断すると、精をあっけなく漏らしてしまいそうだ。 
 オレは腹に力を入れ、必死に耐えながらゴロンダをゆっくりと掘り進んだ。 
 
「はあ……はあ……ぜ、全部入ったぞ、ゴロンダ」 
 ゴロンダの尻と、オレの下腹部がぺたりと音を立ててくっついた。 
 根元までずっぷりと肉棒を飲み込んだゴロンダのアナル。 
 ぎちぎちに詰まって、オレのペニスを圧迫している。 
「そ、そうか……うぅ……はぁ」 
 ゴロンダは葉っぱを噛みしめ、苦しそうに呻いている。 
 オレを受け入れるのに、相当の負担がかかているようだ。 
「ゴロンダ……もし、キツいなら……」 
 一旦やめよう。そう言い終わる前にゴロンダが言葉をさえぎった。 
 脂汗をかきながらも、ゴロンダは強烈な意志をこめて言葉を紡ぐ 
「言っただろうが……リングマ……お前の全力、受け止めてやると…… 
気遣いは無用だ……気合い入れて腰を振れよ」 
 慣らしたとはいえ、キツいだろうにゴロンダはそう言い切った。 
 弱音を吐かない、番長の鋼鉄の意思を確かに感じた。 
 ここで、やめるなんて野暮だよな。 
 オレは覚悟を決めて、腰を動かそうとした。 
 だが、その時後ろに気配を感じた。 
 この場に居るのはあと一匹しかいない。 
 
「やあ、リングマ、ゴロンダ。十分、休憩とったから僕も混ぜて欲しいな」 
 ツンベアーだ。 
 ツンベアーはゴロンダと繋がったままのオレの体を後ろから抱きしめてくる。 
「で、でもツンベアー。混ざるって言ったってどうやって?」 
 いきなり現れたツンベアーに、オレは恐る恐る尋ねる。 
「フフフ……リングマのお尻の穴が空いてるじゃない。そこ、使わせてもらうね」 
「な!? そんなことしたら!」 
「文句は言わせないよリングマ。後で僕ともヤッてくれる……、って言ったじゃないか。僕、記憶力良いんだよね」 
 確かに、そう言った。 
 だけど、このタイミングでそれを持ち出すか? 普通。 
 途方にくれるオレの尻穴の入り口に、ツンベアーの硬く勃起した長いペニスが触れる。 
「ま、待て! ツンベアー。そんなことしたら……」 
「きっと、すごく気持ち良いだろうねリングマ。きっと狂っちゃうくらいにさあ」 
 ツンベアーはニコニコと穏やかに笑いながら、そう言った。 
 オレ、今だけはツンベアーが怖くてしょうがないよ。 
「さあ、リングマ、ゴロンダ。三匹が一つになる瞬間だよ」 
 嬉しそうにそうツンベアーが告げると、 
ツンベアーはゴロンダと繋がったままのオレの尻を犯した。 
 ずぶずぶと音をたてて、ツンベアーの長いモノがオレの中に入ってくる。 
「が……ああ……!」 
 オレは口をぱくつかせてツンベアーに犯されるがまま。 
「フフフ……リングマ。君の中、ゴロンダの精液で一杯だよ。 
おかげで滑りが良くなって……ほら、もうこんなに入った」 
 ゴロンダにさんざん掘られて、オレのアナルが広がっていたせいもあるだろう。 
 あまり時間をかけずに、ツンベアーの長いモノが根元まで入り込んでしまった。 
 ゴロンダに挿入するリングマ。そして、リングマに挿入するツンベアー。 
 ゴロンダ、リングマ、ツンベアーの順に一繋ぎになった。 
 雄熊三匹による三連結がここに完成した。 
 
 
「う……うわああああああああ!」 
 この体勢で、一番負担を感じるのは当然、真ん中のオレだ。 
 よだれと涙と鼻水を垂れ流して泣き叫ぶ。 
 前も後ろも親友に挟まれた今のオレは、とんでもない性感を叩き込まれていた。 
 犯す快感と犯される快感を二つ同時に叩き込まれているのだ。 
 
「フフフ……リングマとゴロンダ、二匹同時に犯してるみたいだねえ」 
 のんびりとした口調だが、ツンベアーは容赦が無い。 
 オレの腸内でペニスを揺り動かし、肉棒でオレに注がれたゴロンダの精をかき混ぜる。 
 肛門を犯される快感に身じろきすると、その動きはゴロンダと繋がったオレの肉棒に影響する。 
 ぎちぎちに締まったゴロンダの尻の中でオレのペニスが揺り動かされる。 
 その刺激にゴロンダは、低く呻く声が聞こえた。 
 自分の意思とは無関係に行われたゴロンダへの挿入。 
 理不尽な性感に、オレのペニスはがまん汁を噴き出して泣き叫んだ。 
 ゴロンダとツンベアーの間でもがくオレ。 
 しかし、腰を前に動かすとゴロンダを掘ってしまい、後ろに動かすとツンベアーに掘られてしまう。 
 どこにも逃げ場の無い、性感のるつぼにオレは追い詰められてしまった。 
 こうなってしまった以上、できるだけ動かないで嵐が過ぎるのを待つしかない。 
 だが、そううまくはいかなかった。 
 
「駄目だよリングマ。真ん中の君が頑張んないと、ゴロンダも僕も気持ち良くならないんだよ。 
ほら、頑張って。腰を動かして」 
 オレの耳を後ろから舐めながらツンベアーが囁く。 
「そうだぞ、リングマ! 気合い入れて腰を振らんかあ! 押忍!」 
 ゴロンダもオレを煽る。 
 いや、ゴロンダは励ましているつもりなのか。 
 オレの親友は二匹とも、オレを求めている。 
 このままでは、オレは絶対に解放されない。 
 そうだ。 
 だったら、やってやろう。 
 自分の全ての力を使って、大好きなツンベアーとゴロンダの願いに答えてやるのだ。 
 オレの理性は、そこでぷつりと途切れたんだと思う。 
 
「グォオオオアアアア!」 
 一匹の熊としての本能に身を任せ、オレは獣の咆哮を上げた。 
 後先なんか考えずに、腰を大きくストロークする。 
 ゴロンダの硬い尻を深く掘って掘って掘りまくる。 
 腸璧をまくりあげながら、硬くそそりたつ肉棒が進攻する。 
 まもなく、奥のコリコリした部分――前立腺に到達するとそこをゴリゴリと抉る。 
 手加減無しの本気の挿入だ。 
 後ろから激しく揺り動かされたせいで、ずんぐりとした黒の金玉がブラブラと揺れていた。 
「うおおおお! 良いぞ! リングマ! もっとだ、もっと気合い入れろお! 押忍!」 
 ゴロンダは四つん這いの姿勢のまま気合いを入れると、尻に力を込めた。 
「押忍! 押忍!」 
 オレに掘られながらも、何度も大きな声で連呼するゴロンダ。 
 よだれを垂らし、息もたえだえながらも、声出しをするのをやめない。 
 気合いを入れるたびに、逞しい大臀筋を使って、内部をぎゅうぎゅうにしめつけてくる。 
 
「アハハ! リングマ。すごいよ。やっぱ君は本物の変態だよ!」 
 ツンベアーは狂気じみた笑い声をあげた。 
 ゴロンダを力強く掘る。それは、同時にツンベアーに深く犯されるということを意味する。 
 挿入する前には、腰を引かなくてはならない。 
 腰を引くたびに、ツンベアーの長いペニスで奥まで犯されてしまうのだ。 
 オレの動きに合わせ、ツンベアーはより深く、より強くなるよう腰を動かしている。 
 自分から腰を振って犯されにいく。淫乱な交尾そのものだった。 
 三連結した三匹の雄熊はそれぞれ腰を揺り動かし、濃厚な雄の交尾を繰り広げる。 
 オレたちはたぎる肉欲のおもむくまま、淫らに盛り合った。 
 
 一つに繋がった三匹の体温。一つの塊になって猛烈な熱気になってオレ達を包んだ。 
 腰を打ち付け合うオレたちの汗は湯気になって立ち上る。 
「ハア……ハア……あ、暑い……暑い……よう……」 
 ツンベアーのアゴヒゲの氷が溶けかかって、ぽたりと雫が落ちた。 
 暑さは白熊の天敵。 
 最後尾で最も余裕があるはずのツンベアーだが、暑さによって急激に追い詰められていく。 
 ツンベアーの腰がガクガクと震える。 
「リングマあ! 出すよ! 出すよお! 僕の全部……あ……んん!」 
 ツンベアーは息を止めると、体を強張らせてぷるぷると震えながら射精した。 
 オレの尻の中に、ツンベアーの熱くて濃厚な精液が注がれるのを感じる。 
 中で感じるどろりとした粘着質な感触と、精の熱。 
 二匹分の精を受けたオレの内部はドロッドロだ。 
 精液を注がれまくったせいで、尻の中から圧迫感さえ感じる。 
 先に注がれたゴロンダの精液と、今放たれたツンベアーの精液。 
 二匹の親友の雄液がオレの中で混ざりあって一つになったことに、 
そのことに変態じみた喜びを感じていた。 
 
 さて……次はゴロンダをイカせてやらないと…… 
 オレはゴロンダを掘る腰の動きを止めないまま、ゴロンダのぶっとい肉棒をぎゅっと掴んだ。 
 指を亀頭や裏筋にいやらしく絡みつかせる。 
 肛門への挿入と同時に、ゴシゴシとペニスを扱いてやった。 
「があああ! お、押忍! 押忍!」 
 唐突に訪れた、慣れ親しんだ手コキの性感。 
 男らしい気合いの声が一瞬ぶれた。 
 オレに突かれまくっても弱音一つ吐かなかったゴロンダ。 
 その男気を称賛するように、オレはゴロンダの太筒を強くにぎって上下させた。 
 もちろん、体重をかけた一撃をゴロンダの尻にぶちこんで追撃することも忘れない。 
 最奥まで届き、前立腺をゴリゴリと何度も抉る。 
 逞しいデカ尻を掘る度に、どんどんゴロンダの声が大きくなっていく。 
 ゴロンダはぎゅっと、地面の草を握りしめ、ガン掘りされる快感に耐えているようだ。 
 ガクガクと痙攣する逞しい肉体。 
 小刻みにせわしなく繰り返される呼吸。 
  
 
 淫らに犯される番長パンダは、野太い喘ぎをあげながら最高の瞬間へと高まっていく。 
 オレは最後のトドメとして、ゴロンダの尻を一気に刺し貫いた。 
 猛烈な力で前立腺を刺突すると同時に、ゴロンダのぶっとい砲身の先に爪を立てた。 
 必死に快楽に耐えていた番長パンダが、ついに陥落する。 
「押忍! 押忍! うおおおおお! 押ッ忍!!」 
 今までで一番大きな、気合いの声と共に、ゴロンダはオレの手のひらの中に精を吐いた。 
 大きく絶叫したせいで、いつもくわえていた葉っぱが口から外れて、地面へとはらりと舞い落ちた。 
 指の間から勢いよく雄液が漏れ、地面に垂れていく。 
 そして、その射精の瞬間はゴロンダの中がもっともきつく締まった瞬間でもあった。 
 射精の快感に、ゴロンダが身を硬くしたせいだ。 
 これ以上ないほどきつく圧搾されたオレ自身。 
 もう、オレの頭の中は射精することで一杯だった。 
 あと少し……あと少しで終われる。 
 最後の解放を求め、きつく狭まった肛門を力任せに突きまくる。 
 痛いくらいの力で腸壁に圧迫された肉棒が、にちゃにちゃ音をたてて激しく出し入れされる。 
 股間からやけどするぐらいの熱量を感じる。 
 オレの金玉がきゅっと引き締まり、わずかに持ち上がる。 
 陰茎の根元から、熱くたぎる欲望の塊がせりあがってくる。 
 ズキズキとうずく、会陰。 
 びくびくと脈動する陰茎。 
 自分でも、もう限界だとわかった。 
 オレは、未だびゅくびゅくと小刻みに精の残りかすを吐き出しているゴロンダを強く抱きしめ、 
深く刺し貫いた。 
 その瞬間、ついに終わりの時が来た。 
 ゴロンダの中に根元まで勢い良く挿入した肉棒がついに精液を噴いた。 
「グアアアアアアアア!!」 
 前と後ろ。両方からもたらされた快楽は、全てを抜き取るような強烈な射精をもたらした。 
 深く入り込んだペニスは、命そのものが溶けているような濃厚で真っ白な精液をゴロンダの中に注ぎ込む。 
 どばどば、びゅるびゅると長く続く異常な射精。 
 冬眠の間にため込まれていた性欲。その全てがゴロンダの中に注がれていくような、猛烈な射精量だ。 
「あ、熱い……お、多いぞ……は、腹が……腹があ……ぱんぱんになっちまう……」 
 元々膨らんでいたゴロンダの腹が、オレの精液によって更に膨らんでいく。 
 苦悶の表情を浮かべ、苦しそうな声をあげるゴロンダ。 
 射精の気が狂うような快楽の中でも、ゴロンダを気遣うだけの理性が残っていたのは奇跡だった。 
 ゴロンダの身を案じ、オレは射精が続く男根を無理やり引き抜いた。 
 信じられないことに、ゴロンダから抜いた後も射精は止むことはない。 
 尻から抜かれ、空気中にさらされたオレの肉棒は、精を勢い良く吐き続けている。 
 抜き出されても、しつこくゴロンダのデカ尻を外から精で汚した。 
 オレは肉棒をゴロンダの臀部から放す。 
 自然と、四つん這いになったゴロンダの背中の上にオレの肉棒がある位置関係になる。 
 激しく開閉を繰り返す鈴口から、なおも白く雄臭い粘液の奔流が飛ぶ。 
 ゴロンダの背中へ放尿でもしているかのような体勢だ。 
 大きくて広い番長の黒い背中へ真っ白な精が容赦なく降り注ぐ。 
 番長の誇りである長ランの黒にオレの汚らしい欲の白がぶっかけられ、 
そのねとねとした粘度と、生臭い臭いと、たぎる熱と、浅ましい欲望とで徹底的に汚していく。 
 みるみるうちに白く染められていく、ゴロンダの漢の背中。 
 オレこの地獄のような快楽をもたらす射精が終わるのを、今か今かと待ち望んでいた。 
  
 その後……オレの射精が終わった後は、特に語ることはない。 
 チンコの中身を、全てを出し切ったオレたち三匹。疲れ切った肉体はとうに限界を超えていた。 
 オレたちは、精子まみれの体を横たえ、そのまま気絶するように眠りだした。  
 それは冬眠なんかより、ずっとずっと深い眠りだった。 
 
 その日、オレは下半身に強烈な違和感を感じて目覚めた。 
「ん……あれ? 夢オチ?」 
 慌てて身をおこす。 
「夢じゃないよ、リングマ。僕達、あのままヤリ疲れちゃって寝ちゃったんだ。寝込みを襲われなくて良かったね」 
「ま、ゴツイ雄熊が三匹もザーメンまみれで倒れていたら、普通は見ないふりして逃げるわな、ガッハッハ!」 
 ツンベアーもゴロンダもいつもと変わらない。 
 昨日の痴態が嘘のようだ。 
 ゴロンダの言うとおり、オレ達の体は精子まみれ。 
 オレの茶色い毛皮や黄色い月の輪の模様は、乾いてパリパリになった白い精液がこびりついて汚れていた。 
 うう……前も後ろも痛い…… 
 まあ、あれだけヤッたんだから当然か。 
 オレたちはとりあえず、水浴びをすることにした。 
 
 ばちゃばちゃと水音をたてて、三匹の熊が湖の中で汚れを落とす。 
「はあー……あったかい」 
 ツンベアーが温泉につかってるかのような、ほっこりとした表情を見せる。 
 言っておくが、ここは湖で季節はまだ春になったばかりで水温は低い。 
「今はツッコミを入れる気にもならねえよ……」 
「あれー? リングマ、何か言った?」 
 首をかしげるツンベアー。 
「なんでもないよ。ははは……」 
 いつもと同じとぼけた様子のツンベアー。 
 やっぱりこいつにはかなわないなと思って、オレは苦笑いした。 
 
「むぅ……長ランに付いたザーメンがなかなか取れんわい」 
 背中の長い毛の洗浄にゴロンダは手こずっている。 
「す、すまねえ……オレのせいで」 
 オレはゴロンダにぺこりと頭を下げた。 
「ガッハッハ! 気にするな! そんな小さいことを気にしていたらデッカイ男にはなれんぞ!」 
 ゴロンダは豪快に笑うと、オレの頭をわしわしと撫でた。 
 まるで、父親が子供にするように。 
「こ、子供扱いすんな! いくらオレが一番小さいからって」 
 なんだか照れ臭くなって、慌ててゴロンダの手をはねのける。 
「おう、すまんな……だが、リングマ……撫でられている間、お前、顔がにやけていたぞ」 
「な!?」 
 俺は顔がかっと熱くなるのを感じていた。 
「ガッハッハ! いつぞやの仕返しじゃあ!」 
 あ……もしかして、ヤンチャムだった頃に無理やり頭撫でられたこと、まだ覚えていたのか? 
 まったく、かなわないな…… 
 先に水浴びを終え、悠然と湖を出ていく、あまりに広い背中をオレは黙って見送ることしかできなかった。  
 
 まあとにかくだ。ツンベアーが居て、ゴロンダが居て、オレが居る。 
 そんな当たり前のことが、今はとても嬉しい。 
 心の中が暖かい気持ちで一杯で、自分でも抑えられないほど幸せだ。 
 大人になるのは、不幸なことばっかりだとヒメグマの頃は思っていたけど、どうもオレの場合は違うらしい。 
  
「なあ、ツンベアー、ゴロンダ。オレと……これからもトモダチでいてくれよな」 
 オレは大好きな二匹の親友を真っ直ぐ見つめてこういった。 
 我ながらクサくて恥ずかしいセリフだ。 
 だけど、本心なのだからしょうがない。 
 
「当たり前だよ、リングマ。春も夏も秋も冬も、一緒に遊ぼうね。……特に冬」 
「俺も右に同じよ。これからも一緒に修行に励もうぞ! ……特に冬」 
 え、こいつら……忘れてなかったのか。 
 トモダチでいてくれるのは嬉しいけど、冬は……冬だけは…… 
「か、勘弁してくれえ! 寒いのは嫌だあああああ!!」 
 オレは湖から急いで飛び出すと、全速力で駆け出した。 
「あー! 逃げた!」 
「待たんかああ!」 
 すぐに追いかけてくる二匹の親友。 
 全力疾走しても、きっとあの二匹からは離れられないんだろうな。 
 春風の中を息を切らしながら駆けながら、オレはそんな風に考えていた。 
 
完 
 
 

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