「オナニーってなんですか?」  
みやこの唐突な質問に頬張ったウナ玉弁当を噴出し咽るかおる。  
その横で真っ赤な顔でタコさんウィンナーを落としそうになってももこ。  
「・・・・え、今なんて?」信じられないといった顔つきのももこに  
「だからオナ」「わあああああああ!!!!!」かおるがすごい勢いでみやこの口を  
塞ぐ。  
昼休みの喧騒に包まれた教室がかおるの大声で一瞬静まる。  
「みみみみやこ!気分が悪いのかっ!トイレ行こうトイレ!」なぜか周りに聞こえよがしに  
言い放ちそのままももこと二人でみやこを小脇に抱えて教室を飛び出していく。  
クラスメートたちは一瞬何事かという顔をしていたがいつもの事かと言った感じで  
それぞれのお喋りに戻っていく。  
 
「・・・・いきなり何言い出すんだバカッ!」肩で息をしつつ怒鳴るかおる。  
「な、なんでそんな事聞くの?」誰もいない屋上に座り込んだももこがみやこに問いただす。  
「これに書いてあったんですよ〜」間延びした口調で一通の封筒をポケットから出す。  
それはみやこが一日に数通受け取ってるラブレターのひとつだった。そんなものは捨ててしまえば  
良いものを彼女はご丁寧にも目を通し「お断り」の返事を出すのが日課だった。そういった所が  
男子の人気を更に上昇させているわけだが・・・・  
読んでいいの?と言った表情のももこに無言で頷く。  
「え〜と・・・親愛なる豪徳寺みやこ様。あなたの事はいつも影ながら見守っております。  
いつかその美しい××を××して僕の熱い××××を××××」  
真っ赤になりながら読み上げるももこの手からいきなり手紙をむしり取ってビリビリに破いてしまう。  
「ちょ、ちょっと何すんのよ!」抗議するももこをよそに  
「バカヤロウ!こんな奴呼び出して殴っちまえ!」と怒鳴るかおるに大きな瞳をパチクリさせつつ  
「暴力はいけないと思いますぅ〜」と、よく意味が分かってない様子のみやこ。  
「・・・・で、その手紙とオナ・・・がどう関係があるの?」  
「なんか私のおなにーを見せてくださいって書いてあったんです〜。」ケロリとした顔で言うなよ・・・・  
と思いつつかおるは?と見ればなにか大声で叫びながらそこら辺を走り回っている。  
「え〜と要するにエロい事よエロい事。」「えろいこと?」  
中一にもなってそんな事も知らんのかこのお嬢様は・・・・と半分あきれつつどう説明していいのか  
悩むももこ。  
そこへブラブラ戻ってきたかおるを見て何か閃いたらしく、いたずらっぽい目付きで  
「わ、私もよく知らないんだけど〜、かおるちゃんはよく知ってるみたいよ?」とニヤニヤしながら言う。  
 
もちろんももこはかおるが、つい先日兄貴の部屋で発見したエロ本を熟読してなおかつそこに書かれていた  
オナニー方法を実践していたなどと言う事は知る由もない。  
「なななななにぃ〜〜!?」  
ももこのかけた「かま」に真っ赤になってどもるかおる。  
 
「そそそそそんな事知るわけねえだろバカ!大体みやこはおとこに対してガードが甘すぎなんだよ!  
そんな事だからあんな変態手紙を・・・・おおおおひゃあっ!?」  
いつも間にか後ろに回りこんだももこが素早くかおるのまだ膨らみかけの青い果実のような  
バストを揉みしだきながら熱っぽい口調で囁く。  
「あらぁ〜?知らないならなんでそんなに恥ずかしそうにしてるわけぇ〜?」  
かおるの背中に小ぶりな胸を押し付けつつ普段見せないかおるの表情にももこの隠れたS属性が  
顔を出す。  
「な・・・何すんだよぉ・・・やめ、ひっい!」ブラジャーが嫌で付けてなかったのが仇となり  
乳首を探り当てられ摘み上げられる。すごい正確さで乳首を攻めるももこの腕を振り払おうとするものの  
なぜか力が入らない・・・・・。(自分で触ったときはそうでもなかったのになんで・・・)  
ぼ〜っとした頭で自分の体の反応に戸惑っている。  
 
(やっぱりかおるちゃんも女の子よねぇ・・・)男の子のようなショートカットから漂うリンスの香り  
を嗅ぎながらももこは思った。後ろから抱えた体は細くやや筋肉質ながらも女の子のそれだった。  
目の前でジタバタと絡み合う二人をポカ〜ンとした瞳で眺めていたみやこが、何かわかったように  
言い放つ。  
「ああ!おなにーってプロレスかなんかの技なんですね!?・・・でもどうしよう。  
私プロレスとかよく知らないし・・・」  
あまりに頓珍漢な台詞に噴出すももこ。ケラケラ笑いながら「違うわよぉ〜wwwほらほら、みやこが  
勘違いしてるじゃない。かおるちゃんが正しい知識を教えてあげないと!このまま間違った知識で  
みやこが恥をかいたらかおるちゃんの責任だかんね〜www」と訳の分からない理屈を言う。  
「な・・なんなんだよそれ・・・訳わかんな・・・ヒッ」  
かおるの体が電気が走ったようにビクリと跳ねる。ももこの右手がいつのまにかハーフパンツの  
中に潜り込んでいることに気がついて必死で外そうとするが波のような刺激に力がうまく入らない。  
これが男だったらもうとっくにぶっ飛ばされてるとこだが女の子にそんな事をされてるという  
初めての状況と女に対して暴力は振るわないというポリシーが邪魔をして乱暴に振り払う事ができない。  
 
「やっぱり実際に見てもらうのが一番よね!かおるちゃんが体を張って教えちゃいま〜す!  
ほらみやこ!もっと近くで見て!」ハーフパンツの中でもぞもぞと動く手を好奇心まるだしの  
目で見ながら「あの〜・・・なんか動きがよくわからないんですけど。」  
「あ、そうね。脱がしちゃってくれる?」「え、でもぉ〜・・・かおるさん、なんだか苦しそう。」  
「そうそう、苦しそうな時は脱がすもんでしょ?」  
「あ、そうですね!じゃあいきま〜す!」  
みやこの手がパンツに掛かって引きおろそうとしたその時  
「やっ!やめろおおおお!!!!」大きな声を出して体を跳ねるようにそり返し、勢いよく後ろに  
振った後頭部がものの見事にももこの顔面を直撃した!  
(目から火花ってほんとに出るんだ・・・)そんな事を考えながらももこの意識は闇に沈んだ・・・。  
 
 
「・・・・・あっ気がついた!」  
目を覚ますとそこは保健室のベッドだった。目の前に心配そうに覗き込む二人の顔。  
「ご、ごめんももこ・・・怪我させるつもりじゃなかったんだ・・・。」半べそかいた顔で謝るかおるの  
横で「本当によかった〜。一時はどうなる事かと思いましたわ〜。」と緊張感もなくみやこが言う。  
鼻に張られた絆創膏をさすりながら身を起こす。  
「ううん。私もやりすぎちゃった。ごめんねかおる。」膝の上で握り締めたかおるの手をそっとつつむ。  
ホッとした表情のかおるを見ながら(でももしあのまま最後までいったら・・・)と赤くなる二人。  
「でもおなにーって本当に危険な技なんですね!私にはとっても無理ですわ〜!」  
空気をまったく読まないみやこの発言に思わず噴出す二人の笑い声が廊下にこだまするのだった・・・・。  
 
おわり  
 
 
 
その日の夜  
3人はそれぞれの家のベッドで昼間の事を思い出していた。  
 
(まさかあんなに感度がいいとはね・・・)  
自分でもちょっと悪乗りしすぎたと思ったが学年一女子に人気のかおるに  
あんな反応をさせてしまった事に微妙に興奮していた。  
(もしかして私ってあっちの才能もあるって事かしら?もちろんボーイフレンドは  
欲しいけど無理ならこれもアリよね!・・・でもそうなったら他の女子に嫉妬される  
のかしら?靴に画鋲とか入れられたりして・・・悲劇のヒロインチックでそれも  
おいしいかも♪ あ、みやこには後でちゃんと教えておかないとダメよね。それこそ  
リーダーの責任ってやつ?やだ私ったらやっぱりリーダーの器だわ〜♪)  
などと考えながら今後の計画を練るももこだった。  
 
 
(あいつが怪我しなくてよかった・・・)  
ホッした表情で胸に手をやるかおる。そこにはまだ昼間のももこの手の  
感触が残っていた・・・。自分の身体の反応に戸惑いつつも胸の鼓動は  
高まっていた。男子とスポーツでぶつかり合う事ばかりだった彼女にとって  
女子とのこういったじゃれあいはかなり新鮮だった。  
(もしあいつに怪我でもさせたら俺が嫁にもらわなきゃなんねーじゃねえか。  
・・・ってバカ!俺は女だろが!)などと一人乗り突っ込みで自分に芽生えた  
微妙な心理を誤魔化そうとするかおる。  
ふと手を自分の下半身に伸ばす。そこには・・・  
今回ももこをふっとばした原因となるもの。  
サン○オのうさぎのキャラクターがプリントされたかわいらしいパンツがあった。  
彼女の唯一女の子らしい持ち物だった。  
(もしこれを見られたら恥ずかしくて学校に行けなくなるとこだった・・・  
・・・・でもあいつらになら見られてもよかったのかも・・・  
あ、そうだ。みやこに変態手紙出した奴ボコボコにしてやらないと気が済まねーな。)  
そんな事を考えながら眠りにつく・・・。  
 
 
(おなにーって大変なのね・・・)  
お気に入りのタコのぬいぐるみを抱きながらみやこは思った。  
(やっぱりかおるさんぐらい運動が出来ないと無理なのかしら?  
そもそも見せるって事は相手に技をかけるのかしら?それとも  
ビデオにでも録るのかしら?よくわかりませんわ〜・・・。  
明日ちゃんと詳しく教えてもらおう♪なんか楽しみですわ〜。  
ね、オクティ♪)今まで彼女はその可愛らしさから嫉妬されることが  
多く友達もいなかった。それが学校では教えない性知識に対する情報が  
遅れている原因だったのだが・・・  
彼女にとってはパワパフZになった事よりも二人と友達になれた事が  
ずっと嬉しい事だった。明日はどんな事をお喋りしようかなぁ・・・  
タコを抱きつつ無邪気な顔で眠りにつくみやこだった。  
 
おしまい  
 

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